【解決手段】シート体移送装置10は、載置ユニット20、引きつけユニット40及び取出ユニット30を備える。載置ユニット20は、シート束Bを載置可能な載置面21aを有する。引きつけユニット40は、載置面21a上のシート束Bに含まれる複数のシート体bのうち載置面21aに最も近いシート体bである最下位シート体b0を載置面21aに向けて引きつける。取出ユニット30が載置面21a上のシート束Bに含まれる複数のシート体bのうち載置面21aから最も遠いシート体bである最上位シート体b1を、シート束Bに含まれる複数のシート体bのうち載置面21aから2番目に遠いシート体bである次位シート体b2から分離する。
前記取出ユニットは、前記最上位シート体の一部のみを移動させることで前記最上位シート体を部分的に前記次位シート体から分離させた後、前記最上位シート体の全体を移動させることで前記最上位シート体の全体を前記次位シート体から分離する請求項1又は2に記載のシート体移送装置。
前記最上位シート体の全体を前記次位シート体から分離する際に、前記取出ユニットが前記最上位シート体に作用させる力は、前記引きつけユニットが前記最下位シート体に作用させる力よりも大きい請求項1〜4のいずれか一項に記載のシート体移送装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照してシート体移送装置の一実施形態である袋移送装置を例示する。以下に説明する袋移送装置は、寝かされた状態で相互に重ねられた複数の袋(シート体)を含む袋束(シート束)から1枚ずつ袋を取り出して後段に移送する装置である。後段に設けられる装置は限定されず、袋に所定の処理(例えば内容物投入処理)を施す装置、更なる後段の装置への袋の搬送を中継する装置、或いは袋を貯留する装置であってもよい。
【0016】
まず袋の複数枚持ち上げ(以下「マルチ持ち上げ」とも称する)が発生する主たる要因の一例について説明する。上述の「ダブル持ち上げ」は、ここで言う「マルチ持ち上げ」の一形態に該当する。
【0017】
図1〜
図3は、袋移送装置10の一例を示す正面図である。便宜的に2枚の袋bのみを含む袋束Bが
図1〜
図3に示されているが、
図1〜
図3に関する下記の説明は、3枚以上の袋bを含む袋束Bに対しても同様に適用されうる。
【0018】
複数の袋bを含む袋束Bが載置ユニット20に収容される。この袋束Bは、収容底部21の上面により構成される載置面21aに載せられた状態で、一対の収容側部22によって幅方向Dwの位置が制限されるとともに、ストッパー52によって先頭位置(すなわち
図1〜
図3における紙面の手前側位置)が制限される。
【0019】
一対の収容側部22は、お互いに、収容底部21から幅方向Dwに等距離に配置され、幅方向Dwに対称的に移動可能に設けられている。
図1〜
図3に示す例では、袋束B(すなわち各袋b)の幅方向Dwのサイズが収容底部21の幅方向Dwのサイズよりも大きく、載置面21a上の袋束Bは収容底部21から幅方向Dwに突出している。各収容側部22は、少なくとも部分的に収容底部21と同じ高さ位置において延在しており、収容底部21と衝突しない範囲で幅方向Dwへ移動することができる。各収容側部22の幅方向Dwの位置は、収容底部21に載せられる袋束Bの幅方向Dwのサイズに応じて決められる。ただし収容側部22間の最小間隔は、各収容側部22が収容底部21の側方部分に接触している状態であって、収容底部21の幅方向Dwのサイズに等しい。載置面21aに載せられる袋束B(すなわち各袋b)の幅方向Dwのサイズは、収容底部21(特に載置面21a)の幅方向Dwのサイズと同じであってもよいし、収容底部21(特に載置面21a)の幅方向Dwのサイズより小さくてもよい。
【0020】
収容底部21は、収容底部21を高さ方向Dhに貫通する検知孔23を有する。検知孔23は、収容底部21に載せられる袋束Bによって塞がれる位置に設けられ、検知センサー51から発射される検知光L(例えばレーザー光)が通過する。検知センサー51は、袋束B(特に最下位袋b0)による検知光Lの反射光を受光する。すなわち載置面21a上に袋束Bが載せられている間は、検知光Lが袋束B(特に最下位袋b0)により反射され、検知センサー51に入射する。一方、載置面21a上に袋束Bが載せられていない場合は、そのような検知光Lの反射光の検知センサー51における入射が起きない、或いは、反射光の検知センサー51に対する入射量が低減する。これらの事象に基づき、検知センサー51における検知光Lの反射光の受光結果に応じて、載置面21a上における袋bの有無を検知することができる。
【0021】
取出ユニット30の取出吸盤31は、載置面21a上の袋束Bの最上位袋b1に吸着し(
図1参照)、最上位袋b1を部分的に次位袋b2から分離させるめくり動作を行い(
図2参照)、その後、最上位袋b1を全体的に次位袋b2から分離させる(
図3参照)。
【0022】
これらの一連の袋取り出し過程において、
図3に示すように、最上位袋b1が次位袋b2から適切に分離されず、次位袋b2が最上位袋b1と一緒に持ち上がってしまうことがある。特に、最上位袋b1を全体的に次位袋b2から分離させる動作を行う際に、最上位袋b1と次位袋b2との間の接触面積S1(
図2参照)の方が、最下位袋b0(本例では次位袋b2)と載置面21aとの間の接触面積S0よりも大きい場合、次位袋b2〜最下位袋b0が最上位袋b1と一緒に持ち上がりやすい。これは、最上位袋b1と次位袋b2との間の密着力が、最下位袋b0と載置面21aとの間の密着力よりも大きくなることに1つの要因がある。それに加え、載置面21a上に残存する袋bの数が少なくなって、載置面21a上に残存する袋b(特に次位袋b2〜最下位袋b0)の総重量が小さい場合に、次位袋b2〜最下位袋b0が最上位袋b1と一緒に持ち上がりやすい。したがって、
図1〜
図3に示すように載置面21a上に2枚の袋bのみが残っている場合には、最上位袋b1とともに次位袋b2(すなわち最下位袋b0)が持ち上がってしまうマルチ持ち上げが特に発生しやすい。
【0023】
このように最上位袋b1及び次位袋b2のマルチ持ち上げが発生した場合、次位袋b2は、最上位袋b1とともに次工程位置に移送されたり、移送途中で落下したりする。特に、
図3に示すように、載置面21a上に2枚の袋bのみが残存している状態でマルチ持ち上げ(すなわちダブル持ち上げ)が発生すると、検知センサー51の検知結果から載置面21a上に袋bが存在しないと判定される。この場合、新たな袋束Bが載置面21a上に供給される。例えば、一旦持ち上げられた次位袋b2が最上位袋b1から剥がれて再び載置面21a上に着地した場合、載置面21a上で当該次位袋b2が新たに供給される袋束Bとぶつかってしまう懸念もある。
【0024】
上述のマルチ持ち上げの発生を防ぐ観点からは、例えば
図4に示す袋移送装置10が有効である。
図4に示す袋移送装置10は、収容底部21に載せられる袋束Bの最下位袋b0の下面は全体にわたって載置面21aに接触する。これにより、最上位袋b1と次位袋b2との間の接触面積と、最下位袋b0(本例では次位袋b2)と載置面21aとの間の接触面積との差が小さくなる。その結果、最上位袋b1と次位袋b2との間の密着力と、最下位袋b0(すなわち次位袋b2)と載置面21aとの間の密着力とが相互に近づき、マルチ持ち上げの発生を有効に防ぐことができる。
【0025】
ただし各収容側部22は、収容底部21の上面上に位置づけられ、特に幅方向Dwのサイズが異なる様々な袋束Bに対応するために幅方向Dwへ移動可能に設けられている。この場合、各収容側部22は、収容底部21の上面に沿ってスライド可能なように、収容底部21とは別体として構成される。そのため、各収容側部22と収容底部21の上面との間には隙間Gが形成されることになる。当該隙間Gには、載置面21a上の袋b(例えば最下位袋b0)が挟まる懸念がある。
【0026】
上述の隙間Gにおける袋bの挟まりを防ぐ観点からは、例えば
図5に示す袋移送装置10が有効である。
図5に示す袋移送装置10において、各収容側部22は、垂直方向に延びる垂直延在部22a及び水平方向に延びる水平延在部22bを有する。垂直延在部22aが袋束Bの幅方向Dwの位置を制限し、水平延在部22bが袋束Bを載置可能な載置面21aを構成する。各収容側部22において垂直延在部22a及び水平延在部22bは、一体的に設けられていてもよいし(
図5の左側の収容側部22参照)、別体として設けられていてもよい(
図5の右側の収容側部22参照)。垂直延在部22a及び水平延在部22bを別体として設ける場合、垂直延在部22a及び水平延在部22bの接合面の延在方向は、載置面21a上の袋束Bから遠ざかる水平方向成分を含まないことが好ましい。
図5における右側の収容側部22の垂直延在部22aと水平延在部22bとの間の接合面は、垂直方向に延びる。
【0027】
図5に示す袋移送装置10によれば、各収容側部22と収容底部21の上面との間の隙間Gに載置面21a上の袋b(特に最下位袋b0)が挟まる懸念はない。ただし、幅方向Dwのサイズが異なる様々な袋束Bに対応するために各収容側部22を幅方向Dwへ移動可能に設ける場合、載置面21a上の袋束Bの下方であってそれぞれの収容側部22の水平延在部22b間には、持上ギャップQが存在しうる。袋束Bは、持上ギャップQにおいて、載置面21aに接触しない。したがって持上ギャップQの幅方向Dwのサイズが大きくなるほど、最下位袋b0と載置面21aとの間の接触面積が小さくなり、「最下位袋b0と載置面21aとの間の接触面積」と「最上位袋b1と次位袋b2との間の接触面積」との差が大きくなって、マルチ持ち上げの発生の懸念が高まる。一方、持上ギャップQの幅方向Dwのサイズの許容範囲が小さくなるほど、各収容側部22に許容される幅方向Dwへの移動量が小さくなり、対応可能な袋束Bの幅方向Dwのサイズ範囲が小さくなる。
【0028】
本件発明者は、上述の事項を総合的に勘案しつつ鋭意研究を行った結果、以下に例示される袋移送装置10の形態を考案するに至った。
【0029】
図6は、袋移送装置10の一例を示す側方図である。
図7は、
図6に示す袋移送装置10の平面図である。
図8は、
図6に示す袋移送装置10の正面図である。理解を容易にするため、
図6において、一部要素(例えば、収容底部21、ストッパー52及び押込部62)は断面が示されている。また明瞭さのために、
図6〜
図8において袋移送装置10は簡略化して示されている。例えば、
図6では、2つの収容側部22のうち手前側に設けられている収容側部22及び側部移動デバイス24の図示が省略されている。
図7では、制御装置50等の図示が省略されている。
図8では、引きつけユニット40の少なくとも一部、側部移動デバイス24、及び制御装置50の図示が省略されている。
図6〜
図8に示す袋移送装置10及び袋束B(袋b)のうち、
図1〜
図5に示され且つ同様の機能を奏する要素については、詳細な説明を省略する。
【0030】
図6〜
図8に示す袋移送装置10は、載置ユニット20、取出ユニット30及び引きつけユニット40を有する。
【0031】
載置ユニット20は、袋束Bを載置可能な載置面21aを有する。本実施形態の載置ユニット20は、載置面21aを持つ収容底部21と、水平方向(特に幅方向Dw)にお互いに対向して位置し且つ相互間に載置面21aの全体が位置づけられる2つの収容側部22とを具備する。当該2つの収容側部22は、載置面21a上の袋束Bの水平方向(特に幅方向Dw)への移動を制限する。
【0032】
2つの収容側部22は、相互間の水平方向(特に幅方向Dw)の間隔を変えられる。本実施形態では、側部移動デバイス24によって、2つの収容側部22が載置面21a(すなわち収容底部21)を中心に幅方向Dwへ対称的に移動させられる。
図7に示す側部移動デバイス24は、側部駆動源25と、側部駆動源25により回転させられる駆動ボールねじ26とを具備する。駆動ボールねじ26は、収容底部21の下方において幅方向Dwに延び、各収容側部22にねじ結合されている。駆動ボールねじ26のうち一方の収容側部22が結合される部分に形成されているねじの向きと、他方の収容側部22が結合される部分に形成されているねじの向きとはお互いに逆向きである。そのため2つの収容側部22は、駆動ボールねじ26の回転に応じて、幅方向Dwへ対称的に移動する。
【0033】
図6〜
図8に示す載置ユニット20は、更にストッパー52を有する。ストッパー52は、取り出し位置P0に位置する袋束Bの先頭位置(すなわち進行方向Dfの先頭位置)を制限する。袋束Bは、収容底部21の上面のうち準備位置P1に載せられた後、押込装置60により収容底部21の上面上を進行方向Dfにスライド移動させられて、取り出し位置P0に配置される。図示の押込装置60は、制御装置50に対して電気的に接続され当該制御装置50の制御下で駆動される押込駆動デバイス(例えばエアシリンダ)61と、押込駆動デバイス61により進行方向Dfに対して進退させられる押込部62とを具備する。
【0034】
図6〜
図8に示す収容底部21は、複数の負圧孔44及び1つの検知孔23を有する。複数の負圧孔44は、後述のように、引きつけユニット40により真空状態にされ、載置面21a(特に取り出し位置P0)上の袋束Bの最下位袋b0を載置面21aに向けて引きつけるために設けられている。検知孔23は、検知センサー51から発射される検知光Lが通過し、当該検知光Lを載置面21a(特に取り出し位置P0)上の袋束Bの最下位袋b0に照射するために設けられている。
【0035】
引きつけユニット40は、載置面21a(特に取り出し位置P0)上の袋束Bに含まれる複数の袋bのうち載置面21aに最も近い最下位袋b0(本例では最も下側に位置する最下位袋b0)を、載置面21aに向けて引きつける。本実施形態の引きつけユニット40は、最下位袋b0に負圧を作用させることで最下位袋b0を載置面21aに向けて引きつける。
【0036】
引きつけユニット40は、最下位袋b0を載置面21aに向けて引きつける動作のオン及びオフを行う。引きつけユニット40は、次位袋b2に接触している最上位袋b1を取出ユニット30が移動させる間、少なくとも一時的に、最下位袋b0を載置面21aに向けて引きつける動作をオンにする。引きつけユニット40は、次位袋b2に接触している最上位袋b1を取出ユニット30が移動させない間、少なくとも一時的に、最下位袋b0を載置面21aに向けて引きつける動作をオフにする。
【0037】
図6に示す引きつけユニット40は、負圧供給源(例えば真空ポンプ)41と、負圧供給源41に負圧配管43を介して接続される負圧開閉弁42とを具備する。負圧開閉弁42は、制御装置50に対して電気的に接続されるとともに、負圧配管43を介して複数の負圧孔44に接続されており、制御装置50の制御下で負圧配管43を開閉する。負圧配管43は、負圧開閉弁42によりも下流側(すなわち負圧開閉弁42と複数の負圧孔44との間)において並列に分岐してそれぞれの負圧孔44に接続されている。
【0038】
負圧開閉弁42が開状態に置かれることによって、負圧配管43の流路が開かれ、負圧供給源41は、負圧配管43を介して各負圧孔44に連通し、各負圧孔44から気体を排出するように働く。したがって、載置面21a(特に取り出し位置P0)上の袋束B(特に最下位袋b0)が各負圧孔44を塞いでいる状態で負圧開閉弁42が開状態に置かれることで、各負圧孔44には真空が形成され、その結果、最下位袋b0に負圧が作用して最下位袋b0が載置面21aに向けて引きつけられる。一方、負圧開閉弁42が閉状態に置かれることによって、負圧配管43の流路は閉じられ、負圧供給源41と各負圧孔44との間の連通は遮断され、負圧供給源41は各負圧孔44から気体を排出しない。
【0039】
取出ユニット30は、載置面21a(特に取り出し位置P0)上の袋束Bに含まれる複数の袋bのうち載置面21aから最も遠い最上位袋b1(本例では最も上側に位置する最上位袋b1)を、袋束Bに含まれる複数の袋bのうち載置面21aから2番目に遠い次位袋b2(本例では上から2番目に位置する次位袋b2)から、分離する。
【0040】
本実施形態の取出ユニット30は取出吸盤31を具備し、最上位袋b1の一部のみを移動させることで最上位袋b1を部分的に次位袋b2から分離させた後、最上位袋b1の全体を移動させることで最上位袋b1の全体を次位袋b2から分離する。取出吸盤31は、吸着面における吸引動作(すなわち減圧動作)及び解放動作(すなわち増圧動作)を行うことで、最上位袋b1の吸引及び解放を行う。取出吸盤31は、制御装置50の制御下で吸引動作及び解放動作を行ってもよいし、予め決められている所定タイミングに応じて吸引動作及び解放動作を行ってもよい。
【0041】
最上位袋b1の全体を次位袋b2から分離する際に、取出ユニット30が最上位袋b1に作用させる力は、引きつけユニット40が最下位袋b0に作用させる力よりも大きい。本実施形態では、取出ユニット30の取出吸盤31が最上位袋b1(特に上方に向けられた側面)に負圧を作用させることによって最上位袋b1に上方向への力をかけ、引きつけユニット40が各負圧孔44を介して最下位袋b0(特に下方に向けられた側面)に負圧を作用させることによって最下位袋b0に下方向へ力をかける。このように負圧を利用して袋bに力を作用させる場合、「吸引面積(すなわち袋bのうち負圧が作用する部分の表面積)×負圧の大きさ=袋bにかかる力」という関係に基づいて、最上位袋b1及び最下位袋b0の各々にかかる力を算出することができる。
【0042】
制御装置50には、更に検知センサー51が電気的に接続されており、検知センサー51における検知結果が制御装置50に送信される。検知センサー51は、載置面21a上(特に取り出し位置P0)における袋bの有無を検知するセンサーである。
図6〜
図8に示す検知センサー51は、検知光Lを発射するとともに、検知光Lの反射光を受光することができる。検知センサー51は、当該反射光の受光結果に基づいて取り出し位置P0における袋bの有無を判定し、判定結果を制御装置50に送信する。ただし、検知センサー51は、検知光Lの反射光の受光結果(例えば受光量/受光強度)を制御装置50に送信し、制御装置50が、当該反射光の受光結果に基づいて取り出し位置P0における袋bの有無を判定してもよい。
【0043】
検知センサー51の具体的構成及び検知方式は限定されない。例えば、検知センサー51は、収容底部21(すなわち載置面21a)を介して高さ方向に相互に対向して配置される発光ユニット及び受光ユニットを具備し、発光ユニットから発射される検知光Lが受光ユニットにより受光されない間は載置面21a上の取り出し位置P0に袋bが存在すると判定し、検知光Lが受光ユニットにより受光されている間は載置面21a上の取り出し位置P0に袋bが存在しないと判定してもよい。また検知センサー51は光以外の手段を用いてもよい。
【0044】
次に、
図6〜
図8に示す袋移送装置10を使った袋取出方法(シート体取出方法)の一例について説明する。以下に例示される袋取出方法では、必要に応じて、各装置が制御装置50の制御下で駆動する。ただし袋移送装置10を構成する各装置は、必ずしも制御装置50によって適応的に制御されていなくてもよく、例えば予め決められたタイミングで必要な挙動を周期的に又は非周期的に示すように駆動されてもよい。
【0045】
図9〜
図17は、袋取出方法の一例を説明する袋移送装置10の正面図である。
図18及び
図19は、袋取出方法の一例を説明する袋移送装置10の側方図である。理解を容易にするため、
図18及び
図19において一部要素(例えば、収容底部21、ストッパー52及び押込部62)は断面が示されている。また上述の
図6〜
図8と同様に、明瞭さのために、
図9〜
図19において袋移送装置10は簡略化して示されている。
【0046】
本実施形態では、取り出し位置P0に位置づけられている載置面21a上の袋束Bの最上位袋b1が、取出ユニット30によって順次取り出され、後段の装置(図示省略)に渡される。特に、個々の最上位袋b1を取り出す工程は、めくりステップ及び全体分離ステップを含む。
【0047】
めくりステップでは、最上位袋b1の一部のみが次位袋b2から剥がされる。本例では、最上位袋b1の上方に向けられた側面に取出吸盤31が吸着し(
図8参照)、当該取出吸盤31がチルト動作を行うことによって最上位袋b1の一部のみが次位袋b2から分離する(
図9参照)。ここで言う「チルト動作」は、取出吸盤31の姿勢を傾ける動作であり、取出吸盤31の吸着面の向きが真下(
図8参照)から斜め下(
図9参照)に変えられる。これにより、最上位袋b1と次位袋b2との間の接触面積が減じられ、最上位袋b1と次位袋b2との間で働く密着力を弱めることができる。
【0048】
上述のように、最上位袋b1と次位袋b2との間の接触面積が、最下位袋b0と載置面21aとの間の接触面積よりも大きい場合に、袋bのマルチ持ち上げが発生しやすい。そのため、マルチ持ち上げを防ぐ観点からは、めくりステップを経ることによって、好ましくは「最上位袋b1と次位袋b2との間の接触面積≦最下位袋b0と載置面21aとの間の接触面積」が実現されるように、より好ましくは「最上位袋b1と次位袋b2との間の接触面積<最下位袋b0と載置面21aとの間の接触面積」が実現されるように、最上位袋b1が次位袋b2から部分的に分離させられる。
【0049】
その後、全体分離ステップにおいて、最上位袋b1の一部のみが次位袋b2から分離している状態で(すなわち取出吸盤31の一部のみが次位袋b2に接触している状態で)、取出吸盤31が上方に移動することにより、最上位袋b1の全体が次位袋b2から分離される(
図10)。
【0050】
このようにして次位袋b2から分離された最上位袋b1は、取出吸盤31とともに次工程位置に移送され、次工程位置において後段の装置に渡される。
【0051】
そして、取出吸盤31は次の袋bを取り出すために載置面21a(特に取り出し位置P0)の上方に戻され、取り出し位置P0に位置づけられている載置面21a上の袋束Bの最上位袋b1に吸着する(
図11参照)。ここで取出吸盤31によって吸着される最上位袋b1は、1つ前の袋bを取り出す工程における次位袋b2(
図8〜
図10参照)である。そして上述のめくりステップ(
図9参照)及び全体分離ステップ(
図10参照)が行われて、新たな袋b(すなわち最上位袋b1)が取出吸盤31とともに次工程位置に移送されて後段の装置に渡される。
【0052】
なお本例では、上述のめくりステップが開始される直前〜上述の全体分離ステップにおいて最上位袋b1の全体が次位袋b2から分離された後にわたって、負圧開閉弁42(
図6参照)は開状態に置かれ、最下位袋b0は載置面21aに向けて引きつけられる。一方、上述の全体分離ステップにおいて最上位袋b1の全体が次位袋b2から分離された後〜次の袋b(すなわち次の最上位袋b1)のめくりステップが開始される直前にわたって、負圧開閉弁42は閉状態に置かれる。これにより、最下位袋b0の引きつけ動作に要するエネルギー消費及びコストを抑えることができる。
【0053】
袋移送装置10は上述の一連の処理(
図9〜
図11参照)を繰り返し行うことにより、取り出し位置P0に位置づけられている載置面21a上の複数の袋bが、1枚ずつ、順次後段の装置に渡される。
【0054】
そして載置面21a上に2枚の袋bのみが残されている状態に至っても、袋移送装置10は同様に上述の一連の処理を繰り返し行う。すなわち、取出吸盤31が最上位袋b1の側面に吸着した状態で最上位袋b1が部分的に次位袋b2から分離され(めくりステップ:
図12及び
図13参照)、その後、最上位袋b1の全体が次位袋b2から分離され(全体分離ステップ:
図14参照)、最上位袋b1が次工程位置で後段の装置に渡される。この際にも「最上位袋b1のめくりステップが開始される直前〜上述の全体分離ステップにおいて最上位袋b1の全体が次位袋b2から分離された後」にわたって最下位袋b0は載置面21aに向けて引きつけられるため、上述のダブル持ち上げ・マルチ持ち上げを有効に防ぐことができる。
【0055】
そして載置面21a上に1枚の袋bのみが残されている状態に至っても、袋移送装置10は同様に上述の一連の処理を繰り返し行う。すなわち取出吸盤31は、載置面21a上の最後の1枚の袋bである最上位袋b1の側面に吸着し(
図15参照)、チルト動作を行う(
図16参照)。これにより、最上位袋b1の一部のみが載置面21aから分離する。その後、取出吸盤31は、最上位袋b1の全体を持ち上げる動作を行い(
図17参照)、最上位袋b1の全体を載置面21aから分離し(
図14参照)、最上位袋b1を次工程位置で後段の装置に渡す。上述のように取出吸盤31が袋bに作用させる力は引きつけユニット40が袋bに作用させる力よりも大きいので、取出吸盤31は、最上位袋b1でもあり最下位袋b0でもある最後の袋bを、載置面21aから適切に持ち上げることができる。
【0056】
このようにして、袋束Bのすべての袋bを載置面21a上の取り出し位置P0から取り出した後(
図18参照)、次の袋束Bが押込装置60によって取り出し位置P0に供給される(
図19参照)。具体的には、制御装置50が、検知センサー51の検知結果から取り出し位置P0に袋bが存在しなくなったことを検出した後、押込装置60を制御して、準備位置P1に配置されている袋束Bを押込部62により押して、当該袋束Bを取り出し位置P0に配置する。
【0057】
このように、取り出し位置P0と同じ平面(すなわち載置面21a)により構成される準備位置P1に、次の袋束Bを予め準備しておくことによって、押込部62の押し込み動作のみで次の袋束Bを取り出し位置P0に新たに供給することができる。そのため、袋束Bの供給を素早く行うことができ、取り出し位置P0に袋bが存在しない時間を短くすることができる。例えば、取出吸盤31が最後の袋bを取り出し位置P0から次工程位置に運ぶ途中、取出吸盤31が最後の袋bとともに次工程位置に滞在している間、或いは取出吸盤31が次工程位置から取り出し位置P0の上方に戻るまでの途中で、次の袋束Bを取り出し位置P0に供給することによって、取出吸盤31の袋取り出し動作を、中断させることなく、継続的に行うことができる。
【0058】
また、袋束Bが取り出し位置P0に供給されてから、すべての袋bを取り出し位置P0から取り出し終わるまでの間に準備位置P1に次の袋束Bを準備することに関しても、時間的な余裕が十分にある。したがって、準備位置P1から取り出し位置P0への袋束Bの供給も、取出吸盤31の袋取り出し動作を中断させることなく、継続的に行うことが可能である。
【0059】
以上説明したように上述の袋移送装置10及び袋取出方法によれば、最下位袋b0が載置面21aに向けて引きつけられている状態で、最上位袋b1を次位袋b2から分離することができる。このように上述の袋移送装置10及び袋取出方法は、簡素な装置構成によって、袋bの複数枚持ち上げ(すなわちマルチ持ち上げ/ダブル持ち上げ)を有効に防ぎつつ袋束Bから個々の袋bを確実に取り出すことが可能である。
【0060】
[変形例]
上述の実施形態では、個々の袋b(すなわち最上位袋b1)を取り出す工程がめくりステップ及び全体分離ステップを含むが、めくりステップを行うことなく、取出ユニット30(取出吸盤31)によって最上位袋b1の全体が次位袋b2から分離されてもよい。
【0061】
また上述の実施形態では、取出ユニット30(取出吸盤31)の挙動がめくりステップと全体分離ステップとの間において異なっているが、取出ユニット30(取出吸盤31)はめくりステップと全体分離ステップとの間で同様の挙動をとってもよい。例えば、取出吸盤31は、傾き動作及び上方移動を同時的に行ってもよく、めくりステップ及び全体分離ステップの両方において、同じように、取出吸盤31の姿勢の傾きを増大させつつ取出吸盤31を上方に移動させてもよい。
【0062】
また取出ユニット30は、取出吸盤31以外の負圧を利用するデバイスを使って袋bを保持して取り出してもよいし、負圧以外の力(例えばファンデルワールス力、クーロン力、或いは把持力等)を利用して載置面21a上の袋束Bから個々の袋bを取り出してもよい。同様に、引きつけユニット40は、上述の「負圧供給源41、負圧開閉弁42及び負圧配管43を含むデバイス(
図6参照)」以外の負圧を利用するデバイスを使って最下位袋b0を載置面21aに向けて引きつけてもよいし、負圧以外の力を利用して最下位袋b0を載置面21aに向けて引きつけてもよい。
【0063】
引きつけユニット40の「最下位袋b0を載置面21aに向けて引きつける動作のオン及びオフ」のタイミングは上述の例に限定されない。また、載置面21a上の1つの袋束Bのすべての袋bを取出ユニット30により取り出す間、常に「最下位袋b0を載置面21aに向けて引きつける動作」をオン状態にして、引きつけユニット40は最下位袋b0を載置面21aに向けて引きつけ続けてもよい。また、載置面21a上の取り出し位置P0に袋bが1枚のみ残っている状態では、常に「最下位袋b0を載置面21aに向けて引きつける動作」をオフにして、引きつけユニット40は最下位袋b0を載置面21aに向けて引きつけなくてもよい。
【0064】
上述の実施形態では、載置面21aが概ね水平方向と平行に延び、載置面21a上に載せられる袋束Bにおいて複数の袋bは概ね水平方向と直角を成す方向に積み重ねられているが、載置面21aは水平方向と非平行であってもよい。例えば、載置面21aは、水平方向から傾斜した方向に延びていてもよく、載置面21a上に載せられる袋束Bにおいて複数の袋bは垂直方向から傾斜した方向に積み重ねられていてもよい。
【0065】
上述の袋移送装置10及び袋取出方法は、袋束B以外のシート体に対しても応用可能である。載置面21aに載せられたシート束(すなわちお互いに積み重ねられた複数のシート体)から個々のシート体を適切に取り出すことが可能であるシート体移送装置及びシート体取出方法を、上述の袋移送装置10及び袋取出方法と同様に、実現することが可能である。
【0066】
本発明は、上述の実施形態及び変形例には限定されない。例えば、上述の実施形態及び変形例の各要素に各種の変形が加えられてもよい。また上述の実施形態及び変形例の構成が、全体的に又は部分的に組み合わせられてもよい。