(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-194005(P2021-194005A)
(43)【公開日】2021年12月27日
(54)【発明の名称】手動ベイト型リール電動巻き上げ装置
(51)【国際特許分類】
A01K 89/017 20060101AFI20211129BHJP
【FI】
A01K89/017
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2021-83875(P2021-83875)
(22)【出願日】2021年5月18日
(31)【優先権主張番号】特願2020-102052(P2020-102052)
(32)【優先日】2020年6月12日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】720004913
【氏名又は名称】高見 祐基
(72)【発明者】
【氏名】高見祐基
【テーマコード(参考)】
2B108
【Fターム(参考)】
2B108GA04
2B108GA11
2B108GA12
2B108GA18
(57)【要約】
【課題】
手動ベイト型リールを電動で作動させる手動ベイト型リール電動巻き上げ装置を提供する。
【解決手段】
手動ベイト型リールと該手動ベイト型リールと連結して外部駆動源を用いて前記手動ベイト型リールを電動で回転させる装置であるワインダーハンドルを備えた手動ベイト型リール電動巻き上げ装置であって、
前記手動ベイト型リールのリール軸に直接固定されたアダプターと前記ワインダーハンドルに内蔵された動力伝達装置のローターに設けられたアダプター装着部とを嵌合により連結し、
前記ワインダーハンドルのローターに伝達される外部駆動源の回転動力を前記手動ベイト型リールに伝達して該リールを電動で作動させることを特徴とする手動ベイト型リール電動巻き上げ装置を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手動ベイト型リールと該手動ベイト型リールと連結して外部駆動源を用いて前記手動ベイト型リールを電動で回転させる装置であるワインダーハンドルを備えた手動ベイト型リール電動巻き上げ装置であって、
前記手動ベイト型リールのリール軸に直接固定されたアダプターと前記ワインダーハンドルに内蔵された動力伝達装置のローターに設けられたアダプター装着部とを嵌合により連結し、
前記ワインダーハンドルのローターに伝達される外部駆動源の回転動力を前記手動ベイト型リールに伝達して該リールを電動で作動させることを特徴とする手動ベイト型リール電動巻き上げ装置。
【請求項2】
前記ワインダーハンドルは動力伝達装置と駆動操作装置を内蔵しており、該動力伝達装置にはローターが備えられており、該ローターの一端部にはアダプター装着部が設けられ、他端部には外部駆動源の動力を伝達するフレキシブルシャフトの接続部が設けられ、前記フレキシブルシャフトが前記接続部に接続されており、
前記手動ベイト型リールのリール軸に直接固定されたアダプターと前記ローターのアダプター装着部とを嵌合して前記手動ベイト型リールと前記ワインダーハンドルとを連結して、前記ワインダーハンドルの把持部の近傍に設けられた駆動操作部の操作により前記手動ベイト型リールを電動で作動させることを特徴とする請求項1に記載の手動ベイト型リール電動巻き上げ装置。
【請求項3】
前記アダプターは、前記リール軸の挿入孔を中心部に設けたリール軸固定面と該リール軸固定面の外周に立設される筒状立ち上げ面からなり、該筒状立ち上げ面は断面形状において少なくとも対向する二辺が同一円周上で対称となる円弧を形成する二辺を含む多角形状体を形成しており、該円弧面を嵌合面として、前記リール軸と同軸上に固定されており、
前記ローターのアダプター装着部との嵌合により、前記手動ベイト型リールと前記ワインダーハンドルを連結することにより、前記手動ベイト型リールを電動で作動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の手動ベイト型リール電動巻き上げ装置。
【請求項4】
前記手動ベイト型リール電動巻き上げ装置において、動力伝達経路内に過負荷保護手段を配備することにより、電動巻上時に前記手動リールより伝えられる過剰負荷を前記ワインダーハンドルに設けられた駆動操作機能により制御して、前記手動ベイト型リール、釣り具及び/又は前記電動巻き上げ装置の損傷を防止することを可能とする請求項1〜3のいずれかに記載の手動ベイト型リール電動巻き上げ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は魚釣り用手動リールを電動で巻き上げることを可能にする手動ベイト型リール電動巻き上げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
魚釣りの道具として、リールは欠かせないもので、手動リールと電動リールについて様々な種類が提案され、販売されている。
魚釣り用手動リール(特許文献1)のように手動で巻き上げるものでは、状況によっては肉体的、精神的な負担が生じ、釣果が下がってしまう傾向にある。このため、釣りを長時間でも楽しめるように電動リールが開発されてきた。釣具メーカーから発売されている電動リール(特許文献2)では、モーター内蔵のため、リールが大きく、重量が重い、また、電源ケーブルの煩わしさから、手動リールのような取り回しの良さがなく、感度を重視する繊細な釣り物には向いておらず、重量により肉体的な負担が大きい、というような別の課題が生じている。
そこで、状況によって手動リールと電動リールを持ち替えて使用することも行われるが、揺れる船上で大勢が乗船する遊漁船では釣り人のストレスになっている。
【0003】
特許文献3には手動リールとしても電動リールとしても使用出来ることを目的とした魚釣り用リールに関する記載があり、本文献にはフレキシブルシャフトを用いたモーター動力部についての記述もある。
しかし、魚釣り用リール本体に関する文献であり、既存のリールを使用するものではないため、本文献で考案されている専用のリールが必要である。
また、手動と電動の切り替え操作は瞬時に行うことは困難であると言える。手動リールとしてリールハンドルを操作時に瞬時に電動での操作に切り替える場合は、フレキシブルシャフトをリールに取り付けする必要がある。
フレキシブルシャフトを固定出来る構造とした場合には、現実問題としてフレキシブルシャフトは電源ケーブルよりも重量が重く、フレキシブルシャフトがリールに組み付いた状態の場合、軽量で取り回しのよい既存の手動リールとしての使用感を損ねてしまう。
【0004】
同様に手動リールを電動化しようとする提案がある(特許文献4)。
ハンドルの回転軸と同軸上に配置されて電動機の出力軸と着脱自由に連結出来る連結具が考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−60380号公報
【特許文献2】特開2008-253206号公報
【特許文献3】特許第6647610号公報
【特許文献4】実用新案登録第3159594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のリール電動化連結具と電動ドライバーでの提案(特許文献4)では、以下の問題を有する。リールハンドルにネジ止めする案はリールハンドルにネジ穴加工を行うか、専用のリールハンドルが必要なため、汎用性がない。また、リールハンドルの長さによっては連結具の突起が手動巻き上げ時に邪魔になり、手動での巻き上げを阻害するという問題を有している。
別案のリール軸のリールハンドル固定用のナットを回す考案もあるがもともとリールハンドルを固定するために設けられたネジを締め付け方向に回転させるため、過度な締め込みや、糸絡み等の不意な過負荷が掛かる事でナットが固着したり、ネジ山にせん断応力が発生し、リールそのもののネジやリール自体を損傷させてしまう問題を有する。
また、小さいアダプター(連結具)の両端二ヵ所が固定されない嵌合では竿や電動機からの重量の負荷に耐えて安定に操作することはできないという問題を有している。
動力源である電動機についての記述もあるが電動ドライバーのような電動工具では、電動機の持ち手は回転動力を受けるため、始動時の起動負荷(ショックロード)を受けてしまい、使用上、危険を伴うことになる。また、重量物であるモーター、バッテリーが手持ちになるため、取り回しが悪いうえ、リールと直角に動的に接続することが困難なため実用性に優れない問題を有する。
【0007】
本発明の目的は、モーターなどの駆動源を分離、別置きとし、フレキシブルシャフトを用いて回転動力を取り出すことで、持ち手は回転動力を受けない構造となり、手動リールのリールハンドルを操作するのと同様、リールハンドルを回す側の片手のみで安全に手動リールに必要なときに電動で回転動力を伝達し、巻き上げの起動停止及び、巻き上げスピード制御の操作をすることを可能とする動力伝達機能を付与するワインダーハンドルを有する手動ベイト型リール電動巻き上げ装置及び、
前記ワインダーハンドルの動力を容易かつ動的に取り付け取り外しを可能とする手動リールと動力伝達装置を連結する上記問題を伴わない連結具であるアダプターを提供することにある。
さらには、また、過負荷保護手段により釣り具の損傷を防ぐことのできる手動ベイト型リール電動巻き上げ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は上記課題を解決するため以下の発明を完成した。
【0009】
請求項1の発明は、手動ベイト型リールと該手動ベイト型リールと連結して外部駆動源を用いて前記手動ベイト型リールを電動で回転させる装置であるワインダーハンドルを備えた手動ベイト型リール電動巻き上げ装置であって、
前記手動ベイト型リールのリール軸に直接固定されたアダプターと前記ワインダーハンドルに内蔵された動力伝達装置のローターに設けられたアダプター装着部とを嵌合により連結し、
前記ワインダーハンドルのローターに伝達される外部駆動源の回転動力を前記手動ベイト型リールに伝達して該リールを電動で作動させることを特徴とする手動ベイト型リール電動巻き上げ装置に関する。
【0010】
請求項2の発明は、前記ワインダーハンドルは動力伝達装置と駆動操作装置を内蔵しており、該動力伝達装置にはローターが備えられており、該ローターの一端部にはアダプター装着部が設けられ、他端部には外部駆動源の動力を伝達するフレキシブルシャフトの接続部が設けられ、前記フレキシブルシャフトが前記接続部に接続されており、
前記手動ベイト型リールのリール軸に直接固定されたアダプターと前記ローターのアダプター装着部とを嵌合して前記手動ベイト型リールと前記ワインダーハンドルとを連結して、前記ワインダーハンドルの把持部の近傍に設けられた駆動操作部の操作により前記手動ベイト型リールを電動で作動させることを特徴とする請求項1に記載の手動ベイト型リール電動巻き上げ装置。
【0011】
請求項3の発明は、前記アダプターは、前記リール軸の挿入孔を中心部に設けたリール軸固定面と該リール軸固定面の外周に立設される筒状立ち上げ面からなり、該筒状立ち上げ面は断面形状において少なくとも対向する二辺が同一円周上で対称となる円弧を形成する二辺を含む多角形状体を形成しており、該円弧面を嵌合面として、前記リール軸と同軸上に固定されており、
前記ローターのアダプター装着部との嵌合により、前記手動ベイト型リールと前記ワインダーハンドルを連結することにより、前記手動ベイト型リールを電動で作動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の手動ベイト型リール電動巻き上げ装置。
【0012】
請求項4の発明は、前記手動ベイト型リール電動巻き上げ装置において、動力伝達経路内に過負荷保護手段を配備することにより、電動巻上時に前記手動リールより伝えられる過剰負荷を前記ワインダーハンドルに設けられた駆動操作機能により制御して、前記手動ベイト型リール、釣り具及び/又は前記電動巻き上げ装置の損傷を防止することを可能とする請求項1〜3のいずれかに記載の手動ベイト型リール電動巻き上げ装置。
【0013】
本発明の前記手動ベイト型リール電動巻き上げ装置は、駆動源である駆動部と離れた場所で回転動力を取り出すことができ、また、駆動部の駆動操作部を配備することで手元において駆動部を操作する機能を有する請求項2のワインダーハンドルと請求項3のアダプターを接続することで必要に応じて、容易に手動リールをワインダーハンドルの持ち手が回転動力による力を受けることなく、電動でリール軸を回転させ、釣り糸を巻き上げることを可能にする。
また、請求項4の過負荷保護手段を動力伝達経路内に配備することにより、魚の引き込みや、糸がらみ等の巻き上げを阻害する要因から、釣り具、及び本装置を保護し、安全に安定的な使用を可能とする。
【0014】
本発明における、前記ワインダーハンドルは、駆動部からフレキシブルシャフトを用いて回転動力を取り出すことにより、駆動源の回転保持構造を除くことができ、持ち手が回転動力による力を受ける事を除く事ができるため、安全かつ安定的な使用を可能とした。また、重量物である駆動部を別置きとすることで、軽量化ができ、取り回しがよいものとなった。
前記ローターのアダプター装着部の内面構造を断面多角形構造となし、前記アダプターの立ち上げ面との嵌合操作を容易とし、かつ、同一軸線上になるように異形の嵌合とすることで動的な着脱と安定的な使用を可能とする。
【0015】
前記アダプターは、駆動側と従動側の二ヵ所において動力伝達するものであり、一方の軸固定側は固定具を用いて強固に固定し、他方は必要時に素早く着脱が可能となるように嵌合による連結が可能な構造となっている。
手動リールのリール軸上の有効な平行対称二面にリール軸と同形状の挿入孔を備えたアダプターを取り付けることでリールハンドルの回転動力の伝達方法と同様と前記ワインダーハンドルに組み付いた前記ローターの回転動力はアダプターへ伝わり、アダプターの挿入孔と嵌合されたリール軸の平行対称二面の面圧で同軸上において、回転動力をリール軸に伝える構造を有する。
また、リール軸に固定具を用いて強固に固定するため、アダプターが不意に外れる事がなく、リール軸に固定されたアダプターとローターのアダプター装着部との連結も前記二つの回転装置の回転軸が同一軸線上になるように立ち上げ面において嵌合により異形連結を可能とする。
本願発明では、即時接続対応が簡単に装着固定でき、かつ、回転動力を安定させて伝達を行うことが出来る。
構成する部品は汎用性に優れている。また、本発明のアダプターはリール軸の挿入孔を中心部に設けたリール軸固定面と該リール軸固定面の外周に立設される立ち上げ面からなり、該立ち上げ面は断面形状において少なくとも対向する二辺が同一円周上で対称となる円弧を形成する二辺を含む多角形状体を形成しており該立ち上げ面を嵌合面とし、前記リール軸と同軸上に固定される特徴から手動での巻き上げを行う場合でも軸上の外方向に使用感を妨げる突起がないため、従来の使用感を阻害するものではない、機能性に優れたコンパクトなアダプターを提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、手動ベイト型リール電動巻き上げ装置において、手動リールと駆動源を備える駆動部とを必要時にワインダーハンドルを使い簡単に、素早く、確実な操作により連結して手動リールを安定的な電動での巻き上げを達成するための適切な連結を実現するアダプターとワインダーハンドルを開発し、これらを使用することにより、釣りの際に、必要なときに素早く手動から電動での巻き上げを可能とする手動ベイト型リール電動巻き上げ装置を提供することが可能となった。
ワインダーハンドルの把持部分の近傍に駆動操作部を設けており、ワインダーハンドルを把持しアダプターに嵌合すると同時に前記、駆動操作部操作を行いリールの巻き取り操作を行うことができる。
通常の釣り時には手動リールだけを使用するので本来の使用感を維持し、必要に応じて電動化出来ることで長時間の釣りであっても疲れず、手動での精神的なストレスの解消ができ、快適な釣りが可能になる。手動の使用感を保持することでより繊細な釣りができ、手動リールで電動リールの利点を生かす事が可能になる。ワインダーハンドルは身体の腰部やベルト部分に吊り下げておいて必要時にだけ手動リールに連結して使用することになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の手動ベイト型リール電動巻き上げ装置の全体説明図である。
【
図2】手動リール軸へのアダプターの取り付けを示す構造図である。
【
図4】(a)は(b)のA−A断面でワインダーハンドルの内部構造を表す概略図、(b)はワインダーハンドルの外観図(一部断面図示)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を基に本発明に係る実施形態について説明するが、以下に述べる実施形態は最適なものであって、本発明はこれに限定するものではない。特に部品名称については同様の性能を有したものに置き換えることもできる。
【0019】
まずは
図1の全体説明図について説明する。
回転動力はバッテリー(図示していない。)とバッテリークリップ11をつないだ駆動部6からフレキシブルシャフト7を介して、ワインダーハンドル8へ伝達され、手動リール9に取り付けられたアダプター10を介して、リール軸14(
図2)を回転させ、釣り糸(ライン)を巻き上げることができる。アダプター10は手動リール9に固定される。
【0020】
図2を用いて手動リール9へのアダプター10の取り付け方法について説明する。
手動リール9のリール軸14にリールハンドル15とアダプター10を差し込み固定具としてハンドルナット17で共締めし、ハンドルナット17へ回り止め18を取り付け、ビス19で固定する。リールハンドル15の回転動力の伝達方法と同様に電動での巻き上げ時の回転動力はローター22(
図4)を介してアダプター10へ伝わり、アダプター10の挿入孔39(
図3)と嵌合されたリール軸14の平行対称二面の面圧で同軸上において、回転動力をリール軸14に伝える構造となる。
【0021】
図3を用いてアダプター10について説明する。
アダプター10はリール軸14(
図2)の挿入孔39を中心部に設けたリール軸固定面40とリール軸固定面40の外周に立設される立ち上げ面41からなり、該立ち上げ面41は断面形状において少なくとも対向する二辺が同一円周上で対称となる円弧を形成する二辺を含む多角形状体を形成しており該円弧と該二辺の交わる角部を嵌合面とし、リール軸14(
図2)と同軸上に固定され、
ローター22(
図4)のアダプター装着部3(
図4)との嵌合により接続を行うアダプター10の立ち上げ面41の断面形状とローター22(
図4)のアダプター装着部3(
図4)の内表面形状と同一形状とした場合、干渉点が多くなるが、より容易な装着を可能とするために、外表面の角の数に対して、アダプター装着部3(
図4)の角の数を多くすることで接触する角の数を減らすことができ、干渉点が減るため、動的な接続が容易になる。そのため、異形形状とすることが望ましい。
アダプター10とアダプター装着部3(
図4)の角の数の関係は反対でも構わない。また、立ち上げ面41の断面形状とアダプター装着部3(
図4)の内形状は容易に取り付く形状であれば、本図の形状で無くてもよい。例えば、凹凸ではめ込むスリット形状、スプライン形状や、星形形状等があげられる。
リールハンドル15(
図2)の形状が異なれば、アダプター10の寸法、形状も変更可能である。
また、アダプター10の回り止め接地面42の平面形状は円としているが、固定具であるハンドルナット17(
図2)と回り止め18(
図2)の形状に合わせればよい。
材質はアルミニウムのような軽量合金が望ましい。
【0022】
図4のワインダーハンドル8について説明する。
(a)は(b)のA−A断面でワインダーハンドルの内部構造を表す概略図、(b)はワインダーハンドルの外観図(一部断面図示)である。
ワインダーハンドル8は、駆動源の動力伝達装置と駆動操作装置を備えており、前部の動力伝達装置には手動リール9(
図1)のアダプター10(
図1)との装着を行うアダプター装着部3を有するローター22を内蔵し、把持部2の近傍の動力伝達部1に駆動源のメインスイッチ34と変速を行うためのロータリーノブ33を内蔵し、後部には動力源からの動力を伝達するフレキシブルシャフト導入路4を設けた円管状体となっている。
本発明では駆動部6(
図5)とワインダーハンドル8から構成され、駆動部6(
図5)は別置きとなっている。
動力はバッテリー(図示していない。)とバッテリークリップ11(
図1)をつないだ電源ケーブル12(
図1)でギヤードモーター20(
図5)によって回転動力を発生させる。回転動力はギヤードモーター20(
図5)の出力軸とフレキシブルシャフト7の従動軸とを過負荷保護装置29(
図5)を介してカップリング21(
図5)で接続されワインダーハンドル8の先端に設置されたローター22に伝達される。
【0023】
ワインダーハンドル8はフレキシブルシャフト駆動軸38に接続されたローター22のアダプター装着部3とリール軸14(
図2)に予め取り付けたアダプター10(
図2)の装着を容易にするために操作する部位で巻き上げの始動停止や変速を行う構造を備えたものである。
ワインダーハンドルハウジング27の中にフレキシブルシャフト7の駆動部とつば付き金具28とベアリングハウジング30とベアリング31、ローター22と可変レギュレーター36(
図5)のロータリーノブ33とメインスイッチ34を含む駆動操作部5、外部にハンドルラバーグリップ32を備えている。
フレキシブルシャフト7とワインダーハンドルハウジング27との固定は、つば付き金具28をベアリングハウジング30で挟み込み固定することで回転自由となっている。
フレキシブルシャフト7は構造上アウターチューブとインナーシャフトの間に隙間(ガタ)があるが、ベアリングハウジング30に取り付けられたベアリング31によってワインダーハンドルハウジング27とフレキシブルシャフト駆動軸38の芯出しを行い、ローター22とワインダーハンドルハウジング27とのクリアランスが管理されている。
ローター22とワインダーハンドルハウジング27との隙間はラビリンス構造とし、グリスを封入することで防水性を高めることができる。OリングやVリングでシールするとさらに防水性を向上することができる。
フレキシブルシャフト駆動軸38とローター22はセットスクリュー37で固定される。
メンテナンスを考えセットスクリュー37としているが、接着材での固定でもよい。
ワインダーハンドル8には回転速度を制御する可変レギュレーター36(
図5)の操作を行うロータリーノブ33と主電源のON/OFFするメインスイッチ34を備える。
ロータリーノブ33を可変レギュレーター36(
図5)から配線で
ワインダーハンドル8の内部に導入することにより、可変レギュレーター36(
図5)をワインダーハンドル8の内部に備えない構造と出来るため、小型化と軽量化を図る事が出来る。
メインスイッチ34にはON/OFFが目視で確認出来るようにLEDを内蔵も可能である。可変レギュレーター36(
図5)は速度規制0〜100%を選定すれば、メインスイッチ34を取り外すことも可能である。メインスイッチ34の種類はモーメンタリ式でもオルタネイト式でも構わない。マイクロコンピュータを内蔵することで、巻上げ長さや回転回数の規制をして任意で設定した距離、時間での巻き上げも可能になる。
ワインダーハンドル8にディスプレイを取り付けることで回転速度や、巻き上げ長さなど表示することも可能である。クランプタイプのハンドルラバーグリップ32を使用することでワインダーハンドルハウジング27の組付けを容易にすることが可能である。
【0024】
図5の駆動部6について説明する。
駆動部6はバッテリー(図示していない。)と接続するバッテリークリップ11(
図1)を備えた電源ケーブル12とケース24の中にギヤードモーター20と過負荷保護装置29とカップリング21とフレキシブルシャフト7の従動部と可変レギュレーター36を備えている。ギヤードモーター20の電動機部はブラシモーターでもブラシレスモーターでもどちらでも対応可能である。本図では省スペース化のため、インラインの遊星歯車をギヤヘッドに備えるギヤードモーター20を選定したが、ギヤの種類は問わない。また、オープンギヤでも良い。
過負荷保護装置29はスリップトルクを自由に設定できるタイプのものを用いることも可能である。過負荷保護装置29とカップリング21は過負荷時にスリップする機能を有したトルクリミッタカップリングを用いても良い。もしくは、可変レギュレーター36に過負荷保護機能(電流値制御、トルク制御等)回路を用いることも可能で、過負荷時のスリップトルクも調整することが出来る。
カップリング21はギヤードモーター20の出力軸とフレキシブルシャフト7の従動軸とを確実に接続できる部品であればよい。
止め具23はギヤードモーター20の出力軸とフレキシブルシャフト7の従動軸が芯出しされ固定されている。
ケース24は防水性を備える必要があるため、電源ケーブル12はケーブルグロメット25、フレキシブルシャフト7はケーブルグラウンド26で密閉されている。ケース24の開口部を密閉できる部品であればよい。シール材、コーキング材でも代用できる。
駆動部6は固定具を用いて、船の船べりや手すり、もしくは道具箱や身に着けたポーチに取り付けも可能である。
【0025】
図4ではハンドルエンド部はチューブ35でシールしているが、ケーブルグラウンドやケーブルグロメットでのシールも可能である。配線にロータリーコネクタを用いて、チューブ35をラビリンスシールにすることで、防水性を維持した上で、把持部を回転自由とすることも可能である。
【0026】
図1のワインダーハンドル8は必要に容易に取り出せるよう、ピニオンリール16やホルダーで腰につけた救命胴衣やベルトもしくは、船の手すりに取り付けることが望ましい。
【0027】
本発明の一実施形態について
図1を用いて説明する。まず、バッテリーにバッテリークリップ11をつなぎ、クランプ43で船べりを挟みこむように固定用ノブナット44で固定するか、もしくはクランプ43をパイプを挟み込むことが出来る半円形状に変更して手摺りに固定する。船べりの厚みに合わせて総ネジボルト45の長さを変更する。ワインダーハンドル8に取り付けたピニオンリール16をすぐに握れる位置に取り付ける。この状態にしておくといつでも手に取り、動力伝達部1(
図4)であるローター22(
図4)の駆動が可能な状態になる。
あとはリールハンドルを扱う側の手でワインダーハンドル8を握り、予め一端をリール軸に固定したアダプター10にアダプター装着部3(
図4)を接続して、駆動操作部5(
図4)のメインスイッチ34(
図4)もしくはロータリーノブ33(
図4)を使って起動させることで、手動リールを電動で駆動することが出来る。再度、手動リールとして手巻きを行いたい場合は、ピニオンリール16の取り付いた位置にワインダーハンドル8を戻すことができる。
【符号の説明】
【0028】
1 動力伝達部
2 把持部
3 アダプター装着部
4 フレキシブルシャフト導入路
5 駆動操作部
6 駆動部
7 フレキシブルシャフト
8 ワインダーハンドル
9 手動リール
10 アダプター
11 バッテリークリップ
12 電源ケーブル
13 釣り竿
14 リール軸
15 リールハンドル
16 ピニオンリール
17 ハンドルナット
18 回り止め
19 ビス
20 ギヤードモーター
21 カップリング
22 ローター
23 止め具
24 ケース
25 ケーブルグロメット
26 ケーブルグラウンド
27 ワインダーハンドルハウジング
28 つば付金具
29 過負荷保護装置
30 ベアリングハウジング
31 ベアリング
32 ハンドルラバーグリップ
33 ロータリーノブ
34 メインスイッチ
35 チューブ
36 可変レギュレーター
37 セットスクリュー
38 フレキシブルシャフト駆動軸
39 挿入孔
40 リール軸固定面
41 立ち上げ面
42 回り止め接地面
43 クランプ
44 固定用ノブナット
45 総ネジボルト