特開2021-192592(P2021-192592A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-192592(P2021-192592A)
(43)【公開日】2021年12月23日
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
   A01B 59/042 20060101AFI20211126BHJP
   A01B 63/102 20060101ALI20211126BHJP
【FI】
   A01B59/042 A
   A01B63/102
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-99135(P2020-99135)
(22)【出願日】2020年6月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】蓬▲莱▼ 覚
(72)【発明者】
【氏名】武岡 達
(72)【発明者】
【氏名】守山 巧
(72)【発明者】
【氏名】藤本 一隆
(72)【発明者】
【氏名】辻 俊弥
【テーマコード(参考)】
2B041
2B304
【Fターム(参考)】
2B041AA07
2B041AB05
2B041AC02
2B041AC11
2B041CA03
2B041CA16
2B304KA08
2B304LA02
2B304LA07
2B304LA11
2B304LB05
2B304LB15
2B304MA03
2B304MB02
2B304PA01
2B304PD02
2B304PD21
2B304RA08
2B304RA12
2B304RA13
(57)【要約】
【課題】作業性を向上させることができる作業車を提供する。
【解決手段】座席13が配置された操縦部20に設けられた補助コントロールレバー26と、補助コントロールレバー26の操作に伴って移動可能なスプール32を有し、スプール32の位置に応じて作業装置(油圧式トップリンク、プラウ、ハーベスタなど)に供給される油圧を調整可能な補助コントロールバルブ30と、操縦部20とは異なる位置であって操作時に前記作業装置を視認可能な位置に設けられ、スプール32を移動させる外部操作レバー50と、を具備する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席が配置された操縦部に設けられた第一操作レバーと、
前記第一操作レバーの操作に伴って移動可能な移動部材を有し、前記移動部材の位置に応じて作業装置に供給される油圧を調整可能な油圧供給部と、
前記操縦部とは異なる位置であって操作時に前記作業装置を視認可能な位置に設けられ、前記移動部材を移動させる第二操作レバーと、
を具備する、
作業車。
【請求項2】
前記第一操作レバーを操作することにより揺動可能に形成され、揺動することによって前記移動部材を移動させる揺動部材を具備し、
前記第二操作レバーは、
前記揺動部材に固定されている、
請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記油圧供給部は、
延伸方向が一方向に向くように設けられ、前記作業装置と接続される接続部を具備し、
前記第二操作レバーは、
前記一方向と略平行に延びるように形成されている、
請求項1又は請求項2に記載の作業車。
【請求項4】
前記油圧供給部は、
延伸方向が一方向に向くように設けられ、前記作業装置と接続される接続部を具備し、
前記第二操作レバーは、
当該第二操作レバーの先端が前記接続部の先端よりも前記一方向側に位置するように設けられている、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の作業車。
【請求項5】
前記操縦部を覆うキャビンをさらに具備し、
前記第二操作レバーは前記キャビンの外部に設けられている、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の作業車。
【請求項6】
前記作業装置は、伸縮自在に形成されたトップリンクであり、
前記第二操作レバーを操作して前記トップリンクに供給される油圧を調整することにより、前記トップリンクの長さを調整可能である、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の作業車。
【請求項7】
前記作業装置は、プラウであり、
前記第二操作レバーを操作して前記プラウに油圧を供給することにより、前記プラウを動作可能である、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の作業車。
【請求項8】
前記作業装置は、収穫作業を行うハーベスタであり、
前記第二操作レバーを操作して前記ハーベスタに油圧を供給することにより、前記収穫作業を実行可能である、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業装置を装着可能な作業車の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業装置を装着可能な作業車の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、作業装置を装着可能であり、当該作業装置を油圧制御するための補助コントロールバルブを備えたトラクタが記載されている。前記補助コントロールバルブは、ケーブル等を介して、キャビンの内部の居住空間に設けられた補助コントロールレバーと接続されている。トラクタのユーザーは、補助コントロールレバーを操作することにより、作業装置を油圧で動作させることができる。
【0004】
ここで、作業装置を動作させる場合、作業装置の目視確認が必要な場合がある。例えば、油圧によって長さ調整が可能なトップリンクを用いる場合、運転席で補助コントロールレバーを操作してトップリンクの長さを調整した後、車外でトップリンクの長さが適切かどうかを目視確認する必要がある。このように、目視確認が必要な作業を行う場合には、運転席に座ったり運転席から降りて車外に出たりする必要があり、作業性の点で改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019−188858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、作業性を向上させることができる作業車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、運転席が配置された操縦部に設けられた第一操作レバーと、前記第一操作レバーの操作に伴って移動可能な移動部材を有し、前記移動部材の位置に応じて作業装置に供給される油圧を調整可能な油圧供給部と、前記操縦部とは異なる位置であって操作時に前記作業装置を視認可能な位置に設けられ、前記移動部材を移動させる第二操作レバーと、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記第一操作レバーを操作することにより揺動可能に形成され、揺動することによって前記移動部材を移動させる揺動部材を具備し、前記第二操作レバーは、前記揺動部材に固定されているものである。
【0010】
請求項3においては、前記油圧供給部は、延伸方向が一方向に向くように設けられ、前記作業装置と接続される接続部を具備し、前記第二操作レバーは、前記一方向と略平行に延びるように形成されているものである。
【0011】
請求項4においては、前記油圧供給部は、延伸方向が一方向に向くように設けられ、前記作業装置と接続される接続部を具備し、前記第二操作レバーは、当該第二操作レバーの先端が前記接続部の先端よりも前記一方向側に位置するように設けられているものである。
【0012】
請求項5においては、前記操縦部を覆うキャビンをさらに具備し、前記第二操作レバーは前記キャビンの外部に設けられているものである。
【0013】
請求項6においては、前記作業装置は、伸縮自在に形成されたトップリンクであり、前記第二操作レバーを操作して前記トップリンクに供給される油圧を調整することにより、前記トップリンクの長さを調整可能なものである。
【0014】
請求項7においては、前記作業装置は、プラウであり、前記第二操作レバーを操作して前記プラウに油圧を供給することにより、前記プラウを動作可能なものである。
【0015】
請求項8においては、前記作業装置は、収穫作業を行うハーベスタであり、前記第二操作レバーを操作して前記ハーベスタに油圧を供給することにより、前記収穫作業を実行可能なものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
請求項1においては、作業性を向上させることができる。
【0018】
請求項2においては、移動部材の不具合の発生を抑制することができる。
【0019】
請求項3においては、接続部と第二操作レバーとが略平行に設けられるので、省スペース化を図ることができる。
【0020】
請求項4においては、第二操作レバーを操作する際に、接続部が妨げになるのを抑制することができる。
【0021】
請求項5においては、作業性を向上させることができる。
【0022】
請求項6においては、トップリンクに供給される油圧を、第二操作レバーにより車外で調整することができるので、トップリンクの長さ調整作業を容易に行うことができる。
【0023】
請求項7においては、第二操作レバーにより車外でプラウに油圧を供給することができるので、わざわざキャビンに戻ることなく容易にプラウを動作させることができ、ひいてはプラウに付着した泥を落とす作業を容易に行うことができる。
【0024】
請求項8においては、第二操作レバーにより車外でハーベスタに油圧を供給することができるので、わざわざキャビンに戻ることなく容易に収穫作業(例えば、収穫した作物の移し替え、脱穀など)を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係るトラクタの全体的な構成を示した左側面図。
図2】キャビンの内部を示した平面図。
図3】トラクタの後部を示した後方斜視図。
図4】トラクタの後部を示した背面図。
図5】補助コントロールバルブ等を示した後方斜視図。
図6】補助コントロールバルブ等を示した前方斜視図。
図7】補助コントロールバルブ等を示した平面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
【0027】
まず、図1から図3を用いて本発明の一実施形態に係るトラクタ1の全体構成について説明する。なお、図3及び後述する図4においては、昇降装置10の図示を省略している。
【0028】
トラクタ1は、主として機体フレーム2、エンジン3、ボンネット4、マフラ5、トランスミッションケース6、前輪7、後輪8、フェンダ9、昇降装置10、キャビン11、ステアリングホイール12、座席13、アームレスト14、サイドコンソール15、リアアクスル機構16、操縦部20、PTO変速レバー21、主変速レバー22、アクセルレバー23、ポジションレバー24、副変速レバー25、補助コントロールレバー26、補助コントロールバルブ30、リンク部40及び外部操作レバー50を具備する。
【0029】
機体フレーム2は、複数の板材を適宜組み合わせて形成される枠状の部材である。機体フレーム2は、平面視略矩形状に形成される。機体フレーム2は、その長手方向を前後方向に向けてトラクタ1の前部に配置される。機体フレーム2の後部にはエンジン3が固定される。エンジン3はボンネット4に覆われる。ボンネット4の右側方には、エンジン3の排気ガスを排出するマフラ5が配置される。エンジン3の後部には、トランスミッションケース6が固定される。
【0030】
機体フレーム2の前部は、フロントアクスル機構(不図示)を介して左右一対の前輪7に支持される。トランスミッションケース6の後部は、リアアクスル機構16を介して左右一対の後輪8に支持される。左右一対の後輪8は、概ね上方からフェンダ9によって覆われる。
【0031】
トランスミッションケース6の後部には、昇降装置10が設けられる。昇降装置10には、機械式のトップリンク10aが設けられており、各種の作業装置(例えば、耕運機等)を装着することができる。昇降装置10は油圧シリンダ等のアクチュエータによって、装着された作業装置を昇降させることができる。当該昇降装置10には、図示せぬPTO軸を介してエンジン3の動力を伝達することができる。
【0032】
エンジン3の動力は、トランスミッションケース6に収容された変速装置(不図示)で変速された後、前記フロントアクスル機構を経て前輪7に伝達可能とされると共に、リアアクスル機構16を経て後輪8に伝達可能とされる。エンジン3の動力によって前輪7及び後輪8が回転駆動され、トラクタ1は走行することができる。またエンジン3の動力によって、昇降装置10に装着された作業装置を駆動させることができる。
【0033】
エンジン3の後方には、トラクタ1を運転する際にユーザー(運転者)が搭乗する操縦部20、及び操縦部20を覆うキャビン11が設けられる。操縦部20の前部には、前輪7の切れ角を調節するためのステアリングホイール12、各種のペダル等が配置される。操縦部20の略中央には、運転者が着座するための座席13が配置される。図2に示すように、座席13のすぐ右側方には、アームレスト14が配置される。キャビン11の右側部(アームレスト14よりも右外側)には、サイドコンソール15が配置される。
【0034】
座席13の左側方には、PTO変速レバー21が設けられる。また、座席13の右側方に設けられたアームレスト14には、主変速レバー22、アクセルレバー23及びポジションレバー24が設けられる。また、アームレスト14よりも右外側に設けられたサイドコンソール15には、副変速レバー25及び補助コントロールレバー26が設けられる。
【0035】
補助コントロールレバー26は、補助コントロールバルブ30を制御するための操作を行う部分である。補助コントロールレバー26は、前後に間隔をおいて2つ設けられる。補助コントロールレバー26は、後述するリンク部40と接続され、当該リンク部40を介して補助コントロールバルブ30を制御する。
【0036】
キャビン11の外部(後方)、かつ、トランスミッションケース6の後部の上方には、油圧によって動作する各種の作業装置に油圧を供給する補助コントロールバルブ30が設けられる。
【0037】
図3に示すように、補助コントロールバルブ30の近傍にはリンク部40が設けられる。リンク部40には、外部操作レバー50が固定される。
【0038】
以下、図3から図7を用いて、補助コントロールバルブ30、リンク部40及び外部操作レバー50の構成について説明する。なお、図7においては、上下2段の補助コントロールバルブ30及びリンク部40のうち、上段の補助コントロールバルブ30及びリンク部40の図示を省略している。
【0039】
補助コントロールバルブ30は、上述の如く、油圧によって動作する各種の作業装置に供給される油圧を調整するものである。図3及び図4に示すように、補助コントロールバルブ30は、キャビン11の外部に設けられている。具体的には、補助コントロールバルブ30は、キャビン11の後方に設けられ、トランスミッションケース6の上に載置されている。また、補助コントロールバルブ30は、左右のフェンダ9の間(車体の左右中央)に設けられている。
【0040】
図5及び図6に示すように、補助コントロールバルブ30は、上下に2つ積み重ねられるように(上下2段に)設けられる。以下では、上下2段の補助コントロールバルブ30のうち下段の補助コントロールバルブ30に着目して説明する。補助コントロールバルブ30は、主として、バルブ本体31、スプール32及び流通ポート33を具備する。
【0041】
図5から図7に示すバルブ本体31は、補助コントロールバルブ30の主たる構造体を構成するものである。バルブ本体31は、略直方体状に形成される。バルブ本体31の内部には、油路が形成される。バルブ本体31は、長手方向を略左右方向に向けて配置される。より詳細には、バルブ本体31は、左端部が右端部よりも前方に位置するように、長手方向を左右方向に対して若干傾けた状態で配置される。バルブ本体31には、支持部31aが設けられる(図5及び図7参照)。支持部31aは、バルブ本体31の左側面後部から外側に突出するように形成される。支持部31aは、後述するスプール32よりも後方に設けられている。
【0042】
スプール32は、バルブ本体31の内部をスライド可能に形成されるものである。スプール32は、バルブ本体31の内部に挿通される。スプール32は、軸線方向をバルブ本体31の長手方向に向けた略円柱状に形成される。スプール32は、左端部がバルブ本体31の左側面から外側に突出するように設けられる。スプール32は、バルブ本体31の長手方向に沿って往復移動(スライド)可能に設けられる。
【0043】
流通ポート33は、油が流通する部分であり、作業装置と接続される部分である。流通ポート33は、円筒状に形成される。流通ポート33は、バルブ本体31の後側面から、バルブ本体31の短手方向に沿って略後方(左後方)に延びるように形成される。流通ポート33は、バルブ本体31の後面に、左右に並ぶように2つ設けられる。
【0044】
このように構成された補助コントロールバルブ30は、スプール32の位置に応じて(スプール32が移動することによって)、バルブ本体31内の油路が適宜切り替えられ、流通ポート33から作業装置に供給される油圧を調整することができる。
【0045】
リンク部40は、補助コントロールレバー26や外部操作レバー50の操作に応じて、スプール32の位置を制御するものである。リンク部40は、揺動アーム41、揺動軸42、連結ピン43及びケーブル44を具備する。
【0046】
揺動アーム41は、揺動することによってスプール32を移動させるものである。揺動アーム41は、バルブ本体31の左側方に、長手方向を前後方向に向けて設けられる。揺動アーム41の右部の前後中途部には、長孔41aが形成される(図7参照)。長孔41aは、バルブ本体31の短手方向に沿って(略前後方向に)延びるように形成される。
【0047】
揺動軸42は、揺動アーム41の揺動中心となる部分である。揺動軸42は、揺動アーム41の後部に、より詳細には長孔41aの略後方(左後方)に設けられる。揺動軸42は、揺動アーム41及び支持部31aに挿通される。これにより、揺動アーム41が、支持部31aに対して、揺動軸42の軸線を中心として回動可能に支持される。
【0048】
連結ピン43は、スプール32の左端部及び長孔41aに挿通される。これにより、連結ピン43は、揺動アーム41とスプール32とを連結する。
【0049】
ケーブル44は、その一端部が揺動アーム41の前端部に接続される。また、図示していないが、ケーブル44は、その他端部が補助コントロールレバー26に接続される。
【0050】
外部操作レバー50は、補助コントロールバルブ30を制御するための操作を行う部分である。外部操作レバー50は、補助コントロールレバー26等が設けられた前記操縦部とは異なる位置、すなわちキャビン11の外部に設けられる。また、外部操作レバー50は、ユーザーが当該外部操作レバー50を操作する際に、補助コントロールバルブ30に接続された作業装置を視認可能な位置に設けられる。具体的には、外部操作レバー50は、キャビン11の後方、かつ、左右のフェンダ9の間(車体の左右中央)に設けられる。より詳細には、外部操作レバー50は、補助コントロールバルブ30の近傍に設けられ、揺動アーム41の左方に固定される。
【0051】
本実施形態においては、外部操作レバー50は、上下2段の補助コントロールバルブ30のうち下段の補助コントロールバルブ30に設けられる。外部操作レバー50は、レバー前部51、レバー後部52及び把持部53を具備する。
【0052】
レバー前部51は、外部操作レバー50の前部を構成する部分である。レバー前部51は、棒状(円柱状)に形成される。レバー前部51は、長手方向を前後方向に向けて配置される。レバー前部51の前部は、揺動アーム41の左側部に固定される。
【0053】
レバー後部52は、外部操作レバー50の後部を構成する部分である。レバー後部52は、棒状(円柱状)に形成される。レバー後部52は、レバー前部51と同径に形成される。レバー後部52は、レバー前部51の後端部から後上方に延びるように形成される。
【0054】
把持部53は、ユーザーが把持する部分である。把持部53は、レバー後部52の後端部を覆うように形成される。
【0055】
このように構成された外部操作レバー50は、全体として流通ポート33の延伸方向と略平行に延びるように形成される。より詳細には、レバー前部51は、後方に向かうにつれて流通ポート33に近づくように形成される。また、レバー後部52は、流通ポート33と略平行に延びるように形成される。これにより、省スペース化を図ることができる。また、外部操作レバー50(把持部53)の後端は、流通ポート33の後端よりも、流通ポート33の延伸方向後側に位置するように設けられている。これにより、外部操作レバー50を操作する(把持部53を把持する)際に、流通ポート33が妨げになるのを抑制することができる。
【0056】
以下、図7を用いて、補助コントロールバルブ30から作業装置に供給される油圧の調整方法について、具体的に説明する。
【0057】
ユーザーは、座席13に着座した状態で補助コントロールレバー26を操作することにより(図2参照)、補助コントロールバルブ30から作業装置に供給される油圧を調整することができる。具体的には、ユーザーは、補助コントロールレバー26を操作してケーブル44を図7の矢印A方向に引っ張ることにより、揺動アーム41を揺動軸42の軸線を中心として平面視時計回りに回動させる。これにより、スプール32を略右方(右後方)に移動させることができる。また、ユーザーは、補助コントロールレバー26を操作してケーブル44を図7の矢印B方向に押すことにより、揺動アーム41を揺動軸42の軸を中心として平面視反時計回りに回動させる。これにより、スプール32を略左方(左前方)に移動させることができる。このようにして、補助コントロールレバー26の操作によってスプール32の位置を調整することにより、作業装置に供給される油圧を調整して作業装置を任意に動作させることができる。
【0058】
また、本実施形態に係るトラクタ1においては、ユーザーは、車外にて外部操作レバー50を操作することにより、補助コントロールバルブ30から作業装置に供給される油圧を調整することもできる。具体的には、ユーザーは、車体の後方(より詳細には、作業装置の左側方)にて、把持部53を把持して左方(左前方)に動かすことにより、揺動アーム41を揺動軸42の軸線を中心として平面視時計回りに回動させる。これにより、スプール32を略右方(右後方)に移動させることができる。また、ユーザーは、把持部53を把持して右方(右後方)に動かすことにより、揺動アーム41を揺動軸42の軸線を中心として平面視反時計回りに回動させる。これにより、スプール32を略左方(左前方)に移動させることができる。このようにして、外部操作レバー50の操作によってスプール32の位置を調整することにより、作業装置に供給される油圧を調整して作業装置を任意に動作させることができる。
【0059】
ここで、ユーザーは、補助コントロールバルブ30(の流通ポート33)に、作業装置として、伸縮自在に形成された油圧式のトップリンクを接続する場合がある。具体的には、昇降装置10に設けられた機械式の(手作業で長さを調整できる)トップリンク10aを、油圧式(油圧で長さを調整できる)のトップリンクに付け替えることがある。従来は、トップリンクに接続される作業装置の種類に応じてトップリンクの長さを調整する際、キャビン11内の補助コントロールレバー26を操作する必要があった。一方、トップリンクの長さの確認は車外にて目視で行う必要があった。その結果、座席13に座ったり座席13から降りて車外に出たりする必要があり、不便であった。
【0060】
本実施形態に係るトラクタ1においては、外部操作レバー50を操作して、補助コントロールバルブ30からトップリンクに供給される油圧を調整することができる。このように、車外にて外部操作レバー50を操作してトップリンクの長さ調整を行うことができるので、トップリンクの長さを目視で確認しながら当該トップリンクの長さ調整を行うことができる。したがって、トップリンクの長さ調整の作業性を向上させることができる。
【0061】
また、補助コントロールバルブ30から油圧が供給される作業装置(流通ポート33に接続される作業装置)として、プラウ(種まきや苗の植え付けに備えて最初に土壌を耕起する農具)を挙げることができる。スプール32の位置に応じて前記プラウに供給される油圧を調整することにより、前記プラウを任意に動作させることができる。
【0062】
例えば、プラウがリバーシブルプラウである場合、上下のプラウ(犁)を入れ替えるように当該プラウを反転させることで、プラウに付着した泥を落とすことができる。また、プラウが油圧で耕幅調節可能なものである場合、プラウの耕幅を広げることで、プラウに付着した泥を落とす作業を容易に行うことができる。
【0063】
また、補助コントロールバルブ30から油圧が供給される作業装置として、ハーベスタ(収穫作業機)を挙げることができる。スプール32の位置に応じて前記ハーベスタに供給される油圧を調整することにより、前記ハーベスタを任意に作動させることができる。
【0064】
このような構成において、車外で外部操作レバー50を操作することにより、ハーベスタに供給される油圧を調整することができる。このため、わざわざキャビン11に戻ることなく容易に収穫作業(例えば、収穫した作物の移し替え、脱穀など)を行うことができる。
【0065】
以上の如く、本実施形態に係るトラクタ1(作業車)は、座席13(運転席)が配置された操縦部20に設けられた補助コントロールレバー26(第一操作レバー)と、前記補助コントロールレバー26の操作に伴って移動可能なスプール32(移動部材)を有し、前記スプール32の位置に応じて作業装置(トップリンク、プラウ、ハーベスタなど)に供給される油圧を調整可能な補助コントロールバルブ30と、前記操縦部20とは異なる位置であって操作時に前記作業装置を視認可能な位置に設けられ、前記スプール32を移動させる外部操作レバー50(第二操作レバー)と、を具備するものである。
【0066】
このように構成することにより、作業性を向上させることができる。
具体的には、作業装置に供給される油圧を、外部操作レバー50(第二操作レバー)により車外で調整することができるので、車外での目視確認が求められる作業装置についての作業(トップリンクの長さ調整作業など)を、わざわざ座席13(運転席)に戻ることなく容易に行うことができる。
【0067】
また、本実施形態に係るトラクタ1は、前記補助コントロールレバー26を操作することにより揺動可能に形成され、揺動することによって前記スプール32を移動させる揺動アーム41(揺動部材)を具備し、前記外部操作レバー50は、前記揺動アーム41に固定されているものである。
【0068】
このように構成することにより、スプール32(移動部材)の不具合の発生を抑制することができる。
具体的には、外部操作レバー50(第二操作レバー)が直接スプール32(移動部材)に固定されるのではなく揺動アーム41(揺動部材)に固定されることにより、外部操作レバー50を介してスプール32に対して意図しない方向の力が加わるのを抑制することができる。
【0069】
また、前記補助コントロールバルブ30は、延伸方向が一方向に向くように設けられ、前記作業装置と接続される流通ポート33(接続部)を具備し、前記外部操作レバー50は、前記一方向と略平行に延びるように形成されているものである。
【0070】
このように構成することにより、流通ポート33(接続部)と外部操作レバー50(第二操作レバー)とが略平行に設けられるので、省スペース化を図ることができる。
【0071】
また、前記補助コントロールバルブ30は、延伸方向が一方向に向くように設けられ、前記作業装置と接続される流通ポート33(接続部)を具備し、前記外部操作レバー50は、当該外部操作レバー50の先端が前記流通ポート33の先端よりも前記一方向側に位置するように設けられているものである。
【0072】
このように構成することにより、外部操作レバー50(第二操作レバー)を操作する際に、流通ポート33(接続部)が妨げになるのを抑制することができる。
【0073】
また、本実施形態に係るトラクタ1は、前記操縦部20を覆うキャビン11をさらに具備し、前記外部操作レバー50は前記キャビン11の外部に設けられているものである。
【0074】
このように構成することにより、作業性を向上させることができる。
具体的には、作業装置に供給される油圧を、外部操作レバー50(第二操作レバー)により車外で調整することができるので、車外での目視確認が求められる作業装置についての作業(トップリンクの長さ調整作業など)を、わざわざキャビン11に戻ることなく容易に行うことができる。
【0075】
また、前記作業装置は、伸縮自在に形成されたトップリンクであり、前記外部操作レバー50を操作して前記トップリンクに供給される油圧を調整することにより、前記トップリンクの長さを調整可能なものである。
【0076】
このように構成することにより、トップリンクに供給される油圧を、外部操作レバー50(第二操作レバー)により車外で調整することができるので、トップリンクの長さ調整作業を容易に行うことができる。
【0077】
また、前記作業装置は、プラウであり、前記外部操作レバー50を操作して前記プラウに油圧を供給することにより、前記プラウを動作可能なものである。
【0078】
このように構成することにより、外部操作レバー50により車外でプラウに油圧を供給することができるので、わざわざキャビン11に戻ることなく容易にプラウを動作させることができ、ひいてはプラウに付着した泥を落とす作業を容易に行うことができる。
【0079】
また、前記作業装置は、収穫作業を行うハーベスタであり、前記外部操作レバー50を操作して前記ハーベスタに油圧を供給することにより、前記収穫作業を実行可能なものである。
【0080】
このように構成することにより、外部操作レバー50により車外でハーベスタに油圧を供給することができるので、わざわざキャビン11に戻ることなく容易に収穫作業(例えば、収穫した作物の移し替え、脱穀など)を行うことができる。
【0081】
なお、本実施形態に係るトラクタ1は、本発明に係る作業車の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る補助コントロールレバー26は、本発明に係る第一操作レバーの実施の一形態である。
また、本実施形態に係る補助コントロールバルブ30は、本発明に係る油圧供給部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るスプール32は、本発明に係る移動部材の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る流通ポート33は、本発明に係る接続部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る外部操作レバー50は、本発明に係る第二操作レバーの実施の一形態である。
【0082】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0083】
例えば、本実施形態に係る作業車はトラクタ1であるものとしたが、本発明に係る作業車の種類はこれに限定されるものでない。本発明に係る作業車は、その他の農業車両、建設車両、産業車両等であってもよい。
【0084】
また、本実施形態においては、トラクタ1は、キャビン11を備えるキャビン機であるものとしたが、ロプスフレームを備えるロプス機であってもよい。
【0085】
また、本実施形態においては、後輪8が車輪(タイヤ)であるものとしたが、後輪8の代わりにクローラ式の走行装置を採用するものであってもよい。
【0086】
また、外部操作レバー50の形状は、本実施形態のものに限定されず、任意の形状とすることができる。
【0087】
また、本実施形態においては、補助コントロールバルブ30は上下2段に設けられるものとしたが、補助コントロールバルブ30の段数は任意とすることができ、例えば1段としてもよく3段以上としてもよい。また、外部操作レバー50は、上下2段の補助コントロールバルブ30のうち下段の補助コントロールバルブ30に対して設けられるものとしたが、適宜の補助コントロールバルブ30に対して設けることができる。例えば、外部操作レバー50は、上段の補助コントロールバルブ30に対して設けられるものとしてもよく、或いは上下2段の補助コントロールバルブ30のそれぞれに設けられるものとしてもよい。
【0088】
また、補助コントロールバルブ30から油圧が供給される作業装置(流通ポート33に接続される作業装置)は、前述のトップリンク、プラウ及びハーベスタに限定されるものではなく、油圧で作動する種々の作業装置とすることができる。
【符号の説明】
【0089】
1 トラクタ
26 補助コントロールレバー
30 補助コントロールバルブ
32 スプール
33 流通ポート
41 揺動アーム
50 外部操作レバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7