【解決手段】無機蛍光体粒子と、前記無機蛍光体粒子を被覆する酸化ケイ素被膜とを有する被覆蛍光体であって、前記被覆蛍光体についてのICP発光分光分析における前記酸化ケイ素被膜の酸素原子とケイ素原子とのモル比(O/Si)が、2.60以下である被覆蛍光体である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(被覆蛍光体)
本発明の被覆蛍光体は、無機蛍光体粒子と、酸化ケイ素被膜とを有し、更に必要に応じて、その他の成分を有する。
【0012】
本発明者らは、酸化ケイ素被膜により無機蛍光体を被覆した被覆蛍光体において、LED点灯状態での高温高湿下での安定性に優れる被覆蛍光体を提供するために鋭意検討を行った。
そのところ、無機蛍光体を酸化ケイ素被膜により被覆した後に、前記酸化ケイ素被膜に熱を与えることにより、得られる被覆蛍光体において、LED点灯状態での高温高湿下での安定性に優れることを見出した。
そして、熱を与える前後における酸化ケイ素被膜の変化を観察したところ、酸素原子とケイ素原子とのモル比(O/Si)が変化していることを見出した。これは、酸化ケイ素被膜の緻密化が影響していると考えられる。
以上の知見から、本発明者らは、酸化ケイ素被膜により無機蛍光体を被覆した被覆蛍光体において、ICP発光分光分析における前記酸化ケイ素被膜の酸素原子とケイ素原子とのモル比(O/Si)を2.60以下とすることにより、LED点灯状態での高温高湿下での安定性に優れる被覆蛍光体が得られることを見出し、本発明の完成に至った。
【0013】
前記被覆蛍光体についてのICP発光分光分析における前記酸化ケイ素被膜の酸素原子とケイ素原子とのモル比(O/Si)は、2.60以下である。前記モル比(O/Si)が2.60を超えると、LED点灯状態での高温高湿下での安定性が低下する。前記モル比(O/Si)の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記モル比(O/Si)は、2.00以上であってもよいし、2.30以上であってもよい。
前記モル比(O/Si)としては、2.00以上2.60以下が好ましく、2.30以上2.55以下がより好ましく、2.30以上2.45以下が特に好ましい。
【0014】
前記モル比(O/Si)は、ICP発光分光分析により求めることができる。
前記ICP発光分光分析を行う際には、前記被覆蛍光体全体を溶解させた溶解液を測定試料としてもよいし、前記被覆蛍光体から前記酸化ケイ素被膜を単離させ、単離した前記酸化ケイ素被膜を溶解させた溶解液を測定試料としてもよい。
例えば、炭酸ナトリウムを用いたアルカリ融解法(JIS R9301−3−3)を用いて、前記被覆蛍光体全体を溶解させた溶解液を測定試料とすることができる。
【0015】
<無機蛍光体粒子>
前記無機蛍光体粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、緑色蛍光体、赤色蛍光体、黄色蛍光体などが挙げられる。これらの中でも、緑色蛍光体が好ましい。
【0016】
前記緑色蛍光体の発光ピーク波長としては、例えば、波長530nm〜550nmが挙げられる。
前記赤色蛍光体の発光ピーク波長としては、例えば、波長620nm〜670nmが挙げられる。
【0017】
前記無機蛍光体粒子としては、例えば、硫化物系蛍光体、酸化物系蛍光体、窒化物系蛍光体、フッ化物系蛍光体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0018】
前記無機蛍光体粒子しては、構成成分として硫黄を含むことが好ましい。
【0019】
<<硫化物系蛍光体>>
前記硫化物系蛍光体としては、例えば、以下の蛍光体が挙げられる。
(i)青色励起光の照射により波長620nm〜670nmの赤色蛍光ピークを有する赤色硫化物蛍光体(CaS:Eu(硫化カルシウム(CS)蛍光体)、SrS:Eu)
(ii)青色励起光の照射により波長530nm〜550nmの緑色蛍光ピークを有する緑色硫化物蛍光体(チオガレート(SGS)蛍光体(Sr
xM
1−x−y)Ga
2S
4:Eu
y(Mは、Ca、Mg、Baのいずれかであり、0≦x<1、0<y<0.2を満たす。)
(iii)前記緑色硫化物蛍光体と前記赤色硫化物蛍光体(Ca
1−x)S:Eu
x(0<x<0.05を満たす。)との混合物
【0020】
前記硫化物系蛍光体の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CaS:Eu(硫化カルシウム(CS)蛍光体)、SrS:Eu、SrGa
2S
4:Eu、CaGa
2S
4:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)Ga
2S
4:Eu(チオガレート(SGS)蛍光体)、(Sr,Ca,Ba)S:Eu、Y
2O
2S:Eu、La
2O
2S:Eu、Gd
2O
2S:Euなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0021】
<<酸化物系蛍光体>>
前記酸化物系蛍光体の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(Ba,Sr)
3SiO
5:Eu、(Ba,Sr)
2SiO
4:Eu、Tb
3Al
5O
12:Ce、Ca
3Sc
2Si
3O
12:Ceなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
また、前記酸化物系蛍光体としては、青色励起光の照射により波長590nm〜620nmの赤色蛍光を発する酸化物系蛍光体が挙げられ、(Ba,Sr)
3SiO
5:Eu、(Ba,Sr)
2SiO
4:Euなどが好適に挙げられる。
【0023】
<<窒化物系蛍光体>>
前記窒化物系蛍光体の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Ca
2Si
5N
8:Eu、Sr
2Si
5N
8:Eu、Ba
2Si
5N
8:Eu、(Ca,Sr,Ba)
2Si
5N
8:Eu、Ca
x(Al,Si)
12(O,N)
16:Eu(0<x≦1.5)、CaSi
2O
2N
2:Eu、SrSi
2O
2N
2:Eu、BaSi
2O
2N
2:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si
2O
2N
2:Eu、CaAl
2Si
4N
8:Eu、CaSiN
2:Eu、CaAlSiN
3:Eu、(Sr,Ca)AlSiN
3:Euなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0024】
<<フッ化物系蛍光体>>
前記フッ化物系蛍光体の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、K
2TiF
6:Mn
4+、Ba
2TiF
6:Mn
4+、Na
2TiF
6:Mn
4+、K
3ZrF
7:Mn
4+、K
2SiF
6:Mn
4+などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
これら無機蛍光体粒子のなかでも、本発明の前記被覆蛍光体には、下記一般式(1)〜下記一般式(3)のいずれかで表される無機蛍光体粒子が好適に用いられる。
Sr
1−xGa
2S
4:Eu
x ・・・一般式(1)
(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
x ・・・一般式(2)
(Ba
zSr
1−z)
1−xGa
2S
4:Eu
x ・・・一般式(3)
前記一般式(1)〜前記一般式(3)中、xは、0<x<1を満たす。yは、0<y<1を満たす。zは、0<z<1を満たす。
xとしては、0.03≦x≦0.20を満たすことが好ましく、0.05≦x≦0.18を満たすことがより好ましい。
yとしては、0.005≦y≦0.45を満たすことが好ましく、0.05≦y≦0.20を満たすことがより好ましい。
zとしては、0.005≦z≦0.45を満たすことが好ましく、0.20≦z≦0.40を満たすことがより好ましい。
【0026】
<酸化ケイ素被膜>
前記被覆蛍光体において、前記酸化ケイ素被膜は、前記無機蛍光体粒子を被覆する。
前記被覆の程度としては、完全に前記無機蛍光体粒子を被覆することが好ましいが、必ずしも完全に前記無機蛍光体粒子を被覆する必要はなく、本発明の効果が得られる程度に前記無機蛍光体粒子を被覆できればよい。
【0027】
前記酸化ケイ素被膜としては、酸化ケイ素の被膜であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、前述のとおり、前記酸化ケイ素被膜についてICP発光分光分析により酸素原子とケイ素原子とのモル比を測定した際には、そのモル比(O/Si)がSiO
2の理論比率である2.00と異なる。その点において、本発明において、前記酸化ケイ素被膜は、酸素原子とケイ素原子とのモル比(O/Si)が2.00である必要はない。
【0028】
前記酸化ケイ素被膜の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3nm〜200nmが好ましく、3nm〜100nmがより好ましく、10nm〜50nmが更により好ましく、10nm〜30nmが特に好ましい。
前記平均厚みは、例えば、走査型又は透過型電子顕微鏡により前記被覆蛍光体の断面を観察し、任意の10箇所で測定した前記酸化ケイ素被膜の厚みから求めることができる。
【0029】
前記酸化ケイ素被膜には、本発明の目的を達成できる限度において、他の成分を含むこともできる。なお、前記酸化ケイ素被膜が、他の成分を含有する場合、前記モル比(O/Si)は、前記酸化ケイ素被膜中の酸化ケイ素のSiとOとのモル比(O/Si)として算出する。
【0030】
前記酸化ケイ素被膜の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述する本発明の被覆蛍光体の製造方法における被覆工程などが挙げられる。
【0031】
前記被覆蛍光体における発光極大波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、500nm〜600nmであることが好ましい。
【0032】
前記被覆蛍光体の平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5μm以上30μm以下が好ましく、1μm以上20μm以下がより好ましく、3μm以上15μm以下が特に好ましい。
前記平均粒子径は、レーザー回折型粒度分布計(例えば、HORIBA製LA−960)などにより測定することができる。
【0033】
前記被覆蛍光体の粒子径D90としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40μm以下が好ましく、3μm以上30μm以下がより好ましく、5μm以上25μm以下が特に好ましい。
ここで、D90とは、粒子の粒度分布において積算値が90%のときの粒子径の値を表す。
【0034】
(被覆蛍光体の製造方法)
本発明の被覆蛍光体の製造方法は、被覆工程と、加熱工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
【0035】
<被覆工程>
前記被覆工程としては、無機蛍光体粒子の表面に酸化ケイ素被膜を形成し、被覆蛍光体を得る工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記無機蛍光体粒子を、酸化ケイ素前駆体を含有する液に浸漬させる処理と、前記酸化ケイ素前駆体が表面に付着した前記無機蛍光体粒子を加熱する処理とを行うことなどが挙げられる。これらの処理は所謂アルコキシシランの加水分解(ゾルゲル法)であってもよい。
【0036】
前記酸化ケイ素前駆体としては、例えば、アルコキシシランなどが挙げられる。
前記アルコキシシランとしては、例えば、エトキシド、メトキシド、イソプロポキシド等から選択することができ、例えば、テトラエトキシシランやテトラメトキシシランが挙げられる。また、前記アルコキシシランは、ポリエチルシリケート等のアルコキシシランオリゴマーや加水分解縮合物であってもよい。さらに、前記アルコキシシランは、アルキルアルコキシシラン等のように、ゾルゲル反応に寄与しないアルキル基、アミノ基、メルカプト基等を有するシランカップリング剤であってもよい。
【0037】
前記液は、溶媒を含有していてもよい。前記溶媒としては、例えば、水、有機溶媒等を用いることができる。
前記有機溶媒としては、例えば、アルコール、エーテル、ケトン、多価アルコール類等を用いることができる。前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ペンタノール等を用いることができる。前記多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等を用いることができる。
また、前記溶媒は、二種以上を組み合わせたものを用いてもよい。
【0038】
前記被覆工程における前記酸化ケイ素被膜の形成は、触媒を用いて行われてもよい。
前記酸化ケイ素前駆体が前記アルコキシシランの場合、前記触媒は、前記アルコキシシランの加水分解や重縮合反応を開始させるためのものであり、例えば、酸性触媒や塩基性触媒を用いることができる。前記酸性触媒しては、例えば、塩酸、硫酸、ホウ酸、硝酸、過塩素酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロ砒素酸、臭化水素酸、酢酸、シュウ酸、メタンスルホン酸等が挙げられる。前記塩基性触媒としては、例えば、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、アンモニア等が挙げられる。これらの触媒の中では、無機蛍光体粒子の劣化を効果的に防止する観点から、塩基性触媒を用いることが好ましい。なお、触媒としては、これらの酸性触媒や塩基性触媒を二種以上併用してもよい。
【0039】
<加熱工程>
前記加熱工程としては、前記酸化ケイ素被膜の形成温度を超える温度、かつ不活性雰囲気下で、前記被覆蛍光体を加熱する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0040】
前記酸化ケイ素被膜の形成温度としては、例えば、300℃以下であってもよいし、100℃〜250℃であってもよい。
【0041】
前記加熱工程における前記加熱の温度の下限値としては、前記酸化ケイ素被膜の形成温度を超える温度であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記加熱の温度は、500℃以上であってもよいし、550℃以上であってもよい。
前記加熱の温度の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記酸化ケイ素被膜の合一を防ぐ点から、前記加熱の温度は、1,200℃以下が好ましく、1,000℃未満がより好ましく、900℃未満が特に好ましい。
【0042】
前記不活性雰囲気としては、例えば、窒素雰囲気などが挙げられる。
【0043】
前記加熱工程を行うことで、前記酸化ケイ素被膜が緻密化されていると考えられ、その結果、LED点灯状態での高温高湿下での安定性に優れる被覆蛍光体が得られていると考えられる。
【0044】
(蛍光体シート)
本発明の蛍光体シートは、本発明の前記被覆蛍光体を少なくとも含有し、好ましくは樹脂を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
【0045】
前記蛍光体シートは、例えば、前記被覆蛍光体と、樹脂とを含有する蛍光体含有樹脂組成物(いわゆる蛍光体塗料)を透明基材に塗布することにより得られる。
前記蛍光体シートの厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記蛍光体シートにおける前記被覆蛍光体の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0046】
<樹脂>
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱可塑性樹脂、光硬化型樹脂などが挙げられる。
【0047】
<<熱可塑性樹脂>>
前記熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水添スチレン系共重合体、アクリル系共重合体などが挙げられる。
前記水添スチレン系共重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体の水添物などが挙げられる。
前記スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体におけるスチレン単位の割合比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20モル%〜30モル%が好ましい。
また、前記アクリル系共重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタクリル酸メチル(MMA)とアクリル酸ブチル(BA)のブロック共重合体などが挙げられる。なお、蛍光体が硫化物の場合、熱可塑性樹脂としては、アクリル系共重合体よりも、水添スチレン系共重合体が好ましい。
【0048】
<<光硬化型樹脂>>
前記光硬化型樹脂は、光硬化型化合物を用いて作製される。
前記光硬化型化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート等の光硬化型(メタ)アクリレートなどが挙げられる。ここで、前記ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリオールとポリイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネートなど)とを反応して得られるイソシアネート基を含有する生成物をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシプロピルアクリレートなど)でエステル化したものである。
前記ウレタン(メタ)アクリレートの前記光硬化型(メタ)アクリレート100質量部中の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10質量部以上が好ましい。
【0049】
<<樹脂組成物>>
前記樹脂を含む樹脂組成物は、ポリオレフィン共重合体成分又は光硬化性(メタ)アクリル樹脂成分のいずれかを含むことが好ましい。
前記ポリオレフィン共重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン系共重合体、スチレン系共重合体の水添物などが挙げられる。
前記スチレン系共重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体、などが挙げられる。これらの中でも、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体の水添物が、透明性やガスバリア性の点で、好ましい。前記ポリオレフィン共重合体成分を含有させることにより、優れた耐光性と低い吸水性を得ることができる。
前記水添スチレン系共重合体におけるスチレン単位の含有割合としては、低すぎると機械的強度の低下となる傾向があり、高すぎると脆くなる傾向があるので、10質量%〜70質量%が好ましく、20質量%〜30質量%がより好ましい。また、水添スチレン系共重合体の水添率は、低すぎると耐候性が悪くなる傾向があり、50%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。
前記光硬化型アクリレート樹脂成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、光硬化後の耐熱性の観点から、ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。このような光硬化型(メタ)アクリレート樹脂成分を含有させることにより、優れた耐光性と低い吸水性を得ることができる。
【0050】
なお、蛍光体シートには、必要に応じて、光吸収が非常に少ない無機物等の粒子(拡散材)を添加してもよい。封止材の屈折率と添加した粒子の屈折率とが異なる場合、この粒子によって、励起光を拡散(散乱)させることにより、励起光の被覆蛍光体への吸収を高めることができるため、被覆蛍光体の添加量を低減することができる。前記粒子(拡散材)としては、例えば、シリコーン粒子、シリカ粒子、樹脂粒子、メラミンとシリカとの複合粒子、などが挙げられる。前記樹脂粒子の樹脂としては、例えば、メラミン、架橋ポリメタクリル酸メチル、架橋ポリスチレンなどが挙げられる。前記粒子(拡散材)の具体例としては、例えば、信越化学工業株式会社製のシリコーンパウダーKMPシリーズ、日産化学工業株式会社製のオプトビーズ、積水化成品工業株式会社製のテクポリマーMBXシリーズ、SBXシリーズ等の市販品、などが挙げられる。
【0051】
<透明基材>
前記透明基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、熱可塑性樹脂フィルム、熱硬化性樹脂フィルム、光硬化性樹脂フィルムなどが挙げられる(特開2011−13567号公報、特開2013−32515号公報、特開2015−967号公報)。
【0052】
前記透明基材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等のポリエステルフィルム;ポリアミドフィルム;ポリイミドフィルム;ポリスルホンフィルム;トリアセチルセルロースフィルム;ポリオレフィンフィルム;ポリカーボネート(PC)フィルム;ポリスチレン(PS)フィルム;ポリエーテルスルホン(PES)フィルム;環状非晶質ポリオレフィンフィルム;多官能アクリレートフィルム;多官能ポリオレフィンフィルム;不飽和ポリエステルフィルム;エポキシ樹脂フィルム;PVDF、FEP、PFA等のフッ素樹脂フィルム;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0053】
これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムが、特に好ましい。
【0054】
斯かるフィルムの表面には、蛍光体含有樹脂組成物に対する密着性を改善するために、必要に応じて、コロナ放電処理、シランカップリング剤処理等を施してもよい。
【0055】
前記透明基材の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm〜100μmが好ましい。
【0056】
また、前記透明基材は、無機蛍光体粒子の加水分解を低減できる点で、水蒸気バリアフィルムであることが好ましい。
【0057】
前記水蒸気バリアフィルムは、PET(Polyethylene terephthalate)等のプラスチック基板やフィルムの表面に、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化珪素等の金属酸化物薄膜を形成したガスバリア性フィルムである。また、PET/SiO
x/PET等の多層構造を用いてもよい。
【0058】
前記バリアフィルムの水蒸気透過率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05g/m
2/日〜5g/m
2/日程度(例えば、0.1g/m
2/日程度の比較的低いバリア性能)が好ましい。斯かる範囲内であると、水蒸気の侵入を抑制して蛍光体シートを水蒸気から保護することができる。
【0059】
ここで、蛍光体シートの一例を図を用いて説明する。
図1は、蛍光体シート端部の構成例を示す概略断面図である。この蛍光体シートは、蛍光体層11が、第1の水蒸気バリアフィルム12と第2の水蒸気バリアフィルム13とに挟持されている。
蛍光体層11は、本発明の被覆蛍光体と、樹脂とから構成されており、前記樹脂中に前記被覆蛍光体が分散されている。
【0060】
また、
図1の蛍光体シートは、第1の水蒸気バリアフィルム12の端部と第2の水蒸気バリアフィルム13の端部とが、1g/m
2/day以下の水蒸気透過率を有するカバー部材14で封止されていることが好ましい。
【0061】
カバー部材14としては、1g/m
2/day以下の水蒸気透過率を有する基材141に粘着剤142が塗布された粘着テープを用いることができる。基材141としては、アルミ箔等の金属箔や、水蒸気バリアフィルム12,13を用いることができる。アルミ箔は、光沢の白アルミ又は非光沢の黒アルミのいずれを用いても良いが、蛍光体シート端部の良好な色合いが必要な場合、白アルミを用いることが好ましい。また、水蒸気バリアフィルム上に貼り付けられるカバー部材14の幅Wは、水蒸気バリア性や強度の観点から1mm〜10mmであることが好ましく、1mm〜5mmであることがより好ましい。このような構成からなるカバー部材14によれば、水蒸気バリアフィルムの端部から蛍光体層への水蒸気の侵入を防止することができ、蛍光体層中の蛍光体の劣化を防止することができる。
【0062】
(発光装置)
本発明の発光装置は、本発明の前記蛍光体シートを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
【0063】
本発明の発光装置の一例を図を用いて説明する。
図2は、エッジライト型の発光装置を示す概略断面図である。
図2に示すように、発光装置は、青色LED31と、側面から入射される青色LED31の青色光を拡散させ、表面に均一の光を出す導光板32と、青色光から白色光を得る蛍光体シート33と、光学フィル34とを備える、所謂“エッジライト型バックライト”を構成する。
【0064】
青色LED31は、青色発光素子として例えばInGaN系のLEDチップを有する、所謂“LEDパッケージ”を構成する。導光板32は、アクリル板等の透明基板の端面より入れた光を均一に面発光させる。蛍光体シート33は、例えば、
図1に示す蛍光体シートである。蛍光体シート33に含有される蛍光体の粉末は、平均粒径が数μm〜数十μmのものを用いる。これにより蛍光体シート33の光散乱効果を向上させることができる。光学フィルム34は、例えば液晶表示装置の視認性を向上させるための反射型偏光フィルム、拡散フィルムなどで構成される。
【0065】
また、
図3は、直下型の発光装置を示す概略断面図である。
図3に示すように、発光装置は、青色LED41が二次元配置された基板42と、青色LED41の青色光を拡散させる拡散板43と、基板42と離間して配置され、青色光から白色光を得る蛍光体シート33と、光学フィルム34とを備える、所謂“直下型バックライト”を構成する。
【0066】
青色LED41は、青色発光素子として例えばInGaN系のLEDチップを有する、所謂“LEDパッケージ”を構成する。基板42は、フェノール、エポキシ、ポリイミドなどの樹脂を利用したガラス布基材から構成され、基板42上には、所定ピッチで等間隔に青色LED41が、蛍光体シート33の全面に対応して二次元に配置される。また、必要に応じて、基板42上の青色LED41の搭載面に反射処理を施してもよい。基板42と蛍光体シート33とは約10〜50mm程度離間して配置され、発光装置は、所謂“リモート蛍光体構造”を構成する。基板42と蛍光体シート33との間隙は、複数の支持柱や反射板によって保持され、基板42と蛍光体シート33とがなす空間を支持柱や反射板が四方で囲むように設けられている。拡散板43は、青色LED41からの放射光を光源の形状が見えなくなる程度に広範囲に拡散するものであり、例えば20%以上80%以下の全光線透過率を有する。
【0067】
なお、本発明は、前述の実施の形態にのみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々更新を加え得ることは勿論である。例えば、前述の実施の形態では、発光装置を表示装置用のバックライト光源に適用した例を示したが、照明用光源に適用してもよい。照明用光源に適用する場合、光学フィルム34は不要である場合が多い。また、蛍光体含有樹脂は、平面のシート形状であるだけでなく、カップ型形状等の立体的な形状を持っていてもよい。
【実施例】
【0068】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0069】
(製造例1)
<硫化物蛍光体SrGa
2S
4:Euの作製>
ユウロピウム化合物とストロンチウム化合物とを含む溶液に粉末ガリウム化合物を加え、塩を加えることで粉体を得た後(具体的には、ユウロピウム化合物とストロンチウム化合物を析出するための塩を加えることで粉体を得た後)、この粉体を焼成した。即ち、ユウロピウム化合物とストロンチウム化合物とを含む溶液に粉末ガリウム化合物を加え、次いで、塩を加えることで、ユウロピウムとストロンチウムとを含む粉体と粉末ガリウム化合物との混合物から成る粉体(粉体混合物)を得た後、この粉体(粉体混合物)を焼成した。ここで、ユウロピウム化合物とストロンチウム化合物とを含む溶液に粉末ガリウム化合物を加え、亜硫酸塩を滴下することで、Sr、Eu及びGaを含む粉体を得た。
具体的には以下の方法を実施した。
【0070】
先ず、株式会社高純度化学研究所製の試薬であるGa
2O
3(純度7N)、Sr(NO
3)
2(純度3N)、及び、Eu
2O
3(純度3N)、並びに、関東化学株式会社製の硝酸水溶液(濃度20%)及び亜硫酸アンモニウム一水和物を準備した。
【0071】
そして、Eu
2O
3を硝酸水溶液に添加して80℃で攪拌することでEu
2O
3を硝酸水溶液に溶解し、その後、溶媒を蒸発させることによって、Eu(NO
3)
3を得た。
【0072】
次いで、ユウロピウム化合物[Eu(NO
3)
3]とストロンチウム化合物[Sr(NO
3)
2]とを500mLの純水に添加し、攪拌した。こうして、ユウロピウム化合物とストロンチウム化合物とを含む溶液を得ることができた。尚、Eu(NO
3)
3とSr(NO
3)
2の割合を変えることで、xの値を変えることができ、これによって、発光中心であるEu濃度を調整した。その後、この溶液に、所望の割合の粉状ガリウム化合物(具体的には、粉状Ga
2O
3)を加え、攪拌しながら、この溶液に亜硫酸塩を滴下した。具体的には、この溶液を攪拌しながら、Sr及びEuのモル数の合計の1.5倍のモル数の亜硫酸アンモニウムを含む溶液を滴下することで析出・沈殿物を得た。この析出・沈殿物は、Sr、Eu及びGaを含み、より具体的には、亜硫酸ユウロピウム・ストロンチウム粉体と酸化ガリウム粉体の混合物である。そして、伝導率が0.1mS/cm以下になるまで沈殿物を純水で洗浄、濾過し、120℃で6時間、乾燥させることで、ユウロピウム、ストロンチウム及びガリウムを含む粉体(ユウロピウムとストロンチウムとを含む粉体と粉末ガリウム化合物との混合物から成る粉体混合物〔より具体的には、亜硫酸ユウロピウム・ストロンチウム粉体[(Sr,Eu)SO
3から成る粉体]と酸化ガリウム粉体の混合物〕)を得た。
【0073】
そして、こうして得られた粉体(粉体混合物)20gとジルコニアボール200gとエタノール200mLとを、500mLのポットに入れ、回転速度90rpmで30分間回転させることで混合した。混合終了後、濾過し、120℃で6時間、乾燥させた。その後、公称目開き100μmの金網を通し、粉体混合品を得た。
【0074】
次いで、粉体混合品を電気炉で焼成した。焼成条件を以下のとおりとした。即ち、1.5時間で925℃まで昇温し、その後、1.5時間、925℃を保持し、次いで、2時間で室温まで降温させた。焼成中、0.5L/分の割合で電気炉に硫化水素を流した。その後、公称目開き25μmのメッシュを通し、Sr
1−xGa
2S
4:Eu
x(xは約0.1)から成る硫化物緑色蛍光体(SrGa
2S
4:Eu)を得た。得られた硫化物緑色蛍光体(SrGa
2S
4:Eu)の平均粒子径は約4μmであった。
【0075】
(製造例2)
<被覆蛍光体の作製>
樹脂容器(PE)に、第一配合物〔製造例1で作製した硫化物蛍光体(SrGa
2S
4:Eu)10g、エタノール80g、純水5g、及び28%のアンモニア水6g〕を投入し、マグネチックスターラーを投入し、40℃の恒温槽にて10分間攪拌後、第二配合物(テトラエトキシシラン5g、エタノール35g)を投入した。第二配合物の投入が完了した時点を0分として3時間攪拌を行った。攪拌終了後、真空ポンプを用いて吸引濾過を行い、回収したサンプルをビーカーに移し、水やエタノールで洗浄後、再度濾過を行い、サンプルを回収した。回収したサンプルを85℃で2時間乾燥し、大気雰囲気下、200℃で8時間焼成を行い、被覆蛍光体を得た。
得られた被覆蛍光体の酸化ケイ素被膜を走査型電子顕微鏡により観察したところ、平均厚みは20nmであった。
【0076】
(実施例1〜5)
製造例2で得た被覆蛍光体について、雰囲気焼成炉を用いて以下の条件にて、不活性高温アニール処理を行った。
投入量:被覆蛍光体 0.2g〜1.5g
雰囲気:N
2ガスパージ
設定温度:600℃〜900℃
温度プロファイル:設定温度まで90minで昇温、設定温度で2時間キープ、その後自然冷却。
焼成炉から粒子を回収後、目開き62μmメッシュで分級を行い、各種評価(粒度分布、SEM、LED点灯試験)を実施した。
【0077】
【表1】
【0078】
(比較例1)
製造例2で得た被覆蛍光体を比較例1の被覆蛍光体とした。
【0079】
<O/Si量>
実施例1〜5、及び比較例1の被覆蛍光体について、O/Si量を測定した。測定は以下の方法で行った。
被覆蛍光体0.05gを、炭酸ナトリウム0.375g及びホウ酸0.125gとともに白金るつぼに秤量した。900℃にて加熱融解の後、冷却した。50%塩酸を5ml、過酸化水素を2ml加え、生じた沈殿を回収した。これを10%硝酸水溶液にて溶解し、溶解液を得た。得られた溶解液についてICP発光分光分析(ICP−AES)を行った。得られたO(酸素原子)及びSi(ケイ素原子)各々のピーク強度の比から、酸化ケイ素被膜におけるOとSiとのモル比率(O/Si)を求めた。結果を表2及び
図4に示した。
【0080】
【表2】
【0081】
アニール処理を行わなかった被覆蛍光体では、OとSiとのモル比(O/Si)が2.76であったのに対し、アニール処理を行った実施例1〜5では、モル比(O/Si)が2.60以下に低下していた。
【0082】
<SEM観察>
被覆蛍光体のSEM(走査型電子顕微鏡)観察を行った。結果を
図5A〜
図5Eに示した。ここで用いた被覆蛍光体は、製造例2において、酸化ケイ素被膜の平均厚みを70nmと厚くした被覆蛍光体である。厚い酸化ケイ素被膜を有する被覆蛍光体は、製造例2において、テトラエトキシシランの濃度を濃くすることで作製した。
図5Aは、アニール処理を行っていない被覆蛍光体のSEM写真である。
図5Bは、600℃でアニール処理を行った被覆蛍光体のSEM写真である。
図5Cは、700℃でアニール処理を行った被覆蛍光体のSEM写真である。
図5Dは、800℃でアニール処理を行った被覆蛍光体のSEM写真である。
図5Eは、900℃でアニール処理を行った被覆蛍光体のSEM写真である。
【0083】
アニール処理温度が900℃の場合、酸化ケイ素被膜の合一が確認できる(
図5E)。
アニール処理温度が900℃未満では、合一は観察されなかった。しかし、表2のように、アニール処理温度が900℃未満でもO/Siは減少していることから、900℃以下であっても酸化ケイ素被膜の緻密化は起きているものと考えられる。
【0084】
<信頼性評価>
製造例2で得られた被覆蛍光体について、実施例1〜5と同様にしてアニーリングを実施した。アニーリング温度は、600℃、700℃、800℃、及び900℃とした。
アニーリング処理後の被覆蛍光体、及び比較例1の被覆蛍光体を、LEDパッケージ内に樹脂(メチル系KER−2910)中に分散させた。そして樹脂を硬化させ、被覆蛍光体を含有するLEDパッケージを得た。このLEDパッケージについて、点灯/保管試験を行った。
試験条件は、70℃85%RH環境下、140mAでLEDを504時間連続通電する事とし、この際の初期光束維持率(lm%)及び色度変動(Δu’v’)を確認した。また、70℃85%RH環境下、非通電(非点灯)でLEDを504時間保存した場合の初期光束維持率(lm%)及び色度変動(Δu’v’)も確認した。
測定の詳細は、以下のとおりである。光測定装置(ラブスフェア社製、システム型名:「CSLMS−LED−1061」、型式:10インチ(Φ25)/LMS−100)を用い、積分球により分光放射束(強度:W/nm)のスペクトルを測定し、全光束(ルーメン:lm)、u’v’色空間座標上の色度点u’,v’を測定した。また、上記のパラメータの加速環境試験前のデータを取得した後、ある一定時間を経過させた加速環境試験後のサンプルデータを同様に測定する事で、初期値からのlm変動率(%)(光束維持率)および、色度変動指数(Δu’v’)を下記の計算から算出した。
・lm変動率(%):(試験後lm/初期lm)×100
・Δu’v’:√(Δu’
2+Δv’
2)、但し、Δu’=初期u’−経時u’
【0085】
光束維持率の結果を表3−1及び表3−2並びに
図6A及び
図6Bに示した。
表3−1及び
図6Aが140mA通電時の結果である。
表3−2及び
図6Bが保存(非点灯)時の結果である。
【0086】
【表3-1】
【0087】
【表3-2】
【0088】
色度変動指数(Δu’v’)の結果を表4−1及び表4−2並びに
図7A及び
図7Bに示した。
表4−1及び
図7Aが140mA通電時の結果である。
表4−2及び
図7Bが保存(非点灯)時の結果である。
【0089】
【表4-1】
【0090】
【表4-2】
【0091】
これらの結果から、酸化ケイ素被膜における酸素原子とケイ素原子とのモル比(O/Si)を2.60以下にした場合、2.60超の場合と比べ、LED点灯状態での高温高湿下での使用において、光束維持率が高く、かつ色度変動も小さいことが確認された。
なお、非点灯時においては、光束維持率、及び色度変動は、比較例、実施例ともに、大きな変化(低下)は見られなかった。