【解決手段】医療システムは、遠位端を有する挿入管と、挿入管の遠位端に固定され、外面を有する細長い弾性遠位部分と、その各々が、遠位部分の外面上に配設され、かつ外面の上方に膨出する複数の電極構造体と、を含むカテーテルを備える。各々の電極構造体は、それぞれの主電極と、外面の周りに延在する少なくとも1つのそれぞれの副次的電極とを備え、外面の周り、及びそれぞれの主電極と少なくとも1つのそれぞれの副次的電極との間には、それぞれの電気的絶縁材料が配設されている。それぞれの主電極は、少なくとも1つのそれぞれの副次的電極及び電気的絶縁材料よりも、外面の更に上方に膨張する。
前記それぞれの主電極が金属リングを含み、前記少なくとも1つのそれぞれの副次的電極が、少なくとも1つの金属リングを含み、前記それぞれの主電極及び前記少なくとも1つのそれぞれの副次的電極が、前記それぞれの電気的絶縁材料によって接続されている、請求項1に記載のシステム。
前記遠位部分が伸長方向を有し、前記それぞれの主電極が、前記伸長方向に対して平行に測定された第1の幅を有し、前記2つのそれぞれの電極の各々が、前記伸長方向に対して平行に測定された第2の幅を有し、前記第1の幅が前記第2の幅よりも大きい、請求項5に記載のシステム。
各電極構造体が、前記それぞれの主電極の下で、前記それぞれの主電極と前記遠位部分の前記外面との間に配設されたそれぞれの熱伝導性材料を含む、請求項1に記載のシステム。
前記それぞれの熱伝導性材料と前記それぞれの主電極とが、一体型物品として形成され、前記一体型物品が、前記少なくとも1つのそれぞれの副次的電極の質量の2倍を超える質量を有する、請求項11に記載のシステム。
心臓組織の電気穿孔術を実行するために、前記それぞれの主電極によって前記心臓組織に印加されるパルス信号を生成するように構成された信号発生器を更に備える、請求項1に記載のシステム。
前記少なくとも1つのそれぞれの副次的電極によって検知された少なくとも1つの信号を受信し、表示装置に出力するための心内電位図(IEGM)を生成するように構成されたIEGMモジュールを更に備える、請求項14に記載のシステム。
心臓組織の電気穿孔術を実行するために、前記電極構造体によって前記心臓組織に印加されるパルス信号を生成するように構成された信号発生器を更に備える、請求項16に記載のシステム。
【背景技術】
【0002】
広範囲にわたる医療処置が、カテーテルなどのプローブを患者の体内に配置することを伴う。このようなプローブを追跡するために、位置検知システムが開発されてきた。磁気的位置検知は、当該技術分野において既知の方法のうちの1つである。磁気的位置検知においては、磁界発生器は通常、患者の体外の既知の位置に配置される。プローブの遠位端内の磁界センサは、これらの磁界に応答して電気信号を生成し、これらの信号は、プローブの遠位端の座標位置を判定するために処理される。これらの方法及びシステムは、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号、及び同第6,332,089号、国際公開第1996/005768号、並びに米国特許出願公開第2002/006455号、同第2003/0120150号、及び同第2004/0068178号に説明されている。位置はまた、インピーダンス又は電流ベースのシステムを使用して追跡されてもよい。
【0003】
これらのタイプのプローブ又はカテーテルが極めて有用であると証明されている医療処置の1つは、心不整脈の治療におけるものである。心不整脈及び特に心房細動は、特に老年人口では、一般的かつ危険な病状として存続する。
【0004】
心不整脈の診断及び治療には、心臓組織、特に心内膜の電気的特性をマッピングすること、並びにエネルギーの印加によって心臓組織を選択的にアブレーションすることが含まれる。そのようなアブレーションにより、不要な電気信号が心臓のある部分から別の部分へと伝播するのを停止させるか又は修正することができる。アブレーションプロセスは、非導電性の損傷部を形成することによって不要な電気経路を破壊するものである。様々なエネルギー送達の様式が、損傷部を形成する目的でこれまでに開示されており、心臓組織壁に沿って伝導ブロックを作成するためのマイクロ波、レーザ、及びより一般的には無線周波エネルギーの使用が挙げられる。マッピングの後にアブレーションを行う2工程の処置において、通常、1つ以上の電気センサを含むカテーテルを心臓の中へと前進させ、複数のポイントでデータを取得することによって、心臓内の各ポイントにおける電気活動を検知及び測定する。次いで、これらのデータを利用して、このアブレーションを行うべき心内膜の標的領域を選択する。
【0005】
電極カテーテルは、長年にわたり医療現場で一般的に使用されている。電極カテーテルは、心臓内の電気活動を刺激及びマッピングし、異常な電気活動が見られる部位をアブレーションするために使用される。使用時には、電極カテーテルは、主要な静脈又は動脈、例えば大腿静脈に挿入された後、関心の心臓の心室内へとガイドされる。典型的なアブレーション処置は、その遠位端に1つ以上の電極を有するカテーテルを心腔に挿入することを伴う。参照電極は、一般的には患者の皮膚にテープで貼り付けられるか、あるいは心臓内又は心臓付近に配置されている第2のカテーテルによって提供され得る。RF(radio frequency、高周波)電流をアブレーションカテーテルの先端電極(複数可)を通して印加し、先端電極(複数可)と不関電極との間の先端電極の周囲の媒質、すなわち、血液及び組織に電流が流れる。電流の分布は、組織より高い導電性を有する血液と比較した場合、組織と接触している電極表面の量に依存する。組織の加熱は、組織の電気抵抗に起因して生じる。組織が十分に加熱されると、心臓組織において細胞破壊が引き起こされ、結果として、非電導性である心臓組織内に損傷部が形成される。
【0006】
Govariらの米国特許公開第2010/0168548号は、心臓の電気マッピングのためのシステムで使用するための心臓カテーテル(含ラッソーカテーテル)について記載している。このカテーテルは、隆起していて穿孔を有する電極を有し、それらの電極は、灌注ルーメンと流体連通する。カテーテルの遠位ループ部分及び近位ベース部分には位置センサーがある。この電極は検出用電極であり、ペーシング又はアブレーション用に改変できる。隆起した電極が心臓組織に確実に接触し、低抵抗の電気接続を形成する。
【0007】
Falwellらの米国特許出願公開第2012/0310065号には、心臓内の電気活動をマッピングし、心臓組織内に変性部を生じさせ(アブレーションし)、不整脈によって引き起こされる不規則な電気インパルスの伝播を無効化する役割を果たす、壊死組織の領域を形成するための装置及び方法が記載されている。
【0008】
Panescuらの米国特許出願公開第2016/0324575号は、医療器具(例えば、アブレーション装置)を記載しているが、その医療器具は、近位端及び遠位端を有する細長い本体と、細長い本体の遠位端に配置されたエネルギー送達部材と、エネルギー送達部材によって運ばれるか又はエネルギー送達部材内に配置されている、エネルギー供給部材から断熱されている第1の複数の温度測定装置と、エネルギー供給部材の近位端の近位側に配置され、エネルギー供給部材から断熱されている、第2の複数の温度測定装置と、を備える。
【0009】
Fleischmanらの米国特許第6,416,505号は、体内に診断用又は治療用要素を配置するための外科的方法及び係用装置を記載している。その装置は、カテーテルベースのものであっても、又は比較的短いシャフトを含むプローブであってもよい。
【0010】
Gobleらの米国特許第6,482,202号は、導電性流体媒体の存在下で組織を治療するために使用され、器具シャフトと、シャフトの一端にある電極アセンブリと、を備える電気外科用器具が記載されている。電極アセンブリは、組織処置電極と、絶縁部材によって組織処置電極から電気的に絶縁された対極板とを備える。組織処置電極は、組織を処置するための露出端を有し、対極板は、組織処置電極から離間された流体接触面を有し、使用中に、組織処置電極と対極板との間に、電気回路を完成させる導電性流体経路を画定するようになっている。電極アセンブリは、組織処置電極の領域に複数の開口部が設けられており、この開口部を通じて、蒸気気泡及び/又は粒子材料が、組織処置電極を取り囲む領域から吸引され得る。
【発明を実施するための形態】
【0032】
概論
いくつかのカテーテル、例えば、Biosense Webster(カリフォルニア州アーバイン)社のnMARQ(商標)カテーテルは、カテーテル電極の穴を介して灌注を提供する。nMARQカテーテルは、ラッソーチューブに沿って配置された電極を含む投げ縄形状の高周波(RF)アブレーションカテーテルであり、電極の領域内の管内から(例えば、電極の下に)来る開放式の灌注を備えるものである。灌注を提供する目的は、RFアブレーション中の血液の凝固を防止するために、熱を抑えること及び血液を希釈することの両方である。nMARQの各電極は、ラッソーチューブの表面よりも上方に膨出し、電極が、チューブに電極を電極縁部において固定するために使用されるポリウレタンよりも確実に上方に突出し、それによって電極と心臓組織との間に適切な接触が可能になるようにしている。電極はまた、均一な壁厚を有しているので、電極の中央が外側に膨らむときに、ラッソーと電極の内面との間に、対応する中空部分が存在することになる。中空部分によって、灌注流体が、その中空部分にポンプ注入されて電極を冷却し、電極内の穴を通って排出されるのが可能になる。
【0033】
同じ電極が灌注なしで、(例えば、電気穿孔術のために)使用される場合には、(例えば、電気穿孔術によって)生み出されたいかなる熱も、電極の内面とチューブとの間の中空部分の空隙のせいで、容易には放散されない。というのは、空気は熱伝導性が非常に悪く、しかも電極の薄い壁は、それほど多くの熱容量を提供しないからである。そのため、電気穿孔術が過度の熱を生じないという場合であっても、望ましくない局所的な温度上昇が起こり得る。
【0034】
本発明の例示的な実施形態は、上記の問題を解決するために、弾性遠位部分(例えば、成形可能なループ)を有するカテーテルの、その遠位部分に沿って電極構造体を配置した。電極構造体は、遠位部分の外面の表面よりも上方に膨出し、更に、追加的熱伝導性材料を含んで、電気穿孔術などの処置中の冷却を強化し、熱容量を増加させている。熱伝導性材料は、電極構造体の電極の下に配置され、電極構造体の残りの部分とは異なる材料である充填材料であってもよい。例えば、充填剤は、白金などの金属、又は熱伝導性エポキシなどの非金属であってもよい。他の例示的な実施形態では、電極構造体の中央の膨出部は、電極構造体の側部よりも厚い構成となっていてよい。そうすることによって、電極構造体のより厚い中央部分が、熱伝導性材料(すなわち、電極自体)を提供し、電気穿孔術などの処置中の冷却を強化するようになっている。
【0035】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される用語「熱伝導性材料」は、摂氏25度で1ワット/メートルケルビン(W/mK)以上の熱伝導率を有する材料として定義される。
【0036】
電気穿孔術に関連して更なる問題があるが、それは、電気穿孔術パルスの電流を印加するために、十分に大きな電極を提供する必要があるということである。電気穿孔術に適したものと同じ大きな電極は、検知、例えば心臓の電気的活性(例えば、心内電位図(IEGM))の検知、又は電流又はインピーダンスに基づく位置追跡システムを用いた位置信号の検知について理想的とは言えない場合があり得る。というのは、大きな電極は、検知される信号に過度に多くのノイズを導入するか、又は電極自身のサイズのために、提供する空間情報が不正確なものとなり得るからである。カテーテルの遠位部分に沿って、電気穿孔術のための複数の大きな電極と、検知のためのより小さい電極とを提供すると、遠位部分の可撓性があまりにも小さいものとなる可能性がある。
【0037】
本発明の例示的な実施形態は、上記の問題を解決するために、電気穿孔術に使用され得る主電極と、検知に使用され得る1つ以上の、より小さい副次的電極とを有する、それぞれの電極構造体を提供する。同一の電極構造体上に、電気穿孔術用の電極と検知のための電極とを提供することにより、カテーテル上に電気穿孔術と検知機能とを組み込むことが可能にしつつ、遠位部分上の構造体の数を制限することにより、遠位部分が十分な可撓性を維持することが可能になる。いくつかの例示的な実施形態では、各電極構造体は2つの副次的電極を含んでもよく、それらの電極は、主電極の両側に配置されてもよく、位置信号、IEGMなどを検知するために使用されてもよい。主電極及び副次的電極(複数可)は、好適な電気的絶縁材料、例えば、エポキシ又は任意の好適なポリマーを使用して、互いに電気的に絶縁されてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、熱伝導性材料を主電極の下に配置して、熱放散性及び熱容量を提供することができる。他の例示的な実施形態では、主電極が副次的電極(複数可)より厚く形成されて、より厚い電極が、熱放散性の少なくとも一部を提供するようになっていてもよい。主電極及び副次的電極は、カテーテルの遠位部分の周囲に延在するリングとして形成されてもよく、電気的絶縁材料を使用して一体に接続される。他の例示的な実施形態では、熱伝導性材料のリングが、遠位部分の周囲にリングを形成してもよいが、その際、主電極が熱伝導リングの上に配置され、副次的電極が熱伝導リングの両側に配置されていてもよい。多くの他の構成が可能であり、いくつかは、開示される例示的な実施形態を参照して以下に説明される。
【0038】
「電気的絶縁材料」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲で使用されるときには、20℃で、100万オームセンチメートル(Ωcm)を超える体積抵抗率を有する材料として定義される。
【0039】
本発明の例示的な実施形態は、カテーテルを含む医療システムを提供する。そのカテーテルは、挿入管と、その挿入管の遠位端に固定された細長い弾性遠位部分とを含む。挿入管は、血管を通して、被験者の心臓内に挿入される。弾性遠位部分は、心臓内に配置されるとループを画定し、例えば、医師によって操作され得る、一本の金属(例えばニチノール)などの内部弾性部材を使用して、ループを開閉するように構成されている。
【0040】
カテーテルは、複数の電極構造体を含む。各電極構造体は、遠位部分の外面上に配置され、外面の上方に膨出している。各電極構造体は、主電極と、遠位部分の外面の周りに延在する1つ以上の副次的電極と、外面の周囲に、かつ各主電極とそれぞれの副次的電極との間に配設された電気的絶縁材料と、を含み得る。各電極構造体の主電極は、副次的電極(複数可)及びその電極構造体の電気的絶縁材料よりも、外面の更に上方に膨出する。
【0041】
いくつかの例示的な実施形態では、主電極は金属リングを含み、副次的電極(複数可)は金属リング(又は複数のリング)を含む。主電極及びそれぞれの(すなわち、同じ電極構造体の)副次的電極(複数可)は、電気的絶縁材料によって接続されていてもよい。
【0042】
いくつかの例示的な実施形態では、副次的電極は、それぞれの(すなわち、同じ電極構造体の)主電極の両側に任意選択的に配置される、2つの電極を含む。
【0043】
遠位部分は、伸長方向を有する。各主電極は、伸長方向に平行に測定された第1の幅を有する。各副次的電極は、伸長方向に対して平行に測定された第2の幅を有する。いくつかの例示的実施形態では、第1の幅は第2の幅よりも大きい。
【0044】
各電極構造体は、それぞれの主電極の下で、それぞれの主電極と遠位部分の外面との間に配設された熱伝導性材料を含み得る。いくつかの例示的な実施形態では、熱伝導性材料は、主電極とは異なる材料から形成される。他の例示的な実施形態では、熱伝導性材料及び主電極は、一体型物品として形成される。主電極を形成する一体型物品は、各副次的電極の質量の2倍を超える質量を有してもよい。
【0045】
医療システムは、心臓組織の電気穿孔術を実行するために、主電極のうちの1つ以上によって心臓組織に印加されるパルス信号を生成する信号発生器を含んでもよい。医療システムは、副次的電極(複数可)によって検知された少なくとも1つの信号を受信して、表示装置に出力するためのIEGM(又は複数のIEGM)を生成するように構成された、IEGMモジュールを含んでもよい。
【0046】
いくつかの例示的な実施形態では、各電極構造体は、単一電極を含み、その電極構造体の下で、各電極構造体と遠位部の外面との間には、熱伝導性材料が配設されている。熱伝導性材料は、電極構造体とは異なる材料から形成される。
【0047】
いくつかの例示的な実施形態では、灌注カテーテルは、以下のように電気穿孔術で使用するために変換され得る。本方法は、挿入管と、その挿入管の遠位端に固定された弾性遠位部分とを含むカテーテルを提供することを含む。遠位部分は、外面と、内側灌注ルーメンと、外面の上方に膨出する電極構造体とを有する。電極構造体は、自らを貫通して形成された穿孔を有し、それぞれの電極構造体と外面との間に、それぞれの中空部分を画定する。穿孔は、中空部分を介して灌注ルーメンと流体連通している。本方法は、電極の穿孔を介して中空部分に熱伝導性材料を注入することによって、電気穿孔術で使用するためにカテーテルを変換することを含み、かつ、必須ではないものの一般的には、カテーテルが灌注を提供することを排除することを含む。
【0048】
システムの説明
ここで、本発明の例示的一実施形態に従って構築され動作する、医療システム20の概略図である、
図1を参照する。次に、本発明の例示的一実施形態により構築され動作する、閉じた構成のラッソーカテーテル40の概略図である
図2を参照する。
【0049】
システム20は、生きている対象(例えば、患者28)の身体の部分中に挿入されるように構成された、カテーテル40を含む。医師30は、カテーテル40の近位端の近傍のマニピュレータ32を使用して、カテーテル40の挿入管22の偏向可能要素を操作すること、及び/又はシース23からの偏向を操作することによって、カテーテル40を患者28(インセット25)の心臓26内の標的位置に誘導する。このようにして又は任意の好適なやり方で、挿入管22は、血管を通して被験者の心臓内に挿入されるように構成される。図に見られる実施形態では、医師30が、カテーテル40を使用して、心臓腔の電気解剖学的マッピング及び心臓組織のアブレーションを実行する。
【0050】
カテーテル40は、細長い弾性遠位部分35(例えば、調整可能ループ)を含み、この遠位部分35は、真っ直ぐな構成でシース23を通して挿入され、カテーテル40がシース23を出た後にのみ、細長い弾性遠位部分35は、その意図された機能形状を回復するようになっている。真っ直ぐな構成の細長い弾性遠位部分35を収容することにより、シース23はまた、標的位置への誘導途中での血管への外傷を最小限に抑える働きをする。
【0051】
カテーテル40は、電極を含む複数の電極構造体48(簡略化のために、その一部のみに符号が付されている)を含むが、その電極は、電気的活動を検知するために用いられ、かつ/又はアブレーション用電力を印加して身体部分のアブレーションを行うため及び/若しくは電気穿孔用電力を印加して身体部分の電気穿孔を行うために用いられる。カテーテル40には、挿入管22の遠位側縁部(すなわち、細長い弾性遠位部分35の近位側縁部)に、磁気センサ50(
図2の左側の挿入管22の切欠き部分に示される)が組み込まれてもよい。磁気センサ50は、あくまでも例としてではあるが、例えばそのサイズを考慮して、1軸(Single-Axis Sensor、SAS)、2軸(Dual-Axis Sensor、DAS)、又は3軸(Triple-Axis Sensor、TAS)であってもよい。カテーテル40はまた、挿入管22の遠位側縁部、例えば、磁気センサ50の両側に配設された1つ以上の電極52を含んでもよい。電極(複数可)52、磁気センサ50、及び細長い弾性遠位部分35上に配設された電極構造体48の電極は、コンソール24内の様々な駆動回路に、挿入管22を通って延びる電線によって接続されている。
【0052】
いくつかの例示的実施形態では、システム20は、心臓26の心臓腔内の、カテーテル40の細長い弾性遠位部分35の位置を推定するための、磁気検知サブシステムを備える。患者28は、ユニット43によって駆動される1つ以上の磁場発生器コイル42を含むパッドによって発生した磁場内に置かれる。コイル(単数又は複数)42によって発生した磁場は、交番磁場を身体部分が位置する領域に送信する。送信された交番磁場は磁気センサ50内で、カテーテル40の遠位端の位置及び/又は方向を示す信号を生成する。生成された信号は、コンソール24に送信され、処理回路41に対応する電気的入力となる。
【0053】
いくつかの例示的実施形態では、処理回路41は、電極52、及び/又は電極構造体48の電極、及び/又は磁気センサ50から受信した位置信号を使用して、器官内、例えば心臓腔内などにおけるカテーテル40の位置を推定する。いくつかの実施形態では、処理回路41は、電極から受信した位置信号を、以前に取得した磁気位置較正位置信号と相関させて、器官内におけるカテーテル40の位置を推定する。電極の位置座標は、他の入力の中でも特に、それらの電極と身体表面電極49との間で測定されるインピーダンス又は電流分布の割合に基づいて、処理回路41によって判定されてもよい。
【0054】
電流分布測定値及び/又は外部磁界を使用する位置検知の方法は、様々な医療用途で、例えば、Biosense Webster Inc.(カリフォルニア州アーバイン)により製造されるCarto(登録商標)システムに実装されており、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号、同第6,332,089号、同第7,756,576号、同第7,869,865号、及び同第7,848,787号、国際公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号、及び同第2004/0068178(A1)号に詳述されている。
【0055】
Carto(登録商標)3システムは、先進的カテーテル位置特定法(Advanced Catheter Location、ACL)のインピーダンスベースの位置追跡方法を適用する。いくつかの例示的な実施形態では、処理回路41は、ACL法を使用して、電気インピーダンスの表示と磁界生成コイル42の磁気座標フレーム内の位置との間のマッピング(例えば、現在位置マトリックス(CPM))を作製するように構成されている。処理回路41は、CPM内でルックアップを実行することにより、電極の位置を推定する。
【0056】
カテーテル40の遠位端の位置を判定するための用いられ得る他の方法としては、例えば、超音波トランスデューサ及び受信機に基づくもの、超音波撮像記述、又はカテーテル40上に放射線不透過性タグを配設することを含み得るMRI若しくはCTスキャンなどの撮像技術を使用するものが挙げられる。
【0057】
典型的には汎用コンピュータの一部である処理回路41が、好適なフロントエンド及びインターフェース回路44を介して更に接続されて、体表面電極49から信号を受信する。処理回路41は、ケーブル39を通って患者28の胸部まで延びる電線によって体表面電極49に接続される。
【0058】
いくつかの例示的実施形態では、処理回路41は、カテーテル40の算出された位置座標に応答して、カテーテル40の少なくとも一部を表す画像31及びマッピングされた身体部分をディスプレイ装置27にレンダリングする。
【0059】
処理回路41は、本明細書に記載される機能を実行するために、典型的にはソフトウェアでプログラムされる。ソフトウェアは、例えばネットワーク上で、コンピュータに電子形態でダウンロードすることができるか、又は代替的に若しくは追加的に、磁気メモリ、光学メモリ、若しくは電子メモリなどの、非一時的実体的媒体上に提供及び/又は記憶することができる。
【0060】
医療システム20はまた、カテーテル40に接続されるように構成され、RFアブレーション及び/又は電気穿孔術を実行するために電極構造体48の電極に電気信号を印加するように構成された、信号発生器54(RF信号発生器など)を含み得る。
【0061】
図1及び
図2に示す例示の図は、概念を明確化する目的のみで選択されている。
図1は、単純及び明確にするため、開示技法に関連する要素しか示されていない。システム20は、典型的に、開示される技術には直接関連せず、したがって
図1及び対応する説明から意図的に省略されている、追加のモジュール及び要素を備える。システム20の要素、及び本明細書に記載の方法は、例えば、心臓26の組織のアブレーション及び/又は電気穿孔を制御するために、更に適用されてもよい。
【0062】
ここまで医療システム20は、投げ輪形状の細長い弾性遠位部分35を有するカテーテル40を参照しながら説明されてきた。しかしカテーテル40は、任意の好適な形状の細長い弾性遠位部分35と共に実装されてもよく、例えば、マルチスプラインカテーテルが挙げられるが、これに限定されない。
【0063】
ここで、開かれた構成状態にある
図2のラッソーカテーテル40の概略図である、
図3を参照する。
図2もまた参照する。
【0064】
挿入管22の遠位端56は、典型的には、偏向可能な部分と、電極52を含む遠位縁とを備え、磁気センサ50が、2つの電極の間に配設されている。2つの電極52の中心どうしの間の距離は、5mm〜20mmの範囲、例えば11mmなどの任意の好適な距離であってもよい。磁気センサ50(例えば、磁気コイルセンサ)は、任意の好適な位置に配設されてもよい。
図2の例では、磁気センサ50は、電極52のうちの遠位側のものにより近いものとして示されている。挿入管22は、例えば、1〜6mmの範囲、例えば2.5mmなどの、任意の好適な外径を有していてもよい。
【0065】
細長い弾性遠位部分35は、挿入管22の遠位端56に固定される。細長い弾性遠位部分35は、外面58を有する。細長い弾性遠位部分35は、任意の好適な材料(複数可)、例えば、ポリウレタンなどの可撓性ポリマー、又はポリエーテルブロックアミドから構成されてもよい。弾性遠位区分35は、心臓内に配置されるとループを画定し、ループを開閉(又は締め付けたり、緩めたりする)ように構成されている。本明細書及び特許請求の範囲で使用される用語「ループ」は、曲線の周りを少なくとも180度湾曲し、閉じた曲線、又は部分的に重なり合う曲線、又は部分的に開いたループを形成する細長い弾性遠位部分35として定義される。
【0066】
ループ形状は、細長い弾性遠位部分35のルーメンの内側に配設された、ニチノールスパインなどの弾性を有する又は偏向可能な要素(図示せず)によって形成されてもよく、それによって、細長い弾性遠位部分35が心臓26への挿入中には真っ直ぐであり(
図1)、細長い弾性遠位部分35がシース23から出るとループを形成する(
図1)。ループは、例えばマニピュレータ32(
図1)を使用して、弾性要素を引っ張ることによって収縮されてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、細長い弾性遠位部分35は、膨張可能要素として形成されてもよい。
【0067】
開いたループ(
図3)及び閉じたループ(
図2)は、任意の好適な直径を有してもよい。いくつかの例示的な実施形態では、開いたループは、10mm〜35mmの直径を有し、閉じたループは、5mm〜25mmの直径を有する。いくつかの例示的な実施形態では、遠位部分は、25.4mmの開いた場合の直径及び15.24mmの閉じた場合の直径を有する。
【0068】
各電極構造体48は、細長い弾性遠位部分35の外面58上に配設され、外面58の上方に膨らむ。電極構造体48(簡略化のために、一部のものだけに符号が付されている)は、好適な接着剤を使用して、かつ/又はポリウレタンを使用して細長い弾性遠位部分35に接続されてもよく、このような接着剤は、電極構造体48の縁部を細長い弾性遠位部分35に固定するために使用される。
【0069】
カテーテル40は、各電極構造体48の幅、細長い弾性遠位部分35の長さ、及び遠位部分35の所望の可撓性に応じて、任意の好適な数の電極構造体48を含んでもよい。より多くの電極構造体48は、遠位部分35の可撓性をあまりに低いものとする可能性があり得る。
図2及び
図3は、遠位部分上に配設された10個の電極構造体48を示す。他の例示的な実施形態では、遠位部分35上に配設された電極構造体48の数は、例えば4〜30の範囲の任意の好適な数を含んでもよい。
【0070】
電極構造体48は、遠位部分35に沿って、均等に又は不均等に離間配置されてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、弧に沿って測定したときの電極構造体48間の中心どうしの間の間隔は7mmであるが、例えば3mm〜30mmの範囲の、任意の好適な値をとり得る。最も遠位側にある電極構造体48の中心から遠位部分35の先端60までの距離は、任意の好適な値であってよく、例えば1mm〜20mmの範囲、例えば7mmであってもよい。
【0071】
いくつかの例示的な実施形態では、インセット66(
図3の線A:Aを通る断面図を示す)に示されるように、各電極構造体48は、1つの電極62を含み、電極62と外面58との間には、熱伝導性材料64が配設されている。熱伝導性材料64は、任意の好適な熱伝導性材料であってもよく、例えば、白金、パラジウム、金、又は熱伝導性エポキシであってもよいが、それらに限られない。いくつかの例示的な実施形態では、熱伝導性材料64は、細長い弾性遠位部分35の外面58の周囲に巻き付けられ、次いで電極62が、熱伝導性材料64の周囲に巻き付けられる。他の例示的な実施形態では、電極62が(単一片として、又は後で一体に接合される2つの半体として)、まず、外面58の周りに固定され、次いで、熱伝導性材料64が電極62の下に電極62の穴を通って注入される。
【0072】
ここで、ラッソーカテーテル40の代替的電極構造体48の、
図3の線A:Aを通る断面図である、
図4A〜
図4Dを参照する。
図4A〜
図4Dに示される様々な電極構造体48に共通する特徴について、まず最初に以下に説明する。
【0073】
各電極構造体48は、それぞれの主電極68と、外面58の周囲に延在する少なくとも1つのそれぞれの副次的電極70とを備える。各電極構造体48はまた、外面58の周り、及びそれぞれの主電極68とそれぞれの副次的電極70との間に配設されたそれぞれの電気的絶縁材料72を含む。主電極68、副次的電極(複数可)70、及び電気的絶縁材料72を参照して「それぞれの」という用語を用いる場合には、同一の電極構造体48の第1電極68、副次的電極70、及び電気的絶縁材料72を説明するために用いる。それぞれの主電極68は、それぞれの副次的電極70及びそれぞれの電気的絶縁材料72よりも、外面58の上方に更に膨出する。
【0074】
いくつかの例示的な実施形態では、各電極構造体48は、それぞれの主電極68の両側に任意に配置される2つの副次的電極70を含む。
【0075】
先に述べたように、電気穿孔術に関連して一つの問題があるが、それは、電気穿孔術信号の電流を印加するために、十分に大きな電極を提供する必要がるということである。電気穿孔術に適したものと同じ大きな電極は、検知、例えば心臓の電気的活性(例えば、心内電位図(IEGM))の検知、又は電流又はインピーダンスに基づく位置追跡システムを用いた位置信号の検知について理想的とは言えない場合があり得る。というのは、大きな電極は、検知される信号に過度に多くのノイズを導入するからである。カテーテルの遠位部分に沿って、電気穿孔術のための複数の大きな電極と、検知のためのより小さい電極とを提供すると、遠位部分の可撓性があまりにも小さいものとなる可能性がある。したがって、いくつかの例示的な実施形態では、各々の副次的電極70は、典型的には、主電極68よりも狭くなっており、主電極68を電気穿孔術に使用することができ、副次的電極70を検知に使用することができる。主電極68及び副次的電極70が電極構造体48の単一構造に含まれるため、電気穿孔術用の大きな電極と、検知用のより小さい電極とが、カテーテル40の可撓性を過度に損なうことなく、カテーテル40の遠位部分35に沿って提供され得る。
【0076】
いくつかの例示的な実施形態では、信号発生器54(
図1)は、心臓組織の電気穿孔術を実行するために、主電極68のうちの1つ以上によって心臓組織に印加されるパルス信号を生成するように構成されている。いくつかの実施形態では、医療システム20は、心内電位図(IEGM)モジュール74(
図1)を含み、そのIEGMモジュール74は、副次的電極70のうちの1つ以上によって検知された少なくとも1つの信号を受信し、ディスプレイ装置27(
図1)に出力するための1つ以上のIEGMを生成するように構成されている。
【0077】
いくつかの例示的な実施形態では、各主電極68及び各副次的電極70は、細長い弾性遠位部分35の外面58の周囲に巻き付けられ対応する金属リングを形成する金属ストリップから形成される。他の実施形態では、各主電極68及び各副次的電極70は、外面58の周りで一体に接合されたハーフリングから形成されてもよい。1つの電極構造体48の主電極68及び副次的電極(複数可)70は、電気的絶縁材料72によって互いに接続されていてもよい。電気的絶縁材料72はまた、主電極68を副次的電極(複数可)70に接着するための接着剤としても機能し得る。他の例示的な実施形態では、主電極68、副次的電極(複数可)70及び電気的絶縁材料72を接続するために、好適な接着剤が使用されてもよい。
【0078】
いくつかの例示的な実施形態では、材料の保持片(又は複数の保持片)を使用して、主電極68を副次的電極(複数可)70に保持してもよい。次いで、電気的絶縁材料72(例えば、エポキシ)を主電極68と副次的電極(複数可)70との間に追加してもよく、それによって主電極68を副次的電極(複数可)70と更に接着させることができる。電気的絶縁材料72が固定された後、保持片(複数可)は除去されてよい。
【0079】
いくつかの例示的な実施形態(
図4Bを参照)において、電気的絶縁材料72は、細長い弾性遠位部分35の外面58の周囲に巻き付けられる材料のストリップを含んでもよい。
【0080】
いくつかの例示的な実施形態では、各電極構造体48は、それぞれの主電極68の下、それぞれの主電極68と遠位部分35の外面58との間に配設された、それぞれの熱伝導性材料76を含む。いくつかの例示的な実施形態では、熱伝導性材料76は、(
図4C及び
図4Dに示されるように)主電極68の一部を形成する。他の例示的な実施形態では、熱伝導性材料76は、
図4A及び
図4Bに示されるように、主電極68の下に別個の要素(例えば、外面58の周りに配設されたリング)として配置される。いくつかの例示的な実施形態では、
図4Bに示すように、熱伝導性材料76はまた、電気的絶縁材料72として機能する。
【0081】
ここで、
図4Aを参照する。ここで、
図4Aを参照して、電極構造体48の典型的な寸法を説明する。以下に記載される寸法はまた、他の例示的な実施形態、例えば、
図4B〜
図4Dを参照して説明される例示的な実施形態に適用されてもよい。以下に記載される例示的な寸法にかかわらず、電極構造体48の寸法は、任意の好適な値を含んでもよい。
【0082】
細長い弾性遠位部分35は、伸長方向78を有する。主電極68は、伸長方向78と平行に測定された幅80を有する。各副次的電極70は、伸長方向78と平行に測定された幅82を有する。幅80は、幅82より長い。いくつかの例示的な実施形態では、幅80は、幅82のサイズの少なくとも2倍である。いくつかの例示的な実施形態では、幅80は2mm〜8mmの範囲であり、幅82は0.1mm〜1mmの範囲である。各電極構造体48は、2.5mm〜10mmの、伸長方向79に平行に測定された合計幅84を有する。
【0083】
図4Aは、熱伝導性材料76が主電極68とは異なる材料から形成されていることを示す。熱伝導性材料76は、細長い弾性遠位部分35の周囲に巻き付けられた長方形のストリップとして形成されてもよく、主電極68が、熱伝導性材料76の上に巻き付けられている。いくつかの例示的な実施形態では、熱伝導性材料76及び/又は主電極68は、細長い弾性遠位部分35の周囲で接続された2つのハーフリングとして形成されてもよい。副次的電極70は、電気的絶縁材料72を介して主電極68に接続されるが、電気的絶縁材料72は、主電極68を副次的電極(複数可)70と接続するための接着剤としても作用し得る。主電極68及び副次的電極70の壁厚は、例えば0.01mm〜0.25mmの範囲の、任意の好適な値を有してもよい。熱伝導性材料76の厚さは、例えば0.01mm〜0.25mmの範囲の、任意の好適な値を有し得る。
【0084】
ここで、
図4Bを参照する。
図4Bは、電気的絶縁材料72及び熱伝導性材料76が、同一の要素であることを示す。電気的絶縁材料72及び熱伝導性材料76は、窒化ホウ素又はダイヤモンドをドープしたエポキシなどのエポキシから構成されてもよく、0.01mm〜0.25mmの範囲の厚さを有していてよい。主電極68は、電気的絶縁材料72及び熱伝導性材料76の上に部分的に覆うように配設される。副次的電極70は、電気絶縁性材料72及び熱伝導性材料76の両側に配置される。主電極68及び副次的電極70の寸法は、
図4Aを参照して述べたものと実質的に同じである。
【0085】
ここで、
図4C及び
図4Dを参照する。
図4C及び
図4Dは、熱伝導性材料76及び主電極68が一体型物品として形成され、それによって、より厚くなった主電極68が、電気穿孔術中に生成された熱を放散させることを示す。いくつかの例示的な実施形態では、一体型物品は、その電極構造体48の副次的電極70のうちの1つの質量の2倍を超える質量を有し得る。主電極68の壁厚は、例えば0.025mm〜0.5mmの範囲の、任意の好適な値を有し得る。副次的電極70の壁厚は、例えば0.025mm〜0.5mmの範囲の、任意の好適な値を有し得る。いくつかの例示的な実施形態では、主電極68の壁厚は、副次的電極70の壁厚の少なくとも2倍である。
【0086】
図4Cに示される主電極68及び副次的電極70はそれぞれ、外面58の周囲に巻かれてリングを形成する平坦な電極として形成されてもよく、又は細長い弾性遠位部分35の周囲で一体に接続される2つのハーフリングとして形成されてもよい。
図4Dに示す主電極68は、不均一な表面を有し、外面58から主電極68の中心に向かって更に離れて膨出している。
【0087】
ここで、本発明の例示的な実施形態に従って構築され動作する、代替的ラッソーカテーテル86の概略図である
図5を参照する。ここで、ラッソーカテーテル86の電極構造体48の1つの、
図5の線B:Bを通る断面図である
図6も参照する。ラッソーカテーテル86は、以下の差異を除いて、
図1〜
図4のカテーテル40と実質的に同じである。細長い弾性遠位部分35は、内側灌注ルーメン94(
図6)を含む。各電極構造体48(簡略化のため、一部のもののみに符号が付されている)は、自らを貫通して形成された少なくとも1つの灌注穴(穿孔)92(簡略化のため、一部のもののみに符号が付されている)を含む。電極構造体48は、電極構造体48のそれぞれのものと外面58との間に、それぞれの中空部分96を画定する。穿孔92は、中空部分96を介して灌注ルーメン94と流体連通している。
【0088】
ラッソーカテーテル86は、電気穿孔術を行うために、以下のようにして灌注カテーテルから非灌注カテーテルに変換され得る。熱伝導性材料90は、ラッソーカテーテル86の電極構造体48のそれぞれの下、各電極構造体48と遠位区分35の外面58との間で、中空部分96内に注入される。熱伝導性材料90の配置は、一般に、ラッソーカテーテル86が電極構造体48を介して灌注を提供することを排除する。熱伝導性材料90は、穿孔92を介して電極構造体48の下に注入されてもよい。熱伝導性材料90は、一般に、電極構造体48とは異なる材料(例えば、エポキシ又は白金)から形成されるが、電極構造体48と同じ材料から形成されてもよい。
【0089】
本明細書で任意の数値又は数値の範囲について用いる「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書において説明されるその意図された目的に沿って機能することを可能にする、好適な寸法の許容誤差を示すものである。より具体的には、「約(about)」又は「約(approximately)」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指していてよく、例えば「約90%」は、72%〜108%の値の範囲を指していてよい。
【0090】
本発明の様々な特徴が、明確性のために別個の実施形態の文脈において記載されているが、これらが単一の実施形態に組み合わされて提供されてもよい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において記載されている本発明の様々な特徴が、別々に又は任意の好適な部分的組み合わせで提供されてもよい。
【0091】
上に記載される実施形態は、例として引用されており、本発明は、上記の明細書に具体的に図示及び記載されたものによって限定されない。むしろ、本発明の範囲は、上記の明細書に記載された様々な特徴のコンビネーション及びサブコンビネーションの両方、並びに前述の記載を読むと当業者が思い付くであろうが、先行技術に開示されていないその変形及び修正を含む。
【0092】
〔実施の態様〕
(1) カテーテルを備える医療システムであって、前記カテーテルが、
遠位端を有する、挿入管と、
前記挿入管の前記遠位端に固定され、外面を有する、細長い弾性遠位部分と、
複数の電極構造体であって、各電極構造体が、前記遠位部分の前記外面上に配設され、かつ前記外面の上方に膨出し、各電極構造体が、それぞれの主電極と、前記外面の周りに延在する少なくとも1つのそれぞれの副次的電極と、を備え、前記外面の周り、及び前記それぞれの主電極と前記少なくとも1つのそれぞれの副次的電極との間には、それぞれの電気的絶縁材料が配設され、前記それぞれの主電極は、前記少なくとも1つのそれぞれの副次的電極及び前記それぞれの電気的絶縁材料よりも、前記外面の更に上方に膨出する、複数の電極構造体と、
を備える、医療システム。
(2) 前記挿入管が、血管を通じて被験者の心臓の中へと挿入されるように構成されており、
前記弾性遠位部分が、前記心臓内に配置されるとループを画定し、前記ループを開閉するように構成されている、
実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記ループが、5mm〜35mmの直径を有する、実施態様2に記載のシステム。
(4) 前記それぞれの主電極が金属リングを含み、前記少なくとも1つのそれぞれの副次的電極が、少なくとも1つの金属リングを含み、前記それぞれの主電極及び前記少なくとも1つのそれぞれの副次的電極が、前記それぞれの電気的絶縁材料によって接続されている、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記少なくとも1つのそれぞれの副次的電極が、2つのそれぞれの電極を含む、実施態様1に記載のシステム。
【0093】
(6) 前記2つのそれぞれの電極が、前記それぞれの主電極の両側に配置されている、実施態様5に記載のシステム。
(7) 前記遠位部分が伸長方向を有し、前記それぞれの主電極が、前記伸長方向に対して平行に測定された第1の幅を有し、前記2つのそれぞれの電極の各々が、前記伸長方向に対して平行に測定された第2の幅を有し、前記第1の幅が前記第2の幅よりも大きい、実施態様5に記載のシステム。
(8) 前記第1の幅が、前記第2の幅の少なくとも2倍の大きさである、実施態様7に記載のシステム。
(9) 前記第1の幅が、2mm〜8mmの範囲であり、前記第2の幅が、0.1mm〜1mmの範囲である、実施態様7に記載のシステム。
(10) 前記遠位部分が伸長方向を有し、各電極構造体が、前記伸長方向に平行に測定された2.5mm〜10mmの幅を有する、実施態様1に記載のシステム。
【0094】
(11) 各電極構造体が、前記それぞれの主電極の下で、前記それぞれの主電極と前記遠位部分の前記外面との間に配設されたそれぞれの熱伝導性材料を含む、実施態様1に記載のシステム。
(12) 前記それぞれの熱伝導性材料が、前記それぞれの主電極とは異なる材料から形成されている、実施態様11に記載のシステム。
(13) 前記それぞれの熱伝導性材料と前記それぞれの主電極とが、一体型物品として形成され、前記一体型物品が、前記少なくとも1つのそれぞれの副次的電極の質量の2倍を超える質量を有する、実施態様11に記載のシステム。
(14) 心臓組織の電気穿孔術を実行するために、前記それぞれの主電極によって前記心臓組織に印加されるパルス信号を生成するように構成された信号発生器を更に備える、実施態様1に記載のシステム。
(15) 前記少なくとも1つのそれぞれの副次的電極によって検知された少なくとも1つの信号を受信し、表示装置に出力するための心内電位図(IEGM)を生成するように構成されたIEGMモジュールを更に備える、実施態様14に記載のシステム。
【0095】
(16) カテーテルを備える医療システムであって、前記カテーテルが、
遠位端を有する、挿入管と、
前記挿入管の前記遠位端に固定され、外面を有する、細長い弾性遠位部分と、
前記遠位部分の前記外面上に配設され、前記外面の上方に膨出する、複数の電極構造体と、
前記電極構造体の下で、前記電極構造体のそれぞれと前記遠位部分の前記外面との間に配置され、前記電極構造体とは異なる材料から形成されている熱伝導性材料と、
を含む、医療システム。
(17) 前記挿入管が、血管を通じて被験者の心臓の中へと挿入されるように構成されており、
前記弾性遠位部分が、前記心臓内に配置されると、ループを画定し、前記ループを開閉するように構成されている、
実施態様16に記載のシステム。
(18) 前記ループが、5mm〜35mmの直径を有する、実施態様17に記載のシステム。
(19) 心臓組織の電気穿孔術を実行するために、前記電極構造体によって前記心臓組織に印加されるパルス信号を生成するように構成された信号発生器を更に備える、実施態様16に記載のシステム。
(20) 医療方法であって、
カテーテルを提供することであって、前記カテーテルが、
遠位端を有する、挿入管と、
前記挿入管の前記遠位端に固定され、外面及び内側灌注ルーメンを有する、弾性遠位部分と、
前記外面の上方に膨出し、自らを貫通して形成された複数の穿孔を有する複数の電極構造体であって、それぞれの前記電極構造体と前記外面との間にそれぞれの中空部分を画定し、前記穿孔が、前記中空部分を介して前記灌注ルーメンと流体連通している、電極構造体と、
を含む、カテーテルを提供すること、及び
前記電極の前記穿孔を介して前記中空部分に熱伝導性材料を注入することによって、電気穿孔術で使用するために前記カテーテルを変換すること、
を含む、医療方法。