(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-192364(P2021-192364A)
(43)【公開日】2021年12月16日
(54)【発明の名称】電極板および電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/131 20100101AFI20211119BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20211119BHJP
H01M 4/485 20100101ALI20211119BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20211119BHJP
H01M 4/58 20100101ALI20211119BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20211119BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20211119BHJP
H01M 10/0566 20100101ALI20211119BHJP
H01M 10/0525 20100101ALI20211119BHJP
H01M 4/133 20100101ALI20211119BHJP
H01M 4/136 20100101ALI20211119BHJP
【FI】
H01M4/131
H01M4/66 A
H01M4/485
H01M4/587
H01M4/58
H01M4/525
H01M4/505
H01M10/0566
H01M10/0525
H01M4/133
H01M4/136
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2021-89124(P2021-89124)
(22)【出願日】2021年5月27日
(31)【優先権主張番号】63/030,506
(32)【優先日】2020年5月27日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】葉 勝發
(72)【発明者】
【氏名】謝 登存
(72)【発明者】
【氏名】陳 ▲ちん▼瑜
(72)【発明者】
【氏名】廖 世傑
(72)【発明者】
【氏名】黄 浩慈
【テーマコード(参考)】
5H017
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017AA04
5H017AS02
5H017EE01
5H017EE05
5H029AJ05
5H029AJ06
5H029AJ14
5H029AK03
5H029AL03
5H029AL07
5H029AL08
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM07
5H029AM16
5H029BJ12
5H029DJ04
5H029DJ07
5H029EJ01
5H029HJ13
5H050AA07
5H050AA12
5H050AA19
5H050BA17
5H050BA18
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB03
5H050CB08
5H050CB09
5H050DA04
5H050DA07
5H050DA08
5H050DA19
5H050FA02
5H050HA13
(57)【要約】
【課題】電極板の上下両側の活物質層の電池を提供する。
【解決手段】金属箔、前記金属箔の上面上に直接配置された第1の活物質層、および前記金属箔の下面上に直接配置された第2の活物質層を含み、前記第1の活物質層および前記第2の活物質層の結晶系は異なる、電極板。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属箔、
前記金属箔の上面上に直接配置された第1の活物質層、および
前記金属箔の下面上に直接配置された第2の活物質層を含み、
前記第1の活物質層および前記第2の活物質層の結晶系は異なる、電極板。
【請求項2】
負極板であるとき、前記第1の活物質層および前記第2の活物質層は、スピネル構造のチタン酸リチウム(LTO)、単斜晶系のニオブ酸チタン(TNO)、アモルファス構造のソフトカーボン、およびアモルファス構造のハードカーボン、または六方晶系構造のグラファイトをそれぞれ含む請求項1に記載の電極板。
【請求項3】
負極板であるとき、前記第1の活物質層は、スピネル構造のチタン酸リチウム(LTO)を含み、前記第2の活物質層は、単斜晶系のニオブ酸チタン(TNO)を含む請求項2に記載の電極板。
【請求項4】
正極板であるとき、前記第1の活物質層および前記第2の活物質層は、かんらん石構造のリン酸マンガン鉄リチウム、かんらん石構造のリン酸鉄リチウム、層状構造のニッケルコバルトマンガン酸リチウム、層状構造のニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム、層状構造のコバルト酸リチウム、またはスピネル構造のマンガン酸リチウムをそれぞれ含む請求項1に記載の電極板。
【請求項5】
前記金属箔は、アルミニウム、銅、チタン、アルミニウム合金、銅合金、またはチタン合金を含む請求項1に記載の電極板。
【請求項6】
正極板、
負極板、および
前記正極板と前記負極板の間に配置されたセパレータフィルムを含み、
前記正極板、前記負極板、および前記セパレータフィルムは電解液中に浸漬され、
前記正極板および前記負極板のうちの少なくとも1つは、
金属箔、
前記金属箔の上面上に直接配置された第1の活物質層、および
前記金属箔の下面上に直接配置された第2の活物質層を含み、
前記第1の活物質層および前記第2の活物質層の結晶系は異なる、電池。
【請求項7】
前記負極板の前記第1の活物質層および前記第2の活物質層の結晶系は異なっており、且つスピネル構造のチタン酸リチウム(LTO)、単斜晶系のニオブ酸チタン(TNO)、アモルファス構造のソフトカーボン、およびアモルファス構造のハードカーボン、または六方晶系構造のグラファイトをそれぞれ含む請求項6に記載の電池。
【請求項8】
前記負極板の前記第1の活物質層は、スピネル構造のチタン酸リチウム(LTO)を含み、前記第2の活物質層は、単斜晶系のニオブ酸チタン(TNO)を含む請求項7に記載の電池。
【請求項9】
前記正極板の両側の活物質層は同じであり、且つかんらん石構造のリン酸マンガン鉄リチウム、かんらん石構造のリン酸鉄リチウム、層状構造のニッケルコバルトマンガン酸リチウム、層状構造のニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム、層状構造のコバルト酸リチウム、またはスピネル構造のマンガン酸リチウムをそれぞれ含む請求項7に記載の電池。
【請求項10】
前記正極板の両側の活物質層の結晶系は異なっており、且つかんらん石構造のリン酸マンガン鉄リチウム、かんらん石構造のリン酸鉄リチウム、層状構造のニッケルコバルトマンガン酸リチウム、層状構造のニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム、層状構造のコバルト酸リチウム、またはスピネル構造のマンガン酸リチウムをそれぞれ含む請求項7に記載の電池。
【請求項11】
前記正極板の両側の活物質層の結晶系は異なっており、且つかんらん石構造のリン酸マンガン鉄リチウム、かんらん石構造のリン酸鉄リチウム、層状構造のニッケルコバルトマンガン酸リチウム、層状構造のニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム、層状構造のコバルト酸リチウム、またはスピネル構造のマンガン酸リチウムをそれぞれ含む請求項6に記載の電池。
【請求項12】
前記負極板の両側の活物質層は同じであり、且つスピネル構造のチタン酸リチウム(LTO)、単斜晶系のニオブ酸チタン(TNO)、アモルファス構造のソフトカーボン、およびアモルファス構造のハードカーボン、または六方晶系構造のグラファイトをそれぞれ含む請求項11に記載の電池。
【請求項13】
前記金属箔は、アルミニウム、銅、チタン、アルミニウム合金、銅合金、またはチタン合金を含む請求項6に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年5月27日に出願された米国仮特許出願番号第63/030506号についての優先権を主張するものであり、これらの全ては引用によって本願に援用される。
【0002】
本発明は、電池に関するものであり、特に、電池に用いられている電極板の上下両側の活物質層に関するものである。
【背景技術】
【0003】
現在主流の炭素負極材は良好な電気容量(約350mAh/g)を有しているが、サイクル寿命、安全性、および急速充電の特性にはなおネックがある。チタン酸リチウム(Li
4Ti
5O
12、LTO)は、長寿命で安全性の高い急速充電の負極材料であるが、電気容量が低く(約165mAh/g)、ニオブ酸チタン(TiNb
2O
7、TNO)は理論容量が高く(約380mAh/g)、その1.6Vの作動電位は、リチウムデンドライトの生成を防ぐことができ、安全性が高く、次世代の急速充電の負極として適している。また、ニオブ酸チタンは低温性能に優れており、さまざまな過酷な環境に対応することができる。しかしながら、ニオブ酸チタンの導電性とサイクル寿命は低く、パワーリチウム電池に用いる場合は、より良い性能を得るために材料をさらに改良する必要がある。
【0004】
TNOの材料で作製した全電池のサイクル寿命が短いという問題を解決するために、炭素材料を用いてTNOの粉末を覆って焼結するか、基板上に炭素材料をコーティングした後、再度TNOを塗布するか、または、電解液の中に添加剤を添加することができる。しかしながら、炭素材料で覆われたTNOの粉末を焼結するコストは大幅に増加する。基板上に炭素材料をコーティングした後、再度TNOを塗布すると、サイクル寿命を改善する効果が限られるか、効果が皆無である。電解液の中に添加剤を添加する方法は、現状ではTNOの材料の電気的特性を低下させる。要約すると、上述の問題を克服するための新規な方法が緊急に必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電極板の上下両側の活物質層の電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態によって提供される電極板は、金属箔、金属箔の上面上に直接配置された第1の活物質層、および金属箔の下面上に直接配置された第2の活物質層を含み、第1の活物質層および第2の活物質層の結晶系は異なる。
【0007】
本開示の一実施形態によって提供される電池は、正極板、負極板、および正極板と負極板の間に配置されたセパレータフィルムを含み、正極板、負極板、およびセパレータフィルムは電解液中に浸漬され、正極板および負極板のうちの少なくとも1つは、金属箔、金属箔の上面上に直接配置された第1の活物質層、および金属箔の下面上に直接配置された第2の活物質層を含み、第1の活物質層および第2の活物質層の結晶系は異なる。
【0008】
以下、添付の図面と併せて本開示の実施形態を詳細に説明する。
【0009】
本発明は、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明から、より完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態および比較例における異なる電池のサイクル試験結果を示している。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態および比較例における異なる電池のサイクル試験結果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な説明において、説明の目的のために、多数の具体的詳細が、本発明の実施態様の完全な理解を提供するために示される。しかしながら、1つ以上の実施形態では、これらの特定の詳細なしに行い得ることは明らかである。他の例では、従来公知の構造および装置は、図を簡素化するために概略的に示されている。
【0012】
本開示の一実施形態によって提供される電極板は、金属箔、金属箔の上面上に直接配置された第1の活物質層、および金属箔の下面上に直接配置された第2の活物質層を含み、第1の活物質層および第2の活物質層の結晶系は異なる。第1の活物質層と第2の活物質層の結晶系が同じである場合、電池(後述する)が充放電されたときに、電極板の第1の活物質層と第2の活物質層に分配される電流が異なることができず、電池容量の増加や電池のサイクル寿命を延ばすことができない。
【0013】
電極板が負極板であるとき、第1の活物質層および第2の活物質層は、スピネル構造のチタン酸リチウム(LTO)、単斜晶系のニオブ酸チタン(TNO)、アモルファス構造のソフトカーボン、およびアモルファス構造のハードカーボン、または六方晶系構造のグラファイトをそれぞれ含む。例えば、負極板の第1の活物質層はスピネル構造のチタン酸リチウム(LTO)を含み、第2の活物質層は単斜晶系のニオブ酸チタン(TNO)を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、電極板は、正極板であり、第1の活物質層および第2の活物質層は、かんらん石構造のリン酸マンガン鉄リチウム、かんらん石構造のリン酸鉄リチウム、層状構造のニッケルコバルトマンガン酸リチウム、層状構造のニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム、層状構造のコバルト酸リチウム、またはスピネル構造のマンガン酸リチウムをそれぞれ含む。例えば、正極板の第1の活物質層は、かんらん石構造のリン酸マンガン鉄リチウムを含み得、第2の活物質層は、層状構造のニッケルコバルトマンガン酸リチウムを含み得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、金属箔は、銅、アルミニウム、チタン、アルミニウム合金、銅合金、またはチタン合金を含む。一般的に、金属箔は電極板構造の集電体と見なすことができる。
【0016】
本開示の一実施形態によって提供される電池は、正極板、負極板、および正極板と負極板の間に配置されたセパレータフィルムを含む。正極板、負極板、セパレータフィルムは電解液中に浸漬される。セパレータフィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、上述の混合物、セラミックコーティング、または上述のポリエチレンとポリプロピレンの多層構造などの多孔質ポリマーであり得る。電解質は液体またはゲル(例えば、1つ以上の非水溶媒に溶解したリチウム塩)であり得る。一実施形態では、電解質内のリチウム塩は、炭酸溶媒またはエーテル溶媒中で溶解する。例えば、リチウム塩はエチレンカーボネート(Ethylene carbonate; EC)およびジメチルカーボネート(Dimethyl carbonate; DMC)に溶解したヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF
6)である。もう1つの実施形態では、電解質は、例えば、N−メチル−N−アルキルピロリジンビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミニウム塩などのイオン液体であり得る。電解質は、例えば、リン酸リチウムオキシナイトライド(LiPON)などのリチウムイオン導電性ガラスの固体電解質であり得る。もう1つの実施形態では、電解質は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)コポリマー、PVDF−ポリアミド材料、有機ケイ素ポリマー、熱重合ゲル、放射線硬化アクリレート、ポリマーゲルを含む粒子、無機ゲルポリマー電解質、無機ゲル−ポリマー電解質、PVDFゲル、ポリエチレンオキシド(PEO)、ガラスセラミック電解質、リン酸塩ガラス、リチウム導電性ガラス、リチウム導電性セラミック、または無機イオン性液体ゲルを含み得る。
【0017】
上述の正極板および負極板のうちの少なくとも1つは、金属箔、金属箔の上面上に直接配置された第1の活物質層、および金属箔の下面上に直接配置された第2の活物質層を含み、第1の活物質層および第2の活物質層の結晶系は異なる。
【0018】
一実施形態では、負極板の第1の活物質層と第2の活物質層との結晶系は異なっており、且つ正極板の両側の活物質層は同じである(両方ともかんらん石構造のリン酸マンガン鉄リチウム、かんらん石構造のリン酸鉄リチウム、層状構造のニッケルコバルトマンガン酸リチウム、層状構造のニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム、層状構造のコバルト酸リチウム、またはスピネル構造のマンガン酸リチウムを含む)。電池が充放電されたとき、正極板の上面の活物質層は、負極板の第1の活物質層に対して第1の電圧差(ΔVa)を有し、正極板の下面の活物質層は、負極板の第2の活物質層に対して第2の電圧差(ΔVb)を有し、よって負極板の第1の活物質層と第2の活物質層に分配される電流が異なり、電池容量を調整し、電池のサイクル寿命を延ばすことができるようになる。
【0019】
もう1つの実施形態では、負極板の第1の活物質層と第2の活物質層の結晶系は異なっており、且つ正極板の両側の活物質層は異なる。電池が充放電されたとき、正極板の上面上の活物質層は、負極板の第1の活物質層に対して第1の電圧差(ΔVa1)を有し、正極板の下面上の活物質層は、負極板の第1の活物質層に対して第2の電圧差(ΔVa2)を有し、正極板の上面上の活物質層は、負極板の第2の活物質層に対して第3の電圧差(ΔVb1)を有し、正極板の下面上の活物質層は、負極板の第2の活物質層に対して第4の電圧差(ΔVb2)を有し、よって正極板の上下両側の活物質層および負極版の第1の活物質層と第2の活物質層に分配される電流が異なり、電池容量を調整し、電池のサイクル寿命を延ばすことができるようになる。
【0020】
一実施形態では、正極板の第1の活物質層と第2の活物質層との結晶系は異なっており、且つ負極板の両側の活物質層は同じである(例えば、両方ともスピネル構造のチタン酸リチウム(LTO)、単斜晶系のニオブ酸チタン(TNO)、アモルファス構造のソフトカーボン、およびアモルファス構造のハードカーボン、または六方晶系構造のグラファイトを含む)。電池が充放電されたとき、正極板の上面上の活物質層は、負極板対して第1の電圧差(ΔVc)を有し、正極板の下面上の活物質層は、負極板に対して第2の電圧差(ΔVd)を有し、よって正極板の上下両側の活物質層に分配される電流が異なり、電池容量を調整し、電池のサイクル寿命を延ばすことができるようになる。
【0021】
以下、当業者に容易に理解されるよう、添付の図面を参照にしながら例示的な実施例を詳細に記載する。本発明の概念は、ここに記載されるこれらの実施例に限定されることなく、様々な形式で具体化され得る。全体を通し、明瞭とするために周知の部品は省き、かつ類似する番号は類似する構成要素を指すものとしている。
【実施例】
【0022】
以下の実施形態では、スピネル構造のLTOは、Anhui Keda Borui Energy Technology Co Ltd.から購入したKPT−2であり、単斜晶系のTNOは自社製造であり、調整方法は台湾特許番号I705952に示されている。
【0023】
実施例1−負極板LTO/TNO
斜方晶系のニッケルコバルトマンガン酸リチウム(NMC−111、Shenzhen Tianjiao Technology Development Co Ltd.から購入)粉末(95wt%)、導電性炭素粉末(3wt%)、およびPVDF接着剤(2wt%)を混合してスラリーを形成し、アルミ箔の上面と下面上に塗布して正極板を形成する。スピネル構造のLTO粉末(92wt%)、導電性炭素粉末(3.1wt%)、およびPVDF接着剤(4.9wt%)を混合してスラリーを形成し、もう1つのアルミ箔の上面上に塗布する。さらに、単斜晶系のTNO粉末(92.5wt%)、導電性炭素粉末(4wt%)、およびPVDF接着剤(3.5wt%)を混合してスラリーを形成し、もう1つのアルミ箔の下面上に塗布して負極板を形成する。正極板のNMC活物質の単位面積あたりの塗布重量は0.0143g/cm
2であり、負極板の下面のTNO活物質の単位面積あたりの塗布重量は0.0115g/cm
2であり、負極板の上面のLTO活物質の単位面積あたりの塗布重量は0.0232g/cm
2である。
【0024】
正極板および負極板を以下のサイズにカットする。正極板のサイズは55mm×750mm(幅×長さ)であり、負極板のサイズは57mm×800mm(幅×長さ)である。正極板と負極板の前後の端部にある1cmの塗布物を洗浄し、導電性ハンドルを溶接し、幅60.5mm、厚さ16μmのPEセパレータフィルムを正極板と負極板の間に挟設して、捲回を行う。次いで、捲回後の構造物をアルミ箔の袋に入れ、電解液を注入して密封すると、電池が完成する。電解液は1.2MのLiPF
6を含む(溶媒はエチレンカーボネートとジメチルカーボネート、EC/DMCである)。
【0025】
電池を組み立てた後、定電圧定電流が0.01C以下になり、充電を停止するまで0.1Cの電流で3.0Vまで充電する形成プロセスを行う。次いで、0.1Cの電流で1.5Vまで放電する。その後、充放電を3サイクル行い、電池の容量値が得られる。0.1Cの電流の充放電のサイクルの後、電池の0.1Cの放電容量が1.63Ahであり、平均作動電圧が2.27Vであり、電池の重量が45gであるため、電池のエネルギー密度が82.2Wh/Kgであることが分かる。
【0026】
上述の電池は、室温において0.5Cの電流を用いて定電圧電流(CC−CV)モードで充電され、充放電電圧の範囲は1.5〜3Vであり、充電遮断電流は、0.01Cである。完全に充電された電池は、0.5C、1C、3C、5C、7C、および10Cの電流でそれぞれ放電率の試験を行い、電池の放電能力を評価する。電池の充電能力は、まず0.5Cの電流で1.5Vまで放電し、次いで、0.5C、1C、3C、5C、7C、および10Cの電流で再度それぞれ充電を行い、異なる電流での定電流の充電容量を分析して、電池の充電能力を評価する。電池の充放電能力を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
25℃において、5Cの電流で3.0Vまで充電し、20分間休止した後、5Cの電流で1.5Vまで放電し、20分間休止した後、サイクル寿命試験を繰り返す。
図1に示されるように、1500サイクル後、電池の容量維持率は90%を超える。100サイクル毎の後の電池は、0.5Cの電流で定電流−定電圧(CC−CV)の充放電の方法によって容量の確認(CV段の遮断電流は0.01C、電圧範囲は1.5V〜3Vである)および電池の直流内部抵抗(DCIR)の測定が行われる。電池の直流内部抵抗(DCIR)の測定は、電池を0.5Cの電流で完全に充電し、1時間放置した後、1Cの電流で10秒間放電する。休止と放電10秒間の両者の電圧差により、電池の直流内部抵抗DCIR(1C−10s)が計算される。
図2に示されるように、1400サイクルの後、電池の直流内部抵抗(DCIR)は大きな増加がなく、この実施形態の電池のサイクル寿命が長いことがわかる。
【0029】
比較例1−負極板TNO/TNO
斜方晶系のニッケルコバルトマンガン酸リチウム(NMC−111)粉末(95wt%)、導電性炭素粉末(3wt%)、およびPVDF接着剤(2wt%)を混合してスラリーを形成し、アルミ箔の上面と下面上に塗布して正極板を形成する。単斜晶系のTNO粉末(92.5wt%)、導電性炭素粉末(4wt%)、およびPVDF接着剤(3.5wt%)を混合してスラリーを形成し、もう1つのアルミ箔の上面と下面上に塗布して負極板を形成する。正極板のNMCの単位面積あたりの塗布重量は0.0143g/cm
2であり、負極板のTNOの単位面積あたりの塗布重量は0.0115g/cm
2である。
【0030】
正極板および負極板を以下のサイズにカットする。正極板のサイズは55mm×860mm(幅×長さ)であり、負極板のサイズは57mm×900mm(幅×長さ)である。正極板と負極板の前後の端部にある1cmの塗布物を洗浄し、導電性ハンドルを溶接し、幅60.5mm、厚さ16μmのPEセパレータフィルムを正極板と負極板の間に挟設して、捲回を行う。次いで、捲回後の構造物をアルミ箔の袋に入れ、電解液を注入して密封すると、電池が完成する。電解液は1.2MのLiPF
6を含む(溶媒はエチレンカーボネートとジメチルカーボネート、EC/DMCである)。
【0031】
電池を組み立てた後、定電圧定電流が0.01C以下になり、充電を停止するまで0.1Cの電流で3.0Vまで充電する形成プロセスを行う。次いで、0.1Cの電流で1.5Vまで放電する。その後、充電を3サイクル行い、電池の容量値が得られる。0.1Cの電流の充放電のサイクルの後、電池の0.1Cの放電容量が1.98Ahであり、平均作動電圧が2.28Vである。
【0032】
上述の電池は、室温において0.5Cの電流を用いて定電圧電流(CCCV)モードで充電され、充放電電圧の範囲は1.5〜3Vであり、充電遮断電流は、0.01Cである。完全に充電された電池は、0.5C、1C、3C、5C、7C、および10Cの電流でそれぞれ放電率の試験を行い、電池の放電能力を評価する。電池の充電能力は、まず0.5Cの電流で1.5Vまで放電し、次いで、0.5C、1C、3C、5C、7C、および10Cの電流で再度それぞれ充電を行い、異なる電流での定電流の充電容量を分析して、電池の充電能力を評価する。電池の充放電能力を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
25℃において、それぞれ5Cの電流で3.0Vまで充電し、20分間休止した後、5Cの電流で1.5Vまで放電し、20分間休止した後、サイクル寿命試験を繰り返す。
図1に示されるように、800サイクル後、比較例1の電池の容量維持率は約55%のみ残っている。100サイクル毎の後の電池は、0.5Cの電流でCC−CVの充放電の方法によって容量の確認(CV段の遮断電流は0.01C、電圧範囲は1.5V〜3Vである)および電池の直流内部抵抗(DCIR)の測定が行われる。電池の直流内部抵抗(DCIR)の測定は、電池を0.5Cの電流で完全に充電し、1時間放置した後、1Cの電流で10秒間放電する。休止と放電10秒間の両者の電圧差により、電池の直流内部抵抗DCIR(1C−10s)が計算される。
図2に示されるように、300サイクルの後、比較例1の電池の直流内部抵抗(DCIR)は約30%増加し、比較例1の電池のサイクル寿命が実施例1より短いことがわかる。
【0035】
比較例2−負極板LTO+TNO/LTO+TNO(4/6)
斜方晶系のニッケルコバルトマンガン酸リチウム(NMC−111)粉末(95wt%)、導電性炭素粉末(3wt%)、およびPVDF接着剤(2wt%)を混合してスラリーを形成し、アルミ箔の上面と下面上に塗布して正極板を形成する。スピネル構造のLTOおよび単斜晶系のTNO粉末(重量比4:6、92wt%)、導電性炭素粉末(3.1wt%)、およびPVDF接着剤(4.9wt%)を混合してスラリーを形成し、もう1つのアルミ箔の上面と下面上に塗布して負極板を形成する。正極板のNMCの活物質の単位面積あたりの塗布重量は0.0143g/cm
2であり、負極板のLTO+TNOの単位面積あたりの塗布重量は0.0117g/cm
2である。
【0036】
正極板および負極板を以下のサイズにカットする。正極板のサイズは55mm×750mm(幅×長さ)であり、負極板のサイズは57mm×800mm(幅×長さ)である。正極板と負極板の前後の端部にある1cmの塗布物を洗浄し、導電性ハンドルを溶接し、幅60.5mm、厚さ16μmのPEセパレータフィルムを正極板と負極板の間に挟設して、捲回を行う。次いで、捲回後の構造物をアルミ箔の袋に入れ、電解液を注入して密封すると、電池が完成する。電解液は1.2MのLiPF
6を含む(溶媒はエチレンカーボネートとジメチルカーボネート、EC/DMCである)。
【0037】
電池を組み立てた後、定電圧定電流が0.01C以下になり、充電を停止するまで0.1Cの電流で3.0Vまで充電する形成プロセスを行う。次いで、0.1Cの電流で1.5Vまで放電する。その後、充電を3サイクル行い、電池の容量値が得られる。0.1Cの電流の充放電のサイクルの後、電池の0.1Cの放電容量が1.70Ahであり、平均作動電圧が2.27Vである。
【0038】
上述の電池は、室温において0.5Cの電流を用いて定電圧電流(CC−CV)モードで充電され、充放電電圧の範囲は1.5〜3Vであり、充電遮断電流は、0.01Cである。完全に充電された電池は、0.5C、1C、3C、5C、7C、および10Cの電流でそれぞれ放電率の試験を行い、電池の放電能力を評価する。電池の充電能力は、まず0.5Cの電流で1.5Vまで放電し、次いで、0.5C、1C、3C、5C、7C、および10Cの電流で再度それぞれ充電を行い、異なる電流での定電流の充電容量を分析して、電池の充電能力を評価する。電池の充放電能力を表3に示す。
【0039】
【表3】
【0040】
25℃において、それぞれ5Cの電流で3.0Vまで充電し、20分間休止した後、5Cの電流で1.5Vまで放電し、20分間休止した後、サイクル寿命試験を繰り返す。
図1に示されるように、300サイクル後、比較例2の電池の容量維持率は800サイクル後、85.6%残っている。比較例2の電池のサイクル寿命が実施例1より短いことがわかる。
【0041】
以上、実施例を示して本発明を説明しているが、当業者は、本発明の思想と技術的範囲から逸脱しない種々の修正及び変更を行い得る。実施形態および実施例は、例示的なものであるに過ぎず、本発明の範囲は、以下の請求項及びその均等のものによって規定されて保護される。
【手続補正書】
【提出日】2021年9月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
【表1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
【表3】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
25℃において、それぞれ5Cの電流で3.0Vまで充電し、20分間休止した後、5Cの電流で1.5Vまで放電し、20分間休止した後、サイクル寿命試験を繰り返す。
図1に示されるように、
800サイクル後、比較例2の電池の容量維持率
は85.6%残っている。比較例2の電池のサイクル寿命が実施例1より短いことがわかる。
【外国語明細書】