【解決手段】半導体装置A1の実装構造は、電子走行層が形成された半導体素子6を有する半導体装置A1と、半導体装置A1に接続する導電体(第1配線921)とを備える。半導体素子6は、z方向において互いに反対側を向く素子主面6aおよび素子裏面6bと、素子主面6aに配置された第1電極61とを備える。半導体装置A1は、素子裏面6bに接合された第1リード1と、第1リード1から離間して配置され、第1電極61に電気的に接続された第2リード2とを備える。導電体(第1配線921)は、第1リード1および第2リード2が接合されている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
【0011】
〔第1実施形態〕
図1〜
図7に基づき、本開示の第1実施形態にかかる半導体装置A1について説明する。半導体装置A1は、複数のリード1〜5、半導体素子6、ボンディングワイヤ71〜74、および封止樹脂8を備えている。
【0012】
図1は、半導体装置A1を示す斜視図である。
図2は、半導体装置A1を示す平面図である。
図2においては、理解の便宜上、封止樹脂8を透過して、封止樹脂8の外形を想像線(二点鎖線)で示している。
図3は、半導体装置A1を示す正面図である。
図4は、半導体装置A1を示す底面図である。
図5は、半導体装置A1を示す右側面図である。
図6は、半導体素子を示す平面図である。
図7は、半導体素子を示す模式的な断面図である。
【0013】
これらの図に示す半導体装置A1は、様々な機器の回路基板に表面実装される装置である。半導体装置A1の厚さ方向視の形状は矩形状である。説明の便宜上、半導体装置A1の厚さ方向をz方向とし、z方向に直交する半導体装置A1の一方の辺に沿う方向(
図2における左右方向)をx方向、z方向およびx方向に直交する方向(
図2における上下方向)をy方向とする。半導体装置A1の大きさは特に限定されず、本実施形態においては、たとえばx方向寸法が1〜10mm程度、y方向寸法が1〜10mm程度、z方向寸法が0.3〜3mm程度である。
【0014】
リード1〜5は、金属からなり、好ましくはCuおよびNiのいずれか、またはこれらの合金や42アロイなどからなる。本実施形態においては、リード1〜5が、Cuからなる場合を例に説明する。リード1〜5の厚さは、たとえば0.08〜1mmであり、本実施形態においては0.5mm程度である。リード1〜5は、たとえば、金属板にエッチング加工を施すことで形成されている。なお、リード1〜5は、金属板に打ち抜き加工や折り曲げ加工等を施すことにより形成されてもよい。以降の説明においては、リード1〜5を個別に説明する場合は、第1リード1、第2リード2、第3リード3、第4リード4、および第5リード5と記載する。なお、まとめて示す場合は、リード1〜5と記載する。
【0015】
図2に示すように、第1リード1は、半導体装置A1のy方向の中央より一方側(
図2においては下側)寄りに配置され、x方向の全体に広がっている。第2リード2と第3リード3とは、y方向において、第1リード1を挟んで互いに反対側に、それぞれ第1リード1から離間して配置されている。第2リード2は、y方向の一方側の端部であり、かつ、x方向の一方側(
図2においては左側)の端部に配置されている。第3リード3は、y方向の他方側(
図2においては上側)の端部に配置され、x方向の全体に広がっている。第4リード4と第5リード5とは、y方向において、第1リード1に対して第2リード2と同じ側(
図2においては下側)に、それぞれ第1リード1から離間して配置されている。また、第2リード2、第5リード5および第4リード4は、互いに離間して、この順でx方向に並んで配置されている。第1リード1は、z方向視寸法が、他のリード2〜5に比べて大きい。リード2〜5のx方向の寸法は、第3リード3が最大であり、第2リード2、第4リード4、第5リード5の順に小さくなっている。また、第3リード3の第1リード1からの離間距離は、第2リード2、第5リード5および第4リード4の第1リード1からの離間距離より大きい。
【0016】
第1リード1は、半導体素子6を支持しており、搭載部110および連結部120を備えている。
【0017】
搭載部110は、z方向視において第1リード1の中央に位置し、z方向視略矩形状である。搭載部110は、搭載部主面111、搭載部裏面112および搭載部裏面側凹部113を有する。搭載部主面111および搭載部裏面112は、z方向において互いに反対側を向いている。搭載部主面111は、
図3および
図5の上方を向く面である。搭載部主面111は、半導体素子6が搭載される面である。搭載部裏面112は、
図3および
図5の下方を向く面である。搭載部裏面112は、封止樹脂8から露出して、裏面端子になる。搭載部裏面側凹部113は、搭載部110の一部が搭載部裏面112からz方向に凹んだ部分である。搭載部110のうち搭載部裏面側凹部113が位置する部分の厚さ(z方向の寸法)は、搭載部裏面112が位置する部分の厚さの半分程度である。搭載部裏面側凹部113は、たとえばハーフエッチング処理により形成される。
【0018】
連結部120は、搭載部110に繋がっており、z方向視矩形状である。連結部120は、搭載部110のx方向の一方端面に2個配置されている。また、連結部120は、搭載部110のx方向の他方端面にも2個配置されている。つまり、連結部120は、合計4個配置されている。各連結部120は、連結部主面121、連結部裏面122、および連結部端面123を有する。連結部主面121および連結部裏面122は、z方向において互いに反対側を向いている。連結部主面121は、
図3および
図5の上方を向く面である。連結部主面121と搭載部主面111とは、面一になっている。連結部裏面122は、
図3および
図5の下方を向く面である。連結部120の厚さ(z方向の寸法)は、搭載部110のうち搭載部裏面側凹部113が位置する部分の厚さと同程度である。連結部120は、たとえばハーフエッチング処理により形成される。連結部端面123は、連結部主面121および連結部裏面122を繋ぐ面であり、x方向外側を向いている。連結部端面123は、封止樹脂8から露出している(
図1および
図5参照)。
【0019】
第2リード2は、z方向視において、半導体装置A1の角部(
図2においては左下の角部)に配置され、半導体素子6と導通している。第2リード2は、ワイヤボンディング部210、端子部220および連結部230を備えている。
【0020】
ワイヤボンディング部210は、z方向視において、x方向に長い矩形状である。ワイヤボンディング部210は、ワイヤボンディング部主面211、ワイヤボンディング部裏面212およびワイヤボンディング部裏面側凹部213を有する。ワイヤボンディング部主面211およびワイヤボンディング部裏面212は、z方向において互いに反対側を向いている。ワイヤボンディング部主面211は、
図3および
図5の上方を向く面である。ワイヤボンディング部主面211は、ボンディングワイヤ71がボンディングされる面である。ワイヤボンディング部裏面212は、
図3および
図5の下方を向く面である。ワイヤボンディング部裏面212は、封止樹脂8から露出して、裏面端子になる。ワイヤボンディング部裏面側凹部213は、ワイヤボンディング部210の一部がワイヤボンディング部裏面212からz方向に凹んだ部分である。ワイヤボンディング部210のうちワイヤボンディング部裏面側凹部213が位置する部分の厚さ(z方向の寸法)は、ワイヤボンディング部裏面212が位置する部分の厚さの半分程度である。ワイヤボンディング部裏面側凹部213は、たとえばハーフエッチング処理により形成される。
【0021】
端子部220は、ワイヤボンディング部210に繋がっており、z方向視矩形状である。端子部220は、ワイヤボンディング部210のy方向の一方端面(半導体装置A1の外側を向く端面)にx方向に2個並んで配置されている。端子部220は、端子部主面221、端子部裏面222、および端子部端面223を有する。端子部主面221および端子部裏面222は、z方向において互いに反対側を向いている。端子部主面221は、
図3および
図5の上方を向く面である。端子部主面221とワイヤボンディング部主面211とは、面一になっている。端子部裏面222は、
図3および
図5の下方を向く面である。端子部裏面222とワイヤボンディング部裏面212とは、面一になっている。端子部端面223は、端子部主面221および端子部裏面222を繋ぐ面であり、y方向外側を向いている。ワイヤボンディング部裏面212、端子部裏面222および端子部端面223は、封止樹脂8から露出して繋がっており、端子になる。
【0022】
連結部230は、ワイヤボンディング部210のx方向外側(
図2において左側)に繋がって配置されている。連結部230の厚さ(z方向の寸法)は、ワイヤボンディング部裏面側凹部213が位置するワイヤボンディング部210の厚さと同程度である。連結部230は、たとえばハーフエッチング処理により形成される。連結部230は、連結部主面231、連結部裏面232、および連結部端面233を有する。連結部主面231および連結部裏面232は、z方向において互いに反対側を向いている。連結部主面231は、
図3および
図5の上方を向く面である。連結部主面231とワイヤボンディング部主面211とは、面一になっている。したがって、ワイヤボンディング部主面211、端子部主面221および連結部主面231は、面一の一体となった面になっている(
図2参照)。連結部裏面232は、
図3および
図5の下方を向く面である。連結部端面233は、連結部主面231および連結部裏面232を繋ぐ面のうち、x方向を向く面であり、封止樹脂8から露出する面である。
【0023】
第3リード3は、z方向視において、半導体装置A1のy方向の他方側(
図2においては上側)の端部に配置され、x方向の全体に広がっており、半導体素子6と導通している。第3リード3は、ワイヤボンディング部310、端子部320、および連結部330を備えている。
【0024】
ワイヤボンディング部310は、z方向視において、x方向に長い矩形状である。ワイヤボンディング部310は、ワイヤボンディング部主面311、ワイヤボンディング部裏面312、およびワイヤボンディング部裏面側凹部313を有する。ワイヤボンディング部主面311およびワイヤボンディング部裏面312は、z方向において互いに反対側を向いている。ワイヤボンディング部主面311は、
図3および
図5の上方を向く面である。ワイヤボンディング部主面311は、ボンディングワイヤ72がボンディングされる面である。ワイヤボンディング部裏面312は、
図3および
図5の下方を向く面である。ワイヤボンディング部裏面312は、封止樹脂8から露出して、裏面端子になる。ワイヤボンディング部裏面側凹部313は、ワイヤボンディング部310の一部がワイヤボンディング部裏面312からz方向に凹んだ部分である。ワイヤボンディング部310のうちワイヤボンディング部裏面側凹部313が位置する部分の厚さ(z方向の寸法)は、ワイヤボンディング部裏面312が位置する部分の厚さの半分程度である。ワイヤボンディング部裏面側凹部313は、たとえばハーフエッチング処理により形成される。
【0025】
端子部320は、ワイヤボンディング部310に繋がっており、z方向視矩形状である。端子部320は、ワイヤボンディング部310のy方向の一方端面(半導体装置A1の外側を向く端面)にx方向に4個並んで配置されている。端子部320は、端子部主面321、端子部裏面322、および端子部端面323を有する。端子部主面321および端子部裏面322は、z方向において互いに反対側を向いている。端子部主面321は、
図3および
図5の上方を向く面である。端子部主面321とワイヤボンディング部主面311とは、面一になっている。端子部裏面322は、
図3および
図5の下方を向く面である。端子部裏面322とワイヤボンディング部裏面312とは、面一になっている。端子部端面323は、端子部主面321および端子部裏面322を繋ぐ面であり、y方向外側を向いている。ワイヤボンディング部裏面312、端子部裏面322および端子部端面323は、封止樹脂8から露出して繋がっており、端子になる。
【0026】
連結部330は、2個備えられており、ワイヤボンディング部310のx方向両端部にそれぞれ繋がって配置されている。連結部330の厚さ(z方向の寸法)は、ワイヤボンディング部裏面側凹部313が位置するワイヤボンディング部310の厚さと同程度である。連結部330は、たとえばハーフエッチング処理により形成される。連結部330は、連結部主面331、連結部裏面332、および連結部端面333を有する。連結部主面331および連結部裏面332は、z方向において互いに反対側を向いている。連結部主面331は、
図3および
図5の上方を向く面である。連結部主面331とワイヤボンディング部主面311とは、面一になっている。したがって、ワイヤボンディング部主面311、端子部主面321および連結部主面331は、面一の一体となった面になっている(
図2参照)。連結部裏面332は、
図3および
図5の下方を向く面である。連結部端面333は、連結部主面331および連結部裏面332を繋ぐ面のうち、x方向を向く面であり、封止樹脂8から露出する面である。
【0027】
第4リード4は、z方向視において、半導体装置A1の角部(
図2においては右下の角部)に配置され、半導体素子6と導通している。第4リード4は、ワイヤボンディング部410、端子部420および連結部430を備えている。
【0028】
ワイヤボンディング部410は、z方向視において、x方向に長い矩形状である。ワイヤボンディング部410は、ワイヤボンディング部主面411、ワイヤボンディング部裏面412およびワイヤボンディング部裏面側凹部413を有する。ワイヤボンディング部主面411およびワイヤボンディング部裏面412は、z方向において互いに反対側を向いている。ワイヤボンディング部主面411は、
図3および
図5の上方を向く面である。ワイヤボンディング部主面411は、ボンディングワイヤ73がボンディングされる面である。ワイヤボンディング部裏面412は、
図3および
図5の下方を向く面である。ワイヤボンディング部裏面412は、封止樹脂8から露出して、裏面端子になる。ワイヤボンディング部裏面側凹部413は、ワイヤボンディング部410の一部がワイヤボンディング部裏面412からz方向に凹んだ部分である。ワイヤボンディング部410のうちワイヤボンディング部裏面側凹部413が位置する部分の厚さ(z方向の寸法)は、ワイヤボンディング部裏面412が位置する部分の厚さの半分程度である。ワイヤボンディング部裏面側凹部413は、たとえばハーフエッチング処理により形成される。
【0029】
端子部420は、ワイヤボンディング部410に繋がっており、z方向視矩形状である。端子部420は、ワイヤボンディング部410のy方向の一方端面(半導体装置A1の外側を向く端面)に配置されている。端子部420は、端子部主面421、端子部裏面422、および端子部端面423を有する。端子部主面421および端子部裏面422は、z方向において互いに反対側を向いている。端子部主面421は、
図3および
図5の上方を向く面である。端子部主面421とワイヤボンディング部主面411とは、面一になっている。端子部裏面422は、
図3および
図5の下方を向く面である。端子部裏面422とワイヤボンディング部裏面412とは、面一になっている。端子部端面423は、端子部主面421および端子部裏面422を繋ぐ面であり、y方向外側を向いている。ワイヤボンディング部裏面412、端子部裏面422および端子部端面423は、封止樹脂8から露出して繋がっており、端子になる。
【0030】
連結部430は、ワイヤボンディング部410のx方向外側(
図2において右側)に繋がって配置されている。連結部430の厚さ(z方向の寸法)は、ワイヤボンディング部裏面側凹部413が位置するワイヤボンディング部410の厚さと同程度である。連結部430は、たとえばハーフエッチング処理により形成される。連結部430は、連結部主面431、連結部裏面432、および連結部端面433を有する。連結部主面431および連結部裏面432は、z方向において互いに反対側を向いている。連結部主面431は、
図3および
図5の上方を向く面である。連結部主面431とワイヤボンディング部主面411とは、面一になっている。したがって、ワイヤボンディング部主面411、端子部主面421および連結部主面431は、面一の一体となった面になっている(
図2参照)。連結部裏面432は、
図3および
図5の下方を向く面である。連結部端面433は、連結部主面431および連結部裏面432を繋ぐ面のうち、x方向を向く面であり、封止樹脂8から露出する面である。
【0031】
第5リード5は、z方向視において、半導体装置A1のy方向の一方側(
図2においては下側)の端部の、第2リード2と第4リード4との間に配置され、半導体素子6と導通している。第5リード5は、ワイヤボンディング部510および端子部520を備えている。
【0032】
ワイヤボンディング部510は、z方向視において、x方向に長い矩形状である。ワイヤボンディング部510は、ワイヤボンディング部主面511、ワイヤボンディング部裏面512およびワイヤボンディング部裏面側凹部513を有する。ワイヤボンディング部主面511およびワイヤボンディング部裏面512は、z方向において互いに反対側を向いている。ワイヤボンディング部主面511は、
図3および
図5の上方を向く面である。ワイヤボンディング部主面511は、ボンディングワイヤ74がボンディングされる面である。ワイヤボンディング部裏面512は、
図3および
図5の下方を向く面である。ワイヤボンディング部裏面512は、封止樹脂8から露出して、裏面端子になる。ワイヤボンディング部裏面側凹部513は、ワイヤボンディング部510の一部がワイヤボンディング部裏面512からz方向に凹んだ部分である。ワイヤボンディング部510のうちワイヤボンディング部裏面側凹部513が位置する部分の厚さ(z方向の寸法)は、ワイヤボンディング部裏面512が位置する部分の厚さの半分程度である。ワイヤボンディング部裏面側凹部513は、たとえばハーフエッチング処理により形成される。
【0033】
端子部520は、ワイヤボンディング部510に繋がっており、z方向視矩形状である。端子部520は、ワイヤボンディング部510のy方向の一方端面(半導体装置A1の外側を向く端面)に配置されている。端子部520は、端子部主面521、端子部裏面522、および端子部端面523を有する。端子部主面521および端子部裏面522は、z方向において互いに反対側を向いている。端子部主面521は、
図3および
図5の上方を向く面である。端子部主面521とワイヤボンディング部主面511とは、面一になっている。端子部裏面522は、
図3および
図5の下方を向く面である。端子部裏面522とワイヤボンディング部裏面512とは、面一になっている。端子部端面523は、端子部主面521および端子部裏面522を繋ぐ面であり、y方向外側を向いている。ワイヤボンディング部裏面512、端子部裏面522および端子部端面523は、封止樹脂8から露出して繋がっており、端子になる。
【0034】
半導体素子6は、半導体装置A1の電気的機能を発揮する要素である。半導体素子6は、窒化物半導体を用いた半導体素子であり、本実施形態では、窒化ガリウム(GaN)を用いたHEMT(High Electron Mobility Transistor:高電子移動度トランジスタ)である。半導体素子6は、素子本体60、第1電極61、第2電極62、第3電極63、および第4電極64を備えている。
【0035】
素子本体60は、素子主面6aおよび素子裏面6bを備えている。
図3、
図5および
図7に示すように、素子主面6aおよび素子裏面6bは、z方向において互いに反対側を向いている。素子主面6aは、
図3、
図5および
図7の上方を向く面である。素子裏面6bは、
図3、
図5および
図7の下方を向く面である。また、素子本体60は、
図7に示すように、素子基板601、バッファ層602、第1窒化物半導体層603、第2窒化物半導体層604、第3窒化物半導体層605、および保護膜606を備えている。
【0036】
素子基板601は、たとえば低抵抗のSi基板である。素子基板601の厚さ(z方向の寸法)は、400〜600μm程度である。バッファ層602は、素子基板601上に形成された窒化物半導体膜の多層バッファ層によって構成されている。本実施形態では、バッファ層602は、素子基板601に接するAlN膜からなる第1バッファ層と、当該第1バッファ層に積層されたAlGaN膜からなる第2バッファ層とによって構成されている。第1窒化物半導体層603は、バッファ層602上にエピタキシャル成長により積層されたGaN層からなり、電子走行層を構成している。第2窒化物半導体層604は、第1窒化物半導体層603上にエピタキシャル成長により積層されたAlGaN層からなり、電子供給層を構成している。バッファ層602、第1窒化物半導体層603および第2窒化物半導体層604を合わせた厚さ(z方向の寸法)は、2μm程度であり、素子基板601の厚さに比べて薄い。第1窒化物半導体層603の第2窒化物半導体層604との界面に近い位置に発生する二次元電子ガス(2DEG)が通電経路に用いられる。
【0037】
第3窒化物半導体層605は、第2窒化物半導体層604上にエピタキシャル成長により積層されたp型GaN層からなる。第3電極63は、第3窒化物半導体層605上に形成されており、ゲート電極として機能する。保護膜606は、たとえばSiN膜からなり、第2窒化物半導体層604、第3窒化物半導体層605および第3電極63を覆う。第3電極63の一部は、保護膜606から露出している(
図2および
図6参照)。第1電極61および第2電極62は、保護膜606上に形成され、それぞれの一部が保護膜606を貫通して第2窒化物半導体層604に接している。第1電極61および第2電極62は、互いに離間して配置されている(
図2および
図6参照)。また、第1電極61は、第3窒化物半導体層605および第3電極63を覆うように形成されている。第1電極61は、ソース電極として機能する。第2電極62は、ドレイン電極として機能する。第1電極61、第2電極62および第3電極63は、例えば
図2および
図6に示すように、素子主面6aに配置されている。なお、第1電極61、第2電極62および第3電極63の配置のレイアウトは限定されない。
【0038】
半導体素子6は、ゲート電極である第3電極63に印加される電圧信号に応じて、ドレイン電極である第2電極62からソース電極である第1電極61に流れる主電流を、流れる状態と流れない状態とで切り替える。つまり、半導体素子6は、主電流のスイッチングを行う。
【0039】
第4電極64は、素子基板601の裏面(バッファ層602が形成される面とは反対側を向く面)に形成されており、素子裏面6bに配置されている。なお、第4電極64は、形成されなくてもよい。また、半導体素子6の構成は、上述したものに限定されない。
【0040】
図2に示すように、半導体素子6は、搭載部主面111のx方向中央で、かつ、y方向中央に搭載されている。
図5に示すように、半導体素子6は、素子裏面6bを搭載部主面111に向けて、図示しない導電性接合材を介して、第1リード1の搭載部主面111に搭載されている。これにより、半導体素子6の第4電極64は、導電性接合材によって、第1リード1に電気的に接続されている。
【0041】
複数のボンディングワイヤ71は、半導体素子6の第1電極61と、第2リード2のワイヤボンディング部主面211とに接続されている。これにより、第2リード2は、半導体素子6の第1電極61(ソース電極)に電気的に接続されて、ソース端子として機能する。ソース端子には、スイッチングの対象である主電流が流れる。複数のボンディングワイヤ72は、半導体素子6の第2電極62と、第3リード3のワイヤボンディング部主面311とに接続されている。これにより、第3リード3は、半導体素子6の第2電極62(ドレイン電極)に電気的に接続されて、ドレイン端子として機能する。ボンディングワイヤ73は、半導体素子6の第3電極63と、第4リード4のワイヤボンディング部主面411とに接続されている。これにより、第4リード4は、半導体素子6の第3電極63(ゲート電極)に電気的に接続されて、ゲート端子として機能する。複数のボンディングワイヤ74は、半導体素子6の第1電極61と、第5リード5のワイヤボンディング部主面511とに接続されている。これにより、第5リード5は、半導体素子6の第1電極61(ソース電極)に電気的に接続されて、ソースセンス端子として機能する。ソースセンス端子は、第1電極61(ソース電極)の電位を検出するための端子であり、スイッチングの対象である主電流は流れない。したがって、ボンディングワイヤ74の本数は、スイッチングの対象である主電流が流れるボンディングワイヤ71の本数より少ない。なお、各ボンディングワイヤ71〜74の本数および材料は限定されない。また、ボンディングワイヤ71〜74に代えて、たとえばCuなどの金属板が用いられてもよい。
【0042】
封止樹脂8は、各リード1〜5の一部ずつと、半導体素子6と、ボンディングワイヤ71〜74とを覆っている。封止樹脂8は、たとえば黒色のエポキシ樹脂からなる。
【0043】
封止樹脂8は、樹脂主面81、樹脂裏面82および樹脂側面83を有する。樹脂主面81と樹脂裏面82とは、z方向において互いに反対側を向いている。樹脂主面81は、
図3および
図5の上方を向く面であり、樹脂裏面82は、
図3および
図5の下方を向く面である。樹脂側面83は、樹脂主面81および樹脂裏面82を繋ぐ面であり、x方向またはy方向を向いている。
【0044】
本実施形態においては、第1リード1の連結部端面123と、第2リード2の端子部端面223および連結部端面233と、第3リード3の端子部端面323および連結部端面333と、第4リード4の端子部端面423および連結部端面433と、第5リード5の端子部端面523とが、封止樹脂8の樹脂側面83と互いに面一である。また、第1リード1の搭載部裏面112と、第2リード2のワイヤボンディング部裏面212および端子部裏面222と、第3リード3のワイヤボンディング部裏面312および端子部裏面322と、第4リード4のワイヤボンディング部裏面412および端子部裏面422と、第5リード5のワイヤボンディング部裏面512および端子部裏面522とが、封止樹脂8の樹脂裏面82と互いに面一である。
【0045】
次に、半導体装置A1の製造方法の一例について、
図8および
図9を参照して以下に説明する。なお、これらの図は、平面図であり、x方向およびy方向は、
図2と同じ方向を示している。
【0046】
まず、
図8に示すようにリードフレーム10を用意する。リードフレーム10は、各リード1〜5となる板状の材料である。リードフレーム10の主面1010は、第1リード1の搭載部主面111および連結部主面121と、第2リード2のワイヤボンディング部主面211、端子部主面221および連結部主面231と、第3リード3のワイヤボンディング部主面311、端子部主面321および連結部主面331と、第4リード4のワイヤボンディング部主面411、端子部主面421および連結部主面431と、第5リード5のワイヤボンディング部主面511および端子部主面521になる面である。リードフレーム10の主面1010は、面一になっている。図中の比較的密であるハッチングが施された領域は、厚さ(z方向の寸法)が厚い領域である。一方、図中の比較的粗であるハッチングが施された領域は、厚さ(z方向の寸法)が薄い領域である。当該領域は、たとえばハーフエッチング処理により形成される。本実施形態においては、リードフレーム10の母材は、Cuからなる。
【0047】
次いで、
図9に示すように、リードフレーム10の搭載部110に半導体素子6を導電性接合材によってボンディングする。そして、ボンディングワイヤ71〜74を半導体素子6の各電極とリードフレーム10とにボンディングする。次いで、樹脂材料を硬化させることにより、リードフレーム10の一部、半導体素子6、およびボンディングワイヤ71〜74を覆う封止樹脂8(図示略)を形成する。本実施形態においては、封止樹脂8は、
図9に示された全領域に形成される。次いで、リードフレーム10および封止樹脂8を、切断線1020に沿って切断する。これにより、半導体装置A1となる個片が形成される。
【0048】
以上の工程を経ることにより、上述した半導体装置A1が得られる。
【0049】
次に、半導体装置A1が配線基板B1に実装された実装構造について、
図10〜
図15を参照して以下に説明する。
図10は、半導体装置A1が配線基板B1に実装された実装構造を示す部分平面図である。
図11は、
図10のXI−XI線に沿う断面図である。
図12は、
図10のXII−XII線に沿う断面図である。
図13は、
図10のXIII−XIII線に沿う断面図である。
図14は、
図10のXIV−XIV線に沿う断面図である。
図15は、配線基板B1を示す部分平面図であり、半導体装置A1を搭載する前の配線基板B1を示している。
図15においては、理解の便宜上、半導体装置A1を想像線(二点鎖線)で示している。なお、
図10〜
図15におけるx方向、y方向、およびz方向は、
図1〜
図9の場合と同じ方向を示している。また、
図10〜
図15においては、配線基板B1のうち、半導体装置A1が搭載される部分とその周辺だけを示している。配線基板B1には他の電子部品も搭載されているが、図示および説明を省略する。
【0050】
配線基板B1は、基材91、複数の配線92、保護膜93、および複数のパッド94を備えている。基材91は、たとえばガラスエポキシ樹脂やセラミックなどからなる矩形状の板材である。なお、基材91の材料および形状は限定されない。複数の配線92は、たとえばCuからなり、基材91上に形成されている。複数の配線92は、たとえばフォトリソグラフィ法によって形成される。なお、配線92の材料および形成方法は限定されない。配線92は、第1配線921、第2配線922、第3配線923、および第4配線924を含んでいる。なお、配線92は、他の配線も含んでいるが、図示および説明を省略する。
【0051】
保護膜93は、配線基板B1の配線92が形成された面を覆っている。保護膜93は、たとえばソルダーレジストである。保護膜93には所定の位置に開口が設けられており、当該開口から配線92の一部が露出している。保護膜93は、たとえばフォトリソグラフィ法によって形成される。なお、保護膜93の材料および形成方法は限定されない。複数のパッド94は、保護膜93の開口から露出した配線92に接して形成されており、たとえばはんだからなる。なお、パッド94の材料および形成方法は限定されない。各パッド94は、はんだなどの導電接合部材99によって、半導体装置A1のリード1〜5のいずれかが接合される。パッド94は、パッド941〜945を含んでいる。
【0052】
図15に示すように、第1配線921は、x方向に延びる直行部921aと、直行部921aの先端部からx方向に突出した第1突出部921bと、直行部921aのy方向の一方端側(
図15においては右端側)に突出した2個の第2突出部921cとを備えている。直行部921aの先端部および第1突出部921bの全体にまたがって、パッド941が形成されている。また、2個の第2突出部921cには、それぞれ、パッド942が形成されている。第2配線922は、第1配線921のy方向他方側(
図15においては左側)に配置され、x方向に延びている。第2配線922は、先端部から等間隔でx方向に並ぶ4個のパッド943が形成されている。第3配線923は、第2配線922のy方向他方側に配置されx方向に延びる直行部923aと、直行部923aにつながり、第1配線921および第2配線922の先端側を迂回して、y方向において第1配線921に対して直行部923aとは反対側まで回り込む迂回部923bとを備えている。第2配線922は、y方向において、第1配線921と第3配線923の直行部923aとの間に配置されている。第3配線923の迂回部923bの先端部には、パッド944が形成されている。第4配線924は、第1配線921のy方向一方側(
図15においては右側)に配置されx方向に延びる直行部924aと、直行部924aにつながり、y方向に延びる延伸部924bとを備えている。第4配線924の直行部924aは、y方向において、第1配線921に対して、第2配線922とは反対側に配置されている。第4配線924の延伸部924bの先端部には、パッド945が形成されている。なお、各配線92の形状は限定されない。
【0053】
パッド941は、z方向視においてx方向に長い長矩形状であり、半導体装置A1の第1リード1の搭載部裏面112と同程度の大きさである。2個のパッド942、4個のパッド943、パッド944、およびパッド945は、z方向視において矩形状であり、互いに同じ大きさである。2個のパッド942、パッド945、およびパッド944は、パッド941のy方向一方側にパッド941から同じ距離だけ離間して、この順でx方向の一方から他方に向かって等間隔で並んでいる。4個のパッド943は、パッド941のy方向他方側にパッド941から同じ距離だけ離間して、x方向に等間隔で並んでいる。4個のパッド943のパッド941からの離間距離は、2個のパッド942、パッド945、およびパッド944のパッド941からの離間距離より大きい。なお、各パッド941〜945の形状、大きさ、および配置は限定されず、半導体装置A1の各リード1〜5の樹脂裏面82からの露出面に応じて決定される。
【0054】
図11〜
図14に示すように、半導体装置A1は、樹脂裏面82を配線基板B1に向けて、配線基板B1に実装されている。 第1リード1は、
図11〜
図13に示すように、搭載部裏面112が導電接合部材99によってパッド941に接合されて、第1配線921に電気的に接続されている。第2リード2は、
図11および
図14に示すように、ワイヤボンディング部裏面212および端子部裏面222が導電接合部材99によってパッド942に接合されて、第1配線921に電気的に接続されている。第3リード3は、
図11〜
図13に示すように、ワイヤボンディング部裏面312および端子部裏面322が導電接合部材99によってパッド943に接合されて、第2配線922に電気的に接続されている。第4リード4は、
図13および
図14に示すように、ワイヤボンディング部裏面412および端子部裏面422が導電接合部材99によってパッド944に接合されて、第3配線923に電気的に接続されている。第5リード5は、
図12および
図14に示すように、ワイヤボンディング部裏面512および端子部裏面522が導電接合部材99によってパッド945に接合されて、第4配線924に電気的に接続されている。
【0055】
次に、半導体装置A1が配線基板B1に実装された実装構造の作用効果について説明する。
【0056】
本実施形態によると、第1リード1は、第1配線921を介して、第2リード2に電気的に接続している。また、第1リード1は半導体素子6の第4電極64に電気的に接続し、第2リード2は半導体素子6の第1電極61に電気的に接続している。したがって、第4電極64は第1電極61に導通している。これにより、トラップされた電子が第4電極64を介して放出されるので、電流コラプスの発生が抑制される。したがって、半導体素子6または半導体装置A1において、電流コラプスの対策がなされていない場合でも、電流コラプスを抑制可能である。
【0057】
また、本実施形態によると、第3配線923は、直行部923aとパッド944とにつながる迂回部923bを備えている。これにより、第3配線923は、第1リード1に対してy方向一方側に配置された第4リード4を、パッド941に対してy方向他方側に配置された直行部923aに導通させることできる。また、第4配線924は、直行部924aとパッド945とにつながる延伸部924bを備えている。これにより、第4配線924は、x方向において第2リード2と第4リード4との間に配置された第5リード5を、直行部924aに導通させることできる。
【0058】
また、本実施形態によると、第3リード3の第1リード1からの離間距離は、第2リード2、第5リード5および第4リード4の第1リード1からの離間距離より大きい。したがって、より高い電圧が印加される第1リード1と第3リード3との間の絶縁耐力を大きくできる。
【0059】
また、本実施形態によると、第1リード1の搭載部裏面112は、封止樹脂8の樹脂裏面82から露出している。これにより、第1リード1は、半導体装置A1を配線基板B1に実装する際の裏面端子として機能し、かつ、半導体素子6が発する熱を放出するための放熱板としても機能する。
【0060】
また、本実施形態によると、半導体装置A1は、第2リード2とは別に、第1電極61に接続された第5リード5を備えている。これにより、半導体装置A1は、スイッチングの対象である主電流が流れるソース端子(第2リード2)とは別に、主電流が流れず、ソース電極(第1電極61)の電位を検出するためのソースセンス端子(第5リード5)を備えることができる。また、第2リード2に接続されるボンディングワイヤ71の本数は、第5リード5に接続されるボンディングワイヤ74の数より多いので、第2リード2に流れる電流に対する抵抗値を抑制できる。また、第2リード2の端子部220は第5リード5の端子部520より多く、x方向の寸法は、第2リード2が第5リード5より大きい。したがって、第2リード2に流れる電流に対する抵抗値を抑制できる。
【0061】
なお、本実施形態では、第1リード1の連結部端面123、第2リード2の端子部端面223、連結部端面233、第3リード3の端子部端面323、連結部端面333、第4リード4の端子部端面423、連結部端面433、および第5リード5の端子部端面523が、封止樹脂8の樹脂側面83と互いに面一である場合について説明したが、これに限られない。これらの各端面は、樹脂側面83から突出していてもよいし、樹脂側面83から凹んでいてもよい。また、これらの各端面は、平坦であってもよいし、湾曲していてもよいし、凹凸が形成されていてもよい。また、これらの各端面の形状も限定されない。
【0062】
〔第2実施形態〕
図16〜
図18に基づき、本開示の第2実施形態にかかる、半導体装置A2が配線基板B2に実装された実装構造について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A1および配線基板B1と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0063】
図16は、半導体装置A2を示す平面図であり、
図2に対応する図である。
図16においては、理解の便宜上、封止樹脂8を透過して、封止樹脂8の外形を想像線(二点鎖線)で示している。
図17は、半導体装置A2が配線基板B2に実装された実装構造を示す部分平面図であり、
図10に対応する図である。
図18は、配線基板B2を示す部分平面図であって、半導体装置A2を搭載する前の配線基板B2を示しており、
図15に対応する図である。
図18においては、理解の便宜上、半導体装置A2を想像線(二点鎖線)で示している。
【0064】
本実施形態にかかる半導体装置A2は、第4リード4および第5リード5の配置位置が半導体装置A1とは異なる。また、本実施形態にかかる配線基板B2は、各配線92の形状および配置が配線基板B1とは異なる。
【0065】
本実施形態にかかる半導体装置A2は、
図16に示すように、第2リード2がx方向の全体に広がっている。第2リード2は、端子部220がx方向に4個並んで配置されている。また、第4リード4は、x方向の一方側の端部(
図16において左側の端部)の、第3リード3と第1リード1の連結部120との間に配置されている。第5リード5は、x方向の一方側の端部の、第1リード1の2個の連結部120の間に配置されている。つまり、第4リード4および第5リード5は、y方向において、第2リード2と第3リード3との間に配置されている。
【0066】
本実施形態にかかる配線基板B2は、
図18に示すように、第1配線921、第3配線923、および第4配線924の形状および配置が、配線基板B1と異なる。第1配線921は、x方向に延びる直行部921aと、直行部921aの先端部からy方向の他方端側(
図18においては左端側)に突出した突出部921dとを備えている。突出部921dの先端側には、パッド941が形成されている。また、直行部921aの先端部から等間隔でx方向に並ぶ4個のパッド942が形成されている。第3配線923は、y方向において第1配線921と第2配線922との間に配置され、x方向に延びている。第3配線923は、先端部にパッド944が形成されている。パッド944は、第4リード4の位置に合わせて配置されている。第4配線924は、y方向において第1配線921と第3配線923との間に配置され、x方向に延びている。第4配線924は、先端部にパッド945が形成されている。パッド945は、第5リード5の位置に合わせて配置されている。
【0067】
本実施形態においても、第1リード1は、第1配線921を介して、第2リード2に電気的に接続している。また、第1リード1は半導体素子6の第4電極64に電気的に接続し、第2リード2は半導体素子6の第1電極61に電気的に接続している。したがって、第4電極64は第1電極61に導通している。これにより、トラップされた電子が第4電極64を介して放出されるので、電流コラプスの発生が抑制される。したがって、半導体素子6または半導体装置A2において、電流コラプスの対策がなされていない場合でも、電流コラプスを抑制可能である。
【0068】
また、本実施形態によると、第3配線923および第4配線924は、第1配線921と第2配線922との間に配置されてx方向に延びている。これにより、配線基板B2は、配線基板B1と比較して、第3配線923および第4配線924を短くでき、また、基材91上で配線921〜924を形成するための領域の面積を小さくできる。
【0069】
〔第3実施形態〕
図19および
図20に基づき、本開示の第3実施形態にかかる、半導体装置A3が配線基板B3に実装された実装構造について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A1および配線基板B1と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0070】
図19は、半導体装置A3が配線基板B3に実装された実装構造を示す部分平面図であり、
図10に対応する図である。
図20は、配線基板B3を示す部分平面図であって、半導体装置A3を搭載する前の配線基板B3を示しており、
図15に対応する図である。
図20においては、理解の便宜上、半導体装置A3を想像線(二点鎖線)で示している。
【0071】
本実施形態にかかる半導体装置A3は、第5リード5の配置位置が半導体装置A1とは異なる。また、本実施形態にかかる配線基板B3は、各配線92の形状および配置が配線基板B1とは異なる。
【0072】
本実施形態にかかる半導体装置A3は、
図19に破線で示すように、第2リード2がx方向において第4リード4の手前まで延びている。第2リード2は、端子部220がx方向に3個並んで配置されている。また、第5リード5は、x方向の一方側の端部(
図19において下側の端部)の、第1リード1の2個の連結部120の間に配置されている。つまり、第5リード5は、y方向において、第2リード2と第3リード3との間に配置されている。
【0073】
本実施形態にかかる配線基板B3は、
図20に示すように、第1配線921および第4配線924の形状および配置が、配線基板B1と異なる。第1配線921は、x方向に延びる直行部921aと、直行部921aの先端部からy方向の他方端側(
図20においては左端側)に突出した突出部921dとを備えている。突出部921dの先端側には、パッド941が形成されている。また、直行部921aの先端部から等間隔でx方向に並ぶ3個のパッド942が形成されている。第4配線924は、y方向において第1配線921と第2配線922との間に配置され、x方向に延びている。第4配線924は、先端部にパッド945が形成されている。パッド945は、第5リード5の位置に合わせて配置されている。
【0074】
本実施形態においても、第1リード1は、第1配線921を介して、第2リード2に電気的に接続している。また、第1リード1は半導体素子6の第4電極64に電気的に接続し、第2リード2は半導体素子6の第1電極61に電気的に接続している。したがって、第4電極64は第1電極61に導通している。これにより、トラップされた電子が第4電極64を介して放出されるので、電流コラプスの発生が抑制される。したがって、半導体素子6または半導体装置A3において、電流コラプスの対策がなされていない場合でも、電流コラプスを抑制可能である。
【0075】
また、本実施形態によると、第3配線923は、直行部923aとパッド944とにつながる迂回部923bを備えている。これにより、第3配線923は、第1リード1に対してy方向一方側に配置された第4リード4を、パッド941に対してy方向他方側に配置された直行部923aに導通させることできる。また、第4配線924は、第1配線921と第2配線922との間に配置されてx方向に延びている。これにより、配線基板B3は、配線基板B1と比較して、第4配線924を短くでき、また、基材91上で配線921〜924を形成するための領域の面積を小さくできる。
【0076】
〔第4実施形態〕
図21および
図22に基づき、本開示の第4実施形態にかかる、半導体装置A4が配線基板B4に実装された実装構造について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A1および配線基板B1と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0077】
図21は、半導体装置A4が配線基板B4に実装された実装構造を示す部分平面図であり、
図10に対応する図である。
図22は、配線基板B4を示す部分平面図であって、半導体装置A4を搭載する前の配線基板B4を示しており、
図15に対応する図である。
図22においては、理解の便宜上、半導体装置A4を想像線(二点鎖線)で示している。
【0078】
本実施形態にかかる半導体装置A4は、第4リード4の配置位置が半導体装置A1とは異なる。また、本実施形態にかかる配線基板B4は、各配線92の形状および配置が配線基板B1とは異なる。
【0079】
本実施形態にかかる半導体装置A4は、
図21に破線で示すように、第5リード5が、半導体装置A4の角部(
図21においては右上の角部)に配置され、第2リード2がx方向において第5リード5の手前まで延びている。第2リード2は、端子部220がx方向に3個並んで配置されている。また、第4リード4は、x方向の一方側の端部(
図21において下側の端部)の、第3リード3と第1リード1の連結部120との間に配置されている。つまり、第4リード4は、y方向において、第2リード2と第3リード3との間に配置されている。
【0080】
本実施形態にかかる配線基板B4は、
図22に示すように、第1配線921および第3配線923の形状および配置が、配線基板B1と異なる。第1配線921は、x方向に延びる直行部921aと、直行部921aの先端部からy方向の他方端側(
図22においては左端側)に突出した突出部921dとを備えている。突出部921dの先端側には、パッド941が形成されている。また、直行部921aの先端部から等間隔でx方向に並ぶ3個のパッド942が形成されている。第3配線923は、y方向において第1配線921と第2配線922との間に配置され、x方向に延びている。第3配線923は、先端部にパッド944が形成されている。パッド944は、第4リード4の位置に合わせて配置されている。
【0081】
本実施形態においても、第1リード1は、第1配線921を介して、第2リード2に電気的に接続している。また、第1リード1は半導体素子6の第4電極64に電気的に接続し、第2リード2は半導体素子6の第1電極61に電気的に接続している。したがって、第4電極64は第1電極61に導通している。これにより、トラップされた電子が第4電極64を介して放出されるので、電流コラプスの発生が抑制される。したがって、半導体素子6または半導体装置A3において、電流コラプスの対策がなされていない場合でも、電流コラプスを抑制可能である。
【0082】
また、本実施形態によると、第4配線924は、直行部924aとパッド945とにつながる延伸部924bを備えている。これにより、第4配線924は、第2リード2のx方向他方側に配置された第5リード5を、直行部924aに導通させることできる。また、第3配線923は、第1配線921と第2配線922との間に配置されてx方向に延びている。これにより、配線基板B4は、配線基板B1と比較して、第3配線923を短くでき、また、基材91上で配線921〜924を形成するための領域の面積を小さくできる。
【0083】
〔第5実施形態〕
図23および
図24に基づき、本開示の第5実施形態にかかる、半導体装置A1の実装構造について説明する。上記第1〜4実施形態では、半導体装置A1(A2,A3,A4)が配線基板B1(B2,B3,B4)に実装された実装構造について説明した。しかし、本開示にかかる半導体装置の実装構造は、配線基板に実装される際の実装構造に限定されない。本実施形態では、半導体装置A1が複数のリードに接続された半導体モジュールC1における実装構造について説明する。半導体モジュールC1は、たとえばIPM(Intelligent Power Module)であり、半導体装置A1、制御装置を含む複数の電子部品、複数のリード95、および封止樹脂を備えている。
【0084】
図23は、半導体装置A1が実装された半導体モジュールC1を示す部分平面図であり、
図10に対応する図である。
図23においては、理解の便宜上、封止樹脂8を透過している。
図24は、半導体モジュールC1を示す部分平面図であり、さらに半導体装置A1を透過した図である。
図24においては、理解の便宜上、半導体装置A1を想像線(二点鎖線)で示している。なお、
図23および
図24においては、半導体装置A1が搭載される部分とその周辺だけを示している。半導体モジュールC1には他の電子部品も含まれているが、図示および説明を省略する。
【0085】
本実施形態にかかる半導体モジュールC1における半導体装置A1の実装構造は、半導体装置A1が複数のリード95に実装されている点で、第1実施形態にかかる半導体装置A1の実装構造とは異なる。
【0086】
図24に示すように、複数のリード95は、リード951、リード952、リード953、およびリード954を含んでいる。リード951、リード952、リード953、およびリード954は、半導体装置A1を支持し、半導体装置A1に接続している。リード951は、x方向に延び、角(
図24においては右上の角)に切り欠き部分がある。リード952は、リード951のy方向他方側(
図24においては左側)に配置され、x方向に延びている。リード953およびリード954は、リード951の切り欠き部分からy方向に延びている。リード954は、リード951とリード953とに挟まれている。
【0087】
半導体装置A1は、樹脂裏面82を複数のリード95に向けて実装されている。第1リード1は、搭載部裏面112が導電接合部材99によってリード951に接合されて、リード951に電気的に接続されている。第2リード2は、ワイヤボンディング部裏面212および端子部裏面222が導電接合部材99によってリード951に接合されて、リード951に電気的に接続されている。本実施形態においては、リード951が本開示の「導電体」に相当する。第3リード3は、ワイヤボンディング部裏面312および端子部裏面322が導電接合部材99によってリード952に接合されて、リード952に電気的に接続されている。第4リード4は、ワイヤボンディング部裏面412および端子部裏面422が導電接合部材99によってリード953に接合されて、リード953に電気的に接続されている。第5リード5は、ワイヤボンディング部裏面512および端子部裏面522が導電接合部材99によってリード954に接合されて、リード954に電気的に接続されている。
【0088】
本実施形態によると、第1リード1は、リード951を介して、第2リード2に電気的に接続している。また、第1リード1は半導体素子6の第4電極64に電気的に接続し、第2リード2は半導体素子6の第1電極61に電気的に接続している。したがって、第4電極64は第1電極61に導通している。これにより、トラップされた電子が第4電極64を介して放出されるので、電流コラプスの発生が抑制される。したがって、半導体素子6または半導体装置A3において、電流コラプスの対策がなされていない場合でも、電流コラプスを抑制可能である。
【0089】
本開示にかかる半導体装置の実装構造は、先述した実施形態に限定されるものではない。本開示にかかる半導体装置の実装構造の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0090】
〔付記1〕
電子走行層が形成された半導体素子を有する半導体装置と、
前記半導体装置に接続する導電体と、
を備え、
前記半導体素子は、厚さ方向において互いに反対側を向く素子主面および素子裏面と、前記素子主面に配置された第1電極と、を備え、
前記半導体装置は、前記素子裏面に接合された第1リードと、前記第1リードから離間して配置され、前記第1電極に電気的に接続された第2リードと、を備え、
前記導電体は、前記第1リードおよび前記第2リードが接合されている、
半導体装置の実装構造。
〔付記2〕
前記電子走行層は、窒化物半導体からなる、
付記1に記載の半導体装置の実装構造。
〔付記3〕
前記窒化物半導体は、GaNである、
付記2に記載の半導体装置の実装構造。
〔付記4〕
前記半導体素子は、
前記電子走行層に対して前記素子裏面側に配置された素子基板と、
前記電子走行層に対して前記素子主面側に配置され、かつ、窒化物半導体からなる電子供給層と、
をさらに備える、
付記1ないし3のいずれかに記載の半導体装置の実装構造。
〔付記5〕
前記半導体装置は、前記半導体素子を覆う封止樹脂をさらに備え、
前記第1リードの、前記厚さ方向において前記素子裏面と同じ方向を向く面は、前記封止樹脂から露出している、
付記1ないし4のいずれかに記載の半導体装置の実装構造。
〔付記6〕
前記半導体装置は、前記第1電極と前記第2リードとに接合されるボンディングワイヤをさらに備えている、
付記1ないし5のいずれかに記載の半導体装置の実装構造。
〔付記7〕
基材と前記基材に形成された複数の配線とを有し、前記半導体装置が実装される配線基板をさらに備え、
前記導電体は、前記複数の配線に含まれる第1配線である、
付記1ないし6のいずれかに記載の半導体装置の実装構造。
〔付記8〕
前記半導体素子は、前記素子主面に配置された第2電極および第3電極をさらに備え、
前記半導体装置は、
前記第2電極に電気的に接続された第3リードと、
前記第3電極に電気的に接続された第4リードと、
をさらに備える、
付記7に記載の半導体装置の実装構造。
〔付記9〕
前記第2リードおよび前記第3リードは、前記厚さ方向視において、前記第1リードを挟んで互いに反対側に配置される、
付記8に記載の半導体装置の実装構造。
〔付記10〕
前記厚さ方向視において、前記第1リードと前記第3リードとの離間距離は、前記第1リードと前記第2リードとの離間距離より大きい、
付記9に記載の半導体装置の実装構造。
〔付記11〕
前記第1電極はソース電極であり、
前記第2電極はドレイン電極であり、
前記第3電極はゲート電極である、
付記8ないし10のいずれかに記載の半導体装置の実装構造。
〔付記12〕
前記複数の配線は、
前記第3リードが接合されている第2配線と、
前記第4リードが接合されている第3配線と、
をさらに含む、
付記8ないし11のいずれかに記載の半導体装置の実装構造。
〔付記13〕
前記第4リードは、前記厚さ方向視において、前記第1リードに対して、第3リードとは反対側に配置され、
前記第2配線は、前記厚さ方向視において、前記第1配線と前記第3配線との間に配置されている、
付記12に記載の半導体装置の実装構造。
〔付記14〕
前記第4リードは、前記厚さ方向視において、前記第2リードと第3リードとの間に配置され、
前記第3配線は、前記厚さ方向視において、前記第1配線と前記第2配線との間に配置されている、
付記12に記載の半導体装置の実装構造。
〔付記15〕
前記第1電極に電気的に接続され、前記第1電極の電位を出力する第5リードをさらに備え、
前記複数の配線は、前記第5リードが接合されている第4配線をさらに含む、
付記12ないし14のいずれかに記載の半導体装置の実装構造。
〔付記16〕
前記第5リードは、前記厚さ方向視において、前記第1リードに対して、第3リードとは反対側に配置され、
前記第4配線は、前記厚さ方向視において、前記第1配線に対して、前記第2配線とは反対側に配置されている、
付記15に記載の半導体装置の実装構造。
〔付記17〕
前記第5リードは、前記厚さ方向視において、前記第2リードと第3リードとの間に配置され、
前記第4配線は、前記厚さ方向視において、前記第1配線と前記第2配線との間に配置されている、
付記15に記載の半導体装置の実装構造。