【解決手段】表示装置は、基板と、基板上に設けられた複数の信号線Sと、信号線Sと交差する複数の走査線と、走査線と信号線Sの交差位置に形成された複数の薄膜トランジスタと、ブラックマトリクス層と、を有し、第2の走査線群G2は、第1の走査線群G1と第3の走査線群G3の間に配置され、基板は、第2の走査線群G2及び第3の走査線群G3の走査線延在方向に重なる位置に切欠き部12を有し、第2の走査線群G2に接続される薄膜トランジスタの数は、第1の走査線群G1に近い走査線程多く、第3の走査線群G3の各走査線は、同数の画素が接続され、第2の走査線群G2走査線Gの切欠き部12側端部は、ブラックマトリクス層に重なるように負荷素子30が接続され、第3の走査線群G3の走査線Gの切欠き部12側端部は、ブラックマトリクス層に重なるように負荷素子40が接続される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0010】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0011】
さらに、本発明の詳細な説明において、ある構成物と他の構成物の位置関係を規定する際、「上に」「下に」とは、ある構成物の直上あるいは直下に位置する場合のみでなく、特に断りの無い限りは、間にさらに他の構成物を介在する場合を含むものとする。
【0012】
図1は、本発明を適用した実施形態に係る表示装置の概略を示す平面図である。表示装置は、第1基板10を有する。第1基板10は、画像が表示される表示領域DAを有する。表示領域DAの外側(周囲)には、非表示領域NDAがある。
【0013】
第1基板10は、切欠き12を有する。切欠き12は、第1基板10の第1方向D1の両端部の一方にあり、第1方向D1に交差(例えば直交)する第2方向D2に、第1基板10の中間にある。切欠き12は、第2方向D2に表示領域DAが連続することを妨げている。切欠き12はU字状になっており、これに対応して、第1基板10の外形輪郭は曲線を有している。非表示領域NDAは、切欠き12に隣接する領域を含む。
【0014】
図2は、
図1に示す表示装置の回路図である。
図3は、
図2に示す回路の一部を詳細に示す図である。
【0015】
第1基板10は、表示領域DAにおいて、複数のサブピクセルSPを備えている。サブピクセルSPとは、映像信号に応じて個別に制御することができる最小単位を示し、例えば、走査線Gと信号線Sとが交差する位置に配置された薄膜トランジスタTFTを含む領域に存在する。複数のサブピクセルSPは、第1方向D1及び第2方向D2にマトリクス状に配置されている。走査線Gは、第2方向D2に延出し、第1方向D1に並んでいる。信号線Sは、各々第1方向D1に延出し、第2方向D2に並んでいる。なお、走査線G及び信号線Sは、必ずしも直線的に延出していなくても良く、それらの一部が屈曲していてもよい。走査線G及び信号線Sは、表示領域DAの外側にある非表示領域NDAに引き出されている。非表示領域NDAにおいて、複数の走査線Gは走査回路GDに接続され、複数の信号線Sは信号線駆動回路SDに接続されている。走査回路GDは、
図1に示すように、第2方向D2に複数の走査線Gを挟む両側のそれぞれに配置されている。
【0016】
第1基板10は、画像を構成する複数のサブピクセルSPの少なくとも明度を変化させるために複数の画素電極14及び複数の共通電極16を有する。複数の画素電極14は、第1方向D1及び第2方向D2に配列される。画素電極14の各々は、共通電極16と対向し、画素電極14と共通電極16との間に生じる電界によって液晶層18を駆動する。保持容量CSは、例えば、共通電極16と画素電極14との間に形成される。共通電極16は、複数のサブピクセルSPに亘って配置されている。共通電極16は、非表示領域NDAに引き出されて共通電極駆動回路CDに接続される。
【0017】
複数の薄膜トランジスタTFTが、表示領域DAに配列されている。複数の薄膜トランジスタTFTは、複数の画素電極14にそれぞれ対応して、第1方向D1及び第2方向D2に配列される。サブピクセルSPは、薄膜トランジスタTFTを備えている。薄膜トランジスタTFTは、走査線G及び信号線Sと電気的に接続されている。具体的には、薄膜トランジスタTFTは、ゲート電極WG、ソース電極WS、及び、ドレイン電極WDを備えている。ゲート電極WGは、走査線Gと電気的に接続されている。図示した例では、信号線Sと電気的に接続された電極をソース電極WSと称し、画素電極14と電気的に接続された電極をドレイン電極WDと称する。走査線Gは、第2方向D2に並んだサブピクセルSPの各々における薄膜トランジスタTFTと接続されている。
【0018】
信号線Sは、第1方向D1に並んだサブピクセルSPの各々における薄膜トランジスタTFTと接続されている。複数の画素電極14のそれぞれと複数の信号線Sのうち対応する1つとの間の電気的接続が、複数の薄膜トランジスタTFTの対応する1つによって制御される。
【0019】
図4は、
図1に示す表示装置のIV−IV線断面図である。第1基板10と第2基板22の間に液晶層18が介在する。複数の画素電極14は、液晶層18の側で、第1基板10に、相互に直交する第1方向D1及び第2方向D2に配列される。表示装置は、主面にほぼ平行な横電界を利用する表示モードに対応した構成を有している。あるいは、表示装置は、基板主面に対して垂直な縦電界や、基板主面に対して斜め方向の電界、或いは、それらを組み合わせて利用する表示モードに対応した構成を有していても良い。横電界を利用する表示モードでは、例えば第1基板10及び第2基板22のいずれか一方に画素電極14及び共通電極16の双方が備えられた構成が適用可能である。縦電界や斜め電界を利用する表示モードでは、例えば、第1基板10に画素電極14及び共通電極16のいずれか一方が備えられ、第2基板22に画素電極14及び共通電極16のいずれか他方が備えられた構成が適用可能である。
【0020】
第1基板10は、信号線S、共通電極16、金属層M、画素電極14、第1絶縁膜IN1、第2絶縁膜IN2、第3絶縁膜IN3、第1配向膜AL1などを備えている。なお、ここでは、薄膜トランジスタTFTや走査線G、これらの間に介在する各種絶縁膜等の図示を省略している。第1絶縁膜IN1は、第1基板10の上に位置している。図示しない走査線Gや薄膜トランジスタTFTの半導体層(チャネル層)は、第1基板10と第1絶縁膜IN1の間に位置する。信号線Sは、第1絶縁膜IN1の上に位置している。第2絶縁膜IN2は、信号線S、及び、第1絶縁膜IN1の上に位置している。共通電極16は、第2絶縁膜IN2の上に位置している。金属層Mは、信号線Sの直上において共通電極16に接触している。金属層Mは、共通電極16の上に位置しているが、共通電極16と第2絶縁膜IN2との間に位置していても良い。第3絶縁膜IN3は、共通電極16、及び、金属層Mの上に位置している。画素電極14は、第3絶縁膜IN3の上に位置している。画素電極14は、第3絶縁膜IN3を介して共通電極16と対向している。また、画素電極14は、共通電極16と対向する位置にスリットSLを有している。第1配向膜AL1は、画素電極14及び第3絶縁膜IN3を覆っている。
【0021】
走査線G、信号線S、及び、金属層Mは、モリブデン、タングステン、チタン、アルミニウムなどの金属材料によって形成され、単層構造であっても良いし、多層構造であっても良い。共通電極16及び画素電極14は、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの透明な導電材料によって形成されている。第1絶縁膜IN1及び第3絶縁膜IN3は無機絶縁膜であり、第2絶縁膜IN2は有機絶縁膜である。
【0022】
第2基板22は、ブラックマトリクス層24、カラーフィルタ層26、オーバーコート層OC、第2配向膜AL2などを備えている。ブラックマトリクス層24及びカラーフィルタ層26は、第2基板22の第1基板10と対向する側に位置している。ブラックマトリクス層24は、サブピクセルSPを区画し、信号線Sの直上に位置している。カラーフィルタ層26は、画素電極14と対向し、その一部がブラックマトリクス層24に重なっている。オーバーコート層OCは、カラーフィルタ層26を覆っている。第2配向膜AL2は、オーバーコート層OCを覆っている。
【0023】
第2基板22には、タッチセンシングのために複数のタッチ電極28が積層されている。タッチ電極28は、第2基板22の主面に位置している。タッチ電極28は、金属や、ITO(Indium Tin Oxide)又はIZO(Indium Zinc Oxide)等の透明導電材料によって形成されていても良いし、金属の上に透明導電材料が積層されていても良いし、導電性の有機材料や、微細な導電性物質の分散体などによって形成されていても良い。
【0024】
第1偏光板を含む第1光学素子OD1は、第1基板10と照明装置BLとの間に位置している。第2偏光板を含む第2光学素子OD2は、タッチ電極28の上に位置している。第1光学素子OD1及び第2光学素子OD2は、必要に応じて位相差板を含んでいても良い。
【0025】
図5は、
図1の領域Vに相当する部分の信号線S及び走査線Gの詳細を示す図である。領域Vは、切欠き12の周辺である。
図5に示されるように、この領域Vにかかる走査線Gは、切欠き12によって、長さの異なる配線が混在している。
【0026】
切欠き12は、角がラウンドした形状となっているため、走査線Gの長さもラウンドに合わせた長さになっている。本実施形態においては、第1グループG1、第2グループG2、第3グループG3の三つのグループに区分される。
【0027】
複数の走査線Gのうち、第1グループG1の走査線Gは、第2方向D2に表示領域DAの両端に至る(
図1参照)。いわゆる通常の走査線である。第1グループG1の走査線Gのそれぞれは、両端部のそれぞれで走査回路GDに接続する。
【0028】
複数の走査線Gのうち、第2グループG2の走査線Gは、第1方向D1に第1グループG1の隣りにある。第2グループG2は、切欠き12の端部がラウンドしている箇所に相当するグループである。第2グループG2の走査線Gは、表示領域DAを通る部分から第2方向D2に、切欠き12があることで、あるいは、切欠き12に沿った非表示領域NDAがあることで、少なくとも表示領域DAにおいて、第1グループG1の走査線Gよりも短い。表示領域DAで第2グループG2の走査線Gのそれぞれが有する長さは、表示領域DAで第1グループG1の走査線Gのそれぞれが有する長さの半分以下である。第2グループG2の走査線Gは、非表示領域NDA(切欠き12と表示領域DA間の領域)に至るように延びている。第2グループG2の走査線Gは、片側の走査回路GDのみに接続する。
【0029】
複数の走査線Gのうち、第3グループG3の走査線Gは、第1方向D1において最も端部側に配置された走査線である。第3グループG3の走査線Gも、第2グループG2の走査線Gと同様に、第2方向D2への連続性が切欠き12によって妨げられている。第2グループG2との違いは、切欠き12の端部がほぼ直線状になっていることである。つまり、第2グループG2の走査線Gは、同じグループ内でそれぞれ長さが異なるが、第3グループG3の走査線Gは、ほぼ等しい。第3グループG3の走査線Gの長さは、最も長いものでも、第2グループG2の走査線Gの長さ以下になっている。
【0030】
上記に示したように、本実施形態の走査線Gは、通常の走査線である第1グループG1の走査線の他に、長さの異なる走査線が複数本存在することになる。走査線Gと信号線Sの交差する領域は、
図5に示されるように、画素電極を駆動するための薄膜トランジスタTFTが接続されている。各走査線Gに接続される薄膜トランジスタTFTの数は、各グループで異なっている。特に、切欠き12と重ならない第1グループG1と、切欠き12と重なる第2、第3グループG2,G3では、走査線の長さが大きく異なることから、それぞれの走査線に接続される薄膜トランジスタTFTの数も大きく異なり、併せてゲート電極の数も異なる。すなわち、走査線に寄生する容量の差に起因する負荷が大きく異なっている。このため、第1〜第3グループの走査線Gに属する各画素に、同じ映像信号を印加した場合、切欠き12と重ならない第1グループG1と、切欠き12と重なる第2、第3グループG2,G3の各画素で、画素電極に印加される電圧に差違が出てしまい、これが輝度差として認識されてしまう。たとえば、通常の表示領域である第1グループG1の画素に127/256階調を表示した場合、第2グループG2、第3グループG3の画素では、配線負荷が軽いことにより、180/256階調の表示がされてしまい、第1グループG1の画素よりも明るく表示される。このため、第1グループと第2グループの境目で境界がはっきり視認されてしまう。
【0031】
上記のような問題を解消するため、本実施形態においては、第2グループG2と第3グループG3の走査線Gに以下のような構造を付加する。
【0032】
第2グループG2の走査線Gのそれぞれは、例えば一方の端部で、走査回路GDに接続する。一方、他方の端部(切欠き12側)では、複数の電界効果素子30を接続する。複数の電界効果素子30は、切欠き12と表示領域DA間の非表示領域NDAに配置される。複数の電界効果素子30は、ブラックマトリクス層24(
図4参照)に重なる。
【0033】
図6は、電界効果素子30を示す図である。電界効果素子30は、薄膜トランジスタTFTの構造の一部(例えば、少なくともゲート電極WG及びチャネル層32並びにゲート絶縁膜34)を有する。チャネル層32とゲート電極WGの間にゲート絶縁膜34が介在する。チャネル層32(半導体層)は、例えばU字状に屈曲しており、屈曲部分を挟む一対の部分がゲート電極WGに重なる。
【0034】
電界効果素子30は、表示に寄与するものではないが、表示領域中の薄膜トランジスタTFTと実質的に同じ構造であり、いわゆるダミーのTFTである。このため、ソース電極WS及びドレイン電極WDの一方(例えばソース電極WS)を有しているが、他方(例えばドレイン電極WD)を有していない。電界効果素子30のチャネル層32は、例えばソース電極WSを介して、信号線Sに接続されている。信号線Sとゲート電極WG(走査線G)との間には図示しない絶縁層が介在する。
【0035】
なお、薄膜トランジスタTFTは、電界効果素子30の構造(少なくともゲート電極WG及びチャネル層32並びにゲート絶縁膜34)を含む。
図6の構造と同様に、複数の走査線Gのそれぞれの一部が、第2グループの走査線Gに接続された薄膜トランジスタTFTのそれぞれのゲート電極WGになっている。
【0036】
このように、走査線Gにダミーの薄膜トランジスタである電界効果素子30を接続することにより、配線負荷を上げ、第1グループG1の走査線Gの配線負荷に近づけるようにする。
【0037】
図7は、複数の電界効果素子30の配列を示す図である。本実施形態においては、第2グループG2の走査線Gは、第1グループG1の走査線Gに近いほど、複数の電界効果素子30の数が多い。第2グループG2の走査線Gは、切欠き12のラウンドしている部分に配置されるため、表示領域DA中の走査線Gの長さが、第2グループG2内で差違が生じている。このため、本実施形態における第2グループG2の走査線G2配線負荷は、それぞれの走査線Gに接続された複数の電界効果素子30の数により、増加する配線負荷を異ならせている。
図7の構造では、第2グループG2の走査線Gの配線負荷は、第1グループG1の走査線Gに近いほど大きくする。電界効果素子30の数は、第1グループG1の走査線Gに近いほど数が増える。
【0038】
上述のように、画素電極に印加される電圧は、配線負荷に比例するため、
図7の構造によれば、第2グループG2では、第1グループG1からの輝度差を徐々に変化させることができ、第1グループG1と第2グループG2間にできる境界を目立たなくすることができる。
【0039】
第2グループG2の走査線Gに接続される電界効果素子30が配置される非表示領域NDAは、大きく湾曲した部分が相当する。このため、第2グループG2の走査線Gのそれぞれは、非表示領域NDAでは、第2方向D2に交差する方向(例えば第1方向D1)に延びる第1部分36を有する。第2グループの走査線G2のそれぞれは、非表示領域NDAでは、第1方向D1に相互にずれた位置でそれぞれ第2方向D2に沿って延びる複数の第2部分38を有する。複数の第2部分38に、複数の電界効果素子30が接続する。
【0040】
このような走査線Gの形状にすることにより、非表示領域NDAの湾曲に沿って電界効果素子30を効率的に配置することができる。
【0041】
次に、第3グループG3の走査線Gについて説明する。第3グループG3の走査線Gのそれぞれは、
図1に示すように一方の端部で走査回路GDに接続し、
図5に示すように他方(切欠き12側)の端部で負荷素子40に接続する。負荷素子40は、第2方向D2で切欠き12と表示領域DAの間にある非表示領域NDAに配置される。負荷素子40によって、第3グループG3の走査線Gのそれぞれに、配線負荷が追加される。負荷素子40によって追加される負荷は、電界効果素子30によって追加される負荷以下である。負荷素子40の負荷の大きさは、第2グループG2の電界効果素子30の数が最も多い走査線Gの負荷を超えないようになっている。
【0042】
図8は、負荷素子40を示す図である。負荷素子40では、走査線Gは、複数に分岐され、第1電極42を形成する。負荷素子40は、第1電極42の下方に第2電極44を有する。第2電極44は、上述した電界効果素子30のチャネル層32から連続一体化した層(例えば同層にある半導体層)である。第1電極42及び第2電極44は対向し、両者の間には絶縁膜46が介在する。絶縁膜46は、上述した電界効果素子30のゲート絶縁膜34から連続一体化した膜である。負荷素子40は、第1電極42の上方に第3電極48を有する。第3電極48は、信号線Sと同層にあるが、信号線Sからは分離され、他の電位に接続されている。第1電極42及び第3電極48は対向し、両者の間には図示しない絶縁層が介在する。第2電極44及び第3電極48は、コンタクト50を介して接続されている。こうして、第1電極42を一方の電極とし、第2電極44及び第3電極48のそれぞれを他方の電極とする容量が構成される。
【0043】
第3グループG3は、切欠き12の端部がほぼ直線状となる位置の走査線であるため、負荷素子40が配置される非表示表域NDAの形状は、ほぼ直線状である。このため、第3グループG3の各走査線Gに接続される負荷素子40は、何れの走査線Gにおいても、同じ形状である。
【0044】
図9は、比較例に係る実験結果を示す図である。
図10は、本実施形態に係る実験結果を示す図である。
【0045】
実験では、信号線Sに同じ電圧の信号を入力したときに、第1グループG1の走査線Gの電位に対し、第2グループG2及び第3グループG3の走査線Gに接続される各画素電極14の電位を比較し、電位差を測定した。実験結果のグラフにおいて、横軸は、第1グループG1の走査線Gから離れる方向に昇順となる走査線番号を示し、
図5に示した走査線番号と共通である。縦軸は、通常の表示部である第1グループG1の走査線Gに接続される画素電極14との電位差を示している。
【0046】
比較例の実験(
図9)では、上述した電界効果素子30及び負荷素子40を形成していない表示装置を使用した。走査線番号1の走査線Gは、切欠き12と重複しない通常の走査線Gが配置される第1グループG1に隣接した走査線であるが、この位置で、第1グループG1の走査線Gと約6.2mVの電位差を生じている。また、第2グループG2の走査線G間は、約6.2mV〜約7.2mVの電位差が生じており、第2グループG2の走査線G間では、約1mVほどの差違がある。
【0047】
また更に、第3グループG3の走査線Gは、7.2mV〜8.0mVの電位差を生じており、第3グループG3の走査線G間では、約0.8mVほどの差違がある。
【0048】
第2グループG2,第3グループG3の走査線G全体では、電位差の幅は約1.6mVである。
【0049】
この結果より、第1グループG1と第2グループG2間の画素電位差が、第2グループG2と第3グループG3間の画素電位差よりも数倍大きいことが分かる。このため、仮に表示領域DAの全ての画素に同じ映像信号を入力したとしても、第1グループG1と第2グループG2間の画素電位差が大きいため、第1グループ1Gと、第2グループG2および第3グループG3の画素間で、異なる輝度が表示されているものとして観察者に認識されてしまう。
【0050】
本実施形態の実験(
図10)では、上述した電界効果素子30及び負荷素子40を備えた表示装置を使用した。
図10から分かるように、走査線番号1では、第1グループG1の走査線との電位差が、約0.2mVとなり、大幅に低減された。また、第2グループG2の走査線Gのそれぞれには、電界効果素子30を設け、且つ、第1グループG1に近い走査線Gほど、電界効果素子30の数を増やしている。これにより、第2グループG2の走査線Gにおいては、走査線1〜20の間で、第1グループG1との電位差を走査線ごとに徐々に第3グループG3の電位まで増えていくように設定できた。
【0051】
また更に、第3グループG3の走査線Gのそれぞれには、負荷素子40を設けたことで、第1グループG1との画素電極14の電位差が4mV前後まで下げることができている。
【0052】
本実施形態では、第3グループG3の位置でも第1グループG1との画素電極との電位差を圧縮し、且つ、第2グループG2では、第1グループG1の走査線Gに近いほど、走査線の負荷を上げている。その結果、
図10に示すように、切欠き12に重複する第2グループG2と第3グループG3の走査線Gに接続される画素において、切欠き12と重複しない第1グループG1の走査線G1に接続される画素との輝度差を全体的に圧縮しながら、第1グループG1と隣接する第2グループG2において、輝度差に傾斜が現れるように、配線の負荷を調整した。
【0053】
これにより、本実施形態では、第1グループG1の走査線から第3グループG3の走査線にかけて、輝度に意図的にグラデーションを形成することができるようになった。このため、
図9の比較例に比べ、第1グループG1と第2グループG2間で、輝度差による境界が見えにくくなる。
【0054】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、第3グループG3では、負荷素子40を用いたが、第2グループG2の電界効果素子30を用いても良い。
【0055】
また、切欠き12に重複する走査線を第2グループG2、第3グループG3と2つに分けたが、例えば切欠き12の端面にラウンド部が無く、切欠き12に重複する走査線の長さが一様にできる場合、第2グループG2または第3グループG3の何れか1グループの負荷素子のみを用いても良い。
【0056】
また、本実施形態として、液晶表示装置を用いて説明したが、有機EL表示装置でも同様の構成を用いることができる。
【0057】
実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。