【解決手段】本発明の軽金属射出装置の逆流防止装置は、弁体とセラミックで形成された弁座とを有して、耐食耐熱鋼で形成された弁体を前進させてセラミックで形成された弁座に着座させることで、溶融部の中と射出部の中を連通する連通路を開閉する弁部と、弁体を接続した駆動体を前後に移動させる弁体駆動装置と、駆動体が少なくとも所定の前進限界位置に到達したことを検出する位置センサと、位置センサの信号に基づいて、弁体駆動装置を制御する弁体駆動制御装置と、を備えている。
前記弁体駆動制御装置は、前記弁座と前記弁体を離すことで前記連通路を開く際に、着座した前記弁体を前記弁座から所定の後退距離だけ後退するように前記弁体駆動装置を制御する、
請求項4の軽金属射出装置の逆流防止装置。
前記弁体駆動制御装置は、 前記消耗量に対して相関関係を有する距離として、前記駆動体の前記所定の前進限界位置と、前記弁体を前記弁座に着座させた際または着座した前記弁体を前記弁座から所定の後退距離だけ後退させた際の前記駆動体の位置と、の間の距離を演算する、
請求項6の軽金属射出装置の逆流防止装置。
前記弁体駆動制御装置は、前記弁体が前記弁座に着座して前記連通路を閉じる際に、前記弁体が前記弁座に当接したあと、前記弁体の先端が弾性変形して前記弁体と前記弁座が互いに面で当接することができる所定の圧力で前記弁体が前記弁座を押すように前記弁体駆動装置を制御する、
請求項1の軽金属射出装置の逆流防止装置。
前記弁体を前記駆動体に取り付けたあと最初に前記弁体を前記弁座に着座させた際の前記駆動体の位置と、それ以降に前記弁体を前記弁座に着座させた際の前記駆動体の位置と、の間の距離を演算して、前記消耗量を検出する、
請求項14の軽金属射出装置の逆流防止方法。
前記所定の前進限界位置と、前記弁体を前記弁座に着座させた際または着座した前記弁体を前記弁座から所定の距離だけ後退させた際の前記駆動体の位置と、の間の距離を演算して、前記消耗量に対して相関関係を有する距離を検出する、
請求項14の軽金属射出装置の逆流防止方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の軽金属射出装置の逆流防止装置を
図1から
図11に示す実施形態の一例を用いて説明する。
図1は、本発明の逆流防止装置を搭載した軽金属射出装置を示す概略図である。
図2は、本発明の逆流防止装置を搭載した別の軽金属射出装置を示す概略図である。
図3は、本発明の逆流防止装置を搭載した軽金属射出装置の概要を示すブロック図および当該軽金属射出装置を備える軽金属射出成形機の概要を示すブロック図である。
図4は、本発明の逆流防止装置を示す概略図である。
図5は、弁体を取り付ける状態を示す概略図である。
図6は、弁体が弁座に着座して連通路を閉じた状態を示す概略図である。
図7は、弁体が弁座から所定の距離だけ離れて連通路を開いた状態を示す概略図である。
図8は、消耗した弁体が着座する前に所定の前進限界位置に到達した状態を示す概略図である。
図9は、弁体が退避位置まで後退した状態を示す概略図である。
図10は、本発明の逆流防止装置の動作フローを示すフロー図である。
図11は、本発明の逆流防止装置の動作を示す概略図である。
【0017】
本発明の軽金属射出装置120の逆流防止装置1は、
図1から
図3に示すように、軽金属射出成形機100に備えられている軽金属射出装置120で使われる。
【0018】
軽金属射出成形機100は、型締装置110と、軽金属射出装置120と、それらを制御する主制御装置130とを少なくとも備えている。型締装置110および軽金属射出装置120は、それぞれ各種駆動部および各種センサを備えている。主制御装置130は、型締装置110および軽金属射出装置120に接続されて、それらを制御している。また軽金属射出成形機100は、操作パネル140と、表示装置150とを備えている。操作パネル140および表示装置150は、主制御装置130に接続されている。操作パネル140は、軽金属射出成形機100の操作および軽金属射出成形機100の各種設定の入力を行う際に使用される。表示装置150は、軽金属射出成形機100の各種設定の表示および各装置の状況を表示する。
【0019】
型締装置110は、金型160を搭載している。型締装置110は、金型160を開閉するとともに閉じた金型160を型締めする。型締めとは、閉じた金型160を閉じた方向にさらに締め付けることである。閉じた金型160の中にキャビティ空間161が形成されている。
【0020】
軽金属射出装置120は、未溶融の軽金属材料170を溶湯70に溶融し、一時的に貯留する。さらに軽金属射出装置120は、計量した溶湯70を金型160のキャビティ空間161の中に射出する。キャビティ空間161の中の溶湯70は、冷えて固まることで成形品180となる。
【0021】
成形品180は、金型160を開いて取り出される。成形品180は、開いた金型160に付着しているので、例えば金型160に備えられている不図示のエジェクタピンで突き出されることで金型160から取り出される。エジェクタピンは、型締装置110に備えられている不図示の突出装置によって駆動する。
【0022】
主制御装置130は、例えば1回の成形サイクルで、型閉工程、型締工程、計量工程、射出工程、冷却工程、型開工程そして突出工程を順に実施するように型締装置110および軽金属射出装置120を制御している。主制御装置130は、適時に未溶融の軽金属材料170を溶湯70に溶融して一時的に貯留するように軽金属射出装置120を制御している。なお計量工程は、例えば射出工程を除いた他の工程と並行して実施されてもよい。
【0023】
型閉工程は、金型160を閉じる工程である。型締工程は、金型160を型締めする工程である。計量工程は、溶湯70を計量する工程である。射出工程は、計量した溶湯70をキャビティ空間161の中に射出する工程である。冷却工程は、金型160の中で溶湯70を冷やして固化させる工程である。型開工程は、金型160を開く工程である。突出工程は、開いた金型160から成形品を180突き出す工程である。
【0024】
また射出工程は、少なくとも充填工程を含でいる。充填工程は、空のキャビティ空間161の中に溶湯70を充填する工程である。また射出工程は、充填工程のあとに実施される保圧工程を必要に応じて含んでもよい。保圧工程は、キャビティ空間161のゲート部分の溶湯が固化するまで、または、コールドプラグ190が生成されるまで、充填工程のあとも所定の保持圧力で充填動作を継続する工程である。コールドプラグ190は、後述される射出ノズル330の先端部の中の溶湯70が固化したものである。
【0025】
ここからは、軽金属射出装置120を詳しく説明する。軽金属射出装置120は、
図1および
図2に示すように、溶融部200と、射出部300と、連通路400と、逆流防止装置1とを備えている。
【0026】
溶融部200は、溶融炉210と、材料供給装置220と、を備えている。また溶融部200は、溶融炉210の中に一時的に貯留されている溶湯70の液面の高さ方向の位置(以下液面レベルと称する)を検出する液面レベルセンサ230を備えているとよい。
【0027】
溶融炉210は、材料供給装置220から供給される未溶融の軽金属材料170を不図示のヒータで加熱して溶湯に溶融するとともに溶湯を加熱しながら一時的に貯留する。溶融炉210は、例えば、
図1に示すように、バケット型の溶融炉211でもよい。バケット型の溶融炉211は、上部開口部が蓋部材212で覆われているとよい。溶融炉210は、例えば
図2に示すように、横長の溶融シリンダ213でもよい。ヒータは、例えば溶融炉210の外周に巻き回されている。なお溶融部200の中は、溶融炉210の中および溶融シリンダ213のシリンダ孔の中を示す。
【0028】
材料供給装置220は、溶融炉210の中に未溶融の軽金属材料170を供給する。主制御装置130は、液面レベルセンサ230が検出する溶融炉210の中の溶湯70の液面レベルが所定の液面レベルになるように材料供給装置220を制御している。
【0029】
材料供給装置220は、
図1に示すように、溶融部200がバケット型の溶融炉211であれば、バケット型の溶融炉211の上部開口部を覆う蓋部材212の一部に形成された材料投入口からバケット型の溶融炉211の中に未溶融の軽金属材料170の塊をプッシャ221などで運んで供給するように構成されてもよい。また材料供給装置220は、
図2に示すように、溶融部200が横長の溶融シリンダ213であれば、溶融シリンダ213の後端面に形成されたシリンダ孔の開口部からシリンダ孔の中に円柱形状に形成された未溶融の軽金属材料170をプッシャ221で押し込んで供給するように構成されてもよい。また材料供給装置220は、溶融部200が横長の溶融シリンダ213であれば、溶融シリンダ213の後部に上方に向かって形成された不図示の材料投入口からシリンダ孔の中に未溶融の軽金属材料170の塊を供給するように構成されてもよい。
【0030】
射出部300は、射出シリンダ310と、プランジャ320と、不図示の射出駆動装置と、射出ノズル330と、を備えている。
【0031】
射出シリンダ310は、シリンダ孔の中に溶融部200から供給される溶湯70を収容し、外周に巻き回された不図示のヒータによって加熱しながら溶湯70を一時的に貯留する。
【0032】
プランジャ320は、射出シリンダ310のシリンダ孔の中に前後に摺動可能に収容されている。溶湯70は、射出シリンダ310のシリンダ孔の中でかつプランジャ320の先端面の前方に形成された射出室311に供給されている。溶湯70は、プランジャ320が後退した位置によって計量される。溶湯70は、プランジャ320が前進することで射出ノズル330を通して金型160の中に射出される。なお射出部300の中は、射出室311の中を示す。
【0033】
射出駆動装置は、プランジャ320の後端部と接続されていて、プランジャ320を前後に駆動する。射出駆動装置は、主制御装置130によって制御されている。
【0034】
射出ノズル330は、射出シリンダ310の先端面に取り付けられている。射出ノズル330は、金型160に当接した際に、金型160の中と射出部300の中を連通するための射出孔が形成されている。射出ノズル330は、外周に巻き回された不図示のヒータによって射出孔の中の溶湯70を加熱している。
【0035】
連通路400は、例えば溶融部200と射出部300を連結する連結部材410の中に形成されている。連通路400は、溶融部200の中と射出部300の中を連通している。連通路400の溶融部側端部401は、溶融部200の中に開口している。連通路400の射出部側端部402は、射出部300の中に開口している。連結部材410は、巻き回された不図示のヒータによって連通路400の中の溶湯70を加熱している。
【0036】
逆流防止装置1は、例えば
図1に示すように、溶融部200の中の溶湯70を射出部300の中に供給する際に連通路400を開いて、例えば
図2に示すように、射出部300の中の溶湯70を金型160に射出する際に溶湯70が溶融部200の中に逆流することを防止するために連通路400を閉じる。
【0037】
ここからは、本発明特有の構成を詳しく説明する。
【0038】
本発明の軽金属射出装置120の逆流防止装置1は、
図3から
図9に示すように、弁部20と、弁体駆動装置30と、位置センサ40と、弁体駆動制御装置50とを備えている。
【0039】
弁部20は、弁体21と弁座22で構成されている。
【0040】
弁体21は、耐食耐熱鋼で形成されている。弁体21は、例えば棒形状である。弁体21の後端部は、弁体駆動装置30に接続されている。弁体21は、後述されるように簡単に交換可能に設けられている。
【0041】
弁座22は、セラミックで形成されている。弁座22は、連通路400の溶融部側端部401の開口の周囲に形成されている。また弁座22は、連通路400の途中に設けられていてもよい。また弁座22は、連通路400の射出部側端部402の開口の周囲に形成されていてもよい。
【0042】
弁座22が溶融部200の中に形成されている場合であれば、弁体21を溶融部200の外から中に挿通する弁体挿通孔201が溶融部200に形成されている。弁体挿通孔201は、例えばバケット型の溶融炉211の上部開口部を覆う蓋部材212に形成されている。また弁体挿通孔201は、例えば溶融シリンダ213に形成されている。このとき弁体挿通孔201は、溶融部200の外から中に弁体を挿通した際に、弁体21の先端面が弁座22に対面するように形成されている。
【0043】
弁体21は、胴部から後端部が溶融部200の外部に露出している。弁体21の後端部は、弁体駆動装置30に接続されている。弁体21は、弁体駆動装置30によって前後に移動する。弁体21は、前進して弁座22に着座することによって連通路400を閉じる。着座した弁体21は、弁座22から所定の距離だけ後退することによって連通路400を開く。所定の距離Gは、例えば、10mmから30mmまで、好ましくは20mmであるとよい。このとき弁体挿通孔201と弁体21との間は、シール部材でシールされていてもよい。
【0044】
また弁体21は、後端部に延長部材23を接続して、延長部材23を介して弁体駆動装置30に接続されていてもよい。延長部材23は、弁体21の外径よりも大きくかつ弁体挿通孔201の内径よりも小さく形成されているとよい。延長部材23の少なくとも一部は、弁体21が前後に移動して連通路400を開閉する際には弁体挿通孔201の中に配置されているとよい。延長部材23と弁体挿通孔201の間の隙間が小さければ、溶融部200の外から空気が入り込むことを防止することができる。このとき弁体挿通孔201と延長部材23との間は、シール部材でシールされていてもよい。
【0045】
また弁体21を交換する際に、弁体21と弁体挿通孔201の間の隙間が弁体挿通孔201と延長部材23の間の隙間よりも大きいことで、溶湯70または固化した溶湯70が付着した弁体21を容易に弁体挿通孔201から抜き出すことができる。なお延長部材23を用いるのではなく、
図1および
図2に示すように、弁体21の後部の外径を弁体21の前部の外径よりも大きく形成するようにしてもよい。このとき弁体挿通孔201と弁体21の後部との間は、シール部材でシールされていてもよい。
【0046】
弁体駆動装置30は、例えば弁体21を接続した駆動体31を弁体21と一緒に前後に移動させる。弁体駆動装置30は、例えば流体式のピストンシリンダ30aである。このとき駆動体31は、ピストン31aである。ピストン31aのロッドの先端部に弁体21の後端部を接続する。流体は、例えば、油またはエアなどである。ピストンシリンダ30aは、後述される前進限界位置から後退限界位置まで駆動体31が前後に移動する際の移動距離よりもピストン31aの移動距離の方が大きいものが採用される。なお弁体駆動装置30は、モータを利用した電動式でもよい。
【0047】
例えば弁体駆動装置30は、油圧式のピストンシリンダ30aと、不図示の油圧ポンプと、不図示の油タンクと、不図示の方向切換弁とを備えている。方向切換弁は、例えば4方向4ポート3位置電磁弁である。4方向4ポート3位置電磁弁は、Aポートにピストンシリンダ30aのピストンヘッド側油室を接続し、Bポートにピストンロッド側油室を接続し、Pポートに油圧ポンプを接続し、Tポートに油タンクを接続する。
【0048】
4方向4ポート3位置電磁弁は、AポートとPポートを接続しかつBポートとTポートを接続する第1切換え位置と、すべてのポートを閉じる第2切換え位置と、弁体が弁座にBポートとPポートを接続しかつAポートとTポートを接続する第3切換え位置とを切り換える。
【0049】
第1切換え位置は、弁体21を弁体21に当接するまで前進させる際、および、弁体21を弁座22に所定の圧力で押し付ける際に切り換えられる位置である。第2切換え位置は、弁体21が弁座22を所定の圧力で押し付けている状態を保持する際に切り換えられる。第3切換え位置は、弁座22に対して弁体21を後退させる際に切り換えられる。
【0050】
弁体駆動装置30は、例えば、複数のピストンシリンダ30a,30aと、本体固定部材32と、シリンダ取付部材33と、接続部材34と、複数の固定棒35,35とを備えている。複数のピストンシリンダ30a,30aは、同期して駆動する。本体固定部材32は、溶融部200に取り付けられている。本体固定部材32は、弁体21を移動可能に通すとともに溶融部200の弁体挿通孔201に繋がる位置に貫通孔32aが形成されている。溶融部200が蓋部材212を被せたバケット型の溶融炉211であれば、蓋部材212が本体固定部材32でもよい。蓋部材212が本体固定部材32のとき、蓋部材212に形成されている弁体挿通孔201が本体固定部材32に形成されている貫通孔32aになる。シリンダ取付部材33は、複数のピストンシリンダ30a,30aのそれぞれの後端部が取り付けられている。接続部材34は、複数のピストン31a,31aのロッドの先端部がそれぞれ接続されていて、本体固定部材32とシリンダ取付部材33の間を移動する。複数の固定棒35,35は、本体固定部材32にシリンダ取付部材33を固定している。複数の固定棒35,35は、接続部材34に形成した複数のガイド孔34b,34bにそれぞれ摺動可能に挿通して、接続部材34の前後方向の移動を案内してもよい。このとき駆動体31は、複数のピストン31a,31aと接続部材34で構成されている。弁体21または弁体21を取り付けた延長部材23は、駆動体31の接続部材34に接続されている。また延長部材23も駆動体31に含んでもよい。また弁体21における消耗しない部分も駆動体31に含んでもよい。
【0051】
さらに接続部材34は、弁体21の交換時に、弁体21または弁体21を取り付けた延長部材23を通すための貫通孔34aが形成されていてもよい。弁体21の後端部または延長部材23の後端部には、弁体取付部材36が取り付けられているとよい。弁体21または弁体21を取り付け延長部材23が接続部材34の貫通孔34aの中を通り、弁体取付部材36が接続部材34に当接した状態で弁体取付部材36が接続部材34に取り付けられることで、弁体21または弁体21を取り付け延長部材23は、接続部材34に取り付けられている。このとき接続部材34の貫通孔34aは、シリンダ取付部材33側から弁体取付部材36によって少なくとも一部が塞がれている。なお弁体取付部材36と延長部材23は、一体に形成されてもよい。
【0052】
シリンダ取付部材33は、弁体21の交換時に、弁体21または弁体21を取り付け延長部材23を通しかつ弁体取付部材36を通す貫通孔33aが形成されているとよい。このとき駆動体31は、ピストン31a,31aと、接続部材34と、弁体取付部材36とで構成されている。なお延長部材23も駆動体31に含んでもよい。
【0053】
接続部材34は、貫通孔34aの周囲に複数のピストン31a,31aのロッドの先端部がそれぞれ取り付けられている。シリンダ取付部材33は、貫通孔33aの周囲に複数のピストンシリンダ30a,30aの後端部がそれぞれ取り付けられている。例えば複数のピストンシリンダ30a,30aは、弁体21の軸心に沿って延びる軸を中心して、線対称または点対称に配置されているとよい。
【0054】
位置センサ40は、駆動体31が少なくとも所定の前進限界位置に到達したことを示す信号を出力する。位置センサ40は、少なくとも所定の前進限界位置に駆動体31が到達したことを検出して当該到達したことを示す信号を出力する。例えば、位置センサ40は、ピストン31aを構成するピストンヘッドまたはピストンロッドが所定の位置に到達したことを接触または非接触で検出して、ピストン31aが所定の位置に到達したことを示す信号を出力するセンサである。
【0055】
例えば接触式の位置センサは、駆動体31に取り付けて駆動体31と一緒に前後に移動する接触棒と、ピストンシリンダ30aの外部の所定の位置に取り付けられた接触式のスイッチ素子とを備えている。接触式の位置センサは、所定の位置まで移動した接触棒が接触式のスイッチ素子に接触することで駆動体が所定の位置に到達したことを検出する。
【0056】
例えば非接触の位置センサは、ピストン31aのピストンヘッドに内蔵した磁石と、ピストンシリンダ30aの外周の所定の位置に取り付けられた磁力センサあるいは磁力式のスイッチとを備えている。非接触式の位置センサは、所定の位置まで移動した磁石に磁力センサあるいは磁力式のスイッチが反応することで駆動体31が所定の位置に到達したことを検出する。
【0057】
位置センサ40は、駆動体31が所定の前進限界位置に到達した際に、駆動体31が所定の前進限界位置に到達したことを示す信号を出力する前側位置センサを備えるとよい。また位置センサ40は、前側位置センサに加えて、駆動体31が所定の後退限界位置に到達した際に、駆動体31が所定の後退限界位置に到達したことを示す信号を出力する後側位置センサを備えてもよい。
【0058】
また位置センサ40は、駆動体31の位置情報を逐次検出して、位置情報を示す信号を逐次出力するものを採用してもよい。このとき、後述される弁体駆動制御装置50は、予め駆動体31の所定の前進限界位置および駆動体31の所定の後退限界位置が予め設定され、位置センサ40が出力する位置情報から駆動体31が所定の前進限界位置または所定の後退限界位置に到達したことを検出することになる。
【0059】
例えば、位置センサ40は、不図示のロータリエンコーダと、ピストン31aのロッドに取り付けられてピストン31aのロッドと一緒にロータリエンコーダに対して前後に移動するラック43aと、ラックの歯に歯合してロータリエンコーダの回転軸に取り付けられるピニオン43bとで構成されている。
【0060】
弁体駆動制御装置50は、弁体駆動装置30および位置センサ40に接続されていて、位置センサ40から出力される信号に基づいて、弁体駆動装置30を制御する。弁体駆動制御装置50は、記憶部51を備えている。記憶部51は、弁体駆動制御装置が実行する本発明の逆流防止装置のプログラムを読み出し可能に記録する。また記憶部51は、弁体駆動制御装置50が弁体駆動装置30を制御する際に必要な各種設定値を読み出し可能に記録する。また記憶部51は、弁体駆動制御装置50に接続されている各種センサから出力される検出値を必要に応じて記録してもよい。
【0061】
また弁体駆動制御装置50は、主制御装置130に接続されている。弁体駆動制御装置50は、主制御装置130から出力される信号に基づいて、弁体駆動装置30を制御する。弁体駆動制御装置50は、軽金属射出装置120の動作に合わせて弁体駆動装置30を制御して、溶融部200の中の溶湯70を射出部300の中に供給する際に連通路400を開いて、射出部300の中の溶湯70を金型160に射出する際に溶湯70が溶融部200の中に逆流することを防止するために連通路400を閉じる。なお弁体駆動制御装置50は、主制御装置130に含まれていてもよい。
【0062】
本発明の軽金属射出装置120の逆流防止装置1は、着座している弁体21が弁座22を押す圧力を検出して、圧力を示す信号を出力する圧力センサ60を備えてもよい。このとき弁体駆動制御装置50は、圧力センサ60を接続して、圧力センサ60の信号に基づいて、弁体駆動装置30を制御する。弁体駆動制御装置50は、例えば、圧力センサ60の信号が所定の圧力を示した際に、その所定の圧力を維持するように弁体駆動装置30を制御する。所定の圧力は、弁体21が弁座22に着座する際に、耐食耐熱鋼製の弁体21が弾性変形して、弁体21と弁座22が面で接触して連通路400を閉じるときの圧力である。また所定の圧力は、連通路400を逆流しようとする溶湯70の圧力に抗する圧力である。圧力センサ60は、例えば、弁体21と弁体取付部材36の間、弁体21と延長部材23の間、または延長部材23と弁体取付部材36の間など、弁体21に付与される圧力を検出可能な場所に取り付けたロードセルでもよい。また圧力センサ60は、例えば、ピストンシリンダ30aのピストンヘッド側油室の中の圧力を検出するものでもよい。
【0063】
本発明の軽金属射出装置120の逆流防止装置1および本発明の軽金属射出装置120の逆流防止方法は、
図10に示す動作フローおよび
図11に示す動作概要図のように、溶損あるいは塑性変形などによって徐々に消耗する耐食耐熱鋼製の弁体21の交換時期を容易に検出可能にして、さらに弁体21を適時にかつ容易に交換可能にして必要な封止性能を容易に維持かつ管理することができる。なお弁体21の消耗とは、弁体21の長さが短くなることである。弁体21の長さとは、弁体21が前後に移動する方向に対する弁体21の長さである。
【0064】
例えば、逆流防止装置1は、第1位置センサ41と、第2位置センサ42と、第3位置センサ43と、圧力センサ60とを備えている。第1位置センサ41は、前述した前側位置センサである。第2位置センサ42は、前述した後側位置センサである。第3位置センサ43は、前述したように、駆動体31の位置情報を逐次検出する位置センサであって、ここでは毎回弁体21が着座した際の駆動体31の位置を基準にして、弁体21が弁座22から所定の距離Gだけ後退するように駆動体31を後退させる際に用いられている。また弁体21は、ここでは弁座22に当接したあと所定の圧力で弁座22に押し付けられた状態で着座する。
【0065】
駆動体31の所定の前進限界位置は、
図11に示すように、許容される弁体21の最大消耗量Hef(以下、最大消耗量Hefと称する。)に基づき決定される。ここで弁体21の消耗量He,Hefとは、使用前の新しい弁体21の長さLsから使用後の弁体21の長さL,Lfを差し引いた長さである。弁体21の長さL,Ls,Lfは、弁体21が移動する前後方向における長さである。弁体21の長さLは、連通路400の開閉を繰り返す間に消耗して徐々に短くなる。弁体21が弁座22に着座した際の駆動体31の位置は、連通路400の開閉を繰り返す間に徐々に前方に変位する。例えば、駆動体31の所定の前進限界位置は、駆動体31を前進させて、使用前の新しい弁体21の長さLsから最大消耗量Hefを差し引いた長さLfの弁体21を弁座22に着座させた際の駆動体31の位置である。例えば、弁体21の外径が25mm以上35mm以下、弁座22の外径が30mm以上40mm以下、かつ連通路400の内径が10mm以上15mm以下の場合、許容される弁体21の消耗量は、30mm以下であるとよい。好ましくは例えば、弁体21の外径が28mm以上33mm以下、弁座22の外径が32mm以上38mm以下、かつ連通路400の内径が11mm以上14mm以下の場合、許容される弁体21の消耗量は、20mm以下であるとよい。さらに好ましくは例えば、弁体21の外径が30mm、弁座22の外径が34mm以下、かつ連通路400の内径が12mm以下の場合、許容される弁体21の消耗量は、17mm以下であるとよい。
【0066】
駆動体31の所定の後退限界位置は、例えば、弁体駆動装置30が駆動体31を最も後退させることできる位置である。
【0067】
弁体駆動制御装置50は、第1位置センサ41、第2位置センサ42、第3位置センサ43および圧力センサ60と接続して、それらセンサ41,42,43,60の信号に基づいて弁体駆動装置30を制御する。弁体駆動制御装置50の記憶部51は、例えば、連通路400を開く際に着座した弁体21が弁座22から後退する所定の距離Gと、着座している際に弁体21が弁座22を押す所定の圧力値が予め設定値として記録されている。
【0068】
まず逆流防止装置1は、準備として、つぎのように動作する。
【0069】
図5に示すように、弁体21の取り付け、あるいは、弁体21を交換する前に後退限界位置まで駆動体31を後退させる(S1)。弁体駆動制御装置50は、駆動体31が後退限界位置まで後退したことを第2位置センサ42が検出するまで、弁体駆動装置30を制御して駆動体31を後退させる。
【0070】
図5に示すように、後退限界位置に後退した駆動体31に弁体21を取り付ける(S2)。駆動体31に取り付けられていた交換前の弁体21、あるいは、新しく取り付けた弁体21は、溶融部200の中の溶湯70の液面よりも上の退避位置に配置されて、溶融部200の中の溶湯70に浸からない。
【0071】
図6に示すように、弁体21を取り付けた駆動体31を前進させて、弁体21を弁座22に当接させたあと、さらに弁体21を所定の圧力で弁座22に押し付ける(S3)。所定の圧力で弁体21を弁座22に着座させることで連通路400を閉じる(S4)。弁体駆動制御装置50は、所定の圧力で弁体21が弁座22に着座していることを圧力センサが検出するまで弁体駆動装置30を制御して駆動体31を前進させる。
【0072】
図7に示すように、弁体21を取り付けた駆動体31を所定の距離Gだけ後退させる(S5)。弁体21が弁座22から所定の距離Gだけ後退させることで連通路400を開く(S6)。弁体駆動制御装置50は、弁体駆動装置30を制御して第3位置センサ43の位置情報に基づき駆動体31を所定の距離Gだけ後退させる。
【0073】
つぎに逆流防止装置1は、軽金属射出装置120の動作に合わせて、つぎのように動作する。
【0074】
図6に示すように、射出部の中の溶湯を金型に射出する際に溶湯が溶融部の中に逆流することを防止するために連通路を閉じて(S7からS9)、
図7に示すように、溶融部の中の溶湯を射出部の中に供給する際に連通路を開く(S10、S6)、ことを繰り返す。なお連通路を開いている間は、弁体は、弁座から所定の距離だけ離れている。また連通路を閉じている間は、弁体は、弁座を所定の圧力で押し付けている。
【0075】
例えば、主制御装置130は、計量工程が完了したことを示す信号および射出工程が完了したことを示す信号を弁体駆動制御装置50に出力する。
【0076】
例えば、弁体駆動制御装置50は、計量工程の完了後に、所定の圧力で弁体21が弁座22に着座していることを圧力センサ60が検出するまで弁体駆動装置30を制御して駆動体31を前進させる。さらに続けて弁体駆動制御装置50は、圧力センサ60の検出する圧力値に基づき、所定の圧力で弁体21が弁座22に着座している状態を維持するように弁体駆動装置30を制御する。連通路400を閉じる工程を完了する。
【0077】
例えば、弁体駆動制御装置50は、射出工程の完了後に、弁体駆動装置30を制御して第3位置センサ43の位置情報に基づき駆動体31を所定の距離Gだけ後退させて、弁体21を弁座22から所定の距離Gだけ後退させる。連通路400を開く工程を完了する。
【0078】
弁体駆動制御装置50は、連通路400を開く工程が完了したことを示す信号および連通路400を閉じる工程が完了したことを示す信号を主制御装置130に出力する。主制御装置130は、連通路400を閉じる工程が完了したあと射出工程を開始させる。主制御装置130は、連通路400を開く工程が完了したあと計量工程を開始させる。
【0079】
図8に示すように、弁体21は、連通路400の開閉を繰り返している間に徐々に消耗して短くなる。弁体21が弁座22に当接する前または弁体21が弁座22を所定の圧力で押し付ける前に、駆動体31が所定の前進限界位置に到達したことを検出すると(S8)、軽金属射出装置120および軽金属射出成形機100を停止させる(S11)。さらに
図10に示すように、弁体21を退避位置まで後退させる(S12)。またさらに、例えば、軽金属射出成形機100の表示装置150に弁体21の交換を促す警報を表示するとよい(S13)。なお弁体21の退避位置は、例えば、駆動体31を後退限界位置まで後退させたときの弁体21の位置である。また退避位置に後退した弁体21は、溶融部200の中の溶湯70の液面よりも上に配置されて、溶湯70に浸からないようにするとよい。
【0080】
例えば、弁体駆動制御装置50は、計量工程の完了後に、所定の圧力で弁体21が弁座22に着座していることを圧力センサ60が検出するまで弁体駆動装置30を制御して駆動体31を前進させている間に、駆動体31が前進限界位置に到達したことを第1位置センサ41が検出すると、主制御装置130に対して弁体21の交換を知らせる信号を出力し、駆動体31が後退限界位置まで後退したことを第2位置センサ42が検出するまで弁体駆動装置30を制御して駆動体31を後退させる。
【0081】
主制御装置130は、弁体21の交換を知らせる信号を受けて、軽金属射出成形機100および軽金属射出装置120を停止させる。このとき各種ヒータ、型締装置110および材料供給装置220などの一部の装置については必要に応じて停止するようにすることもできる。また主制御装置130は、弁体21の交換を知らせる信号を受けて、弁体21の交換を知らせる表示をするように軽金属射出成形機100の表示装置150を制御する。また主制御装置130は、弁体21の交換を知らせる信号を受けて、警報を示すランプを点灯するように不図示の警報ランプを制御するようにしてもよい。
【0082】
また弁体駆動制御装置50は、連通路400を開閉する際に毎回あるいは複数回に1回の頻度で、第3位置センサの位置情報に基づいて、距離で示される弁体21の消耗量He、または、弁体21の消耗量Heに対して相関関係を有する距離を演算して、記憶部51に時系列、成形サイクル毎、あるいはショット毎に記憶し、さらに時系列、成形サイクル毎、あるいはショット毎に数値あるいはグラフで軽金属射出成形機100の表示装置150などに表示するようにしてもよい。それによって弁体21の交換時期の予測が可能になる。
【0083】
距離で示される弁体21の消耗量Heは、例えば、弁体21を駆動体31に取り付けたあと最初に弁体21を弁座22に着座させた際の駆動体31の位置と、それ以降に弁体21を弁座22に着座させた際の駆動体31の位置と、の間の距離で示すことができる。
【0084】
消耗量Heに対して相関関係を有する距離C1(以下、距離C1と称する。)は、例えば、駆動体31の所定の前進限界位置と、弁体21を弁座22に着座させた際の駆動体31の位置と、の間の距離で示すことができる。また消耗量Heに対して相関関係を有する距離C2(以下、距離C2と称する。)は、例えば、駆動体31の所定の前進限界位置と、着座した弁体21を弁座22から所定の距離Gだけ後退させた際の駆動体31の位置と、の間の距離で示すことができる。距離C1,C2は、弁体21の消耗量Heに対して相関関係を有し、弁体21の消耗量Heが大きくなるにしたがって小さくなる。なお距離C2は、距離C1に所定の距離Gを加算した距離である。
【0085】
さらに
図11を使って詳しく説明する。
図11は、本発明の逆流防止装置1の動作を示す概略図である。
図11は、正面から見て左から右に逆流防止装置1の動作を順番に示している。
図11は、正面から見て左から右に時系列で第1状態から第8状態まで(P1〜P8)を示している。駆動体31の位置は、ピストン31aのピストンヘッドの位置、ピストン31aのロッド先端部の位置、接続部材34の位置、または弁体取付部材36の位置などである。なお記憶部51は、後述される第7状態のときの駆動体31の所定の前進限界位置を予め記憶しているとよい。
【0086】
第1状態は、駆動体31を退避位置まで後退させたあと新しい弁体21を取り付けた状態を示す(P1)。このときの退避位置は、後退限界位置である。第3位置センサは、駆動体31が後退限界位置に到達した状態を原点として、駆動体31の位置を原点からの距離として検出してもよい。
【0087】
第2状態は、第1状態から駆動体31を前進させて、新しい弁体21を最初に弁座22に着座させた状態を示す(P2)。駆動体31は、後退限界位置から距離Hs前進している。第2状態のときの駆動体31の位置を記憶部51に記憶するとよい。距離C1は、第2状態のときの駆動体31の位置と、第7状態のときの駆動体31の所定の前進限界位置と、の間の距離で示される。
【0088】
第3状態は、第2状態から駆動体31を所定の距離Gだけ後退させた状態を示す(P3)。距離C2は、第3状態のときの駆動体31の位置と、第7状態のときの駆動体31の所定の前進限界位置と、の間の距離で示される。
【0089】
第4状態は、連通路400の開閉を複数回繰り返したあと、駆動体31を前進させて弁体21を弁座22に着座させた状態を示す(P4)。弁体21の消耗量Heは、第2状態のときの駆動体31の位置と、第4状態のときの駆動体31の位置と、の間の距離で示される。距離C1は、第4状態のときの駆動体31の位置と、第7状態のときの駆動体31の所定の前進限界位置と、の間の距離で示される。
【0090】
第5状態は、第4状態から駆動体31を所定の距離Gだけ後退させた状態を示す(P5)。距離C2は、第5状態のときの駆動体31の位置と、第7状態のときの駆動体31の所定の前進限界位置と、の間の距離で示される。
【0091】
第6状態は、連通路400の開閉をさらに複数回繰り返したあと、弁体21が弁座22に着座している状態から駆動体31を所定の距離Gだけ後退させた状態を示す(P6)。不図示の距離C2は、第6状態のときの駆動体31の位置と、第7状態のときの駆動体31の所定の前進限界位置と、の間の距離で示される。
【0092】
第7状態は、第6状態から駆動体31を前進させている途中で駆動体31が前進限界位置に到達した状態を示す(P7)。最大消耗量Hefは、第2状態のときの駆動体31の位置と、第7状態のときの駆動体31の位置と、の間の距離で示される。なお距離C1は、ゼロである。
【0093】
第8状態は、第7状態から駆動体31を退避位置まで後退させた状態を示す(P8)。このときの退避位置は、後退限界位置である。駆動体31は、前進限界位置から後退限界位置まで距離Hf後退している。
【0094】
最大消耗量Hefは、第7状態から第8状態のように駆動体31が後退した距離Hfから、第1状態から第2状態のように駆動体31が前進した距離Hsを減算した距離で示すこともできる。また最大消耗量Hefは、第1状態のときのように使用前の新しい弁体21の長さLsから、第7状態または第8状態のときのように連通路400の開閉を繰り返す中で駆動体31が前進途中で所定の前進限界位置に到達したときの弁体21の長さLfを減算した距離で示すこともできる。
【0095】
弁体21は、消耗を抑えるため、例えば軽金属射出装置120が運転を停止しているとき、溶融部200の中の溶湯70の液面よりも上の退避位置まで後退して、溶湯70に浸からないようにするとよい。弁体21の退避位置は、例えば、駆動体31を後退限界位置まで後退させたときの弁体21の位置である。軽金属射出装置120が運転を停止している状態とは、例えば、軽金属射出装置120を起動してヒータで軽金属射出装置120の各部またはその一部を所定の温度まで加熱しているとき、ヒータで軽金属射出装置120の各部またはその一部を保温した状態で一時的に軽金属射出装置120の運転を停止しているとき、または軽金属射出装置120の各部に設けられたすべてのヒータを停止したときなどである。
【0096】
例えば、主制御装置130は、軽金属射出装置120がこれから運転を停止することを示す信号または軽金属射出装置120が運転を停止したことを示す信号を弁体駆動制御装置50に出力する。弁体駆動制御装置50は、軽金属射出装置120がこれから運転を停止することを示す信号または軽金属射出装置120が運転を停止したことを示す信号を受けて、駆動体31が後退限界位置まで後退したことを第2位置センサ42が検出するまで、弁体駆動装置30を制御して駆動体31を後退させる。
【0097】
軽金属射出装置120が運転を停止する前に、例えば主制御装置130が予め材料供給装置220を制御して、未溶融の軽金属材料170を溶融炉210に供給する量を減らすなどすれば、軽金属射出装置120が運転を停止した際の溶融部200の中の溶湯70の液面の高さを下げることができる。溶融部200の中の溶湯70の液面の高さが下がれば、弁体21の退避位置を低くすることができる。このとき弁体21を退避位置まで後退させた際に、弁体21に取り付けた延長部材23の少なくとも一部が溶融部200の弁体挿通孔201の中に配置されるようにしてもよい。
【0098】
なお上から下に弁体を前進させて弁体21を弁座22に着座させる構成は、軽金属射出装置120の中の溶湯70を前もって排出することなく弁体21を容易に交換することができる。