(但し、0≦x≦1、0≦y≦0.05)で表される主成分及び副成分を含み、Cu Kα1 radiation(波長λ=1.5406Å)を用いた(002)と(200)面のXRD patternのピークにおいて、最大ピークに該当する角をθ
前記副成分は、Mn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu、及びZnのうち一つ以上を含む原子価可変アクセプタ元素、これらの酸化物、及びこれらの炭酸塩からなる群より選択される一つ以上の化合物を含む第1副成分を含み、
主成分100モル部に対して、前記第1副成分を0.1モル部以上及び/または1.0モル部以下の範囲で含む、請求項1または2に記載の誘電体。
前記副成分は、Y、Dy、Ho、Er、Gd、Ce、Nd、Sm、Tb、Tm、La、Gd、及びYbのうち一つ以上の元素、これらの酸化物、及びこれらの炭酸塩からなる群より選択される一つ以上の化合物を含む第3副成分を含み、
主成分100モル部に対して、前記第3副成分を0.3モル部以上及び/または5.4モル部以下の範囲で含む、請求項1または2に記載の誘電体。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態について説明する。これは、本明細書に記載されている技術を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の実施形態における様々な変更(modifications)、均等物(equivalents)、及び/または代替物(alternatives)を含むものとして理解すべきである。図面の説明において、類似の構成要素に対しては類似の参照符号が用いられることができる。
【0018】
また、図面においては、本発明を明確に説明するために、説明と関係ない部分は省略し、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示しており、同一の思想の範囲内において同一の機能を有する構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明することができる。
【0019】
本明細書において、「有する」、「有することができる」、「含む」、または「含むことができる」などの表現は、当該特徴(例:数値、機能、動作または部品などの構成要素)の存在を示し、更なる特徴の存在を排除するものではない。
【0020】
本明細書において、「AまたはB」、「Aまたは/及びBのうち少なくとも一つ」、または「Aまたは/及びBのうち一つまたはそれ以上」などの表現は、共に並べられた項目における全ての可能な組み合わせを含むことができる。例えば、「AまたはB」、「A及びBのうち少なくとも一つ」、または「AまたはBのうち少なくとも一つ」とは、(1)少なくとも一つのAを含む、(2)少なくとも一つのBを含む、または(3)少なくとも一つのA及び少なくとも一つのBのいずれも含む場合を指すことができる。
【0021】
図面において、X方向は第1方向、L方向または長さ方向、Y方向は第2方向、W方向または幅方向、Z方向は第3方向、T方向または厚さ方向と定義することができる。
【0022】
本発明は誘電体に関するものであって、本発明による誘電体は電子部品に適用されるものであり、本発明の誘電体を含む電子部品としては、キャパシタ、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、またはサーミスタなどが挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0023】
本発明の一実施形態による誘電体は、(Ba
1−xCa
x)(Ti
1−y(Zr、Sn、Hf)
y)O
3(但し、0≦x≦1、0≦y≦0.05)で表される主成分及び副成分を含み、Cu Kα1 radiation(波長λ=1.5406Å)を用いた(002)と(200)面のXRD patternのピークにおいて、最大ピークに該当する角をθ
0とし、半値幅(FWHM、Full Width at Half Maximum)に該当する角をそれぞれθ
1及びθ
2とするとき(但し、θ
1<θ
2)、(θ
2−θ
0)/(θ
0−θ
1)は0.54超過、1.0以下であってもよい。
【0024】
一例において、本発明の誘電体は、結晶粒(grain)及び結晶粒界(grain boundary)を含むことができる。
図1から
図3は、本発明の一実施形態による誘電体の微細構造を説明するための概略図である。本発明による誘電体は、後述の主成分及び副成分を焼結して形成されたものであってもよい。また、主成分及び副成分を焼結して形成した誘電体は結晶粒(grain)141及び結晶粒界(grain boundary)142を含むことができる。
【0025】
一般に、誘電体に対しては、高誘電率の特性が求められ、これにより誘電体を構成する誘電体組成物の結晶性を向上させるための研究が進められてきた。一方、本発明者らは、焼結後に生成された結晶粒の正方晶比(tetragonality=c/a)に応じて高電界dc−bias誘電率が変化することを見出した。
【0026】
結晶粒の正方晶比(tetragonality=c/a)と高電界dc−bias誘電率との関係を確認するために、3種類のprototype MLCC sampleを用意してテストした。
図4から
図6はそれぞれC−G、F−G、及びF−G−Baの微細構造を示す。上記
図4から
図6を通じて確認された結晶粒サイズはそれぞれ1740nm、251nm、及び259nmであった。これにより、
図4(C−G)と
図5(F−G)の比較は、結晶粒サイズによる差を反映し、
図5(F−G)と
図6(F−G−Ba)の比較は、同一の結晶粒サイズの条件において組成を異ならせた場合の比較結果を示す。
【0027】
図7は、C−G、F−G、及びF−G−Baをそれぞれ粉砕してパウダー状となった試料において、Cu Kα1 radiation(波長λ=1.5406Å)を用いたBaTiO
3(002)面と(200)面に該当するXRDパターン(XRD pattern)を示す。
図7を参照すると、正方晶比(tetragonality=c/a)のサイズはC−G>F−G>F−G−Baの順であり、ここで、C−Gは(002)面と(200)面の明らかなピーク分離を示しているが、F−Gでは二つのピークが部分的に重なり、F−G−Baでは完全に重なって、ほぼ立方体(cubic)構造であることが確認できる。
【0028】
また、
図7を参照すると、C−G、F−G、及びF−G−Baに対するCu Kα1 radiation(波長λ=1.5406Å)を用いた(002)と(200)面のXRD patternのピークにおいて、最大ピークに該当する角をθ
0とし、半値幅(FWHM、Full Width at Half Maximum)に該当する角をそれぞれθ
1及びθ
2とするとき(但し、θ
1<θ
2)、(θ
2−θ
0)は(最大ピークに該当する角と半値幅のうち小さい角に該当する角との差=A)を意味することができ、(θ
0−θ
1)は(半値幅のうち大きい角に該当する角と最大ピークに該当する角との差=B)を意味することができる。このとき、正方晶比(tetragonality=c/a)が1.004(F−G−Ba)、1.007(F−G)及び1.009(C−G)と大きくなるにつれてB/Aの値が小さくなることが確認できる。
【0029】
図8は、常温においてC−G、F−G、及びF−G−Baのdc−bias fieldによる誘電率を示す。結晶粒サイズがC−GからF−Gに減少することにより、8V/μm以上のdc高電界における誘電率は増加することが確認できる。また、同一の結晶粒サイズの条件下でF−GとF−G−Baを比較すると、誘電体の組成に応じてdc高電界誘電率が増加することが確認できる。この結果は、誘電体の組成を変更することで、高電界dc−bias誘電率を改善することができることを示す。
【0030】
上記結果から、焼結後の誘電体の正方晶比(tetragonality)が減少するほど、Cu Kα1 radiation(波長λ=1.5406Å)を用いた(002)と(200)面のXRD patternのピークにおいて、(最大ピークに該当する角と半値幅のうち小さい角に該当する角との差)/(半値幅のうち大きい角に該当する角と最大ピークに該当する角との差)=B/Aが増加し、高電界dc−bias誘電率が改善されることが確認できる。また、Cu Kα1 radiation(波長λ=1.5406Å)を用いたXRD patternのピークにおいて最大ピークに該当する角をθ
0とし、半値幅(FWHM、Full Width at Half Maximum)に該当する角をそれぞれθ
1及びθ
2とするとき(但し、θ
1<θ
2)、(θ
2−θ
0)/(θ
0−θ
1)=(最大ピークに該当する角と半値幅のうち小さい角に該当する角との差)/(半値幅のうち大きい角に該当する角と最大ピークに該当する角との差)=B/Aが0.54を超える場合、優れた高電界dc−bias誘電率を有することが確認できる。
【0031】
上記角の差の割合(θ
2−θ
0)/(θ
0−θ
1)=B/Aは0.54超過、0.55以上、0.56以上、0.57以上、または0.58以上であってもよく、上限は、例えば、1以下または1未満であってもよいが、これに制限されるものではない。上記角の差の割合(θ
2−θ
0)/(θ
0−θ
1)=B/Aが上記範囲を満たす場合、高電界dc−bias誘電率を改善することができる。
【0032】
本発明の一実施形態による誘電体は主成分及び副成分を含み、上記副成分は第1から第6副成分のうち少なくとも一つ以上を含むことができる。本明細書において「主成分」とは、他の成分に比べて相対的に多い重量割合を占める成分を意味することができ、全組成物または全誘電体層の重量を基準に50重量%以上の成分を意味することができる。また、「副成分」とは、他の成分に比べて相対的に少ない重量割合を占める成分を意味することができ、全組成物または全誘電体層の重量を基準に50重量%未満の成分を意味することができる。
【0033】
以下、本発明の一実施形態による誘電体の各成分をより具体的に説明する。
【0034】
a)主成分
本発明の一実施形態による誘電体は、(Ba
1−xCa
x)(Ti
1−y(Zr、Sn、Hf)
y)O
3(但し、0≦x≦1、0≦y≦0.05)で表される主成分を含むことができる。上記主成分は、例えば、BaTiO
3にCa、Zr、Sn及び/またはHfの一部が固溶された形で存在する化学物であってもよい。上記組成式においてxは0以上、1以下の範囲であってもよく、yは0以上、0.05以下の範囲であってもよいが、これに制限されるものではない。例えば、上記組成式においてxが0であり、yが0であり、zが0である場合、上記主成分はBaTiO
3となり得る。
【0035】
b)第1副成分
本発明の一実施形態によると、本発明による誘電体は、第1副成分として、Mn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu、及びZnのうち一つ以上を含む原子価可変アクセプタ(variable−valence acceptor)元素、これらの酸化物、及びこれらの炭酸塩からなる群より選択される一つ以上を含むことができる。
【0036】
上記第1副成分は、上記主成分100モル部に対して0.1モル部以上及び/または1.0モル部以下の範囲で含まれることができる。上記第1副成分の含量は、酸化物または炭酸塩のような添加形態を区分せず、第1副成分に含まれたMn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu、及びZnのうち少なくとも一つ以上の元素の含量を基準にすることができる。例えば、上記第1副成分に含まれたVの酸化物であるV
2O
5が0.1モル部含まれる場合、Vの含量の総和は0.2モル部であってもよい。
【0037】
上記第1副成分は、誘電体磁器組成物の耐還元性を改善させると共に、誘電体が適用された積層セラミック電子部品の高温耐電圧特性を向上させる役割を果たす。
【0038】
c)第2副成分
本発明の一実施形態によると、本発明による誘電体は、第2副成分として、Mgを含む原子価固定アクセプタ(fixed−valence acceptor)元素、これらの酸化物、及びこれらの炭酸塩のうち一つ以上を含むことができる。
【0039】
上記第2副成分は、主成分100モル部に対して2.0モル部以下の範囲で含まれることができる。上記第2副成分の含量は、酸化物または炭酸塩のような添加形態を区分せず、第2副成分に含まれたMg元素の含量を基準にすることができる。上記第2副成分の下限は特に制限されるものではない。例えば、主成分100モル部に対して0モル部以上または0モル部超過であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0040】
上記第2副成分の含量が主成分100モル部に対して2.0モル部を超える場合、誘電率が低くなり、高温耐電圧特性が低くなるという問題が発生し得る。
【0041】
d)第3副成分
本発明の一実施形態によると、本発明による誘電体は、Y、Dy、Ho、Er、Gd、Ce、Nd、Sm、Tb、Tm、La、Gd、及びYbのうち一つ以上の元素、これらの酸化物、及びこれらの炭酸塩からなる群より選択される一つ以上を含む第3副成分を含むことができる。
【0042】
上記第3副成分は、主成分100モル部に対して0.3モル部以上及び/または5.4モル部以下の範囲で含まれることができる。上記第3副成分の含量は、酸化物または炭酸塩のような添加形態を区分せず、第3副成分に含まれたY、Dy、Ho、Er、Gd、Ce、Nd、Sm、Tb、Tm、La、Gd、及びYbのうち少なくとも一つ以上の元素の含量を基準にすることができる。
【0043】
上記第3副成分は、本発明の一実施形態において、誘電体が適用された積層セラミック電子部品の信頼性低下を防止する役割を果たす。上記第3副成分が上述の範囲から外れる場合、高温耐電圧特性が低下し得る。
【0044】
e)第4副成分
本発明の一実施形態によると、本発明による誘電体は、Ba及びCaのうち一つ以上の元素、これらの酸化物、及びこれらの炭酸塩からなる群より選択される一つ以上を含む第4副成分を含むことができる。
【0045】
上記第4副成分は、主成分100モル部に対して5.0モル部以下の範囲で含まれることができる。上記第4副成分の下限は、例えば、主成分100モル部に対して0モル部以上、または0モル部超過であってもよい。上記第4副成分の含量は、酸化物または炭酸塩のような添加形態を区分せず、第4副成分に含まれたBa及びCaのうち少なくとも一つ以上の元素の含量を基準にすることができる。
【0046】
上記第4副成分を主成分100モル部に対して5.0モル部以下含むことで、本発明による誘電体の結晶構造を調節することができる。
【0047】
f)第5副成分
本発明の一実施形態によると、本発明による誘電体は、Si元素の酸化物、Si元素の炭酸塩、及びSi元素を含むガラスからなる群より選択される一つ以上を含む第5副成分を含むことができる。
【0048】
上記第5副成分は、主成分100モル部に対して0.5モル部以上及び/または5.0モル部以下の範囲で含まれることができる。上記第5副成分の含量は、ガラス、酸化物、または炭酸塩のような添加形態を区分せず、第5副成分に含まれたSi元素の含量を基準にすることができる。
【0049】
上記第5副成分の含量が主成分100モル部に対して0.5モル部未満の場合は、誘電率及び高温耐電圧が低下する可能性があり、5.0モル部を超えて含まれる場合は、焼結性及び緻密度の低下、2次相の生成などの問題が発生し得る。
【0050】
g)第6副成分
本発明の一実施形態によると、本発明による誘電体は、Na及びLiのうち一つ以上の元素、これらの酸化物、及びこれらの炭酸塩からなる群より選択される一つ以上を含む第6副成分を含むことができる。
【0051】
上記第6副成分は、主成分100モル部に対して1.0モル部以下の範囲で含まれることができる。上記第6副成分の含量の下限は、主成分100モル部に対して、例えば、0モル部以上、または0モル部超過であってもよい。
【0052】
上記第6副成分の含量は、ガラス、酸化物、または炭酸塩のような添加形態を区分せず、第6副成分に含まれたNa及びLiのうち少なくとも一つ以上の元素の含量を基準にすることができる。上記第6副成分は、焼結助剤として含まれることができ、焼成温度を下げる役割を果たすことができる。
【0053】
一例において、本発明による誘電体磁器組成物は、前述の第3副成分、第4副成分、及び第5副成分を含み、X軸を第5副成分の含量とし、Y軸を第3副成分と第4副成分の合計含量とするとき、第3、第4、及び第5副成分の含量関係が点A(0.500,1.900)、B(0.500,3.10)、C(5.000,5.400)、D(5.000,3.275)を連結する四角形の境界及びその内部に属することができる。
【0054】
図10は、上記点A、B、C、及びDを連結する四角形の境界とその内部を示す図である。上記点A、B、C、及びDを連結する四角形の境界とその内部については、後述する実施例により確認することができる。
【0055】
また、本発明は、積層セラミック電子部品に関するものである。
【0056】
図1は本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品を示す概略的な斜視図であり、
図2は
図1のI−I'に沿って切り取った積層セラミック電子部品を示す概略的な断面図であり、
図3は
図2のA領域の拡大図である。
【0057】
図1から
図3を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品100は、誘電体層111、第1内部電極121及び第2内部電極122を含むセラミック本体110を含むことができる。上記セラミック本体110の外部面に、上記第1内部電極121と連結される第1外部電極131、及び上記第2内部電極122と連結される第2外部電極132を含むことができる。
【0058】
上記セラミック本体110の具体的な形状には特に制限はないが、図示されているようにセラミック本体110は六面体形状、またはこれと類似した形状からなることができる。焼成過程でセラミック本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、セラミック本体110は完全な直線を有する六面体形状ではないものの、実質的に六面体形状を有することができる。
【0059】
上記セラミック本体110は、誘電体層111に第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシートと、誘電体層111に第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシートとを厚さ方向(Z方向)に交互に積層して形成することができる。
【0060】
上記セラミック本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が第3方向に交互に積層されていてもよい。セラミック本体110を形成する複数の誘電体層111は焼結した状態であって、隣接する誘電体層111の間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いずに確認することが困難なほどに一体化することができる。
【0061】
本発明の一実施例によると、上記誘電体層111は、前述の誘電体が層状構造を有するものであってもよく、(Ba
1−xCa
x)(Ti
1−y(Zr、Sn、Hf)
y)O
3(但し、0≦x≦1、0≦y≦0.05)で表される主成分及び副成分を含むことができる。また、上記誘電体層111を形成する材料としては、前述の誘電体の主成分及び副成分のほかに、本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などを添加することができる。
【0062】
上記誘電体層111は、前述の主成分及び副成分を含むスラリーに必要に応じた添加剤を追加し、これをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥して複数個のセラミックシートを設けることにより形成することができる。上記セラミックシートは、上記スラリーをドクターブレード法で数μmの厚さを有するシート(sheet)状に製作することで形成し得るが、これに限定されるものではない。
【0063】
上記誘電体層111は、Cu Kα1 radiation(波長λ=1.5406Å)を用いた(002)と(200)面のXRD patternのピークにおいて、最大ピークに該当する角をθ
0とし、半値幅(FWHM、Full Width at Half Maximum)に該当する角をそれぞれθ
1及びθ
2とするとき(但し、θ
1<θ
2)、(θ
2−θ
0)/(θ
0−θ
1)は0.54超過、1.0以下であってもよい。上記XRD patternと関連した内容は前述の通りであるため省略する。
【0064】
第1及び第2内部電極121、122は、各断面がセラミック本体110の対向する両端部にそれぞれ露出するように積層されることができる。上記第1及び第2内部電極121、122を形成する材料は特に制限されず、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち一つ以上の物質を含む導電性ペーストを用いて形成することができる。上記導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0065】
本発明の一例による積層セラミック電子部品は、セラミック本体の外部面に第1外部電極131及び第2外部電極132が配置されることができる。第1外部電極131は第1内部電極121と連結され、第2外部電極132は第2内部電極122と連結されることができる。
【0066】
第1外部電極131及び第2外部電極132は導電性金属を含むことができる。上記導電性金属は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、及びこれらの合金のうち一つ以上の導電性金属であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0067】
本発明の他の例において、本発明による積層セラミック電子部品の副成分は、Mn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu、及びZnのうち一つ以上を含む原子価可変アクセプタ元素、これらの酸化物、及びこれらの炭酸塩からなる群より選択される一つ以上の化合物を含む第1副成分と、Mgを含む原子価固定アクセプタ元素、これらの酸化物、及びこれらの炭酸塩のうち一つ以上の化合物を含む第2副成分と、Y、Dy、Ho、Er、Gd、Ce、Nd、Sm、Tb、Tm、La、Gd、及びYbのうち一つ以上の元素、これらの酸化物、及びこれらの炭酸塩からなる群より選択される一つ以上の化合物を含む第3副成分と、Ba及びCaのうち一つ以上の元素、これらの酸化物、及びこれらの炭酸塩からなる群より選択される一つ以上の化合物を含む第4副成分と、Si元素の酸化物、Si元素の炭酸塩、及びSi元素を含むガラスからなる群より選択される一つ以上の化合物を含む第5副成分と、Na及びLiのうち一つ以上の元素、これらの酸化物、及びこれらの炭酸塩からなる群より選択される一つ以上の化合物を含む第6副成分と、のうち少なくとも一つ以上を含むことができる。
【0068】
本発明のさらに他の例において、積層セラミック電子部品の副成分は、Y、Dy、Ho、Er、Gd、Ce、Nd、Sm、Tb、Tm、La、Gd、及びYbのうち一つ以上の元素、これらの酸化物、及びこれらの炭酸塩からなる群より選択される一つ以上の化合物を含む第3副成分と、Ba及びCaのうち一つ以上の元素、これらの酸化物、及びこれらの炭酸塩からなる群より選択される一つ以上の化合物を含む第4副成分と、Si元素の酸化物、Si元素の炭酸塩、及びSi元素を含むガラスからなる群より選択される一つ以上の化合物を含む第5副成分と、を含み、X軸を第5副成分の含量とし、Y軸を第3副成分と第4副成分の合計含量とするとき、第3、第4、及び第5副成分の含量関係は点A(0.500,1.900)、B(0.500,3.100)、C(5.000,5.400)、D(5.000,3.275)を連結する四角形の境界及びその内部に属することができる。
【0069】
その他、上記誘電体、主成分、及び副成分に関する具体的な説明は、上述の本発明の一実施形態による誘電体と同一であるため、ここでは省略する。また、本明細書において、積層セラミック電子部品として積層セラミックキャパシタを例示しているが、これに制限されるものではない。
【0070】
以下、実験例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、これは発明の具体的な理解を助けるためのものであり、本発明の範囲が実験例により限定されるものではない。
【0071】
実験例
主成分の原料物質として、平均粒子サイズが100nmであるBaTiO
3粉末を使用した。下記[表1]に明示された組成1−1から組成5−3に該当する主成分と副成分の原料粉末を、ジルコニアボールを混合/分散のメディアとして使用し、エタノール/トルエンと分散剤を混合して10時間ミリング(milling)した。そして、上記混合液にバインダを混合した後、10時間追加ミリング(milling)した。
【0072】
表1に明示された実施例1−2−A、1−2−B、及び1−2−Cは、誘電体の正方晶比(c/a)tetragonalityを下げるために、すなわち、(002)/(200)面のXRDピークのB/Aを高めるために、バインダ投入前のミリング時間を20、30、40時間に増加させた実施例を示す。
【0073】
製造されたスラリーを用いて、薄層sheet製造用成形機で厚さ0.8μmと10μmの成形シートを製造した。そして、上記成形シートにNi内部電極を印刷した。
【0074】
上下カバーはカバー用シート(10〜13μmの厚さ)を25層に積層して製作し、21層の印刷された活性シートを加圧しながら積層してバー(bar)を製作した。
【0075】
圧着バーは切断機を用いて3.2mm×1.6mmサイズのchipに切断した。製作が完了した3216サイズのMLCC chipはか焼を行った後、還元雰囲気0.1%のH
2/99.9%のN
2〜1.0%のH
2/99.0%のN
2(H
2O/H
2/N
2雰囲気)で1080〜1120℃の温度において保持時間10分〜1時間の範囲で焼成した後、950℃においてN
2雰囲気で3時間の間、再酸化熱処理した。
【0076】
焼成したチップに対して、Cuペーストでターミネーション工程及び電極焼成を経て外部電極を完成した。これにより、焼成後の誘電体の厚さが略0.6μmであり、誘電体の層数が20層である3.2mm×1.6mmサイズのMLCCチップを製作した。
【0077】
MLCCチップの常温静電容量及び誘電損失は、LCR meterを用いて1kHz、AC0.5V/μmの条件で容量を測定した。静電容量とMLCCチップの誘電体の厚さ、内部電極の面積、積層数からMLCCチップ誘電体の誘電率を計算した。
【0078】
常温絶縁抵抗は10個ずつサンプルをとり、DC10V/μmを印加した状態で60秒経過してから測定した。
【0079】
温度による静電容量の変化は、−55℃から145℃の温度範囲で測定した。
【0080】
高温IR昇圧実験は、150℃において電圧段階を10V/μmずつ増加させながら抵抗劣化挙動を測定し、各段階の時間は1時間であり、5秒間隔で抵抗値を測定した。また、高温耐電圧は、高温IR昇圧実験から導出されたもので、焼成後の1層の厚さが0.6μmで、20層の誘電体を有する3216サイズのチップに対して150℃において電圧ステップ(voltage step)dc5V/μmを1時間印加し、この電圧ステップを継続的に増加させながら測定したとき、IRが10
6Ω以上耐える電圧を意味する。
【0081】
表2は、表1に明示された実施例に該当するProto−type chipの特性を示す。
【0084】
上記表2及び下記表4における特性判定において、dc bias高電界誘電率@8V/μm(dc8V/μmが印加されたときの誘電率)が1000以上、高温(150℃)耐電圧が50V/μm以上、TCC(85℃)が13.5%未満の条件を全て満たす場合を○で示し、一つでも条件を満たしていない場合を×で示した。
【0085】
表1の実施例1−1から1−4は、80nmサイズの主成分原料BaTiO
3100モルに対して、第1副成分である原子価可変元素(Mn、V)の和が0.3モル、第2副成分であるMgの含量が0モル、第3副成分である希土類元素Dyの含量が0.3モル、第5副成分であるSiの含量が0.5モル、そして第6副成分である(Na、Li)の和が0.4モルに固定された条件において、第4副成分であるBaやCaの含量変化による実施例を示し、表2の1−1から1−4は、これらの実施例に該当するPrototype MLCC sampleの特性を示す。
【0086】
Baの含量が少ない1.2mol(実施例1−1)の場合、(002)/(200)面のXRDピークのB/Aが0.50と小さく、高電界誘電率が1000未満の低い値を示している。Baの含量が2.0モルに増加すると(実施例1−2)、XRDピークのB/A値が0.58と大きくなり、本発明の目標特性であるdc bias高電界誘電率@8V/μm(dc8V/μmが印加されたときの誘電率)1000以上、高温(150℃)耐電圧50V/μm以上、TCC(85℃)±15%未満の全ての特性を同時に実現することができる。Baの代わりに同一含量のCaに変更した場合でも(実施例1−3)、実施例1−2とほぼ同一の特性が実現されることが分かる。Baの含量が2.8モルに更に増加した場合には(実施例1−4)、B/Aが0.92と更に大きくなり、dc bias高電界誘電率@8V/μmは1115に更に増加することが確認できる。
【0087】
表1の実施例2−1から2−3は、80nmサイズの主成分原料BaTiO
3100モルに対して、第1副成分である原子価可変元素(Mn、V)の和が0.3モル、第2副成分であるMgの含量が0.2モル、第3副成分である希土類元素Dyの含量が0.3モル、第5副成分であるSiの含量が1.25モル、そして第6副成分である(Na、Li)の和が1.0モルに固定された条件において第4副成分であるBaの変化による実施例を示し、表2の2−1から2−3は、これらの実施例に該当するPrototype MLCC sampleの特性を示す。
【0088】
Baの含量が少ない1.6モル(実施例2−1)の場合、(002)/(200)面のXRDピークのB/Aが0.51であり、高電界誘電率が1000未満の低い値を示している。Baの含量が2.4モルに増加すると(実施例2−2)、XRDピークのB/Aが0.63に増加して、本発明の目標特性であるdc bias高電界誘電率@8V/μm(dc8V/μmが印加されたときの誘電率)1000以上、高温(150℃)耐電圧50V/μm以上、TCC(85℃)±15%未満の全ての特性を同時に実現することができる。Baの含量が3.2モルに更に増加した場合には(実施例2−3)、XRDピークのB/Aが0.82とさらに大きくなり、それによりdc bias高電界誘電率@8V/μmも1102に更に増加することが確認できる。
【0089】
表1の実施例3−1から3−3は、80nmサイズの主成分原料BaTiO
3100モルに対して、第1副成分である原子価可変元素(Mn、V)の和が0.3モル、第2副成分であるMgの含量が0.2モル、第3副成分である希土類元素Dyの含量が1.4モル、第5副成分であるSiの含量が2.75モル、そして第6副成分である(Na、Li)の和が0.4モルに固定された条件において、第4副成分であるBaの変化による実施例を示し、表2の3−1から3−3は、これらの実施例に該当するPrototype MLCC sampleの特性を示す。
【0090】
Baの含量が少ない1.2モル(実施例3−1)の場合、(002)/(200)面のXRDピークのB/Aが0.48であり、高電界誘電率が1000未満の低い値を示している。Baの含量が2.0モルに増加すると(実施例3−2)、XRDピークのB/Aが0.66に増加して、本発明の目標特性であるdc bias高電界誘電率@8V/μm(dc8V/μmが印加されたときの誘電率)1000以上、高温(150℃)耐電圧50V/μm以上、TCC(85℃)±15%未満の全ての特性を同時に実現することができる。Baの含量が2.8モルに更に増加した場合には、XRDピークのB/Aが0.82と更に大きくなり、dc bias高電界誘電率@8V/μmも1123に更に増加することが確認できる。
【0091】
表1の実施例4−1から4−4は、80nmサイズの主成分原料100モルに対して、第1副成分である原子価可変元素(Mn、V)の和が0.3モル、第2副成分であるMgの含量が2.0モル、第3副成分である希土類元素Dyの含量が1.0モル、第5副成分であるSiの含量が3.38モルに固定された条件において、第4副成分であるBaの変化による実施例を示し、表2の4−1から4−4は、これらの実施例に該当するPrototype MLCC sampleの特性を示す。
【0092】
Baの含量が少ない1.85モル(実施例4−1)の場合、(002)/(200)面のXRDピークのB/Aが0.48であり、高電界誘電率が1000未満の低い値を示している。Baの含量が2.7モルに増加すると(実施例4−2)、XRDピークのB/Aが0.60に増加して、本発明の目標特性であるdc bias高電界誘電率@8V/μm(dc8V/μmが印加されたときの誘電率)1000以上、高温(150℃)耐電圧50V/μm以上、TCC(85℃)±15%未満の全ての特性を同時に実現することができる。Baの代わりに同一含量のCaに変更した場合でも(実施例4−3)、実施例4−2とほぼ同一の特性が実現されることが分かる。Baの含量が3.65モルに更に増加した場合には、XRDピークのB/Aが0.82と更に大きくなり、dc bias高電界誘電率@8V/μmが1133に更に増加することが確認できる。
【0093】
表1の実施例5−1から5−3は、80nmサイズの主成分原料BaTiO
3100モルに対して、第1副成分である原子価可変元素(Mn、V)の和が1.0モル、第2副成分であるMgの含量が1.0モル、第3副成分である希土類元素Dyの含量が1.0モル、第5副成分であるSiの含量が5.00モルに固定された条件において、第4副成分であるBaの変化による実施例を示し、表2の5−1から5−3は、これらの実施例に該当するPrototype MLCC sampleの特性を示す。
【0094】
Baの含量が少ない2.4モル(実施例5−1)の場合、(002)/(200)面のXRDピークのB/Aが0.52であり、高電界誘電率が1000未満の低い値を示している。Baの含量が3.4モルに増加すると(実施例5−2)、XRDピークのB/Aが0.61に増加して、本発明の目標特性であるdc bias高電界誘電率@8V/μm(dc8V/μmが印加されたときの誘電率)1000以上、高温(150℃)耐電圧50V/μm以上、TCC(85℃)±15%未満の全ての特性を同時に実現することができる。Baの含量が4.4モルに更に増加した場合には、XRDピークのB/Aが0.85と更に大きくなり、dc bias高電界誘電率@8V/μmが1098に更に増加することが確認できる。
【0095】
表1の実施例1−2−Aから1−2−Cは、80nmサイズの主成分原料BaTiO
3100モルに対して、実施例1−2に該当する副成分を適用したときのバッチスラリーの混合ミリング時間の変化による実施例を示し、表2の1−2−Aから1−2−Cは、これらの実施例に該当するPrototype MLCC sampleの特性を示す。
【0096】
実施例1−2、1−2−A、1−2−B、1−2−Cの混合ミリング時間はそれぞれ10、15、20、30時間である。混合ミリング時間が10、15、20時間に増加するにつれて、(002)/(200)面のXRDピークのB/Aが0.58、0.70、0.85に増加しながら、dc bias高電界誘電率@8V/μmが1018、1084、1103に増加することが確認できる。したがって、副成分添加剤の組成を調節する以外に、混合ミリング時間を増加させて誘電体の正方晶比(tetragonality、c/a)を下げ、XRDピークのB/Aを増加させてもdc bias高電界誘電率@8V/μmを向上させることができることが分かる。一方、混合ミリング時間を30時間に過度に増加させる場合には、誘電体の結晶粒サイズが急激に大きくなって(002)/(200)面のXRDピークのB/Aが減少する。これにより、dc bias高電界誘電率@8V/μmが726に急激に低くなる。
【0099】
表3の実施例6から14は、実施例1−2に該当する副成分を適用し、100nmサイズの主成分原料物質の組成変化による実施例を示し、表4の6から14は、これらの実施例に該当するPrototype MLCC sampleの特性を示す。
【0100】
Tiの一部がZrに置換された場合、Zrの含量が0at%、2at%、5at%に増加するにつれて(実施例1−2及び6、7、8)、(002)/(200)面のXRDピークのB/Aが0.58、0.71、0.84に増加して、dc bias高電界誘電率@8V/μmが1018、1117、1205に増加するのに対し、85℃のTCCは−11.8%、−12.6%、−14.7%に減少する傾向を示す。したがって、副成分添加剤の組成を調節する以外に、主成分のTi元素の一部をZrに置換させることで、誘電体(002)/(200)面のXRDピークのB/Aを増加させてもdc bias高電界誘電率@8V/μmを向上させることができることが分かる。一方、Zrの含量を7at%に過度に増加させる場合には、XRDピークのB/Aが更に増加し、dc bias高電界誘電率@8V/μmが1284に更に増加するようになるが、85℃のTCCも−18.4%と更に大きくなって、TCC特性を満たせないという問題が発生する。したがって、主成分組成のZrの含量が0〜5at%の範囲で本発明の目標特性を実現できることが確認できる。
【0101】
表3の実施例9から11と実施例12から14は、主成分Tiの一部がSn及びHfに置換され、その含量がそれぞれ2at%、5at%、7at%に増加する実施例を示し、表4の実施例9から11と実施例12から14は、これらの実施例に該当するPrototype MLCC sampleの特性を示す。
【0102】
Zrが置換された場合と同様に、含量が2at%、5at%に増加するにつれて、85℃のTCCは規格を満たす範囲で減少し、(002)/(200)面のXRDピークのB/Aが増加し、dc bias高電界誘電率@8V/μmが増加することが確認できる。一方、Sn、Hfの含量を7at%に過度に増加させる場合には、XRDピークのB/Aがさらに増加してdc bias高電界誘電率@8V/μmがさらに増加するようになるが、85℃のTCCが±15%以下となるように要求されるX5R TCC特性を満たせないという問題が発生する。したがって、主成分組成のZrまたはSnやHfの含量が0〜5at%の範囲で本発明の目標特性を実現できることが確認できる。
【0103】
また、実施例1−4、2−3、3−3、4−4、及び5−3を通じて、
図10に示される第5副成分の含量に対する第3副成分、及び第4副成分の合計含量の境界値を確認することができる。実施例1−1、2−1、3−1、4−1、び5−1は特性判定を満たしていないのに比べて、実施例1−2、2−2、3−2、4−2、及び5−2は特性判定を満たしていることが確認できる。これにより、実施例1−1、2−1、3−1、4−1、及び5−1と実施例1−2、2−2、3−2、4−2、及び5−2の中間値において特性判定が変化することが確認できるため、上記実施例の中間値を境界値と判定した。これにより、第3、第4、及び第5副成分の含量範囲が
図10のA、B、C、及びDを連結する四角形の境界及びその内部に属するとき、優れた高温耐電圧及び高電界dc−bias特性を示すことが確認できる。