【解決手段】一実施形態では、カテーテル製造方法は、それぞれの異なる記号が上部に記された可撓性回路ストリップを形成することであって、各ストリップが少なくとも1つのそれぞれの電極を含むことと、可撓性回路ストリップのうちのそれぞれのストリップのそれぞれの記号に対応して可撓性回路ストリップがカテーテル連結具の外周部を取り巻いて配列された状態で、可撓性回路ストリップのそれぞれの一端部をカテーテル連結具に取り付けることと、カテーテル連結具に取り付けられた可撓性回路ストリップを備える、カテーテルの遠位端アセンブリを形成することと、を含む。
前記可撓性回路ストリップのうちのそれぞれのストリップの前記記号のうちのそれぞれの記号に対応して、前記カテーテルの電極の導通を確認することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
広範囲にわたる医療処置が、カテーテルなどのプローブを患者の体内に配置することを伴う。このようなプローブを追跡するために、位置感知システムが開発されてきた。磁気的位置感知は、当該技術分野において既知の方法のうちの1つである。磁気的位置感知においては、磁界発生器は通常、患者の体外の既知の位置に配置される。プローブの遠位端内の磁界センサは、これらの磁界に応答して電気信号を生成し、これらの信号は、プローブの遠位端の座標位置を判定するために処理される。これらの方法及びシステムは、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号、及び同第6,332,089号、国際公開第1996/005768号、並びに米国特許出願公開第2002/006455号、同第2003/0120150号、及び同第2004/0068178号に説明されている。位置はまた、インピーダンス又は電流ベースのシステムを使用して追跡されてもよい。
【0003】
これらのタイプのプローブ又はカテーテルが極めて有用であると証明されている医療手順の1つは、心不整脈の治療におけるものである。心不整脈及び特に心房細動は、特に老年人口では、一般的かつ危険な疾患として根強く存在する。
【0004】
心不整脈の診断及び治療には、心臓組織、特に心内膜の電気的特性をマッピングすること、並びにエネルギーの印加によって心臓組織を選択的にアブレーションすることが含まれる。そのようなアブレーションにより、不要な電気信号が心臓のある部分から別の部分へと伝播するのを停止させるか又は修正することができる。アブレーションプロセスは、非導電性の損傷部を形成することによって不要な電気経路を破壊するものである。様々なエネルギー送達の様式が、損傷部を形成する目的でこれまでに開示されており、心臓組織壁に沿って伝導ブロックを作成するためのマイクロ波、レーザ、及びより一般的には高周波エネルギーの使用が挙げられる。マッピングの後にアブレーションを行う2工程の処置において、通常、1つ又は2つ以上の電気センサを含むカテーテルを心臓の中へと前進させ、複数のポイントでデータを取得することによって、心臓内の各ポイントにおける電気活動を感知及び測定する。次いで、これらのデータを利用して、このアブレーションを行うべき心内膜の標的領域を選択する。
【0005】
電極カテーテルは、長年にわたり医療現場で一般的に使用されている。電極カテーテルは、心臓内の電気活動を刺激かつマッピングし、異常な電気活動が見られる部位をアブレーションするために使用される。使用時には、電極カテーテルは、主要な静脈又は動脈、例えば大腿静脈に挿入された後、関心の対象である心臓の心室内へとガイドされる。典型的なアブレーション処置は、その遠位端に1つ又は2つ以上の電極を有するカテーテルを心腔に挿入することを伴う。参照電極は、一般的には患者の皮膚にテープで貼り付けられるか、あるいは心臓内又は心臓付近に配置されている第2のカテーテルによって提供され得る。RF(radio frequency、高周波)電流がアブレーションカテーテルの先端電極(複数可)を通して印加され、先端電極(複数可)と不関電極との間の先端電極の周囲の媒質、すなわち、血液及び組織に電流が流れる。電流の分布は、組織より高い導電性を有する血液との比較における、組織と接触している電極表面の量に依存する。組織の加熱が組織の電気抵抗に起因して生じる。組織が十分に加熱されると、心臓組織において細胞破壊が引き起こされ、結果として、非電導性である心臓組織内に損傷部が形成される。
【0006】
Kohらの米国特許公開第2008/0252311号は、プリント回路基板(printed circuit board、PCB)の製造中などの組み立て製造プロセス中に検証承認(verification buy-off)動作を実行するための装置及び方法を記載する。加工装置は、プローブアセンブリと、所定の位置に搭載されているが、まだ電気的に未連結の複数の構成要素を有するアセンブリのうちの第1の構成要素との間の接触を確立し、第1の構成要素と関連付けられた構成要素値をプローブアセンブリから受信するように構成される。好ましくは、加工装置は、受信された構成要素値が所定の仕様内にあるかどうかを更に判定する。加工装置は、好ましくは、グラフィカルユーザインターフェース(graphical user interface、GUI)を介して、ユーザがプローブアセンブリを第1の構成要素に近接する位置まで操るのを案内する。GUIは、好ましくは、アセンブリの画像表示、及び第1の構成要素の場所をその上で識別するマーカを提供する。アセンブリの全ての構成要素は、好ましくは、本格的な生産稼働の前に個々に検証される。
【0007】
Holecらの米国特許公開第2015/0173183号は、以下の特徴のうちの1つ以上を含む、相互接続可能な回路基板について記載している。(a)回路基板の上部に位置する第1の導電性パッド、(b)回路基板を貫通する導電性パッド上のめっきされたスルーホール、(c)めっきされたスルーホールに結合された第2の導電性パッドであって、第2の相互接続可能な回路基板の上部に取り付けられた、第3の導電性パッドに電気的に接続可能な第2の導電性パッド、(d)回路基板を分離するための安全な場所を示すカットマーク、及び(e)第1のカットマークと第2のカットマークとの間の領域を利用して、回路基板を通る安全なカットを行うことができる、第1のカットマークに隣接する第2のカットマーク。
【発明を実施するための形態】
【0020】
概論
バスケットカテーテルなどのカテーテルを試験するとき、特にカテーテルが双方向性である場合、並べることが容易な曲線の指標がないため、バスケットの1つのスプラインを別のスプラインと混同し易いことがしばしばある。例えば、カテーテルが10以上のスプラインを有する場合、カテーテルの撓みを試験するために、どの2つのスプラインが撓み曲線と最も同一の面にあるかを選ぶことが困難であることがしばしばある。
【0021】
組み立て中、スプライン上の電極の導通をチェックするが、試験操作者が1つのスプラインを別のスプラインと混同すると、試験において誤った読み取り又は遅延を生じさせる可能性がある。
【0022】
上記の問題に対する1つの解決策は、スプラインのうちの1つ以上に追加の電極リングを設け、1つのスプラインを他から区別することを助けることである。追加の電極は有用な指標となり得る一方、スプラインのうちの1つ又は2つを識別するのみであり、何らかの説明を必要とする。
【0023】
本発明の実施形態は、カテーテルスプラインの可撓性回路ストリップに文字(例えば、A、B、Cなど)又は他の記号(例えば、数字)で直接標識付けすることによって、上記の問題を解決する。読み取り可能な任意の文字又は形状が、回路に適用され得る。その結果、スプラインをカテーテルの他の部分にどのように接続すべきかを容易に判定するために、文字又は他の記号をカテーテル製造において使用することができる。文字又は他の記号はまた、操作者がカテーテルをスプライン上に示される文字又は記号に従って位置合わせすることを容易に可能にすることによって、試験及び構成中に有用であり得る。例えば、構成中、文字又は他の記号を使用して、カテーテルを位置追跡システムに容易に位置合わせすることができる。文字又は記号はまた、カテーテル又はカテーテルの構成に関する問題を特定することに有用であり得る。文字又は記号は、可撓性回路ストリップの機能構成要素と共に、可撓性回路設計に容易に追加され得る。
【0024】
製造中における部品の位置合わせを助けるため、追加的な測定に依存する代わりに、位置合わせマーク(例えば、線)をまた、可撓性回路ストリップに追加してもよい。これらの位置合わせマークはまた、デバイスが適切に組み立てられたことを確かめるために、追加の組み立て後のチェックとしても役立ち得る。
【0025】
異なる標識付けがされたストリップはまた、異なる電気的機能、及び/又は異なる数、及び/又は異なる間隔の電極を備えてもよいことに留意されたい。他の実施形態では、異なる標識付けがされた2つ以上のストリップは、標識が異なる以外、同一であってもよい。
【0026】
個々のストリップを含む可撓性回路のパネルから形成されたスプラインからバスケットカテーテルを組み立てるとき、問題が生じ得る。ストリップのうちの1つが不良である場合、セット全体を廃棄する必要があり得る。本発明の実施形態は、可撓性回路ストリップを文字又は記号で標識付けし、かつ単一のパネル上に全く同じ可撓性回路ストリップ(複数)を提供しており、その結果、1つのストリップが不良である場合、同じ文字又は記号を有する別のストリッを代わりに使用し得るため、より費用効率の高い製造プロセスを提供する。例えば、ストリップが繰り返してAからJ(例えば)まで標識付けされている状態で、880個の回路ストリップを単一の可撓性回路パネル上に形成してもよい。次いで、可撓性回路パネルが分割される。(例えば)「A」と記されたストリップ(又はスプライン)のうちの1つが不良であると判明した場合、もう一つの「A」ストリップ(又はスプライン)を、代わりに使用することができるなどである。
【0027】
本発明の実施形態は、それぞれの異なる記号が上部に記された状態で可撓性回路ストリップを備える遠位端アセンブリを含むカテーテルデバイスを含み、各ストリップは、少なくとも1つのそれぞれの電極を含む。カテーテルデバイスはまた、カテーテル連結具を含む。それぞれの可撓性回路ストリップの一端部は、可撓性回路ストリップの各記号(例えば、いくつかのマーカから、A、B、Cなどの順序で)に対応して、可撓性回路ストリップがカテーテル連結具の外周部を取り巻いて配列された状態で、カテーテル連結具と接続されている。いくつかの実施形態では、細長い撓み可能要素は、カテーテル連結具の近位に接続される。他の実施形態では、カテーテル連結具は、細長い撓み可能要素と一体的に形成される。
【0028】
本発明の実施形態は、細長い撓み可能要素に近位に接続され得るカテーテル連結具に取り付けられた可撓性回路ストリップからカテーテルの遠位端アセンブリを形成することを含む、カテーテル製造方法を含む。本方法はまた、それぞれの異なる記号が上部に記された状態で、任意選択的に、それぞれの位置合わせマーキングを有する可撓性回路ストリップを形成することを含む。各ストリップは、通常、1つ又は2つ以上の電極を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、本方法は、未カット形態の可撓性回路ストリップを含む可撓性回路パネルを形成することと、可撓性回路パネルをカットして、分離されたストリップとして可撓性回路ストリップを形成することと、を含む。いくつかの実施形態では、可撓性回路パネルを形成することは、記号のそれぞれの複数のコピー、例えば、上部に文字Aを有する複数のストリップ、及び上部に文字Bを有する複数のストリップなどを有する、可撓性回路パネルを形成することを含む。
【0030】
本方法は、可撓性回路ストリップのそれぞれの記号に対応して、可撓性回路ストリップがカテーテル連結具の外周部を取り巻いて配列された状態で、各可撓性回路ストリップの一端部をカテーテル連結具に取り付けることを含む。例えば、可撓性回路ストリップは、文字Aで始まり、文字Bに続くなどの、ストリップ上に記される文字に従って、カテーテル連結具の周りを取り巻いて配列されてもよい。いくつかの実施形態では、取り付けることは、可撓性回路ストリップのそれぞれの位置合わせマーキングに対応して、各可撓性回路ストリップの端部をカテーテル連結具に位置合わせすることを含む。
【0031】
カテーテルの試験中、方法は、可撓性回路ストリップのうちの1つ以上の記号のうちの1つ以上に対応して、遠位端アセンブリの撓み平面を撓み測定要素と位置合わせすること(例えば、A及びFと記されたストリップを撓み測定要素の平面と位置合わせすること)と、カテーテルを(例えば、最大撓みに)撓ませることと、撓み測定要素でカテーテルの撓みを確認することと、を含み得る。いくつかの実施形態では、撓み測定要素は、公称曲線及び撓み可能な領域が含まれ得る許容可能なゾーンを示す使用され得る積層紙描画を含んでもよい。
【0032】
カテーテルの他の試験中、方法は、可撓性回路ストリップの記号に対応して、カテーテルの電極の導通を確認することを含み得る。例えば、電極は、文字Aで記されたストリップについて、続いて文字Bで記されたストリップについて、などのようにについて試験されてもよい。
【0033】
較正手順中、方法は、可撓性回路ストリップのうちのそれぞれのストリップの記号のうちの1つ以上に対応して、遠位端アセンブリを、位置追跡システム(例えば、磁気位置追跡システム)と位置合わせすること(例えば、Aと記されたストリップを磁気放射器の軸と位置合わせすること)と、位置合わせに対応して、位置追跡システムでカテーテルの較正を実行することと、を含み得る。
【0034】
システムの説明
次に、本発明の一実施形態により構築され、動作するカテーテル10の概略図である
図1を参照する。
図1〜
図9を参照して説明されたカテーテル10は、例としてバスケットカテーテルである。カテーテル10は、任意の好適なスプラインベースのカテーテル、例えば、California、IrvineのBiosense WebsterのPENTARAY(登録商標)として実装されてもよい。
図1〜
図9を参照して説明されるカテーテル10は、10個のスプラインを含む。カテーテル10は、任意の好適な数のスプラインで実装されてもよい。
【0035】
カテーテル10は、遠位端14と、遠位端14に接続された連結具16と、遠位部分20を含むプッシャ18と、を有する細長い撓み可能要素12を含む。プッシャ18は、例えば、マニピュレータ又はハンドル(図示せず)を使用して、撓み可能要素12を通って前進及び後退するように構成される。カテーテル10はまた、複数の可撓性回路ストリップ24(簡略化のためにいくつかのみ標識付けされている)を備える遠位端アセンブリ22も含む。各可撓性回路ストリップ24は、上部に配設された複数の電極26(簡略化のためにいくつかのみ標識付けされている)を含む。いくつかの実施形態では、ストリップ24は、1つの電極26を含んでもよい。連結具16は、細長い撓み可能要素12に接続されている。連結具16の近位端は、接着剤、例えば、エポキシを使用するなど、任意の好適な接続方法を使用して、細長い撓み可能要素12に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、連結具16及び細長い撓み可能要素12は、一体要素として形成される。カテーテル10はまた、プッシャ18に遠位に接続されたノーズコネクタ30を含む。各可撓性回路ストリップ24の一端部は、連結具16の内側表面に接続され、各可撓性回路ストリップ24の別の端部は、
図7を参照してより詳細に説明されるように、ノーズコネクタ30の内側表面に接続される。カテーテル10はまた、ノーズコネクタ30の遠位端を覆うノーズキャップ32を含む。可撓性回路ストリップ24の端部は、ノーズコネクタ30に折り重ねられている。いくつかの実施形態では、可撓性回路ストリップ24の端部は、折り重ねられていなくてもよい。
【0036】
各可撓性回路ストリップ24は、遠位端アセンブリ22の形状を遠位端アセンブリ22が拡張された形態で提供する細長い弾性支持要素48(簡略化のために1つのみ標識付けされている)で裏打ちされている。細長い弾性支持要素48は、任意の好適な材料、例えば、これらに限定されないが、ニチノール及び/又はポリエーテルイミド(PEI)を含んでもよい。細長い弾性支持要素48は、可撓性回路ストリップ24の近位端から、
図7を参照してより詳細に説明されるヒンジ28(簡略化のために1つのみ標識付けされている)まで、延びてもよい。いくつかの実施形態では、細長い弾性支持要素48は、任意選択である。
【0037】
ここで、本発明の一実施形態に従って構築され動作する可撓性回路パネル8の概略図である
図2を参照する。可撓性回路ストリップ24は、ポリイミドなどの単一のポリマー部品から形成されてもよい。回路ストリップ24は、ポリイミドによって互いに接続されてもよく、又は適切な位置合わせで保持され、連結具16に固定される個々の部品として組み立てられてもよい。それぞれの可撓性回路ストリップ24のうちのそれぞれの第1の端部42は、電気的接続アレイ60を含む。挿入部62は、電気的接続アレイ60が上部に電気接点64を含むことを示す(簡略化のためにいくつかのみ標識付けされている)。電気接点64は、可撓性回路ストリップ24の後面上のトレース(図示せず)を介して、可撓性回路ストリップ24の前面に配設された電極26のうちのそれぞれの電極に接続される。ワイヤ(図示せず)は、電気接点64を介して、電極26を制御回路(図示せず)に接続してもよい。ワイヤは、細長い撓み可能要素12の管腔(図示せず)内に配設されてもよい(
図1)。
【0038】
可撓性回路ストリップ24は、任意の好適な寸法を有してもよい。例えば、可撓性回路ストリップ24の長さは、10mm〜60mmの範囲内、例えば30mmであってもよく、可撓性回路ストリップ24の幅は、0.25mm〜3mmの範囲内、例えば0.72mmであってもよく、可撓性回路ストリップ24の厚さは、0.005mm〜0.14mmの範囲内であってもよい。
【0039】
各可撓性回路ストリップ24は、異なる文字又は他の記号66で標識付けされている。
図2の実施例では、各ストリップ24は、端部42に近接して1回及び他方の(先細の)端部46に近接して1回の2回、異なる文字で2標識付けされている。例えば、文字Aは、可撓性回路ストリップ24の一方の端部42に近接して配設され、もう1つの文字Aは、そのストリップ24の他方の端部46に近接して配設されている。任意の好適な記号、例えば、数字、任意のアルファベットの文字、又は他の記号が使用されてもよい。記号は、エッチング、スパッタリング、めっき、又は直接レーザマーキングなどの標準的なリソグラフィ方法を通じて回路製造プロセス中に追加されてもよい。各可撓性回路ストリップ24はまた、位置合わせマーキング72(例えば、線又は他のマーク又は記号)を含んでもよい。簡略化の目的で、位置合わせマーキング72の一部のみが、標識付けされている。
【0040】
ここで、
図2のパネル8からカットされた単一の可撓性回路ストリップ24の概略図である、
図3を参照する。次いで、カットされた可撓性回路ストリップ24は、
図4を参照してより詳細に説明されるように、細長い弾性支持要素48を使用して強化され、かつ他の要素及び被覆に接続されてもよい。
【0041】
ここで、
図3の線A−Aを通る断面図である
図4を参照する。
【0042】
糸52は、例えば、ニチノール又はポリエチレンイミン(PEI)から形成された細長い弾性支持要素48(
図1)の長さに沿って通されることができ、かつ糸52はそれを超えてヒンジ28(
図1)の長さにまで延びる。細長い弾性支持要素48は、例えば、0.025mm〜0.25mmの範囲内の任意の好適な厚さを有してもよい。熱可塑性ポリマー樹脂収縮包装(PET)などの被覆68が、糸52及び細長い弾性支持要素48を覆って配置されてもよい。エポキシが、被覆68に注入され得る。次いで、熱が被覆68に適用され得、それによって、糸52及び細長い弾性支持要素48を覆って被覆68を収縮させる。細長い弾性支持要素48を被覆68で被覆する1つの理由は、細長い弾性支持要素48を可撓性回路ストリップ24の回路トレースから電気的に絶縁するためである。被覆68は、例えば、細長い弾性支持要素48が絶縁コーティング(例えば、ポリウレタン)で被覆されているか、又は絶縁材料で構成されている場合には省略されてもよい。
【0043】
次いで、可撓性回路ストリップ24は、可撓性回路ストリップ24の回路トレース側が細長い弾性支持要素48に面し、可撓性回路ストリップ24の電極(複数可)26が細長い弾性支持要素48に背を向けた状態で、糸52及び細長い弾性支持要素48の上に配置され得る。次いで、被覆54が可撓性回路ストリップ24、糸52、及び細長い弾性支持要素48の組み合わせの周りに配設され得、エポキシ70が、被覆54に注入される。次いで、被覆54が加熱され得、それによってその組み合わせの周りの被覆54を収縮させる。したがって、可撓性回路ストリップ24は、被覆54、例えば、熱可塑性ポリマー樹脂収縮包装(PET)で被覆される。
【0044】
糸52は、超高分子量ポリエチレン糸、又は液晶ポリマーから紡糸された糸、のうちの任意の1つ又は2つ以上を含み得る。糸52は、例えば、25デニール〜250デニールの範囲の任意の好適な線密度であってもよい。
【0045】
ここで、異なる記号のストリップ24の複数のコピーを有する可撓性回路パネル74の概略図である、
図5を参照する。可撓性回路パネル74は、単一パネル上に全く同じ可撓性回路ストリップ24(簡略化のためにいくつかのみ標識付けされている)を提供しており、その結果、1つのストリップ24が不良である場合、同じ記号を有する別のストリップを代わりに使用することができる。例えば、ストリップ24が繰り返してAからJ(例えば)まで標識付けされている状態で、880個の回路ストリップ24を単一の可撓性回路パネル上に形成してもよい。次いで、可撓性回路パネルが分割される。(例えば)「A」と記されたストリップ24のうちの1つが不良であることと判明した場合、もう一つの「A」ストリップ24を代わりに使用することができる、などである。
【0046】
ここで、
図6及び
図7を参照する。
図6及び
図7は、可撓性回路ストリップ24上の記号66を示す、
図1のカテーテル10の概略図である。
【0047】
図6は、プッシャ18の遠位部分20に接続された、ノーズコネクタ30を示す。
図6及び
図7は、可撓性回路ストリップ24が、可撓性回路ストリップ24のヒンジ28(簡略化のためにいくつかのみ標識付けされている)を介してノーズコネクタ30に接続されていることを示す。可撓性回路ストリップ24は、ストリップ24の第1の端部42(
図2)が連結具16の内側表面に接続されている状態で、プッシャ18の遠位部分20の周りの全周に配設されている。
【0048】
図7は、可撓性回路ストリップ24がノーズコネクタ30にどのように接続されているかを示すために、カテーテル10から取り外されたノーズキャップ32(
図1)を示す。ノーズコネクタ30は、内側表面36及び遠位に向いた開口部38を有する遠位受容部34を含む。遠位に向いた開口部38に入るそれぞれのヒンジ28を備えるストリップ24の第2の端部46(簡略化のためにいくつかのみ標識付けされている)は、ノーズコネクタ30の遠位受容部34の内側表面36に接続されている。
【0049】
図1を参照して先に述べたように、細長い弾性支持要素48は、連結具16からそれぞれのヒンジ28の前まで、それぞれのストリップ24の内側表面に沿って延びる。したがって、ヒンジ領域は、細長い弾性支持要素48を含む領域よりもはるかに薄くてもよい。ヒンジ28は、例えば、10〜140マイクロメートルの範囲内の任意の好適な厚さを有してもよい。
【0050】
図7はまた、それぞれの可撓性回路ストリップ24の第2の端部46が、可撓性回路ストリップ24の幅の端から端が先細になっており、第2の端部46を重なり合うことなく、第2の端部46を遠位受容部34に挿入することを可能にする。ヒンジ28は、任意の好適な接着剤、例えば、エポキシを使用して、かつ/又は任意の好適な接続方法を使用して、遠位受容部34の内側表面36に接続されてもよい。
図4を参照して先に述べたように、可撓性回路ストリップ24のヒンジ28は、典型的に各それぞれの可撓性回路ストリップ24の長さに延びる長さの糸52(
図4)で支持される。
図7はまた、ノーズコネクタ30の遠位受容部34内に配設された位置センサ76を示す。
【0051】
図6及び
図7は、遠位端アセンブリ22が、それぞれの異なる記号66(簡略化のためにいくつかのみ標識付けされている)が上部に記された状態の可撓性回路ストリップ24を含み、各ストリップ24が電極(複数可)26を含む(
図6)ことを示している。各可撓性回路ストリップ24の端部42は、それぞれの可撓性回路ストリップ24のそれぞれの記号66に対応して、可撓性回路ストリップ24がカテーテル連結具16の外周部を取り巻いて配列された状態で、カテーテル連結具16に接続されている。
図6はまた、可撓性回路ストリップ24を連結具16の遠位縁部と位置合わせするために使用される位置合わせマーキング72(簡略化のためにいくつかのみ標識付けされている)を示す。連結具16が透明又は半透明であるとき、位置合わせマーキング72は連結具16の外側から見え得るので、位置合わせマーキング72は連結具16の遠位縁部(すなわち、連結具16の内側)の近位に位置合わせされてもよい。
【0052】
ここで、
図1のカテーテル10の構成及び試験を例解する概略図である、
図8を参照する。記号66(例えば、挿入部78に示される文字A)は、試験のために、ユーザがカテーテル10の撓み平面80を撓み測定要素82と容易に位置合わせすること、及び/又はカテーテル10を、所与の構成で位置合わせされた磁気放射器を含み得る位置追跡システム84と位置合わせすること、及び/又は、異なる可撓性回路ストリップ24(いくつかのみ標識付けされている)の中から、電極26(いくつかのみ標識付けされている)を容易に選択することを可能にする。
【0053】
ここで、
図1のカテーテル10の製造及び試験方法における工程を含むフローチャート100である、
図9を参照する。
図1もまた参照する。本方法は、任意選択的に、連結具16を細長い撓み可能要素12に接続すること(ブロック102)を含む。本方法は、遠位端アセンブリ22を形成すること(ブロック104)を含む。ブロック104の工程は、それぞれの異なる記号66が上部に記され(
図2)、任意選択的に、それぞれの位置合わせマーキング72を有する(
図2)可撓性回路ストリップを形成すること(ブロック106)を含み、各ストリップは少なくとも1つのそれぞれの電極26を含む。ブロック106の工程は、未カット形態の可撓性回路ストリップ24を含む可撓性回路パネル8(
図2)を形成すること(ブロック108)と、可撓性回路パネル8をカットして、分離されたストリップ24として可撓性回路ストリップ24を形成すること(ブロック110)を含み得る。いくつかの実施形態では、ブロック108の工程は、記号66のそれぞれの複数のコピーを有する可撓性回路パネル74(
図5)を形成することを含む。換言すれば、複数の同一の可撓性回路ストリップ24を形成することである。ブロック104の工程はまた、それぞれの可撓性回路ストリップ24のそれぞれの記号66に対応して、可撓性回路ストリップ24がカテーテル連結具16の外周部を取り巻いて配列された状態で、各可撓性回路ストリップ24の端部42(
図2)を連結具16に(かつ任意選択的に、各可撓性回路ストリップ24の第2の端部46(
図7)をノーズコネクタ30(
図7)に)取り付けること(ブロック112)を含む。いくつかの実施形態では、取り付けることは、それぞれの可撓性回路ストリップ24のそれぞれの位置合わせマーキング72に対応して、各可撓性回路ストリップ24の端部42をカテーテル連結具16に位置合わせすることを含む。
【0054】
カテーテル10の較正の一部として、本方法は、可撓性回路ストリップ24のうちのそれぞれ1つ以上の記号66のうちの1つ以上に対応して、遠位端アセンブリ22を位置追跡システム84(
図8)と位置合わせすること(ブロック114)(例えば、Aと記されたストリップ24を位置追跡システム84の磁気放射器のうちの1つ以上の軸と位置合わせすること)と、位置合わせに対応して、位置追跡システム84でカテーテル10の較正を実行すること(ブロック116)と、を含み得る。
【0055】
試験手順の一部として、本方法は、可撓性回路ストリップ24のうちのそれぞれの1つ以上のストリップの記号66のうちの1つ以上に対応して、遠位端アセンブリ22の撓み平面80(
図8)を撓み測定要素82(
図8)と位置合わせすること(ブロック118)と、カテーテル10を撓ませること(例えば、カテーテル10を完全に撓ませること)(ブロック120)と、撓み測定要素82でカテーテル10の撓みを確認すること(ブロック122)と、を含んでもよい。試験手順の一部として、本方法は、可撓性回路ストリップ24のうちのそれぞれのストリップの記号66のうちのそれぞれの記号に対応して、カテーテル10の電極26の導通を確認すること(ブロック124)を含み得る。
【0056】
本明細書で任意の数値又は数値の範囲について用いる「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書において説明されるその意図された目的に沿って機能することを可能にする、好適な寸法の許容誤差を示すものである。より具体的には、「約(about)」又は「約(approximately)」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指し得、例えば「約90%」は、72%〜108%の値の範囲を指し得る。
【0057】
本発明の様々な特徴が、明確性のために別個の実施形態の文脈において記載されているが、これらが単一の実施形態に組み合わされて提供されてもよい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において記載されている本発明の様々な特徴が、別々に又は任意の好適な部分的組み合わせで提供されてもよい。
【0058】
上に記載される実施形態は、例として引用されており、本発明は、上記の明細書に具体的に図示及び記載されたものによって限定されない。むしろ本発明の範囲は、上で説明される様々な特徴の組み合わせ及びその部分的組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、従来技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。
【0059】
〔実施の態様〕
(1) カテーテル製造方法であって、
それぞれの異なる記号が上部に記された可撓性回路ストリップを形成することであって、各ストリップが少なくとも1つのそれぞれの電極を含む、ことと、
前記可撓性回路ストリップのうちのそれぞれのストリップの前記それぞれの記号に対応して前記可撓性回路ストリップがカテーテル連結具の外周部を取り巻いて配列された状態で、前記可撓性回路ストリップのそれぞれの一端部を前記カテーテル連結具に取り付けることと、
前記カテーテル連結具に取り付けられた前記可撓性回路ストリップを備える、カテーテルの遠位端アセンブリを形成することと、を含む、方法。
(2) 前記カテーテル連結具を細長い撓み可能要素に接続することを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記可撓性ストリップを前記形成することは、それぞれの位置合わせマーキングを有する前記可撓性回路ストリップを形成することを含み、
前記取り付けることは、前記可撓性回路ストリップのうちのそれぞれのストリップの前記それぞれの位置合わせマーキングに対応して、前記可撓性回路ストリップのそれぞれの端部を前記カテーテル連結具に位置合わせすることを含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記可撓性回路ストリップを未カット形態で含む、可撓性回路パネルを形成することと、
前記可撓性回路パネルをカットして、分離されたストリップとして前記可撓性回路ストリップを形成することと、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記可撓性回路パネルを形成することは、前記記号のそれぞれの複数のコピーを有する前記可撓性回路パネルを形成することを含む、実施態様4に記載の方法。
【0060】
(6) 前記可撓性回路ストリップのうちのそれぞれのストリップの前記記号のうちの1つに対応して、前記遠位端アセンブリを、位置追跡システムと位置合わせすることと、
前記位置合わせに対応して、前記位置追跡システムで前記カテーテルの較正を実行することと、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記可撓性回路ストリップのうちのそれぞれのストリップの前記記号のうちの1つに対応して、前記遠位端アセンブリの撓み平面を撓み測定要素と位置合わせすることと、
前記カテーテルを撓ませることと、
前記撓み測定要素で前記カテーテルの撓みを確認することと、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記可撓性回路ストリップのうちのそれぞれのストリップの前記記号のうちのそれぞれの記号に対応して、前記カテーテルの電極の導通を確認することを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(9) カテーテル較正方法であって、
カテーテルを位置追跡システムと接続することであって、前記カテーテルが、それぞれの異なる記号が上部に記された可撓性回路ストリップを含む遠位端アセンブリを備え、各ストリップが少なくとも1つのそれぞれの電極を含み、前記可撓性回路ストリップのうちのそれぞれのストリップの前記それぞれの記号に対応して前記可撓性回路ストリップがカテーテル連結具の外周部を取り巻いて配列された状態で、前記可撓性回路ストリップのそれぞれの一端部が前記カテーテル連結具に接続される、ことと、
前記可撓性回路ストリップのうちのそれぞれのストリップの前記記号のうちの1つに対応して、前記遠位端アセンブリを、前記位置追跡システムと位置合わせすることと、
前記位置合わせに対応して、前記位置追跡システムで前記カテーテルの較正を実行することと、を含む、カテーテル較正方法。
(10) カテーテルデバイスであって、
それぞれの異なる記号が上部に記された可撓性回路ストリップを含む遠位端アセンブリであって、各ストリップが少なくとも1つのそれぞれの電極を含む、遠位端アセンブリと、
カテーテル連結具であって、前記可撓性回路ストリップのうちのそれぞれのストリップの前記それぞれの記号に対応して前記可撓性回路ストリップが前記カテーテル連結具の外周部を取り巻いて配列された状態で、前記可撓性回路ストリップのそれぞれの一端部が前記カテーテル連結具と接続されている、カテーテル連結具と、を備える、カテーテルデバイス。
【0061】
(11) 前記カテーテル連結具に接続された細長い撓み可能要素を更に備える、実施態様10に記載のデバイス。