【解決手段】 車体に設けられたブームの作動を制御する上部制御装置50と、ブームの先端部に設けられた作業台及びサブブームと、サブブームの先端部に設けられ、架設された電線を支持する電線支持部材と、電線支持部材に付与された荷重を検出する荷重検出装置80と、荷重検出装置80により検出された荷重に関する情報を第1の時間間隔で上部制御装置50へ送信する送信器83と、送信器83に電力を供給するバッテリ85と、送信器83による送信を制御する送信制御装置84とを備え、送信制御装置84は、荷重検出装置80により検出された荷重の変化率が所定値以下となる期間が所定時間継続した場合は、荷重に関する情報の送信間隔を前記第1の時間間隔よりも長い第2の時間間隔に制御する。
前記荷重検出装置は、前記電線支持部材により、前記電線を押し上げるときに生じる垂直方向の荷重及び前記電線を水平方向に移動させるときに生じる水平方向の荷重を検出し、
前記荷重の変化率は、前記垂直方向及び水平方向の荷重、又はいずれか一方の荷重の変化率であることを特徴とする請求項1に記載の高所作業車。
前記送信制御装置は、前記荷重に関する情報の送信間隔が前記第2の時間間隔になっているときに、前記荷重検出装置により検出された荷重の変化率が所定値を超えた場合は、前記送信間隔を前記第1の時間間隔に制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の高所作業車。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したような電設工事に使用される高所作業車には、サブブーム装置などが電線に触れてしまった場合でも、作業台に搭乗している作業者等が感電したり、車両に損傷を与えたりしないようにするため、仮支持装置と作動台との間や、作業台と車両との間を電気的に絶縁しているものがある。このような高所作業車では、仮支持装置、作業台及び車体の相互間の電気的絶縁性を保つために、相互間の情報伝達を、導電性を有する信号線を介して行うことができない。
【0005】
このため、仮支持装置で検知された荷重に関する信号や、ブーム等の作動に関する制御信号などは、無線によって、又は電気信号を光信号に変換して光ファイバを介して、伝送する必要がある。また、仮支持装置又は作業台から信号の伝送を行う場合、互いを電気的に絶縁する必要があることから、車両側から信号伝送のための電源を供給することができず、仮支持装置及び作業台に、各々独立した電源としてバッテリを設けることになる。
【0006】
一方、一旦電線の仮支持を行うと、前述した電設工事中はその状態を保持することになる。したがって、長時間を要する電設工事に対応するには、仮支持装置や作業台に搭載するバッテリは大容量であることが望ましい。しかしながら、大容量のバッテリは、一般に外形寸法が大きく、重量が嵩むため、例えば、仮支持装置に大容量のバッテリを搭載した場合は、仮支持装置を電線の近くへ移動させる際に、その作業の視認性を低下させる虞がある。
【0007】
したがって、特に仮支持装置に搭載するバッテリは、小型軽量の小容量のものが望ましいが、小容量のバッテリを搭載した場合であっても、前述したような長時間を要する電設工事に対応させるには、信号伝送などを行うための消費電力を、できるだけ少なくする必要がある。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、仮支持装置から情報を送信す
るための消費電力を抑制することができる高所作業車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る高所作業車は、車体(例えば、実施形態における車体2)に起伏可能に設けられたブーム(例えば、実施形態におけるブーム30)と、前記ブームの作動を制御する制御装置(例えば、実施形態における上部制御装置50)と、前記ブームの先端部に水平面上で回動可能に設けられた作業台(例えば、実施形態における作業台40)と、前記ブームの先端部に旋回可能かつ起伏可能に設けられたサブブーム(例えば、実施形態におけるサブブーム装置70)と、前記サブブームの先端部に設けられ、架設された電線を支持する電線支持部材(例えば、実施形態における仮支持部材100)と、前記電線支持部材に付与された荷重を検出する荷重検出装置(例えば、実施形態における荷重検出装置80)と、前記荷重検出装置により検出された荷重に関する情報を第1の時間間隔で前記制御装置へ送信する送信器(例えば、実施形態における送信器83)と、前記送信器に電力を供給するバッテリ(例えば、実施形態におけるバッテリ85)と、前記送信器による前記荷重に関する情報の送信を制御する送信制御装置(例えば、実施形態における送信制御装置84)と、を備え、前記送信制御装置は、前記荷重検出装置により検出された荷重の変化率(単位時間当たりの荷重の変化量)が所定値以下となる期間が所定時間継続した場合は、前記荷重に関する情報の送信間隔を前記第1の時間間隔よりも長い第2の時間間隔に制御する。
【0010】
なお、上記構成の高所作業車において、前記荷重検出装置は、前記電線支持部材により、前記電線を押し上げるときに生じる垂直方向の荷重及び前記電線を水平方向に移動させるときに生じる水平方向の荷重を検出し、前記荷重の変化率は、前記垂直方向及び水平方向の荷重、又はいずれか一方の荷重の変化率であることが好ましい。
【0011】
また、上記のいずれかの構成の高所作業車において、前記送信制御装置は、前記荷重に関する情報の送信間隔が前記第2の時間間隔になっているときに、前記荷重検出装置により検出された荷重の変化率が所定値を超えた場合は、前記送信間隔を前記第1の時間間隔に制御することが好ましい。
【0012】
なお、上記のいずれかの構成の高所作業車において、前記ブームが作動しているときは、前記送信間隔を前記第1の時間間隔に制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る高所作業車によれば、荷重検出装置によって電線支持部材に付与された荷重を検出し、検出された荷重の変化率が所定値以下となる期間が所定時間継続した場合は、送信制御装置によって、送信器による荷重に関する情報の送信間隔を、第1の時間間隔よりも長い第2の時間間隔に制御する。これにより、電線支持部材に付与される荷重が安定している状態では、送信器によって荷重に関する情報を送信する頻度が減少するため、送信器に電力を供給するバッテリの消費を抑えることができる。
【0014】
また、上記の構成の高所作業車において、好ましくは、荷重検出装置が、電線支持部材によって電線を押し上げるときに生じる垂直方向の荷重と、電線を水平方向に移動させるときに生じる水平方向の荷重とを検出し、送信制御装置は、荷重検出装置によって検出された垂直方向及び水平方向の荷重、又はいずれか一方の荷重の変化率に応じて、送信器の送信間隔を制御する。これにより、電線支持部材に付与される垂直方向若しくは水平方向の荷重、又は垂直方向及び水平方向の荷重の変化率に応じて送信器の送信間隔を制御することができる。
【0015】
また、上記いずれかの構成の高所作業車において、好ましくは、荷重に関する情報の送
信間隔が第2の時間間隔になっているときに、荷重検出装置により検出された荷重の変化率が所定値を超えた場合は、送信制御装置によって、送信器による送信間隔を第1の時間間隔に制御する。これにより、電線支持部材に付与される荷重が安定した後に、再び荷重が変動した場合は、荷重に関する情報の送信頻度を増加させることで、例えば、制御装置において電線支持部材に付与される荷重を軽減するための制御を、荷重の変化に即応させることができる。
【0016】
また、上記いずれかの構成の高所作業車において、好ましくは、ブームが作動しているときは、送信制御装置によって、送信器による送信間隔を第1の時間間隔に制御する。これにより、例えば、ブームを作動させて、電線支持部材に付与される荷重が急峻に変化する場合にも対応することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。まず、本発明に係る高所作業車の全体構成について、
図1に示す高所作業車の側面図を参照して説明する。高所作業車1は、
図1に示すように車体2の前部に運転キャブ7を有し、車体2の前後に配設された左右一対の前輪5f及び後輪5rにより走行可能なトラック車両をベースに構成されている。車体2は、シャシフレームとシャシフレーム上に取り付けられたサブフレームとからなる車体フレームを有して構成されている。
【0019】
車体2には、後述するブーム30等を用いて高所作業を行うときに、車両を持ち上げるための左右一対のフロントジャッキ10f及びリアジャッキ10rが設けられている。詳細には
図1に示すように、フロントジャッキ10fは運転キャブ7及び前輪5fの後側近傍に設けられ、リアジャッキ10rは車体2の後端部に設けられている。フロントジャッキ10f及びリアジャッキ10rは、各々の内部に設けられたジャッキシリンダ11を駆動させることにより下方に伸長して車体2を持ち上げ支持し、車両を安定させた状態とするように構成されている。また、車体2の後端部には、各ジャッキ10f,10rや後述するブーム30等の作動操作を行うための操作レバー等を備える下部操作装置26が設けられている。
【0020】
車体2における運転キャブ7後方の架装領域における後部には、旋回モータ24の駆動により水平旋回可能に構成された旋回台20が設けられている。この旋回台20から上方に延びた支柱21には、フートピン22によりブーム30が上下方向に揺動自在(起伏動自在)に取り付けられている。車体2の架装領域上の左右には、作業工具や作業機材等を収納するための複数の工具箱27が配設されている。
【0021】
ブーム30は、フートピン22により支柱21に起伏動自在に取り付けられた基端ブーム30aと、中間ブーム30bと、先端ブーム30cとが入れ子式に組み合わされて伸縮自在に構成されている。これにより、ブーム30は、内部に設けられた伸縮シリンダ31
を駆動させることでブーム30を長手方向に伸縮作動させることができる。また、ブーム30は、基端ブーム30aと支柱21の間に跨設された起伏シリンダ23の駆動により上下面内で起伏動可能に構成されている。基端ブーム30aと支柱21との間には、さらに下部レベリングシリンダ25が跨設されている。下部レベリングシリンダ25は、次に説明する垂直ポスト32のレベリング制御を行う際に駆動される。
【0022】
次に
図2を参照して、先端ブーム30cの先端部に設けられている各種構成について説明する。
図2(a),
図2(b)に示すように、先端ブーム30cの先端部には、揺動ピン33により垂直ポスト32が上下方向に揺動自在に取り付けられている。垂直ポスト32は、先端ブーム30cの先端部との間に跨設された上部レベリングシリンダ(図示せず)と、前述した下部レベリングシリンダ25とにより、ブーム30の起伏角度に拘わらず常に垂直姿勢が保持されるように揺動制御(レベリング制御)される。
【0023】
垂直ポスト32の上部には、作業台ブラケット38が垂直ポスト32に対して旋回可能(水平旋回可能)に取り付けられ、この作業台ブラケット38の側部に作業台昇降装置36を介して上面が開口した箱状の作業台40が取り付けられている。垂直ポスト32の上部と作業台ブラケット38とは、カバー35によりその周りを覆われている。カバー35の内部には首振りモータ34が設けられており、首振りモータ34を駆動させることにより図示しないウォームギヤ及びホイールギヤ等からなる回転伝達機構を介して作業台ブラケット38及び作業台40を、垂直ポスト32まわりに水平旋回(首振り作動)させることができるように構成されている。
【0024】
前述したように、垂直ポスト32は常に垂直姿勢が保持されるようにレベリング制御されているため、作業台40の床面はブーム30の起伏角度に拘わらず常に水平に保持されるようになっている。作業台昇降装置36は、昇降シリンダ(図示せず)を有して構成されており、この昇降シリンダを駆動することにより作業台ブラケット38に対して作業台40を昇降移動させるように構成されている。作業台40には、旋回台20、ブーム30及び作業台40の作動操作を行う操作レバーや各種の操作スイッチ等を備える上部操作装置45が設けられている。
【0025】
車体2に設けられた高所作業装置(上述のブーム30等)の作動機構は、下部操作装置26や上部操作装置45からの操作信号を受けて、ジャッキシリンダ11、旋回モータ24、伸縮シリンダ31、起伏シリンダ23、首振りモータ34及び作業台昇降装置36の昇降シリンダ等(以下、まとめて「各種アクチュエータ」と称する)を制御する下部制御装置28(
図1参照)と、上述した各種アクチュエータを作動させるために作動油を供給する油圧ユニット(図示略)と、高所作業装置を駆動するための架装部バッテリ29(
図1参照)とから構成される。
【0026】
上述した油圧ユニットは、油圧ポンプと、油圧ポンプを駆動させるポンプ駆動モータと、油圧ポンプから各種アクチュエータに供給する作動油の供給方向及び供給量を制御する制御バルブとを有して構成される。ポンプ駆動モータは、架装部バッテリ29からインバータを介して供給される電力により回転駆動される。制御バルブは、下部制御装置28により作動が制御され、各種アクチュエータに供給する作動油の供給方向及び供給量を制御することで、各種アクチュエータの作動が制御される。
【0027】
図2(a)に示すように、垂直ポスト32の上端部には、サブブーム装置70が設けられている。サブブーム装置70は、垂直ポスト32の上端部に水平旋回可能に設けられた旋回体71と、旋回体71の上部に上下方向へ揺動自在に取り付けられたサブブーム支持部材72と、サブブーム支持部材72の上部に着脱可能に取り付けられる長尺状のサブブーム部材74とを有して構成されている。サブブーム部材74は、例えば高所作業車1の
移動時などにサブブーム支持部材72から取り外されて、
図1に示すように基端ブーム30aの側面に固定される。
【0028】
旋回体71は、垂直ポスト32の上端部に旋回可能に取り付けられた旋回部材71aと、旋回部材71aの周りを覆うカバー71bとを有して構成される。旋回部材71aは、内部に設けられたサブブーム旋回モータ(図示せず)を駆動させることにより作業台40(作業台ブラケット38)の旋回軸Aと同軸上で旋回可能に設けられている。旋回部材71aの上部には、水平方向に延びる揺動ピン72aが設けられており、この揺動ピン72aを中心として上下方向に揺動自在にサブブーム支持部材72が取り付けられている。
【0029】
サブブーム支持部材72は、旋回体71のカバー71bの内部に設けられた揺動シリンダ(図示せず)を駆動させることにより旋回部材71aに対して揺動ピン72aを中心に揺動可能に構成されている。サブブーム支持部材72の上部には、揺動ピン72aと直交する方向に延びるサブブーム装着孔が形成されており、このサブブーム装着孔にサブブーム部材74が挿入されて固定ピン77によりサブブーム支持部材72に固定保持され、サブブーム部材74がサブブーム支持部材72に装着される。なお、サブブーム部材74は、固定ピン77の差し込み位置を変えることにより、サブブーム部材72から
図2(a)における作業台40側へ延びる長さを調節可能になっている。
【0030】
サブブーム支持部材72の上端部には、サブブーム部材74の先端部に設けられたシーブ部材74a(案内滑車)に掛け回されるウインチロープ(図示略)の繰り出し及び巻き取り作動を行うウインチ機構75が設けられている。ウインチ機構75は、内蔵されたウインチモータ(図示せず)を駆動させることによりウインチロープの繰り出し及び巻き取り作動を行うように構成されている。
【0031】
上部操作装置45は、作業台操作レバー、ウインチ操作レバー及びブーム操作レバーを有しており、上部制御装置50は、これら各種操作レバーの操作に応じて上述したモータやシリンダの作動を制御する。作業台操作レバーには、昇降レバー及び首振りレバーがある。昇降レバーは上下方向に操作可能なレバーであり、上部制御装置50は、昇降レバーの操作方向に応じて作業台昇降装置36の昇降シリンダに供給する作動油の供給方向及び供給量を制御して、作業台40を上昇又は下降させる。首振りレバーは左右方向に操作可能なレバーであり、上部制御装置50は、首振りレバーの操作方向に応じて首振りモータ34の回転速度や回転方向を制御し、作業台40を垂直ポスト32まわりに水平旋回させる。
【0032】
ウインチ操作レバーには、旋回レバー、起伏レバー及び巻上げ/巻下げレバーがある。旋回レバーは左右方向に操作可能なレバーであり、上部制御装置50は、旋回レバーの操作方向に応じて旋回部材71aの内部に設けられたサブブーム旋回モータの回転速度や回転方向を制御し、旋回部材71aを旋回軸A(
図4(a)参照)と同軸上で旋回させる。起伏レバーは前後方向に操作可能なレバーであり、上部制御装置50は、起伏レバーの操作方向に応じてカバー71bの内部に設けられた揺動シリンダに供給する作動油の供給方向及び供給量を制御して、サブブーム支持部材72を上下方向に揺動させる。巻上げ/巻下げレバーは前後方向に操作可能なレバーであり、上部制御装置50は、巻上げ/巻下げレバー操作方向に応じてウインチ機構75に内蔵されたウインチモータの回転方向及び回転速度を制御し、ウインチロープ(図示略)の繰り出し又は巻き取り作動を行う。
【0033】
ブーム操作レバーは、3軸ジョイスティックで構成され、ジョイスティックのレバーを4方向(前後左右)に操作可能であるとともに、レバー先端に設けられたグリップが、時計回り又は反時計回りに回動操作することができるようになっている。上部制御装置50は、ブーム操作レバーに対して行われた操作に対応する操作信号を光信号に変換し、光フ
ァイバを介して下部制御装置28へ送信する。具体的には、ブーム操作レバーが左右方向へ操作された場合、上部制御装置50は、レバーの操作方向に応じてブーム30を伸縮させるための操作信号を下部制御装置28へ送信する。これにより、下部制御装置28は、受信した操作信号に応じて伸縮シリンダ31に供給する作動油の供給方向及び供給量を制御して、ブーム30を伸縮作動させる。
【0034】
また、ブーム操作レバーが前後方向へ操作された場合、上部制御装置50は、レバーの操作方向に応じてブーム30を起伏動させるための操作信号を下部制御装置28へ送信する。これにより、下部制御装置28は、受信した操作信号に応じて起伏シリンダ23に供給する作動油の供給方向及び供給量を制御して、ブーム30を起伏作動させる。さらにブーム操作レバーのグリップが回動操作された場合、上部制御装置50は、グリップの回動方向に応じて旋回台20を旋回させるための操作信号を下部制御装置28へ送信する。これにより、下部制御装置28は、受信した操作信号に応じて旋回モータ24の回転方向及び回転速度を制御して、旋回台20を旋回作動させる。
【0035】
このように構成されたサブブーム装置70では、ウインチ機構75のウインチロープの先端部に設けられたフックを重量物に掛け、ウインチ機構75によってウインチロープを繰り出し及び巻き取ることにより、重量物の上げ下ろしを行うクレーン装置としても使用することができる。
【0036】
次に、本実施形態における仮支持部材100について
図3を参照して説明する。仮支持部材100は、
図2に示したサブブーム部材74の先端部からシーブ部材74aを取り外し、その代わりに、荷重検出装置80と共に取り付けられるものである。仮支持部材100は、電柱間に架設された電線を仮支持する複数の電線支持部110と、これらの電線支持部110が取り付けられる支持アーム120(仮腕木)と、支持アーム120を水平方向又は垂直方向に取り付けることができ、仮支持部材100に付与される水平方向及び垂直方向の荷重を検出する荷重検出装置80と、荷重検出装置80をサブブーム部材74の先端部に取り付けるためのブラケット78とを有して構成される。
【0037】
支持アーム120は、断面が略正方形になっている長尺棒状で中空のアーム部材からなり、その長手方向に3つの電線支持部110が所定の間隔を置いて取り付けられている。電線支持部110は、締付ボルトを用いて支持アーム120に取り付けられる取付部111と、取付部111に固定された樹脂製のガイシ(碍子)部材112と、ガイシ部材112の先端部に設けられた支持部113とを有して構成されている。支持部113は、上下左右にそれぞれ対向して設けられた4つのローラ部材114を有し、これら4つのローラ部材114によって形成される矩形状の間隙部に電線を挿通させて支持するように構成されている。また、支持部113の上部に位置するローラ部材114は揺動開閉可能になっており、上部のローラ部材114を揺動開放することで、上述した矩形状の間隙部の内部に電線を挿入することができる。また、揺動開放したローラ部材114を、再び閉じることにより、上述した矩形状の間隙部の内部に電線を挿通させて支持することができる。
【0038】
支持アーム120には、仮支持部材100を荷重検出装置80に固定するための固定部材130が取り付けられており、仮支持を行う電線の配設形態に応じて、固定部材130を荷重検出装置80の水平固定部80a又は垂直固定部80bに取り付ける。ここで、
図3(a)は、水平方向(矢印Xの方向)に配設された電線を仮支持するために、固定部材130を水平固定部80aに固定した状態を示している。また、
図3(b)は、垂直方向(矢印Zの方向)に配設された電線を仮支持するために、固定部材130を垂直固定部80bに固定した状態を示している。以下では、仮支持部材100と、荷重検出装置80と、サブブーム装置70とからなる構成を「仮支持装置」とも称する。
【0039】
このように構成された仮支持装置を使用して、電柱間に縦に3本架設された電線の仮支持を行う場合には、まず、3つの電線支持部110における支持部113の先端側のローラ部材114を開放させた状態で、ブーム30の起伏角度及び伸縮長さを調節する。次に、作業台40を上方へ移動させて電線支持部材110の支持部113を電線に接近させて、支持部113内の間隙部に電線を挿入させて、作業者がホットスティック(活線作業用の絶縁工具)を用いて、支持部113の先端側のローラ部材114を閉じる。そして、電柱から電線を取り外した後、上部操作装置45のブーム操作レバーを操作してブーム30の作動制御を行い、仮支持装置を上方へスライド移動させることにより、3本の電線を上方に押し上げて仮支持する。このようにして3本の電線を仮支持することで、電柱の立て替え作業や、電柱に設けられている碍子等の交換作業を行うことができる。
【0040】
次に
図4を参照して、荷重検出装置80の構成について説明する。
図4に示す機能ブロック図において、水平方向ロードセル81xは、仮支持部材110に付与される水平方向(
図3(a)の矢印X参照)の荷重を検出する。垂直方向ロードセル81zは、仮支持部材110に付与される垂直方向(
図3(b)の矢印Z参照)の荷重を検出する。ここで、本実施形態における水平方向ロードセル81x及び垂直方向ロードセル81zは歪みゲージであり、荷重によって生じた電気抵抗の変化を電圧の変化に置き換えて出力する。
【0041】
荷重演算コントローラ82は、水平方向ロードセル81x及び垂直方向ロードセル81zから出力された荷重に応じた電圧値を、荷重の値を表す数値データに変換する。以下、荷重の値を表す数値データを「荷重データ」といい、水平方向の荷重の値を表す数値データを「水平荷重データ」(記号はFxとする。)、垂直方向の荷重の値を表す数値データを「垂直荷重データ」(記号はFzとする。)という。そして、荷重演算コントローラ82は、変換した水平荷重データ及び垂直荷重データを、送信器83及び送信制御装置84に対して各々出力する。
【0042】
送信器83は、荷重演算コントローラ82から出力された水平荷重データ及び垂直荷重データを、所定の時間間隔で上部制御装置50に対して送信する。また、送信器83は、次に説明する送信制御装置84から出力される制御信号に従って、荷重データの送信間隔を変化させる。送信器83から送信された荷重データは、上部制御装置50に内蔵された受信器52によって受信されて上部コントローラ51へ出力される。上部コントローラ51は、入力された荷重データに応じて警報を鳴らしたり、上部操作装置45のブーム操作レバーに対する操作に応じたブーム30の作動を規制したりする。ブーム30の作動を規制する方法としては、例えば、仮支持装置に付与される荷重が増加する方向にブーム操作レバーが操作された場合は、アクチュエータへの出力を下部制御装置28から出力しないようにする。
【0043】
送信制御装置84は、荷重演算コントローラ82から出力された水平荷重データ及び垂直荷重データに基づいて、送信器83による水平荷重データ及び垂直荷重データの送信間隔を制御する。バッテリ85は、上述した水平方向ロードセル81x、垂直方向ロードセル81z、荷重演算コントローラ82、送信器83及び送信制御装置84へ電力を供給する。
【0044】
次に
図5を参照して、送信制御装置84による送信器83の送信間隔の制御内容について説明する。
図5は、送信制御装置84において、垂直荷重データに基づく送信器83の送信間隔の制御内容を示している。この図において、本実施形態の高所作業車によって電線の仮支持作業が開始された時刻をt0とすると、まず、送信制御装置84は、送信器83によって送信される荷重データの送信間隔が0.1秒間となるように制御する。この段階では、仮支持装置に対して電線による荷重が付与されておらず、送信器83からは例えば仮支持部材100の自重に対応する水平荷重データFx1(図示略)及び垂直荷重データ
Fz1が送信されるものとする。
【0045】
電線支持部材110の支持部113における矩形状の間隙部に、仮支持する電線を挿通させた状態で、ブーム30を作動制御して仮支持装置を上方へ押し上げていくと、それに応じて垂直荷重データFzの値は徐々に増加していくため、垂直荷重データFzの変化率が0を超える。そして、仮支持作業を開始してからt1秒が経過したときに、電線の仮支持が完了して垂直荷重データFzの値がFz2で安定し、垂直荷重データFzの変化率が所定値以下(例えば0(ゼロ))になると、送信制御装置84は所定時間Tの計時を開始する。所定時間Tの計時中に、垂直荷重データFzの変化率が所定値以下に維持され続けた場合、送信制御装置84は、所定時間Tが経過したときに送信器83によって送信される荷重データの送信間隔が1秒間となるように制御する。
【0046】
ここで、一旦、電線の仮支持が完了すると、ブーム30等は同じ姿勢を維持するため、通常は、水平方向ロードセル81x及び垂直方向ロードセル81zによって検出される荷重が変化することは殆どない。したがって、このように仮支持装置に付与される荷重が安定している状態においては、送信器83から送信する荷重データの送信間隔を長くしても、安全面に対する影響は少ないといえ、また、送信間隔を長くすることで、送信器83における消費電力を抑えることができる。加えて、垂直荷重データFzの変化率が所定値以下になったときに、直ちに送信間隔を長くせずに、所定時間Tが経過するまでは、当初の送信間隔を維持するので、例えば、仮支持装置に付与される荷重が一時的に安定したものの、十分に安定した状態でなかったために僅かな時間で変動に転じてしまった場合であっても、レスポンスよく荷重データを送信することができる。
【0047】
仮支持装置に付与される荷重が十分に安定し、送信器83から送信される荷重データの送信間隔が1秒間になっている状態で、例えば仮支持作業を開始してから時間t2が経過したときに、何らかの原因により、仮支持装置に付与される荷重が増大したとする。これにより、荷重演算コントローラ82から出力される垂直荷重データFzの変化率が所定値を超えると、送信制御装置84は、送信器83の送信間隔が再び0.1秒間となるように制御する。
【0048】
そして、時刻t3において垂直荷重データFzの値がFz3になったことにより、例えば上部コントローラ51が警報を発生し、この警報を受けて作業台40に搭乗していた作業者が上部操作装置45のブーム操作レバーを操作して、仮支持装置及び作業台40を下降させることで仮支持装置に付与される荷重を軽減させたとする。これにより、時刻t4において垂直荷重データFzの値が再びFz2になったときに、垂直荷重データFzの変化率が所定値以下(例えば0(ゼロ))になったとすると、送信制御装置84は所定時間Tの計時を開始する。そして、所定時間Tの計時中に、垂直荷重データFzの変化率が所定値以下に維持され続けたときは、所定時間Tが経過したときに、送信制御装置84よって送信器83による荷重データの送信間隔が1秒間となるように制御する。
【0049】
このように、仮支持装置に付与される荷重が安定しているときに、その荷重の変化した(より詳細には、荷重の変化率が所定値を超えた)場合は、付与される荷重の増減に関わらず、送信器83の送信間隔を短くすることで、例えば上部コントローラ51において、警報の発生やブームの作動規制などの処理を、荷重の変化に対してレスポンスよく行うことができる。
【0050】
なお、上述した実施形態において、送信間隔を短い状態から長い状態へ変化させる場合における荷重の変化率と、送信間隔を長い状態から短い状態へ変化させる場合における荷重の変化率とは、異なっていてもよい。また、荷重の変化率が所定値以下になっている状態が所定時間Tの間、維持されたときに、送信間隔が短い状態から長い状態へ変化させて
いたが、送信間隔を長くする代わりに、荷重データの送信自体を停止させてもよい。この場合において、荷重データの送信が停止しているときに、荷重の変化率が所定値を超えた場合は、荷重データの送信を再開させるようにしてもよい。また、荷重の変化率が所定値以下になったときに、その状態が所定時間Tの間、維持されるのを待つことなく、送信間隔を長い状態から短い状態へ変化させてもよい。
【0051】
さらに、荷重の変化率の値として、定数RC1とRC2(RC1>RC2)とを予め定めておき、送信間隔が短い状態において、検出された荷重の変化率の値がRC1以下となったときは送信間隔を長くし、その状態で検出された荷重の変化率の値がRC2以下となったときは送信を停止するようにしてもよい。また、上述した実施形態では、垂直荷重データに基づいて送信器83の送信間隔を制御する例を示したが、垂直荷重データの代わりに、水平荷重データに基づいて送信器83の送信間隔を制御してもよいし、垂直荷重データ及び水平荷重データの双方に基づいて送信器83の送信間隔を制御してもよい。
【0052】
さらに、上述した実施形態では、荷重検出装置80に送信制御装置84を設け、荷重検出装置80内で送信器83の送信間隔を制御していたが、例えば上部コントローラ51において送信器83の送信間隔を制御する制御信号を生成し、上部制御装置50から荷重検出装置80へ送信し、荷重検出装置80において、上部制御装置50から受信した制御信号に従って送信器83の送信間隔を切り替えるようにしてもよい。この場合において、上部コントローラ51は、受信器52によって受信した荷重データに基づいて送信間隔を制御する制御信号を生成するだけでなく、例えば上部操作装置45のブーム操作レバーが操作されているか否かに応じて、送信間隔を制御する制御信号を生成してもよい。具体的には、上部操作装置45のブーム操作レバーが操作されているときは、荷重データの値が変化しているか否かに関わらず、送信器83の送信間隔を短くする制御信号を生成してもよい。
【0053】
また、上部コントローラ51から送信器83の送信間隔を制御する他の方法として、例えば、上部コントローラ51から荷重検出装置80に対して荷重データの送信要求信号を送信し、荷重検出装置80が上述した送信要求信号を受信すると、送信器83から荷重データが送信されるように構成してもよい。この場合、上部コントローラ51において、上述した送信要求信号の送信間隔を変化させることで、送信器83の送信間隔を制御することができる。
【0054】
以上、本発明に係る実施形態について説明してきたが、本発明の範囲は上述した実施形態に示したものに限定されない。例えば、上述した実施形態では、支持アーム120に対して3つの電線支持部110を設けた構成について説明したが、2つの電線支持部110又は4つ以上の電線支持部110を設けた構成であってもよい。