【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みて、なされたものである。改善する手段は超高層マンションの防消火設備として従来の水を使う湿式防消火設備に替えて、新たな防消火手段を提供する。具体的には窒素を用いた乾式防消火設備の導入である。
【0011】
美術館や博物館等で貴重な美術品が水を使う消火で損傷されることを避けるため窒息性ガスを吹込んで消火する方法は既に実用化されている。窒息性ガスとして実績あるガスはハロゲン系ガスと窒素である。前述の「あべのハルカス」でも建屋内の電気室やコンピュータ室には、この方式が導入されている。
【0012】
超高層マンションに窒素を使う乾式防消火法を導入するに当たっては、次の二つの観点から検討しなければならない。一つ目は消火の主目的である如何に素早く鎮火させるかという消火効率の向上である。二つ目は副次的なマイナス影響である酸素欠乏による人的被害の防止である。
【0013】
建屋内に窒素を吹き込むと、内部の空気は窒素とほぼ均一に混合し、排気口を経由して大気に放出される。学術的にはこの混合を「完全混合」と呼ぶ。窒素の吹込みにより建屋内の酸素濃度は徐々に低下し、可燃性ガスが燃焼できない濃度に達する。この時の酸素濃度を「限界酸素濃度」という。この値は可燃性ガスにより固有の値を持ち、水素や一酸化炭素の場合は各々5.0、5.6%、メタンでは12.1%である。
【0014】
可燃物が固体の場合も高温により固体が分解され水素や一酸化炭素等の可燃性ガスを発生するので、燃焼を止めるには気体の場合と同様に建屋内の酸素濃度が可燃性ガスの限界酸素濃度以下になるまで窒素を吹き込めば良い。吹き込まれた窒素は建屋内の空気と混合し、建屋内の酸素濃度を徐々に低下させる。この際、窒素を大量に吹き込むことにより建屋内の圧力が過圧にならないよう、建屋内のガスを十分に排気できる排気経路を確保することが必要である。
【0015】
通常ボンベに貯蔵可能なガス量は数m3/本であるから、消火対象とする建屋の容量は概ね数10m3〜100m3程度に限定される。このため従来の乾式消火法の対象は建屋全体ではなく、建屋の中で最も貴重な部屋に限定せざるを得なかった。あべのハルカスで実施された対象も建屋内の高圧電気室やコンピュータ管理室であり、不活性ガスはボンベからの供給で対応が可能であった。一方、超高層マンション向けに、この方式を採用するには、第一に窒素の供給量の不足が大きなネックとなり、今までは乾式法を検討する機会は殆ど無かった。 しかし窒素の供給源については近年、液化窒素ローリ車を活用する新たな提案もあり、対応に変化が見え始めている。
【0016】
液化窒素ローリ車を活用する場合は、大型の7トン車の場合、最大搭載量は容量換算で約6,000m3/台である。幸い超高層マンションの場合は対象を個別の空間容積とすれば、その容積は凡そ数百m3程度、近隣への類焼を考慮しても1,000m3以下である。従って消火の対象を上記の範囲に留めることができれば、窒素の供給量に関しては、液化窒素ローリ車を活用すれば、現状で何とか対処が可能である。
【0017】
窒素を超高層マンションに導入する際、もう一つ注意しなければならない重要な課題は酸欠症即ち酸素欠乏に伴う人的災害や事故の防止である。人間は酸素なしの環境下では生きていけない。酸素濃度の低下と共に死の危険が迫る。発災時に窒素を使用する場合、これ等の人命を如何にして酸欠事故から守るか、この二次災害については事前に万全な防止策を確立して置かなければならない。
【0018】
次に酸欠症について基礎的な事項を記す。酸欠症とは人間が酸素濃度の低い空気を吸引することで生じる危険症状である。大気中の酸素濃度は平地では約21%(容量比)あるが、何らかの原因でこの濃度が低下すると、人間は以下の症状を呈す。人間は呼吸により血中の酸素濃度が低下すると臓器に供給される酸素量が減少し、臓器の細胞活動が妨げられ、最悪の場合は停止する。人体の臓器のうち最も影響を受け易い臓器は脳である。
【0019】
この症状には個人差はあるが、概ね次の通りである。(=出展、酸素欠乏危険作業主任者テキスト、労働省労働作業衛生課編)
上表より酸素濃度が通常値より半減すると、人にとって非常に危険な症状が現れること、また人間が何とか行動できるためには最低でも11%以上の酸素濃度が必要であることが判る。
【0020】
超高層マンションの防消火対策を考える上で、上記の酸欠防止対策は最も重要な課題である。近年、窒素を使用して大型の物量倉庫の火災に対処できないかという課題については、既に幾つかが提言されている。このような大型倉庫の場合はその容積が数十万m3で、窒素の供給量に不安を残すが、その多くは自動搬出装置付きで無人化され、かつ働く人達は少数である。これ等の建屋に窒素を吹き込む場合は対象人数が特定されるので、酸欠防止策の対応自体は限定的でさほど困難ではない。これに対し超高層マンションの場合は、対象とする人数は数百人以上でかつ不特定であるため 酸欠の危険度は極めて高く別格である。この対策については特に重要なので後で詳述する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
初めに窒素を使用した建屋内の支燃性ガスを窒素で置換する際の基本的な事項について記す。窒素による防消火法は燃焼の3要素である、可燃物、着火源、支燃性ガスの中で、支燃性ガスを無くする方法である。燃焼に関与するこれ等の三要素は論理上「AND回路」で結ばれているので、窒素により火災周囲の支燃性ガス中の酸素濃度を限界値まで下げれば火災は完璧に消火できる。従って建屋が密閉型であるという条件さえ満たせば、この方式は湿式法に比べ、原理が単純で消火効率が圧倒的に高い。
【0022】
更なる利点は窒素という気体を使うので、どんな高さの建築物の消火にも対応が可能で、湿式防消火法のような消火対象物の高さに関する懸念は皆無である。加えて乾式法の設備は構成が極めてシンプルである。この方式に必要なものは建屋に吹き込む窒素がデッドスペース無しに均一に拡散するように「窒素の吹き出し配管を設置する」こと、及び吹き込んだ多量の窒素ガスで建屋内の圧力が過圧にならないよう「排気用のベントを設ける」ことである。
【0023】
一方、乾式防消火法は大型建屋内の空気中の酸素濃度を低下させるためには多量の窒素が必要になる。将来水素時代の到来に併せて導管を用いる広域の窒素インフラが完成すれば、この課題は容易に解決できる。しかし現状では超高層マンションに向け窒素を大量に供給できる手段は唯一液化窒素ローリ車よる供給だけである。
【0024】
液化窒素ローリ車とは窒素を超低温の液状にしてこれを真空断熱された特殊容器に充填し、車両に搭載して運搬する特別車両である。現在この種の車両は国内では広く普及しており、全国で数百台の液化窒素ローリ車が毎日運行されている。液化窒素ローリ車の搭載容量は大型車で約7ton(重量)、ガス状態に換算すれば約6,000m3/台である。この量は消火対象が超高層マンション内の限定された居住空間であれば、量的な対応は十分に可能である。
【0025】
次に窒素を使って建屋内の酸素ガス濃度を低減させる方法について基本的な技術について記す。一例として可燃物を水素、又は一酸化炭素と仮定すれば、その燃焼には、酸素濃度を5%以上(=学術用語で限界酸素濃度という)に保たなければならない。逆の見方では建屋内の空気を窒素で置換して空気中の酸素濃度を5%以下すれば、全ての火源は消炎する。
【0026】
容積(Am3)を有する建屋の内部に容量(Vm3)の窒素を吹き込み、建屋内の同量のガスを放出させて建屋内の酸素濃度を通常濃度(a
1=21%)から 目標の酸素濃度(a
2=5%)まで低減させる場合、その低減曲線は「完全混合式」に従い、次の関数で示される。ここでeはネピアの数と呼ばれる定数である。
【0027】
上式より空気中の酸素a
1を限界酸素濃度a
2まで低下させる窒素量Vは
例えば建屋容積A=1,000m3、a1=21.0、a2=5.0を代入すれば、窒素量V=1,430m3 となる。 即ち容積Am3の建屋内の空気を窒素で置換して燃焼を継続できない酸素濃度まで低減させるには、容量で建屋容量Aの約1.43倍の窒素が必要である。この量は液化窒素ローリ車1台(=6,000m3)で対応可能な量である。
【0028】
次に支燃性ガスとしての酸素の役割について記す。最初に簡単な実験を行う。可燃物として新聞紙を1,2枚を軽く丸めて家庭用のポリバケツに入れ、マッチで点火する。火炎は当初は小さいが、暫くすると一気に燃え上がる。この段階で予め用意した窒素ボンベからホースを使って窒素ガスをポリバケツに向け放出する。放出量は感覚的にバケツ容量の半分程度で、大まかで良い。ここで炎の勢いを観察する。
【0029】
炎の勢いは消火はしないが、一気に驚くほど小さくなる。この実験結果は学術的には次のように説明できる。例えば可燃物を水素と仮定した場合、この燃焼反応は
2H
2+ O
2 = 2H
2O と表記できる。
この反応で水素と酸素の濃度をそれぞれ、a及びbとすれば、反応速度V
1は
ここでKは温度が一定ならば濃度に関係ない定数で、速度定数(Velocity Constant)と呼ばれる。
【0030】
燃焼が進み、発生する水素量が増加してaが2倍になると(1)式は
即ち、燃焼速度は4倍に急上昇する。ここでbを半分に下げると(1)式は
即ち、水素の濃度が2倍になると、燃焼速度は一気に4倍となる。一方、酸素濃度を半分にすれば、水素濃度が2倍に増加しても反応速度を半減できることが解かる。
【0031】
先に示した実験は正にこの現象を如実に呈している。実験で一気に増大した火炎は(2)式で示される。窒素の吹込みで急速に炎が小さくなった現象は(3)式を示している。この実験でも明らかのように燃焼時に支燃ガス中の酸素濃度を低下させることは火災の消火に対し極めて有効な手段であることが解かる。これに似た現象は私たちの日常でも良く体験する。例えばかつて薪炊きの風呂で使った「火吹込き竹」はこの現象を逆に利用したものである。竹先から勢いよく空気を吹き込んで火の勢いを強めたのは、酸素の分圧を高めて火炎の燃焼速度を上げていた行為に他ならない。
【0032】
本発明ではこの現象を防消火対策に活用する。超高層マンションの火災の場合は大型物流倉庫の場合のように大量の窒素を一気に対象空間内に吹き込めば、もし空間内に人間が存在すれば、即、酸欠事故=窒息死に直結する。一方でマンション内部の可燃物の量は限定されており、火炎が一気に増大する危険は少ない。本発明ではその消火手順について、物流倉庫での対応とは全く異なる消火操作を提言する。次に本発明の乾式消火法の具体的な実施手順について記す。
【0033】
本発明では消火の手順を2段階で行う。 第1段階は火災の拡大を抑制する手段を講じる。この手段として居住空間に吹き込むガス中の酸素濃度を空気中の21%より低い値に低減させる方法を選択する。例えば、吹き込むガス組成の一例としてガス中の酸素濃度の目標値を空気中の約半分の濃度である11%とする。 この酸素濃度の調整に窒素を使用する。
【0034】
酸素濃度の低減に必要な窒素は近隣の窒素供給設備から液化窒素ローリ車を使用して当該マンションまで搬送する。ローリ車の液化窒素は専用の連結口を経て、地下の密閉室に設置した気化器へ送られ、中低圧の窒素ガスとなる。気化器とは液化窒素を気化させて定温、低圧の窒素ガスを得るための装置である。この窒素に別に設けた空気圧縮機からの空気を混合させて、所定の組成を有する窒素・空気の混合ガスとする。この防消火設備の概略を[
図1]に示す。
【0035】
密閉室には気化器と空気圧縮機が設置され、空気圧縮機で空気を圧縮し、窒素と任意の比率で混合して窒素・空気の混合ガスとする。両ガスの比率調整には酸素濃度検出器とガス流量計を組み合わせたカスケード制御で行なう。カスケード制御とは二つの制御系を結んで制御性を改善する制御方式のことで、化学プラント等で広く活用される方式である。酸素濃度の検出器についてはガス伝導度や電気伝導度を活用して有効数字で3桁以上の精度を有する検出器が既に実用化されている。今回のケースでは酸素濃度の検出器の出力値で窒素と空気の流量計の目標値を制御させるカスケード方式を導入する。。これ等の機器を活用することにより酸素濃度を11.0%に正確に調整して、目標とするガス組成を有する混合ガスを得る。この制御の概要を[
図2]に示す。
【0036】
上記の操作により窒素・空気の混合比を調整された混合ガスはここから鋼鉄製の専用導管を用いて建屋の外周を経由し各階に運ばれる。気化器の設置場所を密閉室にしたり、専用配管を建屋の外周を通した理由はそれ等の設備から万一、窒素が漏洩した場合、他の居住空間に窒素が流れ込んで酸欠等のマイナス影響を与えないよう配慮した為である。
【0037】
専用配管をマンション内に設置した供給ヘッダーに連結する。供給ヘッダーは建屋の外周に沿って各階毎にリング状に設置する。更にこのヘッダーから枝管を分岐し、枝管に取り付けた複数の吹き出し口から消火対象となる居住空間の各部屋に窒素を吹き込む。ヘッダーと枝管の間には遠隔操作で開閉可能の供給元弁を取り付ける。
【0038】
供給元弁を取り付ける位置はヘッダーから枝管に分岐する大元である。供給元弁は居住空間毎に取り付け、その全数をマンションの管理室から操作可能とする。供給元弁の数は全体ではかなりの数となるので、誤って作動させないよう厳重に管理しなければならない。この危険を防止するには後述する監視回路に安全回路を組み込む。例えば「煙検知による火災発生情報」を組み込めば火災を起こしていない居住空間に向けて供給元弁が誤って開かれる危険はある程度抑えられる。更に誤動作や誤操作を防止するため監視要因を組み込んで、安全対策の強化を計る。この安全対策の強化(=冗長化)については後述する。
【0039】
供給元弁を通して居住空間内に吹き込まれた窒素・空気の混合ガスは空間内の空気と置換し、排気口を経てベント管から大気へ放出される。排気口とベント管については非常時に多量に吹き込まれるガスで建屋内が過圧されないよう十分な排出能力を持たせる。排気口には常時ラプチュアデスク等の破裂板を取り付けて大気と遮断する。ラプチュアデスクとは薄い金属板で出来た安全器具で、建屋内が過圧された場合に金属板が破裂して内部のガスを大気へ放出する。 この設備の概容を[
図3]に示す。
【0040】
最後に酸欠防止対策に関連するソフト面の対策について、手順を示して説明する。一般的な火災発生時では、まず「煙検知器による発災情報」と「居住者からの発災通知情報」により消火活動が開始される。この順序は従来と変わらないが、本発明ではこれに居住空間が密閉型であることが必要条件なので、「入口ドア閉止情報」を追加して組み込む。次いで、混合ガスの吹込みに先立ち、居住者とマンションの安全管理者は居住空間内に残留している者がいないかを現地で確認する作業に入る。
【0041】
この確認作業が終了したら、居住者避難確認に関する情報を入力する。この入力には居住者とマンションの安全管理者の双方が現地で居住空間に住む全員が避難したことを確認した後、本人のカードを挿入して「特定パスワード入力情報」として入力する。「特定パスワード入力情報」とは予め指定された特定パスワードを本人が直接、入力装置に入力しない限り、窒素の元弁操作のロック機能を解除できない情報である。この入力が終わった時点で、混合ガスの吹込み準備作業が完了する。
【0042】
実際の吹込みはマンションの安全管理者が遠隔から「吹込み開始ボタン」を押すことで実行される。居住空間に吹き込まれた混合ガスは完全混合式に従って曲線を描きながら空間内の酸素濃度を順次、減衰させる。この減衰効果は吹込みの当初が効果が大きく、時間と共にその程度が緩慢になる。この酸素濃度の減衰曲線を[
図4]に示す。
図4には窒素の吹込み方法の異なる二つの方法の減衰曲線が記載されている。二つの曲線のうち、2段階で表示されている曲線が本発明の事例である。
【0043】
窒素・空気の混合ガスにより居住空間内の酸素濃度は目標濃度(=11%)に向けて順次低下する。この吹込みは居住空間内の酸素濃度が11%に近づくまで行われるが、この間に該当する居住空間の滞在者は全員退避を完了する。酸素濃度の低下はゆっくり進むので、慌てて退避する必要はない。また、この混合ガスの吹込み操作は居住者の退避に際し、室内の排煙効果を高めるので、その退避にも有効である。更にこの第1段階で混合ガス中に人体に無害な腐臭剤を添加して緊急事態発生の注意を喚起することも有益である。
【0044】
第1段階の吹込みが完了したら、第2段階の吹込みに入る。第2段階は吹き込む混合ガスの組成を窒素濃度を100%に替えて、火炎を完全に消火させる段階である。この場合も、吹込み前に居住者とマンションの安全管理者の双方が再度退避の確認を行うことには第1段階と変わりはないが、出来れば消防士が立ち会って確認することが望ましい。この吹込みにより火炎は完璧に消火する。
【0045】
第1段階の確認と退避に要する時間はマンションの居住空間の容積と液化窒素ローリ車の窒素搭載量の比率から判断して、凡そ1時間程度と予想される。第2段階の所要時間も第1段階に近いとされるので、消火に要す全時間は、第1段階と第2段階を併せても液化窒素ローリ車が現地に到着してから2〜3時間程度で完了する。この時間は従来の湿式消火法に比べ極めて短時間である。
【0046】
消防士による確認は第1段階で居住空間内の酸素濃度が低減した後に行われる。この段階で建屋に残留者がいる確率は低いが、特異の例として一度退避した人が再び忘れ物を取りに入居する等のケースに対応するためである。このように確認を幾重にも実施する理由は、万一にも居住空間内に人間がいることを見落さないよう配慮したためである。この環境下では建屋内の人間は不自由ながら行動は可能である。消防士は救助に備えて活発に行動できるように、従来の耐火服に加えて酸素ボンベ付きの「背負い式の呼吸器」を装着する。
【0047】
本発明に従えば、消防士の役割は大きく変化する。従来まで消防士の業務の主体は消火活動自体であった。今後はこの業務は消防士から窒素を取り扱う建屋側の管理者に移行し、消防士の役目は居住者の避難確認と誘導が主体となる。この結果、従来のように消火作業に当たり、多数の消防車や消防士の出動は不要となる。超高層マンション1棟の火災に際し、1台の液化窒素ローリ車と数人の消防士で対応できる日が来るのも夢ではない。
【0048】
超高層マンションにおける酸欠事故の防止にはここに追加した情報は事故防止には必須である。図ではNEWマークで表示されている。マンション発災に伴う安全回路の立案に際してはこれ等の要因を「AND回路」で繋ぎ、安全対策の冗長化を図る。以上をフローチャートにまとめ[
図5]に示す。
【0049】
上記の対策に加え、乾式防消火法の普及に当たっては関連する部署間で乾式消火法への対応策を確立しておく必要がある。具体例としては対象となる建屋は全て所轄官庁の許認可制とすること、建屋には酸欠防止に資格を有する安全管理者の常駐を義務付けること、消火業務に関し消防署と建屋側との間で消火活動に係る役割を事前に定めておくこと等である。