【課題】プレーナゲート構造の側方にメモリ構造が隣接配置される構成において、メモリ構造がメモリ構造に対するデータの書き込みおよび消去を繰り返し行うことができる半導体装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置1は、半導体層2の第1主面3の表面部に形成されたウェル領域21と、ウェル領域21の表面部に形成されたソース領域22と、ソース領域22から間隔を空けてウェル領域21の表面部に形成され、ソース領域22との間にチャネル領域24を区画するドレイン領域23と、チャネル領域24に対向するように半導体層2の第1主面3上に形成されたプレーナゲート構造30と、プレーナゲート構造30の側方に隣接配置されたメモリ構造40とを含む。メモリ構造40は、チャネル領域24上に形成された絶縁膜41と、絶縁膜41を挟んでチャネル領域24に対向する電荷蓄積膜42とを含む。
前記メモリ構造が、書き込み動作時に、ホットエレクトロンを前記電荷蓄積膜に注入し、消去動作時に、ホットホールを前記電荷蓄積膜に引き込むように構成されている、請求項1に記載の半導体装置。
前記プレーナゲート構造が、前記半導体層の前記主面上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とを含む、請求項1または2に記載の半導体装置。
前記電荷蓄積膜が、前記チャネル領域と対向する第1対向部と、前記ソース領域および前記ドレイン領域と対向する第2対向部とを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の半導体装置。
前記絶縁膜が、前記半導体層と前記電荷蓄積膜との間に位置する第1絶縁部と、前記プレーナゲート構造と前記電荷蓄積膜との間に位置する第2絶縁部とを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の半導体装置。
前記電荷蓄積膜が、前記絶縁膜を挟んで前記半導体層の前記主面に対向する第1蓄積部と、前記絶縁膜を挟んで前記プレーナゲート構造に対向する第2蓄積部とを含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の半導体装置。
前記ゲート絶縁膜を形成する工程が、前記半導体ウエハの前記主面の表面部に第1ベース膜を形成する工程と、前記第1ベース膜を部分的に除去することによって、前記ゲート絶縁膜を形成するとともに前記ゲート絶縁膜の側方に前記主面を窪ませる窪みを形成する工程とを含み、
前記メモリ構造を形成する工程が、前記窪み内において前記半導体ウエハの前記主面の表面部に、前記絶縁膜のベースとなる第2ベース膜を形成する工程を含む、請求項18に記載の半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下では、添付図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置1の要部の平面図である。
図2は、
図1に示すII−II線に沿う断面図である。
図3は、
図1に示すIII−III線に沿う断面図である。
図4は、
図2に示すIV領域の拡大図である。
図1では、後述する絶縁スペーサ43、被覆絶縁膜51および層間絶縁膜65が取り除かれている。以下では、
図1〜
図4を参照して、半導体装置1の構成について説明する。
【0009】
半導体装置1は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を用いた不揮発性メモリである。半導体装置1は、Si単結晶からなる半導体層2を含む。
図2を参照して、半導体層2は、この実施形態では、直方体形状に形成されている。半導体層2は、一方側の第1主面3および他方側の第2主面4を有している。半導体装置1は、半導体層2に形成されたp型(第1導電型)のバックゲート領域20を含む。バックゲート領域20は、半導体層2の全体に形成されている。
【0010】
半導体装置1は、MOSFETが形成されたデバイス領域6を区画するトレンチ絶縁構造10を含む。トレンチ絶縁構造10は、トレンチ11および絶縁埋設物12を含む。トレンチ11は、第1主面3を第2主面4に向けて掘り下げることにより形成されている。トレンチ11は、第1主面3および第2主面4の法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角環状に形成され、四角形状のデバイス領域6を区画している(
図1も参照)。
【0011】
図1を参照して、トレンチ11は、第1主面3および第2主面4の法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角環状に形成され、四角形状のデバイス領域6を区画している。平面視におけるデバイス領域6の一辺が延びる方向を第1方向Xとする。第1方向Xおよび法線方向Zの両方と直交する方向を第2方向Yとする。
図2を参照して、トレンチ11は、具体的には、一方側の内側壁13、他方側の外側壁14、ならびに、内側壁13および外側壁14を接続する底壁15を含む。内側壁13は、平面視において四角環状に形成されている。外側壁14は、平面視において内側壁13に対して平行に延びる四角環状に形成されている。外側壁14は、必ずしも内側壁13に対して平行に延びている必要はなく、内側壁13とは異なる形状で形成されていてもよい。底壁15は、第1主面3に対して平行に延びている。底壁15は、第2主面4に向かう湾曲状に形成されていてもよい。
【0012】
トレンチ11は、この実施形態では、底壁15に向かって開口幅が狭まる先細り形状に形成されている。トレンチ11のテーパ角は、90°を超えて125°以下であってもよい。テーパ角は、90°を超えて100°以下であることが好ましい。トレンチ11のテーパ角は、半導体層2内においてトレンチ11の内側壁13(外側壁14)が第1主面3との間で成す角度である。むろん、トレンチ11は、第1主面3に対して垂直に形成されていてもよい。
【0013】
トレンチ11の深さは、0.1μm以上1μm以下であってもよい。トレンチ11の幅は、任意である。トレンチ11の幅は、0.1μm以上10μm以下であってもよい。トレンチ11の幅は、平面視においてトレンチ11が延びる方向に直交する方向の幅によって定義される。
絶縁埋設物12は、トレンチ11に埋設されている。当該絶縁埋設物12を構成する絶縁体は任意である。絶縁埋設物12は、酸化シリコン(SiO
2)および窒化シリコン(SiN)のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。絶縁埋設物12は、この実施形態では、酸化シリコンからなる。
【0014】
絶縁埋設物12は、埋設部17および突出部18を含む。埋設部17は、トレンチ11の開口端16に対してトレンチ11の底壁15側に位置している。突出部18は、埋設部17から底壁15側とは反対側に向けて突出している。
半導体装置1は、デバイス領域6において第1主面3の表面部に形成されたp型(第1導電型)のウェル領域21を含む。ウェル領域21は、第1主面3に沿う第1方向Xに延びている。ウェル領域21のp型不純物濃度は、バックゲート領域20のp型不純物濃度を超えている。ウェル領域21のp型不純物濃度は、たとえば、10×10
12cm
−3以上10×10
16cm
−3以下である。
【0015】
ウェル領域21の底部は、バックゲート領域20に電気的に接続されている。ウェル領域21は、この実施形態では、トレンチ11よりも深く形成され、当該トレンチ11の底壁15を部分的に被覆している。ウェル領域21は、この実施形態とは異なり、トレンチ11の底壁15に対して第1主面3側の領域に形成され、ウェル領域21とバックゲート領域20との境界が、トレンチ11の底壁15と第1主面3との間に位置していてもよい。
【0016】
半導体装置1は、ウェル領域21の表面部に形成されたn型(第2導電型)のソース領域22と、ソース領域22から間隔を空けてウェル領域21の表面部に形成されたn型(第2導電型)ドレイン領域23とを含む。ソース領域22およびドレイン領域23のn型不純物濃度は、たとえば、10×10
16cm
−3以上10×10
20cm
−3以下である。
【0017】
デバイス領域6の表面部においてドレイン領域23とソース領域22との間には、MOSFETのチャネル領域24が形成されている。チャネル領域24は、ソース領域22とドレイン領域23との間において、第2方向Yに沿う電流経路を形成する。
ソース領域22は、ウェル領域21の底部に対して第1主面3側に位置する底部を有している。ドレイン領域23は、ウェル領域21の底部に対して第1主面3側に位置する底部を有している。
【0018】
ソース領域22の底部は、段差なく平坦である。ソース領域22は、チャネル領域24に接しており、ソース領域22とチャネル領域24との間には、ソース領域22よりもn型不純物濃度が低いLDD(Lightly Doped Drain)領域が設けられていない。ドレイン領域23の底部は、段差なく平坦である。ドレイン領域23は、チャネル領域24に接しており、ドレイン領域23とチャネル領域24との間には、ドレイン領域23よりもn型不純物濃度が低いLDD(Lightly Doped Drain)領域が設けられていない。
【0019】
半導体装置1は、チャネル領域24に対向するように、デバイス領域6において第1主面3の上に形成されたプレーナゲート構造30を含む。プレーナゲート構造30は、第1主面3に沿って第1方向Xに延びている。第1方向Xにおけるプレーナゲート構造30の端部は、トレンチ絶縁構造10上に達している。この実施形態とは異なり、第1方向Xにおけるプレーナゲート構造30の端部が、トレンチ絶縁構造10の外側にまで延びていてもよい。プレーナゲート構造30は、平面視において、ソース領域22およびドレイン領域23の間に位置している。
【0020】
プレーナゲート構造30は、デバイス領域6において半導体層2上に形成されたゲート絶縁膜31と、ゲート絶縁膜31上に形成されたゲート電極32とを含む。
ゲート絶縁膜31は、半導体層2の酸化物からなる。ゲート絶縁膜31は、具体的には、第1主面3の表面部が酸化されることによって膜状に形成された酸化物からなる。つまり、ゲート絶縁膜31は、第1主面3に沿って形成されたシリコン酸化膜(SiO
2膜)からなる。ゲート絶縁膜31は、さらに具体的には、半導体層2の第1主面3の表面部が熱酸化されることによって膜状に形成された半導体層2の熱酸化物からなる。つまり、ゲート絶縁膜31は、第1主面3に沿って形成されたシリコン熱酸化膜(熱酸化膜)からなる。ゲート絶縁膜31は、7nm以上13nm以下の厚さT1を有していてもよい(
図4を参照)。ゲート絶縁膜31の厚さT1は、たとえば、10nmであってもよい。
【0021】
ゲート絶縁膜31は、第1主面3に沿って第1方向Xに延びている。ゲート絶縁膜31は、第1主面3に接する第1面31aと、第1面31aに対して半導体層2とは反対側の第2面31bとを有する。第1面31aおよび第2面31bが互いに平行に延びており、ゲート絶縁膜31がほぼ一定の厚みを有していてもよい。第1方向Xにおけるゲート絶縁膜31の両端部は、絶縁埋設物12と接続されている。
【0022】
第1主面3において、ゲート絶縁膜31の両側方には、第1主面3を第2主面4側に窪ませる窪み33が形成されている。窪み33は、デバイス領域6において、ゲート絶縁膜31と絶縁埋設物12の突出部18との間の全域に形成されていてもよい。
ゲート電極32は、導電性ポリシリコンからなる。ゲート電極32は、ゲート絶縁膜31の上に形成されている。第2方向Yにおけるゲート電極32の幅(ゲート長)は、0.13μm以上0.3μm以下であってもよい。
【0023】
図3を参照して、ゲート電極32は、トレンチ11の開口端16を横切り、絶縁埋設物12上に達している。詳しくは、ゲート電極32は、デバイス領域6においてゲート絶縁膜31を挟んで第1主面3と対向する本体部35と、デバイス領域6よりも外側において絶縁埋設物12に対向する引き出し部36とを含む。
本体部35は、ゲート絶縁膜31の上においてゲート絶縁膜31に沿って延びる膜状に形成されている。引き出し部36は、本体部35から絶縁埋設物12の突出部18の上に引き出されている。
【0024】
図1を参照して、半導体装置1は、データの書き込み、消去、および読み出しを行うことができるメモリ構造40を含む。メモリ構造40は、ゲート電極32の側壁を被覆するようにプレーナゲート構造30の側方に隣接配置されている。そのため、メモリ構造40は、サイドウォール構造とも呼ばれる。
メモリ構造40は、具体的には、デバイス領域6においてゲート電極32の本体部35の側壁を被覆し、デバイス領域6よりも外側において引き出し部36の側壁を被覆している。
【0025】
メモリ構造40は、平面視において、プレーナゲート構造30を取り囲む四角環状である。メモリ構造40は、デバイス領域6に対向する第1部分40Aおよび第2部分40Bと、第1部分40Aおよび第2部分40Bを連結する一対の連結部分40Cとを含む。第1部分40Aは、ソース領域22とプレーナゲート構造30との間に位置する部分である。第2部分40Bは、ドレイン領域23とプレーナゲート構造30との間に位置する部分である。各連結部分40Cは、メモリ構造40のうち、絶縁埋設物12上に位置する部分である。
【0026】
図2を参照して、メモリ構造40は、プレーナゲート構造30の側壁に沿う内側面40aと、プレーナゲート構造30側とは反対側に向けて突出するように湾曲する外側面40bとを有する。メモリ構造40は、チャネル領域24上に形成された絶縁膜41と、絶縁膜41を挟んでチャネル領域24に対向する電荷蓄積膜42と、電荷蓄積膜42上に形成れた絶縁スペーサ43とを含む。
【0027】
絶縁膜41は、半導体層2およびゲート電極32の酸化物からなる。絶縁膜41は、具体的には、半導体層2の表面部およびゲート電極32の側壁が酸化されることによって膜状に形成された酸化物からなる。絶縁膜41は、第1主面3およびゲート電極32の側面に沿って形成されたシリコン酸化膜(SiO
2膜)からなる。絶縁膜41は、さらに具体的には、半導体層2の表面部およびゲート電極32の側壁が熱酸化されることによって膜状に形成された熱酸化物からなる。つまり、絶縁膜41は、第1主面3およびゲート電極32の側面に沿って形成されたシリコン熱酸化膜からなる。
【0028】
絶縁膜41は、半導体層2およびゲート電極32の酸化物からなるため、絶縁埋設物12上には形成されていない(
図3を参照)。
図4を参照して、絶縁膜41は、5nm以上10nm以下の厚さT2を有していてもよい。絶縁膜41の厚さT2は、たとえば、8nmであってもよい。絶縁膜41は、ゲート絶縁膜31よりも薄いことが好ましい(T2<T1)。
【0029】
絶縁膜41は、半導体層2の第1主面3に接する第1面41aと、第1面41aに対して半導体層2とは反対側の第2面41bと、プレーナゲート構造30の側壁(ゲート電極32の側壁)に接する第3面41cと、第3面41cに対してプレーナゲート構造30とは反対側の第4面41dとを有する。
絶縁膜41は、デバイス領域6において半導体層2の第1主面3に沿って延びる第1絶縁部46と、第1絶縁部46に連結されプレーナゲート構造30の側壁に沿って延びる第2絶縁部47とを含む。絶縁膜41は、第1絶縁部46と第2絶縁部47とが直交して連結されることによって、断面視L字状に形成されていてもよい。
【0030】
絶縁膜41は、絶縁埋設物12上には形成されないため、メモリ構造40の連結部分40Cには、第1絶縁部46が設けられていない(
図3を参照)。
絶縁膜41は、窪み33内において第1主面3上に形成されており、ゲート絶縁膜31に隣接している。第1絶縁部46は、ゲート絶縁膜31よりも、第2主面4側に位置している。絶縁膜41の第1面41aは、ゲート絶縁膜31の第1面31aよりも第2主面4(
図2参照)側に位置していてもよい。絶縁膜41の第2面41bは、ゲート絶縁膜31の第1面31aと面一に形成されていてもよい。
【0031】
電荷蓄積膜42は、絶縁膜41とは異なる絶縁体からなり、たとえば、窒化シリコン膜(SiN膜)からなる。電荷蓄積膜42は、絶縁膜41に沿って形成されている。電荷蓄積膜42は、10nm以上50nm以下の厚さT3を有していてもよい。電荷蓄積膜42の厚さT3は、たとえば、30nmであってもよい。
電荷蓄積膜42は、平面視において、プレーナゲート構造30を取り囲む四角環状である(
図1を参照)。すなわち、電荷蓄積膜42は、第1方向Xに延びており、第1方向Xにおける電荷蓄積膜42の両端部がデバイス領域6よりも外側に位置する(
図3を参照)。この実施形態では、第1方向Xにおける電荷蓄積膜42の両端部は、絶縁埋設物12上に位置している。
【0032】
電荷蓄積膜42は、絶縁膜41の第1絶縁部46上に形成された第1蓄積部48と、第1蓄積部48に連結され第2絶縁部47の側方に形成された第2蓄積部49とを含む。電荷蓄積膜42は、第1蓄積部48と第2蓄積部49とが直交して連結されることによって、断面視L字状に形成されていてもよい。
第1蓄積部48は、デバイス領域6よりも外側において、絶縁埋設物12に対向している。第1蓄積部48は、デバイス領域6において、絶縁膜41の第1絶縁部46を挟んで半導体層2に対向している。第2蓄積部49は、絶縁膜41の第2絶縁部47を挟んでプレーナゲート構造30に対向している。
【0033】
ソース領域22およびドレイン領域23は、メモリ構造40に対して自己整合的に形成されている。そのため、ソース領域22とチャネル領域24との境界は、平面視において、メモリ構造40の外側面40bと第1主面3との境界とほぼ一致している。同様に、ドレイン領域23とチャネル領域24との境界も、平面視において、メモリ構造40の外側面40bと第1主面3との境界とほぼ一致している。
【0034】
厳密には、ソース領域22とチャネル領域24との境界は、メモリ構造40の外側面40bと第1主面3との境界よりも僅かにプレーナゲート構造30側に位置している。同様に、ドレイン領域23とチャネル領域24との境界も、メモリ構造40の外側面40bと第1主面3との境界よりも僅かにプレーナゲート構造30側に位置している。
そのため、電荷蓄積膜42の第1蓄積部48は、絶縁膜41を挟んでチャネル領域24と対向する第1対向部48Aと、ソース領域22およびドレイン領域23に対向する第2対向部48Bとを含む。第1対向部48Aは、平面視において、第2対向部48Bよりも大きい(
図1を参照)。
【0035】
電荷蓄積膜42は、第1蓄積部48および第2蓄積部49によって形成された凹部50を有する。凹部50は、第1蓄積部48に対して第1絶縁部46とは反対側で、かつ、第2蓄積部49に対して第2絶縁部47とは反対側に設けられている。
絶縁スペーサ43は、凹部50内で電荷蓄積膜42に隣接配置されている。絶縁スペーサ43は、たとえば、シリコン酸化物からなる。絶縁スペーサ43は、電荷蓄積膜42を挟んで絶縁膜41に対向している。
【0036】
半導体装置1は、プレーナゲート構造30およびメモリ構造40を被覆する被覆絶縁膜51をさらに含む。第2方向Yにおける被覆絶縁膜51の両端部は、メモリ構造40の側方からプレーナゲート構造30とは反対側に位置する。被覆絶縁膜51は、第1方向Xに延び、第1方向Xにおける被覆絶縁膜51の両端部は、絶縁埋設物12上にまで達している(
図3を参照)。そのため、被覆絶縁膜51は、デバイス領域6においてソース領域22およびドレイン領域23を被覆し、デバイス領域6よりも外側で絶縁埋設物12を被覆している。
【0037】
詳しくは、被覆絶縁膜51は、ゲート電極32を被覆する第1被覆部52と、メモリ構造40の外側面40bを被覆する第2被覆部53と、デバイス領域6においてソース領域22およびドレイン領域23を被覆する第3被覆部54と、デバイス領域6よりも外側において絶縁埋設物12の突出部18を被覆する第4被覆部55(
図3を参照)とを一体的に有する。
【0038】
第3被覆部54は、メモリ構造40の第1部分40Aの側方でソース領域22を被覆し、第2部分40Bの側方でドレイン領域23を被覆する。第4被覆部55は、メモリ構造40の連結部分40Cの側方で、絶縁埋設物12を被覆する(
図3を参照)。第1被覆部52においてゲート電極32を挟んでトレンチ絶縁構造10と対向する領域には、貫通孔52Aが形成されている(
図3を参照)。
【0039】
図2および
図3を参照して、半導体装置1は、ゲートシリサイド膜60、ソースシリサイド膜61およびドレインシリサイド膜62を含む。
図3を参照して、ゲートシリサイド膜60は、ゲート電極32の表面において貫通孔52Aの底部を構成する部分に形成されている。ゲートシリサイド膜60は、当該ゲート電極32と一体的に形成されたポリサイド膜からなる。
【0040】
図2を参照して、ソースシリサイド膜61およびドレインシリサイド膜62は、半導体層2と一体的に形成されたシリサイド膜からなる。ソースシリサイド膜61は、ソース領域22の表面部において、被覆絶縁膜51に対してメモリ構造40側とは反対側に形成されている。ドレインシリサイド膜62は、ドレイン領域23の表面部において、被覆絶縁膜51に対してメモリ構造40側とは反対側に形成されている。
【0041】
ゲートシリサイド膜60、ソースシリサイド膜61およびドレインシリサイド膜62は、TiSi、TiSi
2、NiSi、CoSi、CoSi
2、MoSi
2およびWSi
2のうちの少なくとも1つをそれぞれ含んでいてもよい。
半導体装置1は、第1主面3を被覆する層間絶縁膜65を含む。層間絶縁膜65は、酸化膜(SiO
2膜)および窒化膜(SiN膜)のうちの少なくとも1つを含む。層間絶縁膜65は、酸化膜または窒化膜からなる単層構造を有していてもよい。層間絶縁膜65は、1つまたは複数の酸化膜、および、1つまたは複数の窒化膜が任意の順序で積層された積層構造を有していてもよい。層間絶縁膜65は、第1主面3の上においてトレンチ絶縁構造10、およびデバイス領域6を被覆している。
【0042】
半導体装置1は、層間絶縁膜65を貫通するゲートコンタクト電極66、ソースコンタクト電極67およびドレインコンタクト電極68を含む。
ゲートコンタクト電極66は、ゲートシリサイド膜60を介してゲート電極32に電気的に接続されている。ゲートコンタクト電極66は、具体的には、ゲート電極32に電気的に接続され、当該ゲート電極32を挟んで絶縁埋設物12に対向している。
【0043】
この実施形態とは異なり、ゲート電極32が絶縁埋設物12よりも外側まで延びている場合、ゲートコンタクト電極66が絶縁埋設物12よりも外側で半導体層2に対向していてもよい。
ソースコンタクト電極67は、ソースシリサイド膜61を介してソース領域22に電気的に接続されている。ドレインコンタクト電極68は、ドレインシリサイド膜62を介してドレイン領域23に電気的に接続されている。
【0044】
ゲートコンタクト電極66、ソースコンタクト電極67およびドレインコンタクト電極68は、層間絶縁膜65に形成されたコンタクトホール69に埋設されている。各コンタクト電極(ゲートコンタクト電極66、ソースコンタクト電極67およびドレインコンタクト電極68)は、銅およびタングステンの少なくともいずれかによって形成されている。
【0045】
各コンタクト電極とコンタクトホール69の内壁との間には、バリア電極膜が設けられていてもよい。バリア電極膜は、Ti膜またはTiN膜からなる単層構造を有していてもよい。バリア電極膜は、任意の順序で積層されたTi膜およびTiN膜を含む積層構造を有していてもよい。
半導体装置1は、層間絶縁膜65の上に形成されたゲート配線70、ソース配線71およびドレイン配線72を含む。ゲート配線70は、ゲートコンタクト電極66に電気的に接続されている。ドレイン配線72は、ドレインコンタクト電極68に電気的に接続されている。ソース配線71は、ソースコンタクト電極67に電気的に接続されている。
【0046】
各配線(ゲート配線70、ソース配線71およびドレイン配線72)は、Al膜、AlSiCu合金膜、AlSi合金膜およびAlCu合金膜のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
各配線と層間絶縁膜65との間には、バリア配線膜が設けられていてもよい。バリア配線膜は、Ti膜またはTiN膜からなる単層構造を有していてもよい。バリア配線膜は、任意の順序で積層されたTi膜およびTiN膜を含む積層構造を有していてもよい。バリア配線膜は、各配線上にも設けられていてもよい。
【0047】
次に、
図5A〜
図6を用いて、メモリ構造40の各動作(書き込み動作、消去動作、および読み出し動作)について具体的に説明する。いずれの動作においても、ウェル領域21に接続されるバックゲート領域20には、基準電位が印加されている。
図5Aは、メモリ構造40の書き込み動作前の初期状態を説明するための模式図である。
図5Bは、メモリ構造40の書き込み動作を説明するための模式図である。
【0048】
図5Aに示すように、ゲート電極32、ソース領域22およびドレイン領域23に電位が印加される前のゲート閾値電圧Vthを第1閾値電圧Vth1(初期閾値電圧)とする。ゲート電極32、ソース領域22およびドレイン領域23に電位が印加される前の状態とは、ゲート電位Vg、ソース電位Vs、およびドレイン電位Vdがいずれも0Vである状態を意味する(Vg=Vs=Vd=0V)。ゲート電位Vgは、ゲート電極32に印加される電位である。ソース電位Vsは、ソース領域22に印加される電位である。ドレイン電位Vdは、ドレイン領域23に印加される電位である。
【0049】
図5Bに示すように、書き込み動作は、ソース領域22の近傍において衝突電離によって発生した電子(ホットエレクトロンHE)を電荷蓄積膜42に注入することによって達成される。
詳しくは、書き込み動作の際、ゲート電極32およびソース領域22に正電位(たとえば、5V)が印加され(Vg=Vs=5V)、ドレイン領域23に基準電位が印加される(Vd=0V)。これにより、ソース領域22からドレイン領域23に向けてドレイン・ソース間電流Idsが流れ、ソース領域22の近傍に電界が集中する。そのため、ソース領域22の近傍において衝突電離によってホットエレクトロンHEが発生する。ホットエレクトロンHEは、メモリ構造40の電荷蓄積膜42(
図4を参照)に注入される。
【0050】
書き込み動作におけるゲート電位Vgおよびソース電位Vsは、5Vに限られず、たとえば、5V以上7V以下の範囲から選択された任意の電位であってもよい。
ソース領域22とゲート電極32との電位差をゲート・ソース間電圧Vgsという。たとえば、ゲート電位Vgが5Vで、ソース電位Vsが5Vの場合、ゲート・ソース間電圧Vgsは、0Vである(Vgs=0V)。
【0051】
書き込み動作によって電荷蓄積膜42に注入された電子の負電荷により、ゲート閾値電圧Vthが上昇する。具体的には、ゲート閾値電圧Vthは、第1閾値電圧Vth1よりも高い第2閾値電圧Vth2(
図5Dを参照)となる(Vth=Vth2,Vth2>Vth1)。
図5Cは、メモリ構造40の消去動作について説明するための模式図である。
図5Cに示すように、消去動作は、バンド間トンネリング現象によって発生した正孔(ホットホールHH)を電荷蓄積膜42に注入することによって達成される。
【0052】
詳しくは、消去動作の際、ゲート電極32に負電位(たとえば−5V)が印加され(Vg=−5V)、ソース領域22に正電位(たとえば、5V)が印加され(Vs=5V)、ドレイン領域23が開放(オープン)される。つまり、ソース領域22およびゲート電極32の間に高電圧が印加されている。これにより、ウェル領域21を介して、ソース領域22からバックゲート領域20にソース・バックゲート間電流Isbが流れる。
【0053】
そのため、ウェル領域21とソース領域22との境界付近において、バンド間トンネリング現象によってホットホールHHが発生する。ホットホールHHは、メモリ構造40の電荷蓄積膜42(
図4を参照)に注入される。
消去動作におけるゲート電位Vgは、−5Vに限られず、たとえば−7V以上−3V以下の範囲から任意に選択された電位であってもよい。消去動作におけるソース電位Vsは、5Vに限られず、5V以上7V以下の範囲から任意選択された電位であってもよい。
【0054】
消去動作において、ゲート電位Vgが−5Vで、ソース電位Vsが5Vの場合、ゲート・ソース間電圧Vgsは、10Vである(Vgs=10V)。たとえば、絶縁膜41の厚さT2が8nmであり、ゲート絶縁膜の厚さT1が10nmである場合、絶縁膜41は、ゲート絶縁膜31と比較して薄い。そのため、絶縁膜41の厚さとゲート絶縁膜31の厚さとが同じである構成と比較して、ゲート・ソース間電圧Vgsが効率良く電荷蓄積膜42に分圧される。そのため、ソース領域22の近傍に電界を集中させやすく、ホットホールHHを発生させやすい。
【0055】
消去動作によって電荷蓄積膜42に注入された正孔の正電荷により、ゲート閾値電圧Vthが下降する。具体的には、ゲート閾値電圧Vthは、第2閾値電圧Vth2から第1閾値電圧Vth1(
図5E参照)に戻る(Vth=Vth1)。
次に、メモリ構造40の読み出し動作について説明する。
図5Dは、書き込み動作後の読み出し動作を説明するための模式図である。
図5Eは、消去動作後(つまり、初期状態)の読み出し動作を説明するための模式図である。
図6は、書き込み動作後および消去動作後のゲート電位Vgとドレイン・ソース間電流Idsとの関係を示すグラフである。
【0056】
読み出し動作時には、書き込み動作とは逆方向にドレイン・ソース間電流Idsが流れる。ドレイン・ソース間電流Idsの大きさによって、メモリ構造40にデータが書き込まれているか否かが判別される。具体的には、書き込み動作後および消去動作後のいずれにおいても、読み出し動作では、ゲート電極32に正電位(たとえば、1.5V)が印加され、ドレイン領域23に正電位(たとえば、0.5V)が印加され、ソース領域22に基準電位が印加される(Vs=0V)。
【0057】
ゲート電位Vgが1.5Vであり、ドレイン電位Vdが0.5Vである場合、ドレイン領域23とゲート電極32との電位差(ドレイン・ゲート間電圧Vdg)は、1.0Vである(Vg=1.5V,Vd=0.5V,Vdg=1.0V)。
書き込み動作後のゲート閾値電圧Vth(第2閾値電圧Vth2)は、消去動作後のゲート閾値電圧(第1閾値電圧Vth1)よりも大きい。そのため、
図6に示すように、読み出し時にゲート電位Vgが所定の読み出し電位Vrのとき(Vg=Vr)、書き込み動作後の読み出し動作におけるドレイン・ソース間電流Ids2は、消去動作後の読み出し動作におけるドレイン・ソース間電流Ids1よりも小さい。この電流差ΔI(ΔI=Ids1−Ids2)によって、メモリ構造40にデータが書き込まれた状態であるか否かについての判定を行うことができる。
【0058】
第1閾値電圧Vth1は、たとえば、0.7V以上2.0V以下であり、第2閾値電圧Vth2は、第1閾値電圧Vth1に電位がプラスされた電圧である。たとえば、第1閾値電圧Vth1が1.0の場合、第2閾値電圧Vth2は、それ以上の電圧(1.2V以上5.0V以下)となる。読み出し電位Vrは、たとえば、1.5V以上5.0V以下である。
【0059】
この実施形態では、ソース領域22の底部およびドレイン領域23の底部は、それぞれ、段差なく平坦であり、ソース領域22およびドレイン領域23にLDD領域が設けられていない。そのため、電荷蓄積膜42が、チャネル領域24に対向する。そのため、ホットキャリアを発生しやすい。そのため、書き込み動作時に、ホットエレクトロンHEを電荷蓄積膜42に注入させることができ、消去動作時に、ホットホールHHを電荷蓄積膜42に引き込むことができる。したがって、メモリ構造40へのデータの書き込みおよびメモリ構造40からのデータの消去を効率的に繰り返して行うことができる。
【0060】
また、絶縁膜41をゲート絶縁膜31よりも薄くすることによって、ゲート・ソース間電圧Vgsを効率良く電荷蓄積膜42に分圧させることができる。そのため、電荷蓄積膜42へホットホールHHを引き込みやすくすることができる。
また、この実施形態では、被覆絶縁膜51によってメモリ構造40が覆われている。そのため、メモリ構造40のシリサイド化を防ぐことができる。
【0061】
また、この実施形態では、被覆絶縁膜51が、メモリ構造40の側方においてソース領域22およびドレイン領域23を部分的に被覆している。そして、ソースシリサイド膜61およびドレインシリサイド膜62は、それぞれ、ソース領域22およびドレイン領域23の表面部において、被覆絶縁膜51に対してメモリ構造40側とは反対側に形成されている。そのため、被覆絶縁膜51がソース領域22およびドレイン領域23を被覆していない構成と比較して、ソースシリサイド膜61およびドレインシリサイド膜62を、電荷蓄積膜42から遠ざけることができる。これにより、電荷蓄積膜42から電子が流出することを抑制できる。
【0062】
また、この実施形態では、電荷蓄積膜42は、第1蓄積部48に対してプレーナゲート構造30とは反対側で、かつ、第2蓄積部49に対して半導体層2とは反対側に凹部50を有し、絶縁スペーサ43は、凹部50に配置されている。そのため、電荷蓄積膜42は、絶縁膜41および絶縁スペーサ43、すなわち絶縁体によって囲まれている。そのため、ゲート・ソース間電圧Vgsを電荷蓄積膜42に効率良く分圧させることができる。
【0063】
図7A〜
図7Yは、
図1に示す半導体装置1の製造方法の一例を説明するための断面図である。
図7A〜
図7Yは、
図2に対応した領域の断面図である。
図7A〜
図7Yでは、MOSFETが形成されるデバイス領域6の製造方法のみを示している。
まず、
図7Aを参照して、半導体ウエハ75が用意される。半導体ウエハ75は、半導体層2のベースとなる。半導体ウエハ75は、一方側の第1ウエハ主面76、および他方側の第2ウエハ主面77を有する。第1ウエハ主面76および第2ウエハ主面77は、半導体層2の第1主面3および第2主面4にそれぞれ対応している(
図2を参照)。
【0064】
次に、所定パターンを有するレジストマスク80が、半導体ウエハ75上に形成される。レジストマスク80は、半導体ウエハ75においてトレンチ11を形成すべき領域を露出させ、それ以外の領域を被覆している。
次に、
図7Bに示すように、レジストマスク80を介するエッチング法によって、第1ウエハ主面76の不要な部分が、除去される。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)および/またはウエットエッチング法であってもよい。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)であることが好ましい。
【0065】
これにより、デバイス領域6を区画するトレンチ11が、第1ウエハ主面76に形成される。レジストマスク80は、その後、除去される。トレンチ11の具体的な説明については前述の通りであるので省略する。
次に、
図7Cを参照して、絶縁埋設物12のベースとなるベース絶縁膜81が、第1ウエハ主面76の上に形成される。ベース絶縁膜81は、この形態では、酸化シリコンからなる。ベース絶縁膜81は、CVD法によって形成されてもよい。ベース絶縁膜81は、トレンチ11を埋める。
【0066】
次に、
図7Dを参照して、ベース絶縁膜81の不要な部分が、エッチング法によって除去される。ベース絶縁膜81は、第1ウエハ主面76が露出するまで除去される。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)および/またはウエットエッチング法であってもよい。これにより、トレンチ11内に位置する絶縁埋設物12が形成される。
【0067】
次に、
図7Eを参照して、デバイス領域6において第1ウエハ主面76の表面部に、ゲート絶縁膜31(
図2を参照)のベースとなる第1ベース膜82が形成される。第1ベース膜82は、半導体ウエハ75の酸化物からなる。第1ベース膜82は、酸化処理法によって第1ウエハ主面76の表面部を膜状に酸化させることによって形成される。第1ベース膜82は、具体的には、熱酸化処理法によって形成される。
【0068】
酸化処理法(熱酸化処理法)によれば、第1ウエハ主面76に沿うシリコン酸化膜(シリコン熱酸化膜)が形成される。第1ベース膜82の厚さは、ゲート絶縁膜31の厚さT1(
図4を参照)と同じ、すなわち、7nm以上13nm以下であってもよい。第1ベース膜82は、絶縁埋設物12と一体を成す。
次に、
図7Fを参照して、p型のウェル領域21が、デバイス領域6において第1ウエハ主面76の表面部に形成される。ウェル領域21は、ゲート絶縁膜31を介するイオン注入法によってp型不純物を第1ウエハ主面76の表面部に導入することにより、形成される。ウェル領域21が形成されることによって、半導体ウエハ75においてウェル領域21よりもp型不純物濃度が低い領域が、バックゲート領域20となる。
【0069】
第1ウエハ主面76へのp型不純物の導入は、任意のタイミングで行われてもよい。たとえば、第1ウエハ主面76へのp型不純物の導入は、ゲート絶縁膜31が第1ウエハ主面76に形成される前に行われてもよい。その場合、第1ウエハ主面76に犠牲酸化膜を形成し、犠牲酸化膜を介して、p型不純物が第1ウエハ主面76に導入されてもよい。そして、犠牲酸化膜が除去された後に、ゲート絶縁膜31が形成される。
【0070】
次に、
図7Gを参照して、ゲート電極32が、第1ベース膜82および絶縁埋設物12を被覆するように第1ウエハ主面76の上に形成される。ゲート電極32は、この形態では、導電性ポリシリコンからなる。ゲート電極32は、CVD法によって形成されてもよい。
次に、
図7Hを参照して、所定パターンを有するレジストマスク87が、ゲート電極32の上に形成される。レジストマスク87は、ゲート電極32の不要な部分を露出させ、それ以外の領域を被覆している。次に、レジストマスク87を介するエッチング法によって、ゲート電極32の不要な部分が除去される。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)および/またはウエットエッチング法であってもよい。ウエットエッチングは、たとえば、HF(フッ酸)の供給によって行われてもよい。これにより、ゲート電極32が形成される。その後、
図7Iに示すように、レジストマスク87は、除去される。
【0071】
次に、
図7Jを参照して、エッチング法によって、第1ベース膜82が部分的に除去されてゲート絶縁膜31が形成される。第1ベース膜82の部分的な除去によって、ゲート絶縁膜31の側方において、第1ウエハ主面76が第2ウエハ主面77側に後退する。第1ウエハ主面76の後退によって、プレーナゲート構造30の側方に、第1ウエハ主面76を第2ウエハ主面77側に窪ませる第1窪み78が形成される。このように、第1ベース膜82の部分的な除去によって、ゲート絶縁膜31が形成されるとともに第1窪み78が形成される。第1ウエハ主面76の後退によって、絶縁埋設物12の一部がトレンチ11から突出する。
【0072】
エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)および/またはウエットエッチング法であってもよい。第1ベース膜82の部分的な除去によって、ゲート絶縁膜31およびゲート電極32を含むプレーナゲート構造30が形成される。
次に、
図7Kを参照して、絶縁膜41(
図2を参照)のベースとなる第2ベース膜83が、第1窪み78内における第1ウエハ主面76の表面部と、ゲート電極32の表面部とに形成される。第2ベース膜83は、半導体ウエハ75およびゲート電極32の酸化物からなる。第2ベース膜83は、酸化処理法によって、デバイス領域6における半導体ウエハ75の表面部と、ゲート電極32の表面部とを膜状に酸化させることによって形成される。第2ベース膜83は、具体的には、熱酸化処理法によって形成される。
【0073】
酸化処理法(熱酸化処理法)によれば、第1ウエハ主面76およびゲート電極32に沿うシリコン酸化膜(シリコン熱酸化膜)が形成される。第2ベース膜83の厚さは、絶縁膜41の厚さT2(
図4を参照)と同じ、すなわち、5nm以上10nm以下あってもよい。
次に、
図7Lを参照して、電荷蓄積膜42のベースとなる第3ベース膜84が、第2ベース膜83および絶縁埋設物12を被覆するように第1ウエハ主面76の上に形成される。第3ベース膜84は、この形態では、窒化シリコンからなる。第3ベース膜84は、CVD法によって形成されてもよい。第3ベース膜84の厚さは、電荷蓄積膜42の厚さT3(
図4を参照)と同じ、すなわち、10nm以上50nm以下であってもよい。
【0074】
次に、
図7Mを参照して、絶縁スペーサ43(
図2を参照)のベースとなる第4ベース膜85が、第3ベース膜84を被覆するように第1ウエハ主面76の上に形成される。第4ベース膜85は、この形態では、酸化シリコンからなる。第4ベース膜85は、CVD法によって形成されてもよい。
次に、
図7Nを参照して、エッチングによって、プレーナゲート構造30の側壁を被覆する部分を残存させるように、第2ベース膜83、第3ベース膜84および第4ベース膜85が部分的に除去される。これにより、絶縁膜41、電荷蓄積膜42、および絶縁スペーサ43からなるメモリ構造40が形成される。つまり、メモリ構造40が、プレーナゲート構造30に対して自己整合的に形成される。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)であってもよい。
【0075】
第2ベース膜83の部分的な除去によって、メモリ構造40の側方において、第1ウエハ主面76が第2ウエハ主面77側にさらに後退する。第1ウエハ主面76が第2ウエハ主面77側に後退することによって、プレーナゲート構造30の側方の第1窪み78が深くなって第2窪み79が形成される。絶縁膜41は、第2窪み79内で第1ウエハ主面76上に配置されている。第2窪み79は、窪み33(
図4を参照)に対応する。第1ウエハ主面76の後退によって、トレンチ11からの絶縁埋設物12の突出量が増大する。
【0076】
次に、
図7Oを参照して、n型のドレイン領域23およびn型のソース領域22が、ウェル領域21の表面部に形成される。詳しくは、ソース領域22は、メモリ構造40をマスクとするイオン注入法によってn型不純物をウェル領域21の表面部に導入することによって、メモリ構造40の一方側においてウェル領域21の表面部に形成される。ドレイン領域23は、メモリ構造40をマスクとするイオン注入法によってn型不純物をウェル領域21の表面部に導入することによって、メモリ構造40の他方側においてウェル領域21の表面部に形成される。つまり、ドレイン領域23およびソース領域22は、それぞれ、メモリ構造40に対して自己整合的に形成される。
【0077】
次に、
図7Pを参照して、被覆絶縁膜51が、デバイス領域6および絶縁埋設物12上に形成される。被覆絶縁膜51は、この形態では、酸化シリコンからなる。被覆絶縁膜51は、CVD法によって形成されてもよい。
次に、
図7Qを参照して、所定パターンを有するレジストマスク89が、被覆絶縁膜51の上に形成される。レジストマスク89は、被覆絶縁膜51の不要な部分を露出させ、それ以外の領域を被覆している。次に、レジストマスク89を介するエッチング法によって、被覆絶縁膜51の不要な部分が除去される。
【0078】
具体的には、
図7Rに示すように、被覆絶縁膜51において、プレーナゲート構造30およびメモリ構造40を被覆する部分と、メモリ構造40の側方においてデバイス領域6を被覆する部分とが残存する。被覆絶縁膜51において、デバイス領域6の外側においてゲート電極32を被覆する部分は除去されて、貫通孔52Aが形成される。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)および/またはウエットエッチング法であってもよい。その後、レジストマスク89は、除去される。
【0079】
次に、
図7Sを参照して、ゲートシリサイド膜60、ソースシリサイド膜61およびドレインシリサイド膜62が形成される。この工程では、まず、デバイス領域6において第1ウエハ主面76およびゲート電極32を被覆する金属膜88が形成される。金属膜88は、Ti、Ni、Co、MoおよびWのうちの少なくとも1つを含む。金属膜88は、スパッタ法または蒸着法によって形成されてもよい。
【0080】
次に、ゲート電極32および第1ウエハ主面76において金属膜88と接する部分が、シリサイド化される。シリサイド化は、アニール法(たとえばRTA(rapid thermal anneal)法)によって行われてもよい。これにより、TiSi、TiSi
2、NiSi、CoSi、CoSi
2、MoSi
2およびWSi
2のうちの少なくとも1つをそれぞれ含むゲートシリサイド膜60、ドレインシリサイド膜62およびソースシリサイド膜61が形成される。金属膜88は、その後、除去される。
【0081】
次に、
図7Tを参照して、層間絶縁膜65が、第1ウエハ主面76の上に形成される。層間絶縁膜65は、酸化膜および窒化膜のうちの少なくとも1つを含む。層間絶縁膜65は、CVD法によって形成されてもよい。層間絶縁膜65は、第1ウエハ主面76の上においてトレンチ絶縁構造10およびプレーナゲート構造30を被覆している。
次に、
図7Uを参照して、所定パターンを有するレジストマスク93が、層間絶縁膜65の上に形成される。レジストマスク93は、層間絶縁膜65において複数のコンタクトホール69を形成すべき領域を露出させ、そられ以外の領域を被覆している。次に、レジストマスク93を介するエッチング法によって、層間絶縁膜65の不要な部分が除去される。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)および/またはウエットエッチング法であってもよい。これにより、複数のコンタクトホール69が、それぞれ、ゲート電極32、ソース領域22およびドレイン領域23に対応する位置に、層間絶縁膜65に形成される。ゲート電極32に対応するコンタクトホール69は、被覆絶縁膜51を貫通する貫通孔52Aと連通している。レジストマスク93は、その後、除去される。
【0082】
次に、
図7Vを参照して、ゲートコンタクト電極66、ドレインコンタクト電極68およびソースコンタクト電極67のベースとなるベースコンタクト電極膜90が、複数のコンタクトホール69を埋めて層間絶縁膜65の上に形成される。ベースコンタクト電極膜90は、スパッタ法または蒸着法により、それぞれ形成されてもよい。
次に、
図7Wを参照して、ベースコンタクト電極膜90の不要な部分が、エッチング法によって除去される。ベースコンタクト電極膜90は、層間絶縁膜65が露出するまで除去される。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)および/またはウエットエッチング法であってもよい。これにより、ゲートコンタクト電極66、ドレインコンタクト電極68およびソースコンタクト電極67が形成される。
【0083】
次に、
図7Xを参照して、ゲート配線70、ドレイン配線72およびソース配線71のベースとなるベース配線膜91が、層間絶縁膜65の上に形成される。ベース配線膜91は、スパッタ法または蒸着法により、形成されてもよい。
次に、
図7Yを参照して、所定パターンを有するレジストマスク92が、ベース配線膜91の上に形成される。レジストマスク92は、層間絶縁膜65においてゲート配線70、ドレイン配線72およびソース配線71を形成すべき領域を被覆し、そられ以外の領域を露出させている。
【0084】
次に、レジストマスク92を介するエッチング法によって、ベース配線膜91の不要な部分が除去される。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)および/またはウエットエッチング法であってもよい。これにより、ゲート配線70、ソース配線71およびドレイン配線72が、層間絶縁膜65の上に形成される。レジストマスク92は、その後、除去される。その後、半導体ウエハ75が切断され、複数の半導体装置1が切り出される。以上を含む工程を経て、半導体装置1が製造される。
【0085】
この製造方法によれば、メモリ構造40が、レジストマスクを用いることなく自己整合的に形成される。そのため、レジストマスクを用いてメモリ構造を形成する方法と比較して、メモリ構造40の形成の効率化を図れる。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、さらに他の形態で実施することができる。
【0086】
たとえば、上述の実施形態では、p型のウェル領域21、n型のソース領域22およびn型のドレイン領域23を含むn型(第1極性型)のMOSFETが形成されている。しかしながら、上述の実施形態とは異なり、n型のウェル領域21、p型のソース領域22およびp型のドレイン領域23を含むp型(第2極性型)のMOSFETが形成されてもよい。
【0087】
その他、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。