特開2021-191139(P2021-191139A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-191139(P2021-191139A)
(43)【公開日】2021年12月13日
(54)【発明の名称】移動体蓄電給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20211115BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20211115BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20211115BHJP
【FI】
   H02J7/00 303C
   H02J7/02 C
   H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-95654(P2020-95654)
(22)【出願日】2020年6月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000116644
【氏名又は名称】株式会社アイチコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100218095
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(72)【発明者】
【氏名】中澤 俊一
(72)【発明者】
【氏名】古荘 弘志
(72)【発明者】
【氏名】田野 稔
(72)【発明者】
【氏名】森 仁志
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503AA07
5G503BA04
5G503BB01
5G503BB05
5G503CA08
5G503CA10
5G503DA04
5G503GB03
5H030AA10
5H030AS08
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
【課題】複数の移動体が有する各蓄電装置に蓄えられた電力を、適正に分配して有効利用することが可能な移動体蓄電給電システムを提供する。
【解決手段】移動体蓄電給電システム1は、複数の移動体(電源車5、高所作業車6、電気自動車7)と、複数の移動体に設けられ、蓄えた電力を電気的負荷(交流電気機器56、直流電気機器57、ポンプ駆動モータ64、電動機器74)に供給可能な複数の蓄電装置54,61,71と、複数の蓄電装置54,61,71のうちの任意の2つの蓄電装置に電気的に接続され、2つの蓄電装置に蓄えられた電力を、2つの蓄電装置の間で双方向に移送させることが可能な電力移送装置4と、2つの蓄電装置の蓄電状態に応じて電力移送装置4を作動させ、2つの蓄電装置間での電力の移送を制御するコントローラ3と、を備えて構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源車を含む複数の移動体と、
前記複数の移動体に設けられ、蓄えた電力を電気的負荷に供給可能な複数の蓄電装置と、
前記複数の蓄電装置のうちの任意の2つの蓄電装置に電気的に接続され、前記2つの蓄電装置に蓄えられた電力を、前記2つの蓄電装置の間で双方向に移送させることが可能な電力移送装置と、
前記2つの蓄電装置の蓄電状態に応じて前記電力移送装置を作動させ、前記2つの蓄電装置間での電力の移送を制御する電力移送制御装置と、を備えて構成されることを特徴とする移動体蓄電給電システム。
【請求項2】
前記電力移送装置は、
前記2つの蓄電装置の定格電圧が異なる場合、当該定格電圧の違いに応じて、前記2つの蓄電装置間で電力を移送する際の電圧を適正値に変換することが可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の移動体蓄電給電システム。
【請求項3】
前記複数の移動体のうちの少なくとも1つの移動体は、作業装置を搭載した作業車であり、
前記電力移送装置及び前記電力移送制御装置は、前記電源車及び前記作業車の少なくとも一方に設けられることを特徴とする請求項1もしくは2に記載の移動体蓄電給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の移動体が有する各蓄電装置を用いた移動体蓄電給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電装置を備えた移動体として、高所作業車等の作業車や電源車がある。作業車としては、蓄電装置が蓄えた電力を、車載された電動モータや電動式の作業装置に供給して作動させ、所定の作業を行うように構成されたものがある。このような作業車では、作業に必要な電力を蓄電装置に蓄えておく必要があるが、作業に伴う電力消費により蓄電量が不足することがある。そのため、電源車を作業現場に派遣して、作業車の蓄電装置を充電して必要な蓄電量を確保することも行われる。電源車は、発電装置や大容量の蓄電装置などの充電用設備を有しており、この充電用設備を用いて外部の蓄電装置を充電できるように構成されている(例えば、下記特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−27194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つの作業現場に、蓄電装置を搭載した複数の作業車と電源車が集まることもある。これまでは、各作業車の蓄電装置の蓄電状態は、各作業車により個別に管理されている。そして、或る作業車の電源装置の蓄電量が不足した場合は、その作業車から電源車に依頼して、電源車の蓄電装置から当該作業車の蓄電装置に電力を供給(充電)してもらい、別の作業車の電源装置の蓄電量が不足した場合は、その作業車から電源車に依頼して、同様に電力を供給してもらうという流れで、蓄電装置間の電力の分配(移送、移し替え)が行われている。
【0005】
このように現状では、蓄電装置間の電力の分配は、電源車の蓄電装置から各作業車の蓄電装置へと向かう一方向の流れで行われている。そのため、各蓄電装置に蓄えられた電力が有効に利用されない虞がある。例えば、特定の作業車による電力消費量が嵩み、電源車からその作業車に多くの電力供給が行われる一方で、別の作業車による電力消費量は少なく、その作業車の電源装置に蓄えられていた電力が無駄に余ってしまうというような事態が生じる虞がある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、複数の移動体が有する各蓄電装置に蓄えられた電力を、適正に分配して有効利用することが可能な移動体蓄電給電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る移動体蓄電給電システムは、電源車を含む複数の移動体(例えば、実施形態における電源車5、高所作業車6、電気自動車7)と、前記複数の移動体に設けられ、蓄えた電力を電気的負荷に供給可能な複数の蓄電装置と、前記複数の蓄電装置のうちの任意の2つの蓄電装置に電気的に接続され、前記2つの蓄電装置に蓄えられた電力を、前記2つの蓄電装置の間で双方向に移送させることが可能な電力移送装置と、前記2つの蓄電装置の蓄電状態に応じて前記電力移送装置を作動させ、前記2つの蓄電装置間での電力の移送を制御する電力移送制御装置(例えば、実施形態における
コントローラ3の電力移送制御部33)と、を備えて構成される。
【0008】
上記構成の移動体蓄電給電システムにおいて、好ましくは、前記電力移送装置は、前記2つの蓄電装置の定格電圧が異なる場合、当該定格電圧の違いに応じて、前記2つの蓄電装置間で電力を移送する際の電圧を適正値に変換することが可能に構成される。
【0009】
また、上記構成の移動体蓄電給電システムにおいて、好ましくは、前記複数の移動体のうちの少なくとも1つの移動体は、作業装置を搭載した作業車であり、前記電力移送装置及び前記電力移送制御装置は、前記電源車及び前記作業車の少なくとも一方に設けられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る移動体蓄電給電システムによれば、任意の2つの蓄電装置に蓄えられた電力を2つの蓄電装置の間で双方向に移送させることが可能な電力移送装置が2つの蓄電装置に電気的に接続され、電力移送制御装置が、2つの蓄電装置の蓄電状態に応じて電力移送装置を作動させ、2つの蓄電装置間での電力の移送を制御する。これにより、例えば、2つの蓄電装置のうち、蓄電量の多い方から少ない方に、電力を移送することができる。そのため、複数の移動体が有する各蓄電装置が蓄える電力を、適正に分配して有効利用することが可能となる。
【0011】
上記構成の移動体蓄電給電システムにおいて、電力移送装置が、2つの蓄電装置の定格電圧が異なる場合に当該定格電圧の違いに応じて、2つの蓄電装置間で電力を移送する際の電圧を適正値に変換することが可能に構成されることによって、2つの蓄電装置の定格電圧の違いに影響されることなく、電力の移送を行うことができる。例えば、2つの蓄電装置のうち、定格電圧が低い方から高い方へ電力を移送することも、定格電圧が高い方から低い方へ電力を移送することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る移動体蓄電給電システムの全体構成を示す図である。
図2】上記移動体蓄電給電システムの管理制御装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1には、本発明の実施形態の一例として、移動体蓄電給電システム1を示している。この移動体蓄電給電システム1は、管理制御装置2を主体として構成されるとともに、移動体として、電源車5、高所作業車6及び電気自動車7の3台の車両を備えている。電源車5、高所作業車6及び電気自動車7は、管理事務所8に所属し、管理事務所8から、1つの作業現場に派遣されている。管理事務所8は、例えば、高所作業車6が行う作業を請け負う事業者であり、これらの車両を所有またはレンタルして事業を行う。また、管理事務所8は、移動体蓄電給電システム1を管理運営する管理者である。管理事務所8には、管理者PC81が設置されている。管理者PC81は、情報の送受信機能や処理機能、表示機能等を備えたコンピュータである。なお、図1において記載した白抜きの矢印は、電力(電気エネルギ)の流れを示している。
【0014】
電源車5は、発電装置51、蓄電装置54、DC/ACコンバータ55、交流電気機器56、直流電気機器57、及びエンジン制御器58を備えている。発電装置51は、エンジン52と、エンジン52の駆動力を受けて作動する発電機53とから構成される。発電機53は、交流電力を発電するとともに、発電した交流電力を直流電力に変換して蓄電装
置54に供給するように構成されている。蓄電装置54は、例えば、リチウムイオン蓄電池を有して構成され、発電装置51(発電機53)から供給される電力(電気エネルギ)を蓄えるように構成されている。また、蓄えた電力を接続された電気的負荷や他の蓄電装置に供給するように構成されている。蓄電装置54の定格電圧は、例えば、300Vである。
【0015】
DC/ACコンバータ55は、蓄電装置54と接続され、蓄電装置54から供給される直流電力を交流電力に変換して出力する。交流電気機器56は、DC/ACコンバータ55と電気的に接続され、DC/ACコンバータ55からの交流電力により作動する、例えば、電動工具やモバイル機器用充電器等の電気的負荷である。直流電気機器57は、蓄電装置54と電気的に接続され、蓄電装置54から給電される直流電力により作動する電気的負荷である。直流電気機器57は、例えば、ECU(エンジンコントロールユニット)等の車両制御用コントローラ、ヘッドライト等の灯火類、カーナビゲーションやエアコン等の電装機器、電動アクチュエータ等である。エンジン制御器58は、エンジンを作動させるとともにエンジンの回転数を調整するように構成されている。
【0016】
高所作業車6は、走行可能に構成された走行体の上部に、高所作業用の作業装置(図示略)を備えた作業車である。作業装置は、例えば、水平方向に旋回可能な旋回体、旋回体の上部に設けられた起伏可能なブーム、及びブームの先端部に設けられた作業台により構成され、油圧ポンプから供給される圧油により作動する。また、高所作業車6は、蓄電装置61、ポンプ駆動モータ64、モータ制御器65、及び通信端末66を備える。
【0017】
蓄電装置61は、主蓄電池62及び予備蓄電池63を有して構成され、電力を蓄えるとともに蓄えた電力をポンプ駆動モータ64に供給するように構成されている。主蓄電池62及び予備蓄電池63は、例えば、リチウムイオン蓄電池により構成される。予備蓄電池63は、主蓄電池62の蓄電量が不足した際に、主蓄電池62に電気的に接続されて蓄電量を補うように構成されたバッテリパックである。蓄電装置61の定格電圧は、例えば、48Vである。ポンプ駆動モータ64は、蓄電装置61と接続され、蓄電装置61から供給された直流電力により作動して油圧ポンプを駆動させる電動モータである。モータ制御器65は、ポンプ駆動モータ64の回転数を調整するように構成されている。通信端末66は、通信機能と表示機能を備えたモバイル端末等により構成される、通信装置と表示装置を兼用する装置である。
【0018】
電気自動車7は、電気モータの駆動により車輪を回転させて走行する自動車であり、主に、作業現場に作業員を派遣するために使用される。電気自動車7は、蓄電装置71、電動機器74、電動機器制御器75、及び通信端末76を備える。蓄電装置71は、例えば、リチウムイオン蓄電池を有して構成され、電力を蓄えるとともに蓄えた電力を電動機器74に供給するように構成されている。蓄電装置61の定格電圧は、例えば、24Vである。電動機器74は、蓄電装置71と電気的に接続され、蓄電装置71から給電される直流電力により作動する電気的負荷である。電動機器74は、直流電気機器57と同様、車両制御用コントローラ、灯火類、電装機器、電動アクチュエータ等である。電動機器制御器75は、電動機器74の作動量を調整するように構成されている。通信端末76は、通信機能と表示機能を備えたモバイル端末等により構成される、通信装置と表示装置を兼用する装置である。
【0019】
電源車5には、検出器91,92が設置されている。検出器91は、発電装置51から蓄電装置54への給電量を検出する検出装置であり、検出器92は、蓄電装置54の蓄電状態及び給電状態を検出する検出装置である。蓄電状態とは、例えば、蓄電量(充電量)やSOC(充電率、残容量)であり、給電状態とは、例えば、給電量(放電量)である。これらは、蓄電装置54の端子間電圧値や、蓄電装置54から放電される電力の電圧値及
び電流値により検出される。
【0020】
高所作業車6には検出器93が設置され、電気自動車7には検出器94が設置されている。検出器93は、蓄電装置61(主蓄電池62及び予備蓄電池63)の蓄電状態及び給電状態を検出する検出装置であり、検出器94は、蓄電装置71の蓄電状態及び給電状態を検出する検出装置である。
【0021】
管理制御装置2は、コントローラ3及び電力移送装置4を備えている。コントローラ3は、情報の送受信機能や処理機能、表示機能等を備えたモバイル端末等で構成される制御装置であり、通信装置及び表示装置としても機能する。電力移送装置4は、蓄電装置54,61,71のうちの任意の2つの蓄電装置に接続されて使用される。電力移送装置4は、双方向DC/DCコンバータ41を有して構成され、接続された2つの蓄電装置に蓄えられた電力を、双方向DC/DCコンバータ41を介して2つの蓄電装置の間で双方向に移送させる。双方向DC/DCコンバータ41は、昇圧回路及び降圧回路を有しており、接続された2つの蓄電装置の定格電圧が異なる場合、その定格電圧の違いに応じて、2つの蓄電装置間で電力を移送する際の電圧を適正値に変換することができる。これにより、電力移送装置4は、電源車5の蓄電装置54に蓄えられた電力を降圧して、高所作業車6の蓄電装置61や電気自動車7の蓄電装置71に移送するだけではなく、高所作業車6の蓄電装置61や電気自動車7の蓄電装置71に蓄えられた電力を昇圧して、電源車5の蓄電装置54に移送することもできる。また、電力移送装置4は、高所作業車6の蓄電装置61に蓄えられた電力を降圧して電気自動車7の蓄電装置71に移送することも、電気自動車7の蓄電装置71に蓄えられた電力を昇圧して高所作業車6の蓄電装置61に移送することもできる。なお、コントローラ3及び電力移送装置4は、本実施形態では電源車5に設けられるが、高所作業車6に設けてもよい。
【0022】
次に、管理制御装置2、特にコントローラ3の詳細について、図2を参照して説明する。図2に示すように、管理制御装置2は、コントローラ3、電力移送装置4、エンジン制御器58、モータ制御器65、電動機器制御器75、通信端末66,76、及び管理者PC81を備えて構成される。コントローラ3は、検出信号受信部31、検出データ取得部32、電力移送制御部33、発電制御部34、放電制御部35、故障判定部36、情報通信部37、及び表示部38を備えている。
【0023】
検出信号受信部31は、検出器91〜94から出力された検出信号を受信する。検出データ取得部32は、検出信号受信部31が受信した検出信号に基づき検出データを取得する。検出データは、例えば、発電装置51から蓄電装置54への給電量に関するデータ、蓄電装置54,61,71の蓄電状態及び給電状態に関するデータである。電力移送制御部33は、電力移送装置4を作動させて、電力移送装置4による電力の移送を制御する。発電制御部34は、エンジン制御器58を作動させて、発電装置51から蓄電装置54への電力供給を制御する。放電制御部35は、モータ制御器65を作動させて、モータ制御器65の消費電力を調整することにより、蓄電装置61からポンプ駆動モータ64への給電(放電)を制御する。また、放電制御部35は、電動機器制御器75を作動させて、電動機器74の消費電力を調整することにより、蓄電装置71から電動機器74への給電を制御する。
【0024】
故障判定部36は、検出データ取得部32により取得された検出データに基づき、故障の有無を判定する。情報通信部37は、コントローラ3で管理された各種情報や、管理者PC81、通信端末66,76から送信された情報を、管理者PC81、通信端末66,76との間で通信する。表示部38は、コントローラ3で管理された各種情報や、管理者PC81、通信端末66,76から送信された情報を表示する。コントローラ3、管理者PC81、通信端末66,76の間で送受信される情報としては、検出器91〜94の検
出結果に関する情報、故障に関する情報(故障発生の有無や故障箇所等の情報)の他、高所作業車6による作業の工程計画や進捗実績、業務工数に関する情報がある。なお、検出器91〜94とコントローラ3との間の検出信号の通信、及びコントローラ3と通信端末66,76との間の通信は、CAN通信方式より行うことができる。また、IoTの技術
を検出器91〜94に適用することにより、検出器91〜94とコントローラ3との間の通信を、インターネットを介して行うようにしてもよい。また、管理制御装置2(コントローラ3)は、管理用PCから送信される指示情報に基づき作動するようにも構成されており、離れた地点(管理事務所8)からでも作動させることができる。
【0025】
以上のように構成された移動体蓄電給電システム1では、管理制御装置2(コントローラ3)が、検出器91〜94の検出結果に基づき、蓄電装置54,61,71の蓄電状態及び給電状態に関する情報を取得してこれを一元管理し、その情報に基づき、蓄電装置54,61,71の充放電を制御することができる。例えば、蓄電装置61の蓄電量が不足しそうな場合に、モータ制御器65によりポンプ駆動モータ64の消費電力量を抑えて、蓄電装置61の放電量を抑制することができる。また、蓄電装置61の蓄電量が少ない一方で、蓄電装置71の蓄電量が多くて余りそうな場合には、電力移送装置4を作動させて、蓄電装置71に蓄えられた電力を蓄電装置61に移送することができる。そのため、電源車5、高所作業車6及び電気自動車7が有する蓄電装置54,61,71が蓄える電力を、適正に分配するとともに、これらの電力を総合的に有効利用することが可能である。
【0026】
また、移動体蓄電給電システム1では、コントローラ3、管理者PC81、通信端末66,76との間で、蓄電装置54,61,71の蓄電状態及び給電状態に関する情報を送受信できるようになっており、作業現場に居る作業者(例えば、高所作業車6のオペレータ)と、管理事務所8に居る所員との間で、これらの情報を共有することが可能である。そのため、これらの情報により、蓄電装置61の蓄電量が不足しそうだと気付いた高所作業車6のオペレータが、主蓄電池62に予備蓄電池63を接続したり、電源車5からの電力供給が不足しそうだと判断した管理事務所8の所員が、別の電源車を手配したりすることも可能となる。
【0027】
また、移動体蓄電給電システム1では、コントローラ3が、検出器92の検出結果に基づき、電源車5の蓄電装置54の蓄電量が不足すると判断した場合に、エンジン制御器58を作動させて発電装置51から蓄電装置54に電力を供給させることができる。そのため、蓄電装置54の蓄電量が不足することを防止することが可能である。また、移動体蓄電給電システム1では、コントローラ3が、検出器91〜94の検出結果に基づき、故障があると判断した場合に、その情報を、管理者PC81に送信することができる。そのため、その情報を受信した管理事務所8の所員が、故障に対応するための処理方法や注意事項を、電源車5や高所作業車6のオペレータに指示したり、故障が生じた車両に代る車両を作業現場に派遣したりすることが可能である。
【0028】
また、移動体蓄電給電システム1では、コントローラ3、管理者PC81、通信端末66,76との間で、高所作業車6による作業の工程計画及び進捗実績に関する情報を送受信できるようになっており、作業現場の作業者と、管理事務所8の所員との間で、これらの情報を共有することが可能である。そのため、作業の工程計画や進捗実績に応じて、高所作業車6のオペレータが、ポンプ駆動モータ64の電力消費量を調整したり、管理事務所8が、別の高所作業車を作業現場に派遣したりすることが可能となる。また、移動体蓄電給電システム1では、コントローラ3及び通信端末66,76が、コントローラ3が管理する情報を表示することができるように構成されている。そのため、電源車5や高所作業車6のオペレータが、必要な情報を視覚的に容易に確認することが可能である。
【0029】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるもので
はなく、適宜変更可能である。例えば、上記実施形態において、電源車5の交流電気機器56や直流電気機器57の消費電力量を検出する検出器を設けてもよい。また、上記実施形態では、移動体として、電源車5、高所作業車6及び電気自動車7の3台の車両を例示しているが、これに限定されるものではない。2台以上の電源車や高所作業車を備えたり、移動体として、ドローン等の飛行体を備えたりしてもよい。また、本発明の移動体蓄電給電システムのサービスを提供するサービス提供者を管理者としてもよく、管理事務所とサービス提供者の両方を管理者としてもよい。サービス提供者は、例えば、電源車や高所作業車をレンタルする業者や、これらを製造販売する業者である。
【符号の説明】
【0030】
1 移動体蓄電給電システム
2 管理制御装置(管理装置)
3 コントローラ(移動体側通信装置,表示装置)
4 電力移送装置
5 電源車(移動体)
6 高所作業車(移動体)
7 電気自動車(移動体)
8 管理事務所(管理者)
33 電力移送制御部(電力移送制御装置)
34 発電制御部(発電制御装置)
36 故障判定部(故障判定装置)
51 発電装置
54,63,71 蓄電装置
56 交流電気機器(電気的負荷)
57 直流電気機器(電気的負荷)
64 ポンプ駆動モータ(電気的負荷)
66,76 通信端末(移動体側通信装置,表示装置)
74 電動機器(電気的負荷)
81 管理者PC(管理者側通信装置)
91〜94 検出器(検出装置)
図1
図2