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特開2021-192089近赤外線吸収板およびこれを含む光学装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-192089(P2021-192089A)
(43)【公開日】2021年12月16日
(54)【発明の名称】近赤外線吸収板およびこれを含む光学装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/22 20060101AFI20211119BHJP
   G02B 5/26 20060101ALI20211119BHJP
【FI】
   G02B5/22
   G02B5/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2020-198785(P2020-198785)
(22)【出願日】2020年11月30日
(31)【優先権主張番号】10-2020-0068228
(32)【優先日】2020年6月5日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0147696
(32)【優先日】2020年11月6日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】509179087
【氏名又は名称】エルエムエス・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LMS Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ムン ソンファン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ソンホ
(72)【発明者】
【氏名】ジ チュンウ
(72)【発明者】
【氏名】カン ナムウ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ジュンホ
(72)【発明者】
【氏名】カン ボチョル
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒキョン
(72)【発明者】
【氏名】チェ ジョンオク
(72)【発明者】
【氏名】ユン ソンヨン
【テーマコード(参考)】
2H148
【Fターム(参考)】
2H148CA04
2H148CA06
2H148CA12
2H148CA22
2H148CA26
2H148CA29
2H148FA13
2H148FA22
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光吸収層を構成する複数の有機物間の相互作用による可視光透過率および近赤外線吸収率の低下を防止する。
【解決手段】ガラス基板100と、最大吸収波長が850nm以上1,200nm以下の範囲内である第1光吸収層200と、前記第1光吸収層から分離して存在しつつ、最大吸収波長が650nm以上750nm以下の範囲内である第2光吸収層300と、を含み、ヘーズが0.3%以下である、近赤外線吸収板。
【効果】薄型化が可能で強度または耐熱性等の機械的物性に優れている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板と、
最大吸収波長が850nm以上1,200nm以下の範囲内である第1光吸収層と、
前記第1光吸収層から分離して存在しつつ、最大吸収波長が650nm以上750nm以下の範囲内である第2光吸収層と、を含み、
ヘーズが0.3%以下である、近赤外線吸収板。
【請求項2】
前記第1光吸収層は、950nm以上1,200nm以下の範囲内である波長の光のうちいずれか一つの波長の光に対する透過率が20%以下である、請求項1に記載の近赤外線吸収板。
【請求項3】
前記第2光吸収層は、670nm以上730nm以下の範囲内である波長の光のうちいずれか一つの波長の光に対する透過率が5%以下である、請求項1または2に記載の近赤外線吸収板。
【請求項4】
450nmの波長の光に対する透過率が60%以上であり、
550nmの波長の光に対する透過率が70%以上であり、
1,050nmの波長の光に対する透過率が40%以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の近赤外線吸収板。
【請求項5】
前記ガラス基板は、ASTM D790規準に基づいて測定した3点曲げ強度が360MPa以上である、請求項1から4のいずれか一項に記載の近赤外線吸収板。
【請求項6】
前記ガラス基板の厚さは、0.07mm以上0.3mm以下の範囲内である、請求項1から5のいずれか一項に記載の近赤外線吸収板。
【請求項7】
前記第1光吸収層は、前記ガラス基板を基準として前記第2光吸収層の反対側に存在する、請求項1から6のいずれか一項に記載の近赤外線吸収板。
【請求項8】
前記ガラス基板、前記第1光吸収層および前記第2光吸収層を前記順に含むか、または、前記ガラス基板、前記第2光吸収層および前記第1光吸収層を前記順に含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の近赤外線吸収板。
【請求項9】
前記第1光吸収層と第2光吸収層との間に存在する分離層をさらに含む、請求項8に記載の近赤外線吸収板。
【請求項10】
前記分離層は、接着層である、請求項9に記載の近赤外線吸収板。
【請求項11】
前記分離層の厚さは、0.2μm以上である、請求項9または10に記載の近赤外線吸収板。
【請求項12】
前記ガラス基板は、前記ガラス基板の第1主面に存在する第1圧縮応力層と、前記第1主面の反対側の主面である第2主面に存在する第2圧縮応力層と、を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の近赤外線吸収板。
【請求項13】
前記第1光吸収層は、第1バインダー樹脂と、前記第1バインダー樹脂に分散した第1色素と、を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の近赤外線吸収板。
【請求項14】
前記第1光吸収層は、前記第1バインダー樹脂、前記第1色素および第1溶媒を含む組成物の硬化物であり、
前記第1バインダー樹脂の前記第1溶媒に対する溶解度は、100g/L以上であり、
前記第1色素の前記第1溶媒に対する溶解度は、15g/L以下である、請求項13に記載の近赤外線吸収板。
【請求項15】
前記第1色素は、下記化学式1の化合物を含む、請求項13に記載の近赤外線吸収板。
【化1】
前記化学式1で、R1〜R8は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基またはアルキニル基であり、R9〜R11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルキル基またはアルコキシ基であり、X−は、アニオンである。
【請求項16】
前記第2光吸収層は、第2バインダー樹脂と、前記第2バインダー樹脂を着色する第2色素と、を含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の近赤外線吸収板。
【請求項17】
前記第2色素は、下記化学式2の化合物を含む、請求項16に記載の近赤外線吸収板。
【化2】
【請求項18】
前記化学式2で、前記アミノフェニル基、インドリルメチレン基、インドリニル基またはピリミジン基に存在する水素のうちいずれか一つ以上は、互いに独立して、炭素数6〜20のアリール基で置換され、且つ前記アリール基に一つ以上の水素は、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基でさらに置換されている、請求項17に記載の近赤外線吸収板。
【請求項19】
請求項1から18のいずれかに一項に記載の近赤外線吸収板と、前記近赤外線吸収板の一面または両面に存在する選択波長反射層と、を含む光学フィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、近赤外線吸収板、これを含む光学フィルターおよびこれを含む撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、スマートフォンとタブレットPCの普及拡大等に伴い、イメージセンサーを用いたデジタルカメラモジュールの需要が大きく増えている。モバイル機器に用いられるデジタルカメラモジュールは、薄型化と高画質を追求する方向に発展する状況である。デジタルカメラの映像信号は、イメージセンサーを通じて取得される。半導体で構成されたイメージセンサーは、人の目とは異なって、(近)赤外線領域の波長の光に対しても反応する。したがって、人の目で見るのと類似した映像情報を得るためには、(近)赤外線領域の波長の光を遮断する赤外線遮断フィルター(Infrared−Ray Cut Filter,IRCF)が要求される。
【0003】
IRCFの一例として、i)ガラス基板に誘電体多層膜を蒸着させて製造された、赤外線を反射させて可視光領域波長の光のみを透過させる反射型フィルターが考慮された。しかしながら、反射型フィルターは、近赤外線領域波長の光を吸収しないので、カメラモジュールで内面反射が激しい。内面反射は、イメージのゴースト現象(現像されたイメージがぼやけて認識されたりまたは実際には存在しないイメージが認識されたりする現象)の主な原因である。
【0004】
IRCFの別の例として、ii)無機粒子が分散して青色を示すガラス基板(いわゆる「blue glass」 と知られている)に誘電体多層膜を蒸着させて製造された、近赤外線の光を吸収および反射させる無機物吸収型フィルター(以下では、「ブルーフィルター」とも称する)が考慮された。ブルーフィルターは、近赤外線の吸収を通じて前記のゴースト現象を抑制するのに有利である。しかしながら、ブルーフィルターは、脆性(brittleness)が大きいので、IRCFの総厚さを0.2mm以下に薄型化しようとする近年の技術的傾向には符合しない。
【0005】
IRCFのさらに別の例として、iii)透明基材に互いに異なる波長範囲内で吸収極大を有する複数の有機物(光吸収剤)を適用し、誘電体多層膜を蒸着させて製造されて近赤外線を吸収および反射させることができる有機物吸収型フィルターも考慮された。有機物吸収型フィルターは、無機物吸収型フィルターに比べて比較的自由に当該フィルターが吸収可能な光の波長を制御することができるので、赤外線領域波長の光の吸収を増加させ、可視光線領域波長の光の吸収を減少させるのに有利である。また、有機物吸収型フィルターは、光吸収剤が適用された光吸収層を別途適用するので、基材(または基板)を選択するのに制約がなく、強度の高い基材を自由に選択可能であるという利点がある。しかしながら、有機物吸収型フィルターは、前記光吸収層において前記有機物間の相互作用(interaction)に起因して、可視光透過率の低下および近赤外線吸収率の減少等の問題点を有する。
【0006】
これより、前記光吸収層を構成する有機物間の相互作用による可視光透過率および近赤外線吸収率の低下を防止することができる赤外線遮断フィルターの開発が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2009−0051250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願では、光吸収層を構成する複数の有機物間の相互作用による可視光透過率および(近)赤外線吸収率の低下を防止することができる近赤外線吸収板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願は、近赤外線吸収板(特に、近赤外線吸収円板)に関する。
【0010】
本出願の近赤外線吸収板は、ガラス基板と、互いに光学特性が異なる複数の光吸収層とを少なくとも含む。また、前記複数の光吸収層は、互いに分離して存在する。
【0011】
前記で光吸収層が「分離して存在する」というのは、各光吸収層に適用される光吸収剤間の相互作用が起こらないように配置されていることを意味する。例えば、本出願の近赤外線吸収板が、ガラス基板と、第1光吸収層および第2光吸収層とを含み、前記光吸収層が互いに分離して存在するというとき、前記吸収板が第1光吸収層(第2光吸収層)/ガラス基板/第2光吸収層(第1光吸収層)の積層構造を有したり、ガラス基板/第1光吸収層(第2光吸収層)/第2光吸収層(第1光吸収層)の構造を有したりして、前記第1および第2光吸収層に適用された光吸収剤間の相互作用または混合が起こらないように構成されたことを意味し得る。
【0012】
上記したように、本出願の近赤外線吸収板に適用された複数の光吸収層は、互いに異なる光学特性を有したり、またはそれぞれを構成する成分の存在形態等が互いに異なっていたりする。すなわち本出願の近赤外線吸収板は、ガラス基板、第1光吸収層および第2光吸収層を少なくとも含む。また、前記第1光吸収層と前記第2光吸収層は、光学的特性またはこれを構成する成分の存在形態等が異なっている。そして、前記第1光吸収層と第2光吸収層は、互いに物理的に分離して、個別的(あるいは独立的)に存在する。
【0013】
本出願の近赤外線吸収板に適用される前記第1光吸収層と第2光吸収層は、互いに異なる光学的特性を有する。具体的に、前記第1光吸収層と第2光吸収層は、吸収極大を有する波長の範囲が異なっている。具体的に、前記第1光吸収層は、850nm以上1,200nm以下の範囲内の波長で吸収極大を有し、第2光吸収層は、650nm以上750nm以下の範囲内の波長で吸収極大を有する。すなわち、前記第1光吸収層の最大吸収波長は、850nm以上1,200nm以下の範囲内である。前記第2光吸収層の最大吸収波長は、650nm以上750nm以下の範囲内である。
【0014】
前述の記載において、特定の層または部材が特定の範囲内の波長で吸収極大を有するということは、その範囲内の波長で最大吸収波長を有することを意味する。また、任意の層または部材がその範囲内の波長で最大吸収波長を有するということは、その範囲内の波長で透過率が最小であることを意味する。
【0015】
また、前記光吸収層の最大吸収波長は、前記光吸収層自体に対して測定したものであってもよく、または前記光吸収層とガラス基板で構成された積層体に対して測定したものであってもよい。前記光吸収層の最大吸収波長の測定は、後述する実施例に記載された方式に従うことができる。
【0016】
また、前記光吸収層の最大吸収波長は、これに適用される光吸収剤あるいはこれを製造するための組成物の組成で調節され得、これに対する具体的な説明は後述する。
【0017】
本出願では、互いに異なる最大吸収波長を有する複数個の光吸収層を含み、その光吸収層が互いに分離して存在するように構成することによって、各光吸収層を構成する光吸収剤間の相互作用を防止することができ、その結果、前記相互作用による可視光線透過率と、近赤外線(または赤外線)吸収率の減少を予防することができる。また、前記のような配置によって、本出願の近赤外線吸収板は、前述した光吸収剤の相互作用による物性の低下を防止すると同時に、いわゆる光学的に透明な物性を有することができる。したがって、本出願の近赤外線吸収板は、前述した配置によってヘーズ(Haze)が0.3%以下でありうる。
【0018】
一例として、前記近赤外線吸収板のヘーズは、0.25%以下または0.2%以下であり得、その下限は、低いほど良いので、特に制限されるものではなく、例えば0.001%以上、0.01%以上または0.05%以上でありうる。前記ヘーズの測定基準としては、公知の測定規準、例えばASTM D1003等を適用することができる。前記ヘーズの基準波長は、例えば、550nmでありうる。
【0019】
一例として、前記近赤外線吸収板を構成する第1光吸収層の透過率特性がさらに制御され得る。具体的に、前記第1光吸収層は、950nm以上1,200nm以下の範囲内である波長の光のうちいずれか一つの波長の光に対する透過率が20%以下でありうる。
【0020】
前記第1光吸収層の透過率の基準波長は、別の例として、960nm以上、970nm以上、980nm以上、990nm以上または1,000nm以上であり得、1,190nm以下、1,180nm以下、1,170nm以下、1,160nm以下、1,150nm以下、1,140nm以下、1,130nm以下、1,120nm以下、1,110nm以下、1,100nm以下、1,090nm以下、1,080nm以下、1,070nm以下、1,060nm以下または1,050nm以下でありうる。
【0021】
前記第1光吸収層の透過率は、別の例として、19%以下、18%以下、17%以下、16%以下または15%以下であり得、その下限は、低いほど吸収率が高いことを意味するので、特に制限されないが、0.01%以上、0.1%以上、1%以上、5%以上または10%以上でありうる。このような透過率を達成することができる方式は後述する。
【0022】
一例として、前記近赤外線吸収板を構成する第2光吸収層の透過率特性も、さらに制御され得る。具体的に、前記第2光吸収層は、670nm以上730nm以下の範囲内である波長の光のうちいずれか一つの波長の光に対する透過率が5%以下でありうる。
【0023】
前記第2光吸収層の透過率の基準波長は、別の例として、675nm以上、680nm以上、685nm以上、690nm以上または695nm以上であり得、725nm以下、720nm以下、715nm以下、710nm以下、705nm以下または700nm以下でありうる。
【0024】
前記第2光吸収層の透過率は、別の例として、4.5%以下、3%以下、3.5%以下、3%以下、2.5%以下または2%以下であり得、その下限は、低いほど吸収率が高いことを意味するので、特に制限されないが、0.01%以上、0.1%以上、0.5%以上または1%以上でありうる。
【0025】
本出願の近赤外線吸収板は、上記した特性を満足する複数の光吸収層(第1および第2光吸収層)を少なくとも含むことによって、特有の光学特性、例えば特定の透過率を示すことができる。
【0026】
一例として、前記近赤外線吸収板は、450nmの波長の光に対する透過率が60%以上でありうる。前記近赤外線吸収板の450nmの波長の光に対する透過率は、別の例として65%以上または70%以上であり得、その上限は、高いほど有利であるので、特に制限されないが、100%程度、95%以下、90%以下、85%以下または80%以下でありうる。
【0027】
一例として、前記近赤外線吸収板は、550nmの波長の光に対する透過率が70%以上でありうる。前記近赤外線吸収板の550nmの波長の光に対する透過率は、別の例として75%以上または80%以上であり得、その上限は、高いほど有利であるので、特に制限されないが、100%程度、95%以下または90%以下でありうる。
【0028】
一例として、前記近赤外線吸収板は、1,050nmの波長の光に対する透過率が40%以下でありうる。前記1,050nmの波長の光に対する透過率は、別の例として、37%以下、35%以下、33%以下または30%以下であり得、その下限は、低いほど有利であるので、特に制限されないが、1%以上、5%以上、10%以上、15%以上または20%以上でありうる。
【0029】
前記近赤外線吸収板の光透過率等は、前記近赤外線吸収板に対して公知の分光光度計を用いて測定された値でありうる。
【0030】
本出願の近赤外線吸収板は、その適切な強度等の機械的物性を確保する見方から、前記第1光吸収層および第2光吸収層を支持する基材として、ガラス基板を含む。
【0031】
本出願の近赤外線吸収板では、その板の機械的物性を向上させる観点から、ガラス基板として特に高い強度を有するガラス基板、例えば強化ガラス基板を適用することができる。具体的に、本出願の近赤外線吸収板に適用される前記ガラス基板は、ASTM D790規準に基づいて測定した3点曲げ強度が360MPa以上でありうる。前記3点曲げ強度は、別の例として、370MPa以上、380MPa以上、390MPa以上、400MPa以上、410MPa以上、420MPa以上、430MPa以上、440MPa以上、450MPa以上、460MPa以上、470MPa以上、480MPa以上、490MPa以上または500MPa以上でありうる。
【0032】
本出願で前記強化ガラス基板に適用可能なガラス基板の種類は、上記した曲げ強度を満足すると、特に制限されるものではなく、例えば物理的に強化した強化ガラスまたは化学的に強化した強化ガラスを適用することができ、好ましくは、化学的に強化した強化ガラスを適用することができる。
【0033】
一例として、前記強化ガラス基板は、ガラス基板の第1主面に存在する第1圧縮応力層と、前記第1主面の反対側の主面である第2主面に存在する第2圧縮応力層とを含む強化ガラス基板でありうる。このように、圧縮応力層を通じて(化学的に)強化したガラス基板を適用することによって、本出願の近赤外線吸収板は、向上した強度を有することができる。また、このような近赤外線吸収板を適用したり、または前記近赤外線吸収板を有する光学フィルターを適用したりした撮像素子(imaging device)は、高い耐候性を確保することができる。
【0034】
前記ガラス基板に圧縮応力層を形成する方式は、特に制限されるものではなく、公知のガラス基板の物理的強化または化学的強化方式が適用され得る。ただし、ガラス基板の損傷を最小化する観点では、化学的強化方式で前記圧縮応力層を形成することができる。圧縮応力層は、Naイオンを含む従来ガラス基板において、前記NaイオンがKイオンに置換された部位を意味し得る。前記NaイオンがKイオンに置換される過程でガラス基板の一表面からKイオンが置換された部位までの層を圧縮応力層と定義する。一般的に、圧縮応力層は、DOL(Depth of compressive stress layer)と知られている。すなわち前記圧縮応力層は、前記ガラス基板内の成分が外部処理(熱処理等)により他の成分に置換されたものであるので、前記ガラス基板の内部に向かって形成されたものでありうる(この点は、前記圧縮応力層をDOLと称する内容と同じ意味である)。
【0035】
本出願の近赤外線吸収板において、前記強化ガラス基板が含む第1圧縮応力層および第2圧縮応力層それぞれの厚さは、前記近赤外線吸収板の総厚さの略30%以下でありうる。具体的に、前記第1圧縮応力層および第2圧縮応力層の厚さは、それぞれ1μm以上30μm以下の範囲内でありうる。前記厚さは、別の例として、5μm以上、10μm以上または15μm以上であり得、25μm以下または20μm以下でありうる。本出願の近赤外線吸収板は、前記範囲内の厚さで形成された圧縮応力層を含む強化ガラス基板を適用することによって、強度に優れた薄型の近赤外線吸収板を具現することができる。
【0036】
前記圧縮応力層の厚さが一定でない場合、前記圧縮応力層の厚さは、前記圧縮応力層の最大厚さ、最小厚さまたは前記最大厚と最小厚さの平均厚さを意味し得る。
【0037】
本出願の近赤外線吸収板では、その適切な機械的物性(mechanical and physical property)を確保する観点から、前記ガラス基板の厚さも、適宜調節することができる。例えば、前記ガラス基板の厚さは、0.07mm以上0.3mm以下の範囲内でありうる。前記厚さは、前述したように、前記ガラス基板の最大厚さ、最小厚さまたは前記最大厚と最小厚さの平均厚さを意味し得る。前記ガラス基板の厚さは、別の例として、0.07mm以上0.02mm以下の範囲内でありうる。
【0038】
前述したように、本出願の近赤外線吸収板では、その適切な光学物性(例えば、可視光線領域の光に対する透過率と近赤外線領域の光に対する吸収率の向上)を確保する観点から、前記第1光吸収層と第2光吸収層を互いに独立的な層で構成する。
【0039】
前述したように、前記第1光吸収層と第2光吸収層が、互いに独立して存在または個別的に構成されるということは、例えば前記第1光吸収層および第2光吸収層が互いに物理的に接触しないか、その構成成分間の混合が起こらないように構成されたことを意味し得る。
【0040】
上記のように、第1光吸収層および第2光吸収層が分離して存在するように配置する方法は、多様に知らされている。例えば、本出願の近赤外線吸収板において前記第1光吸収層は、前記ガラス基板の一面に存在するように配置し、前記ガラス基板の他面に前記第2光吸収層が存在するように配置して、前記第1光吸収層と第2光吸収層が分離して存在するように配置することができる。すなわち、本出願の近赤外線吸収板において、前記第1光吸収層は、前記ガラス基板の一面上に存在し、前記第2光吸収層は、前記ガラス基板の他面上に存在することができる。換言すれば、近赤外線吸収板において、前記第1光吸収層は、前記ガラス基板を基準として前記第2光吸収層の反対側に存在することができる。
【0041】
別の例として、前記第1光吸収層と第2光吸収層は、ガラス基板の一面上に順に積層された構造を有し、且つ前述したように互いに分離して存在することができる。この際、前記近赤外線吸収板において、ガラス基板、第1光吸収層および第2光吸収層が前記順に存在したり、またはガラス基板、第2光吸収層および第1光吸収層が前記順に存在したりする構造を有することができる。
【0042】
図1および図2にこのような積層構造を示した。本出願の近赤外線吸収板は、第1光吸収層200と、ガラス基板100および第2光吸収層300が前記順に存在する構造を有することができ(図1参照)、または、第2光吸収層300と、ガラス基板100および第1光吸収層200が前記順に存在する構造を有することもできる(図2参照)。
【0043】
また、本出願の近赤外線吸収板は、前述したように、前記第1光吸収層と第2光吸収層が前記ガラス基板の一面上に積層された構造を有することができる。前記近赤外線吸収板は、例えば、ガラス基板100と、第1光吸収層200および第2光吸収層300が前記順に存在する構造(図3参照)を有することもでき、ガラス基板100と、第2光吸収層300および第1光吸収層200が前記順に存在する構造(不図示)を有することができる。前記近赤外線吸収板は、ガラス基板100と、前記第1光吸収層200および第2光吸収層300を前記順に含む構造を有することが好ましい。
【0044】
後述するが、前記第1光吸収層と第2光吸収層が隣接する構造(ガラス基板/第2光吸収層/第1光吸収層またはガラス基板/第1光吸収層/第2光吸収層の積層構造)を有するときには、各光吸収層に適用された光吸収剤(または色素)間の混合が起こらないように、前記第1光吸収層と第2光吸収層が明確に分離して存在するように構成する必要がある。前記第1および第2光吸収層に適用された色素間の混合によって光学的物性等が低下することがあるためである。このような方式の一つとして、前記第1光吸収層200および第2光吸収層300の間に分離層400を導入する方式で前記第1光吸収層と第2光吸収層が分離して存在するように構成することができる(図4参照)。
【0045】
前記分離層は、前記第1光吸収層の構成成分と第2光吸収層の構成成分(例えば色素等の光吸収剤等)間の混合が起こらないように機能する公知の機能性層を意味し得る。例えば、前記分離層としては、公知の遮断膜等を適用することができ、別の例としては、公知された接着剤を適用することができる。
【0046】
本出願の近赤外線吸収板の目的とする光学的物性を確保し、各光吸収層間の適切な付着力を確保する観点から、前記分離層としては、接着層(または接着剤層)を適用することが有利になり得る。前記で用語「接着」は、公知の意味そのまま、二つの物質が接触して物理的および/または化学的結合力で結合している現象を意味し得、「接着剤」は、その接着剤と被着物の表面が界面の結合力により結合している状態を形成することができるように設けられた公知の化学的材料を意味し得る。
【0047】
前記接着層は、一般的に接着樹脂等を含む接着剤組成物を硬化または架橋して形成され得る。この際、前記接着剤層(接着層)を形成し得る樹脂の種類は、特に制限されない。前記樹脂としては、前記第1光吸収層と第2光吸収層間の適切な付着力を確保することができるものであれば、公知の接着剤用樹脂の中から自由に選択したものを適用することができる。前記接着層に適用される樹脂としては、例えば、環状オレフィン系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリイソシアネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂およびポリエチレンナフタレート系樹脂のうち1種以上等が挙げられる。
【0048】
前述の記載において、前記第1光吸収層と第2光吸収層それぞれを構成する色素間の相互作用(または混合)を防止し、前記近赤外線吸収板が光学的に透明な特性を示すように構成する観点から、前記分離層(接着層または接着剤層)の厚さも、適宜調節可能である。前記分離層の厚さは、0.2μm以上でありうる。前記厚さは、別の例として、0.3μm以上、0.4μm以上または0.5μm以上であり得、その上限は、特に制限されるものではなく、近赤外線吸収板の目的とする最終厚さに大きく影響を与えない限度内で適宜調節可能である。
【0049】
接着層の厚さは、前記接着層を形成し得る接着剤組成物の塗布、具体的にコート方式によって決定され得る。例えば、接着剤組成物のコート方式でスピンコート方式を採用する場合、接着層の厚さは、同じコート時間内では、スピンコートの回転数が増加するほど減少させることができる。
【0050】
前記光吸収層それぞれの厚さも、特に制限されない。前記光吸収層それぞれの厚さは、後述する近赤外線吸収板の平均厚さを形成できる範囲内で適宜調節可能である。前記第1光吸収層と第2光吸収層それぞれの厚さは、例えば、0.25μm以上10μm以下の範囲内でありうる。前記厚さは、別の例として、0.5μm以上であり得、5μm以下でありうる。前記第1光吸収層の厚さと前記第2光吸収層それぞれの厚さは、互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0051】
本出願で、任意の部材の厚さが一定でない場合、その厚さは、当該部材の最大厚さ、最小厚さ、または前記最大厚さおよび最小厚さの平均厚さを意味し得る。
【0052】
本出願の近赤外線吸収板は、前記のガラス基板、第1および第2光吸収層を適用することによって、薄い厚さを有することができる。具体的に、前記近赤外線吸収板の厚さは、例えば、0.3mm以下、0.23mm以下または0.22mm以下でありうる。前記厚さは、別の例として、0.08mm以上0.15mm以下の範囲内にありえる。前述したように、前記近赤外線吸収板の厚さが一定でない場合、前記厚さは、最大厚さ、最小厚さ、または前記最大厚と最小厚さの平均厚さでありうる。
【0053】
本出願の近赤外線吸収板において、前記第1および第2光吸収層それぞれは、前述した透過率等の光学物性を示すことができるように、色素(それぞれ第1および第2色素)を含むことができるが、これに適用される前記第1および第2色素それぞれの光学特性を調節することによって、前述した光吸収層の光学特性を調節することができる。すなわち前記第1光吸収層と第2光吸収層それぞれに適用される第1色素および第2色素としては、互いに異なる光学的特性、具体的に最大吸収波長が互いに異なる範囲内で存在するものを適用することができる。
【0054】
具体的に、前記第1光吸収層に適用される前記第1色素の最大吸収波長は、850nm以上1,200nm以下の範囲内にありえる。また、前記第2光吸収層に適用される第2色素の最大吸収波長は、650nm以上750nm以下の範囲内にありえる。すなわち前記近赤外線吸収板の第1光吸収層と第2光吸収層は、互いに異なる光学的物性を有することができる。前述したように、互いに異なる光学特性を有する複数の色素を一つの光吸収層に適用すると、前記色素間の相互作用によって可視光線透過率および/または近赤外線(または赤外線)吸収率が減少する場合があるが、本出願では、前記の互いに異なる光学特性を有する色素を互いに異なる層に適用し、これらが独立して存在することができるように構成することによって、向上した光学特性を確保することができる。
【0055】
前記第1色素および第2色素それぞれの最大吸収波長は、前述した第1光吸収層および第2光吸収層それぞれの最大吸収波長と同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。また、前記第1色素および第2色素それぞれの最大吸収波長は、前記第1色素および第2色素自体に対して測定した最大吸収波長であってもよく、前記第1色素または第2色素を溶媒と混合した溶液に対して測定した最大吸収波長であってもよく、前記色素と適当に混合したバインダー樹脂で構成された光吸収層の最大吸収波長であってもよく、または前記光吸収層と公知のガラス基板からなる積層体に対して測定した最大吸収波長であってもよい。
【0056】
前記第1光吸収層または第2光吸収層において前記第1または第2色素は、それぞれ第1バインダー樹脂または第2バインダー樹脂と配合された状態で存在することができる。この際、前記第1光吸収層または第2光吸収層において前記第1色素または第2色素は、第1バインダー樹脂または第2バインダー樹脂との存在形態が互いに異なるように構成され得る。
【0057】
一例として、前記第1光吸収層は、第1バインダー樹脂と、前記第1バインダー樹脂に分散した第1色素とを含むことができる。すなわち前記第1色素は、前記第1光吸収層においてその他成分(例えばバインダー樹脂または後述する溶媒等)に溶解せず、具体的には、前記第1バインダー樹脂が形成したマトリックス内に分散した形態で存在することができる。具体的に、前記第1色素は、前記第1光吸収層内で独立的な粒子形態で存在可能である。
【0058】
このように特定の色素がその光吸収層内で分散した形態で存在するように設計する方式は、特に制限されない。例えば、本出願では、前記第1光吸収層を形成する原料(raw−material)あるいは光吸収層形成用組成物の組成を特定の組成で調節することができる。具体的に、本出願では、前述した第1色素、第1バインダー樹脂および溶媒(第1溶媒)を含む光吸収層形成用組成物を硬化して、第1光吸収層を製造することができる。すなわち前記第1光吸収層は、前記第1色素、第1バインダー樹脂および第1溶媒を含む光吸収層形成用組成物の硬化物でありうる。この際、前述した第1色素が前記第1光吸収層において前記第1バインダー樹脂に分散した形態で存在することができるように、特に前記溶媒(第1溶媒)として前記第1色素と前記第1バインダー樹脂に対して特定の溶解度を示す溶媒を適用することができる。具体的に、前記第1溶媒としては、前記第1色素の前記第1溶媒に対する溶解度が15g/L以下であるものを選択することができる。
【0059】
前述の記載において、溶解度は、溶媒の単位体積L当たり溶質が溶解する質量gの比率g/Lを意味し得る。前記第1色素の前記第1溶媒に対する溶解度は、別の例として、0g/L以上15g/L以下でありうる。前記で溶解度が0g/Lというのは、その溶質が溶媒に対して全く溶けないことを意味し得る。
【0060】
また、前記溶解度は、常温で測定された値でありうる。前記で用語「常温」は、特に加温されたり減温されたりしない自然そのままの温度、具体的に15℃以上30℃以下の範囲内のいずれか一つの温度、20℃以上25℃以下の範囲内のいずれか一つの温度、または約23℃を意味し得る。
【0061】
このように互いに異なる光学特性を有する第1光吸収層と第2光吸収層を分離して存在させ、前記第1光吸収層では、前記第1色素を前記光吸収層内で分散した形態で存在させるものの、第1光吸収層を形成する組成物において、前記第1色素の溶解度が前述した値になるようにする特定溶媒を適宜選択すると、前記第1光吸収層の可視光領域(例えば、450nm以上600nm以下の範囲内の波長領域)における光透過率を高めることができて、前記光吸収層を含む近赤外線吸収板が、高い可視光領域における透過率を有しながらも、同時に高い赤外線領域(または近赤外線、700nm以上1,200nm以下の範囲内の波長領域)における光吸収率(または光遮断率)を有するようにすることができる。
【0062】
また、前記第1光吸収層において前記第1バインダー樹脂に前記第1色素が分散した形態で存在するように構成するためには、前記第1色素に対しては、前述した溶解度を有し、前記第1バインダー樹脂には、溶解度が略100g/L以上である溶媒を適用することができる。すなわち前記第1光吸収層を形成するのに適用する組成物としては、上記した光学特性(最大吸収波長)を有する第1色素を溶かし、これに適用される第1バインダー樹脂を溶かさない溶媒を含むものを適用することができる。
【0063】
前述したように、本出願の近赤外線吸収板に適用される第2光吸収層は、前記第1光吸収層とは区別される物性および/または組成を有する。したがって、前記第2光吸収層は、少なくとも前記第1光吸収層に適用される色素とは異なる色素(第2色素)を含むことができる。また、前記第2光吸収層は、前記第2色素にさらに第2バインダー樹脂を含むことができる。この際、前記第2光吸収層において前記第2色素は、前記第1光吸収層における前記第1色素とは異なって、溶解した状態で存在することができる。具体的に、前記第2色素は、第2光吸収層を製造する過程で適用された溶媒(第2溶媒)に溶解したり、またはこれに適用されたバインダー樹脂(第2バインダー樹脂)を着色した状態で存在することができる。
【0064】
前述の記載において、第2光吸収層を形成する光吸収層形成用組成物も、第1光吸収層を形成する組成物と同様に、前記第2色素と、バインダー樹脂(第2バインダー樹脂)および溶媒(第2溶媒)を含むことができる。また、前記第2色素が前記第2光吸収層内で前述した存在状態を示すことができるように、前記第2溶媒としては、前記第2色素に対して特定の溶解度を有するものを選択することができる。具体的に、前記第2光吸収層内で前記第2色素は、溶解した状態で存在することもできて、前記第2色素は、前記第2溶媒に対する溶解度が特定値を超過することが有利になり得る。例えば、前記第2色素は、前記第2溶媒に対する溶解度が15g/Lを超過することができる。前記第2色素の前記第2溶媒に対する溶解度は、別の例として、20g/L以上、30g/L以上、40g/L以上、50g/L以上、60g/L以上、70g/L以上、80g/L以上、90g/L以上または100g/L以上であり得、その上限は、特に制限されるものではなく、第2色素を十分に溶解することができる程度であれば適切である。
【0065】
前記第1光吸収層または第2光吸収層を形成する過程で適用される第1溶媒または第2溶媒は、前記の第1色素または第2色素それぞれに対する溶解度を満足することができるものであれば、公知の溶媒、具体的に公知の有機溶媒の中から自由に選択可能である。具体的に、前記第1光吸収層形成用組成物または第2光吸収層形成用組成物は、それぞれ第1溶媒または第2溶媒として、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートまたはジエチレングリコールモノエチルエーテル3−メトキシブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、γブチロラクトン、シクロヘキサノン、トルエンおよびピリドン等を適用することができる。
【0066】
前述の記載において、バインダー樹脂は、光吸収層を構成する成分間の固定力を付与するために適用される成分を意味し得る。一方、近赤外線吸収板の優れた光学特性を確保する観点から、前記バインダーとして、光学的に透明な樹脂を適用することが適切である。
【0067】
「光学的に透明である」というのは、可視光線、例えば550nmの波長の光に対する透過率が90%以上、95%以上、99%以上または100%程度であることを意味し得る。
【0068】
また、前記第1光吸収層または第2光吸収層を形成する過程で適用される第1バインダー樹脂または第2バインダー樹脂は、前記第1色素と第1溶媒または第2色素と第2溶媒とともに前述した特性を示すことができるようにすることができるものであれば、公知のバインダー樹脂の中から自由に選択され得る。
【0069】
前記バインダー樹脂としては、例えば、環状オレフィン系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイソシアネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリエチレンナフタレート樹脂のうち1種以上を使用することができる。本出願では、前記第1バインダー樹脂と前記第2バインダー樹脂が互いに同一でもよく、互いに異なっていてもよい。
【0070】
本出願の近赤外線吸収板において前記光吸収層を形成する方法は、特に制限されない。例えば前記近赤外線吸収板の第1光吸収層と第2光吸収層は、それぞれ光吸収層形成用組成物、具体的に前述した色素、バインダー樹脂および溶媒を含む組成物を硬化させて製造することができる。前記で硬化の方式は、特に制限されるものではなく、公知の硬化方式、例えば、熱硬化、光硬化または熱および光のデュアル硬化方式を適用することができる。
【0071】
本出願の近赤外線吸収板は、前記第1光吸収層形成用組成物と第2光吸収層形成用組成物それぞれを製造した後、前記のうちいずれか一つの組成物を基材(前述したガラス基板または強化ガラス基板)上に塗布して硬化した後、前記硬化した層あるいは前記ガラス基板の他面に前記のうち残りの一つの組成物を塗布して硬化する方式で製造することができる。
【0072】
前述したように、前記第1および第2光吸収層は、それぞれを形成するのに必要な組成物を塗布(またはコート)した後、これを硬化させて製造され得るが、一般的に硬化過程では、溶媒が蒸発するので、前記第1光吸収層は、第1色素と第1バインダー樹脂とを含むことができ、第2光吸収層は、第2色素と第2バインダー樹脂とを含むことができる。この際、前記第1光吸収層の製造過程で適用された第1溶媒は、第1色素を特定数値以上で溶解させないので、前記第1色素は、前記組成物内において粒子形態で含有されるので、前記第1光吸収層において前記第1色素は、前記第1バインダー樹脂、具体的に前記第1バインダー樹脂が形成した樹脂マトリックス(matrix)に分散して存在することができる。
【0073】
同様の理由で、前記第2光吸収層が、第2バインダー樹脂と第2色素とを含むことができるが、この際、前記第2光吸収層の製造過程で適用された第2溶媒は、第2色素に対して高い溶解度を有するので、前記第2色素は、前記第2光吸収層形成用組成物において溶媒により溶解することができる。しかし、前記製造(硬化)過程で溶媒は揮発するので、前記第2光吸収層は、前記第2バインダー樹脂と第2色素とを含み、且つ前記第2色素は、前記第2バインダー樹脂を着色している状態で存在することができる。
【0074】
一例として、前記第1色素と第2色素それぞれの比率は、特に制限されない。例えば、前記第1色素および第2色素それぞれの比率は、前記光吸収層を形成する組成物にバインダー樹脂が適用されるとき、前記バインダー樹脂100重量部を基準として、0.01以上10重量部以下、0.01以上8重量部以下または0.01重量部以上5重量部以下の範囲内でありうる。前記第1色素および第2色素それぞれの比率は、前記第1光吸収層および第2光吸収層それぞれにおける比率であってもよく、前記第1光吸収層形成用組成物および第2光吸収層形成用組成物それぞれにおける比率を意味し得る。
【0075】
一例として、前記第1光吸収層および/または第2光吸収層が前述した最大吸収波長以外の更なる最大吸収波長を有するようにする観点から、前記第1光吸収層および/または第2光吸収層は、前記第1色素および/または第2色素とは異なる色素(第3色素)をさらに含むことができる。この際、前記第3色素の比率は、前記光吸収層を形成する組成物または前記光吸収層内でこれに適用されたバインダー樹脂100重量部に対して0.01重量部以上5重量部以下の範囲内でありうる。前記比率は、前記第3色素として一種類の色素を適用したときには、その一種類の比率を意味し得、複数の色素を併用した場合には、その色素それぞれの比率を意味し得る。
【0076】
この際、第3色素の種類は、特に制限されない。第3色素としては、紫外線領域または赤外線(または近赤外線)領域の光で最大吸収波長を有する染料、顔料または金属錯体系化合物の中から1種以上を適用することができる。具体的に、前記更なる第3色素としては、インドール系、オキサゾール系、メロシアニン系、シアニン系、ナフタルイミド系、オキサジアゾール系、オキサジン系、オキサリジン系、ナフタル酸系、スチリル系、アントラセン系、環状カルボニル系、トリアゾール系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、ポルフィリン系、ベンゾポルフィリン系、スクアリリウム系、アントラキノン系、クロコニウム系、ジチオール金属錯化合物等が挙げられる。前記第3色素は、第1光吸収層または第2光吸収層に単独で適用され得、場合によっては、前記で羅列されたもののうち2種以上を混合して適用され得る。
【0077】
前記第1色素の種類は、前述した光学特性、例えば前述した最大吸収波長を有することができるものであれば、特に制限されない。前記第1色素としては、例えば、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、ベンゾポルフィリン系化合物、ジイモニウム系化合物、スクアリリウム系化合物、アントラキノン系化合物、クロコニウム系化合物、またはジチオール金属錯化合物等を適用することができる。
【0078】
一方、前記第1光吸収層の最大吸収波長との関係と前記第2光吸収層が前述した範囲内で最大吸収波長を有するようにする観点から、前記第1色素としては、ジイモニウム系化合物を適用することが有利になり得る。
【0079】
ジイモニウム系化合物は、例えば下記化学式1の化合物で表され得る。したがって前記第1色素は、化学式1の化合物を含むことができる。
【0080】
【化1】
【0081】
前記化学式1で、R1〜R8は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基またはアルキニル基であり、R9〜R11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルキル基またはアルコキシ基であり、X−は、アニオンである。一例として、アニオンは、例えば、Cl、I、F、ClO、BF、SbF、CFSOまたは、CHSO等を含むことができる。
【0082】
本出願で、用語「アルキル基(alkyl group)」は、直鎖または分岐鎖状の飽和炭化水素から誘導された置換基を意味し得る。前記アルキル基としては、例えば、メチル基(methyl group)、エチル基(ethyl group)、n−プロピル基(n−propyl group)、イソプロピル基(iso−propyl group)、n−ブチル基(n−butyl group)、sec−ブチル基(sec−butyl group)、t−ブチル基(tert−butyl group)、n−ペンチル基(n−pentyl group)、1,1−ジメチルプロピル基(1,1−dimethylpropyl group)、1,2−ジメチルプロピル基(1,2−dimethylpropyl group)、2,2−ジメチルプロピル基(2,2−dimethylpropyl group)、1−エチルプロピル基(1−ethylpropyl group)、2−エチルプロピル基(2−ethylpropyl group)、n−ヘキシル基(n−hexyl group)、1−メチル−2−エチルプロピル基(1−methyl−2−ethylpropyl group)、1−エチル−2−メチルプロピル基(1−ethyl−2−methylpropyl group)、1,1,2−トリメチルプロピル基(1,1,2−trimethylpropyl group)、1−プロピルプロピル基(1−propylpropyl group)、1−メチルブチル基(1−methylbutyl group)、2−メチルブチル基(2−methylbutyl group)、1,1−ジメチルブチル基(1,1−dimethylbutyl group)、1,2−ジメチルブチル基(1,2−dimethylbutyl group)、2,2−ジメチルブチル基(2,2−dimethylbutyl group)、1,3−ジメチルブチル基(1,3−dimethylbutyl group)、2,3−ジメチルブチル基(2,3−dimethylbutyl group)、2−エチルブチル基(2−ethylbutyl group)、2−メチルペンチル基(2−methylpentyl group)、3−メチルペンチル基(3−methylpentyl group)等を適用することができる。また、前記アルキル基は、炭素数1〜20、1〜12、1〜6、または1〜4のアルキル基を意味し得る。
【0083】
本出願で、用語「シクロアルキル基(cycloalkyl group)」は、単一環(monocyclic)の飽和炭化水素に由来する置換基を意味し得る。前記シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基(cyclopropyl group)、シクロブチル基(cyclobutyl group)、シクロペンチル基(cyclopentyl group)、シクロヘキシル基(cyclohexyl group)、シクロヘプチル基(cycloheptyl group)、シクロオクチル基(cyclooctyl group)等を適用することができる。また、前記シクロアルキル基は、炭素数3〜20、3〜12、3〜9または3〜6のシクロアルキル基を意味し得る。
【0084】
本出願で、用語「アリール基」は、芳香族炭化水素に由来する1価の置換基を意味する。前記アリール基としては、例えば、フェニル基(phenyl group)、ナフチル基(naphthyl group)、アントラセニル基(anthracenyl group)、フェナントリル基(phenanthryl group)ナフタセニル基(naphthacenyl group)、ピレニル基(pyrenyl group)、トリル基(tolyl group)、ビフェニル基(biphenyl group)、テルフェニル基(terphenyl group)、クリセニル基(chrycenyl group)、スピロビフルオレニル基(spirobifluorenyl group)、フルオランテニル基(fluoranthenyl group)、フルオレニル基(fluorenyl group)、ペリレニル基(perylenyl group)、インデニル基(indenyl group)、アズレニル基(azulenyl group)、ヘプタレニル基(heptalenyl group)、 フェナレニル基(phenalenyl group)、フェナントレニル基(phenanthrenyl group)等を適用することができる。また、前記アリール基は、炭素数6〜30、6〜24、6〜18または6〜12のアリール基を意味し得る。
【0085】
本出願で、用語「アラルキル基(aralkyl group)」は、末端炭化水素の水素サイトに芳香族炭化水素に由来する1価の置換基が結合した飽和炭化水素化合物に由来する1価の置換基でありうる。すなわち、前記アラルキル基は、鎖末端がアリール基で置換されたアルキル基を意味する。アラルキル基の例としては、ベンジル基(benzyl group)、メチルベンジル基(methylbenzyl group)、フェネチル基(phenethyl group)、フェニルプロピル基(phenylpropyl group)、ナフタレニルメチル基(naphthalenylmethyl group)、ナフタレニルエチル基(naphthalenylethyl group)等が挙げられる。
【0086】
一例として、前記第2色素の種類も、前述した光学特性、例えば前記第2光吸収層または第2色素自体の最大吸収波長を有することができるものであれば、特に制限されない。例えば、前記第2色素としては、前述した第1色素の範疇に含まれ、且つ前述した光学特性を満足しながらも、前記第1色素とは異なる種類の化合物を適用することができる。
【0087】
一方、前述した第2色素自体あるいは第2光吸収層の最大吸収波長を有するようにする観点から、前記第2色素としては、スクアリリウム系化合物を含む色素を適用することができる。スクアリリウム系化合物は、下記化学式2で表される化合物でありうる。すなわち、前記第2色素は、下記化学式2の化合物を含むことができる。
【0088】
【化2】
【0089】
【0090】
また、前記化学式2で、前記アミノフェニル基、インドリルメチレン基、インドリニル基;またはピリミジン基に存在する水素のうちいずれか一つ以上は、互いに独立して、アリール基であるとき、前記アリール基は、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基でさらに置換され得る。
【0091】
前記化学式2の化合物は、具体的に下記化学式2a〜化学式2dのうちいずれか一つの化合物でありうる:
【0092】
【化3】
【0093】
【化4】
【0094】
【化5】
【0095】
【化6】
【0096】
前記化学式2a〜化学式2dで、a1、a2、a3およびa4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリール基、スルホンアミド基であるか、または炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基または炭素数7〜20のアラルキル基で置換または非置換されたアミド基である。また、別の例として、前記化学式2a〜化学式2dで、a1、a2、a3およびa4がそれぞれ独立して、炭素数6〜20のアリール基であるとき、前記アリール基の一つ以上の水素は、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基でさらに置換され得る。
【0097】
本出願は、また、前記近赤外線吸収板を含む光学フィルターに関する。具体的に、本出願の光学フィルターは、近赤外線(または赤外線)遮断フィルターでありうる。
【0098】
前記光学フィルターは、前述した近赤外線吸収板および前記近赤外線吸収板の一面または両面に存在する選択波長反射層を含む。前記で用語「選択波長反射層」は、特定波長の光は反射し、前記反射する光と異なる波長の光は反射せず、透過することができるように形成された機能性光学部材または層を意味し得る。
【0099】
具体的に、本出願の光学フィルターにおいて適用する選択波長反射層は、前記光学フィルターに入射する光のうち、650nm以上の波長、例えば700nm以上1,200nm以下の範囲内の波長を有する光を反射することによって、前記波長範囲内にある光が前記光学フィルターを透過しないように遮断したり、および/または400nm以上650nm以下の範囲内の波長を有する光が反射したりするのを防止、すなわち前記波長範囲内の光が透過したりするように設計された機能性層を意味し得る。すなわち、前記選択波長反射層は、近赤外線を反射させる近赤外線反射層および/または可視光線が反射するのを防止する可視光線反射防止層の役割をすることができる。
【0100】
前記選択波長反射層は、誘電体多層膜を含むことができる。すなわち、前述した近赤外線吸収板の一面または両面に誘電体多層膜を形成することによって、本出願の光学フィルターを形成することができる。
【0101】
一例として、前記誘電体多層膜は、互いに屈折率が異なる誘電体膜が交互に形成されている構造を有することができる。例えば、誘電体多層膜は、低屈折率−高屈折率−低屈折率誘電体膜の順に繰り返されたり、または高屈折率−低屈折率−高屈折率誘電体膜の順に繰り返されたりして形成されていてもよい。前記高屈折率誘電体膜と低屈折率誘電体膜の屈折率の偏差は、0.2以上、0.3以上、0.4以上または0.5以上であり得、1.5以下または1.0以下でありうる。前記で屈折率の基準波長は、550nmでありうる。
【0102】
前述の記載において、低屈折率誘電体膜の屈折率は、1.4以上1.6以下の範囲内にありえる。このような屈折率を有する低屈折率誘電体膜は、二酸化ケイ素、フッ化ランタン、フッ化マグネシウムおよび六フッ化アルミニウムナトリウム等を含むことができる。前記で屈折率の基準波長は、550nmでありうる。
【0103】
前述の記載において、高屈折率誘電体膜の屈折率は、2.1以上2.5以下の範囲内にありえる。このような屈折率を有する高屈折率誘電体膜は、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオビウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛および酸化インジウム等を含むことができ、前記酸化インジウムは、二酸化チタン、酸化スズおよび酸化セリウム等を含むことができる。前記で屈折率の基準波長は、550nmでありうる。
【0104】
別の例として、前記光学フィルターにおいて、前記高屈折率誘電体膜と低屈折率誘電体膜は、互いに分離して形成されていてもよい。一例として、前記近赤外線吸収板の一面上に高屈折率誘電体膜または低屈折率誘電体膜が存在することができ、他の面上に低屈折率誘電体膜または高屈折率誘電体膜が存在することができる。別の例として、前記近赤外線吸収板の一面上に高屈折率誘電体膜と低屈折率誘電体膜が前記順にあるいはその逆順に存在することができ、前記高屈折率誘電体膜と低屈折率誘電体膜との間に前述した分離層が存在することもできる。
【0105】
本出願は、他の実施形態において、撮像素子に関する。前記撮像素子は、前述した光学フィルター(具体的には近赤外線遮断フィルター等)または前述した近赤外線吸収板を含む。
【0106】
前記撮像素子は、その機能を形成するためのあらゆる公知の必須構成を含むことができる。例えば、前記撮像素子は、前述した光学装置または前述した近赤外線吸収板に、レンズとイメージセンサーをさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0107】
本出願の近赤外線吸収板は、光吸収層を構成する複数の有機物間の相互作用による可視光透過率および近赤外線吸収率の低下を防止することができる。
【0108】
本出願の近赤外線吸収板は、また、薄型化が可能であるという利点がある。
【0109】
本出願の近赤外線吸収板は、また、強度または耐熱性等の機械的物性に優れているという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0110】
図1】本出願の実施形態による近赤外線吸収板の積層構造を示すものである。
図2】本出願の実施形態による近赤外線吸収板の積層構造を示すものである。
図3】本出願の実施形態による近赤外線吸収板の積層構造を示すものである。
図4】本出願の実施形態による近赤外線吸収板の積層構造を示すものである。
図5】本出願の製造例1〜製造例3の透過率スペクトルである。
図6】製造例4および製造例5の透過率スペクトルである。
図7】製造例6〜製造例11の透過率スペクトルである。
図8】製造例12〜14の透過率スペクトルである。
図9】製造例15〜製造例20の透過率スペクトルである。
図10】実施例1〜2および比較例1〜3の透過率スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0111】
以下では、実施例および比較例により本出願の内容を具体的に説明する。しかしながら、本出願の範囲が下記実施例および比較例によって制限されるものではない。
【0112】
[光透過率の測定]
製造例、実施例および比較例の結果物に対して分光光度計(Perkin elmer社、Lambda 750製品)を用いて当該装備のマニュアルに沿って各波長の透過率を測定した。
【0113】
[ヘーズ]
実施例および比較例の結果物に対してヘーズメーター(Nippon Denshoku社、NDH−200N製品)を用いて前記装備のマニュアルに沿ってJIS K 7136試験方法で、550nmの波長の光に対するヘーズを測定した。
【0114】
[強化ガラス基板の製造]
下記方式によって強化ガラス基板を製造した。
【0115】
i)アルミノシリケートガラス(Schott社、AS−87製品)をアルカリ性水溶液で洗浄して、厚さが略0.1mmのガラス基板を準備する。
【0116】
ii)前記ガラス基板を硝酸カリウム溶液に浸漬し、その溶液を390℃の温度で約40分間熱処理して、前記ガラス基板の両側表面を基準として内部に向かうそれぞれの厚さが約17.5μmの第1圧縮応力層および第2圧縮応力層が形成されたガラス基板を製造する。
【0117】
[適用製品]
下記製造例、比較例および実施例において主に使用した製品の情報は、下記の通りである。
−アルミノシリケートガラス:AS−87,Schott社
−ポリアクリレート系バインダー樹脂:Sumipex、住友社
−第1色素:IRA 1032、Exciton社、ジイモニウム系化合物
−第2色素:IRA 705、Exciton社、スクアリリウム系化合物
−第3色素:ADA3232、HW.SANDS社、300nm以上400nm以下の範囲内の波長で吸収極大を有する化合物
−第4色素:S0094、Few Chemicals社、800nm以上850nm以下の範囲内で吸収極大を有するシアニン系化合物
−分散剤:Disperbyk110、BYK社
【0118】
製造例1.積層体
下記の順序によって積層体を製造した。
【0119】
i)ポリアクリル系バインダー樹脂と、前記バインダー樹脂100重量部に対して、3重量部の第1色素と500重量部のメチルイソブチルケトンを混合した組成物を製造する。
【0120】
ii)前記組成物を前記強化ガラス基板の一面上にスピンコートした後、140℃で約2時間熱硬化して、厚さが略3μmの光吸収層を形成して、積層体を得た。
【0121】
製造例2.積層体
前記i)段階で、第1色素の代わりに、第2色素5重量部を配合して組成物を製造したことを除いて、製造例1と同じ方式で積層体を得た。
【0122】
製造例3.積層体
前記i)段階で、前記第1色素の代わりに、第2色素(Exciton社、製品名IRA 705)5重量部、第3色素3重量部および第4色素0.1重量部を配合したことを除いて、製造例1と同じ方式で積層体を得た。
【0123】
前記製造例1〜3で製造された光吸収層の試験片に対して測定した透過率スペクトルを図5に示した。図5によれば、前記第1色素、具体的に前記色素を適用した光吸収層の最大吸収波長が850nm以上1,200nm以下の波長範囲内であることを確認することができる(製造例1)。また、図5によれば、第2色素、具体的に前記色素を適用した光吸収層の最大吸収波長は、650nm以上750nm以下の範囲内であることを確認することができる(製造例2)。この際、前記第2色素と特定色素をさらに配合すると、さらに300nm以上400nm以下および/または800nm以上850nm以下の範囲内の波長でもその光吸収層が可視光線透過率および近赤外線吸収率が低下することなく、配合された色素によって吸収極大をさらに有することができることが分かる(製造例3)。
【0124】
製造例4.積層体
前記i)段階で、ポリアクリル系バインダー樹脂100重量部に対して、第1色素5重量部と、500重量部のメチルイソブチルケトンを混合し、分散剤0.2重量部を添加した後、0.5mmのジルコニアビーズを用いて分散装置で略6時間分散させて組成物を製造したことを除いて、製造例1と同じ方式で積層体を得た。製造例4の光吸収層では、ジイモニウム系色素である第1色素がバインダー樹脂に分散した状態で存在した。
【0125】
製造例5.積層体
前記i)段階で、ポリアクリル系バインダー樹脂100重量部に対して、第1色素5重量部と、500重量部のシクロヘキサノンを混合して、前記第1色素が組成物では溶解した状態で存在し、それで形成された光吸収層ではバインダー樹脂を着色している形態で存在するように調節したことを除いて、製造例4と同じ方式で積層体を得た。
【0126】
製造例4および製造例5の積層体に対して測定した透過度スペクトルを図6に示し、主な波長領域帯における透過率を下記表1に記載した。可視光線領域(450nm以上700以下nm)における透過率と近赤外線領域(略1,050nm)の吸光度は、製造例4の光吸収層が製造例5の光吸収層に比べて高いことを確認することができる。これは、第1色素が溶解して、これを含む層(製造例2の光吸収層)に劣化を発生させたことに起因することが確認される。
【0127】
これを通じて、本出願で適用する特定の第1色素が前記光吸収層内で溶解せず、バインダー樹脂に分散して(粒子形態で)存在するとき、高い可視光線透過度と赤外線吸光度を同時に有する光吸収層を形成することができることが分かる。
【0128】
【表1】
【0129】
製造例6.積層体
前記i)段階で第1色素に対する常温溶解度が略0g/Lであるジエチレングリコールモノエチルエーテルをメチルイソブチルケトンの代わりに適用したことを除いて、製造例1と同じ方式で積層体を得た。
【0130】
製造例7.積層体
前記i)段階で第1色素に対する常温溶解度が略5g/Lである4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンをメチルイソブチルケトンの代わりに適用したことを除いて、製造例1と同じ方式で積層体を得た。
【0131】
製造例8.積層体
前記i)段階で第1色素に対する常温溶解度が略10g/Lであるプロピレングリコールメチルエーテルアセテートをメチルイソブチルケトンの代わりに適用したことを除いて、製造例1と同じ方式で積層体を得た。
【0132】
製造例9.積層体
前記i)段階で第1色素に対する常温溶解度が略15g/Lであるクロロベンゼンをメチルイソブチルケトンの代わりに適用したことを除いて、製造例1と同じ方式で積層体を得た。
【0133】
製造例10.積層体
前記i)段階で第1色素に対する常温溶解度が略20g/Lであるイソホロンをメチルイソブチルケトンの代わりに適用したことを除いて、製造例1と同じ方式で積層体を得た。
【0134】
製造例11.積層体
前記i)段階で第1色素に対する常温溶解度が略30g/Lであるγ−ブチロラクトンをメチルイソブチルケトンの代わりに適用したことを除いて、製造例1と同じ方式で積層体を得た。
【0135】
製造例6〜製造例11の積層体に対して測定した透過率スペクトルを図7に示した。図7によれば、第1色素に対して低い溶解度を有する溶媒を適用するほど、可視光領域における透過率が向上することを確認することができる。これを通じて、本出願で目的とする適切な可視光線透過率(例えば465nm以上570nm以下の範囲内である波長の光に対する平均透過率が85%以上)を有するためには、できるだけ第1色素に対しては、低い溶解度を有する溶媒を光吸収層の製造時に適用することが有利であることが分かる。
【0136】
製造例12.近赤外線吸収板
下記の順序によって近赤外線吸収板を製造した。
【0137】
i)第1光吸収層形成用組成物
ポリアクリル系バインダー樹脂100重量部に対して、第1色素1重量部と、500重量部のメチルイソブチルケトンを混合し、分散剤0.2重量部を添加した後、分散装置を用いて適当な回転数(rpm)で略6時間分散させて、前記第1色素が粒子形態で分散して存在する第1光吸収層形成用組成物を製造する。
【0138】
ii)第2光吸収層形成用組成物
ポリアクリル系バインダー樹脂100重量部に対して5重量部の第2色素と500重量部のメチルイソブチルケトンを混合して、第2色素が溶解して前記バインダー樹脂を着色する状態の第2光吸収層形成用組成物を製造する。
【0139】
iii)接着剤組成物
市販のポリアクリレート樹脂とポリイソシアネート系樹脂を99:1(ポリアクリレート樹脂:ポリイソシアネート系樹脂)の重量比で混合して、接着剤組成物を製造する。
【0140】
iv)近赤外線吸収板
強化ガラス基板の一面上に、第1光吸収層形成用組成物をスピンコートし、140℃程度の温度で約2時間熱処理して、厚さが略3μmの第1光吸収層を形成する。
【0141】
次に、前記第1光吸収層上に前記接着剤組成物を1,000rpmの回転速度で略15秒間スピンコートし、約130℃の温度で約15分間熱処理して、厚さが約0.4μmの接着剤層を形成する。
【0142】
次に、前記接着剤層上に前記第2光吸収層形成用組成物をスピンコートし、140℃の温度で約3時間熱処理して、厚さが約3μmの第2光吸収層を形成して、近赤外線吸収板を製造する。
【0143】
製造例13.近赤外線吸収板
前記ii)段階で、前記第2色素を単独配合する代わりに、第2色素5重量部、第3色素3重量部および第4色素0.1重量部を配合して、第2光吸収層形成用組成物を製造したことを除いて、製造例12と同じ方式で近赤外線吸収板を得た。
【0144】
製造例14.近赤外線吸収板
i)光吸収層形成用組成物
ポリアクリル系バインダー樹脂100重量部に対して第1色素1重量部、第2色素5重量部およびメチルイソブチルケトン500重量部を混合した後、分散剤0.2重量部を添加した後、ジルコニアビーズを用いて分散装置で分散させて、前記第1色素は分散して存在し、前記第2色素は溶解した状態で存在する光吸収層形成用組成物を製造する。
【0145】
ii)近赤外線吸収板
強化ガラス基板の一面上に前記光吸収層形成用組成物をスピンコートし、140℃程度の温度で約2時間熱処理して、厚さ約3μmの光吸収層を形成して、近赤外線吸収板を得た。
【0146】
図8によれば、製造例12および製造例13の近赤外線吸収板は、製造例14の近赤外線吸収板に比べて向上した可視光線透過率と近赤外線吸収率を有することが分かる。これから、近赤外線吸収板の光吸収層を単一層で構成(製造例14)することより、互いに区別される複数の層で構成(製造例12および製造例13)する場合、より向上した光学的特性を有することが分かる。また、これから、互いに異なる光学特性を有する色素を配合した光吸収層が分離して存在するように構成された近赤外線吸収板が、改善された耐熱性を有することが分かる。これは、光吸収層に適用される互いに異なる光学特性を有する色素等の有機物の相互作用が起こらないことに起因したものと予想される。
【0147】
製造例15.近赤外線吸収板
i)第1光吸収層形成用組成物
ポリアクリレート系バインダー樹脂100重量部に対して第1色素1重量部と、500重量部のジエチレングリコールモノエチルエーテル(第1色素の常温溶解度が略0g/Lである溶媒)を混合した後、分散剤0.2重量部を添加し、ジルコニアビーズを用いて分散装置で適当に分散させて、第1色素が粒子形態で分散して存在する第1光吸収層形成用組成物を製造する。
【0148】
ii)第2光吸収層形成用組成物
ポリアクリル系バインダー樹脂100重量部に対して、5重量部の第2色素、3重量部の第3色素、0.1重量部の第4色素および500重量部のメチルイソブチルケトンを混合して、第2光吸収層形成用組成物を製造する。
【0149】
iii)接着剤組成物
市販のポリアクリレート樹脂とポリイソシアネート系樹脂を99:1(ポリアクリレート樹脂:ポリイソシアネート系樹脂)の重量比で混合して接着剤組成物を製造する。
【0150】
iv)近赤外線吸収板
強化ガラス基板の一面上に、第1光吸収層形成用組成物をスピンコートし、140℃程度の温度で約2時間熱処理して、厚さが略3μmの第1光吸収層を形成する。
【0151】
次に、前記第1光吸収層上に前記接着剤組成物を1,000rpmの回転速度で約15秒間スピンコートし、約130℃の温度で約15分間熱処理して、厚さが約0.4μmの接着剤層を形成する。
【0152】
次に、前記接着剤層上に前記第2光吸収層形成用組成物をスピンコートし、140℃の温度で約3時間熱処理して、厚さが約3μmの第2光吸収層を形成して、近赤外線吸収板を製造する。
【0153】
製造例16.近赤外線吸収板
前記i)段階で、ジエチレングリコールモノエチルエーテルの代わりに4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(第1色素の常温溶解度が略5g/Lである溶媒)を混合したことを除いて、製造例15と同じ方式で近赤外線吸収板を得た。
【0154】
製造例17.近赤外線吸収板
前記i)段階で4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンの代わりに、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(第1色素の常温溶解度が略10g/Lである溶媒)を適用したことを除いて、製造例15と同じ方式で近赤外線吸収板を得た。
【0155】
製造例18.近赤外線吸収板
前記i)段階で4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンの代わりに、クロロベンゼン(第1色素の常温溶解度が略15g/Lである溶媒)を適用したことを除いて、製造例15と同じ方式で近赤外線吸収板を得た。
【0156】
製造例19.近赤外線吸収板
前記i)段階で4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンの代わりに、イソホロン(第1色素の常温溶解度が略20g/Lである溶媒)を適用したことを除いて、製造例15と同じ方式で近赤外線吸収板を得た。
【0157】
製造例20.近赤外線吸収板
前記i)段階で4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンの代わりに、γ−ブチロラクトン(第1色素の常温溶解度が略30g/Lである溶媒)を適用したことを除いて、製造例15と同じ方式で近赤外線吸収板を得た。
【0158】
製造例15〜製造例20の近赤外線吸収板の透過率スペクトルを図9に示した。図9を通じて、製造例15〜製造例18の近赤外線吸収板が、製造例19および製造例20の近赤外線吸収板より向上した可視光透過率を有することを確認することができる。これを通じて、本出願で規定するように、第1光吸収層として第1色素が特定の溶解度を有する溶媒で分散した状態で存在する層を適用するとき、本出願で目的とする特性、例えば優れた可視光透過率を有することができることが分かる。
【0159】
比較例1.近赤外線吸収板
i)第1光吸収層形成用組成物
ポリアクリル系バインダー樹脂100重量部に対して第1色素1重量部と500重量部のジエチレングリコールモノエチルエーテル(第1色素の常温溶解度が略0g/Lである溶媒)を混合し、分散剤0.2重量部を添加した後、ジルコニアビーズを用いて分散装置で約6時間分散させて、前記第1色素が粒子形態で分散して存在する第1光吸収層形成用組成物を製造する。
【0160】
ii)第2光吸収層形成用組成物
ポリアクリル系バインダー樹脂100重量部に対して第2色素5重量部と、メチルイソブチルケトン500重量部を混合して、第2色素が溶解した状態の第2光吸収層形成用組成物を製造する。
【0161】
iii)近赤外線吸収板
強化ガラス基板の一面上に、第1光吸収層形成用組成物をスピンコートし、140℃程度の温度で約2時間熱処理して、厚さが略3μmの第1光吸収層を形成する。
【0162】
次に、前記第1光吸収層上に前記第2光吸収層形成用組成物をスピンコートし、140℃の温度で約3時間熱処理して、厚さが約3μmの第2光吸収層を形成して、近赤外線吸収板を製造する。
【0163】
比較例2.近赤外線吸収板
前記iv)段階で、接着剤組成物を3,000rpmの回転速度で約15秒間スピンコートしたことを除いて、製造例15と同じ方式で近赤外線吸収板を得た。この際、接着層の厚さは、略0.05μmであった。
【0164】
比較例3.近赤外線吸収板
前記iv)段階で、接着剤組成物を2,000rpmの回転速度で約15秒間スピンコートしたことを除いて、製造例15と同じ方式で近赤外線吸収板を得た。この際、接着層の厚さは、略0.1μmであった。
【0165】
実施例1.近赤外線吸収板
前記iv)段階で、接着剤組成物を1,500rpmの回転速度で約15秒間スピンコートしたことを除いて、製造例15と同じ方式で近赤外線吸収板を得た。この際、接着層の厚さは、略0.2μmであった。
【0166】
実施例2.近赤外線吸収板
製造例15と同じ方式で近赤外線吸収板を得た。
【0167】
図10は、比較例1〜3および実施例1〜2の近赤外線吸収板の透過率スペクトルである。また、表2は、実施例および比較例の近赤外線吸収板のヘーズ測定結果を記載したのである。図10を通じて、実施例の近赤外線吸収板が、比較例の吸収板に比べて向上した可視光線透過率と近赤外線吸収率(または遮断率)を有することを確認することができる。また、表2を通じて、実施例の近赤外線吸収板が、比較例に比べて格別に低い、例えば0.3%以下のヘーズを有することを確認することができる。これは、前述した光学特性を有する第1および第2光吸収層を互いに分離するように存在させる場合にも達成可能なものである。特に近赤外線吸収板が適用される撮像素子において、近赤外線吸収板は、可視光線領域の高い透過率と、近赤外線領域の高い吸収率を有すると同時に、通常の可視光線領域(例えば、約550nmの波長の光)でヘーズが0.3%未満の光学特性を、イメージの品質を確保するための観点から必ず確保されなければならないが、実施例の近赤外線吸収板は、このような条件を満足することができる。
【0168】
これを通じて、特に比較例のように第1および第2光吸収層の間に分離層として接着層が存在しないか、あるいは存在する場合にも、その厚さが非常に薄くて、第1および第2光吸収層を分離させない場合には、本願で目的とする光学特性、例えば低いヘーズを有しないことが分かる。すなわち、本出願のように、特定の光学特性を有し、これらが互いに異なる複数の光吸収層を互いに分離させて配置させる場合にのみ、各光吸収層においてこれらを構成する成分間の相互作用が起こらないので、撮像素子に特に適した近赤外線吸収板が得られることが分かる。
【0169】
【表2】
【0170】
[関連出願との相互引用]
本出願は、2020年6月5日付けで韓国特許庁に提出された特許出願第10−2020−0068228号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては、本出願に参照として含まれる。
【符号の説明】
【0171】
100 ガラス基板
200 第1光吸収層
300 第2光吸収層
400 分離層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10