【解決手段】回転体および取付装置302を含む、動力軸20に挿入される回転体装着装置30であって、前記取付装置302は、前記動力軸20を挿入する挿入孔を有し、前記動力軸20との駆動連結部を有し、前記回転体を基準として、前記取付装置302に前記動力軸20を挿入しない側に、前記回転体装着装置30を前記動力軸20と着脱する動力軸着脱機構操作部を有し、前記回転体を基準として、前記取付装置302に前記動力軸20を挿入する側に、前記回転体を前記回転体装着装置30から着脱する手で操作する回転体着脱機構操作部を有する、回転体装着装置とすることで課題の解決を図った。
前記回転体は、前記着脱装置および/または前記回転体押さえ装置との装着面に、凹部および/または凸部を有し、これにはまり込むように前記着脱装置および/または前記回転体押さえ装置に、凸部および/または凹部 が備えられていることを特徴とする、請求項2〜5記載のいずれか1項記載の回転体装着装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施例1>
実施例1は、本発明をレンジフード1のグリスフィルタ(回転体)301に適用した実施例である。
図1は、整流板を取り外したレンジフード1の底面側からの斜視図であり、レンジフード1の下面を覆う整流板を取り外した状態を図示している。回転体に相当するグリスフィルタ(回転体)301が取付装置302により装着されている。
グリスフィルタ(回転体)301の周囲には油分捕集部材としても機能するベルマウス(油分捕集部材)5が装着されている。
【0020】
回転体装着装置30は、グリスフィルタ(回転体)301と取付装置302の少なくとも2つの部材から構成されている。取付装置302は、グリスフィルタ(回転体)301を挟んで両側に位置する部材であり、底面側からの斜視図である
図1では、取付装置302の下側が見えている。取付装置302の両側から取付装置の動力軸着脱機構操作部303が突出している。
【0021】
取付装置の動力軸着脱機構操作部303を押圧すると、回転体装着装置30内に挿入されている動力軸(図示されていない)から回転体装着装置30が外れる。具体的な構造は後述する実施例2の「1 着脱装置 A 動力軸着脱機構」と同様である。
グリスフィルタ(回転体)301と取付装置302とで構成される回転体装着装置30が一体となったまま動力軸20から外せるため、取付装置302を作業者が保持していれば、グリスフィルタ(回転体)301を特段支えなくともグリスフィルタ(回転体)301が外れて落ちてくることはない。
【0022】
図2は、送風機ボックスの一部を説明のために取り除いたレンジフード1の上側からの斜視図 である。当該送風機ボックス内には、ファンケーシング6が設けられており、その内部にはファンとファンを駆動するモータが収められている。グリスフィルタ(回転体)301を駆動するグリスフィルタ駆動モータ(動力装置)4は、グリスフィルタ駆動モータ桟7上に固定されている。
【0023】
図3は、実施例1に係る(A)グリスフィルタ駆動モータ(動力装置)4の斜視図、(B)グリスフィルタ(回転体)301及び取付装置302をグリスフィルタ駆動モータ(動力装置)4側から見た斜視図および(C)
図3(B)の一点鎖線円内を拡大した斜視図である。
【0024】
図3(A)に記載のグリスフィルタ駆動モータ(動力装置)4の動力軸20は、
図3(B)および(C)に描かれた動力軸挿入孔305に挿入される。そして、動力軸20に設けられている一対の駆動ピン201が動力軸挿入孔305の入り口付近に設けられた駆動ピン受入溝306に嵌合する。駆動ピン受入溝306は、複数対設けられており、動力軸20がどのような周方向で動力軸挿入孔305に入れられても、嵌合できるように構成されている。
【0025】
図3(B)に示されているように、取付装置302からは、取付装置の回転体着脱機構操作部3071が一対設けられており、また、一対の回転体押圧ストッパー3072がグリスフィルタ(回転体)301の上面に飛び出ている。また、グリスフィルタ(回転体)301の周囲にはベルマウス(油分捕集部材)5が配置されており、後述するように油分捕集部材として機能する。
【0026】
図4は、実施例1に係る回転体装着装置30の(A)正面図、(B)断面図、(C)回転体取り外し時の、回転体押圧ストッパー3072の位置を示す断面図とグリスフィルタ(回転体)301の取付装置挿入孔3011との位置関係を示す概念図を示す。
回転体装着装置30は、
図4(A)〜(C)のように、グリスフィルタ(回転体)301と取付装置302の2つの構成部材の組立体である。
回転体着脱機構307は、取付装置の回転体着脱機構操作部3071と回転体押圧ストッパー3072とで構成され、清掃等のため、回転体装着装置30の構成部材であるグリスフィルタ(回転体)301を取付装置302から取り外すときには取付装置の回転体着脱機構操作部3071を押圧する。
【0027】
取付装置の回転体着脱機構操作部3071を押圧する前の状態を示す
図4(B)の状態において、取付装置の回転体着脱機構操作部3071を押圧すると、
図4(C)のように回転体押圧ストッパー3072が取付装置302内に移動し、取付装置302内に完全に収まるように構成されている。回転体押圧ストッパー3072の移動機構については図示されていないが、取付装置の回転体着脱機構操作部3071と回転体押圧ストッパー3072がリンク機構により連結されているものや、取付装置の回転体着脱機構操作部3071の操作に基づき作動する電磁リレーを設けて回転体押圧ストッパー3072が移動するものなど移動機構の種類は問わない。
【0028】
取付装置の回転体着脱機構操作部3071の操作により回転体押圧ストッパー3072が取付装置302内に完全に収まった状態になると、
図4(C)のように、グリスフィルタ(回転体)301の中央に設けられた取付装置挿入孔3011から取付装置302が抜ける状態となる。
グリスフィルタ(回転体)301の取付装置302への取り付けは、この逆を行えばよい。
【0029】
取付装置302には、動力軸20が、
図4(A)の動力軸挿入孔305側から挿入され、取付装置302は、グリスフィルタ(回転体)301を基準として、取付装置302に動力軸20を挿入しない側に、取付装置302を動力軸20と着脱する取付装置の動力軸着脱機構操作部303が設けられていることが分かる。
このような位置に取付装置の動力軸着脱機構操作部303があると、
図1のように、レンジフード1の下側から簡単に手が届くようになる。
動力軸20が水平に設けられているレンジフード1であっても、簡単に取付装置の動力軸着脱機構操作部303に手が届く。
【0030】
また、取付装置302は、グリスフィルタ(回転体)301を基準として、取付装置302に動力軸20を挿入する側に、取付装置の回転体着脱機構操作部3071を有している。
このような位置に、取付装置の回転体着脱機構操作部3071があると、回転体装着装置30を動力軸20から取り外した後でないと、グリスフィルタ(回転体)301を取付装置302から取り外せない。
図1からも分かるように、取付装置の回転体着脱機構操作部3071は、レンジフード1の下から見えず手が届かない位置にあり、作業者が誤って取付装置の回転体着脱機構操作部3071を操作することができないようになっている。
グリスフィルタ(回転体)301を取付装置302から取り外せるようにしたのは、取り外すことでグリスフィルタ(回転体)301を清掃しやすくするためである。また、汚れたときに使い捨てタイプのグリスフィルタ(回転体)301を使用するときには、取付装置の回転体着脱機構操作部3071があるので、簡単に交換することができる。
【0031】
実施例1においては、回転体をグリスフィルタ(回転体)301として説明したが、レンジフード1に使用されるファンに用いてもよい。また、本発明は、レンジフード以外の
回転体においても使用できる汎用的な技術である。以下の実施例においても同様である。
【0032】
(油捕集装置)
図1および
図3(B)に図示されたベルマウス(油分捕集部材)5は、グリスフィルタ(回転体)301から遠心力で飛ぶ油を捕集できるように、円環状の溝部を有しており油分捕集部材としても機能する。溜まった油は、ベルマウス(油分捕集部材)5を外すだけで、簡単に廃棄することができる。
回転体が、ファンの場合も、ファンから遠心力で飛ぶ油を捕集する油分捕集部材を設けてもよい。また、ファンのケーシング等から垂れてくる油を捕集する油分捕集部材を設けてもよい。
どの部材から油が垂れるか、そして、油が垂れてくる位置等により油分捕集部材の形状や設置位置は適宜変更可能である。
油分捕集部材は、ベルマウス(油分捕集部材)5に限らず、様々なものが本発明に包含される。また、油を排出する排出管を油分捕集部材に設けてもよい。
いずれにせよ、油が回転体に付着する環境下では、油分捕集部材を設けることで、油の処理を簡単に行うことができる。
【0033】
<実施例2>
実施例2は、レンジフード1に使用されるグリスフィルタ(回転体)301を回転体とした実施の態様である。実施例1と異なるのは、取付装置302が、着脱装置40と回転体押さえ装置50にさらに分離できるようになっていることである。
図5には、実施例2に係る(A)グリスフィルタ駆動モータ(動力装置)4の正面図、(B)回転体装着装置30の正面図、(C)回転体装着装置30の回転体押さえ装置50を外した分解正面図、(D)回転体装着装置30の回転体押さえ装置50およびグリスフィルタ(回転体)301を外した分解正面図が示されている。
【0034】
図5(A)には、後述する「1 着脱装置 A 動力軸着脱機構」で説明するように、動力軸着脱機構の構成部材である第1および第2動力軸保持レバー(403、404)によって保持される動力軸20の縮径部202が示されている。
動力軸20は、
図5(B)のボス筒動力軸挿入孔433から挿入され、動力軸20に回転体装着装置30が装着される。
【0035】
図5(B)には、動力軸20は示していないが、
図5(B)の着脱装置の動力軸着脱機構操作部401を操作することで、回転体装着装置30(回転体押さえ装置50、グリスフィルタ(回転体)301および着脱装置40の3つの部材で構成される)が一体となって、動力軸20から取り外せるようになっている。
【0036】
図5(C)のように回転体装着装置30を動力軸20から取り外した後、回転体押さえ装置の回転体着脱機構操作部5011を操作することで、グリスフィルタ(回転体)301を押さえていた回転体押さえ装置50が外れ、グリスフィルタ(回転体)301が取り外せる状態となる。
【0037】
図5(D)のように最後に、グリスフィルタ(回転体)301を着脱装置40から取り外すと、回転体装着装置30を構成する3つの部材がすべてバラバラになる。
【0038】
図5(B)からも分かるように、グリスフィルタ(回転体)301を基準として、回転体装着装置30に動力軸20を挿入する側に回転体押さえ装置の回転体着脱機構操作部5011が設けられており、これを操作することでグリスフィルタ(回転体)301を回転体装着装置30から着脱することができるようになっている。
レンジフード1において、回転体装着装置30が取り付けられた状態では、グリスフィ
ルタ(回転体)301が邪魔になり、回転体押さえ装置の回転体着脱機構操作部5011を操作することができないことは、実施例1と同様である。
着脱装置の動力軸着脱機構操作部401は、着脱装置40に設けられており、これを操作すると、回転体装着装置30全体が動力軸20から離脱し、グリスフィルタ(回転体)301、着脱装置40および回転体押さえ装置50の3つの部材が一体となって取り外せる。
図5(B)の回転体装着装置30は、レンジフード1から整流板を取り外すだけで、着脱装置の動力軸着脱機構操作部401が、作業者から見える位置になるように配置されており、簡単に操作できるように構成されている。
【0039】
次いで、回転体装着装置30の構造と機能を説明する。
1 着脱装置
A 動力軸着脱機構
図6は、実施例2に係る着脱装置40の(A)分解図、(B)ボス部材43正面図である。着脱装置40には、第1動力軸保持レバー403、第2動力軸保持レバー404および動力軸保持レバー付勢部材402で構成される動力軸着脱機構が収められている。そして、第1動力軸保持レバー403および第2動力軸保持レバー404は、それぞれ着脱装置の動力軸着脱機構操作部401、保持レバー動力軸挿入孔405および動力軸当接保持部407を備えている。
図6(A)を参照されたい。着脱装置下カバー41内には、サポートカバー42が収められている。サポートカバー42の上に第1動力軸保持レバー403および第2動力軸保持レバー404が摺動自在に設けられている。
【0040】
第1動力軸保持レバー403および第2動力軸保持レバー404には、付勢部材当接部406が設けられており、動力軸保持レバー付勢部材402の一端が当接するようになっている。動力軸保持レバー付勢部材402の他端はボス部材43に当接している(
図7参照)。
【0041】
動力軸保持レバー付勢部材402は、第1および第2動力軸保持レバー(403、404)を
図6中の矢印の方向に付勢しており、着脱装置の動力軸着脱機構操作部401が、ボス部材43外に出るように付勢されている。
図7は、実施例2に係る動力軸20と第1動力軸保持レバー403との当接関係を示すボス部材下面斜視図であり、第1動力軸保持レバー403が、動力軸20の縮径部202を保持する様子が図示されている。説明のため、第2動力軸保持レバー404は、図示していない。第1および第2動力軸保持レバー(403、404)は、動力軸保持レバー付勢部材402により、動力軸20の縮径部202を保持している。動力軸20の縮径部202の形状は、
図5(A)を参照されたい。
【0042】
前述したように、第1動力軸保持レバー403は、図示された矢印の方向へ動力軸保持レバー付勢部材402(第1動力軸保持レバー403の背面に隠れて、図示されていない)により付勢されており、動力軸当接保持部407が動力軸20の縮径部202に当接し、保持していることが分かる。第2動力軸保持レバー404も同様である。
動力軸20に回転体装着装置30を取り付けた際には、動力軸20の縮径部202が、第1および第2動力軸保持レバー(403、404)により両側から保持されることになる。
動力軸保持レバー付勢部材402の一例としてコイルバネが挙げられるが、同等の機能を有するものであれば、板バネ、ゴム等の弾性体等いかなるものでもよい。
【0043】
再び
図6に戻ると、動力軸20は、ボス部材43のボス筒動力軸挿入孔433に挿入され、次いで第1および第2動力軸保持レバー(403、404)の保持レバー動力軸挿入
孔405、サポートカバー動力軸挿入孔421を通って、着脱装置下カバー41の中央部に設けられた動力軸先端当接部411まで挿入される。このとき、第1および第2動力軸保持レバー(403、404)のある位置に動力軸20の縮径部202がちょうど位置するように設計されている。
【0044】
回転体装着装置30を動力軸20から取り外す場合は、第1および第2動力軸保持レバー(403、404)の着脱装置の動力軸着脱機構操作部401を、動力軸保持レバー付勢部材402の付勢力に抗して押し込む。すると、動力軸20の縮径部202から 第1および第2動力軸保持レバー(403、404)の動力軸当接保持部407が離れ、回転体装着装置30を動力軸20から抜くことができる。
【0045】
B 回転体と着脱装置(ボス部材)の係合機構
図8は、実施例2に係る回転体装着装置30の着脱装置40とグリスフィルタ(回転体)301の斜視図である。ボス部材43のグリスフィルタ(回転体)301に面する側に突起(被係合機構)434が図示されている。
【0046】
グリスフィルタ(回転体)301には、突起挿入孔(係合機構)3016が設けられており、ボス部材43の上面にある突起(被係合機構)434が挿入されるように構成されている。これにより、グリスフィルタ(回転体)301とボス部材43は、強固に回り止めされる。
【0047】
回転体の係合機構と着脱装置の被係合機構は、回り止めとして機能すればよく、突起(被係合機構)434の形状や、突起挿入孔(係合機構)3016の形状は様々にできる。また、実施例2においては、
図5(D)に示す突起(被係合機構)434は、グリスフィルタ(回転体)301と組み立てられると、
図5(C)に示すようにグリスフィルタ(回転体)301の反対面から飛び出るように構成したが、グリスフィルタ(回転体)301と掛け合うだけでもよい。また、突起挿入孔(係合機構)3016に代えて、グリスフィルタ(回転体)301の上面に装着時に突起(被係合機構)434がちょうど収まるキャップ(係合機構)として設けてもよい。このようにしても強固に回り止めされる。
【0048】
実施例2では、着脱装置40側に突起(被係合機構)434を設けたが、後述する回転体押さえ装置50側に設けてもよいし、着脱装置40と回転体押さえ装置50の双方に突起(被係合機構)を設けてもよい。
また、突起(被係合機構)434をグリスフィルタ(回転体)301に設け、着脱装置40および/または回転体押さえ装置50の側に、グリスフィルタ(回転体)301に設けた突起(被係合機構)434を収める収容部(係合機構)を設けるものとしてもよい。
【0049】
C 回転体裏表逆付け防止機構
図8には、着脱装置の上面にグリスフィルタ取付用凸部44が図示されている。グリスフィルタ(回転体)301には、着脱装置40側からみると凹部となっている着脱装置受入用凹部3017が着脱装置40との装着面に設けられている。
図8に図示されている通り、着脱装置受入用凹部3017の直径Aより、グリスフィルタ取付用凸部44の直径A’は小さく、好ましくは略同径であり、両者がはまり込む。
グリスフィルタ取付用凸部44と着脱装置受入用凹部3017があることで、誤ってグリスフィルタ(回転体)301を裏表逆向きに取り付けてしまうこと防ぐ、グリスフィルタ(回転体)301の裏表逆付け防止機構として機能する。
【0050】
実施例2では、グリスフィルタ(回転体)301に着脱装置受入用凹部3017を設けているが、着脱装置受入用凸部としても実施でき、この場合、着脱装置40には、グリスフィルタ取付凹部が設けられることになる。また、回転体押さえ装置50のグリスフィル
タ(回転体)301に向く面に、グリスフィルタ取付用凸部や凹部を設け、これがグリスフィルタ(回転体)301の回転体押さえ装置受入用凹部や凸部とはまり込むようにしても、逆付け防止を達成できる。
【0051】
また、グリスフィルタ(回転体)301の着脱装置40側と回転体押さえ装置50側の両方に凹部および/または凸部を設けてもよく、前記凹部および/または凸部にはまり込むように、着脱装置40と回転体押さえ装置50に凹部および/または凸部が設けられる。
さらに、グリスフィルタ(回転体)301の凹部および/または凸部にはまり込む、着脱装置40および/または回転体押さえ装置50の凹部および/または凸部は、裏表逆付け防止機構として機能するのであればよく、完全に同径である必要はない。
【0052】
D 駆動連結部
図6(A)に記載のように、着脱装置40はボス筒動力軸挿入孔433に動力軸20が挿入されるように構成されており、着脱装置40の先端には、駆動ピン受入溝4311が、複数対設けられている。動力軸20がどのような周方向でボス筒動力軸挿入孔433に入れられても、1対の駆動ピン201が、駆動ピン受入溝4311と嵌合できるように構成されている。駆動ピン201と駆動ピン受入溝4311とで駆動連結部が構成される。
【0053】
2 回転体押さえ装置
図9は、実施例2に係る回転体押さえ装置50の分解図である。最もグリスフィルタ(回転体)301側に、回転体押さえ装置ケース502が位置している。
【0054】
A 回転体着脱機構
回転体着脱機構501は、詳しくは後述するがボス筒保持部材(クランプ作用のある棒バネ)5012でボス筒431(図示されていない)を挟んで保持している。保持を解除する場合、回転体押さえ装置の回転体着脱機構操作部5011が、ボス筒保持部材開口部5013に割入るように押し込まれることで、ボス筒保持部材(クランプ作用のある棒バネ)5012が開き、ボス筒431の保持が解除される。
【0055】
ボス筒431は、着脱装置40の上方に飛び出た部材であり、
図6(B)のボス部材43正面図において一点鎖線で示す領域にまたがっている部位である。
図10(A)には実施例2に係るボス筒431の拡大図が示されている。また、
図10(B)は実施例2に係るボス筒431と回転体着脱機構501の保持関係を示す斜視図である。
【0056】
ボス筒431のボス筒先端部4313側には、ボス筒拡径部4315が形成されており、駆動ピン受入溝4311が設けられている。そして、ボス筒拡径部4315の直下に、テーパー面4312が設けられている。ボス筒保持部材(クランプ作用のある棒バネ)5012がボス筒431を保持する場合に、
図10(B)に示すように、このテーパー面4312に当接するようにボス筒保持部材(クランプ作用のある棒バネ)5012が設けられており、ボス筒431を挟んで保持している。これは、実施例2における回転体着脱機構501の第1の機能である。ボス筒431が保持されることで、回転体押さえ装置50を取り外さない限り、グリスフィルタ(回転体)301を取り外すことはできない。
【0057】
ボス筒保持部材(クランプ作用のある棒バネ)5012がテーパー面4312を挟持するため、その挟み付ける付勢力は、テーパー面4312で分力を生じ、
図10(B)の矢印で図示した方向に着脱装置40のボス筒431を持ち上げ、回転体押さえ装置50との間に挟まれたグリスフィルタ(回転体)301を、回転体押さえ装置50に向けて押さえつける付勢部として作用する。
これが実施例2における回転体着脱機構501の第2の機能であり、グリスフィルタ(
回転体)301がガタつかないように押さえつける付勢部としての機能を併せ持っている。第2の機能により、グリスフィルタ(回転体)301は、ガタつかなくなり、回転時の騒音や異音を抑制することができる。
第2の機能を奏するのに好適なテーパー面の角度θ(
図10(A)参照)は、95°〜135°である。
【0058】
図9、
図10および
図11を用いて装着時の部材間の関係を説明する。
図11は、実施例2に係るボス筒保持部材(クランプ作用のある棒バネ)5012とボス筒先端部4313との関係を示す概念図である。
図9で示したサポート部材503は、回転体着脱機構501を構成するボス筒保持部材(クランプ作用のある棒バネ)5012および回転体押さえ装置の回転体着脱機構操作部5011を保持しており、回転体押さえ装置ケース502内で外れないように押さえて保持する部材である。
図9で示した回転体押さえ装置50のケースのボス筒挿入孔5021からグリスフィルタ(回転体)301を取り付けた着脱装置40のボス筒431を挿入することで、回転体押さえ装置50は装着される。ボス筒先端部4313が、ケースのボス筒挿入孔5021から挿入されると、まずボス筒保持部材(クランプ作用のある棒バネ)5012に当接する。次いで、さらにボス筒先端部4313を押し込むとサポート部材のボス筒挿入孔5031を通り、上部カバーのボス筒挿入孔5041よりボス筒先端部4313が回転体押さえ装置50からわずかに出る。この状態は、
図5(B)に図示したとおりである。
【0059】
ボス筒保持部材(クランプ作用のある棒バネ)5012が、どのようにボス筒431に装着されるかを詳述する。
図11に示したように、実施例2において、ボス筒保持部材(クランプ作用のある棒バネ)5012は、断面が円形の棒バネである。着脱装置40に装着する前であって且つ、回転体押さえ装置の回転体着脱機構操作部5011(
図10(B))を操作していない状態において、 ボス筒保持部材(クランプ作用のある棒バネ)5012断面となる円形の下端をつないだ径aは、ボス筒先端部4313の径bよりわずかに広く設計されている。
【0060】
ボス筒保持部材(クランプ作用のある棒バネ)5012は断面が円形であり、円形のボス筒保持部材(クランプ作用のある棒バネ)5012が、 ボス筒先端部4313の曲面に当たり、そのまま回転体押さえ装置50にボス筒431を挿入し続けることで押し広げられてボス筒拡径部4315と当接する。回転体押さえ装置の回転体着脱機構操作部5011をボス筒保持部材開口部5013に押し込んで操作しなくとも、回転体押さえ装置50を着脱装置40に向けて押し込み続けると、ボス筒拡径部4315に沿ってボス筒保持部材(クランプ作用のある棒バネ)5012がさらに拡径し、ボス筒431のテーパー面4312でボス筒保持部材(クランプ作用のある棒バネ)5012により保持がなされる。
上述したように径a>径bの関係にすると、装着時に、回転体押さえ装置の回転体着脱機構操作部5011を操作する必要なく、回転体押さえ装置50を着脱装置40に向けて押し込むだけで装着が完了するため、装着が楽に行える。
【0061】
B 回転体を押さえつける付勢部
実施例2では、回転体着脱機構501に第1の機能と第2の機能を併せ持つようにしたが、本来回転体着脱機構501は、第1の機能を備えていればよく、第2の機能を併せ持つ必要はない。
また、グリスフィルタ(回転体)301を押さえつける付勢部としての機能(第2の機能)を、回転体着脱機構501と別に設けた付勢部によって与えてもよい。
【0062】
図12は、実施例2に係る付勢部の様々な態様を示す概念図である。
図12(A)は、クッション式である。回転体押さえ装置50の下面にはクッションが設けてあり、回転体押さえ装置50が取り付けられると、グリスフィルタ(回転体)301を押さえつける付勢部として機能する。
【0063】
図12(B)は、テコ式であり、着脱装置40の上面にはテコ持ち上げ突起が設けてあり、回転体押さえ装置50に設けられたテコの力点を持ち上げるようになっている。支点を挟んで力点と逆側にある作用点は、グリスフィルタ(回転体)301を押さえつける付勢部として機能する。
以上の、付勢部の態様は、一例を示すものであって、磁石を使用して磁力により付勢するなど、付勢部として機能するものであればいかなるものでもよく、上記例に限られるものではない。
【0064】
C 回転体押さえ装置の円環溝
上記「1 着脱装置 B 回転体と着脱装置(ボス部材)の係合機構」で説明したように、実施例2では、グリスフィルタ(回転体)301には、突起挿入孔(係合機構)3016が設けられており、ボス部材43の上面にある突起(被係合機構)434が挿入されるように構成されている。
図13は、実施例2に係る着脱装置40、グリスフィルタ(回転体)301、回転体押さえ装置50の装着関係を示す分解図である。グリスフィルタ(回転体)301の着脱装置挿入孔3015からボス筒431が出ており、グリスフィルタ(回転体)301の突起挿入孔(係合機構)3016から、着脱装置40の突起(被係合機構)434が飛び出している。この飛び出た突起(被係合機構)434を収める円環溝505が、回転体押さえ装置50のグリスフィルタ(回転体)301側の面に設けられている。円環溝505は、方向に無関係に突起(被係合機構)434を収められる点で有利な作用を有する。
しかし、強固にグリスフィルタ(回転体)301を回り止めしたい場合は、突起(被係合機構)434がちょうど収まる凹部を回転体押さえ装置50に設けてもよい。
【0065】
さらに、前述したように、突起(被係合機構)434は、回転体押さえ装置50に設けてもよく、この場合、円環溝は着脱装置40のグリスフィルタ(回転体)301の装着面に設けられることになる。
そして、着脱装置40に設けられた突起(被係合機構)434の配置は、同じ円周上に配置するなど規則性をもって配置されてもよいが、規則性なく配置されていてもよい。その場合、グリスフィルタ(回転体)301を着脱装置40に装着した際に、突起挿入孔(係合機構)3016から飛び出た突起(被係合機構)434の配置に対応させて、それを収める回転体押さえ装置50底面の円環溝505等の配置が決まる。
また、グリスフィルタ(回転体)301に突起からなる係合機構を設け、前記突起を収める円環溝や突起をちょうど収める凹部を着脱装置40および/または回転体押さえ装置50に設けてもよい。
以上のように、様々な態様が本発明に包含される。
【0066】
<実施例3>
実施例3は、実施例2の回転体押さえ装置50の別態様である。
図14は、実施例3に係る回転体押さえ装置50の、(A)斜視図、(B)上部カバー504を取り除いた斜視図である、
実施例3の回転体着脱機構501は、前記実施例2の「1 着脱装置 A 動力軸着脱機構」で説明した動力軸着脱機構の構造と類似する。
図14(A)に図示した実施例3に係る回転体押さえ装置50の側方からは、回転体押さえ装置の回転体着脱機構操作部5011が飛び出しており、上部は上部カバー504で覆われ、中央部には上部カバーのボス筒挿入孔5041が設けられている。
図14(B)の上部カバー504を取り除いた斜視図に示されている通り、回転体着脱機構501は、回転体着脱機構の操作部5011を備えた回転体押さえ装置のボス筒挟持レバー506と、レバーのバネ5062とで構成されている。
【0067】
回転体押さえ装置50には、2つの回転体押さえ装置のボス筒挟持レバー506が設けられており、2つの回転体押さえ装置のボス筒挟持レバー506には各々レバーのバネ5062が配設されている。2つの回転体押さえ装置のボス筒挟持レバー506は、矢印で示すように付勢されており、ボス筒挟持レバーのボス筒挿入孔5061に挿入されたボス筒431(図示されていない)を、両側から保持する。2つの回転体押さえ装置のボス筒挟持レバー506の挟持位置は、
図10(A)で示されているボス筒拡径部4315の直下の部位であり、この位置でボス筒431が挟まれるため、着脱装置40が外れることはない。
【0068】
回転体押さえ装置のボス筒挟持レバー506を、
図10(A)のテーパー面4312の位置で挟持して、
図10(B)の矢印で示される方向に付勢力を与えて回転体を押さえつける付勢部としての機能を持たせてもよいが、ボス筒431にテーパー面4312を設けず、上記「2 回転体押さえ装置 B 回転体を押さえつける付勢部」で説明したように別途回転体を押さえつける付勢部を設けてもよい。また、回転体を押さえつける付勢部を設けない態様も包含され得る。
回転体押さえ装置の回転体着脱機構操作部5011が押圧されると、2つの回転体押さえ装置のボス筒挟持レバー506に形成されたボス筒挟持レバーのボス筒挿入孔5061の重なる範囲が広がり、ボス筒431の保持が解除され、着脱装置40から回転体押さえ装置50を取り外すことで、グリスフィルタ(回転体)301を取り外すことが可能となる。
【0069】
<実施例4>
実施例4は、実施例2の回転体押さえ装置50の別態様である。
図15は、実施例4に係る回転体押さえ装置50の(A)斜視図、(B)上部カバー504を取り除いた斜視図を示したものである。
図15(A)に示されたように、回転体押さえ装置50からは、回転体押さえ装置の回転体着脱機構操作部5011が飛び出している。
なお、回転体押さえ装置の回転体着脱機構操作部5011は、実施例4では、側面から飛び出しているように構成したが、操作が可能な部位であればどこでもよく、本発明においては回転体押さえ装置50の頂部から飛び出していてもよい。また、回転体押さえ装置の回転体着脱機構操作部5011が操作できるのであれば飛び出している必要もない。取付装置の動力軸着脱機構操作部などの他の操作部についても同様である。
【0070】
図15(B)を参照されたい。回転体着脱機構501は、回転体押さえ装置の回転体着脱機構操作部5011を備えたボス筒保持レバー507とボス筒保持レバーの押圧バネ5071とで構成されている。ボス筒保持レバー507は一端に回転体押さえ装置の回転体着脱機構操作部5011が設けられ、その他端にボス筒保持レバーの押圧バネ5071が装着され、ボス筒保持レバーの押圧バネ5071により、矢印の方向にボス筒保持レバー507が付勢されており、ボス筒拡径部4315の直下位置(
図10参照)で、ボス筒保持レバーのボス筒当接部5073が、ボス筒保持レバーのボス筒挿入孔5072内に挿入されているボス筒431を押圧する。これにより、ボス筒431は保持されることとなる。ボス筒保持レバーのボス筒挿入孔5072は、真円ではなくボス筒保持レバー507の移動方向の径が長くなっている。真円だとボス筒拡径部4315とボス筒保持レバーのボス筒挿入孔5072の位置が一致したときしかボス筒431を抜くことができないため、回転体押さえ装置の回転体着脱機構操作部5011を動かす加減を調整するのが難しくなる。しかし、前記したように径が長くなっているため、押し込む加減を厳密に調整しなく
とも、着脱装置40から回転体押さえ装置50を外すことができ、グリスフィルタ(回転体)301が取り外せる。
【0071】
<実施例5>
図16は、実施例5に係る(A)回転体装着装置30の斜視図、(B)回転体押さえ装置50を取り外した斜視図、(C)着脱装置40の斜視図、(D)回転体押さえ装置50をグリスフィルタ(回転体)301側から見た斜視図、(E)グリスフィルタ(回転体)301の拡大斜視図である。
図16(A)には、着脱装置40のボス筒先端部4313が見えている。着脱装置40、グリスフィルタ(回転体)301および回転体押さえ装置50から構成される回転体装着装置30が図示されている。
【0072】
1 回転体と着脱装置の取付構造
図16(A)の状態から、回転体押さえ装置50を取り外した状態が
図16(B)である。グリスフィルタ(回転体)301には、掛合突起挿入孔(係合機構)3018(
図16(E))が設けられており、
図16(B)のように着脱装置40に設けられている掛合突起(被係合機構)435が挿入されている。掛合突起(被係合機構)435は、
図16(B)および(C)で示すように、根元から先端がグリスフィルタ(回転体)301の中心に向かって曲がっている形状をしている。着脱装置40にグリスフィルタ(回転体)301を装着した
図16(B)の状態では、掛合突起挿入孔(係合機構)3018のボス筒431側にすき間が空いていることが見て取れる。
図16(E)に示されているように、掛合突起挿入孔(係合機構)3018はグリスフィルタ(回転体)301の中心から最も離れた箇所にある掛合突起当接部3019に掛合突起(被係合機構)435が当接する。一対の掛合突起(被係合機構)435が掛合突起当接部3019で当接するため、装着時に掛合突起挿入孔(係合機構)3018に前記したようなすき間が生じるが、すき間に向けて掛合突起(被係合機構)435は動くことができない。
【0073】
このように、グリスフィルタ(回転体)301に設けられた掛合突起挿入孔(係合機構)3018に、着脱装置40に設けられた掛合突起(被係合機構)435が挿入されると、グリスフィルタ(回転体)301は回り止めされ回転方向に動くことができず、ガタつくことが無くなる。
【0074】
掛合突起435は、
図16(D)で図示された回転体押さえ装置50の掛合突起挿入部509に挿入された後、掛合突起掛合部508側に回転体押さえ装置50を回動することで掛け合い、さらに強固に回り止めされる。
【0075】
2 回転体押さえ装置の回転体着脱機構
図17は、実施例5に係る回転体押さえ装置50の回転体着脱機構501の斜視図であり、この状態で本来装着されてなければならないグリスフィルタ(回転体)301を説明のため図示していない。この他、説明に不要な部材を回転体押さえ装置50から省き、回転体押さえ装置50の内部が分かるようになっている。
実施例5のボス筒431の形状は実施例2〜実施例4と異なり、ボス筒拡径部4315がなく、円筒状である。また、ボス筒431には、側面に嵌合溝436が設けられている。嵌合溝436の形状は、
図16(C)に図示されている。
図17の着脱装置40のボス筒431に設けられた嵌合溝436に、回転体押さえ装置50の着脱突起512が嵌合することで、着脱装置40と回転体押さえ装置50が固定され、着脱装置40と回転体押さえ装置50の間にグリスフィルタ(回転体)301が保持されることとなる。着脱突起512の形状は、
図18に示されている。
【0076】
図17に図示されているように、着脱突起512は、リンク機構511で回転体押さえ
装置の回転体着脱機構操作部5011につながっている。回転体押さえ装置の回転体着脱機構操作部5011には、図中の矢印の方向へ付勢する着脱突起付勢バネ513が設けられている。着脱突起付勢バネ513が矢印の方向へ付勢されることで、リンク機構511でつながれた着脱突起512が嵌合溝436へと付勢されていることが分かる。
【0077】
3 回転体を押さえつける付勢部
実施例2では、
図10(B)に示したようにボス筒保持部材(クランプ作用のある棒バネ)5012がテーパー面4312を挟持するため、その挟み付ける付勢力は、テーパー面4312で分力を生じ、矢印で図示した方向、すなわち、グリスフィルタ(回転体)301を着脱装置40と挟むように付勢部を構成した。
【0078】
実施例5ではそれとは異なり、ガタ防止突起515を設けることでグリスフィルタ(回転体)301を押さえつける付勢部を構成した。ガタ防止突起515は、
図16(D)に図示されているように、回転体押さえ装置50のグリスフィルタ(回転体)301側の面に設けられている。
図18は、実施例5に掛る回転体押さえ装置50の説明に不要な部材を取り外した状態の斜視図であり、ガタ防止突起515がガタ防止突起付勢バネ516を介して配設され矢印の方向へ付勢されている。これにより、ガタ防止突起515はグリスフィルタ(回転体)301を押さえつける付勢部として機能する。これにより、着脱装置40と回転体押さえ装置50との間に挟まれたグリスフィルタ(回転体)301が、ガタつくことが防止される。
【0079】
以上の実施例は、回転体をグリスフィルタ(回転体)301として説明したが、レンジフードに使用されるファンに用いてもよい。また、本発明は、レンジフード以外の回転体においても使用できる汎用的な技術である。
【0080】
(まとめ)
以上のように、本発明は、回転体および取付装置を含む回転体装着装置を一体として動力軸から着脱することができ、特にレンジフードのように高所に回転体がある場合、取り外し作業や取り付け作業がしやすくなった。
また、回転体を回転体装着装置から着脱する回転体着脱機構操作部は、通常手が届かない動力軸を挿入する側に設けているので、誤って回転体着脱機構操作部を操作し、回転体が分解し落下することが回避される。