(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-191608(P2021-191608A)
(43)【公開日】2021年12月16日
(54)【発明の名称】工具用ビットのホルダ
(51)【国際特許分類】
B25H 3/04 20060101AFI20211119BHJP
B25F 5/02 20060101ALI20211119BHJP
【FI】
B25H3/04
B25F5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【公開請求】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2021-151446(P2021-151446)
(22)【出願日】2021年9月16日
(71)【出願人】
【識別番号】521409766
【氏名又は名称】平野 佑紀
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
(72)【発明者】
【氏名】平野 佑紀
【テーマコード(参考)】
3C012
3C064
【Fターム(参考)】
3C012BJ03
3C064AA02
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA12
3C064BA18
3C064BB71
3C064CB17
3C064CB19
3C064CB62
3C064CB71
3C064CB76
3C064CB92
3C064CB94
(57)【要約】
【課題】交換用ビットを抜け落ちることがないように保持した状態で工具に対して一体化させることのできる、交換用ビットのためのホルダの提供。
【解決手段】工具に対して使用する交換用ビット5を保持するためのホルダ10が、弾性変形可能なプラスチックで形成されていて、ビット5の一本ずつを挿抜可能な筒状部分16を有する。筒状部分16は、ビット5の挿抜を可能にする開口部17と、ビット5の先端部が当接または接近可能な底部18とを有する。筒状部分16の周壁には開口部17に始まって、底部18に向かって延びるスリット20が形成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具に対して着脱可能な交換用ビットを保持するためのホルダであって、
前記ホルダは、弾性変形可能なプラスチックで形成されていて、前記工具に対する取り付け部と、前後方向を有していて前記ビットを前記前後方向において挿抜可能である収容部とを有し、
前記収容部は、前記ビットの長さ方向に延びて前記ビットの一本ずつを個別に前記前後方向において挿抜可能な筒状部分を有し、前記筒状部分の前端には前記ビットの前記筒状部分に対する挿抜を可能にする開口部が形成され、前記筒状部分の後端には進入した前記ビットの先端部が当接または接近可能な底部が形成されていて、前記筒状部分を画成している周壁には前記開口部に始まって前記底部に向かって延びるスリットが形成されていることを特徴とする前記ホルダ。
【請求項2】
前記底部は、前記筒状部分の内側に面する内面を有し、前記内面には永久磁石が存在し、前記筒状部分に挿入された前記ビットの先端部が磁性体である場合の前記先端部を前記永久磁石の磁力によって前記底部に固定可能である請求項1記載のホルダ。
【請求項3】
前記底部は、前記内面の反対面である外面を有し、前記永久磁石の磁力が前記外面にも及んで、前記外面に磁性体で形成された物品を着脱可能である請求項2記載のホルダ。
【請求項4】
前記ホルダは、前記筒状部分に前記ビットが挿入されると、前記ビットが前記筒状部分の内周面を押圧して前記スリットの幅が拡開するように前記筒状部分が弾性変形し、挿入された前記ビットが前記筒状部分の弾性的な復元力によって前記筒状部分に握持される請求項1−3のいずれかに記載のホルダ。
【請求項5】
前記筒状部分の径方向断面において、前記筒状部分の内周面と外周面とのうちの少なくとも前記内周面が正六角形を画き、前記正六角形の稜線の一つを含むように前記スリットが形成されている請求項1−4のいずれかに記載のホルダ。
【請求項6】
前記ホルダにおいて、前記収容部は、径方向において隣り合う少なくとも3本の前記筒状部分を含み、隣り合う前記筒状部分どうしは互いの周壁において一体化されており、前記筒状部分の全体である前記収容部では、前記筒状部分の中心をつなぐ線が前記前後方向の前方から見たときに、山型および谷型のいずれかの形状を画いている請求項1−5のいずれかに記載のホルダ。
【請求項7】
前記筒状部分の前記内周面には、前記ビットが前記筒状部分に挿入される過程において前記ビットの一部分が摺接可能である複数の突起が形成されている請求項1−6のいずれかに記載のホルダ。
【請求項8】
前記収容部では、前記前後方向へ互いに平行して延びる複数の筒状部分が、前記前後方向と直交する方向へ平板状に並んでいる請求項1−5のいずれかに記載のホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ドライバやインパクトドライバ等の工具に使用するビットを工具と一体化させて持ち運ぶことを可能にするホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
エアドライバや電動ドライバ等の工具であって、その工具で使用するビットを交換可能なものはよく知られている。またビットには様々な種類があることもよく知られている。一方、例えばエアドライバを使用する作業者は、作業内容に対応すべく複数種類の交換用ビットを用意してその作業に臨むことがある。そのため、複数種類のビットを作業者とともに、またはドライバとともに携行することを可能にすることが試みられている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の発明は、先端工具ホルダおよび電動工具を提供するものであって、その先端工具の一例は、電動工具用のビットである。ホルダは、電動工具に取り付けられるとともに、複数のビットを一つずつ収納可能な収納部を備えている。
【0004】
また、特許文献2に記載のビット携帯用ホルダーは、ベルト通し孔が形成された装着部と、ビットを吊り下げるための掛止孔が形成された吊下げ部とで構成されている。このビット携帯用ホルダーでは、作業者が着用しているベルトを利用して、作業者が複数のビットを持ち歩くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017−159419号公報
【特許文献2】特開2015−96283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の先端工具では、円孔状の収納部にビットを入れるだけであるから、ホルダを取り付けた電動工具が傾いたり、逆さになったりすると、ホルダからビットが落下することを避けることができない、というホルダとしての機能上の安定性や確実性に欠けるおそれがある。
【0007】
また、特許文献2に記載のビット携帯用ホルダーは、作業者のベルトに対してビットを吊り下げるようにして保持するものであるから、作業者の動きとともに揺れ動き、作業の邪魔になるという恐れがある。加えて、ビットは、ビットを取り付けるべき工具とは全く別に携帯することになるから、工具を使用する作業者が交代するときには、ホルダーをベルトから外し、次の作業者のベルトに付け替えなければならないという煩雑さがある。
【0008】
本発明が課題とするところは、交換用のビットを落下することがないように保持することができて、工具に対して取り外し可能に一体化させることのできる、交換用ビットのためのホルダの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために本発明が対象とするのは、工具に対して着脱可能な交換用ビットを保持するためのホルダである。
【0010】
かかるホルダにおいて、本発明が特徴とするところは、次のとおりである。すなわち、前記ホルダは、弾性変形可能なプラスチックで形成されていて、前記工具に対する取り付け部と、前後方向を有していて前記ビットを前記前後方向において挿抜可能である収容部とを有する。前記収容部は、前記ビットの長さ方向に延びて前記ビットの一本ずつを個別に前記前後方向において挿抜可能な筒状部分を有し、前記筒状部分の前端には前記ビットの前記筒状部分に対する挿抜を可能にする開口部が形成され、前記筒状部分の後端には進入した前記ビットの先端部が当接または接近可能な底部が形成されていて、前記筒状部分を画成している周壁には前記開口部に始まって前記底部に向かって延びるスリットが形成されている。
【0011】
本発明の実施態様の一つにおいて、前記底部は、前記筒状部分の内側に面する内面を有し、前記内面には永久磁石が存在し、前記筒状部分に挿入された前記ビットの先端部が磁性体である場合の前記先端部を前記永久磁石の磁力によって前記底部に固定可能である。
【0012】
本発明の実施態様の他の一つにおいて、前記底部は、前記筒状部分の内側に面する内面と、前記内面の反対面である外面とを有し、前記永久磁石の磁力が前記外面にも及んで、前記外面に磁性体で形成された物品を着脱可能である。
【0013】
本発明の実施態様のさらに他の一つにおいて、前記ホルダは、前記筒状部分に所要の前記ビットが挿入されると、前記ビットの外周面が前記筒状部分の内周面を押圧して前記スリットの幅が拡開するように前記筒状部分が弾性変形し、挿入された前記ビットが前記筒状部分の弾性的な復元力によって前記筒状部分に握持される。
【0014】
本発明の実施態様のさらに他の一つでは、前記筒状部分の径方向断面において、前記筒状部分の内周面と外周面とのうちの少なくとも前記内周面が正六角形を画き、前記正六角形の頂点の一つを含むように前記スリットが形成されている。
【0015】
本発明の実施態様のさらに他の一つでは、前記ホルダにおいて、前記収容部は、径方向において隣り合う少なくとも3本の前記筒状部分を含み、隣り合う前記筒状部分どうしは互いの周壁において一体化されており、前記筒状部分の全体である前記収容部では、前記筒状部分の中心をつなぐ線が前記前後方向の前方から見たときに、山型および谷型のいずれかの形状を画いている。
【0016】
本発明の実施態様のさらに他の一つにおいて、前記筒状部分の前記内周面には、前記ビットが前記筒状部分に挿入される方位において前記ビットの一部分が摺接可能である複数の突起が形成されている。
【0017】
本発明の実施態様のさらに他の一つにおいて、前記収容部では、前記前後方向へ互いに平行して延びる複数の筒状部分が、前記前後方向と直交する方向へ平板状に並んでいる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るホルダは、工具に着脱可能なものであって、ホルダとそれに収容されたビットとを工具とともに持ち運ぶことができる。弾性変形可能なプラスチックで形成されているホルダの収容部では、収容部における筒状部分に内径がその筒状部分よりも少し大きい外径のビットを挿入するならば、ビットの挿入とともに筒状部分が弾性変形して、挿入したビットを容易に抜けることがないように保持することができる。筒状部分の周壁にはスリットが形成されているから、筒状部分は容易に弾性変形する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】ホルダが取り付けられているインパクトドライバの斜視図。
【
図9】(a)〜(c)によって、ホルダにおける筒状部分の配置例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付の図面を参照して、本発明に係るホルダの詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0021】
図1,2において、
図1は本発明に係るホルダ10(
図2参照)を取り付けることのできる工具の一例であるインパクトドライバ1の斜視図であり、
図2は、そのホルダ10が取り付けられているインパクトドライバ1の斜視図である。
図1のインパクトドライバ1では、インパクトドライバ1を使用者のベルトに吊り下げるためのフック部材(図示せず)を取り付けることのできるネジ孔2と長孔3とが見えている。ホルダ10は、横方向Xと縦方向Yとを有し、インパクトドライバ1にセットして使用するビット5の複数を横方向Xへ延びた状態で保持することができる。
図2のインパクトドライバ1では、そのネジ孔2と長孔3とを利用してホルダ10がホルダ10に形成されている取り付け部位11において、雄ネジ50を介して、取り外し可能に固定されている。その取り付け部位11は、ネジ孔2に通じる透孔12と、長孔3に挿入可能な張り出し部13とを含んでいる(
図3参照)。ホルダ10はまた、ビット5に対する収容部15を有する。収容部15は、ビット5を個別に挿抜可能な筒状部分16を含むもので、図示例では周壁28の一部を互いに共有することによって一体になっている複数の円筒状部分16を含んでいる。筒状部分16のそれぞれには、長さや先端部の形状の異なる複数種類のビット5を挿入することができる。インパクトドライバ1を持つ作業者(図示せず)は、適宜のビット5を筒状部分16から抜き取って、インパクトドライバ1にセットすることができる。また、その作業者は、インパクトドライバ1から外したビット5(図示せず)を筒状部分16に挿入することができる。
【0022】
図3は、ホルダ10の斜視図である。図において、ホルダ10は、縦方向Yの上方に取り付け部位11を有し、下方に収容部15を有する。また、横方向Xの図における右手はホルダ10の前方であり、左手は後方である。収容部15における筒状部分16は、その前方に開口部17を有し、後方に底部18を形成する底板18aを有する。筒状部分16の径方向における断面形状は、内面の側も外面の側も後記するように実質的な意味においての正六角形であって、ビット5のシャンクである六角柱部分25aの断面形状に相似であるが、内面の側の正六角形はビット5における六角柱部分25aの断面形状とほぼ同じであるか、それよりも僅かに小さい。上下方向Yにおいて隣り合う筒状部分16どうしは、互いの外面の一部分を一体化させるようにつなぐ連結部19を介して一体となり、3つ以上の筒状部分16を有する場合の収容部15は
図8において説明するように山型を成して、換言すると弧を描くように湾曲して上下方向Yへ延びている。径方向の断面形状が少なくとも内面側において六角形である筒状部分16のそれぞれではまた、六角形の稜線のうちの一つに相当する部分に開口部17から底部18に向かって延びるスリット20が形成されている。
【0023】
このようなホルダ10は、取り付け部位11と収容部15とが一体をなすようにABS樹脂等の弾性変形可能な熱可塑性のプラスチックで形成されている。それゆえ、ビット5における六角柱部分25aの断面形状が筒状部分16の内面の側の断面形状と同じであるか、その断面形状よりも僅かに大きいビット5を筒状部分16に挿入すると、筒状部分16はスリット20の幅が大きくなるように弾性変形しながらそのビット5を受け入れることができる。ビット5を受け入れた後の筒状部分16では、スリット20の幅を復元させようとする弾性的な力が作用し、その力はビット5を締め付けてビット5が筒状部分16から抜け出ることを防ぐように作用する。その結果として、ホルダ10によるビット5の保持が確実なものになる。
【0024】
図4,5において、
図4は、ホルダ10における収容部15の底部18を示すためのホルダ10を後方から見たときの斜視図であり、
図5は、ホルダ10の分解斜視図である。ただし、
図4において図示されているネジ51,52は、
図5において、その図示が省略されている。ホルダ10では、収容部15におけるすべての筒状部分16に共通の底部となる熱可塑性プラスチック製の底板18が収容部15に対して接着されている。また、個々の筒状部分16では、後記するように、底板18の内面側に盤状の永久磁石21が存在する。その永久磁石21の磁力は、底板18の外面側にも及んでいて、例えば鉄製のネジ51,52を
図4に示すように底板18に一時的に取り付けておくことができる。さらに、
図5において明らかなように、筒状部分16には、前後方向Xの後方、すなわち開口部17の反対端側に永久磁石21を収容するための拡径部22aが形成されている。拡径部22aに収容された永久磁石21は、開口部17に対向する内面21aと底板18に対向する外面21bとを有し、内面21aが拡径部22aにおける段差部22bに当接する一方、外面21bが底板18で覆われることによって、拡径部22aから抜け落ちることがない。筒状部分16には、段差部22bによって、透孔である縮径部22c(
図6参照)が形成されている。
【0025】
永久磁石21がこのような態様で使用されていることから明らかなように、筒状部分16では、その底面が永久磁石21によって形成されることになる。それゆえ、筒状部分16に挿入されるビット5は、それが磁性体で形成されているならば、挿入の最終的な段階においては、磁力の作用下に筒状部分16に引き込まれ、好ましくは、縮径部22cに進入して永久磁石21と接触するところまで引き込まれ、挿入後におけるビット5の保持状態が確かなものになる。いいかえれば、挿入後のビット5には、それを挿入部16へ引き込むように磁力が常に作用しているので、ビット5がホルダ10から抜け落ちることを防ぐことができる。例えば、ホルダ10を長期間使用することによって、筒状部分16の内面が摩耗したり、変形したりして、ビット5に対する筒状部分16の弾性的な保持力が低下した場合には、ビット5が筒状部16から不意に抜け落ちることを永久磁石21の作用によって防ぐことができる。
【0026】
図6は、
図3におけるVI−VI線矢視図であって、ビット5が挿入されているときの筒状部分16の断面状態を示している。ただし、図において、ビット5は、仮想線で示されている。筒状部分16は、正六角形の断面形状を画成している周壁28の内周面26と、底面を形成する永久磁石21と含んでいる。内周面26では、正六角形を画成する周面部分26a〜26fのそれぞれにおいて、正六角形の中心に向かっての高さhを有する突起27(27a〜27f)が形成されている(
図3を併せて参照)。図のビット5は、シャンク(六角柱部分)25aと先端部25cとの間に細径の溝部25bを有し(
図3を併せて参照)、突起27a〜27fは、溝部25bに納まっている。先端部25cは、縮径部22cに進入して永久磁石21に接触した状態にあるか、僅かなクリアランス、例えば0.5〜2mm程度のクリアランスをあけて接近している。ビット5が筒状部分16に挿入されるときの好ましい過程では、ビット5の先端部25cにおける周面の一部が突起27a〜27fに摺接して、筒状部分16を僅かに弾性変形させながらその突起27a〜27fを通過し、ビット5の最先端部25eが永久磁石21に当接することおよび/またはシャンク25aの端部が突起27a〜27fに当接することによって、筒状部16に対するビット5の挿入が終わる。最先端部25eが突起27a〜27fを通過して永久磁石21に接近する瞬間では、ビット5に作用する磁力が急激に大きくなって最先端部25eが勢いよく永久磁石21に衝接または最接近する。本発明の好ましい実施態様においては、その衝接する瞬間に、カチッというクリック音が発生し、挿入が完了したことを作業者に容易に知覚させることができる。
【0027】
挿入後のビット5は、弾性変形した筒状部分16の弾性的な復元力によって握持されていること、永久磁石21の作用を受けていること、突起27a〜27fがビット5の溝部25bに進入していること等の作用によって、筒状部分16から抜け落ちるということがない。しかし、ビット5を使用するときには、ビット5を筒状部分16から強く引き抜くようにすればよい。
【0028】
図7は、ホルダ10の使用態様を例示する図であって、
図2におけるインパクトドライバ1とホルダ10とが、ホルダ10の底部18を正面にして画かれている。ただし、そのホルダ10には、参照符号10aが併記されている。
図7にはまた、インパクトドライバ1に関してホルダ10aと対称な形状にあるホルダ10が参照符号10bを付して示されている。ホルダ10aとホルダ10bとは、寸法、内部構造、機能を同じにすることができるものであるが、形状は図示の如く対称となるように作られている。1台のインパクトドライバ1で多種類のビット5を必要とする場合には、
図2に例示のホルダ10(10a)に加えて、
図6におけるホルダ10bをインパクトドライバ1に取り付けておくことができる。
【0029】
図8は、実施態様の一例を示す
図2と同様な図である。インパクトドライバ1に取り付けられた
図8のホルダ10は、取り付け部11と収容部15とを有するものであるが、収容部15は
図2のそれとは異なり、横方向Xへ延びる四つの筒状部分16が上下方向Yへ広がる平板を形成するように並んでいる。本発明は、このような
図8における態様でも実施することができる。ただし、この態様では、上下に並んだ4本のビット5(5a〜5d)のうちで、たとえば上から2番目のビット5bがビット5aおよびビット5cよりも長さが短いものであると、そのビット5bをホルダ10の筒状部分16から抜き取ったり、その筒状部分16に差し込んだりすることが難しくなる、ということがある。筒状部分16のそれぞれには、横方向Xへ延びるスリット20が形成されている。
【0030】
図9(a),(b),(c)は、ホルダ10の実施態様の一例として、収容部15における筒状部分16が3本以上である場合の筒状部分16a,16b,・・・16eの配置態様を例示している。各筒状部分16a,16b,・・・16eにおける開口部17a,17b,・・・17eの形状は実質的な意味においての正六角形であって、中心がPa,Pb,・・・Peで示されている。図示の点線Lは、その中心Pa,Pb,・・・Peを順につなぐ線である。
図9(a)では、三つの中心Pa,Pb,Pcをつなぐ点線Lが山型を画くように延びている。
図9(b)では、四つの中心Pa〜Pdをつなぐ点線Lが緩やかな山型を画くように延びている。
図9(c)では、五つの中心Pa〜Peをつなぐ点線Lが
図9(a)の場合と同様に、とがった山型を画くように延びている。本発明では、このように筒状部分16の中心Pを順につなぐ点線Lが山型を画くように筒状部分16を配置することによって、筒状部分16のそれぞれに挿入された少なくとも3本のビット5がそれらの径方向において一列に並び、ビット5の長さによっては、ビット5どうしの間にある中間のビット5が取り出しにくくなるという問題の発生を回避することができる。また、挿入されている2本のビット5の間にある未使用の筒状部分16に対して3本目のビット5を挿入することが容易になる。図示してはいないが、ホルダ10は、筒状部分16が6以上あるものであってもよい。なお、本発明でいう実質的な意味においての正六角形とは、ビット5における径方向の断面形状が正六角形の部分、すなわちシャンク25aや先端部25cを通過させることができる程度の形状であることを意味している。また、本発明において、複数の筒状部分16それぞれの中心をつなぐ点線Lが山型を画くということは、
図9における収容部15の上下の向きを反転させることによって、点線Lが谷型の曲線を画くと言い換えることもできる。
【0031】
ホルダ10における取り付け部位11は、図示例の形状に限定されるわけではなく、ホルダ10の使用対象となる工具1の形状、構造に応じて適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 工具(インパクトドライバ)
5,5a−5d ビット
10,10a,10b ホルダ
11 取り付け部位
15 収容部
16,16a−16e 筒状部分
17,17a−17e 開口部
18 底部(底板)
18a 底板
20 スリット
21 永久磁石
22 拡径部
25a 六角柱部分(シャンク)
25b 溝部
25c 先端部
26,26a−26f 内周面
27,27a−27f 突起
28 周壁
L 点線
Pa−Pe 中心
X 前後方向
Y 上下方向