【解決手段】第一電流iaが流れる電流路16及び第二電流ibが流れる電流路17と、電流路16と電流路17とを切り換えて、第一電流iaと第二電流ibとを交互に流すスイッチング素子131、132、133、134と、第一電流iaと第二電流ibとにより誘導電流が流れる共通のコイル部151と、第一電流iaによりコイル部151に流れる第一誘導電流ia
前記スイッチング素子は、前記第一電流を前記第一電流路に流す二つのトランジスタ素子を含む第一トランジスタ対と、前記第二電流を前記第二電流路に流す二つのトランジスタ素子を含む第二トランジスタ対とを含み、前記コイル部は、前記第一トランジスタ対に含まれる二つの前記トランジスタ素子の間、または前記第二トランジスタ対に含まれる二つの前記トランジスタ素子の間を流れる電流により誘導電流を生じる、請求項1または2に記載の電流検出装置。
前記スイッチング素子は、前記第一電流を前記第一電流路に流す二つのトランジスタ素子を含む第一トランジスタ対と、前記第二電流を前記第二電流路に流す二つのトランジスタ素子を含む第二トランジスタ対とを含み、前記コイル部は、前記第一トランジスタ素子及び前記第二トランジスタ素子よりも上流または下流を流れる電流により起電力を生じる、請求項1または2に記載の電流検出装置。
前記電流交番部は、前記第二電流路において前記第一電流の流れ方向と反対に前記第二電流が流れるターン電流路を含み、前記コイル部には前記ターン電流路を流れる電流による誘導電流が生じる、請求項1から4のいずれか一項に記載の電流検出装置。
前記コイル部がトロイダルコアに巻き回されてトロイダルコイルを構成し、前記電流交番部は、前記トロイダルコイルの上面視において円環形状の一方の面から他方の面に向けて挿通される前記第一電流路と、前記他方の面から前記一方の面に向けて挿通される前記第二電流路と、を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の電流検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下。本発明の第一実施形態、第二実施形態を説明する。第一実施形態、第二実施形態は、いずれも本発明の技術思想及び構成例を示すものであって、具体的な構成や寸法形状を限定するものでない。また、第一実施形態、第二実施形態で用いる図面は、主に各部材の機能、配置及び互いの関係等を模式的に示すものであり、その寸法形状や縦横比等を正確に示すものではない。
【0009】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態の電流検出装置1を含む電流測定システム100を説明するための図である。電流測定システム100は、電流検出装置1と、直流電源11から電力の供給を受ける負荷21を含む給電部2と、電流検出装置1が検出した電流を整流して電流値を判定する電流判定部3と、を含んでいる。電流判定部3は、電流検出装置1によって検出された電流の値を判定し、また、電流検出装置1のスイッチング素子を制御する。このとき、電流判定部3は、判定結果から電流検出装置1の駆動を停止または開始するものであってもよい。
【0010】
(電流検出装置)
電流検出装置1は、第一電流iaが流れる第一電流路である電流路16、第二電流ibが流れる第二電流路である電流路17を備えている。また、電流検出装置1は、電流路16と電流路17とを切り換えて、第一電流iaと第二電流ibとを交互に流すスイッチング素子131、132、133、134と、第一電流iaと第二電流ibとにより誘導電流が流れる共通のコイル部151とを備えている。コイル部151は、カレントトランス15のコイル部分であり、コイル部151に生じた誘導起電力によってコイル部151の出力端子A、Cから検出信号が出力される。
【0011】
スイッチング素子132、133は、電流路16に第一電流iaを流す二つのトランジスタ素子を含む第一トランジスタ対を構成する。また、スイッチング素子131、134は、電流路17において第二電流ibを流す二つのトランジスタ素子を含む第二トランジスタ対を構成する。スイッチング素子131〜134は、フルブリッジ回路を構成し、電流路16、17は、それぞれフルブリッジ回路のアームとなる。電流路16を流れる第一電流ia及び電流路17を流れる第二電流ibは、フルブリッジ回路のアーム電流である。
【0012】
このようなフルブリッジ回路では、例えばスイッチング素子132、133が同一のタイミングでオンし、この間スイッチング素子131、134はオフ状態になっている。このとき、電流検出装置1においては、スイッチング素子132からコイル端部171、コイル19、コイル端部161、スイッチング素子133に至る電流の流路(電流路)が形成される。電流路16は、このような電流路におけるスイッチング素子132、133間の部分をいう。このような状態においては、電流検出装置1から流れ出した電流はスイッチング素子132のソース・ドレイン間を流れて電流路17に流れ込む。電流路17に流れ込んだ電流は、コイル端部171からコイル19を通って第一電流iaとなり、スイッチング素子133のソース・ドレイン間を通って電流検出装置1に帰還する。
【0013】
次に、第一実施形態では、スイッチング素子131、134が同一のタイミングでオンし、この間スイッチング素子132、133がオフ状態になる。このとき、電流検出装置1においては、スイッチング素子131からコイル端部161、コイル19、コイル端部171、スイッチング素子134に至る電流路が形成される。このうち、電流路17は、このような電流路におけるスイッチング素子131、134間の部分をいう。このような状態においては、電流検出装置1から流れ出した電流がスイッチング素子131のソース・ドレイン間を通り、さらにコイル端部171からコイル19を通ってターン電流路170に流れ込む。ターン電流路170に流れ込んだ電流は、第二電流ibとなってスイッチング素子134のソース・ドレイン間を通って電流検出装置1に帰還する。
コイル部151は、二つのスイッチング素子132、133の間、または二つのスイッチング素子131、134の間を流れる電流により誘導電流を生じる。
【0014】
さらに、電流検出装置1は、直流の直流電源11と、スイッチング素子131〜134のゲートに電圧を印加してスイッチング素子131〜134を制御するフルブリッジ制御回路18を備えている。フルブリッジ制御回路18は、スイッチング素子132、133を同じタイミングでオンし、この間にスイッチング素子131、134がオフするように制御する。このとき、電流検出装置1には、上記のように、直流電源11から電流路16、電流路16上のスイッチング素子133から直流電源11に戻る電流路が形成される。
【0015】
また、フルブリッジ制御回路18は、スイッチング素子131、134を同じタイミングでオンし、この間にスイッチング素子132、133がオフするように制御する。このとき、電流検出装置1には、上記のように、直流電源11から電流路17、電流路17上のスイッチング素子134から直流電源11に戻る電流路が形成される。
このようなフルブリッジ制御回路18は、例えば、マイクロコンピュータ等の小型のコンピュータを利用するものであってもよい。
【0016】
また、第一実施形態では、コイル部151が出力端子A、Cの他に出力端子Bを備え、合計三つの出力端子A、B、Cを備えている。このうちの一つの出力端子Bはコイル部151の中間でコイル部151から引き出されるセンタータップである。コイル部151にセンタータップを設けると、コイル部151が二つの半波回路のように動作してコイル部151を流れる電流が両波整流される。第一実施形態は、このように、両波整流することによって第一電流iaと第二電流ibとをそれぞれの+側のピーク値で検出することができるようになり、電流判定回路内の1つの判定基準値で第一電流ia、第二電流ibの両方の判定が可能になる。
【0017】
また、第一実施形態は、第一電流iaによりコイル部151に流れる誘導電流と、第二電流ibによりコイル部151に流れる誘導電流とを交番させる電流交番部を備えている。ここで、誘導電流を交番させるとは、誘導起電力によってコイル部151に生じる誘導電流を、一定の周期で流れ方向が互いに反転するように流すことをいう。誘導電流は、直流の第一電流ia及び第二電流ibが流れる、あるいは消失すること(以下、「第一電流iaのオン、オフ、第二電流ibのオン、オフ」と記す)によってコイル部151に流れる。このような誘導電流は、第一電流ia及び第二電流ibのオン、オフに対応する周期を持った波形で表される。また、第一実施形態では、第一電流iaと第二電流ibとの流れ方向が反転するため、第一電流iaによってコイル部151流れる第一誘導電流ia
iと第二電流ibによってコイル部151に流れる第二誘導電流ib
iとの位相が互いに反転する。
【0018】
第一実施形態の電流検出装置1は、
図1に示すように、電流路17において第一電流iaの流れ方向と反対に第二電流ibが流れるターン電流路170を含んでいる。コイル部151にはターン電流路170を流れる電流による誘導電流が生じる。上記のように、第一電流iaと第二電流ibとの流れ方向が反転することによって第一誘導電流ia
iと第二誘導電流ib
iとが互いに交番するから、第一実施形態ではターン電流路170が電流交番部として機能する。換言すると、第一実施形態は、スイッチング素子132、133とスイッチング素子131、134とを交互にオン、オフすることによって直流の第一電流ia、第二電流ibから交流電流を発生させる。
【0019】
図2は、コイル部151を説明するための模式図であって、二次側についてのみコイル部151の縦断面を示している。
図2に示すコイル部151は、コア150に中足を有するものを用いている。このようなコアとしては、例えば、EI形状、ER形状等のものがある。コイル部151は、鉄芯等のコア150と、コア150に巻き回される第一コイル152及び第二コイル153を含んでいる。第一コイル152及び第二コイル153は、一つのコア150にバイファイラ巻き回されている。なお、
図2においては、第一コイル152と第二コイル153とを断面のハッチング線の傾きにより区別している。
バイファイラ巻きとは、
図2のように、二本の導線をコア150の長さ方向に並べて巻き回すものをいう。また、バイファイラ巻きは、二本の導線を撚り合わせた上で巻き回すものであってもよい。
【0020】
上記バイファイラ巻きのコイル部151は、コイル間の結合が良く、漏れインダクタンスを減らすことができて、作動インピーダンスが小さくなる。このようなコイル部151は、二つの電流路16と電流路17とに交互に流れる電流を計測するカレントトランス15に好適な構成である。
【0021】
(給電部)
給電部2は、一方のコイル端部161が電流路16に接続され、他方のコイル端部171が電流路17に接続されるコイル19と、コイル19と分離したコイル20とを備えている。コイル19とコイル20とは絶縁トランスを構成し、コイル19を流れる第一電流iaまたは第二電流ibによりコイル19に誘導起電力を生じさせる。コイル19に生じた誘導起電力は、負荷21に供給される。なお、電流測定システム100を例えば車載機器に適用する場合、セルモーター、エアコン、カーナビゲーション等が負荷21になり得る。
【0022】
(電流判定部)
電流判定部3は、コイル部151の出力端子A、B、Cと接続されている。また、電流判定部3は、出力端子A、Cから入力された第一誘導電流ia
i、第二誘導電流ib
iにより給電部2に供給された電流を判定する電流判定回路33を備えている。出力端子Aと電流判定回路33との間にはダイオード31が設けられていて、出力端子Cと電流判定回路33との間にはダイオード32が設けられている。ダイオード31、32は、いずれも電流判定回路33に向かう方向に電流を流す。出力端子Aから出力された第一誘導電流ia
iと出力端子Cから出力された第二誘導電流ib
iは、合流して電流判定回路33に入力される。
【0023】
図3(a)は、第一誘導電流ia
iを示す模式図である。
図3(b)は、第二誘導電流ib
iを示す模式図である。
図3(a)、
図3(b)に示すように、第一誘導電流ia
i及び第二誘導電流ib
iは、出力端子Bの電位を基準にして互いに位相が反対の振幅が等しい波形となる。
図3(c)は、第一誘導電流ia
iと第二誘導電流ib
iとの合成波形を示す図である。
電流判定回路33は、
図3(c)に示す合成波形の正方向に出力された電流(以下、「高電流側」とも記す)の値を検出する。そして、検出した検出値をフルブリッジ制御回路18に出力する。フルブリッジ制御回路18は、例えば、検出値を表す信号の入力タイミングに基づいてスイッチング素子132、133及びスイッチング素子131、134をオン、オフするようにしてもよい。また、フルブリッジ制御回路18は、高電流側の検出値により第一電流ia、第二電流ibの値を判定し、供給電流の多寡や異常を判定するものであってもよい。このとき、フルブリッジ制御回路18は、スイッチング素子131〜134の総てをオフして第一電流ia、第二電流ibが負荷21に供給されることを停止させてもよい。
【0024】
なお、第一電流ia、第二電流ibの値の判定は、例えば、第一電流ia、第二電流ibの値と、第一電流ia、第二電流ibに応じて生じた第一誘導電流ia
i、第二誘導電流ib
iの値とを予め対応つけておくことよって実現することができる。電流判定回路33は、異常であると判断される第一電流ia、第二電流ibの閾値に対応する第一誘導電流ia
i、第二誘導電流ib
iの値を予め記憶しておき、入力された第一誘導電流ia
i、第二誘導電流ib
iの値が閾値を上回る、または下回る場合にスイッチング素子131〜134をオフするようにしてもよい。
さらに、電流判定回路33は、検出値を外部に出力し、図示しない外部の演算装置が高電流側の検出値からコイル19に供給された電流、ひいては負荷21に供給された電力を算出するようにしてもよい。電流判定回路33によって検出された検出値は、例えば、電流検出装置1の定電流制御、あるいは過電流保護(OCP:Over Current Protection)制御に使用される。
【0025】
次に、以上説明した電流測定システム100の全体の動作を説明する。電流検出装置1においては、先ず、フルブリッジ制御回路18がスイッチング素子132、133をオンし、スイッチング素子131、134をオフする。このとき、直流電源11から流れ出た電流は、第一電流iaとして電流路16を通り、コイル部151に第一誘導電流ia
iを誘起する。
【0026】
次に、フルブリッジ制御回路18は、スイッチング素子131、134をオンし、スイッチング素子132、133をオフする。このとき、直流電源11から流れ出た電流は、流れ方向が反対の第二電流ibとして電流路17を通り、コイル部151に第二誘導電流ib
iを誘起する。この結果、第一誘導電流ia
iと第二誘導電流ib
iとが出力端子Aまたは出力端子Cから出力される。
【0027】
出力された第一誘導電流ia
i及び第二誘導電流ib
iは、合流して電流判定回路33に入力する。このとき、第一実施形態は、電流路16、電流路17を流れる電流の一方を他方に対して反転させていることによって電流路16を流れる電流による第一誘導電流ia
iと電流路17を流れる第二誘導電流ib
iとの位相を逆にすることができる。そして、第一誘導電流ia
i、第二誘導電流ib
iを合成した波形から第一誘導電流ia
i、第二誘導電流ib
iの高電流側の値を検出することができる。
【0028】
このような第一実施形態によれば、第一電流ia、第二電流ibの両方を共通のカレントトランス15によって測定することができる。このような構成は、第一電流ia、第二電流ibを別のカレントトランスにより測定している上記の特許文献1の構成に比べてカレントトランスの数を低減することができる。カレントトランスはコイルを備えるために比較的設置スペースが大きく、カレントトランスの個数を少なくすることは、装置全体の小型化に有利である。
【0029】
また、小型の装置にあっては、装置内で引き回される配線の長さを短くすることができる。このため、第一実施形態は、配線がサージ電流やノイズの影響を受け難くなり、信号品質を向上させて駆動の信頼性を高めることができる。
第一実施形態は、第一電流iaと第二電流ibとをそれぞれ別のカレントトランスで測定する構成に比べて一次側の電流が二倍になる。しかし、第一実施形態は、第一電流iaと第二電流ibとを交番させることにより、カレントトランス15に二つのカレントトランスを使う場合と同様のコアサイズ及び巻き数のコイル部151を用いることが可能になる。
【0030】
さらに、第一実施形態は、一つのカレントトランス15のコイル部151をバイファイラ巻きにしたことにより、一つのコイルでも二つの電流路16、17を流れる電流を良好に検出し、別々のカレントトランスで測定する構成と同等の測定精度を得ることができる。カレントトランス15を一つ備える電流測定システム100では、電流判定回路33も一つでよく、いっそう装置の小型化に有利である。
【0031】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態を説明する。
図4は、第二実施形態を説明するための図であって、トロイダルコイル45の上面45aを示す模式図である。第二実施形態は、コイル部151が不図示のトロイダルコアを有するトロイダルコイル45である点が、中足を有するコア150を用いている第一実施形態と相違している。トロイダルコアは、縦断面が矩形のベルト形状の強磁性体を始端と終端とを一致させて円環形状にしたドーナツ状のコアである。強磁性体としては、鉄、ニッケル、コバルト及びその合金等がある。
【0032】
図4に示すように、トロイダルコイル45は、上面視において円環形状を有していて、
図4においては一方の円環形状の面(例えば上面45a)が示されている。ここでは、図示されていない上面45aの裏面にあたる円環形状の面を他方の面と記す。トロイダルコイル45には、電流路16、17が挿通されている。第二実施形態では、電流路17はターン電流路170を有さずに、代わりに電流路17がトロイダルコイル45の上面視において上面45aから他方の面に向けて挿通される。また、電流路16は、他方の面から上面45aに向けて挿通される。
【0033】
トロイダルコイル45は、電流路16のスイッチング素子131、133間にある部分と、電流路17のスイッチング素子132、134間にある部分とで固定される。電流路16、電流路17にはそれぞれ同じ方向に流れる第一電流ic、第二電流idが供給される。
このような構成によれば、トロイダルコイル45の円環部分にそれぞれ流れ方向が反対の第一電流ic、第二電流idが交互に流れることになる。第一電流ic、第二電流idによりそれぞれコイル部151に発生する誘導電流は、交番電流となる。換言すると、第二実施形態においては、トロイダルコイル45と、トロイダルコイル45に対して上面45aから裏面へ向けて挿通される電流路17、裏面から上面45aに向けて挿通される電流路16が電流交番部として機能する。
【0034】
以上説明した第二実施形態は、既存の電流路にトロイダルコイル45を一つ取付けることによって第一電流ic、第二電流idを測定することができる。また、トロイダルコイル45にあっても二本の導線を並べて、あるいは撚り合わせた上でトロイダルコアに巻きつけてバイファイラ巻きすることが可能である。このため、第二実施形態も、第一実施形態と同様に、一つのトロイダルコイル45を使って二つの電流路16、17の電流を正確に測定することができる。
【0035】
[変形例]
次に、以上説明した第一実施形態、第二実施形態の変形例1、変形例2を説明する。(変形例1)
変形例1は、スイッチング素子が、第一電流iaを電流路16に流すスイッチング素子132、133と、第二電流ibを電流路17に流すスイッチング素子131、134を含み、コイル部151が、スイッチング素子132、133及びスイッチング素子131、134よりも上流または下流を流れる電流により起電力を生じている。つまり、変形例1は、カレントトランス15がスイッチング素子132とスイッチング素子133の間、あるいはスイッチング素子131とスイッチング素子134の間で電流を計測することに限定されず、電流路16、17の任意の箇所で電流を測定するものである。
【0036】
図5(a)は、第一実施形態の電流検出装置1において、スイッチング素子132、133及びスイッチング素子131、134よりも上流の電流によりコイル部151が誘導電流を生じる例を示している。
図5(a)に示すカレントトランス15は、スイッチング素子131よりも上流に設けられ、電流路17は、スイッチング素子133よりも上流でターン電流路170を構成している。
【0037】
図5(a)に示す電流検出装置では、第一実施形態と同様に、スイッチング素子131とスイッチング素子134との間にコイル端部161が接続し、スイッチング素子132とスイッチング素子133との間にコイル端部171が接続してコイル19に電流を供給している。また、フルブリッジ制御回路18は、第一実施形態と同様に、スイッチング素子131、133を一対とし、スイッチング素子132、134を一対として交互にオン、オフさせている。
【0038】
図5(b)は、第二実施形態のトロイダルコイル45をスイッチング素子132、133及びスイッチング素子131、134よりも上流に設けた例を示している。
図5(b)に示すトロイダルコイル45及びトロイダルコイル45に挿通される電流路16、17は、第二実施形態と同様の構成である。ただし、
図5(b)に示す例では、トロイダルコイル45が直流電源11とスイッチング素子131との間であって、かつ直流電源11とスイッチング素子133との間に設けられる。このため、電流路16、電流路17には直流電源11から流れ出した直後の電流ifが分岐して第一電流ic、第二電流idとして流入、流出する。
【0039】
図6(a)は、第一実施形態の電流検出装置1において、スイッチング素子132、133及びスイッチング素子131、134よりも下流の電流によりコイル部151が誘導電流を生じる例を示している。
図6(a)に示すカレントトランス15は、スイッチング素子132よりも下流に設けられ、電流路17は、スイッチング素子134よりも下流でターン電流路170を構成している。
【0040】
図6(b)は、第二実施形態のトロイダルコイル45をスイッチング素子132、133及びスイッチング素子131、134よりも下流に設けた例を示している。
図6(b)に示すトロイダルコイル45及びトロイダルコイル45に挿通される電流路16、17は、第二実施形態と同様の構成である。ただし、
図6(b)に示す例では、トロイダルコイル45がスイッチング素子132と直流電源11との間であって、かつスイッチング素子134と直流電源11との間に設けられる。このため、電流路16、電流路17には第一電流ic及び第二電流idが流れ込み、流出後に合流して電流ieとして直流電源11に流れ込む。
【0041】
(変形例2)
次に、第一実施形態の変形例2を説明する。
図7(a)、
図7(b)は、変形例2の電流検出装置を説明するための図である。変形例2は、第一実施形態の電流検出装置をプッシュプル回路に適用するものであって、
図7(a)はカレントトランス15がスイッチング素子131、132より上流に設けられ、
図7(b)はカレントトランス15がスイッチング素子131、132より下流に設けられる例を示している。
図7(a)、
図7(b)に示す電流検出装置は、いずれもプッシュプル制御回路28がスイッチング素子131、132を交互にオン。オフする。このとき、直流電源11から供給される直流の電流は、電流路16と電流路17とに交互に流入し、出力端子A、Cからはコイル部151に生じた第一誘導電流が出力される。
【0042】
また、
図7(a)、
図7(b)の電流検出装置1は、電流路16にコイル46が接続され、電流路17にはコイル46と分離したコイル47が接続されている。コイル46とコイル47には第一電流iaと同じ向きの電流が交互に供給される。このような動作により、コイル46、47には互いに異なる方向の電流が交互に流れ、電磁誘導によってコイル20にコイル47と同じ向きに流れる電流が生じる。コイル20に生じた誘導起電力は、負荷21に供給される。
【0043】
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)第一電流が流れる第一電流路及び第二電流が流れる第二電流路と、前記第一電流路と前記第二電流路とを切り換えて、前記第一電流と前記第二電流とを交互に流すスイッチング素子と、前記第一電流と前記第二電流とにより誘導電流が流れる共通のコイル部と、前記第一電流により前記コイル部に流れる前記誘導電流と、前記第二電流により前記コイル部に流れる前記誘導電流とを交番させる電流交番部と、を備える、電流検出装置。
(2)前記コイル部は、第一コイルと第二コイルとを含み、第一コイル及び第二コイルは、一つのコアにバイファイラ巻き回されている(1)の電流検出装置。
(3)前記スイッチング素子は、前記第一電流を前記第一電流路に流す二つのトランジスタ素子を含む第一トランジスタ対と、前記第二電流を前記第二電流路に流す二つのトランジスタ素子を含む第二トランジスタ対とを含み、前記コイル部は、前記第一トランジスタ対に含まれる二つの前記トランジスタ素子の間、または前記第二トランジスタ対に含まれる二つの前記トランジスタ素子の間を流れる電流により誘導電流を生じる、(1)または(2)の電流検出装置。
(4)前記スイッチング素子は、前記第一電流を前記第一電流路に流す二つのトランジスタ素子を含む第一トランジスタ対と、前記第二電流を前記第二電流路に流す二つのトランジスタ素子を含む第二トランジスタ対とを含み、前記コイル部は、前記第一トランジスタ素子及び前記第二トランジスタ素子よりも上流または下流を流れる電流により起電力を生じる、(1)または(2)の電流検出装置。
(5)前記電流交番部は、前記第二電流路において前記第一電流の流れ方向と反対に前記第二電流が流れるターン電流路を含み、前記コイル部には前記ターン電流路を流れる電流による誘導電流が生じる、(1)から(4)のいずれか一つの電流検出装置。
(6)前記コイル部がトロイダルコアに巻き回されてトロイダルコイルを構成し、前記電流交番部は、前記トロイダルコイルの上面視において円環形状の一方の面から他方の面に向けて挿通される前記第一電流路と、前記他方の面から前記一方の面に向けて挿通される前記第二電流路と、を含む、(1)から(4)のいずれか一つの電流検出装置。
(7)前記コイル部からセンタータップが引き出されている、(1)から(6)のいずれか一つの電流検出装置。
前記スイッチング素子は、前記第一電流を前記第一電流路に流す二つのトランジスタ素子を含む第一トランジスタ対と、前記第二電流を前記第二電流路に流す二つのトランジスタ素子を含む第二トランジスタ対とを含み、前記コイル部は、前記第一トランジスタ対及び前記第二トランジスタ対よりも上流または下流を流れる電流により起電力を生じる、請求項1または2に記載の電流検出装置。
本発明の第一実施形態、第二実施形態を説明する。第一実施形態、第二実施形態は、いずれも本発明の技術思想及び構成例を示すものであって、具体的な構成や寸法形状を限定するものでない。また、第一実施形態、第二実施形態で用いる図面は、主に各部材の機能、配置及び互いの関係等を模式的に示すものであり、その寸法形状や縦横比等を正確に示すものではない。
(1)第一電流が流れる第一電流路及び第二電流が流れる第二電流路と、前記第一電流路と前記第二電流路とを切り換えて、前記第一電流と前記第二電流とを交互に流すスイッチング素子と、前記第一電流と前記第二電流とにより誘導電流が流れる共通のコイル部と、前記第一電流により前記コイル部に流れる前記誘導電流と、前記第二電流により前記コイル部に流れる前記誘導電流とを交番させる電流交番部と、を備える、電流検出装置。
(3)前記スイッチング素子は、前記第一電流を前記第一電流路に流す二つのトランジスタ素子を含む第一トランジスタ対と、前記第二電流を前記第二電流路に流す二つのトランジスタ素子を含む第二トランジスタ対とを含み、前記コイル部は、前記第一トランジスタ対に含まれる二つの前記トランジスタ素子の間、または前記第二トランジスタ対に含まれる二つの前記トランジスタ素子の間を流れる電流により誘導電流を生じる、(1)または(2)の電流検出装置。
(4)前記スイッチング素子は、前記第一電流を前記第一電流路に流す二つのトランジスタ素子を含む第一トランジスタ対と、前記第二電流を前記第二電流路に流す二つのトランジスタ素子を含む第二トランジスタ対とを含み、前記コイル部は、前記第一トランジスタ
(5)前記電流交番部は、前記第二電流路において前記第一電流の流れ方向と反対に前記第二電流が流れるターン電流路を含み、前記コイル部には前記ターン電流路を流れる電流による誘導電流が生じる、(1)から(4)のいずれか一つの電流検出装置。
(6)前記コイル部がトロイダルコアに巻き回されてトロイダルコイルを構成し、前記電流交番部は、前記トロイダルコイルの上面視において円環形状の一方の面から他方の面に向けて挿通される前記第一電流路と、前記他方の面から前記一方の面に向けて挿通される前記第二電流路と、を含む、(1)から(4)のいずれか一つの電流検出装置。