特開2021-19104(P2021-19104A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-19104(P2021-19104A)
(43)【公開日】2021年2月15日
(54)【発明の名称】リアクトル装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 37/00 20060101AFI20210118BHJP
   H01F 27/24 20060101ALI20210118BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20210118BHJP
【FI】
   H01F37/00 A
   H01F37/00 M
   H01F37/00 C
   H01F27/24 K
   H01F27/28 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-134175(P2019-134175)
(22)【出願日】2019年7月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000107804
【氏名又は名称】スミダコーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097984
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098073
【弁理士】
【氏名又は名称】津久井 照保
(72)【発明者】
【氏名】武内 彬
【テーマコード(参考)】
5E043
【Fターム(参考)】
5E043AA02
5E043AB04
5E043BA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】磁気結合型のリアクトル装置において、所望の漏れインダクタンス値を確保した上で、磁気集中を抑制することにより、磁気損失および磁気飽和発生の低減を図り得る、リアクトル装置を提供する。
【解決手段】リアクトル本体100において、左右両側に配された外脚コア101A2、101B2、101C2、101D2と、これら外脚コアの両端部を各々接続する1対のベースコア101A1、101B1、101C1、101D1と、外脚コアの間に架設するように配された2つの中脚コア101B3等からなるコア部および中脚コアに巻回装着されてなるコイル部103A、103Bを備える。中脚コアは、コイル部103A、103Bにより生成された相互インダクタンス用磁路を構成するとともに、外脚コアは、コイル部103A、103Bにより生成された漏れインダクタンス用磁路を構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気結合型のリアクトル装置であって、
互いに平行に配された複数本の中脚コアと、これら一連の中脚コアの、コア配列方向両側に配された外脚コアと、該中脚コアおよび該外脚コアの一端部同士と他端部同士を各々接続する1対のベースコアと、からなる磁気コア部、
および前記複数本の中脚コアのうち、所定の偶数本に巻回装着されてなるコイル部、を備え、
前記中脚コアの各々は、前記コイル部により生成された相互インダクタンス用の主経路を構成するとともに、前記外脚コアの各々は、中間に磁気ギャップを配して、前記コイル部により生成された漏れインダクタンス用の主経路を構成する、ことを特徴とするリアクトル装置。
【請求項2】
前記中脚コアが2本であり、この2本の該中脚コアに各々前記コイル部が巻回装着されてなることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル装置。
【請求項3】
前記外脚コアの、前記磁気ギャップを挟んで対向する2つの中間端部が、該磁気ギャップに向かうにしたがって先細りとなる楔形状をなすことを特徴とする請求項1または2に記載のリアクトル装置。
【請求項4】
前記2本の中脚コアに各々巻回装着された前記コイル部は、互いに逆回りの磁束の流れを形成するように、巻回方向が設定されていることを特徴する請求項2または3に記載のリアクトル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電気自動車やハイブリッド車に搭載されるリアクトル装置に関し、詳しくは、磁気コアの一部に複数のコイル部を挿通し、これらのコイル部が磁気結合するように構成してなるリアクトル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リアクトル装置には、電圧を昇圧あるいは降圧する機能を有するものがあり、また、このようなリアクトル装置としては、小型化および高効率化のために、複数のリアクトルを互いに磁気結合させ、各々を分割駆動させることにより、低リプル電流化を図る構成を有するものが知られている。
【0003】
特に、車載用磁気結合型リアクトルにおいては、所望の漏れインダクタンス値を確保する必要があり、そのために1対のE型コアの各脚部の先端部を互いに突き合せることにより概略日字状のコア部とするとともに、両外脚に各々コイル部を巻回することにより磁気結合型リアクトルを構成し、1対のE型コアの中脚間にギャップを設けて漏れ磁束の磁路を構成したものが知られている(下記特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−66720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載されたように、磁気結合型リアクトルにおいて、1対のE型コアの各脚部を組み合せた概略日字状のコア部の両外脚の各々にコイル部を巻回し、中脚間にギャップを設けて漏れ磁束の磁路を構成した構造の場合には、これら中脚付近で、相互インダクタンス用の磁路と漏れインダクタンス用の磁路が互いに重なり合って、磁気集中を起こし易く、磁気損失が増大するとともに、磁気飽和をおこしやすくなる、という問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、磁気結合型のリアクトル装置において、所望の漏れインダクタンス値を確保した上で、磁気集中を抑制することにより、磁気損失および磁気飽和発生の低減を図り得る、リアクトル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のリアクトル装置は、
磁気結合型のリアクトル装置であって、
互いに平行に配された複数本の中脚コアと、これら一連の中脚コアの、コア配列方向両側に配された外脚コアと、該中脚コアおよび該外脚コアの一端部同士と他端部同士を各々接続する1対のベースコアと、からなる磁気コア部、
および前記複数本の中脚コアのうち、所定の偶数本に巻回装着されてなるコイル部、を備え、
前記中脚コアの各々は、前記コイル部により生成された相互インダクタンス用の主経路を構成するとともに、前記外脚コアの各々は、中間に磁気ギャップを配して、前記コイル部により生成された漏れインダクタンス用の主経路を構成する、ことを特徴とするものである。
【0008】
また、前記中脚コアが2本であり、この2本の中脚コア各々に前記コイル部が巻回装着されてなることが好ましい。
また、前記外脚コアの、前記磁気ギャップを挟んで対向する2つの中間端部が、該磁気ギャップに向かうにしたがって先細りとなる楔形状をなすことが好ましい。
【0009】
さらに、前記2本の中脚コアに各々巻回装着された前記コイル部は、互いに逆回りの磁束の流れを形成するように、巻回方向が設定されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のリアクトル装置においては、所望の漏れインダクタンスを確保するために、漏れインダクタンス用の磁束が通過する経路として、一連の中脚コアの両側に外脚コアを各々設けているので、漏れインダクタンス用の磁路を、中脚コアを通過する相互インダクタンス用の磁路とは分離して形成することができる。
これにより、磁気集中する領域が分散されて、磁気損失および磁気飽和の低減を図ることができ、また装置の小型化を促進することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態1に係るリアクトル装置において、両中脚コアにコイル部を巻回装着した状態を示す斜視図である。
図2図1に示すリアクトル装置のコア部を示す斜視図である。
図3図1に示すリアクトル装置において、磁束の流れを示す概略図である。
図4図1に示すリアクトル装置の損失分布(A)と従来技術に係るリアクトル装置の損失分布(B)を示す模式図である。
図5】本発明の実施形態2に係るリアクトル装置において、両中脚コアにコイル部を巻回した状態を示す斜視図である。
図6図5に示すリアクトル装置の外脚コアの形状を示す斜視図である。
図7図5に示すリアクトル装置のコア部を構成するコアピースを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1に係る磁気結合型のリアクトル装置について、図1およびその他の図を適宜用いて説明する。なお、本実施形態のリアクトル装置は、上部が開口した金属(例えばアルミニウム)製等の熱伝導性の良い材料からなるケース(不図示)と、その内部に収納された、コア部およびコイル部等からなるリアクトル本体100と、ケースおよびリアクトル本体100の間に注入された絶縁性を有する充填材(不図示)とを備えてなる。ただし、以下の説明においては、主に発明の本質に係るリアクトル本体100について説明する(実施形態2についても同様)。
また、本実施形態においては、特に、ベースコア(ヨーク部:以下、単にベースコアと称する)に対して直角に突き出すように配された中脚コアを2本、外脚コアを2本備えた場合について説明する(実施形態2についても同様)。
【0013】
〈リアクトル本体の主要構成〉
<コア部>
本発明の実施形態に係るリアクトル装置は磁気結合型の構成とされ、その主要部であるリアクトル本体100は、図1および図2に示すように、2本の中脚コア101A3、C3と2本の外脚コア101A2、C2をベースコア101A1、C1により接続してなるコア部半体と、2本の中脚コア101B3、D3と2本の外脚コア101B2、D2をベースコア101B1、D1により接続してなるコア部半体とを、互いの脚部を突き合せるように配置してなるコア部200を備えている。また、各中脚コア101A3、B3、C3、D3に巻回されるように装着されたコイル部103A、Bを備えている。
【0014】
本実施形態においては、1対の、上述したコア部半体を組み合わせているが、このコア部半体は、各々同一形状をなす2部品により構成されている。すなわち、一方の半体は、中脚コア101A3と外脚コア101A2をベースコア101A1により接続してなるコアピース101Aと、中脚コア101C3と外脚コア101C2をベースコア101C1により接続してなるコアピース101Cから構成されている。これに対し、他方の半体は、中脚コア101B3と外脚コア101B2をベースコア101B1により接続してなるコアピース101Bと、中脚コア101D3と外脚コア101D2をベースコア101D1により接続してなるコアピース101Dから構成されている。
このように、本実施形態においては、結局、同一形状をなす4つのコアピース101A、B、CおよびDを組み合せることにより構成しているため、製造時の労力およびコストを大幅に低減することができる。
【0015】
また、コア部を構成するコア部材は、鉄材によって形成されている。鉄系を用いることにより、高い磁気密度を実現し、かつ本構造により低下しやすい結合度を高く設定することができる。鉄系材料としては、電磁鋼板、圧粉磁心(純鉄、Fe-Si-AL系合金、Ni-Fe-Mo系合金、Ni-Fe系合金)、アモルファス等を用いることができる。
もちろん鉄材に替えて、フェライト(Mn-Zn、Ni-Zn等)、アモルファス等の磁性材料を用いることもできる。
また、上記中脚コア101A3、B3、C3、D3の互いに対向する先端部同士は直接突き合わせても良いが、両先端部間に微小な厚みのスペーサーを介在させてもよいし、エアギャップを設けてもよい。
【0016】
<コイル部>
また、上記コイル部103A、Bは平角線をエッジワイズ巻きによって巻回することにより形成されている。平角線は、図1等に示すように帯状の扁平な導線であって、例えば、厚みが0.5〜6.0mm、幅が1.0〜16.0mm等とされたものが一般的に用いられる。平角線を用いることで占積率が向上し、コンパクト化を図ることができるとともに表皮効果についても優位とすることができる。ただし、丸線や角線等の他の断面形状のものを用いることも可能である。
【0017】
コイル部103Aおよびコイル部103Bは、各々から発生する直流磁束が互いに打ち消されるように巻回されている(この点については後述する)。これらのコイル部103A、Bは予め筒状に巻回されていて、上述したコア部半体を組み合わせる際に、中脚コア101A3、B3、C3、D3に嵌挿することにより、コア部200と組み合わされることになる。
なお、これら2つのコイル部103A、Bにより2相のリアクトル装置が構成されるので、1相のリアクトル装置を2つ設けるよりも装置のコンパクト化を図ることができる。
【0018】
また、2つの中脚コア101A3、B3、C3、D3の各々にコイル部103A、Bを設けることにより、2つのコイル部103A、Bの物理的な距離を極めて小さくすることができ、また装置全体として対称形状とすることができ、磁気結合の効率を大幅に向上させることができる。すなわち、前述した従来技術のように2つのコイル配設部間に漏れインダクタンス用の磁路である中脚コアが物理的に介在する場合と比べて、2つのコイル部103A、Bの距離を大幅に小さくすることができ、磁気結合の効率化を図ることができる。
【0019】
<その他>
なお、本実施形態において、コア部200は、それぞれ樹脂成型体(コイル部103A、Bのボビンや、コア部200のカバーを含む)内に埋め込まれた状態で収容されており、この状態で、金型中に樹脂からなる充填材が充填されることにより、樹脂成型体と一体形成される。コア部200とコイル部103A、Bは、この樹脂成型体105A、Bが、間に介在することにより絶縁される。樹脂成型体材料としては、例えば、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等、あるいは上記樹脂成型体材料にガラス及び熱伝導性フィラーを添加したもの等を用いることができる。
また、充填材としては、ケースの内部の隙間を充填して熱分布の均一化を図り得る特性が良好なものであることが望ましく、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂等、あるいは上記充填材に熱伝導性フィラーを添加したもの等からなる液状やゲル状のものを固化することで用いることができる。
【0020】
また、このケース内には、コア部200とコイル部103A、Bを組み合わせたリアクトル本体が収納されており、樹脂成型体(ボビン)が、これらコア部200とコイル部103A、Bの間に介在して絶縁をとることができるとともに、上方からリアクトル本体100を拘束してこのリアクトル本体100をケース108内に固定できるようになっている。なお、この樹脂成型体(ボビン)はボルト等によってケースに固定される。
【0021】
<作用>
ところで、前述したように、本実施形態においては、中脚コア101A3、B3、C3、D3の各々にコイル部103A、Bを設け、各コイル部103A、Bに流す電流は同一方向とする一方、コイル巻回方向は互いに逆とすることにより、各コイル部103A、Bを貫き、ベースコア101A1、B1、C1、D1に流れる磁束が互いに相殺されるようにしている。
【0022】
すなわち、コイル部103Aにおいては、電流は入力端103A2から出力端103A1に向かって流れるように、一方、コイル部103Bにおいては、電流は入力端103B2から出力端103B1に向かって流れるように設定し、各コイル部103A、Bの巻回方向は互いに逆とされている。これにより各コイル部103A、Bからベースコア101A1、B1、C1、D1に流れる磁束が互いに相殺されるようにすることができる。この時、コイル部103A、Bを流れる電流値、およびコイル部103A、Bの巻回数は互いに同じとなるように設定する。
なお、各コイル部103A、Bを貫き、ベースコア101A1、B1、C1、D1に流れる磁束方向を互いに逆向きとすることができればよいので、上述した各コイル部103A、Bに関する設定に替えて、各コイル部103A、Bに流す電流を逆方向とする一方、コイル巻回方向は互いに同一とするように設定してもよい。
【0023】
また、磁気結合型のリアクトルにおいては、ある程度の大きさの漏れインダクタンスを確保することが望ましいが、各コイル部103A、Bの外側に形成された外脚コア101A2、B2、C2、D2は、各コイル部103A、Bにおいて発生した磁束を通過させる経路の一部となり、漏れインダクタンスを確保することが可能となる。
【0024】
図3は、本実施形態のリアクトル装置における磁束経路の概略を、コア部200の形状に重ね合わせて示すものである。図3に示すように、本実施形態によれば、相互インダクタンス用の磁路が中脚コア101A3、C3、B3、D3により構成されるとともに、漏れインダクタンス用の磁路が外脚コア101A2、C2、B2、D2により構成され、外脚コア101A2と外脚コア101B2、および外脚コア101C2と外脚コア101D2の各々の間に設けられたギャップの大きさを調整することにより漏れインダクタンスを調整することができる。
【0025】
これにより、コイル部103A、Bの、相互インダクタンス用の磁路と漏れインダクタンス用の磁路を分離することが可能となり、磁気集中を軽減することができ、磁気損失および磁気飽和を大幅に低減することができる。
【0026】
また、前述した従来技術においては、コイル部間に中脚コアを形成し、この中脚コアにおいて2つのコイル部からの磁束が重畳されるようにしており、駆動周波数の2倍の周波数の磁束が流れるように構成されている。これに対し、本実施形態のものでは、2つのコイル部103A、B間に中脚コアは設けられておらず、駆動周波数の2倍の周波数の磁束が流れる経路を有していないので、上記従来技術に比べて磁気損失を低減することができる。
【0027】
また、本実施形態のリアクトル装置においては、各コイル部103A、Bが中脚コア101A3、B3、C3、D3に巻回装着されており、周囲を、ベースコア101A1、C1、D1、B1および外脚コア101A2、C2、D2、B2に囲まれているため、外部への磁気漏れを軽減することができる。
【0028】
さらに、本実施形態のリアクトル装置においては、外形が、ベースコア101A1、C1、D1、B1および外脚コア101A2、C2、D2、B2によって、矩形とされており、磁気特性を向上させることができる。
【0029】
図4は、磁気損失のレベルを、コア部を領域分けすることにより示すものであり、(A)は実施形態1における損失分布、(B)は従来技術における損失分布を示すものである。各図における領域内に付された符号は、磁気損失のレベルが大きい方から順に、A⇒B⇒C⇒D⇒Eである。
この損失分布は、磁束密度の積算値とほぼ等しい値とされており、図4から、実施形態1と従来技術との磁束密度の比較を行うことも可能である。
図4によれば、本実施形態のコア部200の方が、従来技術のコア部200´よりも、磁束密度が最も集中しているAの領域が大幅に小さくなっており、中央部分の磁気損失および磁束密度が大幅に改善されていることが明らかである。
【0030】
<実施形態2>
図5は本発明の実施形態2に係るリアクトル装置のリアクトル本体300を示す斜視図である。なお、実施形態2に記載の装置の各部材のうち、実施形態1に記載の装置における部材に対応した部材については、図1に記載の装置における部材に付した符号に200を加えた符号を付し、重複する説明は省略する。
【0031】
本実施形態のリアクトル装置は、上部が開口した金属(例えばアルミニウム)製等の熱伝導性の良い材料からなるケース(不図示)と、その内部に収納された、コア部およびコイル部等からなるリアクトル本体300と、ケースおよびリアクトル本体300の間に注入された絶縁性を有する充填材(不図示)とを備えてなる基本的な構造において上記実施形態2に係るリアクトル装置と略同様に構成されている。
ただし、図5および図6に示すように、各外脚コア301A2、B2、C2、D2が、その中央部に設けたエアギャップを挟んで対向する先端部301A4、B4に向かって先細となるような楔形状とされている。
【0032】
各外脚コア301A2、B2、C2、D2のエアギャップ対向部分(先端部301A4、B4)を、このような楔形状とすると、磁気の集中による飽和が断面積の小さい先端に近い部分から根元部分に至るまで、断面積の変化に応じて、直流重畳電流により飽和する値が増大していくように構成されるため、直流重畳電流が大きくなっても、インダクタンス値が変化しにくくなり、その結果、直流重畳特性を延ばすことができる。
【0033】
図7は、本実施形態のコアピース301Cを示すものである。ここで、図5に示すリアクトル本体300のコア部は、4つのコアピース301A、B、C、Dを組み合わせて構成されている。すなわち、中脚コア301A3(不図示)と外脚コア301A2をベースコア301A1により接続してなるコアピース301Aと、中脚コア301C3(図7を参照)と外脚コア301C2をベースコア301C1により接続してなるコアピース301Cと、中脚コア301B3(不図示)と外脚コア301B2をベースコア301B1により接続してなるコアピース301Bと、中脚コア301D3(不図示)と外脚コア301D2をベースコア301D1により接続してなるコアピース301Dから構成されている。
【0034】
このように、本実施形態においては、磁気コア部が、同一形状をなす4つのコアピース301A、B、C、Dを組み合せることにより構成されており、製造時の労力およびコストを大幅に低減することができる。
【0035】
本発明のリアクトル装置としては上記実施形態のものに限られるものではなく、その他の種々の態様の変更が可能である。
例えば、上述した実施形態のリアクトル装置においては、ベースコアから4つの脚部コア(2本の中脚コアと2本の外脚コア)が突出してなるコア部半体を2つ組み合わせてコア部が形成されているが、本発明のリアクトル装置としてはこれに限られるものではなく、ベースコアから任意の偶数本の中脚コアが突出した多脚コア部材を2つ組み合わせて構成することができる。
【0036】
また、上述した実施形態のリアクトル装置においては、4つのコアピースにより磁気コア部を構成しているが、これに替えて、上記実施形態1において説明した、コア部半体を1つのコアピースとし、2つのコアピースにより磁気コア部を構成するようにしてもよい。
さらに、上述した実施形態のリアクトル装置においては、コア部の構成要素であるコアピースが互いに同一形状のものとされているが、コア部を互いに異なる形状のコアピースにより構成することも可能である。また、コア部を構成するコアピースの数も限定されるものではない。
【0037】
また、この多脚コア部材の外観形状は矩形でなくてもよく、楕円等の他の形状とすることも可能である。
上記では、各中脚コアに設けられたコイル部は1つとされているが、1つの中脚コアに、任意の数のコイル部を設けるようにしてもよい。ただし、全体として対称形の形態をなすように構成することが好ましい。
【符号の説明】
【0038】
100、300 リアクトル本体
200、200´ コア部
101A、B、C、D、301A、B、C、D コアピース
101A1、B1、C1、D1、301A1、B1、C1、D1 ベースコア
101A2、B2、C2、D2、301A2、B2、C2、D2 外脚コア
101A3、B3、C3、D3、301A3、B3、C3、D3 中脚コア
103A、B、303A、B コイル部
103A1、B1 出力端
103A2、B2 入力端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7