本発明は、誘電体層ならびに複数の第1及び第2内部電極を含むキャパシタ本体と、前記キャパシタ本体の両端部にそれぞれ配置されて第1及び第2内部電極の露出した部分とそれぞれ接続される第1及び第2外部電極と、を含み、誘電体層の厚さをAとし、前記キャパシタ本体の長さ方向のマージンの平均長さをBとして定義するとき、Aは1μm以下であり、A/Bが0.0016≦A/B<1を満たす、積層型キャパシタ及びその実装基板を提供する。
前記キャパシタ本体は、互いに対向する第1及び第2面と、第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面と、第1及び第2面と連結され、第3及び第4面と連結される第5及び第6面と、を含み、
前記第1及び第2内部電極は、誘電体層を間に挟んで一端が前記キャパシタ本体の第3及び第4面に交互に露出するように配置される、請求項1または2に記載の積層型キャパシタ。
【背景技術】
【0002】
積層型キャパシタ(MLCC:Multi−Layer Ceramic Capacitor)は、受動素子部品の一つであって、回路上で電気的信号を制御する役割を果たす。
【0003】
積層型キャパシタの主な役割は、電極内に電荷を蓄積し、直流(DC)信号を遮断し、交流(AC)信号を通過させるフィルタの役割を果たす。
【0004】
すなわち、積層型キャパシタは、電源ラインのACノイズ(noise)を迂回させて除去し、ICの動作を安定させる役割を果たすといえる。
【0005】
このようなMLCCの高容量化のために、様々な方法が試みられている。例えば、誘電体の誘電率を上昇させるか、誘電体の厚さを薄層化するか、または内部電極の重なり面積を増加させる方法などが開示されている。
【0006】
しかし、内部電極の重なり面積を増加させる場合、製品の長さ方向または幅方向のマージンが減少するようになるが、マージンの減少量が多過ぎると、電界特性が弱くなるという問題が発生することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、積層型キャパシタにおいて、内部電極の重なり面積を増加させながらも電界特性が劣化しないように、キャパシタ本体のマージンを最適化した積層型キャパシタ及びその実装基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面は、誘電体層ならびに複数の第1及び第2内部電極を含むキャパシタ本体と、上記キャパシタ本体の両端部にそれぞれ配置されて第1及び第2内部電極の露出した部分とそれぞれ接続される第1及び第2外部電極と、を含み、誘電体層の厚さをA、上記キャパシタ本体の長さ方向のマージンの平均長さをBと定義するとき、Aは1μm以下であり、A/Bが0.0016≦A/B<1を満たす積層型キャパシタを提供する。
【0010】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2内部電極の厚さが0.4μm以下であってもよい。
【0011】
本発明の一実施形態において、上記キャパシタ本体は、互いに対向する第1及び第2面と、第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面と、第1及び第2面と連結され、第3及び第4面と連結される第5及び第6面と、を含み、上記第1及び第2内部電極は、誘電体層を間に挟んで一端が上記キャパシタ本体の第3及び第4面に交互に露出するように配置されることができる。
【0012】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2外部電極は、キャパシタ本体の第3及び第4面にそれぞれ形成されて内部電極の露出した部分と接続される第1及び第2接続部と、上記第1及び第2接続部から上記キャパシタ本体の第1面の一部まで延長される第1及び第2バンド部と、をそれぞれ含むことができる。
【0013】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2外部電極をカバーするように形成されるめっき層をさらに含み、上記めっき層はニッケルめっき層と錫めっき層とからなることができる。
【0014】
本発明の一実施形態において、上記誘電体層の厚さが1μmであり、A/Bが0.002≦A/B≦0.2を満たすことができる。
【0015】
本発明の一実施形態において、上記誘電体層の厚さが0.4μmであり、A/Bが0.0016≦A/B≦0.5を満たすことができる。
【0016】
本発明の一実施形態において、キャパシタ本体の長さ方向のマージンの平均長さは0.8〜500μmであってもよい。
【0017】
本発明の他の側面は、一面に第1及び第2電極パッドを有する基板と、上記第1及び第2電極パッド上に第1及び第2外部電極がそれぞれ接続されるように実装される積層型キャパシタと、を含む積層型キャパシタの実装基板を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一実施形態によると、キャパシタ本体の長さ方向のマージンの長さ方向に対する誘電体層の厚さを限定して内部電極の重なり面積を増加させ、積層型キャパシタの容量は増加させながらも積層型キャパシタの電界歪みが防止されるようにし、電界値の減少により積層型キャパシタの破壊電圧(BDV:Break Down Voltage)不良を防止することができる効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、 図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0021】
また、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0022】
なお、本発明の実施形態を明確に説明するために、キャパシタ本体110の方向を定義すると、図面に示されるX、Y及びZはそれぞれキャパシタ本体110の長さ方向、幅方向、及び厚さ方向を示す。また、本実施形態において、Z方向は、誘電体層が積層される積層方向と同一の概念で用いられることができる。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態による積層型キャパシタを概略的に示す斜視図であり、
図2(a)及び(b)は
図1の積層型キャパシタに適用される第1及び第2内部電極をそれぞれ示す平面図であり、
図3は
図1のI−I'線に沿った断面図である。
【0024】
図1〜
図3を参照すると、本実施形態による積層型キャパシタ100は、誘電体層111と複数の第1及び第2内部電極121、122とを含むキャパシタ本体110と、キャパシタ本体110の両端部にそれぞれ配置されて第1及び第2内部電極121、122の露出した部分とそれぞれ接続される第1及び第2外部電極131、141と、を含む。
【0025】
この際、誘電体層111の厚さをA、キャパシタ本体110のX方向のマージンの長さをBと定義するとき、Aは1μm以下であり、キャパシタ本体のX方向のマージンの長さに対する誘電体層の厚さの割合であるA/B が0.0016≦A/B<1を満たすことができる。
【0026】
キャパシタ本体110は、複数の誘電体層111をZ方向に積層してから焼成したものであって、キャパシタ本体110の互いに隣接する誘電体層111の間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning ElectronMicroscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0027】
この際、キャパシタ本体110は概ね六面体状であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0028】
また、キャパシタ本体110の形状、寸法及び誘電体層111の積層数が本実施形態の図面に図示されたものに限定されるものではない。
【0029】
本実施形態では、説明の便宜のために、キャパシタ本体110のZ方向に互いに対向する両面を第1及び第2面1、2、第1及び第2面1、2と連結され、X方向に互いに対向する両面を第3及び第4面3、4、第1及び第2面1、2と連結され、第3及び第4面3、4と連結され、Y方向に互いに対向する両面を第5及び第6面5、6と定義する。
【0030】
また、本実施形態において、積層型キャパシタ100の実装面は、キャパシタ本体110の第1面1であってもよい。
【0031】
誘電体層111は、高誘電率のセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO
3)系またはチタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)系セラミック粉末などを含むことができるが、十分な静電容量が得られる限り、本発明はこれに限定されるものではない。
【0032】
また、誘電体層111には、上記セラミック粉末とともに、セラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤及び分散剤などがさらに添加されることができる。
【0033】
上記セラミック添加剤としては、例えば、遷移金属酸化物または遷移金属炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)またはアルミニウム(Al)などが用いられることができる。
【0034】
このようなキャパシタ本体110は、キャパシタの容量形成に寄与する部分としての活性領域と、上下マージン部としてZ方向に上記活性領域の上下部にそれぞれ形成される上部及び下部カバー112、113と、を含むことができる。
【0035】
上部及び下部カバー112、113は、内部電極を含まないことを除いては、誘電体層111と同一の材料及び構成を有することができる。
【0036】
このような上部及び下部カバー112、113は、単一の誘電体層または2つ以上の誘電体層を上記活性領域の上下面にそれぞれZ方向に積層して形成することができ、基本的には物理的または化学的ストレスによる第1及び第2内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0037】
第1及び第2内部電極121、122は、互いに異なる極性が印加される電極であって、誘電体層111を間に挟んでZ方向に沿って交互に配置され、一端がキャパシタ本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ露出することができる。
【0038】
この際、第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111により互いに電気的に絶縁されることができる。
【0039】
このようにキャパシタ本体110の第3及び第4面3、4に交互に露出する第1及び第2内部電極121、122の端部は、後述するキャパシタ本体110の第3及び第4面3、4に配置される第1及び第2外部電極130、140とそれぞれ接続されて電気的に連結されることができる。
【0040】
上記のような構成により、第1及び第2外部電極130、140に所定の電圧を印加すると、第1及び第2内部電極121、122の間に電荷が蓄積される。
【0041】
この際、積層型キャパシタ100の静電容量は、活性領域においてZ方向に沿って互いに重なる第1及び第2内部電極121、122の重なり面積と比例するようになる。
【0042】
また、第1及び第2内部電極121、122を形成する材料は特に制限されず、例えば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、パラジウム−銀(Pd−Ag)合金などの貴金属材料、及びニッケル(Ni)及び銅(Cu)のうち一つ以上の物質からなる導電性ペーストを用いて形成されることができる。
【0043】
この際、上記導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0044】
また、本実施形態において、第1及び第2内部電極121、122の厚さは0.4μm以下であってもよい。
【0045】
第1及び第2内部電極121、122の厚さが0.4μmを超えると、設計上の容量を十分に確保し難いという問題が発生することがある。
【0046】
最近、積層型キャパシタは、小型化及び高容量化して製作される傾向にあることから、このような積層型キャパシタの小型化及び高容量化のためには、内部電極の厚さが0.4μm以下であることが好ましい。
【0047】
第1及び第2外部電極131、141には、互いに異なる極性の電圧が提供される。上記第1及び第2外部電極131、141は、キャパシタ本体110のX方向の両端部に配置され、第1及び第2内部電極121、122の露出する部分とそれぞれ接続されて電気的に連結されることができる。
【0048】
第1外部電極131は、第1接続部131aと第1バンド部131bとを含むことができる。
【0049】
第1接続部131aは、キャパシタ本体110の第3面3に形成されて第1内部電極121の露出した部分と接続される部分であり、第1バンド部131bは、第1接続部131aからキャパシタ本体110の第1面1の一部まで延長される部分である。
【0050】
この際、第1バンド部131bは、固着強度の向上などのために、キャパシタ本体110の第5及び第6面5、6の一部及び第2面2の一部まで延長されることができる。
【0051】
第2外部電極141は、第2接続部141aと第2バンド部141bとを含むことができる。
【0052】
第2接続部141aは、キャパシタ本体110の第4面4に形成されて第2内部電極122の露出した部分と接続される部分であり、第2バンド部141bは、第2接続部141aからキャパシタ本体110の第1面1の一部まで延長される部分である。
【0053】
この際、第2バンド部141bは、固着強度の向上などのために、キャパシタ本体110の第5及び第6面5、6の一部及び第2面2の一部までさらに延長されることができる。
【0054】
また、
図4のように、第1及び第2外部電極131、141をそれぞれカバーするように形成される第1及び第2めっき層をさらに含むことができる。
【0055】
この際、上記第1及び第2めっき層は、第1及び第2外部電極131、141の表面にそれぞれ形成される第1及び第2ニッケルめっき層132、142と、第1及び第2ニッケルめっき層132、142をそれぞれカバーする第1及び第2錫めっき層133、143と、を含むことができる。
【0056】
本実施形態において、誘電体層の厚さをA、上記キャパシタ本体の長さ方向のマージンの平均長さをBと定義するとき、A/Bが0.0016≦A/B<1を満たす。
【0057】
このようなA/Bの数値の範囲内で、X方向のマージンの長さによる電界挙動を確認したところ、電界特性が劣化しないことが分かる。
【0058】
したがって、上記A/Bの数値の範囲内で、第1及び第2内部電極間の重なり面積を最大限確保して、電界歪みが発生することなく、高容量を有する積層型キャパシタを提供することが可能となる。
【0059】
このように積層型キャパシタの電界歪みが減少するか、防止されて積層型キャパシタの電界値が小さくなると、積層型キャパシタの破壊電圧(BDV:Break Down Voltage)不良を防止することができる。
【0060】
また、誘電体層の厚さ(A)は、1μm以下であることが好ましい。すなわち、本実施形態の積層型キャパシタは、誘電体層の厚さ(A)が1μm以下である小型の高容量製品であってもよい。
【0061】
最近、積層型キャパシタは、小型化及び高容量化して製作される傾向にあることから、このような積層型キャパシタの小型化及び高容量化のためには、誘電体層の厚さが1μm以下であることが好ましい。
【0062】
下表1は、Ansys Maxwell 2D Simulationを利用して積層型キャパシタのA/B値の変化による最大電界を測定して示したものである。
【0063】
図5に示すように、電界を測定する位置は、内部電極の先端からの離格距離(g)が0.5μmである部分に垂直に引いた観測線(OL)で測定した。
【0064】
ここで、gは積層型キャパシタの一部分のみをサンプリングしてシミュレーションしたものである。
【0065】
この際、誘電体層の厚さ(A)は、1μmまたは0.4μmとし、積層型キャパシタにおけるキャパシタ本体のX方向のマージン(B)を変化させながら、積層型キャパシタにおける電界の分布をそれぞれ確認した。
【0067】
表1は、誘電体層の厚さが1μmの場合であって、表1を参照すると、A/Bの値が0.002と0.2の間である#1〜#5の場合、最大電界が13.18から13.20V/μmの水準で有意差がなく保持されることが確認できる。
【0068】
一方、A/Bの値が1.0である#6の場合、電界の歪みが発生しながら、最大電界が#1〜#5に対して約7.35%増加した14.25V/μmと示された。
【0069】
また、A/Bの値が1.25である#7の場合、#6よりも電界の歪みがより大きく発生しながら、最大電界が#1〜#5に対して約14.72%増加した15.48V/μmと示された。
【0071】
表2は、誘電体層の厚さが0.4μmの場合であって、表2を参照すると、A/Bの値が0.0016と0.5の間である#8〜#12の場合、最大電界が32.95から33.00V/μmの水準で有意差がなく保持されることが確認できる。
【0072】
一方、A/Bの値が1.0である#13の場合、電界の歪みが発生しながら、最大電界が#8〜#12に対して約7.35%増加した35.62V/μmと示された。
【0073】
また、A/Bの値が1.25である#14の場合、#13よりも電界の歪みがより大きく発生しながら、最大電界が#8〜#12に対して約14.86%増加した38.76V/μmと示された。
【0074】
したがって、本実施形態の積層型キャパシタは、誘電体層の厚さが薄い小型高容量製品の特徴を有するものであって、A/Bの値を1.0より小さくすると、積層型キャパシタの容量低下を防止しつつ、電界歪みの発生を抑制して安定した電界特性を有する積層型キャパシタを設けることができる。
【0075】
また、A/Bの値が0.0016より小さい場合、上下に隣接した内部電極の重なり面積が減少しながら容量低下が伴われるため、A/Bの値は0.0016以上となるようにすることが好ましい。
【0076】
図6を参照すると、本実施形態による積層型電子部品の実装基板は、一面に第1及び第2電極パッド221、222を有する基板210と、基板210の上面において第1及び第2外部電極131、141の第1及び第2錫めっき層133、143が第1及び第2電極パッド221、222上にそれぞれ接続されるように実装される積層型キャパシタ100と、を含む。
【0077】
本実施形態において、積層型キャパシタ100は、はんだ231、232によって基板210に実装される様子を図示且つ説明しているが、必要に応じて、はんだの代わりに導電性ペーストを用いることもできる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。