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  • 特開2021192067-演奏補助具およびギター 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-192067(P2021-192067A)
(43)【公開日】2021年12月16日
(54)【発明の名称】演奏補助具およびギター
(51)【国際特許分類】
   G10H 1/00 20060101AFI20211119BHJP
   G10D 1/08 20060101ALI20211119BHJP
【FI】
   G10H1/00 A
   G10D1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-147172(P2018-147172)
(22)【出願日】2018年8月3日
(71)【出願人】
【識別番号】504388798
【氏名又は名称】株式会社ストーンシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(72)【発明者】
【氏名】石黒 尚久
【テーマコード(参考)】
5D002
5D478
【Fターム(参考)】
5D002AA04
5D478CC10
5D478LL00
5D478NN11
(57)【要約】
【課題】共鳴胴を持たない弦楽器において、叩打しながら、弦を弾いて演奏できるようにする演奏補助具を提供する。
【解決手段】共鳴胴を持たない弦楽器であるギター20に取り付けられる演奏補助具10であり、叩打するための1以上の叩打プレート101と、叩打プレート101に対する叩打に関する情報を検知する第一のセンサ102aおよび102b等の1以上のセンサと、当該1以上のセンサが検知した情報に応じた出力を行なう出力部103と、を備えた演奏補助具10である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共鳴胴を持たない弦楽器に取り付けられる演奏補助具であって、叩打するための1以上の叩打プレートを備えた演奏補助具。
【請求項2】
前記叩打プレートの1以上に対する叩打に関する情報を検知する1以上のセンサと、
当該1以上のセンサが検知した情報に応じた出力を行なう出力部と、をさらに備えた請求項1記載の演奏補助具。
【請求項3】
前記センサを複数備えており、
各センサは、前記叩打プレートの異なる領域について、それぞれ叩打に関する情報を検知し、
前記出力部は、各センサが取得した情報に応じて、前記叩打プレートの叩打された領域に応じた異なる出力を行なう請求項2記載の演奏補助具。
【請求項4】
前記出力部は、前記1以上のセンサが検知した情報に応じた音を決定し、決定した音の出力を行なう請求項2または請求項3記載の演奏補助具。
【請求項5】
前記弦楽器の弦に関する情報を受け付ける受付部をさらに備え、
前記出力部は、前記1以上のセンサが検知した情報と、前記受付部が受け付けた弦に関する情報とに応じた音を決定し、決定した音を出力する請求項4記載の演奏補助具。
【請求項6】
前記叩打プレートを複数備えており、当該複数の叩打プレートは、それぞれ、前記弦楽器の異なる位置に取付けられる請求項1から請求項5いずれか一項記載の演奏補助具。
【請求項7】
前記複数の叩打プレートのうちの2以上をそれぞれ叩打した場合に、叩打に応じて発生する音が異なる請求項6記載の演奏補助具。
【請求項8】
前記複数の叩打プレートのうちの2以上に、それぞれ1以上配置されており、叩打プレートに対する叩打に関する情報を検知する複数のセンサと、
当該複数のセンサが検知した情報に応じた出力を行なう出力部と、を更に備え、
前記出力部は、異なる叩打プレートに配置されたセンサがそれぞれ検知した叩打に関する情報に応じて、異なる音を決定し、決定した音の出力を行なう請求項7記載の演奏補助具。
【請求項9】
前記弦楽器に着脱可能な着脱構造を有する請求項1から請求項8いずれか一項記載の演奏補助具。
【請求項10】
前記叩打プレートのうちの1以上の取付け位置は、前記弦楽器のユーザが弦を弾く位置の手前側である請求項1から請求項9いずれか一項記載の演奏補助具。
【請求項11】
請求項1から請求項10いずれか一項記載の演奏補助具が取付けられた共鳴胴を持たない弦楽器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弦楽器を演奏する際に用いられる演奏補助具等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
練習用の弦楽器や、持ち運び用の弦楽器、アンプ等を利用して音を出すことを前提とした弦楽器として、従来から共鳴胴を持たない弦楽器が知られていた。例えば、このような従来の弦楽器として、共鳴胴を持たないギターが知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−305762号公報(第1頁、第1図等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の共鳴胴を持たないギター等の弦楽器においては、共鳴胴が存在しないため、手で共鳴胴を叩打しながら、弦を弾いて弦楽器を演奏することができない、という課題があった。
【0005】
例えば、通常の共鳴胴を有するギターにおいては、共鳴胴を叩打して音を出しつつ、弦を弾くスラム奏法と呼ばれる奏法等が知られているが、共鳴胴を持たない弦楽器では、叩打の対象となる共鳴胴が存在しないため、スラム奏法等を行なうことができなかった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解消するためになされたものであり、共鳴胴を持たない弦楽器において、叩打しながら、弦を弾いて演奏できるようにする演奏補助具、およびこの演奏補助具が取付けられた共鳴胴を持たない弦楽器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の演奏補助具は、共鳴胴を持たない弦楽器に取り付けられる演奏補助具であって、叩打するための1以上の叩打プレートを備えた演奏補助具である。
【0008】
かかる構成により、共鳴胴を持たない弦楽器に取付けることによって、叩打しながら、弦を弾いて演奏することができる。
【0009】
また、本発明の演奏補助具は、前記演奏補助具において、前記叩打プレートの1以上に対する叩打に関する情報を検知する1以上のセンサと、当該1以上のセンサが検知した情報に応じた出力を行なう出力部と、をさらに備えた演奏補助具である。
【0010】
かかる構成により、叩打プレートの叩打に応じた出力を行なうことができる。
【0011】
また、本発明の演奏補助具は、前記演奏補助具において、前記センサを複数備えており、各センサは、前記叩打プレートの異なる領域について、それぞれ叩打に関する情報を検知し、前記出力部は、各センサが取得した情報に応じて、前記叩打プレートの叩打された領域に応じた異なる出力を行なう演奏補助具である。
【0012】
かかる構成により、叩打した位置に応じた出力を行なうことができる。
【0013】
また、本発明の演奏補助具は、前記演奏補助具において、前記出力部は、前記1以上のセンサが検知した情報に応じた音を決定し、決定した音の出力を行なう演奏補助具である。
【0014】
かかる構成により、叩打プレートの叩打に応じて音を出力することができる。
【0015】
また、本発明の演奏補助具は、前記演奏補助具において、前記弦楽器の弦に関する情報を受け付ける受付部をさらに備え、前記出力部は、前記1以上のセンサが検知した情報と、前記受付部が受け付けた弦に関する情報とに応じた音を決定し、決定した音を出力する演奏補助具である。
【0016】
かかる構成により、弦楽器の弦に関する情報と、叩打プレートの叩打と、に応じて決定される音を出力することができる。
【0017】
また、本発明の演奏補助具は、前記演奏補助具において、前記弦楽器に着脱可能な着脱構造を有する演奏補助具である。
【0018】
かかる構成により、弦楽器に容易に取付けたり、取り外したりでき、例えば、叩打が必要な時だけ取付けることが可能となる。
【0019】
また、本発明の演奏補助具は、前記演奏補助具において、前記叩打プレートを複数備えており、当該複数の叩打プレートは、それぞれ、前記弦楽器の異なる位置に取付けられる演奏補助具である。
【0020】
かかる構成により、異なる叩打プレートを叩打しながら演奏を行なうことが可能となる。例えば、弦を挟んだ異なる位置のように、一の叩打プレートでカバーできない領域に配置された異なる叩打プレートを叩打しながら演奏を行なうことが可能となる。
【0021】
また、本発明の演奏補助具は、前記演奏補助具において、複数の叩打プレートのうちの2以上を叩打した場合に、叩打に応じてそれぞれが発生する音が異なる演奏装置である。
【0022】
かかる構成により、異なる叩打プレートを叩くことで異なる音を発生させて、演奏を行なうことができ、これにより、叩打するプレートを変更することで、発生させる音を容易に使い分けることができる。
【0023】
また、本発明の演奏補助具は、前記演奏補助具において、前記複数の叩打プレートのうちの2以上に、それぞれ1以上配置されており、叩打プレートに対する叩打に関する情報を検知する複数のセンサと、当該複数のセンサが検知した情報に応じた出力を行なう出力部と、を更に備え、前記出力部は、異なる叩打プレートに配置されたセンサがそれぞれ検知した叩打に関する情報に応じて、異なる音を決定し、決定した音の出力を行なう演奏補助具である。
【0024】
かかる構成により、異なる叩打プレートを叩くことで異なる音を発生させて、演奏を行なうことができ、これにより、叩打するプレートを変更することで、発生させる音を容易に使い分けることができる。
【0025】
また、本発明の演奏補助具は、前記演奏補助具において、前記叩打プレートの取付け位置が、前記弦楽器のユーザが弦を弾く位置の手前側である演奏補助具である。
【0026】
かかる構成により、叩打プレートを叩きながら、弦を弾きやすくすることができる。
【0027】
本発明の弦楽器は、上記の演奏補助具が取付けられた共鳴胴を持たない弦楽器である。
【0028】
かかる構成により、叩打しながら、弦を弾いて演奏することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、共鳴胴を持たない弦楽器において、叩打しながら、弦を弾いて演奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本実施の形態にかかる演奏補助具を取付けた、共鳴胴を有さない弦楽器の一例を示す正面図(図1(a))、裏面図(図1(b))、および主要部の斜視図(図1(c))
図2】同演奏補助具の構成を説明するための図(図2(a))、および変形例を示す図(図2(b))
図3】同演奏補助具を取付けた、共鳴胴を有さない弦楽器の変形例を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、演奏補助具等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0032】
(実施の形態)
図1は、本実施の形態における演奏補助具を取付けた、共鳴胴を有さない弦楽器の一例を示す正面図(図1(a))、裏面図(図1(b))、および演奏補助具の近傍を裏面側からみた斜視図(図1(c))である。
【0033】
図2は、本実施の形態における演奏補助具の構成を説明するための図(図2(a))、およびその変形例を示す図(図2(b))であり、演奏補助具の一部をブロック図を用いて示している。
【0034】
演奏補助具10は、叩打プレート101と、第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bと、出力部103と、着脱構造104を備えている。
【0035】
本実施の形態においては、演奏補助具10が取付けられる共鳴胴を有さない弦楽器が、ギター20である場合について説明する。共鳴胴とは、例えば、弦楽器の、中空構造のボディである。ここでは、ギター20が、ヘッド201と、ネック202と、ネック202の延長上に取付けられたブロック状の中空構造を有していないボディ203と、弦204と、ボディ203の側面側に設けられた一般的なアコースティックギターの共鳴胴の側面と同様のくびれを有する形状の枠体206とを備えている場合について説明する。ボディ203の弦204の一端を留める部分等は、ブリッジ205と呼ばれる。ただし、枠体206を有していなくても良い。ギター20のボディ203の形状は、ギター20の軽量化のため、長手方向が、ギター20の長手方向と一致する柱状の形状であることが好ましい。ここでは、ボディ203は、ブリッジ205近傍部分が幅方向に膨らんだ柱状の形状である場合を例に挙げて示している。また、ボディ203の幅は、ギター20の弦204のヘッド201とは反対側の端部を留めて保持可能な最低限のサイズ以上であればよい。ギター20は、弦204の振動や、ボディ203等の振動から、音の信号となる電気信号を取得するためのピックアップ(図示せず)や、ピックアップが取得した電気信号を外部に出力するための出力端子(図示せず)や、ピックアップが取得した電気信号を増幅するアンプ(図示せず)等を有していても良く、有していなくてもよい。なお、共鳴胴を持たないギター20の構造は、図1に示した構造に限定されるものではない。共鳴胴を持たないギターについては、公知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0036】
叩打プレート101は、ギター20に取付けられる。叩打プレート101は、ギター20の演奏者(以下、ユーザと呼ぶ)が叩打するためのプレートである。叩打とは、叩くことである。叩打プレート101の叩打は、通常、手で行なわれる。叩打プレート101の材質は、木材であってもよく、樹脂であっても良く、金属であっても良く、これらを組み合わせたものであっても良い。ただし、叩打プレート101の材質は、これらに限定されるものではない。叩打プレート101の表面101aは、通常は平坦であるが、平坦でなくても良い。叩打プレート101の表面101aは、ギター20の弦204が取付けられている側と同じ側の面である。叩打プレート101の平面形状や平面方向の大きさや厚さ等は問わない。叩打プレート101は、ユーザが叩きやすい平面形状や平面方向の大きさを有していればよい。ここでは、叩打プレート101が、ギター20と取付けられる部分に、ギター20のボディ203の側面に沿った形状の辺を有している例を示している。また、ここでは、叩打プレート101の一部が、枠体206上に配置されている例を示している。ただし、叩打プレート101は、枠体206に配置されていなくても良い。叩打プレート101は、内部が中空であってもよく、中空でなくても良い。
【0037】
ギター20を演奏しながら叩打プレート101を叩くためには、叩打プレート101は、ギター20のユーザが弦204を弾く部分の近傍に取付けられることが好ましい。特に、ギターの弦204を片手の指で弾きながら、手の位置をできるだけ動かさずに、同じ片手の手根や母指球で、叩打プレート101を叩く場合、叩打プレート101の取付け位置は、図1に示すように、ギター20の手前側であることが好ましく、ギター20の弦204を弾く位置の手前側であることがより好ましい。ここでの手前側とは、例えば、ユーザがヘッド201が左側に位置するようギター20を構えた場合に、弦204よりも上方となる側や、ユーザの弦204を弾く腕が位置する側である。ただし、叩打プレート101がギター20に対して取付けられる位置はこれに限定されるものではない。例えば、叩打プレート101は、ギター20の奥側に取付けられていてもよい。ギター20の奥側とは、例えば、ギター20の弦204を挟んでギター20の手前側の反対に位置する側である。ギター20の奥側とは、例えば、ユーザがヘッド201が左側に位置するようギター20を構えた場合に、弦204よりも下方となる側である。叩打プレート101は、ギター20のボディ203の側面に取付けられている。ただし、叩打プレート101は、ボディ203以外の部分、例えば、枠体206等に取付けられてもよく、ボディ203と、枠体206との両方に取付けられてもよい。なお、叩打しながら弦204を弾く、ということは、叩打の合間に弦204を弾くことであっても良く、叩打と同時に弦204を弾くことであっても良く、これらの組合せであっても良い。また、叩打しながら弦204を弾くとは、叩打と弦204を弾くことが含まれるよう演奏することであってもよい。
【0038】
叩打プレート101が、ギター20に対して着脱可能な着脱構造104を有しており、この着脱構造104により、ギター20に着脱可能に取付けられている。着脱構造104は、叩打プレート101の、上述したギター20のボディ203の側面に沿った形状の辺の裏面101b側に取付けられた、叩打プレート101から離れる方向に折れ曲がったL次型金具1041と、L次型金具1041をギター20のボディ203の側面に留めるためのつまみネジ1042との2つの組で構成されている。つまみネジ1042で、ギター20のボディ203の側面に設けられたネジ穴(図示せず)に、上記のネジ1042を留めることで、叩打プレート101をボディ203の側面に着脱可能に取付けて固定することができる。なお、叩打プレート101の着脱構造は、上記の着脱構造104に限定されるものではない。例えば、着脱構造は、上記の組を1つだけ有するものであっても良く、上記の組を複数有するものであっても良い。例えば、着脱構造は、ボディ203の側面に設けられた1以上の穴に嵌合する、叩打プレート101の側面等に設けられたピンであってもよい。このピンおよび穴は、簡単に外れないよう、ロック構造を有していても良い。着脱構造は、ボディ203の側面に設けられた1以上の溝にスライドしてはめ込むことが可能な叩打プレート101の側面等に設けられたレール等であってもよい。また、着脱構造は、ボディ203に巻付け可能なバンドやベルト等であってもよい。叩打プレート101をギター20に対して着脱可能とすることで、叩打プレート101を利用しない場合、叩打プレート101を外しておくことができる。
【0039】
なお、叩打プレート101は、ギター20に対して着脱可能に取付けられていなくてもよい。例えば、叩打プレート101は、ギター20に対して固定されていても良い。例えば、叩打プレート101は、ギター20に対して接着剤等で接着されていてもよく、木ねじや釘等で留められていてもよい。
【0040】
第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bは、叩打プレート101に対する叩打に関する情報を検知するセンサである。第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bが検知する叩打に関する情報は、例えば、叩打プレート101がユーザに叩打されたか否かを示す情報であっても良く、叩打された強さに対応する情報であってもよい。第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bは、例えば、叩打されたか否かを検知して、叩打されたか否かを示す情報を出力するセンサであっても良く、叩打された強さに応じた情報を取得して、取得した強さに応じた情報(例えば、強さを示す数値等)を出力するセンサであっても良い。第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bは、例えば、叩打された強さを検知して、検知した強さに応じて、信号強度が強くなる信号等を出力するセンサであっても良い。第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bは、例えば、叩打プレート101に取付けられ、叩打された場合の叩打プレート101の振動を検知する振動センサや、叩打された場合に叩打プレート101に加わる圧力を検知する圧力センサや、叩打された場合に発生する音を検知するセンサや、叩打プレート101の表面101aのゆがみ等を検知するゆがみセンサ等や、これらの二以上の組み合わせである。音を検出するセンサは、いわゆるピックアップ等であってもよい。ピックアップは、例えば、ピエゾピックアップであっても良く、コンデンサマイクロフォン等であっても良い。第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bは、例えば、同じ種類の情報を検知するセンサであっても良く、異なる種類の情報を検知するセンサであってもよい。ここでの種類とは、例えば、センサが検知する圧力や振動等の物理量等の種類である。また、第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bは、感度や、出力等が異なるセンサであっても良い。ここでは、第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bが、叩打プレート101の表面101aに加えられた圧力を検出する感圧センサである場合を例に挙げて説明する。ここでは、第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bは、叩打プレート101の表面101aが叩打された場合に圧力を検出できるよう、叩打プレート101の内部の、表面101aに近い部分に取付けられている。ただし、第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bは、叩打プレート101の表面101aや裏面101b等に取付けられていてもよい。例えば、第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bは、叩打プレート101の表面101aに取付けられたシート状の感圧センサ等であっても良い。
【0041】
第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bは、叩打プレート101の異なる領域内に配置されており、叩打プレート101の異なる領域について、それぞれ叩打に関する情報を検知する。叩打プレート101の異なる領域とは、例えば、叩打プレート101の平面方向における異なる領域である。ここでは、第一のセンサ102aが、叩打プレート101の、ギター20のネック202側の領域内に配置され、第二のセンサ102bが、ギター20のブリッジ205側に領域内に配置されている場合について説明する。ただし、第一のセンサ102aと第二のセンサ102bとが配置される領域は、これに限定されるものではなく、例えば、第一のセンサ102aと第二のセンサ102bとが、ギター20の長手方向における位置が同じ位置であって、ギター20の弦204からの距離が異なる位置に配置されてもよい。なお、第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bは、叩打プレート101の異なる領域について、それぞれ叩打に関する情報を検知可能であれば、例えば、叩打プレート101の平面方向において同じ位置であって、深さ方向が異なる位置に配置されていても良い。また、第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bは、叩打プレート101の異なる領域について、それぞれ叩打に関する情報を検知するものでなくても良い。例えば、第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bは、叩打プレート101に対する叩打に関する異なる種類の情報を取得するセンサの組み合わせであっても良い。例えば、第一のセンサ102aが、叩打による振動を検出する振動センサであり、第二のセンサ102bが、叩打により発生する音を検出するセンサであってもよい。
【0042】
なお、ここでは、第一のセンサ102aと第二のセンサ102bとを備えた場合について説明したが、センサの数は1以上であればよい。ただし、叩打プレート101の異なる領域について、それぞれ叩打に関する情報を検知する場合、センサの数は、二以上であることが好ましい。
【0043】
出力部103は、第一のセンサ102aと第二のセンサ102bとが検知した情報に応じた音を決定し、決定した音の出力を行なう。ここでの音の決定とは、例えば、音の音色の決定であっても良く、音の強さの決定であっても良く、音の音程の高さの決定であってもよく、音の発音時間の決定であってもよく、これら二以上の組み合わせであってもよい。音の強さは、音の大きさや音量等も含むと考えても良く、含まないと考えてもよい。音の音色の決定とは、音の種類の決定であっても良く、予め作成された音や、サンプリング等によって予め用意された音の中から、出力する1以上の音を決定することであってもよい。音を決定するということは、音の信号を取得することであっても良く、音の情報を取得することであっても良い。ここでの取得は、例えば、作成による取得であってもよく、図示しない格納部等からの読み出しによる取得であってもよい。出力部103が決定する音の音色は、例えば、ギターの共鳴胴を叩いた場合の音や、ドラムやシンバル等の打楽器を叩いた場合の音等の、物体を叩いた音と同様の音色であることが好ましい。
【0044】
出力部103は、第一のセンサ102aが検知した情報に応じた音と、第二のセンサ102bが検知した情報に応じた音とを個別に決定し、それぞれについて決定した音を、それぞれ出力する。例えば、出力部103は、第一のセンサ102aが検知した情報が示す値が、叩打プレート101を叩く強さを示す値である場合、検知した情報を示す値が、強く叩かれたことを示す値になるに従って、連続的にまたは段階的に大きくなる音であって、第一のセンサ102aに予め対応付けられた音色を有する音を、出力する音に決定し、この音を出力する。例えば、第一のセンサ102aが叩打プレート101の表面101aの圧力の大きさを検知する感圧センサである場合、出力部103は、第一のセンサ102aが検知した圧力の大きさを示す値の大きさに比例した強さを有する音であって、第一のセンサ102aに予め対応付けられた音色の音を、出力する音に決定して出力する。同様に、出力部103は、例えば、第二のセンサ102bが検知した情報が示す値が、叩打プレート101を叩く強さを示す値である場合、検知した情報を示す値が、強く叩かれたことを示す値になるに従って、連続的にまたは段階的に大きくなる音であって、第二のセンサ102bに予め対応付けられた音色を有する音を、出力する音に決定し、この音を出力する。圧力センサ等のセンサが検知した圧力に応じた強さの音を出力する構成や処理については、電子ドラム等の技術として公知であるため、ここでは詳細な説明は省略する。第一のセンサ102aと第二のセンサ102bとが同時に、叩打に関する情報を検出した場合も、出力部103は、第一のセンサ102aと第二のセンサ102bとがそれぞれ検出した情報に応じて、上記のようにそれぞれ音を決定し、決定した音を同時に出力してもよい。
【0045】
第一のセンサ102aに予め対応付けられた音色と、第二のセンサ102bに予め対応付けられた音色とを、異なる音色とすることで、上記のように、第一のセンサ102aと第二のセンサ102bとを異なる領域に配置し、異なる領域について、叩打に関する値を取得するようにした場合においては、第一のセンサ102aが配置された領域を叩打した場合と、第二のセンサ102bが配置された領域を叩打した場合とで、異なる音色の音を出力する音に決定して、出力することができる。例えば、第一のセンサ102aに予め対応付けられた音色と、第二のセンサ102bに予め対応付けられた音色とを、例えば、異なる打楽器の音、例えば、スネアドラムの音と、バスドラムの音とにそれぞれ設定することで、叩打プレート101の第一のセンサ102aの近傍を叩いた場合に、叩かれた強さに応じた強さのスネアドラムの音を出力し、叩打プレート101の第二のセンサ102bの近傍を叩いた場合に、叩かれた強さに応じた強さのバスドラムの音を出力することが可能となる。
【0046】
第一のセンサ102aが検知した叩打に関する情報が、叩く強さが閾値以下であることを示す情報である場合、出力部103は、第一のセンサ102aに応じた音を出力しないようにしてもよい。叩く強さが閾値以下であることを示す情報である場合とは、例えば、第一のセンサ102aとして、検出した圧力の数値を出力する感圧センサを用いる場合において、第一のセンサ102aが検知して出力する圧力を示す数値が、閾値以下であるときである。このような構成にすることで、例えば、第二のセンサ102bが配置された領域を叩打した場合に、第二のセンサ102bが検知した情報が示す値に応じた音の出力に加えて、この叩打によって発生する振動や音等を第一のセンサ102aが検知して、この検知した情報に応じた音が出力部103から出力されることを防ぐことができる。同様に、第二のセンサ102bが検知した情報が示す値が、叩く強さが閾値以下であることを示す値である場合、出力部103は、第二のセンサ102bに応じた音を出力しないようにしてもよい。なお、第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bの感度が低い場合には、このような閾値は設けなくてもよい。
【0047】
また、出力部103は、第一のセンサ102aが検知した叩打に関する情報と、第二のセンサ102bが検知した情報との両方を用いて音を決定し、決定した音を出力してもよい。例えば、第一のセンサ102aと第二のセンサ102bとが同時に叩打に関する情報を検知した場合に、第一のセンサ102aと第二のセンサ102bとのそれぞれに予め対応付けられた音色ではなく、第一のセンサ102aと第二のセンサ102bとの組み合わせに予め対応付けられた音色の音を出力する音に決定して出力しても良い。また、例えば、第一のセンサ102aと第二のセンサ102bとが同時に叩打に関する情報を検知した場合に、第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bがそれぞれ検知した情報が示す値を比較し、値の大きい方のセンサに予め対応付けられた音を、出力する音に決定して出力しても良い。
【0048】
また、出力部103は、第一のセンサ102aが検知した叩打に関する情報と、第二のセンサ102bが検知した情報とを解析して、叩打プレート101の、ユーザに叩打された位置を示す情報を取得し、叩打プレート101の平面方向において予め設定されている異なる音色と予め対応付けられた二以上の領域のうちの、取得した位置が含まれる領域に予め対応付けられた音色の音を、出力する音に決定しても良い。また、出力部103が解析によって、叩打された強さを示す情報を取得して、この強さに応じた強さの音を出力する音に決定するようにしても良い。このようにして、出力部103は、第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bが取得した情報に応じて、叩打プレート101の叩打された領域に応じて異なる出力を行なうようにしてもよい。なお、二以上のセンサが検知した情報を解析して、叩打された位置を特定する情報を取得する処理は、公知技術であるため、詳細な説明は省略する。
【0049】
なお、出力部は、このような第一のセンサ102aが検知した情報と、第二のセンサ102bが検知した情報との両方を用いて決定した音の出力と、上記のような、第一のセンサ102aが検知した情報に応じた音の出力と、第二のセンサ102bが検知した情報に応じた音の出力と、を組み合わせて行なうようにしても良い。
【0050】
なお、出力部103は、第一のセンサ102aが叩打に関する情報を検知した場合に、第一のセンサ102aと予め対応付けられた音を出力する音に決定して出力し、第二のセンサ102bが叩打に関する情報を検知した場合に、第二のセンサ102bと予め対応付けられた音を出力する音に決定して出力することによって、第一のセンサ102aが検知した情報に応じた音と、第二のセンサ102bが検知した情報に応じた音とを個別に決定して出力するようにしてもよい。ここでの予め対応付けられた音や、例えば、予め決められた音色と強さを有する音である。なお、第一のセンサ102aが叩打に関する情報を検知した場合とは、第一のセンサ102aが叩打されたことを示す情報を取得した場合であっても良く、第一のセンサ102aが叩打された強さに対応する情報を取得した場合であっても良く、第一のセンサ102aが予め決められた閾値以上の強さの叩打された強さを示す情報を取得した場合であっても良い。かかることは、第二のセンサ102bが叩打に関する情報を検知したい場合についても同様である。
また、出力部103は、
【0051】
ここでの出力部103による音の出力は、スピーカーやイヤホン等の音声の出力デバイス(図示せず)等からの音の出力であっても良く、音の電気信号の出力であっても良く、図示しない外部の音源等に出力部103が決定した音を出力させるための制御信号等の信号の出力であっても良い。音の電気信号は、アナログ信号であっても良く、デジタル信号であっても良い。また、音を出力させるための制御信号等の信号は、いわゆるMIDI(Musical Instrument Digital Interface)信号であっても良い。なお、音の出力は、例えば、出力デバイスへの音の信号の有線送信であっても良く、無線送信であっても良い。
【0052】
なお、出力部103は、上記のように、第一のセンサ102aと第二のセンサ102bとが検知した情報に応じた音を決定し、決定した音の出力を行なうものに限定されるものではなく、出力部103は、第一のセンサ102aと第二のセンサ102bとが検知した情報に応じた出力を行なうものであればよい。例えば、出力部103は、第一のセンサ102aと第二のセンサ102bとが検知した情報に応じた出力として、第一のセンサ102aと第二のセンサ102bとが検知した情報をそれぞれ出力するようにしても良い。情報を検知していない場合は、情報を出力しなくてよい。また、出力部103は、第一のセンサ102aと第二のセンサ102bとが検知した情報に応じた出力として、第一のセンサ102aと第二のセンサ102bとがそれぞれ情報を検知したか否かを示す情報を出力するようにしても良い。例えば、これらの出力を受け付けた図示しない装置が、受け付けた出力に応じた音を出力するようにすればよい。
【0053】
また、出力部103は、例えば、異なる領域に配置された第一のセンサ102aと第二のセンサ102bとがそれぞれ検知した情報を、それぞれ出力するようにしてもよい。また、出力部103は、第一のセンサ102aと第二のセンサ102bとのうちの、叩打されたことを検知したセンサを示す情報を出力するようにしても良い。例えば、これらの出力を受け付けた図示しない装置が、受け付けた情報に応じた音であって、受け付けた情報を出力したセンサに対応付けられた音を出力するようにすればよい。また、出力部103は、第一のセンサ102aが検知した情報と、第二のセンサ102bが検知した情報とを解析して、叩打プレート101の、ユーザに叩打された位置を示す情報を取得し、この位置を示す情報を出力しても良い。
【0054】
ここでの出力とは、音出力、外部の装置への送信、記録媒体への蓄積、他の処理装置や他のプログラムなどへの処理結果の引渡しなどを含む概念である。
【0055】
出力部103は、スピーカー等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。出力部103は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。また、出力部103が行なう音を決定したりする処理等は、ハードウェア(専用回路)で実現してもよく、MPUやメモリ等を用いてソフトウェアにより実現してもよい。このソフトウェアは例えば、図示しないROM等の記録媒体に記録しておくようにすればよい。
【0056】
なお、演奏補助具10の出力部103等は、例えば、叩打プレート101内に設けた空洞等に収容するようにしてもよく、叩打プレート101内に埋め込むようにしても良く、図示しない筐体等内に配置して、叩打プレート101の外部に設ける、または叩打プレート101の外側に取付けるようにしてもよい。かかることは、後述する受付部105についても同様である。
【0057】
次に、本実施の形態の演奏補助具10の具体的な動作について、演奏補助具10と、演奏補助具10を取付けたギター20とを用いて、演奏を行なう場合について説明する。ここでは、説明の便宜上、叩打プレート101の第一のセンサ102aが配置されている領域の近傍の領域を第一の領域1011、第二のセンサ102bが配置されている領域の近傍の領域を第二の領域1012とする。この第一の領域1011と第二の領域1012とは平面方向において重なっていないものとする。また、第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bがいずれも感圧センサであるとする。いずれの感圧センサも、加えられた圧力が強くなるに従って、信号強度が高くなる信号を出力するセンサであるとする。また、出力部103は、有線接続等により、スピーカー等を有するアンプ(図示せず)に接続されているものとする。
【0058】
ユーザが、叩打プレート101の第一の領域1011を叩くと、第一のセンサ102aが、叩かれた圧力を検知し、圧力に応じた強さの信号を出力部103に対して出力する。出力部103は、この信号を受け付けると、予め第一のセンサ102aに対応付けられた第一の音色を有する音であって、第一のセンサ102aが出力する信号の強さに応じた強度の音を、出力する音に決定し、決定した音のアナログ信号を上述したアンプに送信する。例えば、出力部103は、第一の領域1011を叩く強さが高い場合、第一のセンサ102aが出力する信号の信号強度が高くなるため、強い音が出力する音として決定され、叩打プレート101を叩く強さが弱い場合、第二のセンサ102bが出力する信号の信号強度が高くなるため、弱い音が出力する音として決定される。アンプは、受信したアナログ信号に応じた音をスピーカーから発音する。例えば、第一の音色は、ギターの共鳴胴を手の手根側で叩いた場合に得られる音と同様の音色であるとする。
【0059】
また、ユーザが、叩打プレート101の第二の領域1012を叩くと、第二のセンサ102bが、叩かれた圧力を検知し、圧力に応じた強さの信号を出力部103に対して出力する。出力部103は、この信号を受け付けると、第一のセンサ102aの出力を受け付けた場合と同様に、予め第二のセンサ102bに対応付けられた第一の音色とは異なる第二の音色を得する音であって、第二のセンサ102bが出力する信号の強さに応じた強度の音を、出力する音に決定し、決定した音のアナログ信号を上述したアンプに送信する。アンプは、受信したアナログ信号に応じた音をスピーカーから発音する。例えば、第二の音色は、ギターの共鳴胴を手の複数の指で叩いた場合に得られる音と同様の音色であるとする。
【0060】
また、第一の領域1011と第二の領域1012との両方が同時に叩かれた場合、第一のセンサ102aが第一の領域1011を叩かれた圧力を、また、第二のセンサ102bが第二の領域1012を叩かれた圧力を、それぞれ検知し、圧力に応じた信号を出力部103に対して出力する。出力部103は、これらの信号を受け付けると、第一のセンサ102aから出力される信号に対応した音として、第一の音色を有する音であって、第一のセンサ102aが出力する信号に応じた強度の音を、出力する音に決定する。また、第二のセンサ102bから出力される信号に対応した音として、第二の音色を有する音であって、第二のセンサ102bが出力する信号に応じた強度の音を、出力する音に決定する。そして、出力部103は、決定した2つの音のアナログ信号を同時にアンプに送信する。例えば、出力部103は、2つの音をミックスした音の信号をアンプに送信する。アンプは、出力部103から送信される信号を用いて2つの音を発音させる。
【0061】
ユーザが、例えば、ギター20の弦204を弾くと、ギター20から音が出力される。
【0062】
叩打プレート101は、ユーザがギター20を弾く位置の手前側の近くに取付けされているため、叩打プレート101を叩く合間に、ギター20の弦204を弾いたり、叩打プレート101を叩くと同時に弦204を弾いたり、叩いたりすることが可能である。これにより、ギター20と演奏補助具10とを組み合わせて演奏を行なうことができる。特に、上記のように第一の音色と第二の音色とを、ギターの共鳴胴の異なる位置を叩いた音や、共鳴胴を異なる叩き方で叩いた音等とすることで、共鳴胴を有さないギター20を用いて、共鳴胴を叩いた音とギターの音とを組み合わせた演奏を行なうことができる。
【0063】
以上、本実施の形態の演奏補助具によれば、共鳴胴を持たないギターに取付けることで、叩打しながら、弦を弾いて演奏できるようにすることができる。
【0064】
また、この演奏補助具が取付けられた共鳴胴を持たないギターによれば、叩いた音を出しながら、弦を弾いて演奏することができる。
【0065】
(変形例)
なお、図2(b)に示すような演奏補助具10aのように、上記実施の形態において説明した演奏補助具10において、受付部105をさらに設けるようにし、この受付部105が受け付けた情報を用いて、出力部103が出力する音を決定するようにしてもよい。以下、このような変形例について説明する。
【0066】
受付部105は、ギター20の弦204に関する情報を受け付ける。ギター20の弦204に関する情報とは、ギター20の弦204を弾いた場合や、弦204を叩いた場合にギター20等から発せられる音の信号や、弦204の振動の情報や、弦204の振動によって起こるギター20のボディ203等の振動の情報であっても良い。ギター20の弦204に関する情報とは、弦204に対するユーザのアクション(例えば、弦204を弾くアクションや、弦204を叩いたり、タップしたりするアクション等)によってギター20や弦204等から発生する音の強さを示す情報であってもよい。例えば、ギター20が、図示しないピックアップ等を有する場合、ギター20の弦204を弾いた場合の音の信号は、このピックアップが取得する弦204の音の信号を図示しない出力端子から出力した信号であっても良く、ピックアップが取得する弦204の音の信号を、ギター20が有する図示しないアンプ等で増幅して、図示しない出力端子から出力した信号であっても良い。共鳴胴を有さないギター20においては、ギター20の音を出力するために、ピックアップや、アンプや、出力端子等を備えていることが多いことから、これらを利用するようにすれば良い。ここでのピックアップは、マグネティックピックアップや、ピエゾピックアップ、コンデンサマイクロフォン等である。また、演奏補助具10aが、ギター20の弦204の音を検知するマイク(図示せず)や、弦204を弾くことによって発生するボディ203の振動を検知するセンサ(図示せず)を有するように、このマイクやセンサで取得した情報を受付部105が受け付けるようにしても良い。振動を検知するセンサは、例えば、ギター20のボディ203と接触する位置に設けることが好ましい。
【0067】
ここでの受付とは、例えば、ギター20や図示しないセンサ等の他の機器等から送信される入力信号の受信等である。受付部105は、例えば、入力デバイス等で実現される。
【0068】
出力部303は、上述した出力部103において、第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bが検知した情報と、受付部105が受け付けた弦204に関する情報とに応じた音を決定し、決定した音を出力するようにしたものである。例えば、受付部105が受け付けた弦204に関する情報が数値等の値で示される情報である場合、出力部303は、予め決められた期間内に受付部105が受け付けた弦204に関する情報の平均値等と、この期間内に受け付けた第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bが検知した叩打に関する情報と、を用いて、音を決定しても良い。
【0069】
出力部303は、例えば、上述した出力部103と同様に、第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bが検知した叩打に関する情報に応じて出力する音を決定するとともに、受付部105が受け付けた弦204に関する情報に応じて、決定した音の強さを変更しても良い。音の強さの変更は、音の強さの補正と考えても良い。例えば、受付部105が受け付けた弦204に関する情報が、弦204に対するユーザのアクションによって発生する音の強さを表す情報であるである場合、出力部303は、上記と同様に、第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bが検知した情報に応じて出力する音の音色および強さを決定するとともに、受付部105が受け付けた情報が示す音の強さが強くなるに従って連続的または段階的に、決定した音の強さが、より強くなるよう変更(例えば、増幅)してもよい。受付部105が受け付けた情報が示す音の強さが強くなることとは、例えば、受付部105が受け付けたギター20の音の信号が示す音の大きさが、大きくなることであっても良く、受付部105が受け付けた弦204や、ギター20等の振動を示す信号の大きさが、大きくなることであっても良い。
【0070】
また、出力部303は、例えば、上述した出力部103と同様に、第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bがそれぞれ検知した情報に応じて、第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bのそれぞれについて出力する音の強さを決定するとともに、受付部105が受け付けた弦204に関する情報に応じて、第一のセンサ102aについて出力する音の音色と、第二のセンサ102bについて出力する音の音色とをそれぞれ決定しても良い。例えば、出力部303は、受付部105が受け付けた弦204に関する情報を解析して、演奏されている楽曲等の特徴を示す情報であるテンポの情報を取得し、取得したテンポに応じて、第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bについてそれぞれ出力される音の音色を決定してもよい。例えば、取得したテンポが、閾値以下である場合、第一のセンサ102aについて出力される音の音色をコンガの音色、第二のセンサ102bについて出力される音の音色をタンバリンの音色に決定し、閾値を超える場合、第一のセンサ102aについて出力される音の音色をスネアドラムの音色、第二のセンサ102bについて出力される音の音色をハイハットの音色に決定するようにしてもよい。どのようなテンポの場合にどの音色の音を出力かを指定する情報は、例えば、図示しない格納部等に予め蓄積しておくようにすればよい。この情報は、例えば、異なるテンポの範囲を示す情報と、各範囲に対応づけられた出力する音の音色とを有する二以上の情報である。なお、ここでは、テンポの情報を用いた場合について説明したが、テンポ以外の楽曲の特徴を示す情報を用いるようにしてもよい。例えば、出力部303は、受付部105が受け付けた弦204に関する情報を解析して、テンポ以外の楽曲の特徴を示す情報(例えば、曲調等の情報)を取得し、取得した特徴を示す情報を用いて、上記のように出力する音の音色等を決定してもよい。なお、楽曲の情報から曲調等の情報を取得する処理は公知技術であるため、ここでは説明を省略する。
【0071】
なお、出力部303が、第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bが検知した情報と、受付部105が受け付けた弦204に関する情報とに応じた音を決定する処理等は、上記の処理に限定されるものではない。
【0072】
出力部303の上記以外の点については、上述した出力部103と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0073】
なお、受付部105が受け付ける情報が、ギター20が有する図示しないピックアップ等で取得された音の信号である場合、出力部303は、受付部105が受け付けるこの音の情報と、第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bが検知した情報に応じて取得する音の信号とをミックスした音の信号を出力しても良い。
【0074】
次に、この変形例の演奏補助具10aの具体的な動作について、演奏補助具10aと、演奏補助具10aを取付けたギター20とを用いて、演奏を行なう場合について説明する。ここでは、受付部105が、ギター20のボディ203に取付けられ、このボディ203の振動を検知する振動センサ(図示せず)と接続されている場合について説明する。この振動センサは、受付部105の一部と考えても良く、演奏補助具10aの一部と考えてもよい。
【0075】
ユーザが、ギター20の弦204を弾いて演奏を行なうと、上述した図示しない振動センサが、ギター20のボディ203の振動を順次検知し、検知した振動を示す信号を順次、受付部105に出力する。
【0076】
ユーザが、叩打プレート101の第一の領域1011を叩くと、第一のセンサ102aが、叩かれた圧力を検知し、圧力に応じた信号を出力部103に対して出力する。出力部103は、この信号を受け付けると、出力する音の強度を、第一のセンサ102aが出力する信号の強さに応じた強度に決定する。さらに、出力部103は、第一のセンサ102aから信号を受け付けるタイミングと同時に、上記の受付部105が受け付けた信号の信号強度が、閾値以上であるか否かを判断し、閾値以上であれば、第一のセンサ102aと対応付けられた異なる2つの音色のうちの、閾値以上の信号強度と対応付けられた音色を、出力する音の音色に決定する。また、閾値未満であれば、第一のセンサ102aと対応付けられた異なる2つの音色のうちの、閾値未満の信号強度と対応付けられた音色を、出力する音の音色に決定する。そして、出力部103は、上記のように決定した音色と強度とを有する音を、アンプに送信し、アンプが受信した音をスピーカーから発音する。これにより、現在演奏されているギター20の振動に応じた音を出力することができる。
【0077】
ユーザが、叩打プレート101の第二の領域1012を叩いた場合についても、第二のセンサ102bが叩かれた圧力を検知することが異なる点を除けば、第一の領域1011を叩いた場合と同様である。なお、この場合の第二のセンサ102bと対応付けられた異なる2つの音色は、第一のセンサ102aと対応付けられた異なる2つの音色と異なっていることが好ましいが、一部が一致していても良い。
【0078】
このような変形例においては、叩打プレート101を叩打した場合に、ギター20の弦204に対するユーザのアクションに応じた音を出力することができ、ギター20の演奏に合わせた音を演奏補助具10aから出力することができる。
【0079】
なお、上記実施の形態および変形例等においては、叩打に関する情報を検知するセンサとして、2つのセンサ、すなわち、第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102bを用いた場合について説明したが、一つの叩打プレート101に取付けられるセンサの数は、二つに限定されるものではなく、1以上であれば良い。例えば、センサの数は、3以上であっても良い。例えば、叩打プレートの異なる領域について、それぞれ叩打に関する情報を検知するよう、3以上のセンサを異なる領域にそれぞれ配置し、出力部103が、上記と同様に、それぞれのセンサが検知した情報に応じて、個別に出力する音を決定し、決定した音を出力するようにすればよい。また、出力部103は、3以上のセンサのうちの2以上のセンサの組み合わせが検出する情報に応じて、上記のように出力する音を決定してもよい。
【0080】
なお、センサが1つである場合、センサを叩打プレート101の異なる領域に配置できないため、一のセンサに一の音色を対応付けただけでは、出力部103が、叩打プレート101の叩打する位置に応じて異なる音色の音をできないが、このセンサの検出する情報の異なる値の範囲に、異なる音色を対応付けておき、このセンサが検出した情報の値が含まれる範囲に対応付けられた音色を、出力部103が出力する音の音色に決定しても良い。例えば、センサの位置が、叩打プレート101の叩打された位置から遠い場合と近い場合とでは、センサが検出する圧力や振動の値が異なる。通常は、遠い場合の圧力や振動の値は小さくなる。このため、センサが検出した値を含む値の範囲に対応付けられた音色の音を出力することで、叩打プレート101の叩打する位置に応じた音を出力することができる。
【0081】
また、上記実施の形態においては、演奏補助具が叩打プレート101を一つ備えている場合について説明したが、演奏補助具は、複数の叩打プレート101を備えていても良い。複数の叩打プレート101は、例えば、ギター20の異なる位置に取付けられる。複数の叩打プレート101は、例えば、ギター20の弦204を挟んだ異なる位置に取付けられてもよい。例えば、図3に示すように、2つの叩打プレート101は、ギター20の手前側と奥側とに取付けられてもよい。複数の叩打プレート101の1以上の取付け位置は、ギター20のユーザが弦204を弾く位置の手前側であることが好ましい。ただし、複数の叩打プレート101の、ギター20に対する取付け位置や、叩打プレート101間の位置関係は、これに限定されるものではない。複数の叩打プレート101は、サイズ、形状、内部の構造(例えば、空洞の有無や、空洞の形状等)、材質等のうちの1以上が同じであってもよく、異なっていてもよい。演奏補助具は、複数の叩打プレート101の2以上をそれぞれ叩打した場合に、叩打に応じて発生する音が異なるものであることが好ましい。例えば、複数の叩打プレート101は、叩打に応じて発生する音が異なるように、サイズ、形状、内部の構造(例えば、空洞の有無や、空洞の形状等)、材質等のうちの1以上が異なっているものであることが好ましい。
【0082】
また、演奏補助具が上記のように複数の叩打プレート101を有するとともに、複数のセンサ102を更に備えるようにし、複数の叩打プレート101のうちの1または2以上に対して、それぞれ、上述した1以上のセンサ102が配置するようにして、各センサ102が、各センサ102が設けられた叩打プレート101に対する叩打に関する情報を取得するようにしてもよい。例えば、複数の叩打プレート101のうちの一部(例えば、1つ)にだけ、センサ102を1以上配置するようにしてもよく、複数の叩打プレート101の全てに、それぞれ、1以上のセンサ102を配置してもよい。例えば、2つの叩打プレート101の一方に、第一のセンサ102aが配置され、他方に第二のセンサ102bが配置されていてもよい。また、この場合においても、上述したように、一の叩打プレート101の異なる領域に複数のセンサ102を配置するようにしてもよい。なお、異なる叩打プレート101にそれぞれ配置されるセンサ101の数は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0083】
また、出力部103は、異なる叩打プレート101に配置されたセンサ102がそれぞれ検知した叩打に関する情報に応じて、異なる音を決定し、決定した音の出力を行なうようにしてもよい。このような構成とすることで、上記のように、演奏補助具が、複数の叩打プレートのうちの2以上をそれぞれ叩打した場合に、叩打に応じて発生する音が異なるものとなるようにしてもよい。異なる音とは、例えば、上述したような音色等が異なる音である。例えば、2つの叩打プレート101の一方に、第一のセンサ102aが配置され、他方に第二のセンサ102bが配置されている場合において、出力部103は、第一のセンサ102aが検知した叩打に関する情報と、第二のセンサ102bが検知した叩打に関する情報に応じて、異なる音を決定し、決定した音をそれぞれ出力してもよい。例えば、第一のセンサ102aが配置された叩打プレート101が叩打された場合、出力部103は、この第一のセンサ102aが検知した叩打に関する情報に応じて、シンバルの音を決定して出力し、第一のセンサ102aが配置された叩打プレート101が叩打された場合、出力部103は、この第一のセンサ102aが検知した叩打に関する情報に応じて、ドラムの音を決定して出力するようにしてもよい。
【0084】
また、上記のように複数の叩打プレート101と複数のセンサ102とを有する場合、演奏補助具は、上述した出力部103を1つ備えていても良く、2以上備えていてもよい。例えば、出力部103を1つ備えている場合、この1つの出力部103が、複数のセンサ102の1以上と有線または無線で接続され、接続されたセンサ102がそれぞれ検知した情報を出力するようにしてもよい。また、例えば、出力部103を2以上備えている場合、この2以上の出力部103は、それぞれ、複数のセンサ102の1以上と有線または無線で接続され、接続されたセンサ102が検知した情報を出力するようにしてもよい。この場合、一の出力部103を、一の叩打プレート101に配置される1以上のセンサ102と接続することが好ましい。なお、出力部103を複数有する場合、演奏補助具は、上述した受付部105を一つ備えていても良く、各出力部103に対応してそれぞれ設けられた複数の受付部105を有していても良い。
【0085】
なお、上記実施の形態および変形例における演奏補助具が取付けられる共鳴胴を有さない弦楽器は、ギター20に限定されるものではなく、例えば、ウクレレや、ベース、バイオリン等であってもよい。共鳴胴を持たないギター等の弦楽器については、公知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0086】
また、上記で説明した演奏補助具は、少なくとも共鳴胴を持たない弦楽器に取り付けられる演奏補助具であって、叩打するための叩打プレートを備えた演奏補助具であってもよい。例えば、叩打ながら弦204を弾く練習を行なう場合や、叩打プレート101を叩打したことによって発生するいわゆる生の音で演奏を行なう場合等のように、叩打しながらギター20を弾くだけで、叩打によって得られる音を出力部103や、出力部303等から出力する必要がない場合等においては、演奏補助具は、上記で説明した演奏補助具10および演奏補助具10aにおいて、第一のセンサ102aおよび第二のセンサ102b等の1以上のセンサや、出力部103、出力部303、受付部105等を省略したものであっても良い。
【0087】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0088】
以上のように、本発明にかかる演奏補助具等は、共鳴胴を持たない弦楽器を用いた演奏に利用される演奏補助具として適しており、特に、共鳴胴を持たない弦楽器に取付けて用いられる演奏補助具等として有用である。
【符号の説明】
【0089】
10,10a 演奏補助具
20 ギター
101 叩打プレート
101a 表面
101b 裏面
102a 第一のセンサ
102b 第二のセンサ
103、303 出力部
104 着脱構造
105 受付部
201 ヘッド
202 ネック
203 ボディ
204 弦
205 ブリッジ
206 枠体
1011 第一の領域
1012 第二の領域
1041 L次型金具
1042 つまみネジ
図1
図2
図3