本発明の一実施形態は、誘電体層ならびに第1及び第2内部電極を含み、上記第1及び第2内部電極の積層方向に互いに対向する第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、互いに対向する第3面及び第4面、第1面及び第2面と連結され、上記第3及び第4と連結され、且つ互いに対向する第5及び第6面を含む積層部、及び上記積層部の第1面〜第6面に配置され、第1及び第2接続部を有するコーティング層を含む本体と、上記第1及び第2内部電極とそれぞれ電気的に接続され、上記本体の第3面及び第4面に配置される第1及び第2外部電極と、を含み、上記第1及び第2内部電極と上記第1及び第2外部電極はそれぞれ、上記第1及び第2接続部を介して接続される積層セラミック電子部品を提供することができる。
前記コーティング層の幅、長さ、又は厚さの最大値に対する最小値の割合は0.7〜1.0の範囲内である、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
前記第1及び第2接続部は、前記本体の前記第3面及び第4面、前記本体の前記第1面及び第2面に延長されて配置される、請求項1から7のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、具体的な実施形態及び添付された図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0016】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示しており、同一の思想の範囲内の機能が同一の構成要素は、同一の参照符号を用いて説明することができる。さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0017】
以下、本発明の実施形態を明確に説明するために、本体110の方向を定義すると、図面に示されるX、Y、及びZはそれぞれ、本体110の長さ方向(第1方向)、幅方向(第2方向)、及び厚さ方向(第3方向)を示す。また、本実施形態において、Z方向は、誘電体層が積層される積層方向と同一の概念で用いられることができる。
【0018】
図1〜
図8は本発明による積層セラミック電子部品の一実施形態を示す図である。
図1〜
図8を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品100は、誘電体層111ならびに第1及び第2内部電極121、122を含み、上記第1及び第2内部電極121、122の積層方向に互いに対向する第1面及び第2面1、2、上記第1面及び第2面1、2と連結され、互いに対向する第3面及び第4面3、4、第1面及び第2面1、2と連結され、上記第3面及び第4面3、4と連結され、且つ互いに対向する第5及び第6面5、6を含む積層部、及び上記積層部の第1面〜第6面に配置され、第1及び第2接続部161、162を有するコーティング層151を含む本体110と、上記第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ電気的に接続され、上記本体の第3面及び第4面3、4に配置される第1及び第2外部電極131、132と、を含むことができる。
【0019】
このとき、上記第1及び第2内部電極121、122と上記第1及び第2外部電極131、132はそれぞれ、上記第1及び第2接続部161、162を介して接続されることができる。第1及び第2内部電極121、122と上記第1及び第2外部電極131、132がそれぞれ上記第1及び第2接続部161、162を介して接続されるというのは、上記第1及び第2接続部161、162を介して第1及び第2内部電極121、122と上記第1及び第2外部電極131、132がそれぞれ電気的に接続されることを意味することができ、第1及び第2内部電極121、122と上記第1及び第2外部電極131、132が上記第1及び第2接続部161、162と接している構造であることを意味することができる。上記のように第1及び第2内部電極121、122と第1及び第2外部電極131、132が第1及び第2接続部161、162を介して接続される場合、上記第1及び第2接続部161、162は、電気的連結通路として機能することができる。
【0020】
本体110は、複数の誘電体層111をZ方向に積層してから焼成したものであって、本体110の互いに隣接する誘電体層111間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0021】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図面に示すように、本体110は、六面体状やこれと類似した形状からなることができる。また、本体110は、焼成過程で本体110に含まれるセラミック粉末の収縮により、完全な直線を有する六面体状ではないが、実質的に六面体状を有することができる。但し、本実施形態の本体110の形状、寸法、及び誘電体層111の積層数が図面に示されたものに限定されるものではない。
【0022】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層111を形成する原料は十分な静電容量を得ることができる限り、特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料又はチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。
【0023】
上記誘電体層111を形成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO
3)などの粉末に、本発明の目的に応じて、様々なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0024】
上記セラミック添加剤は、例えば、遷移金属酸化物又は遷移金属炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)又はアルミニウム(Al)などを用いることができる。
【0025】
上記積層部は、誘電体層111に第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシートと、誘電体層111に第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシートとを厚さ方向(Z方向)に交互に積層して形成することができる。
【0026】
本発明の一例において、複数の内部電極121、122は、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置されることができる。また、内部電極121、122は、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。
【0027】
上記第1内部電極121は、上記積層部の上記第1方向(X方向)の一面に露出することができる。上記第2内部電極122は、上記積層部の上記第1方向(X方向)の他面に露出することができる。また、第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。
【0028】
第1及び第2内部電極121、122を形成する材料は、特に制限されず、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち1つ以上の物質を含む導電性ペーストを用いて形成することができる。上記導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0029】
上記第1及び第2内部電極121、122の平均厚さは0.4μm以下であることができる。上記内部電極の平均厚さは、焼成された内部電極の互いに異なる5ヶ所の位置で測定された値の平均であることができる。上記第1及び第2内部電極の平均厚さの下限は特に制限されるものではないが、例えば、0.01μm以上であることができる。
【0030】
本発明の一例において、本体110内の最下部の内部電極の下部、及び最上部の内部電極の上部には、所定の厚さを有するカバー部112が形成されることができる。このとき、カバー部112は、誘電体層111と同一の組成からなることができ、内部電極を含まない誘電体層を本体110内の最上部の内部電極の上部、及び最下部の内部電極の下部にそれぞれ少なくとも1つ以上積層して形成することができる。
【0031】
上記カバー部112は、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0032】
第1及び第2外部電極131、132はそれぞれ、本体の第1方向の両面に配置されることができる。上記第1及び第2外部電極131、132は、本体の第3面及び第4面にそれぞれ配置されることができる。上記第1及び第2外部電極131、132は、本体110の第3方向(Z方向)の両面に延長されて配置されることができ、本体110の第2方向(Y方向)の両面に延長されて配置されることができる。
【0033】
また、第1及び第2外部電極131、132は、上記本体の第1面及び第2面1、2の一部まで延長されて配置されることができる。このとき、第1及び第2外部電極131、132は、本体の第5及び第6面5、6の一部まで延長されて配置されることができる。
【0034】
第1及び第2外部電極131、132の形成方法は、特に限定する必要がなく、例えば、導電性金属とガラスを含むペーストに本体をディッピングして形成したり、又は金属ペーストを乾燥させた乾燥膜を本体の第3面及び第4面上に転写して形成したりすることができる。
【0035】
本発明による一実施形態において、第1及び第2外部電極131、132は、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち1つ以上を用いることができる。また、基板との実装性を向上させるために、第1及び第2外部電極131、132上にめっき層を形成することができる。
【0036】
図3はコーティング層が配置された本体を概略的に示す斜視図である。
図3を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品は、積層部の第1面〜第6面にコーティング層151が配置されることができる。積層部の第1面〜第6面にコーティング層151が配置されるというのは、実質的に本体のすべての面にコーティング層151が配置されることを意味することができる。
【0037】
上記コーティング層151は絶縁材料からなることができ、例えば、チタン酸バリウムなどのセラミック材料からなることができる。この場合、コーティング層151は、上述した誘電体層111に含まれるものと同一のセラミック材料を含むか、又は誘電体層111と同一の材料からなることができる。
【0038】
かかるコーティング層151は、物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができ、外部からの水分や汚染物質などの侵入を遮断する役割を果たすことにより、本発明による積層セラミック電子部品の耐湿信頼性を向上させることができる。
【0039】
上記コーティング層151は単一層であることができる。コーティング層151が単一層であるというのは、本体の各面に分離された形のコーティング層151が形成されるのではなく、コーティング層151が一体に形成されることを意味することができる。このように、コーティング層151が単一層である場合、連結部位が存在しないことから、水分の浸透などの外部物質の侵入を効果的に防止して耐湿信頼性をさらに向上させることができる。また、別の分離された層を組み合わせた場合に比べて、優れた機械的強度を有することができるとともに、クラックなどを効果的に防止することができる。
【0040】
従来の場合、誘電体層の面積を内部電極の面積よりも大きく形成し、内部電極のうち外部電極と連結される部分を除いた残りの周囲の部分にマージン領域を形成した。しかし、この場合、数十〜数百層の誘電体層を積層すると、誘電体層が段差を埋めるために伸びるようになり、内部電極もともに歪むという問題点があった。また、上記の問題を解決するために、別のマージン部を本体に付着する場合には、マージン部が付着した部分に水分が浸透したり、又は付着部位が広がったりするなどの問題点もあった。本発明は、コーティング層151を単一層に形成することで、上記問題点をすべて解決することができる。
【0041】
コーティング層151を形成する方法は、特に制限されず、例えば、セラミックを含むスラリーを塗布又は噴霧し、これを焼成して形成することができるが、これに制限されるものではない。
【0042】
一例において、コーティング層151は、中心線平均粗さ(Ra)が0.01μm〜1μmの範囲内であることができる。本発明において、「中心線平均粗さ(Ra)」とは、仮想の中心線に対する距離の平均値を意味することができ、ミツトヨ(Mitutoyo)社製の表面粗さ計SV−3200などを用いて測定した値であることができる。
図8は
図3のA領域の拡大図である。
図8を参照すると、コーティング層151の表面には凹凸171が形成されることができ、上記凹凸171が上記中心線平均粗さ(Ra)の範囲を満たすことができる。上記中心線平均粗さ(Ra)は、0.01μm以上、0.02μm以上、0.03μm以上、0.04μm以上、0.05μm以上、0.06μm以上、0.07μm以上、0.08μm以上、0.09μm以上、又は0.10μm以上であることができ、1.0μm以下、0.95μm以下、0.90μm以下、0.85μm以下、0.80μm以下、0.75μm以下、又は0.70μm以下であることができるが、これらに制限されるものではない。本発明のコーティング層の中心線平均粗さ(Ra)が上記範囲を満たす場合には、コーティング層の表面と外部電極の間のアンカ効果(Anchoring Effect)により、外部電極とセラミック本体の間の固着力を向上させることができる。これにより、本発明による積層セラミック電子部品の機械的強度を向上させることができる。
【0043】
コーティング層151が上述した中心線平均粗さ(Ra)を有するようにする方法は、特に制限されるものではなく、例えば、スプレーガンでセラミックを含むスラリーを噴霧して粗さを形成したり、又は焼成後の本体の表面を研磨したりするなどの方法を用いることができる。
【0044】
本発明の一実施形態において、コーティング層151の幅、長さ、又は厚さの最大値に対する最小値の割合は0.7〜1.0の範囲内であることができる。本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品は、コーティング層を単一層で形成することにより、本体のY方向の両方向にマージン部を除去して内部電極による段差の発生を防止することができる。また、内部電極が曲がることを防止して耐電圧特性が低下するという問題を予防することにより、積層セラミック電子部品の信頼性を向上させることができる。
【0045】
本発明の一実施形態において、第1及び第2接続部161、162は、本体の第3面及び第4面に配置されることができる。
図3は本発明による積層セラミック電子部品の第1及び第2接続部161、162を示す概略的に示す斜視図である。
図3を参照すると、第1接続部161は、本体の第3面に配置されることができ、第2接続部162は、本体の第4面に配置されることができる。上記第1接続部161は、第3面と第1面が接する端から第3面と第2面が接する端に至る領域に配置されることができる。また、上記第2接続部162は、第4面と第1面が接する端から第4面と第2面が接する端に至る領域に配置されることができる。上記第1及び第2接続部161、162は、本体内の最上端の誘電体層と最下端の誘電体層が露出するように配置されることを意味することができ、Z方向に本体を一部貫通するように配置されることができる。
【0046】
このように、第1及び第2接続部161、162を本体の第3面及び第4面に配置することで、ボトルネック型のチップと同様の形状を有するようにすることができ、内部電極と外部電極の連結性を向上させることができる。
【0047】
本発明の他の実施形態において、第1及び第2接続部261、262は、本体の第3面及び第4面、上記本体の第1面及び第2面に延長されて配置されることができる。
図9は本実施形態による本体の形状を概略的に示す斜視図である。
図9を参照すると、第1及び第2接続部261、262は、本体の第3面及び第4面に配置され、且つ本体の第1面及び第2面にも延長されて配置されることができる。本実施形態のように、第1及び第2接続部261、262が本体の第1面及び第2面に延長されるように配置される場合には、外部電極と本体の接触面積をさらに増加させることができ、外部電極の固着力を向上させることができる。
【0048】
本発明の一実施形態において、コーティング層161、162に配置される接続部は六面体状であることができる。上記接続部が六面体状であるというのは、焼成過程における収縮による変形などを含むことで、完全な直線の六面体状だけでなく、実質的に六面体状に見える形状を意味することができる。また、接続部が六面体状であるというのは、X、Y、及びZ方向のうちいずれの方向から見ても、断面が四角形状であることを意味することができる。
図3を参照すると、コーティング層151が配置される本体の第1面〜第6面のうち、第3面及び第4面に配置された接続部161は、X、Y、及びZ方向の各方向における断面が四角形状を有することから六面体状であることが確認できる。
【0049】
本発明の一例において、第1及び第2接続部161、162の長さは40μm以下であることができる。
図3及び
図7を参照すると、上記第1及び第2接続部161、162の長さlは、コーティング層のX方向の長さを意味することができる。上記第1及び第2接続部161、162の長さlは、40μm以下、39μm以下、38μm以下、37μm以下、36μm以下、35μm以下、34μm以下、33μm以下、32μm以下、31μm以下、又は30μm以下であることができ、下限は特に制限されるものではないが、例えば、1μm以上であることができる。
【0050】
本発明の一実施形態において、第1及び第2接続部の幅161、162は、10μm以上であることができる。
図3及び
図7を参照すると、上記第1及び第2接続部161、162の幅wは、コーティング層が存在しない部分のY方向の長さを意味することができる。上記第1及び第2接続部161、162の幅wは、10μm以上、11μm以上、12μm以上、13μm以上、14μm以上、又は15μm以上であることができ、上限は特に制限されず、本体とコーティング層の幅を加えた値よりも小さいか同一であることができる。
【0051】
コーティング層151の第1及び第2接続部161、162を形成する方法は特に制限されない。例えば、本体上に上述したコーティング層を形成した後、本体の第3面及び第4面上にレーザーカッター、ホイールカッターやグラインダーなどを用いて形成されたコーティング層を除去することで、上記第1及び第2接続部161、162を形成することができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。