【課題】高い結晶化度、高い純度、低い吸湿性、好都合な溶解および機械特性、および/または好都合な安定性などの望ましい特性を有する、PF−06873600の結晶質形態を提供すること。
【解決手段】本発明は、6−(ジフルオロメチル)−8−[(1R,2R)−2−ヒドロキシ−2−メチルシクロペンチル]−2−{[1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル]アミノ}ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(PF−06873600)遊離塩基の結晶質形態(形態1)に関する。本発明はまた、この結晶質形態を含む医薬組成物、ならびに結晶質形態およびそうした組成物を、哺乳動物におけるがんなどの異常細胞増殖の治療に使用する方法に関する。
9.6、18.3、および22.1°2θ±0.2°2θの2θ値の箇所にピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターンを有する、6−(ジフルオロメチル)−8−[(1R,2R)−2−ヒドロキシ−2−メチル−シクロペンチル]−2−{[1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル]アミノ}ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(PF−06873600)遊離塩基の無水結晶質形態。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、本発明の実施形態および本明細書に含まれる実施例についての、以下の詳細な説明を参照することで、さらに容易に理解することができる。本明細書で使用する術語は、特定の実施形態について述べる目的のものに過ぎず、限定する意図はないことを理解されたい。さらに、本明細書で特に定義しない限り、本明細書で使用する術語は、関連業界で知られているようなその伝統的な意味が充てられることも理解されたい。
【0021】
本明細書で使用するとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、別段指摘しない限り、複数の言及を包含する。たとえば、「a」substituent(置換基)は、1つまたは複数の置換基を含む。
【0022】
用語「約」は、当業者が考えて、容認される、平均の標準誤差内にある値を有することを意味する。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「本質的に同じ」とは、特定の方法に典型的な、変動性が考慮に入れられていることを意味する。たとえば、X線回折ピーク位置に関して、用語「本質的に同じ」とは、ピーク位置および強度の典型的な変動性が考慮に入れられていることを意味する。当業者なら、ピーク位置(2θ)が、通常は±0.2°程度の多少の変動性を示すことは理解されよう。さらに、当業者なら、相対ピーク強度は、装置間の変動性、ならびに結晶化度の程度、好ましい配向、調製試料表面、および当業者に知られている他の要素による変動性を示し、定性的な測定値とみなすにとどめるべきであることも理解されよう。同様に、ラマンスペクトル波数(cm
−1)値は、通常は±2cm
−1程度の変動性を示し、
13Cおよび
19F固体NMRスペクトル(ppm)も、通常は±0.2ppm程度の変動性を示す。
【0024】
本明細書で使用する用語「結晶質」とは、分子または外表平面(external face plane)の配置が規則的に繰り返されていることを意味する。諸結晶質形態は、熱力学的安定性、物理的パラメーター、X線構造、および調製方法に関して相違することがある。
【0025】
本明細書で使用する用語「無水」とは、その結晶格子の部分として活性医薬成分(API)しか含有しない結晶質形態を指す。
【0026】
本明細書に記載の本発明は、本明細書で特に開示しない要素なしで適切に実施することができる。したがって、たとえば、本明細書における各場合において、用語「comprising(含む)」、「consisting essentially of(本質的に〜からなる)」、および「consisting of(からなる)」はいずれも、他の2つの用語のいずれかで置き換えることができる。
【0027】
一態様において、本発明は、PF−06873600遊離塩基(形態1)を提供する。本明細書に記載の方法では、実質的に純粋であり、別の形態を含まない、PF−06873600遊離塩基(形態1)が提供される。
【0028】
本明細書に記載のとおり、形態1は、PXRD、ラマン分光法、ならびに
13Cおよび
19F固体NMR分光法によって、特徴付けた。フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、示差熱分析(DTA)などの追加の技術によって、こうした結晶質形態をさらに特徴付けてもよい。
【0029】
本発明の態様それぞれの一部の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、その粉末X線回折(PXRD)パターンによって特徴付けられる。本発明の態様それぞれの他の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、そのラマンスペクトルによって特徴付けられる。本発明の態様それぞれの他の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、その
13C固体NMRスペクトルによって特徴付けられる。本発明の態様それぞれのさらに他の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、その
19F固体NMRスペクトルによって特徴付けられる。
【0030】
さらなる実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、これらの方法の2つ、3つ、または4つを組み合わせて特徴付けられる。本明細書では、粉末X線回折(PXRD)パターン(2θ)、ラマンスペクトル波数値(cm
−1)、
13C固体NMRスペクトル(ppm)、または
19F固体NMRスペクトル(ppm)の2つ以上を含む例示的な組合せが、提供される。
【0031】
2つ、3つ、または4つの技術の種々の組合せを使用して、本明細書で開示するPF−06873600遊離塩基(形態1)を一意的に特徴付けてもよいことは理解されよう。一部の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、PXRDおよびラマンによって特徴付けられる。他の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、PXRDおよび
13C固体NMRによって特徴付けられる。他の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、PXRDおよび
19F固体NMRによって特徴付けられる。他の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、
19F固体NMRおよびラマンによって特徴付けられる。他の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、
19F固体NMRおよび
13C固体NMRによって特徴付けられる。他の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、PXRD、ラマン、および
13C固体NMRによって特徴付けられる。他の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、PXRD、ラマン、および
19F固体NMRによって特徴付けられる。
【0032】
一実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、6.9、9.6、18.3、および22.1°2θ±0.2°2θからなる群から選択される2θ値の箇所に1つまたは複数のピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、6.9、9.6、18.3、および22.1°2θ±0.2°2θからなる群から選択される2θ値の箇所に2つ以上のピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、6.9、9.6、18.3および22.1°2θ±0.2°2θからなる群から選択される2θ値の箇所に3つ以上のピークを含むPXRDパターンを有する。
【0033】
一実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、9.6、18.3、および22.1°2θ±0.2°2θの2θ値の箇所にピークを含むPXRDパターンを有する。一部のこうした実施形態では、形態1は、6.9°2θ±0.2°2θの2θ値の箇所にピークをさらに含むPXRDパターンを有する。
【0034】
別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、9.6°2θ±0.2°2θの2θ値の箇所にピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施形態では、形態1は、18.3°2θ±0.2°2θの2θ値の箇所にピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施形態では、形態1は、22.1°2θ±0.2°2θの2θ値の箇所にピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施形態では、形態1は、6.9°2θ±0.2°2θの2θ値の箇所にピークを含むPXRDパターンを有する。一部のこうした実施形態では、PXRDパターンは、表1にあるピークからなる群から選択される2θ値の箇所にある1つまたは複数の追加ピークをさらに含む。
【0035】
特定の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、(a)表1にある°2θ±0.2°2θのピークからなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは5つを超えるピーク、(b)表1にある°2θ±0.2°2θの特徴的なピークからなる群から選択される1つ、2つ、3つ、もしくは4つのピーク、または(c)
図1に示すのと本質的に同じ2θ値の箇所にあるピークを含む、PXRDパターンを有する。
【0036】
一実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、1254、1528、1589、1626、および1673cm
−1±2cm
−1からなる群から選択される1つまたは複数の波数(cm
−1)値を含むラマンスペクトルを有する。別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、1254、1528、1589、1626、および1673cm
−1±2cm
−1からなる群から選択される2つ以上の波数(cm
−1)値を含むラマンスペクトルを有する。別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、1254、1528、1589、1626、および1673cm
−1±2cm
−1からなる群から選択される3つ以上の波数(cm
−1)値を含むラマンスペクトルを有する。
【0037】
別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、1589、1626、および1673cm
−1±2cm
−1の波数(cm
−1)値を含むラマンスペクトルを有する。一部のこうした実施形態では、形態1は、1254cm
−1±2cm
−1の波数(cm
−1)値をさらに含むラマンスペクトルを有する。一部のこうした実施形態では、形態1は、1528cm
−1±2cm
−1の波数(cm
−1)値をさらに含むラマンスペクトルを有する。別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、1254、1528、1589、1626、および1673cm
−1±2cm
−1の波数(cm
−1)値を含むラマンスペクトルを有する。別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、1589cm
−1±2cm
−1の波数(cm
−1)値を含むラマンスペクトルを有する。別の実施形態では、形態1は、1626cm
−1±2cm
−1の波数(cm
−1)値を含むラマンスペクトルを有する。別の実施形態では、形態1は、1673cm
−1±2cm
−1の波数(cm
−1)値を含むラマンスペクトルを有する。一部のこうした実施形態では、形態1は、1254cm
−1±2cm
−1の波数(cm
−1)値をさらに含むラマンスペクトルを有する。一部のこうした実施形態では、形態1は、1528cm
−1±2cm
−1の波数(cm
−1)値をさらに含むラマンスペクトルを有する。
【0038】
特定の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、(a)表2にあるcm
−1±2cm
−1の値からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは5つを超える波数(cm
−1)値、(b)表2にあるcm
−1±2cm
−1の特徴的な値からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、もしくは5つの波数(cm
−1)値、または(c)
図2に示すのと本質的に同じ波数(cm
−1)値を含む、ラマンスペクトルを有する。
【0039】
一実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、28.8、42.0、123.0、133.2、および161.4ppm±0.2ppmからなる群から選択される1つまたは複数の共鳴(ppm)値を含む
13C固体NMRスペクトルを有する。別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、28.8、42.0、123.0、133.2、および161.4ppm±0.2ppmからなる群から選択される2つ以上の共鳴(ppm)値を含む
13C固体NMRスペクトルを有する。別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、28.8、42.0、123.0、133.2、および161.4ppm±0.2ppmからなる群から選択される3つ以上の共鳴(ppm)値を含む
13C固体NMRスペクトルを有する。
【0040】
他の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、28.8、133.2、および161.4ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
13C固体NMRスペクトルを有する。一部の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、28.8ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
13C固体NMRスペクトルを有する。別の実施形態では、形態1は、133.2ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
13C固体NMRスペクトルを有する。別の実施形態では、形態1は、161.4ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
13C固体NMRスペクトルを有する。一部のこうした実施形態では、形態1は、42.0ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値をさらに含む
13C固体NMRスペクトルを有する。他のこうした実施形態では、形態1は、123.0ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値をさらに含む
13C固体NMRスペクトルを有する。
【0041】
特定の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、(a)表3にあるppm±0.2ppmの値からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは5つを超える共鳴(ppm)値、(b)表3にあるppm±0.2ppmの特徴的な値からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、もしくは5つの共鳴(ppm)値、または(c)
図3に示すのと本質的に同じ共鳴(ppm)値を含む、
13C固体NMRスペクトル(ppm)を有する。
【0042】
一実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、−109.6および−122.7ppm±0.2ppmからなる群から選択される1つまたは複数の共鳴(ppm)値を含む
19F固体NMRスペクトルを有する。
【0043】
別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、−109.6ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
19F固体NMRスペクトルを有する。別の実施形態では、形態1は、−122.7ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
19F固体NMRスペクトル(ppm)を有する。別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、−109.6および−122.7ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
19F固体NMRスペクトルを有する。
【0044】
別の実施形態では、形態1は、(a)表4にあるppm±0.2ppmの値からなる群から選択される1つもしくは2つの共鳴(ppm)値、または(b)
図4に示すのと本質的に同じ共鳴(ppm)値を含む、
19F固体NMRスペクトル(ppm)を有する。
【0045】
さらなる実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、互いに相反さない、上述の実施形態の2つ、3つ、または4つを組み合わせて特徴付けられる。PF−06873600遊離塩基の形態1の一意的な特徴付けに使用することができる、例としての実施形態を以下に示す。
【0046】
一実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、9.6、18.3、および22.1°2θ±0.2°2θの2θ値の箇所にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0047】
別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、6.9、9.6、18.3、および22.1°2θ±0.2°2θの2θ値の箇所にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0048】
別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、(a)9.6、18.3、および22.1°2θ±0.2°2θの2θ値の箇所にピークを含む粉末X線回折パターンと、(b)1589、1626、および1673cm
−1±2cm
−1の波数(cm
−1)値を含むラマンスペクトルとを有する。
【0049】
別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、(a)9.6、18.3、および22.1°2θ±0.2°2θの2θ値の箇所にピークを含む粉末X線回折パターンと、(b)28.8、133.2、および161.4ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
13C固体NMRスペクトルとを有する。
【0050】
別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、(a)9.6、18.3、および22.1°2θ±0.2°2θの2θ値の箇所にピークを含む粉末X線回折パターンと、(b)−109.6ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
19F固体NMRスペクトルとを有する。
【0051】
別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、(a)9.6、18.3、および22.1°2θ±0.2°2θの2θ値の箇所にピークを含む粉末X線回折パターンと、(b)1589、1626、および1673cm
−1±2cm
−1の波数(cm
−1)値を含むラマンスペクトルと、(c)28.8、133.2、および161.4ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
13C固体NMRスペクトルとを有する。
【0052】
別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、(a)9.6、18.3、および22.1°2θ±0.2°2θの2θ値の箇所にピークを含む粉末X線回折パターンと、(b)1589、1626、および1673cm
−1±2cm
−1の波数(cm
−1)値を含むラマンスペクトルと、(c)−109.6ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
19F固体NMRスペクトルとを有する。
【0053】
別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、(a)9.6、18.3、および22.1°2θ±0.2°2θの2θ値の箇所にピークを含む粉末X線回折パターンと、(b)1589、1626、および1673cm
−1±2cm
−1の波数(cm
−1)値を含むラマンスペクトルと、(c)28.8、133.2、および161.4ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
13C固体NMRスペクトルと、(d)−109.6ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
19F固体NMRスペクトルとを有する。
【0054】
別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、(a)6.9、9.6、18.3、および22.1°2θ±0.2°2θの2θ値の箇所にピークを含む粉末X線回折パターンと、(b)1589、1626、および1673cm
−1±2cm
−1の波数(cm
−1)値を含むラマンスペクトルとを有する。
【0055】
別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、(a)6.9、9.6、18.3、および22.1°2θ±0.2°2θの2θ値の箇所にピークを含む粉末X線回折パターンと、(b)28.8、133.2、および161.4ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
13C固体NMRスペクトルとを有する。
【0056】
別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、(a)6.9、9.6、18.3、および22.1°2θ±0.2°2θの2θ値の箇所にピークを含む粉末X線回折パターンと、(b)−109.6ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
19F固体NMRスペクトルとを有する。
【0057】
別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、(a)6.9、9.6、18.3、および22.1°2θ±0.2°2θの2θ値の箇所にピークを含む粉末X線回折パターンと、(b)1589、1626、および1673cm
−1±2cm
−1の波数(cm
−1)値を含むラマンスペクトルと、(c)28.8、133.2、および161.4ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
13C固体NMRスペクトルとを有する。
【0058】
別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、(a)6.9、9.6、18.3、および22.1°2θ±0.2°2θの2θ値の箇所にピークを含む粉末X線回折パターンと、(b)1589、1626、および1673cm
−1±2cm
−1の波数(cm
−1)値を含むラマンスペクトルと、(c)−109.6ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
19F固体NMRスペクトルとを有する。
【0059】
別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、(a)6.9、9.6、18.3、および22.1°2θ±0.2°2θの2θ値の箇所にピークを含む粉末X線回折パターンと、(b)1589、1626、および1673cm
−1±2cm
−1の波数(cm
−1)値を含むラマンスペクトルと、(c)28.8、133.2、および161.4ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
13C固体NMRスペクトルと、(d)−109.6ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
19F固体NMRスペクトルとを有する。
【0060】
別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、−109.6および−122.7ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
19F固体NMRスペクトルを有する。
【0061】
別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、(a)−109.6および−122.7ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
19F固体NMRスペクトルと、(b)9.6、18.3、および22.1°2θ±0.2°2θの2θ値の箇所にピークを含む粉末X線回折パターンとを有する。
【0062】
別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、(a)−109.6および−122.7ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
19F固体NMRスペクトルと、(b)1589、1626、および1673cm
−1±2cm
−1の波数(cm
−1)値を含むラマンスペクトルとを有する。
【0063】
別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、(a)−109.6および−122.7ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
19F固体NMRスペクトルと、(b)28.8、133.2、および161.4ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
13C固体NMRスペクトルとを有する。
【0064】
別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、(a)−109.6および−122.7ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
19F固体NMRスペクトルと、(b)9.6、18.3、および22.1°2θ±0.2°2θの2θ値の箇所にピークを含む粉末X線回折パターンと、(c)1589、1626、および1673cm
−1±2cm
−1の波数(cm
−1)値を含むラマンスペクトルとを有する。
【0065】
別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、(a)−109.6および−122.7ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
19F固体NMRスペクトルと、(b)9.6、18.3、および22.1°2θ±0.2°2θの2θ値の箇所にピークを含む粉末X線回折パターンと、(c)28.8、133.2、および161.4ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
13C固体NMRスペクトルとを有する。
【0066】
別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、(a)−109.6および−122.7ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
19F固体NMRスペクトルと、(b)9.6、18.3、および22.1°2θ±0.2°2θの2θ値の箇所にピークを含む粉末X線回折パターンと、(c)1589、1626、および1673cm
−1±2cm
−1の波数(cm
−1)値を含むラマンスペクトルと、(d)28.8、133.2、および161.4ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
13C固体NMRスペクトルとを有する。
【0067】
別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、1254、1528、1589、1626、および1673cm
−1±2cm
−1の波数(cm
−1)値を含むラマンスペクトルを有する。
【0068】
別の実施形態では、PF−06873600遊離塩基(形態1)は、28.8、42.0、123.0、133.2、および161.4ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
13C固体NMRスペクトルを有する。
【0069】
別の態様において、本発明は、(a)9.6、18.3、および22.1°2θ±0.2°θの2θ値の箇所にピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターン、(b)1589、1626、および1673cm
−1±2cm
−1からなる群から選択される1つまたは複数の波数(cm
−1)値を含むラマンスペクトル、(c)28.8、133.2、および161.4ppm±0.2ppmからなる群から選択される1つまたは複数の共鳴(ppm)値を含む
13C固体NMRスペクトル、もしくは(d)−109.6ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む
19F固体NMRスペクトル、または(a)、(b)、(c)、および(d)の2つ以上の組合せを有する、PF−06873600遊離塩基(形態1)を提供する。個々の特徴付けの方法について本明細書に記載の実施形態はそれぞれ、実施形態同士が互いに相反さないという前提で、この態様と組み合わされてもよく、またはこの態様をさらに限定する場合もある。
【0070】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の実施形態のいずれかに従う、PF−06873600遊離塩基の結晶質形態(形態1)と、薬学的に許容できる担体または添加剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0071】
別の態様において、本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトにおいて異常細胞増殖を治療する方法であって、哺乳動物に、本明細書に記載の実施形態のいずれかに従うPF−06873600遊離塩基の結晶質形態(形態1)を治療有効量投与することを含む方法を提供する。
【0072】
別の態様において、本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトにおいて異常細胞増殖を治療する方法であって、哺乳動物に、本明細書に記載の実施形態のいずれかに従うPF−06873600遊離塩基の結晶質形態(形態1)を含む医薬組成物を治療有効量投与することを含む方法を提供する。
【0073】
別の態様において、本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトにおける異常細胞増殖の治療において使用するための、本明細書に記載の実施形態のいずれかに従うPF−06873600遊離塩基の結晶質形態(形態1)を提供する。
【0074】
別の態様において、本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトにおける異常細胞増殖の治療における、本明細書に記載の実施形態のいずれかに従うPF−06873600遊離塩基の結晶質形態(形態1)の使用を提供する。
【0075】
別の態様において、本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトにおける異常細胞増殖の治療において使用するための医薬の製造における、本明細書に記載の実施形態のいずれかに従うPF−06873600遊離塩基の結晶質形態(形態1)の使用を提供する。
【0076】
本明細書に記載の、方法、組成物、および使用の頻出する実施形態では、異常細胞増殖は、がんである。
【0077】
本明細書で使用する用語「治療有効量」とは、治療する障害の症状の1つまたは複数をある程度緩和する、投与される化合物の量を指す。がんの治療に関して、治療有効量とは、(1)腫瘍の大きさを縮小する、(2)腫瘍転移を阻害する(すなわち、ある程度緩慢にする、好ましくは阻止する)、(3)腫瘍成長もしくは腫瘍の浸潤性をある程度阻害する(すなわち、ある程度緩慢にする、好ましくは阻止する)、および/または(4)がんと関連する1つまたは複数の徴候もしくは症状をある程度緩和する(もしくは好ましくは解消する)効果を有する量を指す。
【0078】
本明細書で使用するとき、「哺乳動物」とは、ヒトまたは動物対象を指す。ある特定の好ましい実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。
【0079】
本明細書で使用する用語「治療する」とは、別段指摘しない限り、このような用語が適用される障害もしくは状態またはそのような障害もしくは状態の1つまたは複数の症状を、後退させ、軽減し、進行を阻害し、または予防することを意味する。本明細書で使用する用語「治療」とは、別段指摘しない限り、治療する行為を指し、「治療する」は、直前で定義している。用語「治療する」は、対象のアジュバントおよびネオアジュバント治療も包含する。
【0080】
本明細書で使用するとき、「異常細胞増殖」とは、別段指摘しない限り、正常な調節機序と無関係である細胞増殖を指す(たとえば、接触阻害の喪失)。異常細胞増殖は、良性である(がん性でない)、または悪性である(がん性である)場合がある。本明細書で提供する方法の頻出する実施形態では、異常細胞増殖は、がんである。
【0081】
本明細書で使用するとき、「がん」とは、異常細胞増殖によって引き起こされる、あらゆる悪性および/または浸潤性増殖または腫瘍を指す。用語「がん」は、限定はしないが、身体の特定の部位に端を発する原発がん、がんが生じた場所から身体の他の部分に広がってしまった転移がん、寛解後の元の原発がんからの再発、および以前のがんが後のがんとは異なるタイプであるという病歴を有する者における新たな原発がんである、第2の原発がんを包含する。
【0082】
本発明の医薬組成物は、たとえば、錠剤、カプセル剤、丸剤、粉末、持効性製剤、溶液、懸濁液として経口投与に、滅菌溶液、懸濁液、もしくは乳濁液として非経口注射に、軟膏もしくはクリームとして局所投与に、または坐剤として直腸投与に適する形態にすることができる。医薬組成物は、正確な投薬量の単独投与に適する単位剤形にしてもよい。医薬組成物は、従来の医薬担体または添加剤と、活性成分としての本発明による化合物とを含むことになる。加えて、医薬組成物は、他の薬用品または医薬品、担体、アジュバントなどを含んでもよい。
【0083】
例示的な非経口投与形態としては、滅菌水溶液、たとえば、プロピレングリコールまたはデキストロース水溶液中の活性化合物の溶液または懸濁液が挙げられる。このような剤形は、所望であれば、適切に緩衝されていてもよい。
【0084】
適切な医薬担体としては、不活性希釈剤または充填剤、水、および種々の有機溶媒が挙げられる。医薬組成物は、所望であれば、着香剤、結合剤、添加剤などの追加の成分を含有してもよい。たとえば、経口投与については、デンプン、アルギン酸、およびある特定の複合シリケートなどの種々の崩壊剤、ならびにスクロース、ゼラチン、およびアカシアなどの結合剤と一緒に、クエン酸などの種々の添加剤を含有する錠剤を用いることができる。加えて、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、およびタルクなどの滑沢剤は、打錠の用途に多くの場合有用である。同様のタイプの固体組成物を、軟および硬充填ゼラチンカプセルにも用いることができる。好ましい材料としては、ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。経口投与に水性懸濁液またはエリキシルが所望されるとき、その中の活性化合物は、種々の甘味剤または着香剤、着色物質または色素、および、所望であれば、乳化剤または懸濁化剤、ならびに水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、またはこれらの組合せなどの希釈剤と合わせることができる。
【0085】
特定の量の活性化合物を用いて種々の医薬組成物を調製する方法は、当業者に知られており、または明白となる。たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、ペンシルヴェニア州イーストン、第15版(1975)を参照されたい。
【実施例】
【0086】
以下に示す実施例および調製例によって、本発明の特定の態様および実施形態をさらに説明し、例示する。本発明の範囲は、以下の実施例の範囲によって限定されないことを理解されたい。
【0087】
一般法1.粉末X線回折(PXRD)
計測方法:
粉末X線回折分析は、Cu放射線源を備えたBruker AXS D4 Endeavor回折計を使用して行った。発散スリットは、0.6mmに設定し、二次的光学素子では、可変スリットを使用した。回折された放射線は、PSD−Lynx Eye検出器で検出した。X線管電圧およびアンペア数は、それぞれ40kVおよび40mAに設定した。θ−2θゴニオメーターにおいて、0.0185度のステップサイズおよび5秒のステップ時間を使用して、2θ角3.0度から40.0度まで、Cu波長(CuK
α=1.5418λ)でデータを収集した。CuKベータ波長は濾波されたことを留意されたい。試料を低バックグラウンドケイ素試料保持器に入れて準備し、収集の間回転させた。Bruker DIFFRAC Plusソフトウェアを使用してデータを収集し、EVA diffract plusソフトウェアによって分析を行った。
【0088】
ピーク選択方法:
PXRDデータファイルは、ピーク検索より前には加工しなかった。EVAソフトウェアにおいてピーク検索アルゴリズムを使用し、閾値を1として選択されたピークを使用して、予備的なピーク割当てを行った。妥当性を確かなものにするために、調整は手作業で行っており、自動化された割当ての出力を目視によってチェックし、ピーク位置をピーク最大値に調整した。一般に、相対強度が3%以上であるピークを選択した。通常、分解されなかった、またはノイズと一致したピークは選択しなかった。USPに記載のPXRDからのピーク位置と対応付けられる典型的な誤差は、+/−0.2°2θまでである(USP−941)。
【0089】
一般法2.ラマン分光法
計測方法:
ラマンスペクトルは、FT−IRベンチに取り付けたNicolet NXR FT−ラマン付属品を使用して収集した。この分光計は、1064nm Nd:YVO
4レーザーと、液体窒素で冷却されたゲルマニウム検出器とを備えている。データ取得の前に、ポリスチレンを使用して、計器性能および較正検証を行った。スペクトル収集の間静止状態としたガラスNMR管においてAPI試料を分析した。スペクトルは、レーザー出力0.5Wおよび512の同時追加走査を使用して収集した。収集範囲は、3700〜100cm
−1とした。こうしたスペクトルを、2cm
−1分解能およびHapp−Genzelアポダイゼーションを使用して記録した。上記ラマン法を利用すると、スペクトル測定と関連する起こりうる変動性は、±2cm
−1である。
【0090】
ピーク選択方法:
ピーク選択の前に、強度スケールを1に対して正規化した。Thermo Nicolet Omnic 9.7.46ソフトウェアを使用して、ピークを手作業で確認した。ピーク位置をピーク最大値において選択し、各側に傾斜があった場合にだけ、ピークをそれとして確認し、ピーク上の肩は含めなかった。無溶解の形態1 APIについては、ピーク選択の間、感度を84とする絶対閾値0.006を利用した。ピーク位置は、標準的手法(0.5は切り上げ、0.4は切り下げ)を使用して、最も近い整数に丸めている。正規化ピーク強度が(1〜0.75)、(0.74〜0.30)、(0.29〜0)の間にあるピークを、それぞれ、強、中、および弱として分類した。相対ピーク強度値も、この報告において例示する。
【0091】
こうした形態についての特徴的なピークは、その強度ならびにピーク位置に基づいて選択した。
【0092】
一般法3.固体NMR(ssNMR)分光法:
計測方法:
固体NMR(ssNMR)分析は、Bruker−BioSpin Avance III 500MHz(
1H振動数)NMR分光計の中に配置されたCPMASプローブを用いて行った。標準ドライブキャップで密閉される4mmの回転子に材料を詰めた。
13CssNMRスペクトルは、14.0kHzのマジック角回転速度を使用するプロトンデカップル交差分極マジック角回転(CPMAS)実験を使用して収集した。交差分極接触時間は2msに、リサイクルディレイは5秒に設定した。スペクトルを取得する間、80〜90kHzの位相変調されたプロトンデカップリング場を適用した。走査数は、妥当なシグナル対ノイズ比が得られるように調整し、API試料については1024の走査データを収集し、薬物製品試料については8192の走査データを収集した。結晶質アダマンタン外部標準での
13C CPMAS実験を使用し、その高地場共鳴を(無溶解TMSから求められる)29.5ppmに設定して、
13C炭素化学シフトのスケールの参照とした。
19FssNMRスペクトルは、12.5kHzのマジック角回転速度を使用するプロトンデカップルマジック角回転(MAS)実験を使用して収集した。スペクトルを取得する間、80〜90kHzの位相変調されたプロトンデカップリング場を適用した。リサイクルディレイを40秒として、256の走査データを収集した。トリフルオロ酢酸および水(50/50 体積/体積)外部標準での
19F MAS実験を使用し、その共鳴を(無溶解TMSから求められる)−76.54ppmに設定して、
19F化学シフトのスケールの参照とした。
【0093】
ピーク選択方法:
Bruker−BioSpin TopSpinバージョン3.5ソフトウェアを使用して、自動ピーク選択を行った。一般に、予備的なピーク選択には、相対強度3%という閾値を使用した。自動化されたピーク選択の出力を目視によってチェックして妥当性を確かなものにし、必要なら、調整を手作業で行った。
【0094】
本明細書において特定の固体NMRピーク値が報告されるとしても、こうしたピーク値には、計器、試料、および試料調製の違いによる幅が存在する。ピーク位置に固有のばらつきがあるため、これは、固体NMRの分野で一般的な手法である。
13Cおよび
19F化学シフトx軸値の典型的な変動性は、結晶質固体では、プラスまたはマイナス0.2ppm程度である。本明細書で報告する固体NMRピーク高さは、相対強度である。固体NMR強度は、CPMAS実験パラメーターの実際の設定および試料の熱履歴に応じて一様でないことがある。
【0095】
一般合成法:
PF−06873600遊離塩基出発材料は、U.S.10,233,188の実施例10に記載のとおりに調製することができる。化合物1、化合物2、および化合物3として識別される中間体は、U.S.10,233,188の実施例2に従って調製することができる。PF−06873600遊離塩基、形態1を、最初に、本明細書において実施例1に記載のとおりに、実験室規模で調製した。実施例1に記載のとおりに調製したPF−06873600遊離塩基(形態1)結晶は、種晶として、より大規模の実験に使用することができる。種入れは、所望の過飽和レベルで結晶化を開始し、バッチ一貫性を向上させるのに頻繁に使用されるが、通常、結晶質材料を得るために必要とならない。
【0096】
(実施例1)
6−(ジフルオロメチル)−8−[(1R,2R)−2−ヒドロキシ−2−メチルシクロ−ペンチル]−2−{[1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル]アミノ}ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(PF−06873600)無水遊離塩基(形態1)の実験室規模調製
【0097】
【化2】
ステップ1:流通反応器(
図5に示すとおり、一般には、U.S.10,233,188の実施例133/134のとおりに構成されたもの)において使用するために、次の溶液を調製した。ボトル1: 9/1のDMSO/水(135mLのDMSO/15mLの水)中にジフルオロメタンスルフィン酸ナトリウム(4910mg、35.6mmol)および塩化鉄(II)(118mg、0.593mmol)、ボトル2: 150mLのDMSO中にtert−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP、3210mg、35.6mmol、3000μL)、ボトル3: 100mLのDMSO中に化合物3(U.S.10,233,188の実施例2に記載のとおりに調製したもの)および塩化鉄(II)(118mg、0.593mmol)。
【0098】
溶液を1mL/分の速度で流通反応器に通した。T1およびT2時点での温度を50℃とし、T3時点では室温とした。基質溶液が消費された後、生成物混合物を、氷/10%エチレンジアミン四酢酸(EDTA)ナトリウム水溶液(13500g、35.6mmol)中に注ぎ、10分間激しく撹拌した。水溶液を酢酸エチル(4×300mL)で抽出し、有機層を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム(300mL)およびブライン(300×2mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカカラムにかけ、酢酸エチル/ヘプタン0〜100%で溶離させた。1350mgのPF−06873600が得られた(収率48.3%)。
【0099】
ステップ2:ステップ1に従って2バッチで調製したPF−06873600(2.35g、4.863mmol)をメタノール(300mL)に溶解させた。活性炭(20g、1700mmol)を加え、スラリーを2時間撹拌した。ガラス繊維フィルター上のCELITE(登録商標)床で濾過して炭を除去した。濾過ケークをメタノールおよびアセトンで洗浄し、揮発性物質を除去した。残ったPF−06873600(泡)を、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)とヘプタンの混合物から結晶化した後、エタノール/アセトン/水中で2回目の結晶化を行って、PF−06873600を白色の結晶質固体(小さい針状の固体)として得た。
1H NMR
(400 MHz, DMSO-d6, 80℃) シフト8.74
(s, 1H), 8.04 (s, 1H), 7.77 (dd, J=5.93, 11.19 Hz, 1H), 6.60-7.00 (m, 1H),
5.75-5.95 (m, 1H), 4.08 (s, 1H), 3.91-4.07 (m, J=6.48 Hz, 1H), 3.63 (t, J=11.62
Hz, 2H), 2.90-2.98 (m, 2H), 2.88 (s, 3H), 2.16-2.26 (m, 1H), 2.06-2.16 (m, 1H),
1.97-2.06 (m, J=12.23 Hz, 2H), 1.85-1.95 (m, J=4.28 Hz, 2H), 1.68-1.79 (m, 2H),
1.50-1.68 (m, 1H), 1.04 (s, 3H);
19F NMR (377 MHz, DMSO-d6) シフト-122.82--111.49 (m, 2F); 旋光度: [α]
D22 -24.4 (c 0.5, CHCl
3).
【0100】
(実施例2)
6−(ジフルオロメチル)−8−[(1R,2R)−2−ヒドロキシ−2−メチル−シクロペンチル]−2−{[1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル]アミノ}ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(PF−06873600)無水遊離塩基(形態1)の大規模調製
【0101】
【化3】
ステップ1:100Lの反応器において、8−[(1R,2R)−2−ヒドロキシ−2−メチルシクロペンチル]−2−(メチルスルファニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(化合物1)(7.0kg)を、20±5℃で69Lのジクロロメタン(DCM)に溶解させた。
【0102】
200Lの反応器に、20±5℃で、70Lの水および20.8kgのOXONE(登録商標)(CAS番号37222−66−5)を装入し、5分間混合して、希薄なスラリーを得た。OXONE(登録商標)混合物を0±5℃に冷却した。この反応器に、温度を0±10℃に保ちながら、15分かけて化合物1の溶液を加えた。反応器を20±5℃に温め、3時間維持した。
【0103】
超高圧液体クロマトグラフィー(UPLC)で反応が完了したら、混合物を0±5℃に冷却し、亜硫酸水素ナトリウム水溶液(28LのH
2O中に11.75kgの無水NaHSO
3)を0〜10℃で15分かけて加えることによりクエンチさせた。混合物を20±5℃に温めた。層を分離し、有機層を希釈ブライン(33.6Lの水に溶解させた5.04kgのNaCl、13%水溶液)で洗浄し、2kgの無水硫酸マグネシウムを用いて20±5℃で15分間スラリー化することにより乾燥させた。Nutscheフィルターで濾過して乾燥剤を除去し、濾過ケークを7LのDCMで洗浄し、窒素流中で30分かけてブロードライした。
【0104】
濾液を100Lの反応器に移し、真空下、20±15℃で濃縮して、体積を14〜16Lとした。DCMをパージするために、13LのDMSOを加え、溶液を、真空下、20±15℃で濃縮して、体積を20〜26Lとした。温度を20±5℃に調整した。化合物2は、これ以上単離せずにステップ2に進めた。
【0105】
ステップ2:200Lの反応器に56LのDMSOを装入し、4.62kgのトリエチルアミン(TEA)を加えた。反応器を窒素で一掃し、窒素中にて20±5℃で9.7kgの4−アミノ−1−メタンスルホニルピペリジン塩酸塩(CAS番号651057−01−1)を加え、20±5℃で30分間維持した。この200Lの反応器に、20±5℃で、化合物2のDMSO溶液を加えた。混合物を25±5℃に加熱し、18時間撹拌した。UPLCで反応が完了したら、反応混合物を45±5℃に加熱し、45±5℃の70Lの水で希釈した。溶液を0.018kgの種晶で種入れし、混合物を1時間45±5℃に保った。追加の水(26L)を加え、混合物を5時間かけてゆっくりと15±5℃に冷却し、1.5時間維持した。
【0106】
Nutscheフィルターで濾過して固体を集めた。濾過ケークを21Lの水で洗浄し、窒素中で1時間乾燥させ、次いで、50±5℃の真空オーブンで4時間乾燥すると、U.S.10,233,188の実施例2において調製された材料と一致する化合物3が白色の固体として得られた。
【0107】
ステップ3:100Lの反応器に、9LのDMSOを装入した。水中70wt%のtert−ブチルヒドロペルオキシドであるLuperox TBH70Xを15±5℃で加え、均質になるまでその温度に保った。200Lの反応器に、9Lの水および46LのDMSOを20±10℃で装入した。ジフルオロメタンスルフィン酸ナトリウム(5.41kg)(CAS番号275818−95−6)を加え、混合物を10分間20±10℃に保った。温度を20±5℃に保ちながら、7LのDMSOを加えた。化合物3(6.6kg)を加えた後、塩化鉄(II)四水和物(0.318kg)を加えた。反応器に12LのDMSOを加え、次いでそれを5±5℃に冷却した。
【0108】
tert−ブチルヒドロペルオキシド混合物を、0〜10℃で1時間かけて200Lの反応器に移し、15分間5±5℃に保った。反応をUPLCによってモニターした。完了後、反応混合物を15〜20℃の40Lの水で希釈した。反応混合物を水と33Lの酢酸エチル(EtOAc)とに分配し、水層を33Lずつの2回分のEtOAcで抽出し、合わせたEtOAc層を亜硫酸水素ナトリウム水溶液(13Lの水中に2.44kgの無水亜硫酸水素ナトリウム)に続いて13Lの水で洗浄した。洗浄した有機溶液を、真空下、35±15℃で濃縮して、粘稠な油状物を得た。23LのCH
3CNを加えて溶媒をアセトニトリル(CH
3CN)に交換し、混合して油状物を溶解させ、次いで、真空下、35±15℃で濃縮することで、油状物(体積10〜11L)を得た。粗濃縮物にトルエン(9.6kg)を加え、得られるPF−06873600のCH
3CN/トルエン溶液を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0109】
ステップ4:反応器に、ステップ3に従って調製したPF−06873600(3.8kg)およびエタノール(104L、約37g/L)を加え、70±10℃で加熱して溶解させた。温度を60〜65℃に調整し、約250mLの種スラリー(以下に記載のとおりに調製したもの)を加えた。反応器を4時間60〜65℃に保ち、次いで、4時間かけて10±5℃に冷却し、1時間維持した。次いで、反応器を30分かけて55±5℃に加熱し、40±10℃で約2時間濃縮した。濃縮したスラリーを3時間かけて10±5℃に冷却し、1時間維持した。次いで、得られるスラリーを、濾過によって単離した。濾過ケークをエタノールで洗浄し、40±5℃の真空オーブンで乾燥させた。
【0110】
種スラリーは、フラスコにおいてPF−06873600(0.132kg)とエタノール(0.5L、約264g/L)を20±5℃で30分間混合して均一なスラリーを得ることにより、別途調製した。
【0111】
(実施例3)
PF−06873600無水遊離塩基(形態1)の代替調製例
【0112】
【化4】
ステップ1〜3は、実施例2に記載のとおりに行った。中間体PF−06873600を、熱アセトンに溶解させ、周囲温度に冷却し、次いで、10倍のトルエンで希釈し、結晶化させることにより、トルエン溶媒和物(形態3)に変換した。得られる形態3のスラリーを濾過によって収集し、トルエンで洗浄した。形態3溶媒和物を窒素流中で吸引乾燥した。反応器に、PF−06873600トルエン溶媒和物(形態3)(7.1kg)および酢酸イソプロピル(179L、約83g/L)を加えた。次いで、混合物を1時間かけて80〜85℃に加熱し、8時間維持した後、6時間かけて5〜10℃に冷却した。混合物を4時間この温度に保ち、次いで、得られるスラリーを濾過によって単離すると、実施例1および2で調製した真正の材料と一致するPF−06873600形態1が得られた。
【0113】
(実施例4)
PF−06873600無水遊離塩基(形態1)の特徴付け
PXRDデータ
図1に、一般法1に従って収集した、PF−06873600遊離塩基(形態1)のPXRDデータを示す。回折角度2θ°(°2θ)±0.2°2θの箇所のPXRDピークおよびその相対強度の一覧を表1に示す。
【0114】
【表1】
【0115】
FT−ラマンデータ
図2に、一般法2に従って収集した、PF−06873600遊離塩基(形態1)のFT−ラマンスペクトルを示す。FT−ラマンピーク(cm
−1)および定性的な強度の完全な一覧を、表2にcm
−1±2cm
−1で示す。正規化ピーク強度を、W=弱、M=中、S=強として示す。
【0116】
【表2-1】
【0117】
【表2-2】
【0118】
ssNMRデータ
図3に、一般法3に従って収集した、PF−06873600遊離塩基(形態1)の炭素CPMASスペクトルを示す。化学シフトは、百万分率(ppm)で示し、29.5ppmでの固相アダマンタン外部試料を基準としている。形態1についてのssNMR
13C化学シフト(ppm)の一覧を、表3にppm±0.2ppmで示す。
【0119】
【表3】
【0120】
図4に、一般法3に従って収集した、PF−06873600遊離塩基(形態1)の
19Fフッ素MAS(ssNMR)スペクトルを示す。化学シフトは、−76.54ppmでのトリフルオロ酢酸(H
2O中50%V/V)外部試料を基準とした百万分率(ppm)で示す。
【0121】
形態1についてのssNMR
19F化学シフト(ppm)を、表4にppm±0.2ppmで示す。
【0122】
【表4】
【0123】
(実施例5)
PF−06873600無水遊離塩基(形態1)の固体化学安定性
PF−06873600無水遊離塩基(形態1)の化学安定性を、長期貯蔵条件(25℃/60%RH)で長期間、加速安定性条件下(40℃/75%RH)でより短期間にわたって調査した。25℃/60%RHで24カ月間(長期条件)および40℃/75%RHで6カ月間(加速条件)、安定性試験を行い、外観およびHPLCによる純度について評価した。
【0124】
光源オプション2のICH条件を使用して、ICH条件下で光安定性研究を行った。UV/蛍光条件に直接曝した試料について、オフホワイト色の粉末から淡色の粉末への外観の変化を観察した。
【0125】
原薬の安定性試料を二重低密度ポリエチレン(LDPE)袋に、乾燥剤を高密度ポリエチレン(HDPE)ドラム内に包装した。光安定性試料を、石英蓋付きの石英ペトリ皿において貯蔵した。
【0126】
【表5】
【0127】
【表6】
【0128】
(実施例6)
PF−06873600無水遊離塩基(形態1)の水分収着
自動化された蒸気収着分析装置(TA instruments Q5000 SA)において、水収着および脱着研究を行った。微量天秤は、100mgの標準重量を使用して較正した。相対湿度センサーは、飽和塩溶液を使用して、5.0、11.3、32.8、52.8、75.3、および84.3%RH(25℃)で較正した。およそ30mgの粉末試料を石英試料保持器に入れ、25℃、相対湿度(RH)3%以下で乾燥させた。試料の重量変化が5分で0.001wt%未満になったとき、または120分の最大平衡化時間によって、平衡に到達したと仮定した。次いで、RHを10%の増加率で次第に90%に増大させた後、10%のRH減少率で10%の最終RHに低下させた。ここでもやはり、試料の重量変化が5分で0.001wt%未満になったとき、または120分の最大平衡化時間によって、平衡に到達したと仮定した。%RHステップそれぞれにおける重量増加は、初期乾燥ステップ後の重量を基準としている。Universal AnalysisソフトウェアV4.5Aを使用してデータを分析した。
【0129】
PF−06873600遊離塩基(形態1)は、吸湿性でなく、90%RHまで有意な重量増加が観察されず、水収着研究後に固体形態の変化はなかった。
【0130】
【表7】
【0131】
前記事項には、本発明の基本的な態様から逸脱することなく、変更を加えてもよい。本発明について、1つまたは複数の特定の実施形態に関連してかなり詳細に述べてきたが、当業者なら、本出願において特に開示した実施形態には変化を添えることができ、そうした変更形態および改良形態も、本発明の範囲および真意の範囲内にあると認識されよう。