(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-194251(P2021-194251A)
(43)【公開日】2021年12月27日
(54)【発明の名称】妊娠促進器具
(51)【国際特許分類】
A61F 5/41 20060101AFI20211129BHJP
【FI】
A61F5/41
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2020-102939(P2020-102939)
(22)【出願日】2020年6月15日
(71)【出願人】
【識別番号】520076602
【氏名又は名称】村田 聡
(72)【発明者】
【氏名】村田 聡
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA05
4C098EE02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】不妊治療の現場において、加齢からくる妊娠力の低下並びに、男性器に起因する物理的問題を、精子の受精という妊娠プロセスから科学的に解決できる擬似コンドーム形態の妊娠促進器具を提供する。
【解決手段】性交時に男性器全体へ装着し使用される伸縮可能なゴムまたは、樹脂製の袋状本体からなるコンドーム本体2からなり、その本体内部の男性器先端部、主に亀頭7a部分にゴム又は樹脂により十分な厚み部2aを外観形状が男性器を模擬されるよう設け、且つ当該厚み部中央部には膣内深部へ精子導入のための精子排出路3が精子逆流防止弁から成る逆流防止機構と伴に設けられており、また本体外部には男性器長手方向に沿って山形突起8を設けた妊娠促進器具1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
性交時に男性器全体へ装着し使用される伸縮可能なゴムまたは、樹脂製の袋状本体からなる擬似コンドームであって、その本体内部の男性器先端部、主に亀頭包囲部分にゴム又は樹脂により十分な厚みを外観形状が男性器を模擬されるよう設け、且つ当該厚み部の中心に膣内深部へ精子導入のための排出経路が逆流防止機構と伴に設けられており、また本体外部には男性器長手方向に沿って山形の突起を設けた妊娠促進器具。
【請求項2】
亀頭付け根部位2cの位置を、くびれから亀頭中心部までのいずれかの位置に設けることによって、そのいずれかそれぞれの製品間で男性器が受ける刺激に差が出るようにした請求項1の妊娠促進器具。
【請求項3】
ゴム又は樹脂による亀頭部分の厚みに数種類のサイズがある、請求項1の妊娠促進器具。
【請求項4】
亀頭部分の厚みの材質を、プラスチック材料などゴム又は樹脂以外の材料とし樹脂製の袋状本体内部に装着した、請求項1の妊娠促進器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精子における卵管内の卵子への受精の機会を増大し、係る妊娠の成立を促進する器具に関する。
【背景技術】
【0002】
少子高齢化が急速に進む我が国においては、生涯出生率を向上させ、子供の数を増やすという課題の解決が社会問題の一つとして取り組まれている。しかしながら社会情勢を時代と並行して見るに、ジェンダーレス社会を反映して男性もしくは女性の役割が大きく変化しており、それに伴ってセックスレスの問題も深刻化している。婚姻後も生活のリズムを維持したいという希望が強い場合においては意識的に、妊娠・出産の機会を回避する行動を取ってしまい、結果性交渉の回数が減ってしまう可能性が考えられる。そのきっかけとして主に、パートナーの片方が不感症や早漏など、性交渉そのものに困難な課題がある場合が考えられる。
【0003】
前述した少子高齢化に対応するための社会的要請を鑑み、肉体的問題点を解決することで得られる性交渉時における精神的安定を目的として様々な器具が提案されている。特開2003ー230586号によれば、例えば伸長した際に男性器を包む形状の弾力性、伸縮性のあるゴムもしくは樹脂製の袋状本体の先端に穴を設け、かつ袋状本体の先端から末端の間に隆起部を設けた構造とすることで、男女双方の性感を増進し相互の愛情を昴進することで妊娠が促進される、とされている。また特開2004ー261257号では、伸縮性に富んだ材質により男性器先端部の特に敏感な亀頭基部周辺および亀頭基部下側周辺を肉厚が厚く形成されたコンドームで覆い、また尿道口周辺には開口部を設ける構造とすることで、亀頭部への刺激を軽減せしめ射精までの時間を長くし早漏防止および改善することを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003ー230586
【特許文献2】特開2004ー261257
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の発明では使用者の肉体的補完およびそれに伴う精神的な改善に重きが置かれており、当該器具を使用した場合においても不感症や早漏の改善など、望まれる効果がなされるかどうかは依然として当事者の感覚を起因とした肉体的反応に大きく依存しているため不確実である。また不感症や早漏の改善によって性交渉の頻度や質の向上が見込まれているが、偶発的現象である妊娠の確率を、卵子の受精プロセスの観点から高めるためのものではなかった。
【0006】
一方で晩婚化などの影響で妊娠・出産を希望する年齢が高くなり、加齢とともに妊娠する力が低下していくという現実がある。妊娠する力の低下は、何らかの不妊原因の因子がある場合を除いて、加齢による卵子・精子の質の低下と言い替えることが出来る。このような状況下にあるカップルに対して、医療の現場では不妊治療が行われているが、精神面や金銭面共に負担が大きく、また健康保険が適用される不妊治療は一般的によく行われる初期の不妊治療に限られており、且つ時間がかかるなど、係る問題に対して性交渉時に物理的にサポートできる安価で簡単な器具がこれまでなかった。
【0007】
この中でも特に男性側に考えられる原因として、勃起や射精に支障がないにもかかわらず、男性器の大きさが小さいがために膣口から卵管の距離に対して短く、尿道口から発せられた精子が配管内に到達するまでに精子が寿命を迎えてしまい受精が成立しないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため請求項1の発明は、性交時に勃起もしくは海綿体への充血により十分な大きさに至った男性器全体へ装着し使用される伸縮可能な薄膜のゴム、または樹脂製の袋状本体からなる擬似コンドームであって、その本体内部の男性器先端部、主に亀頭部分にゴム又は樹脂により外観形状が男性器を模擬し、長手方向に男性器の長さを補い膣内卵管部の近辺へ精子が容易に送り出されるよう使用時の全体形状が十分な長さとなるための厚みが設けられ、その厚み部には精子導入のための経路が逆流防止機構と伴に設けられており、且つ精子導入のための経路と尿道口との間には精子を一時的に保留しておくための空間が設けられており、また本体外部には男性器長手方向に沿って山形の突起を円周方向に順序よく設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明に対して亀頭付け根部位2cの位置を、くびれから亀頭中心部までのいずれかの位置に設けることを特徴とし、その結果それぞれの製品間で男性器が受ける刺激に差が出るようにした。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1の発明に対してゴム又は樹脂による亀頭部分の厚みが数種類のサイズを設けることを特徴とし、請求項2と同様にそれぞれの製品間で男性器が受ける刺激に差が出るようにしたことに加え、長手方向に男性器を補う長さも数種類とすることで、膣内卵管部への距離並びに女性器に与える刺激に差が出るようした。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1の発明に対して亀頭部分の厚みの材質を、プラスチック材料などゴム又は樹脂以外の材料とし樹脂製の袋状本体内部に装着したこと特徴とする。
【0012】
本発明によれば、射精時同時もしくは射精後に精子を一時的に保留しておくための空間から精子が精子導入のための経路を通じてその出口より勢い良く膣内深部へ送り込まれることにより、精子が卵管内に到達するまでの距離および係る時間を短縮でき、受精の確率を効率よく向上させることが出来る。また加齢による精子の質の低下によって精液中の活性化された精子の数が少ない、あるいは精子の運動率が全体的に低い場合においても、同様に受精の確率を効率よく向上させる効果があると考えられる。更には本発明により男性器の形状が見かけ上長く大きくなることで女性の不感症の改善が期待でき、且つ亀頭部分にゴム又は樹脂による厚みが設けられていることで、亀頭部への刺激を軽減することとなり早漏の改善も期待できる。また不妊治療のように、医療機関を含む第三者への私的情報の流布および周知の必要が無いことにより、それに伴う私的情報流出および流失の心配もなく、安価で簡単な器具であるため、精神面や金銭面共に使用者の負担が小さい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明第1の実施形態に係る妊娠促進器具の内部構造側面全体図
【
図2】本発明第1の実施形態に係る妊娠促進器具の内部構造上面全体図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、第1の本発明を図面に示した実施形態に基づき詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の第1の実施形態に係る妊娠促進器具の内部構造側面全体図、
図2は内部構造上面全体図、
図3は
図1における精子排出路入口付近部位10の拡大図、
図4は
図1におけるA-A部断面図である。
【0016】
図1は本発明の第1の実施形態に係る妊娠促進器具1を、海綿体への充血により勃起し十分な大きさに至った陰茎7並びに亀頭7aからなる男性器全体へ装着した状態を側面から眺めた図である。コンドーム本体2は伸縮可能な薄膜のゴムまたは樹脂製の袋状本体からなる擬似コンドームである。コンドーム本体2の厚みは陰茎7の本体部分、即ち陰茎付け根部位2bから亀頭付け根部位2cまでは一様に同じ厚みとなっている。
【0017】
またコンドーム本体2は、ゴム又は樹脂による亀頭部分の厚み部2aによって、亀頭付け根部位2cから亀頭先端部に至るまで徐々に厚くなっており、精子排出路出口部4付近で最も厚くなるよう形成されている。また外見上の違和感並びに、使用時の女性器との接触いわゆる男性器挿入時における嫌悪感を無くすため、ゴム又は樹脂による亀頭部分の厚み部2a及びコンドーム本体2の表面処理は均一に滑らかとなっている。また装着時や使用時に、男性器側に対して違和感や嫌悪感が発生しないように、ゴム又は樹脂による亀頭部分の厚み部2a及びコンドーム本体2における男性器と接触する側の表面処理も同様に均一に滑らかとなっている。ただし使用時に妊娠促進器具1が外れないようにするため、男性器と接触する側の表面処理に関しては、違和感や嫌悪感が発生しない程度にストッパーとして表面を若干荒く加工しても良い。
【0018】
ゴム又は樹脂による亀頭部分の厚み部2a及びコンドーム本体2の女性器側表面には山型突起部8を陰茎7の長手方向へ沿うように、陰茎付け根部位2bから亀頭7aの中心付近まで配する。山型突起部8はコンドーム本体2の円周方向に山形を成し、その断面は
図1におけるA-A部断面図である
図4にて示される。
図4において、コンドーム本体2は陰茎7の円周方向に隙間なく密着しており、一定の厚みを擁している。コンドーム本体2の表層には山型突起部8がその円周に一定の間隔をもって、互いに接触しあうことが無いよう順序よく配置される。この山型突起部8によって、妊娠促進器具1を装着した男性器が女性器に挿入された際、女性器外壁がその高さの分だけ圧迫されるため、円周方向に隣り合った2つの山型突起部8の間、すなわち山型突起部8が配置されていないコンドーム本体2の表層においては、女性器外壁との間に空間が出来、従ってこの空間には女性器から発せられた余剰な潤滑液が滞留することが出来る。また、山型突起部8は陰茎7の長手方向へ沿うように、亀頭7a中心部から陰茎付け根部位2まで伸びているので余剰な潤滑液を外部へ効率よく排出することが出来る。このため常時、当該妊娠促進器具1と女性器との間の圧力差を相殺し、均等にすることが可能となり、負圧による吸引作用によって妊娠促進器具1が外れてしまうことを防止できる。
【0019】
また射精時において、精子は一時保持用空間5に滞留しその後精子排出路3を通過し精子排出路出口部4から女性器内部へ排出されるが、その際精子が女性器のより深奥部へ放出されるためには、精子排出路出口部4近辺における女性器内部の気圧が低く、精子一時保持用空間5の気圧が高い必要がある。亀頭部周辺の気圧においては、山型突起部8により余剰な潤滑液が陰茎付け根部位2方面へ移動するため、常に一定に保たれる。対して、精子一時保持用空間5の気圧はピストン運動に従い変化するが、男性器の女性器深部方向への移動時には高くなり、後進時には低くなる。精子を女性器深奥部へ放出するために、当該妊娠促進器具1を装着した男性器自身を女性器へより深く挿入すると共に、同時に勢い良く精子を放出するため、男性器が最も前進し女性器深部へ挿入された場合に精子一時保持用空間5と精子排出路出口部4近辺における女性器内部の気圧差が最も大きくなるよう山型突起部8を配することによって設計されている。なお、山型突起部8の起伏の高さ並びに幅に関しては、その機能および使用具合を鑑み調整可能である。
【0020】
ゴム又は樹脂による亀頭部分の厚み部2aは亀頭付け根部位2cから亀頭先端部に至るまで徐々に厚くなっていくが、袋状体として亀頭7aと接触する部位は精子一時保持用空間5までとなっている。そのため、精子一時保持用空間5より先の、ゴム又は樹脂による亀頭部分の厚み部2aについては、女性器との接触及び摩擦による刺激を男性器に伝えることが無いため、男性器側への刺激に関する設計配慮は特に必要がない。一方、当該部位である精子一時保持用空間5より先の、ゴム又は樹脂による亀頭部分の厚み部2aは、女性器側への刺激に多いに係り、そのための設計配慮が必要である。先端を鋭くしたり、逆に太くしたり、イボ等の突起を配したりすることも必要に応じて可能である。
【0021】
精子一時保持用空間5は、ゴム又は樹脂による亀頭部分の厚み部2aの内部にあり、男性器における精子排出口である外尿道口6と接している。当該空間の大きさが、気圧差に準じた女性器深部への精子の放出量並びにその勢いを決定することになるため、大きいほど効率が良いが、見た目、使い勝手、製造効率等を鑑みて設計される。だたし小さすぎたり、ゴム又は樹脂による亀頭部分の厚み部2aの内側表面が外尿道口6にほぼ接触するほどに精子一時保持用空間5の大きさを制限してしまうと、精子一時保持用空間5と精子排出路出口部4近辺における女性器内部の気圧差に伴う放出機能を損失してしまうため注意が必要である。
【0022】
精子が女性器のより深奥部へ放出されるために、精子排出路出口部4近辺における女性器内部の気圧が低く、精子一時保持用空間5の気圧が高い必要があるが、その気圧差のバランスが逆の場合、すなわち精子排出路出口部4近辺における女性器内部の気圧が高く、精子一時保持用空間5の気圧が低い場合には精子排出路出口部4近辺にある潤滑液および精子が逆流してしまい、コンドーム本体2の位置がずれるもしくは最悪の場合、コンドーム本体2が外れてしまうという問題が生ずる。そのため、気圧差のバランスが反転したしまった場合に、精子排出路3において精子逆流防止弁9により一時的に弁をすることで、精子排出路出口部4と精子一時保持用空間5を遮断する。精子逆流防止弁9は精子排出路3の内周に沿って山型を成した突起状となっており、その先端部は精子排出路出口部4側に傾いている。この傾きによって、精子一時保持用空間5側からの気圧または水圧等高圧力に対しては山が更に傾く状態となり精子一時保持用空間5側からの空気もしくは精子を精子排出路出口部4へ導入できる。それとは逆に、精子排出路出口部4側からの気圧または水圧等高圧力に対しては、精子逆流防止弁9の先端部が精子排出路出口部4側に予め傾いているため精子一時保持用空間5側に傾くことが出来ず、むしろ先端部が精子排出路3の中心へ延びるように形状変化するため、精子排出路3を遮断することになり精子もしくは、樹滑液の逆流を防ぐことができる。
【0023】
以上形状並びに構造について示したが、本発明品の色ならびに表面に描画される図や絵など係るデザインに関しては、本製品の主目的とする妊娠促進という観点から鑑みてその機能を逸脱させてしまう理由が無い限り、制限は必要ない。ただし、本製品の主とする機能が性交渉およびその結果としての妊娠そのものに大きく寄与していることを考慮すると、使用者の精神感情的に害を及ぼさない程度の着色加工が望ましく、不自然さよりはむしろナチュラルさを中心としたもの、透明、半透明および薄ピンクに近い肌色などが望まれる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明はその用途からして個人的に使用されるべきものであるが、男性器の大きさに基づく物理的、且つ射精から受精に至るプロセスに基づく科学的根拠に従って、医療機関においては不妊治療の現場において治験等、本製品の使用を推奨すべきである。
【0025】
1 妊娠促進器具、2 コンドーム本体、2a ゴム又は樹脂による亀頭部分の厚み部、2b 陰茎付け根部位、2c 亀頭付け根部位、3 精子排出路、4 精子排出路出口部、5 精子一時保持用空間、6 外尿道口、7 陰茎、7a 亀頭、8 山型突起部、9 精子逆流防止弁、10 精子排出路入口付近部位