特開2021-191131(P2021-191131A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 2021191131-送電装置及び該送電装置の埋設方法 図000003
  • 2021191131-送電装置及び該送電装置の埋設方法 図000004
  • 2021191131-送電装置及び該送電装置の埋設方法 図000005
  • 2021191131-送電装置及び該送電装置の埋設方法 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-191131(P2021-191131A)
(43)【公開日】2021年12月13日
(54)【発明の名称】送電装置及び該送電装置の埋設方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20211115BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20211115BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20211115BHJP
   B60L 53/122 20190101ALI20211115BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20211115BHJP
【FI】
   H02J50/10
   H02J7/00 P
   H02J7/00 301D
   B60M7/00 X
   B60L53/122
   B60L5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-95477(P2020-95477)
(22)【出願日】2020年6月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】築山 大輔
【テーマコード(参考)】
5G503
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA01
5G503FA06
5G503GB06
5G503GB08
5H105BA09
5H105BB07
5H105CC02
5H105CC19
5H105DD10
5H105EE15
5H125AA11
5H125AC04
5H125AC11
5H125AC25
5H125FF15
(57)【要約】
【課題】簡易な工事で地中に埋設でき、車重の影響を受けにくい送電装置を提供する。
【解決手段】送電装置2は、電源装置4からの電力を車両の受電装置3に非接触で供給する。送電装置2は、地中に埋設された平行二線路10を備えている。平行二線路10は、互いに平行に延在する第1部材10L及び第2部材10Rから構成されている。第1部材10L及び第2部材10Rの各々は、少なくとも一つの導電体を含んでいる。第1部材10L及び第2部材10Rの延在方向Xに直交するYZ断面は、鉛直方向Zの高さ10zが水平方向Yの幅10yよりも大きくなるように形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源装置からの電力を車両の受電装置に非接触で供給する送電装置であって、
互いに平行に延在する第1部材及び第2部材から構成され、かつ地中に埋設された平行二線路を備え、
前記第1部材及び前記第2部材の各々は、少なくとも一つの導電体を含み、前記第1部材及び前記第2部材の延在方向に直交する断面は、鉛直方向の高さが水平方向の幅よりも大きくなるように形成されている、
送電装置。
【請求項2】
前記第1部材及び前記第2部材の各々は、端面が鉛直方向上向き及び下向きになるように配置された平板状の導電体で構成されている、
請求項1に記載の送電装置。
【請求項3】
前記第1部材及び前記第2部材の各々は、鉛直方向に並べられ、互いに平行に延在する複数の導電体で構成されている、
請求項1に記載の送電装置。
【請求項4】
電源装置からの電力を車両の受電装置に非接触で供給する送電装置を地中に埋設する方法であって、
鉛直方向の深さが水平方向の幅よりも大きく、互いに平行な二条の溝を路面に形成すること、及び、
各々の前記溝に少なくとも一つの導電体を挿入すること、を含む、
送電装置の埋設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行中の車両に非接触で電力を供給する送電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走行中の車両に非接触で電力を供給する非接触給電システムが開発されている。例えば、特許文献1に記載の送電装置は、磁界共鳴方式であり、送電側のカプラとなる複数のコイルを路面上又は地中に埋設し、受電側のカプラとなるコイルを車両に装着し、受電側のコイルが送電側のコイルに対向したときに受電側のコイルを送電側のコイルに共振させて給電する。また、例えば、送電側のカプラがコイルではなく平板電極となる電界結合方式も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6156115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、特許文献1に記載されたような磁界共鳴方式の送電装置では、送電側のコイルと受電側のコイルとが広い面積で対向している必要がある。電界結合方式であっても同様に、送電側の平板電極と受電側のコイルとが広い面積で対向している必要がある。広い面積のカプラを地中に埋設しようとすると、路面を広く浅くそぎ落とす(はつる)必要があり、埋設工事の規模が大きくなる。
【0005】
また、送電側のカプラの面積が広いと、タイヤに押圧される面積が大きい分、タイヤから受ける荷重が大きくなる。走行中の車両の重量に耐えうるように、コイルの線径や金属板の板厚を大きくすると、送電装置の埋設にともなう材料費が高くなる。そこで、本発明は、簡易な工事で埋設でき、車重の影響を受けにくい送電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る送電装置は、電源装置からの電力を車両の受電装置に非接触で供給する。送電装置は、地中に埋設された平行二線路を備えている。平行二線路は、互いに平行に延在する第1部材及び第2部材から構成されている。第1部材及び第2部材の各々は、少なくとも一つの導電体を含んでいる。第1部材及び第2部材の延在方向に直交する断面は、鉛直方向の高さが水平方向の幅よりも大きくなるように形成されている。
【0007】
この態様によれば、平行二線路を構成する第1部材及び第2部材は、断面の長手方向が鉛直方向になるように配置されるため、断面の長手方向が水平方向になるように配置される場合と比べて簡易な工事で地中に埋設できる。タイヤに押圧される面積が小さい分、タイヤからの荷重を受けにくい。平行二線路に高周波電力を供給し、受電側のコイルを平行二線路と磁気的に結合させる平行二線方式では、送電側の平行二線路と受電側のコイルとが必ずしも広い面積で対向している必要がない。断面の長手方向が鉛直方向になるように配置しても、受電効率に優れた非接触給電システムの送電装置を構成できる。
【0008】
上記態様において、第1部材は、端面が鉛直方向上向き及び下向きになるように配置された平板状の導電体で構成されていてもよいし、第2部材は、端面が鉛直方向上向き及び下向きになるように配置された平板状の導電体で構成されていてもよい。
【0009】
この態様によれば、道路に沿って延在する長尺の金属板によって平行二線路の第1部材や第2部材を構成することができる。
【0010】
上記態様において、第1部材は、鉛直方向に並べられ、互いに平行に延在する複数の導電体で構成されていてもよいし、第2部材は、鉛直方向に並べられ、互いに平行に延在する複数の導電体で構成されていてもよい。
【0011】
この態様によれば、道路に沿って延在する電線や金属管を鉛直方向に積み重ねて平行二線路の第1部材や第2部材を構成することができる。
【0012】
本発明の一態様に係る送電装置の埋設方法は、電源装置からの電力を車両の受電装置に非接触で供給する送電装置を埋設する方法である。送電装置の埋設方法は、鉛直方向の深さが水平方向の幅よりも大きく、互いに平行な二条の溝を路面に形成すること、及び、各々の溝に少なくとも一つの導電体を挿入すること、を含んでいる。
【0013】
この態様によれば、鉛直方向の深さが水平方向の幅よりも大きい溝を形成するため、路面を広く浅くそぎ落とす場合と比較して埋設工事が簡易である。そのような溝に導電体を挿入すれば、断面の長手方向が鉛直方向になるように配置された平行二線路を簡易に構成できる。導電体は、長尺の金属板で構成してもよいし、複数の電線や金属管を鉛直方向に積み重ねて構成してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡易な工事で地中に埋設でき、車重の影響を受けにくい送電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る非接触給電システムの一例を示す概略図である。
図2図2は、図1に示された非接触給電システムの一例を示す回路図である。
図3図3は、図1に示された平行二線路の一例を模式的に示す断面図である。
図4図4は、図1に示された平行二線路の他の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。本発明の一実施形態に係る平行二線路10は、平行に配置された左右一対の第1部材10L及び第2部材10Rで構成され、地中に埋設されている(図1及び図2参照)。
【0017】
第1部材10L及び第2部材10Rは、延在方向Xに直交するYZ断面の長手方向が鉛直方向Zになるように配置されていることが特徴の一つである(図3及び図4参照)。第1部材10Lや第2部材10Rは、鉛直方向Zに連続してもよいし、鉛直方向Zに不連続であってもよい。YZ断面の長手方向が水平方向Yである場合に比べて簡易な工事で送電側のカプラを地中に埋設することができる。以下、図1から図4を参照して各構成について詳しく説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る非接触給電システム1の一例を示す概略図であり、図2は、図1に示された非接触給電システム1の一例を示す回路図である。図1及び図2に示すように、非接触給電システム(ワイヤレス給電システム)1は、送電側の送電装置2と、受電側の受電装置3と、を備えている。送電装置2は、高周波電力を発生させる電源装置4と、電源装置4で発生した高周波電力を受電装置3に供給する平行二線路10と、を備えている。
【0019】
電源装置4は、例えば、直流電源装置と、インバータ回路と、インピーダンス整合器と、を含み、商用電源を直流電源装置によって直流電力に変換したのち、インバータ回路とインピーダンス整合器とによって所定の高周波電力に変換して平行二線路10に出力する。なお、電源装置4の構成は特に限定されるものではなく、所定の高周波電力を平行二線路10に出力するものであれば、種々の装置を用いることができる。
【0020】
受電装置3は、例えば無人搬送車(Automated Guided Vehicle)や電気自動車に取り付けられて平行二線路10に磁気的に結合されるコイル5と、コイル5に電気的に接続された蓄電デバイス等の負荷6と、を備えている。受電装置3は、コイル5に供給された高周波電力を直流電力に変換する整流平滑回路等をさらに備えていてもよい。整流平滑回路から供給される直流電力によってモータ等の負荷6を直に駆動するように構成し、蓄電デバイスを省略してもよい。
【0021】
送電装置2は、移動体である受電装置3の走行経路に沿って地中に埋設された平行二線路10を備えている。送電装置2は、平行二線路10のインピーダンスを低下させるキャパシタ等をさらに備えていてもよい。平行二線路10は、平行に配置された左右一対の第1部材10L及び第2部材10Rで構成され、地中に埋設されている。第1及び第2部材10L,10Rの各々は、絶縁材等を介して地中に接し、車両が走行する道路に沿って延在している。以下の説明において、第1及び第2部材10L,10Rの延在する方向を延在方向Xと呼ぶ。
【0022】
図3及び図4は、図1に示された平行二線路10の一例を模式的に示す断面図である。第1部材10Lは、受電装置3が取り付けられた車両の例えば左側のタイヤTの下に埋設されている。第2部材10Rは、受電装置3が取り付けられた車両の例えば右側のタイヤTの下に埋設されている。第1及び第2部材10L,10Rの位置はタイヤTの直下に限定されず、車幅方向(水平方向Y)において左右一対のタイヤTの内側であってもよいし、外側であってもよい。
【0023】
図3及び図4に示すように、第1部材10Lは、延在方向Xに直交するYZ断面において、鉛直方向Zの高さ10zが水平方向Yの幅10yよりも大きくなるように形成されている。同様に、第2部材10RのYZ断面は、水平方向Yの幅10yよりも鉛直方向Zの高さ10zが大きくなるように形成されている。10yと10zとの比は、例えば、0.5:50〜40:50であり、好ましくは、1:50〜25:50であり、より好ましくは、2:50〜4:50である。
【0024】
図3に示した例では、第1及び第2部材10L,10Rの各々が、平板状の導電体で構成され、鉛直方向Zにおいて連続している。図3に示すように、平板状の導電体は、主面が水平方向(左右方向)に向き、端面が鉛直方向(上下方向)に向くように配置されている。導電体の一例は、板厚(YZ断面の水平方向Yの幅10y)が3mm、幅(鉛直方向Zの高さ10z)が50mmの長尺の銅板である。
【0025】
図4に示した例では、第1及び第2部材10L,10Rの各々が、複数の導電体で構成され、鉛直方向Zにおいて不連続である。図4に示すように、第1及び第2部材10L,10RのYZ断面は、鉛直方向Zにおいて最も上に位置した導電体の上端から最も下に位置した導電体の下端までの高さ10zが水平方向Yの幅10yよりも大きくなるように形成されている。
【0026】
各々の導電体は、鉛直方向Zに並べられた電線や金属管であり、延在方向Xに沿って平行に延在している。隣り合う導電体の間には、隙間があってもよいし、隙間がなくてもよい。各々の導電体は、塩化ビニール樹脂等の絶縁材で被覆されていてもよいし、被覆されていなくてもよい。
【0027】
図3及び図4に示された平行二線路10は、回転する円盤状の刃で路面を切断するコンクリートカッター等を用いる簡易な工事で地中に埋設することができる。平行二線路10の埋設方法について一例を説明すると、コンクリートカッターを用いて互いに平行な二条の溝を路面に形成することにより、鉛直方向Zの深さが水平方向Yの幅よりも大きい溝を形成できる。各々の溝に金属板を挿入すれば、図3に示された平行二線路10を地中に埋設できる。各々の溝に複数の電線又は金属管を挿入すれば、図4に示された平行二線路10を地中に埋設できる。なお、導電体を地中から絶縁する手順は、導電体の外面を絶縁材で被覆してから溝に挿入してもよいし、溝の内面を絶縁材で被覆してから導電体を溝に挿入してもよい。
【0028】
以上のように構成された本実施形態の送電装置2は、鉛直方向Zの高さ10zが水平方向Yの幅10yよりも大きい第1及び第2部材10L,10Rで構成された平行二線路10を備えている。本実施形態によれば、送電側のカプラが水平方向Yにおいて幅広のコイルや平板電極ではなく、水平方向Yにおいて幅狭の平行二線路10であるため、タイヤTに押圧される面積が小さくタイヤTからの荷重を受けにくい。路面を広く浅くそぎ落とす必要がないため、コンクリートカッターを用いて簡易に地中に埋設することができる。
【0029】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0030】
1…非接触給電システム、2…送電装置、3…受電装置、4…電源装置、5…コイル、6…負荷、10……平行二線路、10L…第1部材、10R…第2部材、10y…幅、10z…高さ、T…タイヤ、X…延在方向、Y…YZ断面の水平方向、Z…鉛直方向。
図1
図2
図3
図4