特開2021-192030(P2021-192030A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2021192030-外観検査方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-192030(P2021-192030A)
(43)【公開日】2021年12月16日
(54)【発明の名称】外観検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/85 20060101AFI20211119BHJP
【FI】
   G01N21/85 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2021-82544(P2021-82544)
(22)【出願日】2021年5月14日
(31)【優先権主張番号】特願2020-96955(P2020-96955)
(32)【優先日】2020年6月3日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】福島 賢嗣
(72)【発明者】
【氏名】小林 勇人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴祥
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 純
(72)【発明者】
【氏名】小島 達也
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA61
2G051AB02
2G051BA02
2G051BA20
2G051BB01
2G051BB07
2G051CA03
2G051CA04
2G051CA06
2G051CB01
2G051CC07
2G051DA13
(57)【要約】
【課題】光照射による干渉縞の発生を抑制する外観検査方法を提供する。
【解決手段】外観検査方法は、チップ素体の一側面に光を照射し当該一側面の外観検査を行う。この外観検査方法では、チップ素体1が載置されるテーブル10であって、互いに対向する第一面14aと第二面14bとを含む基板領域14を有していると共に、第二面14bから入射し基板領域14を透過する光の第一面14aでの反射が抑制されているテーブル10を用意し、チップ素体1を、一側面(第三側面3c)が第一面14aと対向するように第一面14a上に載置し、一側面に、第二面14b側から基板領域14越しに光を照射する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ素体の一側面に光を照射し当該一側面の外観検査を行う外観検査方法であって、
前記チップ素体が載置されるテーブルであって、互いに対向する第一面と第二面とを含む基板領域を有していると共に、前記第二面から入射し前記基板領域を透過する光の前記第一面での反射が抑制されているテーブルを用意し、
前記チップ素体を、前記一側面が前記第一面と対向するように前記第一面上に載置し、
前記一側面に、前記第二面側から前記基板領域越しに光を照射する、外観検査方法。
【請求項2】
前記テーブルとして、前記第一面上に反射抑制領域が設けられており、前記反射抑制領域が、前記第二面から入射し前記基板領域を透過する光の前記第一面での反射を抑制するテーブルを用意する、請求項1に記載の外観検査方法。
【請求項3】
前記テーブルとして、前記チップ素体を載置するための載置エリアのみにおいて前記第一面上に前記反射抑制領域が設けられているテーブルを用意する、請求項2に記載の外観検査方法。
【請求項4】
前記テーブルとして、前記載置エリアが前記テーブルの周縁に位置しているテーブルを用意する、請求項3に記載の外観検査方法。
【請求項5】
前記チップ素体は、セラミック焼成体である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の外観検査方法。
【請求項6】
前記チップ素体は、外表面に端子電極を形成する前のセラミック焼成体である、請求項5に記載の外観検査方法。
【請求項7】
前記一側面の表面粗さは、0μmより大きく0.1μm以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の外観検査方法。
【請求項8】
前記光は、赤色光である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の外観検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
検査対象物の外観を検査する外観検査方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された外観検査方法は、検査対象物に光を照射した状態で、当該検査対象物の外観を検査する方法を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−122863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多面体の検査対象物をテーブルに搭載した状態で各側面の外観検査を行う際には、検査対象物の少なくとも一つの側面は、テーブルに対向している。テーブルと対向する一側面の外観を検査する場合、以下の問題点が生じるおそれがある。すなわち、テーブルに対向している一側面は、テーブル越しに検査されるので、テーブルに対向する一側面を明るく照射するための光は、テーブル越しに検査対象物の一側面に照射される。検査対象物の一側面に照射された光は、当該一側面で反射する。テーブル越しに検査対象物の一側面に向かって照射された光の一部は、検査対象物に対向するテーブルの一面においても反射される。外観検査を行う際には、検査対象物の一側面で反射した光と、テーブルの一面で反射した光とを受光する。これら二つの反射光を受光する場合、二つの反射光が互いに干渉し合うおそれがある。二つの反射光が互いに干渉し合うときには、干渉縞が発生するおそれがある。干渉縞が発生する際には、検査対象物の一側面を明瞭に観測し難い。
【0005】
本発明の一つの態様は、光照射による干渉縞の発生を抑制する外観検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様に係る外観検査方法は、チップ素体の一側面に光を照射し当該一側面の外観検査を行う外観検査方法である。この外観検査方法では、チップ素体が載置されるテーブルであって、互いに対向する第一面と第二面とを含む基板領域を有していると共に、第二面から入射し基板領域を透過する光の第一面での反射が抑制されているテーブルを用意し、チップ素体を、一側面が第一面と対向するように第一面上に載置し、一側面に、第二面側から基板領域越しに光を照射する。
【0007】
上記一つの態様によれば、第二面側から基板領域越しにチップ素体の一側面に照射された光は、当該一側面で反射する。基板領域の第一面での反射が抑制されているので、第二面から入射し基板領域を透過した光は、第一面に至る際に、当該第一面で反射され難い。したがって、上記一つの態様は、光照射による干渉縞の発生を抑制する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光照射による干渉縞の発生を抑制する外観検査方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る外観検査方法の検査対象物であるチップ素体を示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係る外観検査方法を行う外観検査装置を示す上面図である。
図3図3は、図2のIII−III線に沿った断面図である。
図4図4は、テーブルの基板領域側からチップ素体の一側面に入射した光の経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1図4を参照して、本実施形態に係る外観検査方法について説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0011】
始めに、図1を参照して、外観検査方法の対象であるチップ素体1について説明する。図1は、一実施形態に係る外観検査方法の検査対象物であるチップ素体を示す斜視図である。本実施形態では、チップ素体1は、セラミック焼成体である。セラミック焼成体は、たとえば、セラミックグリーンシートを複数積層して圧着し、所定温度にて所定時間焼成した後、バレル研磨することで形成される。セラミックグリーンシートは、第一方向D1に積層して形成されている。グリーンシートの各層が互いに重なり合っている層の境界は、視認できない程度に一体化されている。セラミックグリーンシートには、内部電極となる電極パターンが形成されてもよい。内部電極は、チップ素体1を用いた電子部品が、たとえば、コンデンサ又はインダクタとして機能するための導体である。本実施形態では、チップ素体1は、その外表面に端子電極を形成する前のセラミック焼成体である。
【0012】
チップ素体1は、略直方体形状を有し、互いに対向している第一側面3a及び第三側面3cを有している。第一側面3a及び第三側面3cは、第一方向D1で対向しており、チップ素体1の外表面の一部を成している。チップ素体1は、互いに対向している第二側面3b及び第四側面3dを更に有している。第二側面3bと第四側面3dとは、第一方向D1に交差する第二方向D2で対向しており、チップ素体1の外表面の一部を成している。第二方向D2は、略直方体形状のチップ素体1において、たとえば、その短手方向である。チップ素体1は、互いに対向している第五側面3e及び第六側面3fを更に有している。第五側面3eと第六側面3fとは、第一方向D1及び第二方向D2に交差する第三方向D3で対向しており、チップ素体1の外表面の一部を成している。第三方向D3は、略直方体形状のチップ素体1において、たとえば、その長手方向である。本実施形態では、第一方向D1、第二方向D2、及び第三方向D3は、互いに直交している。
【0013】
第一側面3a及び第三側面3cは、第二側面3bと第四側面3dとを接続するように、第二方向D2に延びている。第一側面3a及び第三側面3cは、第五側面3eと第六側面3fとを接続するように、第三方向D3に延びている。第二側面3b及び第四側面3dは、第一側面3aと第三側面3cとを接続するように、第一方向D1に延びている。第二側面3b及び第四側面3dは、第五側面3eと第六側面3fとを接続するように、第三方向D3に延びている。第五側面3e及び第六側面3fは、第一側面3aと第三側面3cとを接続するように、第一方向D1に延びている。第五側面3e及び第六側面3fは、第二側面3bと第四側面3dとを接続するように、第二方向D2に延びている。
【0014】
チップ素体1の第一方向D1の長さは、たとえば、約1.2mmである。チップ素体1の第二方向D2の長さは、たとえば、約1.2mmである。チップ素体1の第三方向D3の長さは、たとえば、約2.0mmである。チップ素体1の稜部は、チップ素体1を形成する際のバレル研磨工程によって面取りされており、丸みを帯びた状態となっている。
【0015】
チップ素体1の各側面(第一側面3aから第六側面3f)は、その全域において平坦ではなく、一部に傷、窪み、及び欠陥を有することがある。チップ素体1の各側面の表面粗さは、0μmより大きく0.1μm以下であってもよい。各側面の表面粗さとしては、最大高さ(Rz)が用いられる。最大高さ(Rz)は、JIS B 0601:2001(ISO 4287:1997)に定義されている。
【0016】
続いて、図2を参照して、本実施形態に係る外観検査方法について説明する。図2は、外観検査方法を行う外観検査装置5を示す上面図である。外観検査装置5は、検査対象物であるチップ素体1の外観検査方法を行う装置として構成されている。外観検査装置5は、チップ素体1の各側面(第一側面3aから第六側面3f)を撮像し、各側面における傷、窪み、及び欠陥の有無を検出する。
【0017】
外観検査装置5は、テーブル10と、チップ素体1をテーブル10上に供給する供給ユニット20と、チップ素体1の各側面を撮像する複数の撮像ユニット30と、撮像を終えたチップ素体1を回収する回収ユニット40とを備えている。本実施形態では、テーブル10は、チップ素体1が載置される部材であり、回転方向Rに回転する。供給ユニット20から供給されたチップ素体1は、テーブル10の回転によって、複数の撮像ユニット30による撮像が行われるテーブル10上に順に搬送される。全ての撮像ユニット30による撮像を終えたチップ素体1は、テーブル10の回転によって、回収ユニット40の近くまで搬送される。
【0018】
テーブル10は、たとえば、円板形状を呈しており、チップ素体1を載置するための載置エリア12を有している。載置エリア12は、たとえば、テーブル10の周縁に位置している。テーブル10の下方には、たとえば、サーボモータ50が設けられている。サーボモータ50の駆動によって、テーブル10は、中心軸N1周りに一定の速度で回転方向Rに回転するようになっている。テーブル10の直径は、たとえば、40cm〜50cmである。
【0019】
供給ユニット20は、ホッパー22及びフィーダ24を有している。ホッパー22は、多数のチップ素体1を収容している。供給ユニット20では、ホッパー22の底部が開放されることによって、チップ素体1がフィーダ24に押し出される。チップ素体1は、フィーダ24を通して、テーブル10の載置エリア12上に供給される。
【0020】
回収ユニット40は、良品回収部42と、不良品回収部44とを備えている。良品回収部42は、ガス噴射ノズル43を有し、不良品回収部44は、ガス噴射ノズル45を有している。ガス噴射ノズル43及びガス噴射ノズル45のノズルは、それぞれ、良品回収部42及び不良品回収部44に向けられており、ガス噴射のタイミングは、制御部52によって制御されている。
【0021】
制御部52は、撮像ユニット30からの撮像データと、テーブル10の回転量とを取得する。制御部52は、撮像データに基づいて画像処理を行うことにより、チップ素体1の各側面の欠陥の有無を検査する。その検査結果に基づいて、制御部52は、検査に係る当該チップ素体1が良品であるか否かを判断する。制御部52は、良品であると判断されたチップ素体1が良品回収部42の位置まで搬送されたとき、ガス噴射ノズル43からガスを噴出させて、当該チップ素体1を良品回収部42に回収させている。制御部52は、不良品であると判断されたチップ素体1については、当該チップ素体1が不良品回収部44の位置まで搬送されたとき、ガス噴射ノズル45からガスを噴出させて、当該チップ素体1を不良品回収部44に回収させている。
【0022】
続いて、撮像ユニット30について説明する。撮像ユニット30は、チップ素体1の各側面(第一側面3aから第六側面3f)に光を照射すると共に、当該各側面の撮像を行う。本実施形態では、撮像ユニット30の個数は6つであり、撮像ユニット30は、第1撮像ユニット31から第6撮像ユニット36までからなる。チップ素体1が略直方体形状を呈する場合、一の撮像ユニット30が、チップ素体1の一側面を撮像する。各撮像ユニット30は、撮像部と、照射部とによって構成されている。たとえば、第1撮像ユニット31は、撮像部31aと、照射部31bとによって構成されている(他の撮像ユニットも同様)。撮像部31aは、たとえば円柱形状のカメラである。カメラは、たとえば、CCDカメラである。照射部31bは、たとえば、撮像部31aの周囲を囲む円環形状の光源である。照射部31bは、撮像部31aの光軸と同軸で光を照射する光源であってもよい。光源は、たとえば、LED光源である。
【0023】
各撮像ユニット30は、供給ユニット20から回収ユニット40までの間においてテーブル10周りに所定の間隔で配置されている。撮像部32a及び照射部32bは、テーブル10の回転によって搬送されてくるチップ素体1の側面の外観を適度な明るさで撮影できるように調整されている。
【0024】
第1撮像ユニット31は、チップ素体1の第一側面3aの光照射及び撮像を行う。第一側面3aは、テーブル10の上方に向いており、第1撮像ユニット31は、テーブル10の上方に配置されている。照射部31bは、チップ素体1の第一側面3aの法線方向に対して、たとえば、0度以上かつ70度以下の角度で第一側面3aに向かって光を照射する。撮像部31aは、チップ素体1の第一側面3aの法線方向に対して、たとえば、0度以上かつ10度以下の角度で第一側面3aを撮像する。
【0025】
第2撮像ユニット32は、チップ素体1の第二側面3bの光照射及び撮像を行う。第二側面3bは、テーブル10の径方向の外方に向いており、第2撮像ユニット32は、テーブル10の径方向の外方に配置されている。照射部32bは、チップ素体1の第二側面3bの法線方向に対して、たとえば、0度以上かつ70度以下の角度で第二側面3bに向かって光を照射する。撮像部32aは、チップ素体1の第二側面3bの法線方向に対して、たとえば、0度以上かつ10度以下の角度で第二側面3bを撮像する。
【0026】
第3撮像ユニット33は、チップ素体1の第三側面3cの光照射及び撮像を行う。第三側面3cは、テーブル10の下方に向いており、第3撮像ユニット33は、テーブル10の下方に配置されている。第3撮像ユニット33による第三側面3cの光照射及び撮像は、テーブル10越しに行われる。照射部33bは、チップ素体1の第三側面3cの法線方向に対して、たとえば、0度以上かつ70度以下の角度で第三側面3cに向かって光を照射する。撮像部33aは、チップ素体1の第三側面3cの法線方向に対して、たとえば、0度以上かつ10度以下の角度で第三側面3cを撮像する。
【0027】
第4撮像ユニット34は、チップ素体1の第四側面3dの光照射及び撮像を行う。第四側面3dは、テーブル10の径方向の内方に向いている。第4撮像ユニット34は、テーブル10の上方であって、テーブル10の径方向において載置エリア12より内方に配置されている。照射部34bは、チップ素体1の第四側面3dの法線方向に対して、たとえば、0度以上かつ70度以下の角度で第四側面3dに向かって光を照射する。撮像部34aは、チップ素体1の第四側面3dの法線方向に対して、たとえば、0度以上かつ10度以下の角度で第四側面3dを撮像する。第4撮像ユニット34は、第四側面3dの光照射及び撮像を行えるように傾けられている。
【0028】
第5撮像ユニット35は、チップ素体1の第五側面3eの光照射及び撮像を行う。第五側面3eは、テーブル10の回転方向Rに向いている。第5撮像ユニット35は、テーブル10の上方であって、テーブル10の回転方向Rの反対方向に向くように配置されている。照射部35bは、チップ素体1の第五側面3eの法線方向に対して、たとえば、0度以上かつ70度以下の角度で第五側面3eに向かって光を照射する。撮像部35aは、チップ素体1の第五側面3eの法線方向に対して、たとえば、20度以上かつ30度以下の角度で第五側面3eを撮像する。第5撮像ユニット35は、第五側面3eの光照射及び撮像を行えるように傾けられている。
【0029】
第6撮像ユニット36は、チップ素体1の第六側面3fの光照射及び撮像を行う。第六側面3fは、テーブル10の回転方向Rの反対方向に向いている。第6撮像ユニット36は、テーブル10の上方であって、テーブル10の回転方向Rに向くように配置されている。第6撮像ユニット36は、第六側面3fの光照射及び撮像を行えるように傾けられている。照射部36bは、チップ素体1の第六側面3fの法線方向に対して、たとえば、0度以上かつ70度以下の角度で第六側面3fに向かって光を照射する。撮像部36aは、チップ素体1の第六側面3fの法線方向に対して、たとえば、20度以上かつ30度以下の角度で第六側面3fを撮像する。
【0030】
図3は、図2のIII−III線に沿った断面図である。この図では、テーブル10と、テーブル10上に載置されたチップ素体1と、チップ素体1の第三側面3cの光照射及び撮像を行う第3撮像ユニット33とが示されている。第三側面3cは、テーブル10と対向し、テーブル10越しに光が照射されるチップ素体1の一側面の一例である。テーブル10は、載置エリア12において、基板領域14を有し、基板領域14は、互いに対向する第一面14aと第二面14bとを含んでいる。基板領域14は、透明なガラス又は合成樹脂からなる。本明細書において、「透明」とは、撮像ユニットの照射部から出射される光に対して透明であることを意味する。本実施形態では、第二面14bから入射し基板領域14を透過する光の第一面14aでの反射が抑制されているテーブル10が用意されている。
【0031】
チップ素体1は、その一側面が第一面14aと対向するように第一面14a上に載置されている。本実施形態では、第一面14aと対向する一側面は、第三側面3cである。一側面が第一面14a上に載置されている形態としては、一側面が間接的に第一面14a上に載置されている形態も含む。チップ素体1と基板領域14との間に別の部材が配置されていてもよい。第3撮像ユニット33において、照射部33bは、一側面(第三側面3c)に、第二面14b側から基板領域14越しに光を照射する。撮像部33aは、第三側面3cによって反射された光を基板領域14越しに受光する。照射部33bからの光は、白色光であってもよく、赤色光であってもよい。
【0032】
テーブル10は、載置エリア12において、基板領域14の第一面14a上に反射抑制領域16を更に有している。本実施形態では、テーブル10として、反射抑制領域16が、第二面14bから入射し基板領域14を透過する光の第一面14aでの反射を抑制するテーブル10が用意されている。チップ素体1は、その一側面が第一面14aと対向するように反射抑制領域16上に載置されていてもよい。反射抑制領域16は、透明な材料からなる。反射抑制領域16は、たとえば、基板領域14上に反射防止フィルム又は反射防止コーティングを設けることによって形成される。図3は、基板領域14上に反射防止フィルム又は反射防止コーティングが形成された例を示している。反射防止フィルムは、基板領域14上に貼付されたシート状の部材である。反射防止コーティングは、コーティング剤を基板領域14上に塗布して形成された膜状の部材である。反射防止フィルム及び反射防止コーティングは、たとえば、ガラスより屈折率の小さな材料からなる誘電体層からなる。誘電体としては、TiO、Ta、Al、SiO、又はMgFがある。
【0033】
反射抑制領域16は、基板領域14自体の表面及びその近傍領域の組成を変化させることによって、当該基板領域14上に形成されてもよい。この場合、基板領域14の一部が、反射抑制領域16に変化し、その結果、基板領域14上に反射抑制領域16が設けられる。基板領域14と反射抑制領域16とは、一体化されている。基板領域14は、たとえば、基板領域14の表面に対する、レーザ光の照射又は化学物質の付与によって、反射抑制領域16に変化してもよい。化学物質の付与では、たとえば、化学物質を塗布してもよく、化学物質を蒸着してもよい。
【0034】
本実施形態では、載置エリア12における基板領域14は、テーブル10に含まれる周縁の一領域であり、その一領域上に反射抑制領域16が形成されている。テーブル10は、一領域である基板領域14に透明性を有していればよいが、当該テーブル10の全領域において透明性を有していてもよい。テーブル10は、当該テーブル10の全領域に反射抑制領域16を有していてもよい。テーブル10は、載置エリア12以外の基部エリア13に、基体領域18を有している。基体領域18は、基板領域14と同時に形成され基板領域14と一体の領域であってよい。この場合、基板領域14と基体領域18とが同時に形成された後に、基板領域14のみに反射抑制領域16が形成されてもよい。基体領域18は、基板領域14と別々に形成され、その形成後に基板領域14と一体化されていてもよい。この場合、基板領域14のみに反射抑制領域16が形成され、反射抑制領域16が形成された基板領域14と、反射抑制領域が形成されない基体領域18とが、互いに一体化されてもよい。基板領域14は、基体領域18を構成する材料と同一の材料から成っていてもよい。
【0035】
本実施形態では、基板領域14の屈折率は、たとえば、1.45〜1.55である。反射抑制領域16の屈折率は、たとえば、1.30〜1.40である。反射抑制領域16の厚さは、たとえば、100μm〜250μmである。
【0036】
図4の(a)は、本実施形態に係るテーブル10の基板領域14側からチップ素体1の一側面(第三側面3c)に入射した光の経路を示す図である。上述したように、チップ素体1の第三側面3cは、その全域において平坦ではなく、一部に窪み4を有することがある。この図では、チップ素体1の第三側面3cに存在する窪み4を拡大して示している。窪み4は、反射抑制領域16の最外面16aから窪んだところまでの深さdを有している。反射抑制領域16の最外面16aは、載置エリア12におけるテーブル10の最上面である。深さdの大きさは、窪み4の形状に応じて変化する。
【0037】
図4の(a)に示す例では、基板領域14の上に反射抑制領域16が配置している。反射抑制領域16は、MgFコーティング膜からなる。反射抑制領域16が配置されているので、基板領域14の第二面14bから当該基板領域14内に入射した光(入射光L1)に対しては、反射抑制領域16に対向している基板領域14の第一面14aにおける反射が抑制されている。反射抑制領域16が配置されている場合、第二面14bから入射し基板領域14を透過した入射光L1は、第三側面3cによって反射された反射光L2を生成するが、第一面14aでの反射光を生成し難い。
【0038】
反射抑制領域16の最外面16aは、所定の表面粗さを有する凹凸を含んでいてもよい。基板領域14の第一面14aは、所定の表面粗さを有する凹凸を含んでいてもよい。最外面16aの表面粗さは、第一面14aの表面粗さより大きくてもよい。最外面16aの表面粗さが第一面14aの表面粗さ以下である構成では、チップ素体1が、テーブル10の回転に伴い、最外面16a上を動くおそれがある。この場合、撮像ユニット30は、チップ素体1の各側面を適切に撮像しがたい。これに対して、最外面16aの表面粗さが第一面14aの表面粗さより大きい構成では、チップ素体1は、最外面16a上で動きがたいので、撮像ユニット30は、チップ素体1の各側面を適切に撮像する。
最外面16a及び第一面14aの表面粗さは、たとえば、最大高さ(Rz)で規定される。最大高さ(Rz)は、JIS B 0601:2001(ISO 4287:1997)に定義されている。最外面16aの表面粗さは、たとえば、12〜20μmである。最外面16aの表面粗さの一例は、14μmである。第一面14aの表面粗さは、たとえば、2〜10μmである。第一面14aの表面粗さの一例は、6μmである。
【0039】
図4の(b)は、比較例に係るテーブル10pの基板領域14側からチップ素体1の一側面(第三側面3c)に入射した光の経路を示す図である。この図でも、分かりやすく説明するために、窪み4を拡大して示している。窪み4は、基板領域14の第一面14aから窪んだところまでの深さdを有している。窪み4には、空気が入り込んでいる。基板領域14の第一面14aは、載置エリア12におけるテーブル10pの最上面である。
【0040】
本比較例では、図4の(a)のテーブル10と異なり、基板領域14の上に反射抑制領域が配置されていない。反射抑制領域がないので、第二面14bから入射し基板領域14を透過した入射光L1は、基板領域14の第一面14aでの反射を起こし易い。基板領域14を透過した入射光L1は、第三側面3cによって反射された反射光L2と、基板領域14の第一面14aで反射された反射光L3とを生成する。
【0041】
窪み4の空気内から第三側面3cにまで進んだ入射光L1は、空気と第三側面3cとの界面での固定端反射によって反射光L2を生成する。反射光L2の位相は、入射光L1の位相と比べて、半波長分に相当するπだけずれている。第二面14bから基板領域14内を進み第一面14aにまで進んだ入射光L1は、第一面14aでの自由端反射によって反射光L3を生成する。反射光L3の位相は、入射光L1の位相からずれていない。したがって、反射光L2と反射光L3とは、深さdの大きさに応じて、互いに強め合うときと、互いに弱め合うときとがある。図4の(b)に示されるように、深さdの大きさは、窪み4の形状に応じて変化しているので、反射光L2と反射光L3とは、互いに強め合うときと互いに弱め合うときとが繰り返された干渉縞を形成する。撮像部33aが感受する光は、反射光L2と反射光L3との二つの光であるので、第三側面3cを撮像した画像のうち、窪み4に対応する部分には干渉縞が加わることとなる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係る外観検査方法では、第二面14b側から基板領域14越しにチップ素体1の一側面(第三側面3c)に照射された光は、当該一側面で反射する。基板領域14の第一面14aでの反射が抑制されているので、第二面14bから入射し基板領域14を透過した光(入射光L1)は、第一面14aに至る際に、当該第一面14aで反射され難い。本実施形態に係る外観検査方法は、光照射による干渉縞の発生を抑制する。
【0043】
本実施形態では、テーブル10として、第一面14a上に反射抑制領域16が設けられており、反射抑制領域16が、第二面14bから入射し基板領域14を透過する光の第一面14aでの反射を抑制するテーブル10が用意されている。この場合、光照射による干渉縞の発生が確実に抑制される。
【0044】
本実施形態では、チップ素体1は、セラミック焼成体である。この場合、セラミック焼成体の一側面(第三側面3c)の外観検査において、干渉縞の発生がより確実に抑制される。
【0045】
本実施形態では、チップ素体1は、外表面に端子電極を形成する前のセラミック焼成体である。この場合、端子電極を有しないセラミック焼成体に対して、干渉縞の発生がより確実に抑制される。
【0046】
本実施形態では、一側面(第三側面3c)の表面粗さは、0μmより大きく0.1μm以下である。この場合、チップ素体1の第三側面3cでの光(入射光L1)の散乱を低減した上で、干渉縞の発生が抑制される。
【0047】
本実施形態では、光(入射光L1)は、赤色光である。この場合、チップ素体1の一側面(第三側面3c)における色むらが容易に検出される。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
1…チップ素体、3c…第三側面(一側面)、10…テーブル、14…基板領域、14a…第一面、14b…第二面、16…反射抑制領域、L1…入射光(光)。
図1
図2
図3
図4