【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、「未来医療を実現する医療機器・システム研究開発事業」「認知症発症予測、予防介入支援技術の開発と実用化を目指す研究」委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
【解決手段】推定システムは、被験者の属性情報と行動情報とから、MCIに該当する確率を推定可能な第1推定モデルと、時系列の特定時点における被験者の属性情報と行動情報とから、特定時点よりも後の時点における行動情報を推定可能な第2推定モデルとを記憶可能なモデル記憶部と、被験者がMCIに該当する確率を推定するMCI推定部と、時系列の第1時点における被験者の属性情報と行動情報とを第2推定モデルに適用して第1時点より後の第2時点における行動情報を推定して、推定行動情報を生成する行動情報シミュレータと、を備える。MCI推定部は、第2時点における被験者の属性情報と行動情報シミュレータにより推定された第2時点における推定行動情報とを第1推定モデルに適用して、第2時点において、被験者がMCIに該当する確率を推定する。
被験者の属性を表す属性情報と、当該被験者の行動状況を表す行動情報とから、当該被験者が軽度認知障害に該当する確率を推定可能な第1推定モデルと、時系列の特定時点における前記被験者に関する前記属性情報と、前記特定時点における前記被験者に関する前記行動情報とから、前記特定時点よりも後の時点における前記被験者に関する行動情報を推定可能な第2推定モデルと、を記憶可能なモデル記憶部と、
前記属性情報と、前記行動情報と、に基づいて、前記被験者が軽度認知障害に該当する確率を推定するMCI推定部と、
時系列の第1時点における前記被験者に関する前記属性情報と、前記第1時点における前記被験者に関する前記行動情報と、を前記第2推定モデルに適用して前記第1時点より後の第2時点における前記被験者に関する行動情報を推定することで、推定行動情報を生成する行動情報シミュレータと、を有し、
前記MCI推定部は、前記第2時点における前記被験者に関する前記属性情報と、前記行動情報シミュレータにより推定された前記第2時点における前記推定行動情報と、を前記第1推定モデルに適用することで、前記第2時点において、前記被験者が軽度認知障害に該当する確率を推定する、
推定システム。
前記第1推定モデルは、健常者と軽度認知障害に該当する者との少なくとも一方を含む1以上のデータ提供者から提供された、前記データ提供者の属性を表す属性情報と、前記データ提供者の行動状況を表す行動情報と、当該データ提供者が軽度認知障害に該当するかを表すラベル情報と、を少なくとも含む第1データセットに基づいて、前記第1データセットに含まれる前記属性情報と前記行動情報とを説明変数とし、前記ラベル情報を目的変数として用いる分析処理により作成されたモデルである、
請求項1に記載の推定システム。
被験者の属性を表す属性情報と、当該被験者の行動状況を表す行動情報とから、当該被験者が軽度認知障害に該当する確率を推定可能な第1推定モデルを記憶可能なモデル記憶部と、
前記行動情報の少なくとも一部を加工することで、仮想の行動を表す疑似行動情報を生成する疑似行動情報生成部と、
前記属性情報と、前記疑似行動情報と、を前記第1推定モデルに適用することで、前記疑似行動情報により表される仮想の行動を実行した場合に、前記被験者が軽度認知障害に該当する確率を表す第1の確率を推定するMCIシミュレータと、を備える、
シミュレーションシステム。
前記疑似行動情報生成部は、前記被験者に関する少なくとも一部の行動情報について、当該行動情報を基準値とし、当該基準値に対して特定の差分ずつ増加または減少させた疑似行動情報を複数生成することで、一連の前記疑似行動情報セットを作成する、
請求項8に記載のシミュレーションシステム。
前記MCIシミュレータは、前記属性情報と、前記行動情報と、を前記第1推定モデルに適用することで、前記行動情報により表される行動を前記被験者が実行した場合に、その被験者が軽度認知障害に該当する第2の確率を推定する、
請求項7から請求項9のいずれか一項に記載のシミュレーションシステム。
前記MCIシミュレータは、前記疑似行動情報セットに、推定された前記第1の確率が前記第2の確率よりも低い前記疑似行動情報が複数含まれる場合、その複数の前記疑似行動情報から、推定された前記第1の確率が特定の目標値よりも低い前記疑似行動情報を更に選択して前記改善行動情報を生成する、
請求項11に記載のシミュレーションシステム。
前記行動情報シミュレータは、更に、時系列の第1時点における前記被験者に関する前記属性情報と、第1時点における前記被験者に関する前記行動情報と、を前記第2推定モデルに適用して前記第1時点よりも後の第2時点における前記被験者に関する行動情報を推定することで、推定行動情報を生成し、
前記MCIシミュレータは、
前記第2時点における前記被験者に関する前記属性情報と、前記行動情報シミュレータにより推定された前記推定行動情報と、を前記第1推定モデルに適用することで、前記第2時点において前記被験者が軽度認知障害に該当する第4の確率を推定し、
前記第3の確率と、前記第4の確率と、を比較することで、前記第3の確率が、前記第4の確率よりも低い前記疑似行動情報を選択し、選択された前記疑似行動情報を、前記被験者が軽度認知障害に該当する確率を低減可能な行動の候補として含む改善行動情報を生成する、
請求項17に記載のシミュレーションシステム。
前記MCIシミュレータは、更に、前記第3の確率と、前記第4の確率と、を比較することで、前記第3の確率が、前記第4の確率よりも高い前記疑似行動情報を選択し、選択された疑似行動情報に含まれる前記疑似行動情報を、前記被験者が軽度認知障害に該当する確率を高くする行動の候補として含む悪化行動情報を生成する、
請求項17に記載のシミュレーションシステム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示に係る技術の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、説明の便宜上、部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される構成・部品等は一例であって、本開示に係る技術は必ずしもそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0013】
本開示の一実施形態に係る軽度認知障害推定システム(以下、「MCI推定システム」と記載することがある)について説明する。MCI推定システムは、被験者の軽度認知障害の発生を簡便に判定できるシステムであってもよい。
【0014】
図1は、本開示の一実施形態に係るMCI推定システムの機能的な構成を例示するブロック図である。
図1に例示する構成において、MCI推定システム101は、データ入力部10と、モデル記憶部20と、MCI推定部30とを有する。
図1に例示するMCI推定システム101の構成は一つの具体例であり、例示された構成要素のうち、一つ以上の構成要素が統合されてもよく、一つの構成要素が更に複数の構成要素に細分化されてもよい。
なお、以下においては、説明の便宜上、MCI推定システム101を利用する人(利用者、ユーザ)や、MCI推定システム101を用いて軽度認知障害の可能性を推定する対象となる人を、単にまとめて「ユーザ」あるいは「被験者」と記載することがある。
【0015】
データ入力部10は、属性情報とセンサデータとを入力データとして受け付け可能に構成される。一例として、データ入力部10は、被験者の属性情報を入力可能な属性情報入力部と、被験者が装着したセンサ装置から取得されたセンサデータを入力可能なセンサデータ入力部とを有してもよい。
なお、MCI推定システム101は、データ入力部10を備えずともよい。その場合、被験者の属性情報、センサデータ等は、例えば、予めMCI推定システム101に提供されてもよく、MCI推定システム101がアクセス可能な記憶装置に記憶されてもよい。
【0016】
属性情報は、被験者の属性を表す固有情報を含む情報である。被験者の属性情報に含まれる固有情報は、被験者個人に備わっている性質や特徴を特定するデータであってもよい。被験者の属性情報は、例えば、被験者の生活環境及び生活習慣に関する情報のうち、センサ装置により測定されないデータ、あるいは、センサ装置による測定が困難なデータであってもよい。被験者の属性情報は、具体的には、例えば、被験者の年齢、性別、教育歴、既往歴、生活習慣などの個人に特有の情報を一つ以上含んでもよい。既往歴は、被験者が過去に罹った病気の経歴であり、例えば、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症などに罹った経歴であってもよい。生活習慣は、被験者が生活する中で行なう生活パターンであり、例えば、喫煙状況、飲酒状況などを表す情報であってもよい。
【0017】
センサデータは、被験者が装着したセンサ装置から取得された被験者の行動状況を表すデータを少なくとも一つ含むデータである。例えば、センサデータに含まれている行動状況を表すデータに基づいて被験者の行動情報を生成することができる。
被験者の行動情報は、被検者の行動状況を表す情報であり、例えば、センサデータに基づいた演算・加工処理により数値(データ)を算出することにより生成されてもよい。係る行動情報は、換言すると、センサデータに基づいて求められた、被験者の実際の行動を表すと推認される情報であってもよい。
センサデータは、例えば、特定の期間の間に測定された測定データを加工することで得られる値(例えば、測定データの平均値、中央値等)であってもよい。行動状況を表すデータは、例えば、身体的活動、環境変化等、被験者に関連する何らかの活動を表すデータを含んでもよい。
【0018】
行動状況を表すデータには、例えば、歩行数、歩行時間、会話時間、心拍数(脈拍数)、睡眠時間、光照射時間(例えば、UV照射時間、特定照度以上の可視光線、赤外線等の照射時間等)、皮膚温度、体温などの情報のうち、一以上の情報が含まれてもよい。また、特定の活動が実施された時間、頻度、割合等(例えば、夜間・昼間の睡眠時間、時間帯ごとの歩行数、歩行時間、時間帯ごとの発話数、会話時間)などが、行動状況を表すデータとして用いられてもよい。また、これらの行動状況を表すデータに基づいて算出される行動情報は、睡眠時間、会話時間、歩行時間、UV照射時間、脈拍、皮膚温度、体温のうちの少なくとも一つの情報を含んでもよい。
【0019】
データ入力部10には、例えば、被験者に対して予め実施した問診票、アンケート、診断等により取得されたデータが、被験者の属性情報として入力されてもよい。また、データ入力部10には、例えば、後述するセンサ装置からセンサデータが提供されてもよい。なお、データ入力部10は、上記に限定されず、本システムのユーザ(利用者や被験者)、管理者などが、属性情報やセンサデータを入力可能なインタフェースを提供してもよい。
【0020】
モデル記憶部20は、第1推定モデル21を記憶する記憶部(記憶装置)である。モデル記憶部20を実現可能な記憶装置の構成は、特に限定されない。係る記憶装置は、例えば、MCI推定システム101に含まれる記憶装置であってもよく、MCI推定システム101がアクセス可能な外部の記憶装置や、クラウドストレージであってもよい。
【0021】
第1推定モデル21は、被験者の属性を表す属性情報と、その被験者の行動状況を表す行動情報とから、当該被験者に関する軽度認知障害の推定に使用可能な情報を生成可能なモデルを含んでもよい。
係る属性情報は、データ入力部10に入力データとして与えられてもよい。また、行動情報は、データ入力部10に入力データとして与えられたセンサデータから算出されてもよい。
具体的には、第1推定モデル21は、例えば、被験者の属性情報と、被験者の行動情報とから、当該被験者に関する軽度認知障害の推定に使用可能な情報として、当該被験者が軽度認知障害に該当する確率を推定するモデルを含んでもよい。
【0022】
また、第1推定モデル21は、例えば、被験者の属性情報と、被験者の行動情報とから、当該被験者に関する軽度認知障害の推定に使用可能な情報として、当該被験者が軽度認知障害に該当する可能性を段階的に表す情報(数値、記号、符号、それらの組み合わせ等)を生成するモデルであってもよい。以下、説明の便宜上、特定の被験者に関する軽度認知障害の推定に使用可能な情報の具体例として、当該被験者が軽度認知障害に該当する確率が例示されるが、本開示に係る技術はこれに限定されない。
【0023】
係る第1推定モデル21は、例えば、健常者と、軽度認知障害に該当する者との少なくとも一方を含む1以上のデータの提供者(以下、単に「データ提供者」と記載することがある)から提供されたデータを用いて作成されてもよい。
第1推定モデル21に含まれるモデルは、データ提供者の属性情報と、当該データ提供者の行動状況を表す行動情報とを用いて作成されてもよい。係る第1推定モデル21は、例えば、データ提供者の属性情報と、データ提供者の行動情報、及び、当該データ提供者が軽度認知障害に該当するかを表すラベル情報を少なくとも含むデータセットに基づいて作成(学習)されてもよい。係るモデルは、具体的には、このデータセットに含まれる属性情報と行動情報とを説明変数とし、ラベル情報を目的変数として用いる分析処理により作成されてもよい。
MCI推定システム101は、このように作成された第1推定モデル21と、被験者の属性情報と、被験者の行動情報とを用いることにより、当該被験者に関する軽度認知障害の推定に使用可能な情報(例えば、被験者が軽度認知障害に該当する確率)を推定してもよい。
【0024】
また、第1推定モデル21は、要因情報算出モデルと、被験者に関する軽度認知障害の推定に使用可能な情報(例えば、当該被験者が軽度認知障害に該当する確率)を推定する推定情報算出モデルと、を含んでもよい。
要因情報算出モデルは、被験者の属性情報と、被験者の行動情報とから被験者の軽度認知障害の判定に影響する要因情報を推定可能なモデルである。推定情報算出モデルは、被験者の属性情報と、被験者の要因情報とから、当該被験者に関する軽度認知障害の推定に使用可能な情報を推定するモデルである。要因情報は、例えば、精神状態短時間検査(MMSE:Mini Mental State Examination)点数、脳糖代謝率、海馬体積、灰白質体積、アミロイドβ蓄積量等の情報のうち一つ以上の情報であってもよい。要因情報推定モデルは、例えば、MMSE点数推定モデル、脳糖代謝率推定モデル、海馬体積推定モデル、灰白質体積推定モデル、アミロイドβ蓄積量推定モデル等のモデルのうち一以上のモデルを含んでもよい。MCI推定システム101は、このモデルを用いることによって、例えば、ある被験者に関する軽度認知障害を推定する過程において、当該被験者に関する要因情報の推定値を算出してもよい。また、この要因情報算出モデルを含むMCI推定システムは、要因情報推定システムとして利用されてもよい。
【0025】
要因情報推定モデルは、例えば、データ提供者の属性情報と行動情報、及び、データ提供者から取得された要因情報を少なくとも含むデータセットに基づいて作成(学習)されてもよい。推定情報算出モデルは、このデータセットに含まれる属性情報と行動情報とを説明変数とし、要因情報を目的変数とした分析処理により作成されてもよい。
【0026】
推定情報算出モデルは、例えば、データ提供者の属性情報と、データ提供者から提供された要因情報と、当該データ提供者が軽度認知障害に該当するかを表すラベル情報とを少なくとも含むデータセットに基づいて作成(学習)されてもよい。具体的には、推定情報算出モデルは、このデータセットに含まれる属性情報と要因情報とを説明変数とし、ラベル情報を目的変数とした分析処理により作成されてもよい。
【0027】
さらに、ある態様として、第1推定モデル21は、例えば、データ提供者の属性情報と行動情報、データ提供者から取得された軽度認知障害の判定に影響する要因情報、及び、当該データ提供者が軽度認知障害に該当するかを表すラベル情報と、を少なくとも含むデータセットに基づいて作成されてもよい。具体的には、第1推定モデル21は、このデータセットに含まれる属性情報と行動情報と要因情報とを説明変数とし、ラベル情報を目的変数とした分析処理により作成されてもよい。これによりMCI推定システム101は、被験者の属性情報と、被験者の行動情報と共に、要因情報を入力データとして入力することによって、当該被験者が軽度認知障害に該当する確率を推定することができる。
さらに、ある態様として、第1推定モデル21は、例えば、上記要因情報の少なくとも一部を、データ提供者の属性情報として含むデータセットに基づいて作成されてもよい。
この場合、第1推定モデル21は、例えば、データ提供者の属性情報、データ提供者の行動情報、データ提供者から取得された軽度認知障害の判定に影響する要因情報と、データ提供者が軽度認知障害に該当するかを表すラベル情報と、を少なくとも含むデータセットに基づいて、当該データセットに含まれる上記属性情報と、上記行動情報と、上記要因情報と、を説明変数とし、上記ラベル情報を目的変数とした分析処理により作成されてもよい。換言すると、この場合、属性情報と、要因情報とは。特段区別されずにまとめて扱われてもよい。
【0028】
MCI推定部30は、データ入力部10に入力された被験者の属性情報と、センサデータに含まれる行動状況を表すデータに基づいて算出された被験者の行動情報と、第1推定モデル21とを用いて、当該被験者に関する軽度認知障害の推定に使用可能な情報(例えば、被験者が軽度認知障害に該当する確率)を算出するように構成される。MCI推定システム101は、例えば、この確率により、被験者が軽度認知障害に該当する可能性を推定することができる。
【0029】
ある態様として、第1推定モデル21が要因情報推定モデルと推定情報算出モデルとを含む場合、MCI推定部30は、被験者の属性情報と、被験者の行動情報とを要因情報推定モデルに適用することで、当該被験者に関する要因情報の推定値を算出してもよい。そして、MCI推定部30は、算出した被験者の要因情報の推定値と、被験者の属性情報とを推定情報算出モデルに適用することで、当該被験者が軽度認知障害に該当する確率を推定してもよい。
【0030】
図2は、
図1に例示するMCI推定システムの他の機能的な構成を例示するブロック図である。
図2に例示するMCI推定システム101aは、データ入力部10が属性情報入力部11及びセンサデータ入力部12を有する点と、データ加工部15を有する点と、表示部70を有する点において、
図1に示すMCI推定システム101の構成と相違する。その他の
図2に示すMCI推定システム101aの構成は、
図1に示すMCI推定システム101の構成と同様としてもよいので、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0031】
属性情報入力部11は、被験者の属性情報1を入力データとして受け付け可能に構成される。センサデータ入力部12は、センサ装置200から提供されたセンサデータ2を入力データとして受け付け可能に構成される。なお、
図2において、属性情報入力部11とセンサデータ入力部12とは、分離しているが、これらは統合されてもよい。
【0032】
データ加工部15は、データ入力部10に提供された属性情報1とセンサデータ2を加工することにより、被験者の軽度認知障害の判定に用いられるデータを生成するように構成される。データ加工部15は、行動情報変換部16と、データ統合部17と、データクレンジング部18とを有する。
【0033】
行動情報変換部16は、センサデータ2に含まれる行動状況を表すデータに基づいて被験者の行動情報3を算出するように構成される。行動情報変換部16は、一例として、単独のセンサデータ2に基づいて、一つ以上の行動情報3を算出してもよい。また、行動情報変換部16は、一例として、複数のセンサデータ2を組み合わせることによって、一つ以上の行動情報3を算出してもよい。さらに、行動情報変換部16は、例えば、異なる時間に計測されたセンサデータ2から行動情報3を算出してもよい。また、行動情報変換部16は、例えば、ある時間の長さにわたって連続的に計測されたセンサデータ2から、特定の行動情報3を算出してもよい。また、行動情報変換部16は、例えば、ある特定の時間ごとに連続して計測されたセンサデータ2から、特定の行動情報3を算出してもよい。また、行動情報変換部16は、例えば、間欠的に計測されたセンサデータ2から、特定の行動情報3を算出してもよい。
【0034】
行動情報変換部16がセンサデータ2から、行動情報3を算出する方法は特に限定されない。一具体例として、行動情報変換部16は、例えば、センサデータ2に含まれる加速度センサのデータから、被験者の歩行数を算出してもよい。また、行動情報変換部16は、例えば、センサデータ2に含まれる加速度センサのデータと、その測定時刻とから、被験者の歩行時間を算出してもよい。また、行動情報変換部16は、例えば、センサデータ2に含まれる音響(音声)センサのデータ(音声信号等)から、被験者の会話時間を算出してもよい。また、行動情報変換部16は、例えば、センサデータ2に含まれる脈拍センサのデータから、被験者の心拍数を算出してもよい。また、行動情報変換部16は、例えば、センサデータ2に含まれる加速度センサのデータ、光センサのデータ、脈拍センサのデータ、これらのデータの測定時間等を統合することで、被験者の睡眠時間を算出してもよい。
なお、一態様として、行動情報変換部16に相当する構成がセンサ装置200に設けられてもよい。この場合は、行動情報3がセンサデータ2の少なくとも一部として、センサデータ入力部12に入力されてもよい。また、この場合、MCI推定システム101aは、行動情報変換部16を備えなくともよい。
【0035】
データ統合部17は、被験者の属性情報1と、被験者の行動情報3の少なくとも一部から、MCI推定部30において利用されるデータを統合することにより、データセットを作成するように構成される。データ統合部17は、例えば、属性情報1と行動情報3の少なくとも一方から少なくとも一部のデータを選択し、ベクトル形式、マトリックス形式のデータセットを作成してもよい。なお、一態様として、データ統合部17を設けずに、属性情報1と行動情報3とをMCI推定部30に提供してもよい。
【0036】
データクレンジング部18は、データセットに含まれるデータの重複や誤記などのエラーを検出し、検出されたエラーの削除あるいは修正するように構成される。データクレンジング部18は、一例として、ある特定の基準に基づいて、データセットの中から不要なデータを削除してもよい。このデータセットのクレンジングによって、データセットの品質が向上することにより、MCI推定システム101aは、例えば、より正確に確率を推定可能となる。なお、一態様として、データのクレンジングが不要な場合には、MCI推定システム101aは、データクレンジング部18を備えなくともよい。
【0037】
表示部70は、ユーザインタフェース80を表示可能に構成される。
ユーザインタフェース80は、第1コンポーネント81と、第2コンポーネント82と、第3コンポーネント83とを含んでもよい。第1コンポーネント81は、行動情報3を表示可能な領域であってもよい。第2コンポーネント82は、属性情報1を表示可能な領域であってもよい。第3コンポーネント83は、MCI推定部30で推定された軽度認知障害に該当する確率を表示可能な領域であってもよい。MCI推定部30が、被験者に関する要因情報の推定値を算出する場合、第3コンポーネント83は要因情報を表示可能に構成されてもよい。
【0038】
また、
図2に示すMCI推定システム101aでは、表示部70は、MCI推定システム101aに統合されているが、本技術はこれに限定されない。表示部70は、例えば、MCI推定システム101aから分離可能に構成されてもよい。また、表示部70は、例えば、MCI推定システム101aに接続された外部の表示装置(モニタ等)として実現されてもよい。この場合、ユーザインタフェース80は、例えば、外部の表示装置に表示されてもよい。また、表示部70は、例えば、MCI推定システム101aに通信可能に接続された他の装置(例えば、本システムのユーザの情報通信端末)として実現されてもよい。 この場合、ユーザインタフェース80は、例えば、MCI推定システム101aに通信可能に接続された他の装置に表示されてもよい。
また、表示部70の代わりに、あるいは、表示部70と共に、各コンポーネントに表示可能な情報を印刷するプリンタが用いられてもよいし、係る情報を電子情報として伝送する通信デバイスが用いられてもよい。
【0039】
センサ装置200は、例えば、ウェラブルセンサであり、ユーザ(例えば被験者等)に装着可能な装着部を有してもよい。センサ装置200は、例えば、センサ素子201、センサデータ記憶部202、データ提供部203を備えてもよい。なお、センサ装置200は、単一(単独)の装置として実現されてもよく、複数の装置の組み合わせ(例えば、腕部や脚部に装着する装置と胸部に装着する装置の組み合わせ等)により実現されてもよい。また、センサ装置200は、ユーザの身体に装着する装置と、ユーザの身体に装着しない装置との組み合わせにより実現されてもよい。ユーザの身体に装着しない装置には、例えば、室内環境をセンシングする装置や、ユーザが使用する健康管理機器(血圧計、体重計、体組成計等)が含まれてもよい。
【0040】
センサ素子201としては、例えば、温度センサ、脈拍(あるいは心拍)センサ、加速度センサ、マイクロホン(音響センサ)、環境光センサ(例えば、可視光や明度等を感知可能なセンサ)、紫外線センサ等が用いられてもよい。これらのセンサ素子は、単独で使用されてもよいし、二つ以上の素子の組み合わせが使用されてもよい。
【0041】
センサデータ記憶部202は、センサ素子201により測定したセンサデータを記憶可能に構成される。センサデータ記憶部202としては、例えば、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置が用いられてもよい。
【0042】
データ提供部203は、センサデータをMCI推定システム101a(例えば、データ入力部10におけるセンサデータ入力部12)に対して提供可能に構成される。データ提供部203がセンサデータを提供する方法としては、例えば、無線接続によるデータ通信、有線接続によるデータ通信等が用いられてもよい。通信方式(プロトコル)は特に限定されず、適切な方式が採用されてもよい。また、センサデータ2は、記録媒体を介して提供してもよい。
【0043】
次に、
図2に示すMCI推定システム101aにより実行される軽度認知障害の推定方法について、
図3のフロー図を参照しながら説明する。
図3は、
図2に例示するMCI推定システムにより実行される軽度認知障害の推定方法の処理を例示するフロー図である。
【0044】
MCI推定システム101aで実行される軽度認知障害の推定方法は、一例として、
図3に例示するように、属性情報1の入力を受け付ける処理(ステップS11)、センサデータ2の入力を受け付ける処理(ステップS12)、行動情報3を算出する処理(ステップS13)、属性情報1と行動情報3を統合してデータセットを作成する処理(ステップS14)、データをクレンジングする処理(ステップS15)、軽度認知障害に該当する確率を推定する処理(ステップS20)、推定結果を出力する処理(ステップS21)を含んでもよい。なお、これらの処理(ステップ)の少なくとも一部は、更に詳細な処理に細分化されてもよい。また、これらの処理は統合されてもよい。また、MCI推定システム101aは、これらの処理のうち、結果に影響がない範囲で、少なくとも一部の処理を実行する順序を変えてもよく、少なくとも一部の処理を並列に実行してもよい。
なお、上記処理とは別に、センサ装置200により、センサデータの取得処理(ステップS10)が実行されてもよい。
【0045】
以下、
図3を参照して、軽度認知障害の推定方法について具体的に説明する。以下、記載の便宜上、センサ装置200によるセンサデータの取得処理についても併せて説明する。
被験者が装着したセンサ装置200により、被験者に関するセンサデータが取得される(ステップS10)。この際、センサ装置200は、例えば、センサ素子201を用いて測定されたセンサデータを、センサデータ記憶部202に記憶してもよい。
【0046】
被験者の属性情報1は、MCI推定システム101aに提供される(ステップS11)。この際、例えば、MCI推定システム101aにおける属性情報入力部11が、被験者の属性情報1を入力データとして受け付けてもよい。なお、属性情報1は、予めMCI推定システム101aに提供されてもよい。
【0047】
センサ装置200において取得されたセンサデータ2が、MCI推定システム101aに提供される(ステップS12)。例えば、センサ装置200におけるセンサ素子201により計測されたセンサデータが、センサ装置200からMCI推定システム101aに提供されてもよい。また、センサデータ記憶部202に記憶されているセンサデータ2が、センサ装置200からMCI推定システム101aに提供されてもよい。MCI推定システム101aにおけるセンサデータ入力部12が、センサデータ2を入力データとして受け付けてもよい。
属性情報入力部11に入力された属性情報1は、データ統合部17に提供されてもよい。また、センサデータ2は、行動情報変換部16に提供されてもよい。
【0048】
MCI推定システム101a(具体的には、行動情報変換部16)は、センサデータ2に基づいて被験者の行動情報3を算出する(ステップS13)。変換された行動情報3は、データ統合部17に提供されてもよい。
【0049】
MCI推定システム101a(具体的には、データ統合部17)は、属性情報1と行動情報3とを統合して、データセットを作成する(ステップS14)。データセットは、データクレンジング部18に提供されてもよい。なお、データセットを作成しない場合、MCI推定システム101aは、このステップを実行せずともよい。
【0050】
MCI推定システム101a(具体的には、データクレンジング部18)は、データセットに含まれるデータの重複や誤記などのエラーを削除あるいは修正することで、データをクレンジングする(ステップS15)。クレンジングされたデータセットは、MCI推定部30に提供されてもよい。なお、データのクレンジングが不要である場合、MCI推定システム101aは、このステップを実行せずともよい。
【0051】
MCI推定システム101a(具体的には、MCI推定部30)は、被験者が軽度認知障害に該当する確率を推定する。具体的には、MCI推定部30は、データセットに含まれる属性情報と行動情報を、モデル記憶部20に記憶された第1推定モデル21に適用することで、軽度認知障害に該当する確率を推定する(ステップS20)。
MCI推定部30は、ステップS20において推定された確率に基づいて、被験者が軽度認知障害に該当するか否かを推定してもよい。例えば、MCI推定システム101aは、ステップS20において推定された軽度認知障害に該当する確率と、特定の閾値(例えば、特定のカットオフ値)と、を比較することにより、被験者が軽度認知障害であるか否かを推定してもよい。推定された軽度認知障害に該当する確率は、表示部70に送られてもよい。
【0052】
MCI推定システム101a(具体的には、表示部70)は、推定結果を出力する(ステップS21)。推定結果は、軽度認知障害に該当する確率もしくはこの確率から導出された結果(例えば、被験者が、軽度認知障害に該当するか否か等)であってもよい。
【0053】
次に、MCI推定システム101aにおける、第1推定モデル21の作成方法(学習方法)について説明する。
まず、モデルの作成には、一人以上の人から収集されたデータが用いられる。以下、モデルの作成に用いられるデータの提供元となった人を、単にデータ提供者と記載することがある。また、データ提供者から収集されたデータを、単に収集データと記載することがある。データ提供者は、適切に選定された、被験者以外の第三者であってもよい。なお、場合によっては、データ提供者に被験者が含まれてもよい。
【0054】
データ提供者には、例えば、健常者、アルツハイマー型の軽度認知障害に該当する者、もしくは非アルツハイマー型の軽度認知障害に該当する者のうちのいずれかを一人以上が含まれてもよい。なお、以下において、アルツハイマー型(Alzheimer’s Disease)の軽度認知障害を単に「AD型軽度認知障害」と記載することがある。また、非アルツハイマー型の軽度認知障害を単に「非AD型軽度認知障害」と記載することがある。典型的には、データ提供者には、健常者、AD型軽度認知障害に該当する者、もしくは非AD型軽度認知障害に該当する者がそれぞれ一人以上含まれてもよい。この場合、収集データには、健常者から収集されたデータと、AD型軽度認知障害に該当する者から収集されたデータと、非AD型軽度認知障害に該当する者から収集されたデータと、がそれぞれ含まれてもよい。例えば、収集データとして、医療機関、検査機関、介護施設等において予め適切に収集されたデータが用いられてもよい。
【0055】
具体的には、収集データとして、例えば、データ提供者に関する属性情報、データ提供者の行動状況を表す行動情報、データ提供者について取得された要因情報(MMSE点数、脳糖代謝率、海馬体積、灰白質体積、アミロイドβ蓄積量)などが収集される。また、収集データとして、データ提供者が装着したセンサ装置から取得されたセンサデータが収集されてもよい。
あるデータ提供者に関する行動情報は、例えば、データ提供者が装着したセンサ装置から取得されたセンサデータに基づいて算出されてもよく、その他の適切な手段(例えば、アンケートや問診等によるデータ提供者からの直接的な情報収集)を用いて収集されてもよい。あるデータ提供者に関する要因情報は、例えば、予め当該データ提供者について医学的な検査、測定、診断などを実施することにより収集されてもよい。
【0056】
MMSE点数は、例えば、データ提供者が受けたMMSE(精神状態短時間検査)の結果から取得されてもよい。脳糖代謝率は、例えば、データ提供者が受けたFDG−PET検査の結果から所得されてもよい。海馬体積及び灰白質体積は、例えば、データ提供者が受けたMRI検査の結果から取得されてもよい。アミロイドβ蓄積量は、例えば、データ提供者が受けたアミロイド−PET検査の結果から取得されてもよい。
データ提供者に関する属性情報は、例えば、データ提供者に対して予め実施した問診票、アンケート、事前診断等から取得されてもよい。
【0057】
第1推定モデル21は、例えば、次のようなプロセスにより作成されてもよい。
データ提供者から収集された収集データが、健常者から収集されたデータと、それ以外のデータ(即ち、軽度認知障害(AD型軽度認知障害と非AD型軽度認知障害を含む)から収集されたデータ)とに分類される。この際、分類された収集データには、データ提供者が分類されるカテゴリを表す情報(例えば、「健常」、「軽度認知障害」などのラベル)が付与されてもよい。
【0058】
分類された収集データから、例えば、健常者と軽度認知障害などの分類(カテゴリ)を目的変数とし、データ提供者の属性情報と行動情報を説明変数として、それらの目的変数及び説明変数を含むデータセットが作成されてもよい。また、例えば、健常者と軽度認知障害などの分類(カテゴリ)を目的変数とし、データ提供者の属性情報と行動情報及びデータ提供者の要因情報を説明変数として、それらの目的変数及び説明変数を含むデータセットが作成されてもよい。これらのデータセットは、例えば、ベクトル形式で表現されてもよく、マトリックス形式で表現されてもよい。これらのデータセットは、モデルを作成する際のトレーニングデータとして用いられる。
【0059】
次に、作成されたデータセットを用いた分析処理を実行することにより、モデルが作成される。係る分析処理には、例えば、回帰分析や、各種機械学習における学習処理が含まれてもよい。モデルを作成する際に用いられる分析の手法は特に制限されず、二項ロジスティック回帰分析、サポートベクタマシーン(SVM)回帰分析、ランダムフォレスト回帰分析、ニューラルネットワーク等が適宜用いられてもよい。
例えば、重回帰分析あるいはSVM回帰分析用いる場合、概略以下の式(1)、式(2)で表されるモデルが作成されてもよい。
【0060】
P
MCI=1/(1+e
−Z) (1)
Z=w0+w1×x1+w2×x3+w3×x3+・・・wN×xN (2)
【0061】
上記式(1)において、P
MCIは、モデルから出力される値であり、例えば、軽度認知障害である確率を表してもよい。上記式(1)及び(2)において、Zは上述の目的変数(ラベルを表す情報)を表し、パラメータx1、x2、x3・・・xNは上述の説明変数を表してもよい。これらのパラメータとして、例えば、属性情報(例えば、年齢、性別、教育歴、既往歴、生活習慣等)の少なくとも一部が適宜用いられてもよい。また、これらのパラメータとしては、要因情報(例えば、MMSE点数、脳糖代謝率、アミロイドβ蓄積量)の少なくとも一部が適宜用いられてもよい。なお、上記式(2)において、w0、w1、w2、w3・・・xNは係数を表してもよい。
【0062】
また、モデルとしてニューラルネットワークを用いる場合、上記説明変数を入力パラメータとし、上記目的変数を出力とする1層以上のネットワークが作成されてもよい。係るニューラルネットワークにおける隠れ層の数、各層のノード(ニューロン)の数、各層間の接続構造は、適切に調整されてもよい。
これらのモデルを作成する際、周知の学習アルゴリズム(例えば、重回帰分析であれば二乗誤差最小化、SVMであればマージン最大化、ニューラルネットワークであればバックプロパゲーション等)が用いられてもよい。
【0063】
このように作成されたモデルについて、例えば、ROC(Receiver Operating Characteristic)曲線を作成することで、軽度認知障害であると判定されるカットオフ値、感度、特異度、正診率が算出されてもよい。そして、例えば、ROC曲線の感度と特異度が高く、かつ正診率が高い(疑陽性率、疑陰性率が低い)数値になるようなモデルが選択されてもよい。例えば、収集データのうちの一部を学習用データとして用いてモデルを作成し、それ学習データ以外のデータを評価用データとして用いることで、作成されたモデルが評価されてもよい。上記のようにして作成、選択されたモデルは、第1推定モデル21として用いることができる。
【0064】
図4は、第1推定モデル21によって得られる一例のROC曲線である。
図4に例示するROC曲線は、感度が91.7%、特異度が82.5%、カットオフ値が0.5311981である。
【0065】
また、第1推定モデル21が、要因情報算出モデルと推定情報算出モデルとを含む場合、要因情報算出モデルは、例えば、目的変数を要因情報とし、説明変数をデータ提供者の属性情報と行動情報として、上記と略同様のプロセスにより作成されてもよい。また、推定情報算出モデルは、例えば、目的変数を健常者と軽度認知障害などの分類(カテゴリ)とし、説明変数を要因情報として、上記と略同様のプロセスにより作成されてもよい。
【0066】
上記の方法によって作成された要因情報推定モデルを用いて算出された要因情報の推定値と要因情報の実測値との関係の一例を、
図5〜
図8に示す。
【0067】
図5は、MMSE点数の実測値と、MMSE点数推定モデルによって算出される推定値との関係を例示するグラフである。
図5に示すMMSE点数の実測値と推定値の回帰直線は、決定係数(R
2)が0.98、二乗平均平方根誤差(RMSE)が0.24である。
【0068】
図6は、脳糖代謝率の実測値と、脳糖代謝率推定モデルによって算出される推定値との関係を例示するグラフである。
図6に示す脳糖代謝率の実測値と推定値の回帰直線は、決定係数(R
2)が0.97、二乗平均平方根誤差(RMSE)が0.02である。
【0069】
図7は、海馬体積の実測値と、海馬体積推定モデルによって算出される推定値との関係を例示するグラフである。
図7に示す海馬体積の実測値と推定値の回帰直線は、決定係数(R
2)が0.99、二乗平均平方根誤差(RMSE)が125.71である。
【0070】
図8は、アミロイドβ蓄積量の実測値と、アミロイドβ蓄積量推定モデルによって算出される推定値との関係を例示するグラフである。
図8に示すアミロイドβ蓄積量の実測値と推定値の回帰直線は、決定係数(R
2)が0.884、二乗平均平方根誤差(RMSE)が0.026である。
【0071】
次に、
図3に示すMCI推定システム101aの処理により表示部70で表示される情報について
図9と
図10を参照しながら説明する。
【0072】
図9は、第1推定モデル21が要因情報の推定値を算出しない場合において、表示部70に表示されるユーザインタフェース80aの一例を示す説明図である。
図9に例示するように、ユーザインタフェース80aの第1コンポーネント81aには、行動情報3が表示されてもよい。
図9に示す具体例の場合、第1コンポーネント81aには、「歩行」、「睡眠」、「会話」に関する情報(例えば、これらの実行時間)などが表示されている。第2コンポーネント82aには、属性情報1が表示されてもよい。
図9に示す具体例の場合、「飲酒」、「喫煙」、「高血圧」に関する情報、例えば、飲酒量、喫煙量、血圧値、あるいは、これらの習慣の有無などが表示されている。第3コンポーネント83aには、軽度認知障害に該当する確率が表示されてもよい。
【0073】
図10は、第1推定モデル21が要因情報の推定値を算出する場合(第1推定モデルが、要因情報算出モデルと推定情報算出モデルとを含む場合)において、表示部70に表示されるユーザインタフェース80bの一例を示す説明図である。
図10に例示するように、ユーザインタフェース80bの第3コンポーネント83bには、軽度認知障害に該当する確率と共に、要因情報の推定値が表示されてもよい。
【0074】
MCI推定システム101aが
図9、
図10に例示するようなユーザインタフェースを提供することにより、例えば、被験者自身が、軽度認知障害に該当する可能性を簡便に確認可能である。なお、
図9、
図10に例示する表示態様は、一つの具体例であり、本開示に係る技術はこれに限定されない。ユーザインタフェース80a、80bには他の表示要素が含まれてもよく、例えば、表示内容が、グラフ、図形、画像等の表示要素を用いて構成されてもよい。
【0075】
以上説明したMCI推定システム101、101aは、第1推定モデル21を有することから、被験者の属性情報1と行動情報3とから、被験者が軽度認知障害に該当する確率を精度よく推定することができる。また、第1推定モデル21が、要因情報算出モデルと推定情報算出モデルとを含む場合、MCI推定システム101、101aは、被験者の属性情報1と行動情報3とから、要因情報(MMSE点数、脳糖代謝率、海馬体積、灰白質体積、アミロイドβ蓄積量)を精度よく推定することができる。
【0076】
図11は、本開示の他の一実施形態に係るMCI推定システムの機能的な構成を例示するブロック図である。
図11に例示する構成において、MCI推定システム102は、データ入力部10と、モデル記憶部20と、MCI推定部30と、行動情報シミュレータ40と、を有する。モデル記憶部20は、第1推定モデル21と、第2推定モデル22とを記憶可能に構成される。
図11に示すMCI推定システム102は、モデル記憶部20が第2推定モデル22を記憶可能に構成されている点と、行動情報シミュレータ40とを有する点において、
図1に示すMCI推定システム101と相違する。また、
図11に示すMCI推定システム102は、MCI推定部30にて被験者が軽度認知障害に該当する確率を推定する方法が、
図1に示すMCI推定システム101と相違する。その他の
図11に示すMCI推定システム102の構成に関しては、
図1に示すMCI推定システム101の構成と同様としてもよいので、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0077】
第2推定モデル22は、時系列のある特定時点における、被験者の属性情報と、被験者の行動情報とから、特定時点よりも後の時点における当該被験者の行動情報を推定可能なモデルを含んでもよい。行動情報は、例えば、睡眠時間、会話時間、歩行時間、UV照射時間、脈拍、皮膚温度、体温のうちの少なくとも一つの情報を含んでもよい。
【0078】
第2推定モデル22は、具体的には、例えば、1以上のデータ提供者から提供された、少なくとも時系列の複数の時点における属性情報と、センサデータに基づいて算出されたデータ提供者の行動情報とを含む第2データセットに基づいて作成(学習)されたモデルを含んでもよい。
時系列の複数の時点は、例えば、ある特定時点と、その特定時点より後の他の複数の時点とを含んでもよい。一つの具体例として第2データセットには、ある特定時点を基準として、所定期間ごとに収集されたデータが含まれてもよい。そのようなデータは、例えば、ある時点を基準として1日ごと、1週間ごと、1か月ごと、半年ごと、1年ごとに収集された複数のデータであってもよい。
【0079】
第2推定モデル22は、第2データセットに含まれる時系列のある特定時点におけるデータ提供者の属性情報と、データ提供者の行動情報とを説明変数として、特定時点における当該データ提供者の行動情報と、特定時点より後の他の時点における当該データ提供者の行動情報との差分を目的変数として用いる分析処理により作成されてもよい。
第2推定モデル22は、また、第2データセットに含まれる時系列の特定時点におけるデータ提供者の属性情報とデータ提供者行動情報とを説明変数として、特定時点より後の他の時点における当該データ提供者の行動情報を目的変数として用いる分析処理により作成されてもよい。
【0080】
以下、具体例を示して説明する。
例えば、第2データセットに、ある時点(以下「T0時点」と記載する)を基準として1年後(T1時点と記載)、2年後(T2時点と記載)、3年後(T3時点と記載)のデータ提供者の属性情報と、当該データ提供者の行動情報と、が含まれることを想定する。この場合、第2推定モデルは、例えば、説明変数としてT0時点におけるデータ提供者の属性情報と、データ提供者の行動情報が設定され、目的変数としてT1時点における当該データ提供者の行動情報が設定されたデータと、説明変数としてT1時点におけるデータ提供者の属性情報と、データ提供者の行動情報が設定され、目的変数としてT2時点における当該データ提供者の行動情報が設定されたデータと、説明変数としてT2時点におけるデータ提供者の属性情報と、データ提供者の行動情報が設定され、目的変数としてT3時点における当該データ提供者の行動情報が設定されたデータと、を用いた分析処理により作成されてもよい。
【0081】
また、第2推定モデルは、例えば、説明変数としてT0時点におけるデータ提供者の属性情報と、データ提供者の行動情報が設定され、目的変数としてT1時点における行動情報とT0時点における行動情報との差分が設定されたデータと、説明変数としてT1時点における属性情報及び行動情報が設定され、目的変数としてT2時点における行動情報とT1時点における行動情報との差分が設定されたデータと、説明変数としてT3時点における属性情報及び行動情報が設定され、目的変数としてT2時点における行動情報とT1時点における行動情報との差分が設定されたデータと、を用いた分析処理により作成されてもよい。
このようにして作成された第2推定モデルは、例えば、入力として与えられる被験者の属性情報と、被験者の行動情報から、1年後の当該被験者の行動情報の推定値を提供することが可能である。
具体例として、行動情報に歩行時間が含まれる場合、第2推定モデルを使用することで、ある特定の時点における被験者の歩行時間と、被験者の属性情報とから、1年後の当該被験者の歩行時間を推定することが可能となる。
【0082】
第2推定モデル22の作成に用いられる分析処理の方法は、前述の第1推定モデル21を作成する方法と同一の方法が用いられてもよい。即ち、第2推定モデルは、二項ロジスティック回帰分析、サポートベクタマシーン(SVM)回帰分析、ランダムフォレスト回帰分析、ニューラルネットワーク等を適宜用いて作成されたモデルであってもよい。
なお、第2推定モデル22の作成に用いる属性情報及び行動情報のデータ提供者は、例えば、前述の第1推定モデル21の作成に用いる属性情報と行動情報のデータ提供者と同一の提供者を含んでもよく、異なるデータ提供者を含んでもよい。
【0083】
行動情報シミュレータ40は、時系列のある特定の時点(第1時点)における被験者の属性情報と、被験者の行動情報と、第2推定モデル22とを用いて、第1時点より後の第2時点における当該被験者の行動情報を推定するように構成される。
第1時点は特に限定されない。第1時点は、例えば、センサデータが測定された時点であってもよい。また、第1時点は、例えば、センサデータに基づいて被験者の行動情報が生成された時点であってもよい。複数のセンサデータがMCI推定システム102に提供される場合、第1時点は、例えば、最も新しいセンサデータが測定された時点であってもよい。また、第1時点は、例えば、センサデータがMCI推定システム102に提供された時点であってもよい。また、第1時点は、例えば、被験者がMCI推定システム102を利用する時点であってもよい。この場合、被験者がMCI推定システム102を利用する時点において、MCI推定システム102に提供されている、最新のセンサデータに基づいて算出された行動情報が用いられてもよい。第1時点は、また、被験者が選択可能であってもよい。この場合、被験者が選択した第1時点に近いタイミングで測定されたセンサデータから生成された行動情報が用いられてもよい。
【0084】
また、被験者の属性情報については、第1時点においてMCI推定システム102に提供されたか、第1時点までにMCI推定システム102に提供された属性情報が用いられてもよい。また、第1時点に最も近い時点でMCI推定システム102に提供された属性情報が用いられてもよい。
行動情報は、睡眠時間、会話時間、歩行時間、UV照射時間、脈拍、皮膚温度、体温などの時系列で変化する少なくとも一つの情報を含む。すなわち、行動情報シミュレータ40は、上記の行動情報が測定された第1時点における属性情報と行動情報と、第2推定モデル22とを用いて、将来(第1時点より後の第2時点)における被験者の行動情報を推定するように構成される。
【0085】
MCI推定部30は、第2時点における被験者の属性情報と、行動情報シミュレータ40により推定された第2時点における被験者の行動情報を表す推定行動情報と、第1推定モデル21とを用いて、第2時点における当該被験者に関する軽度認知障害の推定に使用可能な情報(例えば、被験者が軽度認知障害に該当する確率)を算出するように構成される。MCI推定システム102は、例えば、この確率により、被験者が将来のある時点(第2時点)において、軽度認知障害に該当する可能性を推定することができる。
第2時点における被験者の属性情報が、年齢などの時間の経過により変わる情報である場合、MCI推定部30は第2時点における属性情報を第1時点における属性情報に基づいて算出してもよい。一方、第2時点における被験者の属性情報が、性別、教育歴、既往歴、生活習慣年齢などの時系列で変わらない情報である場合、MCI推定部30は、第1時点における被験者の属性情報を第2時点における属性情報として用いてもよい。
【0086】
また、MCI推定部30は、更に、第1時点の被験者に関する属性情報と、被験者の行動情報と、第1推定モデル21とを用いて、第1時点における当該被験者に関する軽度認知障害の推定に使用可能な情報(例えば、被験者が軽度認知障害に該当する確率)を算出するように構成されてもよい。この場合、MCI推定部30は、例えば、第1時点において被験者が軽度認知障害に該当する確率と、第1時点よりも後の時点(第1時点を基準とした将来の時点)である第2時点において被験者が軽度認知障害に該当する確率と、を算出することが可能である。
【0087】
図12は、
図11に示すMCI推定システムの他の機能的な構成を例示するブロック図である。
図12に示すMCI推定システム102aは、データ入力部10が属性情報入力部11とセンサデータ入力部12を有する点と、データ加工部15を有する点と、表示部70を有する点において、
図11に示すMCI推定システム102と相違する。その他の
図12に示すMCI推定システム102の構成は、
図11に示すMCI推定システム102の構成と同様としてもよいので、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0088】
属性情報入力部11は、被験者の属性情報1を入力データとして受け付け可能に構成される。センサデータ入力部12は、センサ装置200から提供されたセンサデータ2を入力データとして受け付け可能に構成される。なお、
図12に示すMCI推定システム102aの属性情報入力部11及びセンサデータ入力部12は、
図2に示すMCI推定システム101aの属性情報入力部11及びセンサデータ入力部12と同様に構成されてもよい。
【0089】
データ加工部15は、データ入力部10に提供された属性情報1とセンサデータ2を加工することにより、被験者のMCI判定に用いられるデータを生成するように構成される。データ加工部15は、行動情報変換部16と、データ統合部17と、データクレンジング部18とを有する。
行動情報変換部16は、センサデータ2に含まれる行動状況を表すデータに基づいて被験者の行動情報3を算出するように構成される。データ統合部17は、被験者の属性情報1と、被験者の行動情報3の少なくとも一部とから、MCI推定部30において利用されるデータを統合することにより、データセットを作成するように構成される。データクレンジング部18は、データセットに含まれるデータの重複や誤記などのエラーを検出し、検出されたエラーの削除あるいは修正するように構成される。なお、
図12に示すMCI推定システム102aのデータ加工部15は、
図2に示すMCI推定システム101aのデータ加工部15と同様に構成されてもよい。
【0090】
表示部70は、ユーザインタフェース80を表示可能に構成される。
ユーザインタフェース80は、行動情報3を表示可能な領域である第1コンポーネント81と、属性情報1を表示可能な領域である第2コンポーネント82と、MCI推定部30で推定された軽度認知障害に該当する確率を表示可能な領域である第3コンポーネント83とを含んでもよい。第1コンポーネント81は、推定行動情報4を表示可能であってもよい。また、MCI推定部30が第1時点において被験者が軽度認知障害に該当する確率を算出するように構成されている場合、第3コンポーネント83は、第1時点における軽度認知障害に該当する確率を表示するように構成されてもよい。
【0091】
次に、
図12に示すMCI推定システム102aにより実行される軽度認知障害の推定方法について、
図13に示すフロー図を参照しながら説明する。
図13は、
図12に示すMCI推定システムにより実行される軽度認知障害の推定方法の処理を例示するフロー図である。
【0092】
MCI推定システム102aにより実行される軽度認知障害の推定方法は、一例として、
図13に例示するように、属性情報1の入力を受け付ける処理(ステップS11)、センサデータ2の入力を受け付ける処理(ステップS12)、行動情報3を算出する処理(ステップS13)、属性情報1と行動情報3を統合してデータセットを作成する処理(ステップS14)、データをクレンジングする処理(ステップS15)、推定行動情報を生成する処理(ステップS30)、軽度認知障害に該当する確率を推定する処理(ステップS31)、推定結果を出力する処理(ステップS32)を含んでもよい。なお、上記処理とは別に、センサ装置200により、センサデータの取得処理(ステップS10)が実行されてもよい。
【0093】
被験者の属性情報1が、MCI推定システム102aに提供される(ステップS11)。属性情報1には、ある時点(第1時点)における被験者の属性情報が含まれてもよい。
センサ装置200において取得されたセンサデータ2が、MCI推定システム102aに提供される(ステップS12)。提供されるセンサデータには、例えば、ある時点(第1時点)以前において取得されたデータが含まれてもよい。
【0094】
MCI推定システム102a(具体的には、行動情報変換部16)は、提供されたセンサデータ2に基づいて第1時点における行動情報3を算出する(ステップS13)。MCI推定システム102a(具体的には、データ統合部17)は、第1時点の属性情報1と行動情報3とを統合して、データセットを作成する(ステップS14)。
MCI推定システム102a(具体的には、データクレンジング部18)は、データセットに含まれるデータの重複や誤記などのエラーを削除あるいは修正することで、データをクレンジングする(ステップS15)。なお、以上のステップS11からステップS15までの処理は、
図3に示すMCI推定システム101aにより実行される軽度認知障害の推定方法と同様としてもよい。
【0095】
MCI推定システム102a(具体的には、行動情報シミュレータ40)は、推定行動情報を生成する(ステップS30)。具体的には、行動情報シミュレータ40は、例えば、第1時点における被験者の属性情報1と、行動情報3とを、モデル記憶部20に記憶された第2推定モデル22に適用することで、第2時点における被験者の推定行動情報4を推定してもよい。推定行動情報4は、第1時点における行動情報から推定された、第1時点よりも後の時点(将来の時点)である第2時点における行動情報である。
【0096】
MCI推定システム102a(具体的には、MCI推定部30)は、第2時点において、被験者が軽度認知障害に該当する確率を推定する。具体的には、MCI推定部30は、第2時点における被験者の属性情報と、行動情報シミュレータ40において推定された被験者の推定行動情報4とを、モデル記憶部20に記憶された第1推定モデル21に適用することにより、当該被験者が第2時点において軽度認知障害に該当する確率を推定する(ステップS31)。
属性情報が時間の経過により変わる情報である場合(例えば、年齢等)、第2時点における被験者の属性情報として、第1時点における被験者の属性情報1に基づいてMCI推定部30により算出された値が使用されてもよい。一方、属性情報が時系列で変わらない情報である場合、第2時点における被験者の属性情報として、第1時点における被験者の属性情報1が使用されてもよい。MCI推定部30は、更に、第1時点における被験者の属性情報1と、行動情報3とを、第1推定モデル21に適用することで、第1時点における被験者が軽度認知障害に該当する確率を算出してもよい。
【0097】
また、MCI推定部30は、ステップS31において推定された確率に基づいて、被験者が軽度認知障害に該当するか否かを推定してもよい。例えば、MCI推定システム102aは、ステップS31において推定された軽度認知障害に該当する確率と、特定の閾値(例えば、特定のカットオフ値)と、を比較することにより、当該被験者が軽度認知障害であるか否かを推定してもよい。推定された軽度認知障害に該当する確率は、表示部70に送られてもよい。
【0098】
MCI推定システム102a(具体的には、表示部70)は、推定結果を出力する(ステップS32)。推定結果は、軽度認知障害に該当する確率もしくはこの確率から導出された結果(例えば、被験者が、軽度認知障害に該当するか否か等)を含んでもよい。
【0099】
次に、
図12に示すMCI推定システム102aの表示部70に表示される情報について
図14を参照しながら説明する。
図14は、
図13に示すMCI推定システムの処理により表示可能なインタフェースの一例を示す説明図である。
【0100】
図14に例示するように、ユーザインタフェース80cの第1コンポーネント81cには、行動情報3についてある時点のデータ(第1時点の行動情報3)と、その時点より後の時点のデータ(第2時点の推定行動情報4)が表示されてもよい。
図14に示す具体例の場合、行動情報3及び推定行動情報4は、「歩行」、「睡眠」、「会話」に関する情報であり、例えば、これらの実行時間であってもよい。
図14に示す具体例では、第1時点における行動情報3は「現行」、第2時点における推定行動情報4は、「1年後」、「2年後」、「3年後」、「4年後」と表示されている。
【0101】
第2コンポーネント82cには、第1時点における属性情報1と、第2時点における属性情報1とが表示されてもよい。
図14に示す具体例の場合、属性情報1は、「飲酒」、「喫煙」、「高血圧」に関する情報が表示されている。
図14に示す具体例では、第1時点における属性情報1は「現行」、第2時点における属性情報1は、「1年後」、「2年後」、「3年後」、「4年後」と表示されている。なお、第2時点における属性情報1については、第1時点における属性情報がそのまま表示されてもよく、一部を変更した属性情報1が表示されてもよい。
図14に示す具体例の場合、「1年後」、「2年後」、「3年後」、「4年後」の変化値として、例えば、別途被験者が入力した各年後の予測値等が表示されてもよい。第2時点における属性情報1が変更された場合、変更された属性情報1を用いて、被験者が軽度認知障害に該当する確率が改めて算出されてもよい。このような構成は、例えば、ユーザインタフェース80gに設定されたデータが、表示部70を介してMCI推定システム102aに提供されることにより適宜実現可能である。
【0102】
第3コンポーネント83cには、横軸に時系列が設定され、縦軸に軽度認知障害に該当する確率が設定されたグラフが表示されてもよい。即ちMCI推定システム102aは、例えば、複数の第2の時点(例えば、1年後、2年後、3年後、4年後等)について上記説明した処理を実行することで、軽度認知障害に該当する確率の変化を表示することが可能である。
【0103】
以上説明したMCI推定システム102、102aは、第2推定モデル22と、行動情報シミュレータ40とを備える。これにより、MCI推定システム102、102aは、被験者の属性情報1と、特定時点(第1時点)の被験者の行動情報3とから、特定時点よりも後の時点(第2時点)における当該被験者の推定行動情報4を推定することができる。これにより、MCI推定システム102、102aは、特定時点よりも後の時点において被験者が軽度認知障害に該当する可能性を推定することができる。
【0104】
図15は、本開示の更に他の一実施形態に係るMCI推定システムの機能的な構成を例示するブロック図である。
図15に例示する構成において、MCI推定システム103は、データ入力部10と、モデル記憶部20と、MCI推定部30と、を有する。モデル記憶部20は第1推定モデル21と、第3推定モデル23とが記憶される。また、MCI推定部30は、軽度認知障害確率推定部(以下、「MCI確率推定部」と記載することがある)31と、アルツハイマー型軽度認知障害確率推定部(以下、「AD型MCI確率推定部」と記載することがある)32とを有する。
図15に示すMCI推定システム102は、モデル記憶部20が第3推定モデル23を記憶可能とされている点と、MCI推定部30がMCI確率推定部31と、AD型MCI確率推定部32とを有する点において、
図1に示すMCI推定システム101と相違する。その他の
図15に示すMCI推定システム102の構成は、
図1に示すMCI推定システム101の構成と同様としてもよいので、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0105】
第3推定モデル23は、データ入力部10に入力データとして与えられた被験者の属性情報と、被験者の行動情報とから、当該被験者に関するAD型軽度認知障害の推定に使用可能な情報を生成可能なモデルを含んでもよい。具体的には、第3推定モデル23は、例えば、被験者の属性情報と、被験者の行動情報とから、AD型軽度認知障害の推定に使用可能な情報として、当該被験者がAD型軽度認知障害に該当する確率を推定するモデルを含んでもよい。 第3推定モデル23は、また、例えば、データ入力部10に入力データとして与えられた被験者の属性情報と、被験者の行動情報とから、AD型軽度認知障害の推定に使用可能な情報として、当該被験者がAD型軽度認知障害に該当する可能性を段階的に表す情報(数値、記号、符号、それらの組み合わせ等)を生成するモデルを含んでもよい。
以下、説明の便宜上、特定の被験者に関する軽度認知障害の推定に使用可能な情報の具体例として、当該被験者が軽度認知障害に該当する確率が例示されるが、本開示に係る技術はこれに限定されない。
【0106】
第3推定モデル23に含まれるモデルは、具体的には、例えば、データ提供者の属性情報と、行動情報と、当該データ提供者がAD型軽度認知障害に該当するか否かを表すラベル情報と、を少なくとも含むデータセットに基づいて作成(学習)されてもよい。すなわち、係るモデルは、このデータセットに含まれる属性情報と、行動情報とを説明変数とし、AD型軽度認知障害に該当するか否かを表すラベル情報を目的変数として用いる分析処理により作成されてもよい。
これにより、MCI推定システム101は、被験者の属性情報と、被験者の行動情報と、第3推定モデル23とを用いることで、被験者に関するAD型軽度認知障害の推定に使用可能な情報(例えば、被験者が軽度認知障害に該当する確率)を推定することができる。なお、第3推定モデル23を作成する際に用いられる分析の手法は特に制限されず、例えば、上記説明した第1推定モデル21、第2推定モデル22などと同様の方法が採用されてもよい。具体的には、第3推定モデル23は、例えば、二項ロジスティック回帰分析、サポートベクタマシーン(SVM)回帰分析、ランダムフォレスト回帰分析、ニューラルネットワーク等を用いて作成されてもよい。
【0107】
第3推定モデル23のデータ提供者には、健常者と、AD型軽度認知障害に該当する者と、非AD型軽度認知障害に該当する者と、の少なくともいずれかが含まれてもよい。典型的には、第3推定モデル23は、健常者と、AD型軽度認知障害に該当する者と、非AD型軽度認知障害に該当する者と、を含む複数のデータ提供者から提供されたデータを用いて作成されてもよい。また、第3推定モデル23は、健常者と、AD型軽度認知障害に該当する者と、を含む複数のデータ提供者から提供されたデータを用いて作成されてもよい。また、第3推定モデル23は、AD型軽度認知障害に該当する者と、非AD型軽度認知障害に該当する者と、を含む複数のデータ提供者から提供されたデータを用いて作成されてもよい。
【0108】
MCI確率推定部31は、データ入力部10に入力された被験者の属性情報と、センサデータに含まれる行動状況を表すデータに基づいて算出された被験者の行動情報と、第1推定モデル21と、を用いて、当該被験者に関する軽度認知障害の推定に使用可能な情報(例えば、被験者が軽度認知障害に該当する確率)を算出するように構成される。MCI推定システム103は、例えば、この確率により、被験者が軽度認知障害に該当する可能性を推定することができる。MCI確率推定部31は、
図1に示すMCI推定システム101におけるMCI推定部30と実質的に同様に構成されてもよい。
なお、MCI確率推定部31は、例えば、被験者が非AD型の軽度認知障害に該当する確率を算出するよう構成されてもよく、被験者がAD型か否かによらず軽度認知障害に該当する確率を算出するよう構成されてもよい。これは、第1推定モデル21を作成する際に用いられるデータを適宜調整することで実現可能である。この場合、例えば、第1推定モデル21を作成する際に用いられるデータについて、AD型の軽度認知障害と、それ以外とを分類するようなラベルが予め付与されてもよい。
【0109】
AD型MCI確率推定部32は、データ入力部10に入力された被験者の属性情報と、センサデータに含まれる行動状況を表すデータに基づいて算出された被験者の行動情報と、第3推定モデル23とを用いて、当該被験者に関するAD型軽度認知障害の推定に使用可能な情報(例えば、被験者がAD型軽度認知障害に該当する確率)を算出するように構成される。
【0110】
図16は、
図15に示すMCI推定システムの他の機能的な構成を例示するブロック図である。
図16に示すMCI推定システム103aは、データ入力部10が、属性情報入力部11とセンサデータ入力部12を有する点、データ加工部15を有する点と、表示部70を有する点において、
図15に示すMCI推定システム103と相違する。その他の
図16に示すMCI推定システム103aの構成は、
図15に示すMCI推定システム103の構成と同様としてもよいので、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0111】
属性情報入力部11は、被験者の属性情報1を入力データとして受け付け可能に構成される。センサデータ入力部12は、センサ装置200から提供されたセンサデータ2を入力データとして受け付け可能に構成される。なお、
図16に示すMCI推定システム103aの属性情報入力部11及びセンサデータ入力部12は、
図2に示すMCI推定システム101aの属性情報入力部11及びセンサデータ入力部12と同様に構成されてもよい。
【0112】
データ加工部15は、データ入力部10に提供された属性情報1とセンサデータ2を加工することにより、被験者のMCI判定に用いられるデータを生成するように構成される。データ加工部15は、行動情報変換部16と、データ統合部17と、データクレンジング部18とを有する。
行動情報変換部16は、センサデータ2に含まれる行動状況を表すデータに基づいて被験者の行動情報3を算出するように構成される。データ統合部17は、被験者の属性情報1と、被験者の行動情報3との少なくとも一部から、MCI推定部30において利用されるデータを統合することにより、データセットを作成するように構成される。データクレンジング部18は、データセットに含まれるデータの重複や誤記などのエラーを検出し、検出されたエラーの削除あるいは修正するように構成される。なお、
図16に示すMCI推定システム103aのデータ加工部15は、
図2に示すMCI推定システム101aのデータ加工部15と同様に構成されてもよい。
【0113】
表示部70は、ユーザインタフェース80を表示可能に構成される。
ユーザインタフェース80は、第1コンポーネント81と、第2コンポーネント82と、第3コンポーネント83とを含んでもよい。第1コンポーネント81は、被験者の行動情報3を表示可能な領域であってもよい。第1コンポーネント81は、推定行動情報4を表示可能であってもよい。第2コンポーネント82は、被験者の属性情報1を表示可能な領域であってもよい。第3コンポーネント83は、MCI推定部30で推定された、被験者が軽度認知障害に該当する確率、及び、AD型軽度認知障害に該当する確率を表示可能な領域であってもよい。
【0114】
次に、
図16に示すMCI推定システム103aにより実行される軽度認知障害の推定方法について、
図17に示すフロー図を参照しながら説明する。
図17は、
図16に示すMCI推定システム103aにより実行される軽度認知障害の推定方法の処理を例示するフロー図である。
【0115】
MCI推定システム103aにより実行される軽度認知障害の推定方法は、一例として、
図17に例示するように、属性情報1の入力を受け付ける処理(ステップS11)、センサデータ2の入力を受け付ける処理(ステップS12)、行動情報3を算出する処理(ステップS13)、被験者の属性情報1と、被験者の行動情報3とを統合してデータセットを作成する処理(ステップS14)、データをクレンジングする処理(ステップS15)、軽度認知障害に該当する確率を推定する処理(ステップS40)、軽度認知障害と推定されるかを判定する処理(ステップS41)、AD型軽度認知障害に該当する確率を推定する処理(ステップS42)、推定結果を出力する処理(ステップS43)を含んでもよい。なお、上記処理とは別に、センサ装置200により、センサデータの取得処理(ステップS10)が実行されてもよい。
【0116】
ある被験者の属性情報1が、MCI推定システム103aに提供される(ステップS11)。また、センサ装置200において取得されたセンサデータ2が、MCI推定システム103aに提供される(ステップS12)。
【0117】
MCI推定システム103a(具体的には、行動情報変換部16)は、センサデータ2に基づいて被験者の行動情報3を算出する(ステップS13)。MCI推定システム103a(具体的には、データ統合部17)は、被験者の属性情報1と、被験者の行動情報3とを統合して、データセットを作成する(ステップS14)。MCI推定システム103a(具体的には、データクレンジング部18)は、データセットに含まれるデータの重複や誤記などのエラーを削除あるいは修正することで、データをクレンジングする(ステップS15)。なお、以上のステップS11からステップS15までの処理は、
図3に示すMCI推定システム101aにおいて実行される軽度認知障害の推定方法と同様としてもよい。
【0118】
MCI推定システム103a(具体的には、MCI確率推定部31)は、被験者が軽度認知障害に該当する確率を推定する(ステップS40)。具体的には、MCI確率推定部31は、データセットに含まれる被験者の属性情報1と、被験者の行動情報3とを、モデル記憶部20に記憶された第1推定モデル21に適用することで、被験者が軽度認知障害に該当する確率を推定する。
【0119】
次に、MCI推定システム103a(具体的には、MCI推定部30)は、被験者の軽度認知障害に該当する確率に基づいて、被験者が軽度認知障害と推定されるか否かを判定する(ステップS41)。
【0120】
被験者が軽度認知障害と推定される場合(ステップS41においてYES)、MCI推定システム103a(具体的には、AD型MCI確率推定部32)は、被験者がAD型軽度認知障害に該当する確率を推定してもよい(ステップS42)。具体的には、AD型MCI確率推定部32は、データセットに含まれる被験者の属性情報1と、被験者の行動情報3とを、第3推定モデル23に適用することで、AD型軽度認知障害に該当する確率を推定する。
【0121】
MCI推定システム103a(具体的には、MCI推定部30)は、被験者の軽度認知障害に該当する確率を表示部70に提供する。なお、被験者が軽度認知障害と推定される場合(ステップS41においてYES)、MCI推定部30は、被験者がAD型軽度認知障害に該当する確率を表示部70に提供してもよい。
【0122】
MCI推定システム103a(具体的には、表示部70)は、推定結果を出力する(ステップS43)。表示される推定結果には、被験者が軽度認知障害に該当する確率、被験者がAD型軽度認知障害に該当する確率、あるいはこれらの確率から導出された結果(例えば、被験者が、軽度認知障害に該当するか否か、等)が含まれてもよい。
なお、上記に限定されず、MCI推定システム102aは、例えば、ステップS40の処理に先立ってステップS42の処理を実行してもよく、ステップS40の処理と、ステップS42の処理とを併せて実行してもよい。
【0123】
次に、
図16に示すMCI推定システム103aの表示部70により表示される情報について
図18を参照しながら説明する。
図18は、
図17に示すMCI推定システム103aの処理により表示可能なユーザインタフェース80dの一例を示す説明図である。
【0124】
図18に例示するように、ユーザインタフェース80dの第1コンポーネント81dには、行動情報3が表示されてもよい。
図18に示す具体例の場合、第1コンポーネント81dには、ある特定時点(
図18においては「現行」と表示されている)での「歩行」、「睡眠」、「会話」に関する情報(例えば、これらの実行時間)などが表示されている。
第2コンポーネント82dには、属性情報1が表示されてもよい。
図18に示す具体例の場合、ある特定時間(
図18においては「現行」と表示されている)での「飲酒」、「喫煙」、「高血圧」に関する情報が表示されている。
第3コンポーネント83dには、被験者が軽度認知障害に該当する確率が表示されてもよい。また、第3コンポーネント83aには、被験者がAD型軽度認知障害に該当する確率とが表示されてもよい。
【0125】
以上説明したMCI推定システム103、103aは、第3推定モデル23と、AD型MCI確率推定部32とを備えることから、例えば、被験者がAD型軽度認知障害に該当するか否かを推定することができる。なお、MCI推定システム103、103aにおいて、第1推定モデル21と第3推定モデル23を組み合わせたモデルを用いてもよい。すなわち、健常者と、AD型軽度認知障害に該当する者と、非AD型軽度認知障害に該当する者とを含むデータ提供者の属性情報と、これらのデータ提供者から取得された行動情報とを説明変数とし、健常とAD型軽度認知障害と非AD型軽度認知障害とを表すカテゴリを目的変数とした分析処理により作成されたモデルを用いてもよい。このモデルを用いることによって、被験者が、健常、AD型軽度認知障害、非AD型軽度認知障害のいずれに該当するかを一つのステップで推定することができる。
【0126】
次に、本開示の一実施形態に係る軽度認知障害シミュレーションシステム(以下、「MCIシミュレーションシステム」と記載することがある)について説明する。MCIシミュレーションシステムは、例えば、被験者の行動情報の少なくとも一部を変えた場合の、軽度認知障害の発生リスクの予測や、軽度認知障害の発生リスクに影響する行動の提示が可能なシステムである。
【0127】
図19は、本開示の一実施形態に係るMCIシミュレーションシステムの機能的な構成を例示するブロック図である。
図19に例示する構成において、MCIシミュレーションシステム111は、データ入力部10と、第1推定モデル21を記憶するモデル記憶部20と、疑似行動情報生成部50と、MCIシミュレータ60とを有する。モデル記憶部20は、データを記憶可能な記憶部(記憶装置)である。モデル記憶部20を実現可能な記憶装置の構成は、特に限定されない。
図19に示すMCIシミュレーションシステム111は、疑似行動情報生成部50と、MCIシミュレータ60とを有する点とにおいて、
図1に示すMCI推定システム101と相違する。その他の
図19に示すMCIシミュレーションシステム111の構成は、
図11に示すMCI推定システム102の構成と同様としてもよいので、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0128】
疑似行動情報生成部50は、センサデータに基づいて算出された行動情報の少なくとも一部を加工することで、仮想の行動を表す疑似行動情報を生成する。
疑似行動情報生成部50は、例えば、複数の異なる行動情報を生成することで、疑似行動情報セットを作成するように構成されてもよい。疑似行動情報生成部50は、例えば、被験者に関する少なくとも一部の行動情報について、ある基準値を設定し、当該基準値をある差分ずつ増加または減少させた疑似行動情報を生成することで、一連の疑似行動情報セットを作成してもよい。基準値としては、例えば、あるタイミングにおける行動情報の値が選択されてもよい。基準値に対する差分の値は、行動情報に応じて適宜設定されてもよい。
【0129】
具体例として、行動情報が睡眠時間である場合を想定する。センサデータに基づいて、あるタイミングにおける睡眠時間が8時間と算出された場合、疑似行動情報生成部50はその睡眠時間(8時間)を基準値として設定し、基準値からの差分として1時間ずつ睡眠時間を増やした疑似行動情報(この場合は、例えば、9時間、10時間、11時間、など)を生成してもよい。また、疑似行動情報生成部50は基準値から1時間ずつ睡眠時間を減らした疑似行動情報(この場合は、例えば、7時間、6時間、5時間など)を生成してもよい。これにより、疑似行動情報生成部50は、睡眠時間に関して、例えば、複数の時間(5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間)を含む疑似行動情報セットを生成してもよい。
【0130】
他の具体例として、行動情報が会話時間である場合を想定する。センサデータに基づいて、あるタイミングにおける会話時間が4時間と算出された場合、疑似行動情報生成部50は、その会話時間(4時間)を基準値として設定し、差分として30分(0.5時間)ずつ会話時間を増やした疑似行動情報(この場合は、例えば、4時間30分、5時間、5時間30分など)を生成してもよい。また、疑似行動情報生成部50は、会話時間を30分ずつ減らした疑似行動情報(この場合は、例えば、3時間30分、3時間、2時間30分など)を生成してもよい。これにより、疑似行動情報生成部50は、会話時間に関して、例えば、複数の時間(2時間30分、3時間、3時間30分、4時間、4時間30分、5時間、5時間30分)を含む疑似行動情報セットを生成してもよい。
【0131】
更に他の具体例として、行動情報が歩行時間である場合を想定する。センサデータに基づいて、あるタイミングにおける歩行時間が1時間と算出された場合、疑似行動情報生成部50は、その歩行時間(1時間)を基準値として設定し、差分として15分ずつ歩行時間を増やした疑似行動情報(この場合は、例えば、1時間15分、1時間30分、1時間45分、など)を生成してもよい。また、疑似行動情報生成部50は歩行時間を15分ずつ減らした疑似行動情報(この場合は、例えば、45分、30分、15分など)を生成してもよい。これにより、疑似行動情報生成部50は、歩行時間に関して、例えば、複数の時間(15分、30分、45分、1時間、1時間15分、1時間30分、1時間45分)を含む疑似行動情報セットを生成してもよい。
【0132】
また、疑似行動情報生成部50は、被験者に関する少なくとも一部の行動情報について、ある基準値を設定し、その基準値に対してランダムな数値を加減した疑似行動情報を生成することで、一連の疑似行動情報セットを作成してもよい。ランダムな数値の範囲は、例えば、行動情報に応じて適宜設定されてもよい。疑似行動情報生成部50は、一例として、生成される疑似行動情報が、ある基準値の0.5倍から1.5倍の範囲に収まるように、ランダムな数値を選択してもよい。
【0133】
MCIシミュレータ60は、被験者の属性情報と、疑似行動情報生成部50において作成された被験者の疑似行動情報とを第1推定モデルに適用することで、疑似行動情報により表される仮想の行動を実行した場合に、被験者が軽度認知障害に該当する確率(第1の確率)を推定するように構成される。この場合、MCIシミュレータ60は、疑似行動情報セットに含まれるそれぞれの疑似行動情報について第1の確率を推定してもよい。
【0134】
MCIシミュレータ60は、被験者の属性情報と、被験者の行動情報とを第1推定モデルに適用することで、センサデータに基づいて算出された行動情報により表される行動を被験者が実行した場合に、その被験者が軽度認知障害に該当する確率(第2の確率)を推定するように構成されてもよい。また、MCIシミュレータ60は、第1の確率と、第2の確率とを比較することで、第1の確率が第2の確率よりも低い疑似行動情報を選択し、その疑似行動情報を、被験者が軽度認知障害に該当する確率を低減可能な行動の候補として含む改善行動情報を生成してもよい。
【0135】
上記説明したように、第2の確率は、センサデータに基づいて求められた、被験者の実際の行動を表すと推認される行動情報を用いて算出される。一方、第1の確率は、被験者の実際の行動を表すと推認される行動情報を適宜加工することにより求められた、仮想の行動を表す疑似行動情報を用いて算出される。
第1の確率が第2の確率よりも低い場合、被験者が疑似行動情報により表される行動を採用することで、軽度認知障害に該当する確率が低減される可能性がある。即ち、上記のように生成された改善行動情報には、被験者が軽度認知障害に該当する確率を低減可能な行動情報の候補が含まれる。
一具体例として、行動情報に歩数が含まれることを想定する。センサデータより算出された被験者の実際の行動を表すと推認される行動情報(歩数)が、仮に、5000歩であると仮定する。これに対して、例えば、疑似行動として、複数の歩数(4600歩、4800歩、5000歩、5200歩、5400歩)を含む疑似行動情報セットが生成されたと仮定する。例えば、5200歩、5400歩の疑似行動情報について算出される第1の確率が、5000歩の行動情報について算出される第2の確率より低い場合、MCIシミュレータ60は、5200歩、5400歩を含む改善行動情報を生成することができる。この場合、例えば、被験者が、仮に歩数を5200歩や5400歩に変更する(増やす)ことで、軽度認知障害に該当する確率が低減される可能性がある。
【0136】
MCIシミュレータ60は、疑似行動情報セットに、第1の確率が第2の確率よりも低い疑似行動情報が複数含まれる場合、その複数の疑似行動情報から、第1の確率が特定の目標値よりも低い疑似行動情報を更に選択して改善行動情報を生成してもよい。目標値は適宜設定されてもよい。
一具体例として、行動情報に歩数が含まれ、疑似行動情報セットとして生成された複数の歩数(5000歩、5200歩、5400歩、5600歩)の疑似行動情報のうち、一部の歩数(5200歩、5400歩、5600歩)の疑似行動情報について算出される第1の確率が、第2の確率より低いと想定する。そのなかで、5600歩の疑似行動情報について算出される第1の確率のみが目標値よりも低い場合、MCIシミュレータ60は、歩数の疑似行動情報として(5600歩)を含む改善行動情報を生成する。これにより、MCIシミュレーションシステム111は、例えば、特定の改善目標を達成できる可能性がある行動の候補を提示することができる。
【0137】
また、疑似行動情報セットに、第1の確率が第2の確率よりも低い疑似行動情報が複数含まれる場合、MCIシミュレータ60は、その複数の疑似行動情報から、第1の確率が低い順に、特定数の疑似行動情報を更に選択して改善行動情報を生成してもよい。特定数は適宜設定されてもよい。
一具体例として、行動情報に歩数が含まれ、疑似行動情報セットとして生成された複数の歩数(5000歩、5200歩、5400歩、5600歩)の疑似行動情報のうち、一部の歩数(5200歩、5400歩、5600歩)の疑似行動情報について算出される第1の確率が、第2の確率より低いと想定する。仮に、第1の確率が、5400歩、5600歩、5200歩の順で低く、特定数が2(上位2つ)である場合、MCIシミュレータ60は、歩数の疑似行動情報として、5400歩、5600歩を含む改善行動情報を生成する。これにより、MCIシミュレーションシステム111は、例えば、軽度認知障害に該当する確率が低くなる順に、疑似行動情報を提示することができる。
【0138】
また、行動情報に、被験者に関する複数の異なる種類の行動状況を表す情報が含まれ、疑似行動情報セットに、第1の確率が第2の確率よりも低い疑似行動情報が複数含まれる場合、MCIシミュレータ60は、その複数の疑似行動情報から、第1の確率を低減可能な行動状況の種類が多い順に、特定数の疑似行動情報を更に選択して改善行動情報を生成してもよい。
一具体例として、(睡眠時間、会話時間、歩数)が行動情報に含まれる場合を想定する。この場合、MCIシミュレータ60は、第1の確率を低減可能な行動状況が1種類(例えば、睡眠時間のみ)である疑似行動情報よりも、第1の確率を低減可能な行動状況が2種類以上(例えば、睡眠時間と会話時間、睡眠時間と歩数、会話時間と歩数、等)の疑似行動情報を選択して、改善行動情報を生成してもよい。これにより、MCIシミュレーションシステム111は、例えば、軽度認知障害に該当する確率を低減するために採用可能な行動の候補のバリエーションを、より多く提示することができる。
【0139】
また、行動情報が被験者に関する複数の異なる種類の行動状況を表すデータを含み、疑似行動情報セットに、第1の確率が第2の確率よりも低く、かつ、共通の行動状況を表す情報を含む疑似行動情報の集合が複数含まれる場合、MCIシミュレータ60は、当該複数の集合のうち最大の集合を選択し、選択された集合に含まれる1以上の疑似行動情報について改善行動情報を生成してもよい。
例えば、疑似行動情報セットに、第1の確率を第2の確率よりも低減可能な行動状況として、歩数を共通に含む疑似行動情報の集合と、睡眠時間を共通に含む疑似行動情報の集合と、会話時間を共通に含む疑似行動情報の集合と、が含まれることを想定する。仮に、歩数を共通に含む疑似行動情報の集合が最大の集合である場合、MCIシミュレータ60は、その集合に含まれる疑似行動情報を選択して、改善行動情報を生成する。これにより、MCIシミュレーションシステム111は、例えば、被験者が軽度認知障害に該当する確率を低減可能な行動の候補を、より多く提示することができる。
【0140】
また、行動情報が被験者に関する複数の異なる種類の行動状況を表すデータを含み、疑似行動情報セットに、第1の確率が第2の確率よりも低く、かつ、共通の上記行動状況を表す情報を含む上記疑似行動情報の集合が複数含まれる場合、上記MCIシミュレータ60は、疑似行動情報の集合ごとに、その集合に含まれる各疑似行動情報について推定された上記第1の確率のばらつきを算出し、最もばらつきが小さい集合に含まれる1以上の疑似行動情報について改善行動情報を生成してもよい。
【0141】
さらに、MCIシミュレータ60は、第1の確率と、第2の確率とを比較することで、複数の疑似行動情報のうち、第1の確率が第2の確率よりも高くなる疑似行動情報を選択してもよい。そして、MCIシミュレータ60は、被験者が軽度認知障害に該当する確率を高くする可能性がある行動の候補として、選択された疑似行動情報を含む悪化行動情報を生成してもよい。これにより、MCIシミュレーションシステム111は、例えば、軽度認知障害に該当する確率が悪化する可能性がある行動の候補を提示することができる。MCIシミュレーションシステム111を利用する被験者は、例えば、軽度認知障害に該当する確率が悪化するリスクがある行動を理解して、その行動を回避することが可能となる。
【0142】
MCIシミュレータ60は、疑似行動情報セットに、第1の確率が第2の確率よりも高い疑似行動情報が複数含まれる場合、その複数の疑似行動情報から、第1の確率が特定の目標値よりも高い疑似行動情報を更に選択して悪化行動情報を生成してもよい。
さらに、行動情報が被験者に関する複数の異なる種類の行動状況を表すデータを含み、疑似行動情報セットに、上記第1の確率が上記第2の確率よりも高い上記疑似行動情報が複数含まれる場合を想定する。この場合、MCIシミュレータ60は、その複数の上記疑似行動情報から、含まれる行動状況を表す情報の種類が多い順に、特定数の上記疑似行動情報を更に選択して悪化行動情報を生成してもよい。これにより、MCIシミュレーションシステム111は、例えば、軽度認知障害に該当する確率の悪化を防ぐために、被験者が回避すべき行動の候補のバリエーションを、より多く提示することができる。
【0143】
図20は、
図19に示すMCIシミュレーションシステムの他の機能的な構成を例示するブロック図である。
図20に示すMCIシミュレーションシステム111aは、データ入力部10が、属性情報入力部11とセンサデータ入力部12を有する点、データ加工部15を有する点と、表示部70を有する点において、
図19に示すMCIシミュレーションシステム111と相違する。その他の
図20に示すMCIシミュレーションシステム111aの構成は、
図19に示すMCIシミュレーションシステム111の構成と同様としてもよいので、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0144】
属性情報入力部11は、被験者の属性情報1を入力データとして受け付け可能に構成される。センサデータ入力部12は、センサ装置200から提供されたセンサデータ2を入力データとして受け付け可能に構成される。なお、
図20に示すMCIシミュレーションシステム111aの属性情報入力部11及びセンサデータ入力部12は、
図2に示すMCI推定システム101aの属性情報入力部11及びセンサデータ入力部12と同様に構成されてもよい。
【0145】
データ加工部15は、データ入力部10に提供された属性情報1と、センサデータ2とを加工することにより、被験者のMCI判定に用いられるデータを生成するように構成される。データ加工部15は、行動情報変換部16と、データ統合部17と、データクレンジング部18とを有する。
行動情報変換部16は、センサデータ2に含まれる行動状況を表すデータに基づいて被験者の行動情報3を算出するように構成される。データ統合部17は、被験者の属性情報1と、被験者の行動情報3の少なくとも一部から、疑似行動情報生成部50において利用されるデータを統合することにより、データセットを作成するように構成される。データクレンジング部18は、データセットに含まれるデータの重複や誤記などのエラーを検出し、検出されたエラーの削除あるいは修正するように構成される。なお、
図20に示すMCIシミュレーションシステム111aのデータ加工部15は、
図2に示すMCI推定システム101aのデータ加工部15と同様に構成されてもよい。
【0146】
表示部70は、ユーザインタフェース80を表示可能に構成される。
ユーザインタフェース80は、被験者の行動情報3と、疑似行動情報生成部50にて作成された疑似行動情報5とを表示可能な領域である第1コンポーネント81を含んでもよい。ユーザインタフェース80は、また、被験者の属性情報1を表示可能な領域である第2コンポーネント82を含んでもよい。ユーザインタフェース80は、また、MCIシミュレータ60により推定された確率(第1の確率、第2の確率)を表示可能な領域である第3コンポーネント83を含んでもよい。
第1コンポーネント81は、推定行動情報4を表示可能であってもよい。また、MCIシミュレータ60が改善行動情報や悪化行動情報を生成する場合は、第3コンポーネント83は、これらを表示可能に構成されてもよい。
【0147】
次に、
図20に示すMCIシミュレーションシステム111aにより実行されるMCIシミュレーションについて、フロー図を参照しながら説明する。
図21は、
図20に示すMCIシミュレーションシステムにより実行されるMCIシミュレーションの処理を例示するフロー図である。
【0148】
MCIシミュレーションシステム111aにおいて実行されるMCIシミュレーションは、一例として、
図20に例示するように、属性情報1の入力を受け付ける処理(ステップS11)、センサデータ2の入力を受け付ける処理(ステップS12)、行動情報3を算出する処理(ステップS13)、属性情報1と行動情報3を統合してデータセットを作成する処理(ステップS14)、データをクレンジングする処理(ステップS15)、疑似行動情報5を生成する処理(ステップS50)、軽度認知障害に該当する確率(第1の確率)を推定する処理(ステップS51)、推定結果を出力する処理(ステップS52)を含んでもよい。なお、上記処理とは別に、センサ装置200により、センサデータの取得処理(ステップS10)が実行されてもよい。
【0149】
ある時点における被験者の属性情報1が、MCIシミュレーションシステム111aに提供される(ステップS11)。また、センサ装置200において取得されたセンサデータ2が、MCIシミュレーションシステム111aに提供される(ステップS12)。
【0150】
MCIシミュレーションシステム111a(具体的には、行動情報変換部16)は、センサデータ2に基づいて行動情報3を算出する(ステップS13)。MCIシミュレーションシステム111a(具体的には、データ統合部17)は、属性情報1と行動情報3とを統合して、データセットを作成する(ステップS14)。MCIシミュレーションシステム111a(具体的には、データクレンジング部18)は、データセットに含まれるデータの重複や誤記などのエラーを削除あるいは修正することで、データをクレンジングする(ステップS15)。なお、以上のステップS11からステップS15までの処理は、
図3に示す、MCI推定システム101aにおいて実行される軽度認知障害の推定方法と同様としてもよい。
【0151】
MCIシミュレーションシステム111a(具体的には、疑似行動情報生成部50)は、被験者に関する疑似行動情報を生成する。具体的には、疑似行動情報生成部50は、データセットに含まれる行動情報3の少なくとも一部を加工することで、仮想の行動を表す疑似行動情報5を生成する(ステップS50)。これによって、属性情報1と疑似行動情報5とが統合されたデータセットが生成される。
【0152】
MCIシミュレーションシステム111a(具体的には、MCIシミュレータ60)は、疑似行動情報5により表される仮想の行動を実行した場合に、被験者が軽度認知障害に該当する確率(第1の確率)を推定する。具体的には、MCIシミュレータ60は、データセットに含まれる属性情報1と、疑似行動情報5とを、第1推定モデル21に適用することで、被験者が軽度認知障害に該当する確率を推定する(ステップS51)。これにより、MCIシミュレータ60は、被験者が、疑似行動情報5(より具体的には、疑似行動情報に含まれる仮想の行動状況を表す情報)に相当する行動を採用した場合に、軽度認知障害に該当する確率を推定することができる。
MCIシミュレータ60は、ステップS51において第1の確率に基づいて、被験者が軽度認知障害に該当するか否かを推定してもよい。例えば、MCIシミュレーションシステム111aは、ステップS51において第1の確率と、特定の閾値(例えば、特定のカットオフ値)と、を比較することにより、被験者が軽度認知障害であるか否かを推定してもよい。推定された軽度認知障害に該当する確率は、表示部70に送られてもよい。
【0153】
MCIシミュレーションシステム111a(具体的には、表示部70)は、推定結果を出力する(ステップS52)。MCIシミュレーションシステム111aは、第1の確率、あるいは、これらの確率から導出された結果(例えば、被験者が、軽度認知障害に該当するか否か等)を出力してもよい。
【0154】
図22は、
図21に示すフロー図のMCIシミュレーションの処理により表示可能なユーザインタフェースの一例を示す説明図である。
図22に例示するように、ユーザインタフェース80eの第1コンポーネント81eには、行動情報3が表示されてもよい。
図22に示す具体例においては、行動情報3として、例えば、実際のセンサデータから算出された「歩行」、「睡眠」、「会話」に関する情報(例えば、これらの行動の実行時間)が表示される。第1コンポーネント81eには、また、疑似行動情報として加工される数値の上限と下限とが表示されてもよい。この場合、例えば、上限と下限との間の範囲において、「歩行」、「睡眠」、「会話」の時間を適宜加工した疑似行動情報が生成されてもよい。
第2コンポーネント82eには、属性情報1が表示されてもよい。
図22に示す具体例においては、属性情報1として、「飲酒」、「喫煙」、「高血圧」に関する情報が表示されている。なお、属性情報1についても、例えば、上限と下限などの範囲が表示されてもよい。第3コンポーネント83eには、第1の確率が表示されてもよい。
【0155】
図23は、
図20に示すMCIシミュレーションシステムにより実行されるMCIシミュレーションの他の処理を例示するフロー図である。
図23に例示するMCIシミュレーションのフローは、軽度認知障害に該当する確率(第2の確率)を推定する処理(ステップS53)と、第1の確率と第2の確率とを比較する処理(ステップS54)とを有する点において、
図21に例示するMCIシミュレーションの処理と相違する。その他の
図23に示すMCIシミュレーションのフローは、
図21に示すMCIシミュレーションシステムの処理と同様としてもよいので、同一のステップ番号を付して、説明を省略する。
【0156】
MCIシミュレーションシステム111aは、
図23に示すステップS11からステップS15及びステップS50からステップS51を適宜実行する。
MCIシミュレーションシステム111a(具体的には、MCIシミュレータ60)は、センサデータに基づいて算出された行動情報に基づいて、被験者が軽度認知障害に該当する確率(第2の確率)を推定する(ステップS53)。具体的には、MCIシミュレータ60は、ステップS14で作成されたデータセットに含まれる属性情報1と、行動情報3とを、第1推定モデル21に適用することで、被験者が軽度認知障害に該当する確率を推定する。なお、第1の確率を推定する処理(ステップS50、ステップS51)と、第2の確率を推定する処理(ステップS53)とは、逐次処理されても、並列処理されてもよい。
【0157】
MCIシミュレーションシステム111a(具体的には、MCIシミュレータ60)は、第1の確率と第2の確率とを比較する(ステップS54)。具体的には、MCIシミュレータ60は、第1の確率と第2の確率とを比較して、第1の確率が第2の確率よりも低い疑似行動情報を選択する。MCIシミュレータ60は、この選択された疑似行動情報を、被験者が軽度認知障害に該当する確率を低減可能な行動の候補として含む改善行動情報を生成してもよい。また、MCIシミュレータ60は、例えば、第1の確率と第2の確率とを比較して、第1の確率が第2の確率よりも高くなる疑似行動情報を選択してもよい。そして、この選択された疑似行動情報を、被験者が軽度認知障害に該当する確率を高くする可能性がある行動の候補として含む、悪化行動情報を生成してもよい。
【0158】
MCIシミュレーションシステム111a(具体的には、表示部70)は、推定結果を出力する(ステップS55)。推定結果は、第1の確率と第2の確率、及び第1の確率と第2の確率との比較から導出された結果(例えば、改善行動情報、悪化行動情報等)であってもよい。また、MCIシミュレーションシステム111aは、改善行動情報と悪化行動情報との少なくとも一方を出力してもよい。
【0159】
図24は、
図23に示すフロー図のMCIシミュレーションの処理により表示可能なユーザインタフェースの一例を示す説明図である。
図24に例示するように、ユーザインタフェース80fの第1コンポーネント81fには、行動情報3(例えば、歩行時間、睡眠時間、会話時間)が表示されてもよい。第1コンポーネント81fには、また、疑似行動情報として加工される数値の上限と下限とが表示されてもよい。この場合、例えば、上限と下限との間の範囲において、「歩行」、「睡眠」、「会話」の時間を適宜加工した疑似行動情報が生成されてもよい。
第2コンポーネント82fには、属性情報1(
図24に示す具体例の場合、「飲酒」、「喫煙」、「高血圧」に関する情報)が表示されてもよい。なお、属性情報1についても、例えば、上限と下限などの範囲が表示されてもよい。この場合、MCIシミュレーションシステム111aのユーザが適宜それらを調整することで、属性情報が変わった場合に、被験者が軽度認知障害に該当する確率を算出可能であってもよい。このような構成は、例えば、ユーザインタフェース80fに設定されたデータが、表示部70を介してMCIシミュレーションシステム111aに提供されることで、適宜実現可能である。
また、第3コンポーネント83fには、第1の確率、第2の確率、改善行動情報、悪化行動情報が表示されてもよい。これにより、例えば、MCIシミュレーションシステム111aを利用する被験者は、軽度認知障害に該当するリスクが低減する可能性がある行動の候補、あるいは、リスクが増大する可能性がある行動の候補、を簡便に理解することが可能である。
【0160】
以上の実施形態のMCIシミュレーションシステム111、111aは、被験者の行動情報の少なくとも一部を変えたときに、被験者の軽度認知障害の発生リスクを推定することができる。また、実施形態のMCIシミュレーションシステム111、111aは、第1の確率と第2の確率とを比較することによって、軽度認知障害の発生リスクを低減可能な行動の候補を提示することができる。
【0161】
図25は、本開示の他の一実施形態に係るMCIシミュレーションシステムの機能的な構成を例示するブロック図である。
図25に例示する構成において、MCIシミュレーションシステム112は、データ入力部10と、モデル記憶部20と、行動情報シミュレータ40と、疑似行動情報生成部50と、MCIシミュレータ60と、を有する。モデル記憶部20は、第1推定モデル21と、第2推定モデル22とが記憶される。
図25に示すMCIシミュレーションシステム112は、モデル記憶部20が第2推定モデル22を記憶可能とされている点と、行動情報シミュレータ40とを有する点において、
図19に示すMCIシミュレーションシステム111と相違する。
図25にその他の示すMCIシミュレーションシステム112の構成は、
図19に示すMCIシミュレーションシステム111の構成と同様としてもよいので、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0162】
第2推定モデル22は、時系列の特定時点における被験者の属性情報と、被験者の行動情報とから、特定時点よりも後の時点における被験者の行動情報を推定可能なモデルを含んでもよい。具体的には、第2推定モデル22は、例えば、特定時点における被験者の属性情報と、被験者の行動情報とから、特定時点よりも後の時点における当該被験者の行動情報を推定するモデルを含んでもよい。行動情報は、例えば、睡眠時間、会話時間、歩行時間、UV照射時間、脈拍、皮膚温度、体温のうちの少なくとも一つの情報を含んでもよい。第2推定モデル22は、前述の
図11に示すMCI推定システム102において説明した第2推定モデル22と同様のモデルを用いてもよい。
【0163】
行動情報シミュレータ40は、時系列の第1時点における被験者に関する属性情報と、第1時点における行動情報を用いて疑似行動情報生成部50が生成した疑似行動情報と、を第2推定モデル22に適用することで、第1時点よりも後の第2時点における被験者の疑似行動情報を推定するように構成される。すなわち、行動情報シミュレータ40は、上記の行動情報が測定された第1時点における属性情報と行動情報と、第2推定モデル22とを用いて、将来(第1時点より後の第2時点)における被験者の疑似行動情報を推定するように構成される。
【0164】
MCIシミュレータ60は、第2時点における被験者に関する属性情報と、行動情報シミュレータ40により推定された第2時点における疑似行動情報と、を第1推定モデル21に適用することで、第2時点において被験者が推定された疑似行動を実行した場合に、その被験者が軽度認知障害に該当する第3の確率を推定するように構成される。MCIシミュレーションシステム112は、例えば、この第3の確率により、被験者が第1時点より後のある時点(第2時点)において、軽度認知障害に該当する可能性を推定することができる。
第2時点における被験者の属性情報が、年齢などの時間の経過に伴い変わる情報である場合、MCI推定部30は、第2時点における属性情報を、第1時点における属性情報に基づいて算出してもよい。一方、第2時点における被験者の属性情報が、性別、教育歴、既往歴、生活習慣年齢など、時間の経過によらず変わらない情報である場合、MCI推定部30は、第1時点における被験者の属性情報を第2時点における属性情報として用いてもよい。
【0165】
行動情報シミュレータ40は、時系列の第1時点における被験者の属性情報と、第1時点における被験者の行動情報とを第2推定モデルに適用して第1時点よりも後の第2時点における被験者の行動情報を推定することで、推定行動情報を生成してもよい。この場合、MCIシミュレータ60は、第2時点における被験者の属性情報と、行動情報シミュレータ40により推定された被験者の推定行動情報と、を第1推定モデルに適用することで、第2時点において当該被験者が軽度認知障害に該当する第4の確率を推定してもよい。
【0166】
以上説明したように、第1の確率は、疑似行動情報を用いることで推定された、第1時点において被験者が軽度認知障害に該当する確率を表す。疑似行動情報は、上記説明したように、センサデータに基づいて算出された行動情報の少なくとも一部を加工することで生成された、被験者の仮想の行動を表す情報である。
また、第2の確率は、行動情報を用いることで推定された、第1時点において被験者が軽度認知障害に該当する確率を表す。係る行動情報は、上記説明したように、センサデータに基づいて算出された被験者の実際の行動を表すと推認される情報である。
【0167】
また、第3の確率は、第1時点よりも後の第2時点における疑似行動情報を用いて推定された、第2時点において被験者が軽度認知障害に該当する確率を表す。第2の時点における疑似行動は、第1の時点における疑似行動から推定された、第2の時点における被験者の仮想の行動を表す情報である。
また、第4の確率は、第2時点における推定行動情報を用いることで推定された、第2時点において被験者が軽度認知障害に該当する確率を表す。推定行動情報は、第1時点における被験者の行動情報から推定された、第2時点における被験者の行動情報である。
【0168】
MCIシミュレータ60は、第3の確率と第4の確率とを比較することで、第3の確率が第4の確率よりも低い疑似行動情報を選択し、選択された疑似行動情報を、被験者が軽度認知障害に該当する確率を低減可能な行動の候補として含む改善行動情報を生成してもよい。第3の確率が第4の確率よりも低い場合、選択された疑似行動情報を実際に採用することで、第2の時点において被験者が度認知障害に該当する確率を低減できる可能性がある。
MCIシミュレータ60は、また、第3の確率と第4の確率とを比較することで、第3の確率が、第4の確率よりも高い疑似行動情報を選択し、選択された疑似行動情報に含まれる疑似行動情報を、被験者が軽度認知障害に該当する確率を高くする行動の候補として含む悪化行動情報を生成してもよい。
【0169】
図26は、
図25に示すMCIシミュレーションシステムの他の一例の機能的な構成を例示するブロック図である。
図26に示すMCIシミュレーションシステム112aは、データ入力部10が、属性情報入力部11とセンサデータ入力部12を有する点、データ加工部15を有する点と、表示部70を有する点において、
図25に示すMCIシミュレーションシステム112と相違する。
図26に示すその他のMCIシミュレーションシステム112aの構成は、
図25に示すMCIシミュレーションシステム112の構成と同様としてもよいので、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0170】
属性情報入力部11は、被験者の属性情報1を入力データとして受け付け可能に構成される。センサデータ入力部12は、センサ装置200から提供されたセンサデータ2を入力データとして受け付け可能に構成される。なお、
図26に示すMCIシミュレーションシステム112aの属性情報入力部11及びセンサデータ入力部12は、
図2に示すMCI推定システム101aの属性情報入力部11及びセンサデータ入力部12と同様に構成されてもよい。
【0171】
データ加工部15は、データ入力部10に提供された属性情報1とセンサデータ2を加工することにより、被験者のMCI判定に用いられるデータを生成するように構成される。データ加工部15は、行動情報変換部16と、データ統合部17と、データクレンジング部18とを有する。
行動情報変換部16は、センサデータ2に含まれる行動状況を表すデータに基づいて被験者の行動情報3を算出するように構成される。データ統合部17は、被験者の属性情報1と、被験者の行動情報3の少なくとも一部から、疑似行動情報生成部50において利用されるデータを統合することにより、データセットを作成するように構成される。データクレンジング部18は、データセットに含まれるデータの重複や誤記などのエラーを検出し、検出されたエラーの削除あるいは修正するように構成される。
なお、
図26に示すMCIシミュレーションシステム112aのデータ加工部15は、
図2に示すMCI推定システム101aのデータ加工部15と同様に構成されてもよい。
【0172】
表示部70は、ユーザインタフェース80を表示可能に構成される。
ユーザインタフェース80は、被験者の行動情報3と、疑似行動情報生成部50において作成された疑似行動情報5を表示可能な領域である第1コンポーネント81と、被験者の属性情報1を表示可能な領域である第2コンポーネント82と、MCIシミュレータ60により推定された確率(第1の確率、第2の確率、第3の確率、第4の確率)を表示可能な領域である第3コンポーネント83とを含んでもよい。第1コンポーネント81は、推定行動情報4を表示可能であってもよい。また、MCIシミュレータ60が改善行動情報や悪化行動情報を生成する場合、第3コンポーネント83は、改善行動情報や悪化行動情報を表示可能に構成されてもよい。
【0173】
次に、
図26に示すMCIシミュレーションシステム112aにおいて実行されるMCIシミュレーションの処理について、フロー図を参照しながら説明する。
図27は、
図26に示すMCIシミュレーションシステムにより実行されるMCIシミュレーションの処理を例示するフロー図である。
【0174】
MCIシミュレーションシステム111aにより実行されるMCIシミュレーションは、一例として、
図27に示すように、属性情報1の入力を受け付ける処理(ステップS11)、センサデータ2の入力を受け付ける処理(ステップS12)、行動情報3を算出する処理(ステップS13)、属性情報1と行動情報3を統合してデータセットを作成する処理(ステップS14)、データをクレンジングする処理(ステップS15)、第1疑似行動情報を生成する処理(ステップS60)、第2疑似行動情報を生成する処理(ステップS61)、軽度認知障害に該当する確率(第3の確率)を推定する処理(ステップS62)、推定結果を出力する処理(ステップS63)を含んでもよい。なお、上記とは別に、センサ装置200により、センサデータの取得処理(ステップS10)が実行されてもよい。
【0175】
被験者の属性情報1が、MCIシミュレーションシステム112aに提供される(ステップS11)。また、センサ装置200において取得されたセンサデータ2が、MCIシミュレーションシステム112aに提供される(ステップS12)。
【0176】
MCIシミュレーションシステム112a(具体的には、行動情報変換部16)は、センサデータ2に基づいてある時点(第1時点)の被験者の行動情報3を算出する(ステップS13)。
MCIシミュレーションシステム112a(具体的には、データ統合部17)は、第1時点における被験者の行動情報3と、被験者の属性情報1とを統合して、データセットを作成する(ステップS14)。MCIシミュレーションシステム112a(具体的には、データクレンジング部18)は、データセットに含まれるデータの重複や誤記などのエラーを削除あるいは修正することで、データをクレンジングする(ステップS15)。なお、以上のステップS11からステップS15までの処理は、
図3に示すMCI推定システム101aにより実行される軽度認知障害の推定方法と同様の処理として実現されてもよい。
【0177】
MCIシミュレーションシステム112a(具体的には、疑似行動情報生成部50)は、被験者に関する疑似行動情報5(第1疑似行動情報)を生成する。具体的には、疑似行動情報生成部50は、データセットに含まれる行動情報3の少なくとも一部を加工することで、仮想の行動を表す疑似行動情報5を生成する(ステップS60)。これによって、属性情報1と疑似行動情報5とが統合されたデータセットが生成される。
【0178】
MCIシミュレーションシステム112a(具体的には、行動情報シミュレータ40)は、被験者に関する推定行動情報4(第2疑似行動情報)を生成する。具体的には、行動情報シミュレータ40は、データセットに含まれる疑似行動情報5(第1疑似行動情報)と第2推定モデル22とを用いて、第2時点における被験者の推定行動情報4(第2疑似行動情報)を推定する(ステップS61)。即ち、第2疑似行動情報は、第1時点における第1疑似行動情報に基づいて推定された、第1時点よりも後の第2時点における疑似行動情報である。
【0179】
MCIシミュレーションシステム112a(具体的には、MCIシミュレータ60)は、推定行動情報4(第2疑似行動情報)により表される仮想の行動を実行した場合に、被験者が、第2時点において軽度認知障害に該当する確率(第3の確率)を推定する。具体的には、MCIシミュレータ60は、データセットに含まれる属性情報1と疑似行動情報5とを、第1推定モデル21に適用することで、第2時点において被験者が軽度認知障害に該当する確率(第3の確率)を推定する(ステップS62)。
この際、MCIシミュレーションシステム112aは、第1推定モデルに対して、データセットに含まれる行動情報3と、属性情報1とを適用することで、被験者が第1時点において軽度認知障害に該当する確率(第1の確率)を、併せて算出してもよい。
MCIシミュレータ60は、ステップS62において推定された第3の確率に基づいて、被験者が軽度認知障害に該当するか否かを推定してもよい。例えば、MCIシミュレーションシステム112aは、ステップS62において第1の確率と、特定の閾値(例えば、特定のカットオフ値)と、を比較することにより、被験者が軽度認知障害であるか否かを推定してもよい。推定された軽度認知障害に該当する確率は、表示部70に送られてもよい。
【0180】
MCIシミュレーションシステム112a(具体的には、表示部70)は、推定結果、すなわち第3の確率あるいはこれらの確率から導出された結果(例えば、被験者が、軽度認知障害に該当するか否か等)を出力する(ステップS52)。MCIシミュレーションシステム112aは、また、第1の確率を併せて出力してもよい。
【0181】
図28は、
図27に例示するMCIシミュレーションの処理により表示可能なユーザインタフェースの一例を示す説明図である。
図28に例示するように、ユーザインタフェース80gの第1コンポーネント81gには、第1時点における行動情報3と、第2時点における推定行動情報4(第2疑似行動情報)とが表示されてもよい。
図28に示す具体例の場合、行動情報3及び推定行動情報4は、「歩行」、「睡眠」、「会話」に関する情報であり、例えば、これらの実行時間であってもよい。
図28に示す具体例では、第1時点における行動情報3は「現行」、第2時点における推定行動情報4は、「1年後」、「2年後」、「3年後」、「4年後」と表示されている。
【0182】
また、第1コンポーネント81gには、例えば、各行動情報の実施時間の割合を変更可能なインタフェース要素が含まれてもよい。
図28に示す具体例の場合、「歩行」、「睡眠」、「会話」の割合を示す円グラフ(パイチャート)が表示される。MCIシミュレーションシステム112aのユーザ(例えば被験者)が、例えば、これらの行動情報の割合を変更することが可能であってもよい。この場合、変更された後の行動情報に基づいて、第3確率が算出されてもよい。このような構成は、例えば、ユーザインタフェース80gに設定されたデータが、表示部70を介してMCIシミュレーションシステム112aに提供されることにより適宜実現可能である。
なお、第1コンポーネント81gには、例えば、疑似行動情報として加工される数値の上限と下限とが更に表示されてもよい。この場合、例えば、上限と下限との間の範囲において、「歩行」、「睡眠」、「会話」の実行時間を適宜加工した疑似行動情報が生成されてもよい。
【0183】
第2コンポーネント82gには、第1時点における属性情報1と、第2時点における属性情報1とが表示されてもよい。
図28に示す具体例の場合、属性情報1は、「飲酒」、「喫煙」、「高血圧」に関する情報が表示されている。
図28に示す具体例では、第1時点における属性情報1は「現行」、第2時点における属性情報1は、「1年後」、「2年後」、「3年後」、「4年後」と表示されている。なお、第2時点における属性情報1については、第1時点における属性情報がそのまま表示されてもよく、一部を変更した属性情報1が表示されてもよい。
図28に示す具体例の場合、「1年後」、「2年後」、「3年後」、「4年後」の変化値として、例えば、別途被験者が入力した各年後の予測値等が表示されてもよい。第2時点における属性情報1が変更された場合、変更された属性情報1を用いて、被験者が軽度認知障害に該当する確率が改めて算出されてもよい。このような構成は、例えば、ユーザインタフェース80gに設定されたデータが、表示部70を介してMCIシミュレーションシステム112aに提供されることにより適宜実現可能である。
【0184】
第3コンポーネント83gには、横軸に時系列(
図28の場合、1年後、2年後、3年後、4年後の経過年数)とし、縦軸に軽度認知障害に該当する確率が設定されたグラフが表示されてもよい。
図28に示す具体例の場合、被験者が推定行動情報4(第2疑似行動情報)により表される仮想の行動を実行した場合に、第2時点において軽度認知障害に該当する確率(第3の確率)の時系列変化が表示される。
この場合、MCIシミュレーションシステム112aは、例えば、複数の第2の時点(例えば、1年後、2年後、3年後、4年後等)について推定行動情報4(第2疑似行動情報)を生成し、上記説明した処理を実行することで、軽度認知障害に該当する確率の変化を表示することが可能である。
図28に示す具体例の場合、「A」と表される系列は、例えば、被験者がある疑似行動情報により表される行動を採用した場合の確率の変化を表す。また、「B」と表される系列は、例えば、被験者が「A」の系列とは異なる疑似行動情報により表される行動を採用した場合の確率の変化を表す。また、「C」と表される系列は、例えば、軽度認知障害に該当するリスクが増大する疑似行動情報により表される行動を採用した場合の、確率の変化を表す。これにより、被験者は、例えば、軽度認知障害に該当するリスクを低減する行動、増大する行動を、簡便に理解することが可能である。
【0185】
図29は、
図26に示すMCIシミュレーションシステムにより実行されるMCIシミュレーションの他の処理を例示するフロー図である。
図29に例示するMCIシミュレーションは、第1時点における行動情報に基づいて、推定行動情報を生成する処理(ステップS64)と、軽度認知障害に該当する第4の確率を推定する処理(ステップS65)とを有する点において、
図27に例示するMCIシミュレーションのフローと相違する。
図29に示すその他の処理は、
図27に示す処理と同様としてもよいので、同一のステップ番号を付して、説明を省略する。
【0186】
MCIシミュレーションシステム112aは、ステップS11からステップS15及びステップ60からステップS62の処理を適宜実行する。
MCIシミュレーションシステム112a(具体的には、行動情報シミュレータ40)は、被験者の推定行動情報4を生成する。具体的には、行動情報シミュレータ40は、データセットに含まれる第1時点における行動情報3を、モデル記憶部20に記憶された第2推定モデル22に適用することで、第2時点における被験者の推定行動情報4を推定する(ステップS64)。ステップS64において生成される推定行動情報は、センサデータから算出された、第1時点における被験者の実際の行動を表すと推認される行動情報に基づいて推定された、第2の時点における被験者の行動情報である。
【0187】
MCIシミュレーションシステム112a(具体的には、MCIシミュレータ60)は、推定行動情報4により表される仮想の行動を実行した場合に、被験者が軽度認知障害に該当する確率(第4の確率)を推定する(ステップS65)。具体的には、MCIシミュレータ60は、属性情報1と、ステップS64で作成された推定行動情報4とを、第1推定モデル21に適用することで、軽度認知障害に該当する確率を推定する。
なお、第4の確率を推定する処理(ステップS64、ステップS65)と、第3の確率を推定する処理(ステップS60、S61、S62)とは、逐次処理されてもよいし、並列処理されてもよい。
【0188】
MCIシミュレーションシステム112a(具体的には、MCIシミュレータ60)は、第3の確率と第4の確率とを比較する(ステップS66)。
MCIシミュレータ60は、第3の確率と第4の確率とを比較して、第3の確率が第4の確率よりも低い疑似行動情報を選択してもよい。そして、この選択された疑似行動情報を、被験者が軽度認知障害に該当する確率を低減可能な行動の候補として含む改善行動情報を生成してもよい。また、MCIシミュレータ60は、第3の確率と第4の確率とを比較して、第3の確率が第4の確率よりも高くなる疑似行動情報を選択してもよい。そして、この選択された疑似行動情報を、被験者が軽度認知障害に該当する確率を上げる行動の候補として含む悪化行動情報を生成してもよい。
【0189】
MCIシミュレーションシステム112a(具体的には、表示部70)は、推定結果を出力する(ステップS55)。推定結果は、第3の確率と第4の確率、及び第3の確率と第4の確率との比較から導出された結果(例えば、改善行動情報、悪化行動情報等)が含まれてもよい。
【0190】
図30は、
図29に例示するMCIシミュレーションの処理により表示可能なユーザインタフェースの一例を示す説明図である。
図30に例示するように、ユーザインタフェース80hの第1コンポーネント81hには、第1時点における行動情報3と、第2時点における推定行動情報4(第2疑似行動情報)が表示されてもよい。
図30に示す具体例の場合、行動情報3及び推定行動情報は、「歩行」、「睡眠」、「会話」に関する情報、例えば、これらの実行時間であってもよい。
図30に示す具体例では、第1時点における行動情報3は「現行」、第2時点における推定行動情報4は、「1年後」、「2年後」、「3年後」、「4年後」と表示されている。また、第1コンポーネント81g中の円グラフは、例えば、一つのデータセットに含まれる歩行、睡眠、会話の実行時間の割合を表してもよい。
なお、第1コンポーネント81hには、例えば、疑似行動情報として加工される数値の上限と下限とが更に表示されてもよい。この場合、例えば、上限と下限との間の範囲において、「歩行」、「睡眠」、「会話」の実行時間を適宜加工した疑似行動情報が生成されてもよい。
【0191】
第2コンポーネント82hには、第1時点における属性情報1と、第2時点の属性情報1とが表示されてもよい。
図30に示す具体例の場合、属性情報1は、「飲酒」、「喫煙」、「高血圧」に関する情報が表示されている。
図30に示す具体例では、第1時点における属性情報1は「現行」、第2時点における属性情報1は、「1年後」、「2年後」、「3年後」、「4年後」と表示されている。なお、第2時点における属性情報1については、第1時点における属性情報がそのまま表示されてもよく、一部を変更した属性情報1が表示されてもよい。
図30に示す具体例の場合、「1年後」、「2年後」、「3年後」、「4年後」の変化値として、例えば、別途被験者が入力した各年後の予測値等が表示されてもよい。第2時点における属性情報1が変更された場合、変更された属性情報1を用いて、被験者が軽度認知障害に該当する確率が改めて算出されてもよい。このような構成は、例えば、ユーザインタフェース80hに設定されたデータが、表示部70を介してMCIシミュレーションシステム112aに提供されることにより適宜実現可能である。
【0192】
第3コンポーネント83hには、横軸に時系列(
図30の場合、経過年数)、縦軸に軽度認知障害に該当する確率が設定されたグラフが表示されてもよい。
図30に示す具体例の場合、第3コンポーネント83hには、例えば、疑似行動情報5(第1疑似行動情報)を用いることで推定された、第1時点において被験者が軽度認知障害に該当する確率(第1の確率)と、被験者が推定行動情報4(第2疑似行動情報)により表される仮想の行動を実行した場合に、軽度認知障害に該当する確率(第3の確率)の時系列変化(
図30における系列「A」「B」「C」)が表示される。
【0193】
また、第3コンポーネント83hには、例えば、行動情報3を用いることで推定された、第1時点において被験者が軽度認知障害に該当する確率(第2の確率)と、被験者が、推定行動情報4により表される行動を実行した場合に、第2時点において軽度認知障害に該当する確率(第4の確率)の時系列変化(
図30における系列「Z」)が表示される。
図30に示す具体例の場合、「A」と表される系列は、例えば、被験者がある疑似行動情報により表される行動を採用した場合の確率の変化を表す。また、「B」と表される系列は、例えば、被験者が「A」の系列とは異なる疑似行動情報により表される行動を採用した場合の確率の変化を表す。また、「C」と表される系列は、例えば、軽度認知障害に該当するリスクが増大する疑似行動情報により表される行動を採用した場合の、確率の変化を表す。これらの結果と、「Z」と表される系列とを比較することにより、被験者は、例えば、軽度認知障害に該当するリスクを低減する行動、増大する行動を、簡便に理解することが可能である。これにより、被験者は、例えば、ある特定の時点における行動を基準として、行動を変えた場合(仮想行動情報を採用した場合)と、変えなかった場合とについて、軽度認知障害に該当するリスクの変化を簡便に理解することが可能である。
【0194】
以上の実施形態のMCIシミュレーションシステム112、112aは、被験者の行動情報の少なくとも一部を変えた場合の、将来(第2時点)の被験者の軽度認知障害の発生リスクを予測することができる。また、実施形態のMCIシミュレーションシステム112、112aは、第3の確率と第4の確率とを比較することによって、軽度認知障害の発生リスクを低減可能な行動の候補を提示することができる。
【0195】
以下、本開示に係る技術を実現可能なハードウェア及びソフトウェア構成について説明する。
【0196】
上記説明した本開示に係るMCI推定システム及びMCIシミュレーションシステム(以下纏めて、単に「MCI推定システム」と記載する)は、一以上の専用のハードウェア装置により実現さてもよい。また、本開示に係るMCI推定システムは、一以上の専用のハードウェア装置と、一以上の汎用の情報処理装置(コンピュータ)との組み合わせにより実現されてもよい。本開示に係るシステムが、複数のハードウェア装置を用いて実現される場合、それらの装置の間は適切な通信手段により通信可能に接続されてもよい。
【0197】
専用のハードウェア装置は、例えば、上記説明した本開示に係るMCI推定システムの各構成要素の機能を実現可能な回路素子(例えば、集積回路等)により実現されてもよい。
MCI推定システムは、また、少なくとも一部がコンピュータなどにより実行可能なコンピュータ・プログラムとして実現されてもよい。この場合、MCI推定システムの少なくとも一部の機能や処理を実現可能なコンピュータ・プログラムが、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。係るコンピュータ・プログラムがコンピュータシステムに読み込まれて実行されることで、MCI推定システムの少なくとも一部の機能が実行されてもよい。
なお、「コンピュータシステム」とは、オペレーティングシステム(OS:Operating System)や各種ミドルウェアなどのソフトウェアと、計算機及び周辺機器等のハードウェアを含んでもよい。
【0198】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、ハードディスクドライブ、等)、光磁気記録媒体、光学記録媒体(例えば、CD(Compact Disc)−ROM等)、半導体記録媒体(RAM(Random Access Memory)、Solid State Driveなど)などを含んでもよい。係る媒体は、コンピュータシステムから脱着可能な可搬媒体であってもよく、コンピュータシステムに内蔵される装置であってもよい。
さらにインターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線を介してコンピュータ・プログラムが送信される場合、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」には、通信機能を有するコンピュータシステム内部のRAMのように、一定時間コンピュータ・プログラムを保持可能な媒体(装置)が含まれてもよい。記録媒体は、非一時的記録媒体であってもよい。
【0199】
また、上記のプログラムは、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により、あるコンピュータシステムから他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、コンピュータ・プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体を含んでもよい。
また、上記コンピュータ・プログラムと、コンピュータシステムに記録されている他のコンピュータ・プログラムとを組み合わせることにより、MIC推定システムの少なくとも一部の機能が実現されてもよい。この場合、上記コンピュータ・プログラムは、他のコンピュータ・プログラムに対する差分ファイル(差分プログラム)として提供されてもよい。
【0200】
例えば、係るコンピュータ・プログラムを実行可能なコンピュータは、
図31に例示するような、情報処理装置300であってもよい。
図31は、本開示に係る技術を実現可能な情報処理装置の構成を例示するブロック図である。
図31に例示する情報処理装置300は、プロセッサ(演算装置)301、メモリ302、ストレージ303、通信インタフェース304、及び、入出力インタフェース305を備えてもよい。これら情報処理装置300に含まれる構成要素は、通信バス等により適宜通信可能に接続されてもよい。
【0201】
プロセッサ301は、後述するメモリ302に記憶されたコンピュータ・プログラム及びデータを読みこんで適宜処理を実行するマイクロプロセッサ(CPU)などの演算装置である。プロセッサ301は、例えば、特定の命令セットを解釈可能な汎用の演算装置であってもよい。
【0202】
メモリ302は、データ及びコンピュータ・プログラムを記憶可能な記憶デバイスである。メモリ302は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などにより実現されてもよい。
【0203】
ストレージ303は、各種データを記憶・保存可能な記憶装置であってもよい。ストレージ303は、例えば、メモリ302よりも容量が大きい記憶装置であってもよい。ストレージ303は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)や、半導体記憶装置等により実現される記憶装置であってもよい。なお、
図31に例示する具体例の場合、ストレージ303は情報処理装置300に含まれているが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、ストレージ303は、例えば、現在では周知のストレージサーバ、クラウドストレージ等として、情報処理装置300の外部において実現されてもよい。この場合、情報処理装置300は、例えば、後述する通信インタフェース304を介して、ストレージ303に記憶されたデータにアクセスしてもよい。上記各実施形態において説明した各種データ、モデル等は、ストレージ303に記憶されてもよい。
【0204】
通信インタフェース304は、例えば、通信ネットワークを介して各種データ等を送受信可能なインタフェースデバイスである。情報処理装置300は、例えば、被験者が装着したセンサ装置200との間で、通信インタフェース304を介して、各種データを送受信してもよい。
【0205】
入出力インタフェース305は、例えば、情報処理装置300に対する各種データの入力や、情報処理装置300からの各種データの出力を制御可能なインタフェースデバイスである。例えば、上記各実施形態において説明したデータ入力部は、入出力インタフェース305を介して、各種データの入力を受け付けてもよい。また、上記各実施形態において説明した出力部は、入出力インタフェース305を介して、各種データを出力してもよい。
また、入出力インタフェース305は、記憶媒体306との間におけるデータの読み込み及び書き込みを実現するインタフェース機能を備えてもよい。この場合、入出力インタフェース305は、例えば、記憶媒体306に対するデータの読み込み及び書き込みを実現可能なドライブ装置に対するインタフェースとして機能してもよい。
記憶媒体306は、上記説明したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であってもよい。
【0206】
上記のように構成された情報処理装置300には、上記各説明したコンピュータ・プログラムが導入されてもよい。係るコンピュータ・プログラムは、例えば、情報処理装置300を製造・出荷する際にストレージ303に保存されてもよく、通信インタフェース304を介して提供されてもよい。
【0207】
上記説明した情報処理装置300が、係るコンピュータ・プログラムを実行することにより、本開示に係るMCI予測システムの少なくとも一部が実現されてもよい。より具体的には、情報処理装置300が、係るコンピュータ・プログラムを実行することにより、上記説明した各工程が実行されることで、本開示に係るMCI予測システムに係る機能の少なくとも一部が実現されてもよい。この場合、本開示にかかるMCI予測システムは、例えば、汎用コンピュータにおいて実行されるコンピュータ・プログラムにより実現可能である。
【0208】
なお、上記説明した情報処理装置300は、物理的な装置に限定されず、少なくともその一部が仮想化されて仮想マシンであってもよい。この場合、情報処理装置300を構成する構成要素は、仮想的なデバイスあるいはリソースとして実現されてもよい。
本開示に係るMCI予測システムの少なくとも一部は、例えば、一般的に利用可能な仮想化基盤において実現された仮想システムとして実現されてもよい。
【0209】
以上、本開示に係るMCI推定システムを実現可能な実施形態について説明した。なお、本開示に係るMCI予測システムは、上記実施形態に記載した構成に限定されない。即ち、本開示に基づいて当業者が理解できるスコープにおいて、各実施形態の構成を適宜変更あるいは改良した変更例、改善例も本開示に係るMCI予測システムに含まれてもよい。また、上記各実施形態を適宜組み合わせることで実現されたシステムも、本開示に係るMCI予測システムに含まれてもよい。
本開示にかかるMCI推定システムは、例えば、以下に付記する態様として実現されてもよいが、これに限定されるものではない。
【0210】
(付記1)
被験者の属性を表す属性情報と、当該被験者の行動状況を表す行動情報とから、当該被験者が軽度認知障害に該当する確率を推定可能な第1推定モデルを記憶可能なモデル記憶部と、
上記属性情報と、上記行動情報と、上記第1推定モデルを用いて、上記被験者が軽度認知障害に該当する可能性を推定するMCI推定部と、を有する、推定システム。
【0211】
(付記2)
上記MCI推定部は、上記属性情報と、上記行動情報と、上記第1推定モデルを用いて、上記被験者が軽度認知障害に該当する確率を算出することにより、上記被験者が軽度認知障害に該当する可能性を推定する、付記1に記載の推定システム。
【0212】
(付記3)
上記第1推定モデルは、健常者と軽度認知障害に該当する者との少なくとも一方を含む1以上のデータ提供者から提供された、当該データ提供者の属性を表す属性情報と、当該データ提供者の行動状況を表す行動情報とを用いて作成され、入力データとして与えられた上記被験者に関する上記属性情報と、上記被験者に関する上記行動情報とから、当該被験者が軽度認知障害に該当する確率を推定するモデルである、付記2に記載の推定システム。
【0213】
(付記4)
上記第1推定モデルは、健常者と軽度認知障害に該当する者との少なくとも一方を含む1以上のデータ提供者から提供された、当該データ提供者に関する上記属性情報と、当該データ提供者に関する上記行動情報と、当該データ提供者が軽度認知障害に該当するかを表す上記ラベル情報と、を少なくとも含むデータセットに基づいて、当該データセットに含まれる上記属性情報と上記行動情報とを説明変数とし、上記ラベル情報を目的変数として用いる分析処理により作成されたモデルである、付記3に記載の推定システム。
【0214】
(付記5)
上記第1推定モデルは、上記データ提供者から提供された、当該データ提供者に関する上記属性情報と、当該データ提供者に関する上記行動情報と、当該データ提供者から取得された軽度認知障害の判定に影響する要因情報と、当該データ提供者が軽度認知障害に該当するかを表すラベル情報と、を少なくとも含むデータセットに基づいて、当該データセットに含まれる上記属性情報と、上記行動情報と、上記要因情報と、を説明変数とし、上記ラベル情報を目的変数とした分析処理により作成されたモデルを含む、付記3に記載の推定システム。
【0215】
(付記6)
上記第1推定モデルは、
上記被験者に関する上記属性情報と、上記被験者に関する上記行動情報とから上記被験者の軽度認知障害の判定に影響する要因情報の推定値を算出する要因情報算出モデルと、
上記被験者に関する上記属性情報と、上記要因情報とから当該被験者が軽度認知障害に該当する確率を推定する推定情報算出モデルと、を含む、付記3に記載の推定システム。
【0216】
(付記7)
上記要因情報推定モデルは、上記データ提供者から提供された、当該データ提供者に関する上記属性情報と、当該データ提供者に関する上記行動情報と、上記データ提供者から取得された上記要因情報を少なくとも含むデータセットと、に基づいて、当該データセットに含まれる上記属性情報と、上記行動情報とを説明変数とし、上記要因情報を目的変数とした分析処理により作成されたモデルであり、
上記推定情報算出モデルは、当該データ提供者に関する上記属性情報と、上記データ提供者から取得された上記要因情報と、当該データ提供者が軽度認知障害に該当するかを表すラベル情報と、を少なくとも含む他のデータセットに基づいて、当該他のデータセットに含まれる上記属性情報と、上記要因情報とを説明変数とし、上記ラベル情報を目的変数とした分析処理により作成されたモデルであり、
上記MCI推定部は、
上記被験者に関する上記属性情報と、上記被験者に関する上記行動情報と、を上記要因情報推定モデルに適用することで、上記被験者に関する上記要因情報の推定値を算出し、
算出した要因情報の推定値と、上記被験者に関する上記属性情報と、を上記推定情報算出モデルに適用することで、当該被験者が軽度認知障害に該当する確率を推定する、付記6に記載の推定システム。
【0217】
(付記8)
上記要因情報は、MMSE(Mini Mental State Examination)点数、脳糖代謝率、海馬体積、灰白質体積、アミロイドβ蓄積量のうち一つ以上の情報を含む、付記5から付記7のいずれか一つに記載の推定システム。
【0218】
(付記9)
上記行動情報が、睡眠時間、会話時間、歩行時間、UV照射時間、脈拍、皮膚温度、体温のうちの少なくとも一つの情報を含む、付記1から付記8のいずれか一つに記載の推定システム。
【0219】
(付記10)
上記行動情報は、上記被験者が装着したセンサ装置から取得された当該被験者に関する行動状況を表すデータを少なくとも一つ含むセンサデータに基づいて算出され、上記センサデータが、上記センサ装置が有する一つ以上のセンサ素子を用いて特定の期間の間に測定された測定データの平均値である、付記1から付記9のいずれか一つに記載の推定システム。
【0220】
(付記11)
上記属性情報は、年齢、性別、教育歴、既往歴、生活習慣のうち少なくとも一つ以上の情報を含む個人に特有のデータである、付記1から付記10のいずれか一つに記載の推定システム。
【0221】
(付記12)
上記被験者に関する上記行動情報を表示可能な領域である第1コンポーネントと、
上記被験者に関する上記属性情報を表示可能な領域である第2コンポーネントと、
上記MCI推定部で推定された確率を表示可能な領域である第3コンポーネントと、を少なくとも含むユーザインタフェースを表示可能な表示部を更に備える、付記1に記載の推定システム。
【0222】
(付記13)
被験者の属性を表す属性情報と、当該被験者の行動状況を表す行動情報とから、当該被験者が軽度認知障害に該当する確率を推定可能な第1推定モデルと、時系列の特定時点における上記被験者に関する上記属性情報と、上記特定時点における上記被験者に関する上記行動情報とから、上記特定時点よりも後の時点における上記被験者に関する行動情報を推定可能な第2推定モデルと、を記憶可能なモデル記憶部と、
上記属性情報と、上記行動情報と、に基づいて、上記被験者が軽度認知障害に該当する確率を推定するMCI推定部と、
時系列の第1時点における上記被験者に関する上記属性情報と、上記第1時点における上記被験者に関する上記行動情報と、を上記第2推定モデルに適用して上記第1時点より後の第2時点における上記被験者に関する行動情報を推定することで、推定行動情報を生成する行動情報シミュレータと、を有し、
上記MCI推定部は、上記第2時点における上記被験者に関する上記属性情報と、上記行動情報シミュレータにより推定された上記第2時点における上記推定行動情報と、を上記第1推定モデルに適用することで、上記第2時点において、上記被験者が軽度認知障害に該当する確率を推定する、推定システム。
【0223】
(付記14)
上記第1推定モデルは、健常者と軽度認知障害に該当する者との少なくとも一方を含む1以上のデータ提供者から提供された、上記データ提供者の属性を表す属性情報と、上記データ提供者の行動状況を表す行動情報と、当該データ提供者が軽度認知障害に該当するかを表すラベル情報と、を少なくとも含む第1データセットに基づいて、上記第1データセットに含まれる上記属性情報と上記行動情報とを説明変数とし、上記ラベル情報を目的変数として用いる分析処理により作成されたモデルである、
付記13に記載の推定システム。
【0224】
(付記15)
上記第2推定モデルは、
健常者と軽度認知障害に該当する者との少なくとも一方を含む1以上のデータ提供者から提供された、少なくとも時系列の複数の時点における上記データ提供者の属性を表す属性情報と、上記複数の時点における当該データ提供者の行動状況を表す行動情報とを含む第2データセットに基づいて、
上記第2データセットに含まれる時系列の一つの時点における上記属性情報と、上記一つの時点における上記行動情報とを説明変数とし、
上記一つの時点における上記行動情報と、上記一つの時点より後の他の時点における上記行動情報との差分を目的変数として用いる分析処理により作成されるモデルである、付記13または付記14に記載の推定システム。
【0225】
(付記16)
上記第2推定モデルは、
健常者と軽度認知障害に該当する者との少なくとも一方を含む1以上のデータ提供者から提供された、少なくとも時系列の複数の時点における上記データ提供者に関する上記属性情報と、上記複数の時点における上記データ提供者が装着したセンサ装置から取得された当該データ提供者の行動状況を表すデータを少なくとも一つ含むセンサデータとを含む第2データセットに基づいて、
上記第2データセットに含まれる時系列の第1の時点における上記属性情報と、上記第1の時点における上記センサデータに基づいて算出された行動情報とを説明変数とし、
第1の時点とは異なる第2の時点における上記センサデータに含まれる行動情報を目的変数として用いる分析処理により作成されるモデルである、付記13または付記14に記載の推定システム。
【0226】
(付記17)
上記行動情報が、睡眠時間、会話時間、歩行時間、UV照射時間、脈拍、皮膚温度、体温のうちの少なくとも一つの情報を含む、付記13から付記16のいずれか一つに記載の推定システム。
【0227】
(付記18)
上記被験者に関する上記行動情報を表示可能な領域である第1コンポーネントと、
上記被験者に関する上記属性情報を表示可能な領域である第2コンポーネントと、
上記MCI推定部で推定された確率を表示可能な領域である第3コンポーネントと、を少なくとも含むユーザインタフェースを表示可能な表示部を更に備え、
上記MCI推定部は、上記第1時点において被験者が軽度認知障害に該当する確率と、上記第2時点において被験者が軽度認知障害に該当する確率と、を上記表示部に提供し、
上記表示部は、上記被験者が軽度認知障害に該当する確率の、第1時点から第2時点への時系列変化を、上記第3コンポーネントに表示する、付記13から付記17のいずれか一つに記載の推定システム。
【0228】
(付記19)
上記MCI推定部は、上記行動情報シミュレータにより推定された上記第2時点における推定行動情報を上記表示部に提供し、
上記表示部は、提供された上記推定行動情報を上記第1コンポーネントに更に表示する、付記18に記載の推定システム。
【0229】
(付記20)
被験者の属性を表す属性情報と、当該被験者の行動状況を表す行動情報とから、当該被験者が軽度認知障害に該当する確率を推定可能な第1推定モデルを記憶可能なモデル記憶部と、
上記行動情報の少なくとも一部を加工することで、仮想の行動を表す疑似行動情報を生成する疑似行動情報生成部と、
上記属性情報と、上記疑似行動情報と、を上記第1推定モデルに適用することで、上記疑似行動情報により表される仮想の行動を実行した場合に、上記被験者が軽度認知障害に該当する確率を表す第1の確率を推定するMCIシミュレータと、を備える、シミュレーションシステム。
【0230】
(付記21)
上記疑似行動情報生成部は、複数の異なる上記疑似行動情報を生成することで、疑似行動情報セットを作成する、付記20に記載のシミュレーションシステム。
【0231】
(付記22)
上記疑似行動情報生成部は、上記被験者に関する少なくとも一部の行動情報について、当該行動情報を基準値とし、当該基準値に対して特定の差分ずつ増加または減少させた疑似行動情報を複数生成することで、一連の疑似行動情報セットを作成する、付記20に記載のシミュレーションシステム。
【0232】
(付記23)
上記疑似行動情報生成部は、上記被験者に関する少なくとも一部の行動情報について、当該行動情報を基準値とし、当該基準値に対してランダムな数値を増加または減少させた疑似行動情報を複数生成することで、一連の疑似行動情報セットを作成する、付記21に記載のシミュレーションシステム。
【0233】
(付記24)
上記MCIシミュレータは、上記属性情報と、上記行動情報と、を上記第1推定モデルに適用することで、上記行動情報により表される行動を上記被験者が実行した場合に、その被験者が軽度認知障害に該当する第2の確率を推定する、付記20から付記23のいずれか一つに記載のシミュレーションシステム。
【0234】
(付記25)
上記MCIシミュレータは、
上記疑似行動情報セットに含まれるそれぞれの疑似行動情報について上記第1の確率を推定し、
上記第1の確率と、上記第2の確率とを比較することで、推定された上記第1の確率が上記第2の確率よりも低い上記疑似行動情報を選択し、
選択された上記疑似行動情報を、上記被験者が軽度認知障害に該当する確率を低減可能な行動の候補として含む改善行動情報を生成する、付記24に記載のシミュレーションシステム。
【0235】
(付記26)
上記MCIシミュレータは、上記疑似行動情報セットに、推定された上記第1の確率が上記第2の確率よりも低い上記疑似行動情報が複数含まれる場合、その複数の上記疑似行動情報から、推定された上記第1の確率が特定の目標値よりも低い上記疑似行動情報を更に選択して上記改善行動情報を生成する、付記25に記載のシミュレーションシステム。
【0236】
(付記27)
上記行動情報は、上記被験者に関する複数の異なる種類の行動状況を表すデータを含み、
上記MCIシミュレータは、
上記疑似行動情報セットに、推定された上記第1の確率が上記第2の確率よりも低い上記疑似行動情報が複数含まれる場合、
その複数の上記疑似行動情報から、推定された第1の確率が低い順に、特定数の上記疑似行動情報を更に選択して上記改善行動情報を生成する、付記25に記載のシミュレーションシステム。
【0237】
(付記28)
上記行動情報は、上記被験者に関する複数の異なる種類の行動状況を表すデータを含み、
上記MCIシミュレータは、
上記疑似行動情報セットに、推定された上記第1の確率が上記第2の確率よりも低い上記疑似行動情報が複数含まれる場合、その複数の上記疑似行動情報から、含まれる行動状況を表すデータの種類が多い順に、特定数の上記疑似行動情報を更に選択して上記改善行動情報を生成する、付記25に記載のシミュレーションシステム。
【0238】
(付記29)
上記行動情報は、上記被験者に関する複数の異なる種類の行動状況を表すデータを含み、
上記MCIシミュレータは、
上記疑似行動情報セットに、推定された上記第1の確率が上記第2の確率よりも低く、かつ、共通の上記行動状況を表すデータを含む上記疑似行動情報の集合が複数含まれる場合、
当該複数の集合のうち最大の集合を選択し、選択された集合に含まれる1以上の上記疑似行動情報について上記改善行動情報を生成する、付記25に記載のシミュレーションシステム。
【0239】
(付記30)
上記行動情報は、上記被験者に関する複数の異なる種類の行動状況を表すデータを含み、
上記MCIシミュレータは、
上記疑似行動情報セットに、推定された上記第1の確率が上記第2の確率よりも低く、かつ、共通の上記行動状況を表すデータを含む上記疑似行動情報の集合が複数含まれる場合、
当該疑似行動情報の集合ごとに、その集合に含まれる各上記疑似行動情報について推定された上記第1の確率のばらつきを算出し、最もばらつきが小さい集合に含まれる1以上の上記疑似行動情報について上記改善行動情報を生成する、付記25に記載のシミュレーションシステム。
【0240】
(付記31)
上記MCIシミュレータは、
上記疑似行動情報セットに含まれるそれぞれ上記疑似行動情報について上記第1の確率を推定し、
上記第1の確率と、上記第2の確率とを比較することで、複数の上記疑似行動情報のうち、上記第1の確率が上記第2の確率よりも高くなる上記疑似行動情報を選択し、
選択された上記疑似行動情報を、上記被験者が軽度認知障害に該当する確率を高くする行動の候補として含む悪化行動情報を生成する、付記24に記載のシミュレーションシステム。
【0241】
(付記32)
上記MCIシミュレータは、
上記疑似行動情報セットに、推定された上記第1の確率が上記第2の確率よりも高い上記疑似行動情報が複数含まれる場合、その複数の上記疑似行動情報から、推定された上記第1の確率が特定の目標値よりも高い上記疑似行動情報を更に選択して上記悪化行動情報を生成する、付記31に記載のシミュレーションシステム。
【0242】
(付記33)
上記行動情報は、上記被験者に関する複数の異なる種類の行動状況を表すデータを含み、
上記MCIシミュレータは、上記疑似行動情報セットに、推定された上記第1の確率が上記第2の確率よりも高い上記疑似行動情報が複数含まれる場合、その複数の上記疑似行動情報から、含まれる行動状況を表すデータの種類が多い順に、特定数の上記疑似行動情報を更に選択して上記悪化行動情報を生成する、付記31に記載のシミュレーションシステム。
【0243】
(付記34)
上記被験者に関する行動情報を推定する行動情報シミュレータを更に有し、
上記モデル記憶部は、時系列の特定時点における、上記被験者に関する上記属性情報と、上記行動情報とから、上記特定時点よりも後の時点における上記被験者に関する行動情報を推定可能な第2推定モデルを更に記憶し、
上記行動情報シミュレータは、時系列の第1時点における上記被験者に関する上記属性情報と、当該第1時点における上記行動情報を用いて上記疑似行動情報生成部が生成した上記疑似行動情報と、を上記第2推定モデルに適用することで、上記第1時点よりも後の第2時点における上記被験者に関する疑似行動情報を推定し、
上記MCIシミュレータは、上記第2時点における上記被験者に関する上記属性情報と、上記行動情報シミュレータにより推定された上記第2時点における上記疑似行動情報とを上記第1推定モデルに適用することで、上記第2時点において上記被験者が上記疑似行動を実行した場合に、その被験者が軽度認知障害に該当する第3の確率を推定する、付記24に記載のシミュレーションシステム。
【0244】
(付記35)
上記行動情報シミュレータは、更に、時系列の第1時点における上記被験者に関する上記属性情報と、第1時点における上記被験者に関する上記行動情報と、を上記第2推定モデルに適用して上記第1時点よりも後の第2時点における上記被験者に関する行動情報を推定することで、推定行動情報を生成し、
上記MCIシミュレータは、
上記第2時点における上記被験者に関する上記属性情報と、上記行動情報シミュレータにより推定された上記推定行動情報と、を上記第1推定モデルに適用することで、上記第2時点において上記被験者が軽度認知障害に該当する第4の確率を推定し、
上記第3の確率と、上記第4の確率と、を比較することで、上記第3の確率が、上記第4の確率よりも低い上記疑似行動情報を選択し、選択された上記疑似行動情報を、上記被験者が軽度認知障害に該当する確率を低減可能な行動の候補として含む改善行動情報を生成する、付記34に記載のシミュレーションシステム。
【0245】
(付記36)
上記MCIシミュレータは、更に、上記第3の確率と、上記第4の確率と、を比較することで、上記第3の確率が、上記第4の確率よりも高い上記疑似行動情報を選択し、選択された疑似行動情報に含まれる上記疑似行動情報を、上記被験者が軽度認知障害に該当する確率を高くする行動の候補として含む悪化行動情報を生成する、付記34に記載のシミュレーションシステム。
【0246】
(付記37)
上記行動情報と、上記疑似行動情報と、を表示可能な領域である第1コンポーネントと、
上記属性情報を表示可能な領域である第2コンポーネントと、
少なくとも上記MCIシミュレータにより推定された確率を表示可能な領域である第3コンポーネントと、を少なくとも含むユーザインタフェースを表示可能な表示部を更に備え、
上記MCIシミュレータは、上記第2の確率と、上記疑似行動情報セットに含まれるそれぞれ上記疑似行動情報について推定した上記第1の確率と、を上記表示部に提供し、
上記表示部は、上記疑似行動情報により表される行動を上記第1コンポーネントに表示し、上記第2の確率と、その疑似行動情報について推定された上記第1の確率と、を上記第3コンポーネントに表示する、付記24に記載のシミュレーションシステム。
【0247】
(付記38)
上記行動情報と、上記疑似行動情報と、を表示可能な第1コンポーネントと、
上記属性情報を表示可能な第2コンポーネントと、
少なくとも上記MCIシミュレータにより推定された確率を表示可能な第3コンポーネントと、を少なくとも含むユーザインタフェースを表示可能な表示部を更に備え、
上記MCIシミュレータは、上記第2の確率と、上記第4の確率と、上記疑似行動情報セットに含まれるそれぞれ上記疑似行動情報について推定した上記第1の確率と、上記第3の確率と、を上記表示部に提供し、
上記表示部は、
上記疑似行動情報に含まれる疑似行動情報により表される行動を上記第1コンポーネントに表示し、
上記被験者が、上記行動により表される行動を実行した場合に、その被験者が軽度認知障害に該当する確率の、上記第1時点から第2時点への時系列変化を、上記第2の確率及び上記第4の確率を用いて上記第3コンポーネントに表示するとともに、
上記被験者が、上記疑似行動により表される行動を実行した場合に、その被験者が軽度認知障害に該当する確率の、上記第1時点から第2時点への時系列変化を、上記第1の確率及び上記第3の確率を用いて上記第3コンポーネントに表示する、付記34に記載のシミュレーションシステム。
【0248】
(付記39)
被験者の属性を表す属性情報と、上記被験者が装着したセンサ装置から取得された当該被験者の行動状況を表すデータを少なくとも一つ含むセンサデータと、を入力データとして受け付け可能なデータ入力部と、
上記被験者に関する属性情報と、上記センサデータに基づいて算出された上記被験者に関する行動情報とから、当該被験者が軽度認知障害に該当する確率を推定可能な第1推定モデルと、上記属性情報と、上記行動情報とから、当該被験者がアルツハイマー型軽度認知障害に該当する確率を推定可能な第3推定モデルと、を記憶可能なモデル記憶部と、
上記属性情報と、上記行動情報と、上記第1推定モデルを用いて、上記被験者が軽度認知障害に該当する確率を推定するMCI確率推定部と、上記属性情報と、上記行動情報と、上記第3推定モデルを用いて、上記被験者がアルツハイマー型軽度認知障害に該当する確率を推定するAD型MCI確率推定部と、を有するMCI推定部と、を備える推定システム。
【0249】
(付記40)
上記第3推定モデルは、アルツハイマー型軽度認知障害に該当する者と、非アルツハイマー型軽度認知障害に該当する者と、健常者と、の少なくともいずれかを含む複数のデータ提供者の属性情報と、上記データ提供者から取得された上記要因情報とを説明変数とし、少なくともアルツハイマー型軽度認知障害を表すカテゴリと、非アルツハイマー型軽度認知障害を表すカテゴリと、を目的変数とした分析処理により作成されたモデルである、付記39に記載の推定システム。
【0250】
(付記41)
上記被験者に関する上記行動情報を表示可能な領域である第1コンポーネントと、
上記被験者に関する上記属性情報を表示可能な領域である第2コンポーネントと、
上記MCI推定部で推定された被験者が軽度認知障害に該当する確率とアルツハイマー型軽度認知障害に該当する確率とを表示可能な領域である第3コンポーネントと、を少なくとも含むユーザインタフェースを表示可能な表示部を更に備える、付記39に記載の推定システム。