【解決手段】本システムは、第1の心拍に対応する第1の一組の属性情報を含む、特定された心臓空間位置での第1の心拍を受信することと、第2の心拍に対応する第2の一組の属性情報を含む、特定された心臓空間位置での第2の心拍を受信することと、第1の一組の属性情報を第2の一組の属性情報と比較することと、比較した属性情報に基づいて、第1の心拍及び第2の心拍のうちどちらが最適な特徴を有するかを決定することと、を行うように構成されたマシン学習アルゴリズムを含む、プロセッサを含む。
第1の属性情報を含む前記第1の心拍及び第2の属性情報を含む前記第2の心拍のうちの少なくとも1つが、前記プロセッサと通信するデータベースに記憶される、請求項1に記載のシステム。
前記第1の心拍及び前記第2の心拍のうちの一方が、前記EPマッピングシステムにおいて手動で受け取られる心拍であり、前記第1の心拍及び前記第2の心拍のうちの他方が、閾値許容限度まで同じ空間位置において前記EPマッピングシステムから医師によって削除される心拍である、請求項3に記載のシステム。
前記EPマッピングシステムにおいて手動で受け取った前記心拍及び前記EPマッピングシステムにおいて前記医師によって削除された前記心拍の結果に基づいて、前記マシン学習アルゴリズムが、前記第1の心拍及び前記第2の心拍のうちどちらが最適な特徴を有するかを決定するように学習し、前記手動で受け取った心拍及び前記削除された心拍が、閾値許容限度まで同じ位置にある、請求項4に記載のシステム。
より少ないノイズを有する前記心拍、より明らかな局所活性化時間(LAT)を有する前記心拍、より明らかな遅延電位を有する前記心拍、より安定した分画を有する前記心拍、及びより少ないV干渉を有する前記心拍のうちの少なくとも1つに基づいて、前記マシン学習アルゴリズムが、前記第1の心拍及び前記第2の心拍のうちどちらが最適な特徴を有するかを決定する、請求項1に記載のシステム。
前記マシン学習アルゴリズムが、前記マッピングアノテーションとして使用する前記心拍の前記決定を前記EPマッピングシステムに更に出力する、請求項13に記載のシステム。
前記EPマッピングシステムにおいて前記医師によって取得された前記心拍の結果に基づいて、前記マシン学習アルゴリズムが、前記複数の心拍のうちのどれを前記マッピングアノテーションとして使用するべきかを決定するように学習する、請求項15に記載のシステム。
より少ないノイズを有する前記心拍、より明らかな局所活性化時間(LAT)を有する前記心拍、より明らかな遅延電位を有する前記心拍、より安定した分画を有する前記心拍、及びより少ないV干渉を有する前記心拍のうちの少なくとも1つに基づいて、前記マシン学習アルゴリズムが、前記複数の心拍のうちのどれを前記マッピングアノテーションとして使用するかを決定する、請求項13に記載のシステム。
前記マッピングアノテーションとして使用する前記心拍の前記決定が、その精度を確認するために、ゴールドスタンダードデータベースに対して比較される、請求項13に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
マッピングアノテーションとして各空間位置での最良の心拍を選択及び検出するための、並びにマシン学習に基づいて心臓マッピングアノテーションの決定を改善するための、システム及び方法が提供される。
【0016】
図1は、患者の生体指標(すなわち、患者データ)を遠隔監視及び通信するための例示的なシステム100のブロック図である。
図1に示す例では、システム100は、患者104に関連付けられた患者生体計測監視及び処理装置102と、ローカルコンピューティングデバイス106と、遠隔コンピューティングシステム108と、第1のネットワーク110と、第2のネットワーク120と、を含む。
【0017】
例示的な実施形態によれば、監視及び処理装置102は、患者の身体の内部にある装置(例えば、皮下に移植可能)であり得る。監視及び処理装置102は、経口注射、静脈又は動脈を介した外科的挿入、内視鏡処置、又は腹腔鏡処置を含む任意の適用可能な方法を介して患者に挿入されてもよい。
【0018】
例示的な実施形態によれば、監視及び処理装置102は、患者の外部にある装置であり得る。例えば、以下により詳細に記載されるように、監視及び処理装置102は、取り付け可能なパッチ(例えば、患者の皮膚に取り付けられる)を含んでもよい。監視及び処理装置102はまた、1つ又は2つ以上の電極を有するカテーテル、プローブ、血圧カフ、体重計、ブレスレット若しくはスマートウォッチ生体計測トラッカ、グルコースモニタ、持続的気道内陽圧(CPAP)マシン、又は患者の健康若しくは生体指標に関する入力を提供し得る実質上任意のデバイスを含み得る。
【0019】
例示的な実施形態によれば、監視及び処理装置102は、患者の内部にある構成要素及び患者の外部にある構成要素の両方を含み得る。
【0020】
単一の監視及び処理装置102が、
図1に示されている。しかしながら、例示的なシステムは、複数の患者生体計測監視及び処理装置を含んでもよい。患者生体計測監視及び処理装置は、1つ又は2つ以上の他の患者生体計測監視及び処理装置と通信してもよい。追加的に又は代替的に、患者生体計測監視及び処理装置は、第1のネットワーク110と通信し得る。
【0021】
1つ又は2つ以上の監視及び処理装置102は、患者生体計測データ(例えば、電気信号、血圧、体温、血糖値又は他の生体計測データ)を取得することができ、かつ取得された患者の生体指標を表す患者生体計測データの少なくとも一部分、並びに1つ又は2つ以上の他の監視及び処理装置102から取得された患者の生体指標に関連付けられた追加情報を受信することができる。追加情報は、例えば、ウェアラブルデバイスなどの追加のデバイスから得られる診断情報及び/又は追加情報であってもよい。各監視及び処理装置102は、それ自体の取得された患者の生体指標、並びに1つ又は2つ以上の他の監視及び処理装置102から受信されたデータを含むデータを処理してもよい。
【0022】
図1では、第1のネットワーク110は、近距離ネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、又はパーソナルエリアネットワーク(PAN))の一例である。情報は、Bluetooth、Wi−Fi、Zigbee、Z−Wave、近接場通信(NFC)、ウルトラバンド、Zigbee、又は赤外線(IR)などの様々な近距離無線通信プロトコルのうちのいずれか1つを使用して、監視及び処理装置102とローカルコンピューティングデバイス106との間で、近距離ネットワーク110を介して送信され得る。
【0023】
例示的な一実施形態では、第2のネットワーク120は、有線ネットワーク、無線ネットワークであってもよいか、又は1つ又は2つ以上の有線及び無線ネットワークを含み得る。例えば、第2のネットワーク120は、長距離ネットワーク(例えば、広域ネットワーク(WAN)、インターネット、又はセルラーネットワーク)であり得る。情報は、様々な長距離無線通信プロトコル(例えば、TCP/IP、HTTP、3G、4G/LTE、又は5G/New Radio)のいずれか1つを使用して、第2のネットワーク120を介して送信され得る。
【0024】
例示的な一実施形態では、患者監視及び処理装置102は、患者生体計測センサ112と、プロセッサ114と、ユーザー入力(UI)センサ116と、メモリ118と、送信受信機(すなわち、送受信機)122と、を含み得る。監視及び処理装置102は、第1のネットワーク110を介して、任意の数の様々な患者の生体指標を継続的又は周期的に監視、記憶、処理、及び通信し得る。患者の生体指標の例としては、電気信号(例えば、心電図(ECG)信号及び脳生体指標)、血圧データ、血糖データ、及び体温データが挙げられる。患者の生体指標は、心臓血管疾患(例えば、不整脈、心筋症、及び冠動脈疾患)及び自己免疫疾患(例えば、I型及びII型糖尿病)などの任意の数の様々な疾患にわたって治療するために監視及び通信され得る。
【0025】
一実施形態では、患者生体計測センサ112は、例えば、生体計測患者の生体指標のタイプを検知するように構成された1つ又は2つ以上のセンサを含み得る。例えば、患者生体計測センサ112は、電気信号(例えば、心臓信号、脳信号、又は他の生体電気信号)を取得するように構成された電極、体温センサ、血圧センサ、血糖センサ、血液酸素センサ、pHセンサ、加速度計、及びマイクロフォンを含み得る。
【0026】
例示的な一実施形態では、以下により詳細に記載されるように、患者生体計測監視及び処理装置102は、心臓のECG信号を監視するためのECGモニタであり得る。ECGモニタの患者生体計測センサ112は、ECG信号を取得するための1つ又は2つ以上の電極を含んでもよい。ECG信号は、様々な心臓血管疾患の治療に使用され得る。
【0027】
例示的な一実施形態では、送受信機122は、別個の送信機及び受信機を含み得る。代替的に、送受信機122は、単一のデバイスに統合された送信機及び受信機を含んでもよい。
【0028】
例示的な一実施形態では、プロセッサ114は、患者生体計測センサ112によって取得されたメモリ118内の患者生体計測データなどの患者データを記憶し、送受信機122の送信機を介して第1のネットワーク110上で患者データを通信するように構成され得る。1つ又は2つ以上の他の監視及び処理装置102からのデータはまた、以下により詳細に記載されるように、送受信機122の受信機によって受信されてもよい。
【0029】
例示的な一実施形態によれば、監視及び処理装置102は、例えば、タップ又はタッチなどのユーザー入力を受信するように構成された圧電センサ又は静電容量センサであり得るUIセンサ116を含む。例えば、UIセンサ116は、患者104が監視及び処理装置102の表面をタップ又はタッチすることに応答して、容量性連結を実装するように制御され得る。ジェスチャ認識は、抵抗容量性、表面容量性、投影容量性、表面弾性波、圧電及び赤外線タッチなどの、様々な容量型のうちのいずれか1つを介して実装することができる。静電容量センサは、表面のタップ又はタッチが監視デバイスを起動させるように、表面の小さい領域又は長さにわたって配置されてもよい。
【0030】
以下により詳細に記載されるように、プロセッサ114は、UIセンサ116であり得る静電容量センサ(例えば、シングルタップ又はダブルタップ)の異なるタッピングパターンに選択的に応答するように構成され得、その結果、パッチの異なるタスク(例えば、データの取得、記憶、又は送信)が、検出されたパターンに基づいて起動され得る。いくつかの実施形態では、ジェスチャが検出されると、可聴フィードバックが処理装置102からユーザーに与えられてもよい。
【0031】
例示的な一実施形態では、システム100のローカルコンピューティングデバイス106は、患者生体計測監視及び処理装置102と通信し、第2のネットワーク120を介して遠隔コンピューティングシステム108へのゲートウェイとして機能するように構成され得る。ローカルコンピューティングデバイス106は、例えば、第2のネットワーク120を介して他のデバイスと通信するように構成された、例えば、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレット、又は他のポータブルスマートデバイスであり得る。代替的に、ローカルコンピューティングデバイス106は、例えば、モデム及び/又はルータ能力を含む固定基地局、PCの無線モジュールを介して処理装置102と遠隔コンピューティングシステム108との間で情報を通信するための実行可能プログラムを使用するデスクトップコンピュータ又はラップトップコンピュータ、又はユニバーサルシリアルバス(USB)ドングルなどの、固定式又はスタンドアローンデバイスであり得る。患者の生体指標は、LAN(例えば、PAN)などの近距離無線ネットワーク110を介して、近距離無線技術規格(例えば、Bluetooth、Wi−Fi、ZigBee、Z−波、及び他の近距離無線規格)を使用して、ローカルコンピューティングデバイス106と患者生体計測監視及び処理装置102との間で通信され得る。いくつかの実施形態では、ローカルコンピューティングデバイス106はまた、以下により詳細に記載されるように、取得された患者電気信号及び取得された患者電気信号に関連する情報を表示するように構成されてもよい。
【0032】
いくつかの例示的な実施形態では、遠隔コンピューティングシステム108は、監視された患者の生体指標及び監視された患者に関連付けられた情報のうちの少なくとも一方を、長距離ネットワークである第2のネットワーク120を介して受信するように構成され得る。例えば、ローカルコンピューティングデバイス106が携帯電話である場合、第2のネットワーク120は、無線セルラーネットワークであってもよく、情報は、上述の無線技術のいずれかなどの無線技術規格を介してローカルコンピューティングデバイス106と遠隔コンピューティングシステム108との間で通信され得る。以下により詳細に記載されるように、遠隔コンピューティングシステム108は、患者の生体指標及び関連する情報のうちの少なくとも一方を医療専門家(例えば、医師)に提供する(例えば、視覚的に表示及び/又は聴覚的に提供する)ように構成されてもよい。
【0033】
図2は、第2のネットワーク120と通信するコンピューティング環境200の例のシステム図である。いくつかの例では、コンピューティング環境200は、パブリッククラウドコンピューティングプラットフォーム(Amazon Web Services又はMicrosoft Azureなど)、ハイブリッドクラウドコンピューティングプラットフォーム(HP Enterprise OneSphereなど)、又はプライベートクラウドコンピューティングプラットフォームに組み込まれる。
【0034】
図2に示されるように、コンピューティング環境200は、好ましくは、本明細書に記載される実施形態が実装され得るコンピューティングシステムの一実施例である遠隔コンピューティングシステム108を含む。
【0035】
遠隔コンピューティングシステム108は、1つ又は2つ以上のプロセッサを含み得るプロセッサ220を介して、様々な機能を実施し得る。例えば、機能は、監視された患者の生体指標及び関連する情報を分析することと、医師によって決定された又はアルゴリズム駆動された閾値及びパラメータに従って、警告、追加情報、又は命令を(例えば、ディスプレイ266を介して)提供することと、を含み得る。以下により詳細に記載されるように、遠隔コンピューティングシステム108は、医療従事者が他の患者よりも重大なニーズを有する患者を特定及び優先することを患者情報が可能にし得るように、かかる患者情報ダッシュボードを(例えば、ディスプレイ266を介して)医療従事者(例えば、医師)に提供するために使用され得る。
【0036】
図2に示されるように、遠隔コンピューティングシステム108は、バス221などの通信機構、又は遠隔コンピューティングシステム108内の情報を通信するための他の通信機構を含み得る。遠隔コンピューティングシステム108は、情報を処理するためにバス221と連結された1つ又は2つ以上のプロセッサ220を更に含む。プロセッサ220は、当該技術分野において既知の1つ又は2つ以上の中央演算処理装置(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、又は任意の他のプロセッサを含み得る。
【0037】
遠隔コンピューティングシステム108はまた、プロセッサ220によって実行される情報及び命令を記憶するためにバス221に連結されたシステムメモリ230を含み得る。システムメモリ230は、読み取り専用システムメモリ(ROM)231及び/又はランダムアクセスメモリ(RAM)232などの揮発性及び/又は不揮発性メモリの形態のコンピュータ可読記憶媒体を含み得る。システムメモリRAM232は、他の動的記憶デバイス(複数可)(例えば、ダイナミックRAM、スタティックRAM、及びシンクロナスDRAM)を含み得る。システムメモリROM231は、他の静的記憶デバイス(複数可)(例えば、プログラマブルROM、消去可能なPROM、及び電気的消去可能なPROM)を含み得る。加えて、システムメモリ230は、プロセッサ220による命令の実行中に一時変数又は他の中間情報を記憶するために使用され得る。基本入力/出力システム233(BIOS)は、システムメモリROM231に記憶され得る情報を、始動時などに、遠隔コンピューティングシステム108内の要素間で転送するルーチンを含み得る。RAM232は、プロセッサ220に即座にアクセス可能な及び/又は該プロセッサによって現在操作されているデータ及び/又はプログラムモジュールを含み得る。システムメモリ230は、例えば、オペレーティングシステム234、アプリケーションプログラム235、他のプログラムモジュール236、及びプログラムデータ237を更に含み得る。
【0038】
例示的な一実施形態では、遠隔コンピューティングシステム108はまた、磁気ハードディスク241及び取り外し可能な媒体ドライブ242(例えば、フロッピーディスクドライブ、コンパクトディスクドライブ、テープドライブ、及び/又はソリッドステートドライブ)などの、情報及び命令を記憶するための1つ又は2つ以上の記憶デバイスを制御するためにバス221に連結されたディスクコントローラ240を含む。記憶デバイスは、適切なデバイスインターフェース(例えば、小型コンピュータシステムインターフェース(SCSI)、統合デバイス電子機器(IDE)、USB、又はFireWire)を使用して、遠隔コンピューティングシステム108に追加され得る。
【0039】
遠隔コンピューティングシステム108はまた、コンピュータユーザーに情報を表示するための、陰極線管(CRT)又は液晶ディスプレイ(LCD)などのモニタ又はディスプレイ266を制御するためにバス221に連結されたディスプレイコントローラ265を含み得る。示される遠隔コンピューティングシステム108は、ユーザー入力インターフェース260と、コンピュータユーザーと対話し、プロセッサ220に情報を提供するための、キーボード262及びポインティングデバイス261などの1つ又は2つ以上の入力デバイスと、を含む。ポインティングデバイス261は、例えば、プロセッサ220に方向情報及びコマンド選択を通信し、ディスプレイ266上のカーソル移動を制御するためのマウス、トラックボール、又はポインティングスティックであり得る。ディスプレイ266は、ポインティングデバイス261及び/又はキーボード262による方向情報及びコマンド選択の通信を補完するか、又は置き換えることを可能にし得るタッチスクリーンインターフェースを提供し得る。
【0040】
遠隔コンピューティングシステム108は、システムメモリ230などのメモリに含まれる1つ又は2つ以上の命令の1つ又は2つ以上のシーケンスを実行するプロセッサ220に応答して、本明細書に記載される機能及び方法の一部分又は各々を実施し得る。そのような命令は、ハードディスク241又は取り外し可能な媒体ドライブ242などの別のコンピュータ可読媒体からシステムメモリ230に読み込まれ得る。ハードディスク241は、本明細書に記載される実施形態によって使用される1つ又は2つ以上のデータストア及びデータファイルを含み得る。データストアコンテンツ及びデータファイルは、セキュリティを改善するために暗号化されてもよい。プロセッサ220はまた、システムメモリ230に含まれる命令の1つ又は2つ以上のシーケンスを実行するために、マルチ処理構成で採用され得る。代替的な実施形態では、ハードワイヤード回路は、ソフトウェア命令の代わりに、又はソフトウェア命令と組み合わせて使用することができる。したがって、実施形態は、ハードウェア回路とソフトウェアとの任意の特定の組み合わせに限定されない。
【0041】
上述のように、遠隔コンピューティングシステム108は、本明細書に記載される実施形態に従ってプログラムされた命令を保持し、本明細書に記載されるデータ構造、テーブル、記録、又は他のデータを含むための、少なくとも1つのコンピュータ可読媒体又はメモリを含み得る。本明細書で使用するとき、用語「コンピュータ可読媒体」は、実行のためにプロセッサ220に命令を提供することに関与する、任意の非一時的な有形媒体を指す。コンピュータ可読媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、及び伝送媒体を含むがこれらに限定されない多くの形態をとることができる。不揮発性媒体の非限定的な実施例としては、光ディスク、ソリッドステートドライブ、磁気ディスク、及びハードディスク241又は取り外し可能な媒体ドライブ242などの光磁気ディスクが挙げられる。揮発性媒体の非限定的な実施例としては、システムメモリ230などの動的メモリが挙げられる。伝送媒体の非限定的な実施例としては、バス221を構成するワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線、及び光ファイバが挙げられる。伝送媒体はまた、電波及びIRデータ通信の間に生成されるものなどの音響波又は光波の形態もとり得る。
【0042】
コンピューティング環境200は、ローカルコンピューティングデバイス106への論理接続、及びパーソナルコンピュータ(ラップトップ又はデスクトップ)、モバイルデバイス(例えば、患者モバイルデバイス)、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ピアデバイス、又は他の共通ネットワークノードなどの1つ又は2つ以上の他のデバイスへの論理接続を使用して、ネットワーク化された環境内で動作する遠隔コンピューティングシステム108を更に含むことができ、典型的には、遠隔コンピューティングシステム108に対して上述した要素の多く又は全てを含む。ネットワーク環境で使用される場合、遠隔コンピューティングシステム108は、インターネットなどの第2のネットワーク120上で通信を確立するためのモデム272を含み得る。モデム272は、ネットワークインターフェース270を介して、又は別の適切な機構を介してシステムバス221に接続され得る。
【0043】
図1及び
図2に示されるような第2のネットワーク120は、インターネット、イントラネット、LAN、WAN、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、直接接続若しくは一連の接続、セルラー電話ネットワーク、又はコンピュータシステムと他のコンピュータ(例えば、ローカルコンピューティングデバイス106)との間の通信を容易にし得る任意の他のネットワーク若しくは媒体を含む、当該技術分野で一般的に知られている任意のネットワーク又はシステムであり得る。
【0044】
図3は、本開示の1つ又は2つ以上の特徴を実装することができる例示的なデバイス300のブロック図である。デバイス300は、例えば、ローカルコンピューティングデバイス106であり得る。デバイス300としては、例えば、コンピュータ、ゲーミングデバイス、ハンドヘルドデバイス、セットトップボックス、テレビ、携帯電話、又はタブレットコンピュータが挙げられ得る。デバイス300は、プロセッサ302と、メモリ304と、記憶デバイス306と、1つ又は2つ以上の入力デバイス308と、1つ又は2つ以上の出力デバイス310と、を含む。デバイス300はまた、任意選択的に、入力ドライバ312と、出力ドライバ314と、を含むことができる。デバイス300は、人工知能アクセラレータを含む、
図3に示されない追加の構成要素を含むことができることが理解される。
【0045】
様々な変形例では、プロセッサ302は、CPU、GPU、同じダイ上に位置付けられたCPU及びGPU、又は1つ又は2つ以上のプロセッサコアを含み、各プロセッサコアがCPU又はGPUであり得る。様々な変形例では、メモリ304は、プロセッサ302と同じダイ上に位置付けられるか、又はプロセッサ302とは別に位置付けられる。メモリ304としては、揮発性又は不揮発メモリ、例えば、RAM、ダイナミックRAM、又はキャッシュが挙げられる。
【0046】
記憶デバイス306としては、固定又は取り外し可能な記憶手段、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、光ディスク、又はフラッシュドライブが挙げられる。入力デバイス308としては、キーボード、キーパッド、タッチスクリーン、タッチパッド、検出器、マイクロフォン、加速度計、ジャイロスコープ、生体計測スキャナ、又はネットワーク接続(例えば、無線IEEE802信号の送信及び/又は受信ための無線LANカード)が挙げられるが、これらに限定されない。出力デバイス310としては、ディスプレイ、スピーカ、プリンタ、触覚フィードバックデバイス、1つ又は2つ以上のライト、アンテナ、又はネットワーク接続(例えば、無線IEEE802信号の送信及び/又は受信ための無線LANカード)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
入力ドライバ312は、プロセッサ302及び入力デバイス308と通信し、プロセッサ302が入力デバイス308からの入力を受信することを可能にする。出力ドライバ314は、プロセッサ302及び出力デバイス310と通信し、プロセッサ302が出力デバイス310に出力を送信することを可能にする。入力ドライバ312及び出力ドライバ314は、任意選択の構成要素であること、並びに入力ドライバ312及び出力ドライバ314が存在しない場合は、デバイス300が同じ様態で動作することに留意されたい。出力ドライバ314は、ディスプレイデバイス318に連結された、アクセラレーテッド処理デバイス(APD)316を含み得る。APDは、プロセッサ302から計算コマンド及びグラフィックスレンダリングコマンドを受け入れ、これらの計算コマンド及びグラフィックスレンダリングコマンドを処理し、表示のためのディスプレイデバイス318にピクセル出力を提供する。以下に更に詳細に記載されるように、APD316は、単一命令多重データ(SIMD)パラダイムに従って計算を実施するために、1つ又は2つ以上の並列処理ユニットを含む。したがって、様々な機能が、APD316によって、又はそれと連動して実施されるように本明細書に記載されているが、様々な変形例では、APD316によって実施されるように説明される機能は、追加的に又は代替的に、ホストプロセッサ(例えば、プロセッサ302)によって駆動されず、かつグラフィカル出力をディスプレイデバイス318に提供する同様の能力を有する他のコンピューティングデバイスによって実施される。例えば、SIMDパラダイムに従って処理タスクを実施する任意の演算処理システムが本明細書に記載された機能を実施し得ることが想到される。代替的に、SIMD方法に従って処理タスクを実施しないコンピューティングシステムが、本明細書に記載された機能を実施することが想到される。
【0048】
図4は、
図3の例示的なデバイスを組み込んだ人工知能システム400の機能的グラフィカル描写を示す。システム400は、データ410と、マシン420と、モデル430と、複数の予測結果440と、下層のハードウェア450と、を含む。システム400は、複数の結果440を予測できるようにするモデル430を構築しながら、データ410を使用してマシン420を訓練することによって動作する。システム400が、ハードウェア450に対して動作してもよい。そのような構成では、データ410は、ハードウェア450に関連し得、例えば、監視及び処理装置102に由来し得る。例えば、データ410は、進行中のデータ又はハードウェア450に関連する出力データであり得る。マシン420は、ハードウェア450と関連付けられたコントローラ又はデータ収集として動作し得るか、又はそれと関連付けられ得る。モデル430は、ハードウェア450によって達成される結果を予測するために、ハードウェア450の動作をモデル化するとともに、ハードウェア450から収集されたデータ410をモデル化するように構成され得る。ハードウェア450は、予測結果440を使用して、ハードウェア450から特定の所望の結果440を提供するように構成され得る。
【0049】
図5は、
図4の人工知能システムで実施される一般的な方法500を示す。方法500は、510で、ハードウェアからデータを収集することを含む。このデータは、ハードウェア又はその様々な組み合わせから現在収集されている履歴データ又は他のデータを含み得る。例えば、このデータは、外科的処置中の測定を含んでもよく、処置の結果と関連付けることができる。例えば、心臓の温度を収集し、心臓処置の結果と相関させることができる。
【0050】
520で、方法500は、ハードウェア上でマシンを訓練することを含む。訓練は、510で収集したデータの分析及び相関を含み得る。例えば、心臓の場合、温度及び結果のデータを、処置中の心臓の温度と結果との間に相関又は関連が存在するか否かを判定するように訓練され得る。
【0051】
530で、方法500は、ハードウェアと関連付けられたデータに関するモデルを構築することを含む。モデルの構築が、以下に説明するように、物理的ハードウェア又はソフトウェアモデリング、アルゴリズムモデリングなどを含んでもよい。このモデリングが、収集され訓練されたデータを表現することを目指してもよい。
【0052】
540で、方法500は、ハードウェアと関連付けられたモデルの結果を予測することを含む。この結果の予測が、訓練されたモデルに基づいてもよい。例えば、心臓の場合、処置中に97.7°F〜100.2°Fの温度が、処置から肯定的な結果をもたらし、所与の処置において、処置中の心臓の温度に基づいて結果を予測することができる。このモデルは、初歩的なものであるが、本発明の理解を深めるために例示的な目的で提供されている。
【0053】
本システム及び方法は、マシンを訓練し、モデルを構築し、アルゴリズムを使用して結果を予測するように動作する。これらのアルゴリズムを使用して、訓練されたモデルを解き、ハードウェアに関連する結果を予測してもよい。これらのアルゴリズムは、一般に分類アルゴリズム、回帰アルゴリズム及びクラスタリングアルゴリズムに区分することができる。
【0054】
例えば、分類アルゴリズムは、予測される変数である従属変数が複数のクラスに分割され、所与の入力に対して1つのクラス、すなわち従属変数を予測する状況で使用される。したがって、分類アルゴリズムは、結果を所定数の一定の事前定義された結果から予測するために使用される。分類アルゴリズムとしては、単純ベイズアルゴリズム、決定木、ランダムフォレスト分類器、ロジスティック回帰、サポートベクターマシン(SVM)、及びK近傍法(KNN)が挙げられ得る。
【0055】
一般的に、単純ベイズアルゴリズムは、ベイズ定理に従い、確率論的アプローチに従う。他の確率論に基づくアルゴリズムも使用可能であり、一般に、例示的な単純ベイズアルゴリズムについて以下に説明するものと同様の確率論の原理を使用して動作することが理解されよう。
【0056】
図6は、単純ベイズ計算の確率の例を示す。ベイズ定理の確率アプローチは、本質的には、データに直接ジャンプする代わりに、アルゴリズムがターゲットのクラスごとに一組の事前確率を有することを意味する。データが入力された後、単純ベイズアルゴリズムは、事前確率を更新して事後確率を形成してもよい。これは、以下の式:
【0058】
この単純ベイズアルゴリズム及びベイズアルゴリズムは、一般に、入力がn個のクラスの所与のリストに属しているか否かを予測する必要がある場合に有用であり得る。n個全てのクラスの確率は非常に低いため、確率論的アプローチを使用することができる。
【0059】
例えば、
図6に示すように、ゴルフをプレーする人は、第1のデータセット610に示されている外の天気が挙げられるが、これに限定されない、要因に依存する。第1のデータセット610は、第1の列に天気を示し、第2の列にその天気に関連するプレーの結果を示す。頻度テーブル620では、特定の事象が発生する頻度が生成される。頻度テーブル620では、ある人が各気象条件においてゴルフをプレーするか又はプレーしない頻度が求められる。そこから、尤度テーブルがコンパイルされ、初期確率が生成される。例えば、天気が曇りである確率は0.29だが、プレーの一般的な確率は0.64である。
【0060】
事後確率が、尤度テーブル630から生成されてもよい。これらの事後確率を、気象条件及びゴルフがそれらの気象条件でプレーされるか否かについての質問に答えるように構成してもよい。例えば、外が晴れであり、かつゴルフがプレーされる確率は、ベイズ式:
P(はい|晴れ)=P(晴れ|はい)×P(はい)/P(晴れ)
によって表されてもよい。
尤度テーブル630によると、
P(晴れ|はい)=3/9=0.33、
P(晴れ)=5/14=0.36、
P(はい)=9/14=0.64
である。
したがって、P(はい|晴れ)=.33×.64/.36又は約0.60(60%)である。
【0061】
一般に、決定木はフローチャートに似たツリー構造であり、各外部ノードは属性のテストを示し、各ブランチはそのテストの結果を表す。リーフノードは、実際の予測ラベルを含む。決定木は、ツリーのルートから始まり、リーフノードに到達するまで属性値が比較される。決定木は、高次元のデータを処理する場合や、データの準備に費やされた時間がほとんどない場合に、分類器として使用することができる。決定木は、単純決定木、線形決定木、代数決定木、確定的決定木、ランダム化決定木、非確定的決定木及び量子決定木の形態をとることができる。例示的な決定木を、以下に
図7で示す。
【0062】
図7は、ゴルフをプレーするか否かを決定する際の、上記のベイズの例と同じ構造に沿った決定木700を示す。決定木において、第1のノード710は、決定木を下に進むための選択肢として、天気が晴れ712、曇り714、及び雨716である場合を調べる。天気が晴れである場合、木の枝は、気温を調べる第2のノード720に続く。この例では、ノード720の気温は、高722又は正常724であり得る。ノード720で気温が高722である場合、ゴルフ「いいえ」723の予測結果が発生する。ノード720で気温が正常724である場合、ゴルフ「はい」725の予測結果が発生する。
【0063】
更に、第1のノード710から、天気が曇り714である場合、ゴルフ「はい」715の予測結果が生じる。
【0064】
第1のノード710から、雨716の結果として、(再び)第3のノード730が温度を調べる。第3のノード730で気温が正常732である場合、ゴルフをプレーする「はい」733となる。第3のノード730で気温が低734である場合、ゴルフをプレーしない「いいえ」735となる。
【0065】
この決定木から、あるゴルファーは曇天715の場合、正常の気温の晴天725の場合、及び正常の気温の雨天733の場合はゴルフをプレーするが、このゴルファーは晴天の高温723又は降雨の低温735の場合はプレーしない。
【0066】
ランダムフォレスト分類器は、決定木のコミッティーであり、各決定木は、データの属性のサブセットを与えられ、そのサブセットに基づいて予測する。決定木の実際の予測値のモードが考慮され、最終的なランダムフォレストの回答が提供される。ランダムフォレスト分類器は一般に、スタンドアロンの決定木に存在する過剰適合を軽減することで、より堅牢で正確な分類器となっている。
【0067】
図8は、衣服の色を分類するための例示的なランダムフォレスト分類器800を示す。
図8に示されるように、ランダムフォレスト分類器800は、5つの決定木810a、810b、810c、810d、及び810e(集合的に又は概略的に決定木810と呼ばれる)を含む。各々の木は、衣服の色を分類するように設計されている。個々の木は概ね
図7の決定木として動作するので、木及び決定の各々については説明しない。この図では、5つの木のうち3つ(810a、810b、810d)は、衣服が青色であると判断し、1つは、衣服が緑色(810c)であると判断し、残りの木は、衣服が赤色(810e)であると判断する。ランダムフォレストは、5つの木のこれらの実際の予測値を受け取り、実際の予測値のモードを計算して、衣服が青色であるというランダムフォレストの回答を提供する。
【0068】
ロジスティック回帰は、バイナリ分類タスクの別のアルゴリズムである。ロジスティック回帰は、シグモイド関数とも呼ばれるロジスティック関数に基づいている。このS字曲線は、任意の実数値を取り、これを0と1との間でマッピングして、漸近的にこれらの限界に近づくことができる。ロジスティックモデルは、合格/不合格、勝ち/負け、生存/死亡又は健康/病気など、特定のクラス又は事象が存在する確率をモデル化するために使用することができる。これを、画像に猫、犬、ライオンなどが含まれているかどうかの判断など、いくつかのクラスのイベントをモデル化するように拡張してもよい。画像で検出される各オブジェクトには、0と1との間の確率が割り当てられるが、これらの確率の合計は1となる。
【0069】
ロジスティックモデルでは、「1」とラベル付けされた値の対数オッズ(オッズの対数)は、1つ又は2つ以上の独立変数(「予測子」)の線形結合であり、独立変数は各々、バイナリ変数(インジケータ変数でコード化された2つのクラス)又は連続変数(任意の実数値)であり得る。「1」とラベル付けされた値の対応する確率は、0(確実に「0」の値)と1(確実に「1」の値)との間で変化する可能性があることから、このようにラベル付けされ、ロジスティック関数は、対数オッズを確率に変換する関数であることから、このように称される。対数オッズスケールの測定単位は、ロジスティック単位の別名であるロジットと呼ばれる。プロビットモデルなどの、ロジスティック関数の代わりにシグモイド関数が異なる類似のモデルも使用することができる。ロジスティックモデルの特徴は、独立変数のうちの1つを増加させると、与えられた結果のオッズが一定の割合で乗法的にスケーリングされ、各独立変数がそれ自体のパラメータを有することである。バイナリ従属変数の場合、これはオッズ比を一般化する。
【0070】
バイナリロジスティック回帰モデルでは、従属変数には2つのレベル(カテゴリ)がある。3つ以上の値を持つ出力は、多項ロジスティック回帰によってモデル化され、複数のカテゴリが順序付けられている場合は、順序ロジスティック回帰(例えば、比例オッズ順序ロジスティックモデル)によってモデル化される。ロジスティック回帰モデル自体は、出力の確率を入力に関して単純にモデル化し、統計的分類を実施しない(分類器ではない)が、例えば、カットオフ値を選択し、確率がカットオフよりも大きい入力を1つのクラスとして、確率がカットオフ未満である入力を他のクラスとして分類することにより、分類器の作製に使用することができる。これは、バイナリ分類器を作成する一般的な方法である。
【0071】
図9は、例示的なロジスティック回帰900を示す。この例示的なロジスティック回帰は、変数のセットに基づいた結果の予測を可能にする。例えば、個人の成績点平均に基づいて、学校に受け入れられる結果が予測され得る。成績点平均の過去の履歴と合格との関係により、予測を行うことができる。ロジスティック回帰900は、成績点平均変数920の分析が、0〜1によって定義される結果910を予測することを可能にする。S字曲線の下端930では、成績点平均920は、受け入れられないという結果910を予測する。S字曲線の上端940では、成績点平均920は、受け入れられるという結果910を予測する。ロジスティック回帰を使用して、住宅価値、保険セクタの顧客生涯価値などを予測することができる。
【0072】
SVMを使用して、2つのクラス間のマージンを可能な限り離してデータが並べ替えられ得る。これは、マージン最大化分離と呼ばれる。SVMは、その目的のためにデータセット全体を使用する線形回帰とは異なり、超平面をプロットしながらサポートベクターを考慮することが可能である。
【0073】
図10は、例示的なSVM1000を示す。例示的なSVM1000では、データは、正方形1010及び三角形1020として表される2つの異なるクラスに分類され得る。SVM1000は、ランダムな超平面1030を描画することによって動作する。この超平面1030は、超平面1030と各クラスからの最も近いデータポイント1050との間の距離(線1040で示される)を比較することによって監視される。超平面1030に最も近いデータポイント1050は、サポートベクターとして知られている。超平面1030は、これらのサポートベクター1050に基づいて描かれ、最適な超平面は、各サポートベクター1050からの最大距離を有する。超平面1030とサポートベクター1050との間の距離は、マージンとして知られている。
【0074】
SVM1000は、超平面1030とサポートベクター1050との間の距離が最大になるように超平面1030を使用することによって、データ分類に使用され得る。このようなSVM1000は、例えば心臓疾患を予測するために使用され得る。
【0075】
KNNは、一般に基本的なデータ分散を想定しておらず、合理的に短い訓練フェーズを実施する一連のアルゴリズムを指す。一般に、KNNは複数のクラスに分割された多数のデータポイントを使用して、新しいサンプルポイントの分類を予測する。運用上、KNNは新しいサンプルで整数Nを指定する。新しいサンプルに最も近いシステムのモデル内のN個のエントリが選択される。これらのエントリの最も一般的な分類が決定され、その分類が新しいサンプルに割り当てられる。KNNは一般に、訓練セットが増加するにつれて記憶空間を増加させる必要がある。これは、推定時間が訓練ポイントの数に比例して増加することも意味する。
【0076】
回帰アルゴリズムでは、出力は連続量であるため、目標変数が連続的な変数である場合に回帰アルゴリズムを使用することができる。線形回帰は、回帰アルゴリズムの一般的な例である。線形回帰は、一貫した変数を考慮して、真の品質(住宅コスト、コール回数、全ての取引など)を測定するために使用可能である。変数と結果との間の関係が、最適な線を当てはめることによって求められる(このことから線形回帰と呼ばれる)。この最適線は回帰線として知られ、直接条件Y=a×X+bで表される。線形回帰は、次元数が少ないアプローチで最もよく使用される。
【0077】
図11は、例示的な線形回帰モデル1100を示す。このモデルでは、予測変数1110が測定変数1120に対してモデル化される。予測変数1110及び測定変数1120のインスタンスのクラスタは、データポイント1130としてプロットされている。次に、データポイント1130は、最適線1140に当てはめられる。次に、後続の予測で最適線1140を使用するが、測定変数1120が与えられている場合、線1140を使用して予測変数1110を予測する。線形回帰を使用して、金融ポートフォリオ、給与予測、不動産、及び交通機関の到着予定時刻がモデル化及び予測され得る。
【0078】
クラスタリングアルゴリズムを、データセットのモデル化及び訓練に使用してもよい。クラスタリングでは、入力は、特徴の類似性に基づいて2つ又は3つ以上のクラスタに割り当てられる。クラスタリングアルゴリズムは、一般に、ガイダンスなしでデータからパターン及び有用な洞察を学習する。例えば、K平均クラスタリングなどの教師なし学習アルゴリズムを使用して、興味、年齢、地理などに基づいたビューアの類似のグループへのクラスタリングが実施され得る。
【0079】
K平均クラスタリングは、一般に、単純な教師なし学習アプローチとみなされる。K平均クラスタリングでは、類似のデータポイントがひとまとめにされ、クラスタの形態でバインドされ得る。データポイントを一緒にバインドする方法の1つは、データポイント群の重心を計算することによって行われる。K平均クラスタリングにおける効率的なクラスタを決定する際に、クラスタの重心からの各ポイントの間の距離が評価される。データポイントと重心との間の距離に応じて、データは最も近いクラスタに割り当てられる。クラスタリングの目的は、一連のラベルなしデータの固有のグループ化を決定することである。K平均における「K」は、形成されたクラスタの数を表す。クラスタの数(基本的には、データの新しいインスタンスが分類され得るクラスの数)は、ユーザーが決定することができる。この決定は、例えば、フィードバックを使用し、訓練中にクラスタのサイズを見ることで行うことができる。
【0080】
K平均は、データセットが独特で十分に分離しているポイントを有する場合に使用され、別様には、クラスタが分離していない場合、モデリングによってクラスタが不正確になり得る。追加的に、データセットに多数の外れ値が含まれている場合、又はデータセットが非線形である場合には、K平均が回避され得る。
【0081】
図12は、K平均クラスタリングを示す。K平均クラスタリングでは、データポイントがプロットされ、K値が割り当てられる。例えば、
図12のK=2の場合、データポイントは、描写1210に示されるようにプロットされる。次に、1220で、ポイントが同様の中心に割り当てられる。クラスタの重心が、1230に示すように特定される。重心が特定されると、1240に示すように、データポイントと各クラスタの重心との間の距離が最小となるようにポイントがクラスタに再割り当てされる。次に、クラスタの新しい重心を描写1250に示すように決定することができる。データポイントがクラスタに再割り当てされると、クラスタの新しい重心が形成され、反復又は一連の反復が生じて、クラスタのサイズを最小化させ、最適な重心を決定することを可能にし得る。次に、新しいデータポイントが測定されると、その新しいデータポイントが重心及びクラスタと比較され、そのクラスタで特定され得る。
【0082】
アンサンブル学習アルゴリズムを使用してもよい。これらのアルゴリズムは、複数の学習アルゴリズムを使用して、構成要素である学習アルゴリズムのいずれかのみから得られるよりも優れた予測パフォーマンスを実現する。アンサンブル学習アルゴリズムは、仮説空間を検索するタスクを実施して、特定の問題について良好な予測を行うのに好適な仮説を見つける。仮説空間に特定の問題に非常に適した仮説が含まれている場合でも、良好な仮説を見つけるのは非常に難しい場合がある。アンサンブルアルゴリズムは、複数の仮説を組み合わせてより良い仮説を形成する。アンサンブルという用語は通常、同じ基本学習器を使用して複数の仮説を生成する方法で用いられる。複数分類器システムのより広い概念は、同じ基本学習器によって誘導されない仮説のハイブリダイゼーション(hybridization of hypotheses)も網羅する。
【0083】
アンサンブルの予測を評価するには、典型的に、単一のモデルの予測を評価するよりも多くの計算が必要になるため、アンサンブルは、多くの余分な計算を実施することにより、貧弱な学習アルゴリズムを補う方法と考えることができる。決定木などの高速アルゴリズムは、一般にはランダムフォレストなどのアンサンブル法で使用されているが、より低速のアルゴリズムでもアンサンブル法の恩恵を受け得る。
【0084】
アンサンブルは、訓練後に使用して予測を行うことができるため、それ自体が監視付き学習アルゴリズムである。したがって、訓練されたアンサンブルは、単一の仮説を表す。ただし、この仮説は、それが構築されたモデルの仮説空間内に含まれているとは限らない。したがって、アンサンブルは、それらが表すことができる関数により多くの柔軟性を有することができる。この柔軟性により、理論的には、単一のモデルよりも訓練データを過剰適合させることができるが、実際には、一部のアンサンブル法(特にバギング)は、訓練データの過剰適合に関連する問題を軽減する傾向がある。
【0085】
経験的に、モデル間にかなりの多様性がある場合、アンサンブルアルゴリズムはより良い結果をもたらす傾向がある。したがって、多くのアンサンブル法は、それらが組み合わせるモデル間の多様性を促進することを目指している。直感的ではないが、(エントロピ削減決定木などの)非常に慎重なアルゴリズムよりも強力なアンサンブルを生成するために、(ランダム決定木などの)よりランダムなアルゴリズムを使用することができる。ただし、様々な強力な学習アルゴリズムの使用は、多様性を促進するためにモデルを簡略化しようとする手法を使用するよりも効果的であることが示されている。
【0086】
アンサンブルの構成要素分類器の数は、予測の精度に大きな影響を与える。このことは、オンラインのアンサンブル分類器の場合、アンサンブルのサイズとビッグデータストリームの量及び速度とを先験的に決定するために、更に重要となる。理論上のフレームワークは、理想的な数の構成要素分類器がアンサンブルに存在し、分類器がこの数より多いか又は少ないと精度が低下することを示唆している。理論上のフレームワークは、クラスラベルと同じ数の独立した構成要素分類器を使用すると、最も高い精度が得られることを示している。
【0087】
アンサンブルのいくつかの一般的なタイプには、ベイズ最適分類器、ブートストラップ集約(バギング)、ブースティング、ベイズモデル平均化、ベイズモデルの組み合わせ、モデルのバケット及びスタッキングが含まれる。
図13は、バギングが並行して実施されており(1310)、ブースティングが順次に実施されている(1320)例示的なアンサンブル学習アルゴリズム1300を示す。
【0088】
バギング中に、置き換えによって、複数のサブセットが元のデータセットから作成される。ベースモデルは、サブセットの各々に作成される。ベースモデルは、並行して走らせること、及び互いに独立させることができる。全てのベースモデルからの予測を組み合わせることによって、最終予測が決定され得る。バギングは、モデルのばらつきを低減させるための効率的な方法であり得る。
【0089】
一方で、ブースティングは、反復プロセスであり、後続の各モデルが、以前のモデルのエラーを訂正しようとする。後継のモデルは、以前のモデルに依存する。第1に、元のデータセットからサブセットが作成され得る。最初に、全てのデータポイントに等しい重みが与えられる。次に、このサブセット上にベースモデルを作成する。次に、このモデルを使用して、データセット全体の予測を行う。エラーは、実際値及び予測値を使用して計算される。誤って予測された観測に、より高い重みが与えられる。次に、第2のモデルを作成し、データセットの予測を行う。第2のモデルは、第1のモデルからのエラーを修正しようとする。次に、後続のモデルを作成し、各々が、以前のモデルのエラーを修正する。最終モデル(すなわち、強い学習器)は、全ての以前のモデル(すなわち、弱い学習器)の加重平均である。したがって、ブースティングを使用して、いくつかの弱い学習器を組み合わせて強い学習器が形成され得る。
【0090】
ニューラルネットワークは、ニューロンのネットワーク若しくは回路、又は現代的な意味では、人工ニューロン若しくはノードで構成される人工ニューラルネットワーク(ANN)である。生物学的ニューロンのつながりが、重みとしてモデル化される。正の重みは興奮性のつながりを反映し、負の値は抑制性のつながりを意味する。入力は重みで修正され、線形結合を使用して合計される。活性化関数が、出力の振幅を制御することができる。例えば、出力の許容範囲は通常0〜1であるが、−1〜1の場合もある。
【0091】
これらの人工ネットワークは、予測モデリング、適応制御及びアプリケーションに使用でき、データセットを介して訓練することができる。経験から生じる自己学習がネットワーク内で発生する可能性があり、複雑で一見無関係な一組の情報から結論を導き出すことができる。
【0092】
完全を期すために、生物学的ニューラルネットワークは、化学的に結合されたニューロン又は機能的に関連付けられたニューロンのグループから構成される。1つのニューロンが他の多くのニューロンに結合されていてもよく、ネットワーク内のニューロン及び接続の総数が広範囲にわたってもよい。シナプスと呼ばれる結合は、通常、軸索から樹状突起へと形成されるが、樹状突起間シナプス及び他の結合も可能である。電気的な信号伝達とは別に、神経伝達物質の拡散から生じる他の信号伝達形態がある。
【0093】
人工知能、認知モデリング及びニューラルネットワークは、生物学的神経システムのデータ処理方法に着想を得た情報処理パラダイムである。人工知能及び認知モデリングは、生物学的ニューラルネットワークのいくつかの特性をシミュレートしようとする。人工知能分野では、ANNが音声認識、画像分析、及び適応制御にうまく適用されて、(コンピュータゲーム及びビデオゲームにおける)ソフトウェアエージェント又は自律ロボットが構築されている。
【0094】
ニューラルネットワークは、ANN又はシミュレートニューラルネットワーク(SNN)の場合、計算への接続論的アプローチに基づいた情報処理のために数学的モデル又は計算モデルを使用する、相互接続された天然ニューロン又は人工ニューロンのグループである。ほとんどの場合、ANNは、ネットワークを通って流れる外部情報又は内部情報に基づいてその構造を変更する適応型システムである。より実際的には、ニューラルネットワークは非線形の統計データモデリングツール又は意思決定ツールである。これらを、入力と出力の間の複雑な関係をモデル化するため及びデータのパターンを見つけるために使用することができる。
【0095】
ANNは、処理要素と要素パラメータとの間の接続によって決定される複雑でグローバルな挙動を示すことができる単純な処理要素(人工ニューロン)のネットワークを含む。
【0096】
1つの古典的なタイプの人工ニューラルネットワークは、再帰型ホップフィールドネットワークである。ANNモデルの有用性は、該ANNモデルを使用して観測から関数を推定し、更には関数を使用することもできるという事実にある。教師なしニューラルネットワークは、入力分布の顕著な特徴をキャプチャする入力の表現の学習や、最近では、観測データの分布関数を暗黙的に学習できるディープラーニングアルゴリズムにも使用できる。ニューラルネットワークでの学習は、データやタスクの複雑さのためにそのような関数の設計を手作業では行えない用途において特に有用である。
【0097】
ニューラルネットワークは、様々な分野で使用可能である。ANNが適用されるタスクは、関数近似、又は時系列予測及びモデリングを含む回帰分析、パターン及び配列認識、新規性の検出及び逐次的な意思決定を含む分類、フィルタリング、クラスタリング、ブラインド信号分離及び圧縮を含むデータ処理、を含む広いカテゴリにわたる傾向がある。
【0098】
ANNの適用領域には、非線形システムの識別及び制御(車両制御、プロセス制御)、ゲームのプレー及び意思決定(バックギャモン、チェス、レース)、パターン認識(レーダーシステム、顔識別、オブジェクト認識)、シーケンス認識(ジェスチャ、スピーチ、手書きテキスト認識)、医療診断、金融アプリケーション、データマイニング(又はデータベースでの知識発見、すなわち「KDD」)、視覚化並びに電子メールスパムフィルタリングが含まれる。例えば、オブジェクト認識のために訓練された写真から生じるユーザーの興味のセマンティックプロファイルを作成することが可能である。
【0099】
図14は、例示的なニューラルネットワーク1400を示す。ニューラルネットワーク1400には、1410a及び1410bなどの複数の入力で表される入力層がある。入力1410a、1410bは、ノード1420a、1420b、1420c、1420dを含むように示される隠れ層に提供される。これらのノード1420a、1420b、1420c、1420dを組み合わせて、出力層の出力1430を生成する。ニューラルネットワークは、単純な処理要素であるノード1420a、1420b、1420c、1420dの隠れ層を介して単純な処理を実施し、これらのノードは、処理要素と要素パラメータとの間の接続によって決定される複雑でグローバルな挙動を呈することができる。
【0100】
ニューラルネットワーク1400は、ハードウェアに実装され得る。
図15には、ハードウェアベースのニューラルネットワーク1500が示されている。例示的な一実施形態では、限定されないが、ハードウェアベースのニューラルネットワーク1500は、好ましくは重み、バイアス、方向などを含むRAM1510と、マルチプレクサー1520と、有限状態マシン(FSM)制御ユニット1530と、オペランドセレクタ1540と、論理演算ユニット1560と、乗算器ユニット1570と、を含む。入力1580は、ニューラルネットワーク1500に提供され、ニューラルネットワーク1500は、出力1550を生成する。例えば、
図15に示される実施形態では、入力1580は、マルチプレクサー1520に提供され、マルチプレクサーは、選択された入力をマルチプレクサーユニット1570に転送する。RAM1510からの重み、バイアス、方向などもまた、マルチプレクサーユニット1570に転送される。マルチプレクサーユニット1570は、重み、バイアス、方向などを、選択された入力に適用し、この結果を論理演算ユニット1560に転送する。オペランドセレクタ1540は、乗算されているオペランドの数を追跡するように構成される。FSM制御ユニット1530からの情報はまた、論理演算ユニット1560にも転送される。ニューロンブロックの動作全体は、FSM制御ユニット1530を使用して制御される。論理演算ユニット1560は、1つ又は2つ以上の算術演算を実施し、出力1550を生成する。
【0101】
心不整脈などの心臓状態のための処理は、しばしば、心臓組織、心腔、静脈、動脈、及び/又は電気経路の詳細なマッピングを得ることが必要である。このようなマッピングは、心室内に導入されたマッピングカテーテルによって空間分解された電位が検出される、EP調査を介して行うことができる。したがって、このEP調査、いわゆる電子解剖学的(EA)マッピングは、モニタ上に表示することができる3Dマッピングデータを提供する。多くの場合、マッピング機能及び処理機能(例えば、アブレーション)は、マッピングカテーテルが同時に処理(例えば、アブレーション)カテーテルとしても動作するように、単一のカテーテル又は一群のカテーテルによって提供される。
【0102】
心臓マッピングは、1つ又は2つ以上の技術を使用して実装され得る。第1の技術の一例として、心臓マッピングは、心臓内の正確な場所の関数として、心臓組織の電気的特性を検知すること、例えば局所活性化時間(LAT)によって実装され得る。対応するデータは、遠位先端部に電気及び位置センサを有するカテーテルを使用して、心臓の中へと前進される1つ又は2つ以上のカテーテルで取得され得る。一例として、位置及び電気活動は、最初に、心臓の内面上の約10〜約20個のポイントで測定され得る。これらのデータポイントは、一般に、心臓表面の予備復元又はマップを満足な品質に生成するのに十分であり得る。予備マップは、心臓の電気活動の更に包括的なマップを生成するために、追加のポイントで取られたデータと組み合わせられ得る。臨床的な状況において、100以上の部位におけるデータを集積して、心腔の電気活動の詳細な包括的マップを生成することも珍しいことではない。その後、生成された詳細なマップは、心臓の電気活動の伝播を改変させ正常な心調律を回復させるための治療上の行動指針、例えば、組織のアブレーションに関する決定を下すための基準となり得る。
【0103】
位置センサを収容するカテーテルを使用して、心臓表面の各点の軌跡を判定し得る。これらの軌跡を使用して、組織の収縮力などの運動特性を推測することができる。このような運動特性を示すマップは、軌跡情報が心臓内の十分な数のポイントでサンプリングされるときに構築され得る。
【0104】
心臓内のあるポイントにおける電気活動は、典型的に、遠位先端又はその近くに電気センサを含むカテーテルを、心臓内のそのポイントまで前進させ、組織をセンサと接触させ、そのポイントでのデータを取得することによって測定される。多極電極カテーテルは、多重電極を有する線形カテーテル、多重電極を有するバルーン、ラッソ、若しくはループカテーテルを成形する複数の棘上に分散させた電極を含むバルーンカテーテル、又は任意の他の適用可能な形状などの、任意の適用可能な形状を使用して実装され得る。
【0105】
一例によれば、多電極カテーテルは、心腔の中へ前進され得る。電極の各々の位置及び配向を確立するために、前後方向(AP)及び横方向の蛍光図が得られ得る。電位図は、体表面ECGからの洞調律におけるP波の発生などの一時的な基準に対して、心臓表面と接触する電極の各々から記録され得る。本明細書に更に開示するようなシステムは、電気活動を記録する電極と、心内膜壁に近接していないため記録しない電極と、を区別し得る。最初のEGMが記録された後に、カテーテルは再位置決めされ得、蛍光図及びEGMが再び記録され得る。次に、上記のプロセスの反復によって電気マップが構築され得る。
【0106】
一例によれば、心臓マッピングは、心臓内電位場の検出に基づいて生成され得る。大量の心臓電気的情報を同時に取得するために、非接触技術が実装され得る。例えば、遠位端部分を有するカテーテルは、その表面にわたって分配され、信号の検知及び処理手段に接続するための絶縁電気伝導体に接続される、一連のセンサ電極を備え得る。端部分のサイズ及び形状は、電極が心室の壁から大幅に離間される程度であり得る。心臓内電位場は、単一の心臓鼓動中に検出され得る。一例によれば、センサ電極は、互いに離間された平面内に位置する一連の円周上に分配され得る。これらの平面は、カテーテルの端部分の主軸に対して垂直であり得る。少なくとも2つの追加の電極が、端部分の主軸の端部に隣接して提供され得る。より具体的な一例として、カテーテルは、各円周上に等角度的に離間された8個の電極を有する4つの円周を含み得る。したがって、この具体的な実装形態では、カテーテルは、少なくとも34個の電極(円周方向に32個及び端部に2個の電極)を含み得る。
【0107】
別の例によれば、非接触かつ非拡張の多電極カテーテルに基づくEP心臓マッピングシステム及び技術が実装され得る。EGMは、多極電極(例えば、42〜122個の電極)を有するカテーテルによって得られ得る。この実装形態によれば、プローブ及び心内膜の相対的な幾何学形状の知識は、経食道心エコー検査法などの独立した撮像モダリティなどによって得ることができる。独立した撮像の後、非接触電極を使用して、心臓表面電位を測定し、そこからマップが構築され得る。この技術は、(独立した撮像ステップの後に)以下のステップ、すなわち、(a)心臓内に位置決めされたプローブに配置した複数の電極によって電位を測定するステップと、(b)プローブ表面及び心内膜表面の幾何学的な関係を決定するステップと、(c)プローブ表面及び心内膜表面の幾何学的な関係を表す係数のマトリックスを生成するステップと、(d)電極電位及び係数のマトリックスに基づいて、心内膜電位を決定するステップと、を含むことができる。
【0108】
別の例によれば、心腔の電位分布をマッピングするための技術及び装置が実装され得る。心臓内(IC)多電極マッピングカテーテル組立体が、患者の心臓に挿入され得る。このマッピングカテーテル組立体は、一体的な基準電極、又は好ましくは随伴基準カテーテルを有する多電極アレイを含み得る。電極は、実質的に球面アレイの形態で展開され得る。電極アレイは、基準電極によって、又は心内膜表面と接触する基準カテーテルによって、心内膜表面上のポイントを空間的に参照することができる。好適な電極アレイカテーテルは、いくつかの個々の電極部位(例えば、少なくとも24箇所)を担持し得る。追加的に、この例示的な技術は、アレイ上の電極部位の各々の位置の知識、並びに心臓の幾何学形状の知識によって実装され得る。これらの位置は、好ましくはインピーダンスプレチスモグラフィの技術によって決定される。
【0109】
別の例によれば、心腔の電気生理学的データを測定するためのプロセスが実装され得る。この方法は、部分的に、一組の能動電極及び受動電極を心臓に位置決めすることと、電流を活性電極に供給し、それによって心腔内に電界を生成することと、受動電極部位での電界を測定することと、を含み得る。受動電極は、バルーンカテーテルのインフレータブルバルーンに位置決めされたアレイに含まれる。好ましい実施形態では、アレイは、60〜64個の電極を有すると言われている。
【0110】
別の例によれば、心臓マッピングは、1つ又は2つ以上の超音波トランスデューサを使用して実施され得る。超音波トランスデューサは、患者の心臓の中へ挿入され得、心臓内の様々な位置及び配向での複数の超音波スライス(例えば、二次元又は三次元スライス)を収集し得る。所与の超音波トランスデューサの位置配向は、既知であり得、収集された超音波スライスは、後で表示することができるように記憶され得る。後期のプローブ(例えば、治療カテーテル)の位置に対応する1つ又は2つ以上の超音波スライスを表示することができ、プローブは、1つ又は2つ以上の超音波スライスに重ね合わせることができる。
【0111】
他の例によれば、身体パッチ及び/又は体表面電極を、患者の身体に、又はその近くに位置決めすることができる。1つ又は2つ以上の電極を有するカテーテルを、患者の身体内に(例えば、患者の心臓内に)位置決めすることができ、カテーテルの位置は、カテーテルの1つ又は2つ以上の電極と、本体パッチ及び/又は体表面電極との間で送信及び受信される信号に基づいて、システムによって決定され得る。追加的に、カテーテル電極は、患者の身体内(例えば、心臓内)から生体データ(例えば、LAT値)を検知し得る。生体データは、カテーテルの決定された位置と関連付けることができ、それにより、カテーテルの位置によって決定したときの、患者の身体部分(例えば、心臓)のレンダリングが表示され得、身体部分の形状に重ね合わせられた生体データを示すことができる。
【0112】
ECG信号などの電気信号は、しばしば、心臓処置の前に及び/又は処置中に検出される。例えば、ECG信号を使用して、不整脈に起因する信号が生じる心臓の潜在的な位置を特定することができる。一般に、ECGは、心臓の電気活動を説明する信号である。また、ECG信号を使用して、心臓の一部分がマッピングされ得る。ECG信号は、心臓の心房筋肉及び心室筋肉の収縮(減極)及び緩和(再分極)によって生成される。
図16の信号1600によって示すように、ECG信号は、(心房の減極による)P波1610、(心房の再分極及び心室の脱分極による)QRS群1620、及び(心室の再分極による)T波1630を含む。ECG信号を記録するために、電極を人体の特定の位置に配置することができ、又はカテーテルを介して人体内に位置決めすることができる。アーチファクト(例えば、ノイズ)は、ECG信号などの電子信号と融合し、あるときには心臓状態の診断及び/又は処置の障壁を作成する、不要な信号である。電気信号中のアーチファクトは、基線ワンダー、電力線干渉、筋電図(EMG)ノイズ、送電線ノイズ、筋肉ノイズなどであり得る。
【0113】
追加的に、生体計測(例えば、生体電位)患者モニタは、表面電極を使用して、ECG又は脳波(EEG)などの生体電位の測定を行い得る。これらの測定値の忠実度は、患者への電極の接続の有効性によって限定される。電気的インピーダンスとして知られる電流の流れに対する電極システムの抵抗は、接続の有効性を特徴付ける。典型的に、インピーダンスが高くなるほど、測定値の忠実度が低くなる。いくつかの機構は、より低い忠実度に関与し得る。
【0114】
図17は、本開示の主題の1つ又は2つ以上の特徴を実装することができる例示的なシステム1720の図である。システム1720の全て若しくは一部を使用して、訓練データセットの情報を収集することができ、及び/又はシステム1720の全て若しくは一部を使用して、訓練モデルが実装され得る。システム1720は、体内器官の組織領域に損傷を与えるように構成された、カテーテル1740などの構成要素を含み得る。カテーテル1740はまた、電子信号を含む生体データを得るように更に構成され得る。カテーテル1740は、ポイントカテーテルであるように示されているが、本明細書で開示する実施形態を実施するために、1つ又は2つ以上の要素(例えば、電極)を含む任意の形状のカテーテルが使用され得ることが理解されるであろう。システム1720は、テーブル1729上に横になっている患者1728の心臓1726などの身体部分の中へ医師1730によってナビゲートされ得るシャフトを有する、プローブ1721を含む。実施形態によれば、複数のプローブが提供され得るが、簡潔さのために、この例では、単一のプローブ1721が記載されているが、プローブ1721が複数のプローブを表し得ることが理解されるであろう。
図17に示すように、医師1730は、カテーテル1740の近位端の近くのマニピュレータ及び/又はシース1723からの偏向を使用して、シャフト1722の遠位端を操作しながら、シース1723を通してシャフト1722を挿入し得る。差し込み
図1725に示すように、カテーテル1740は、シャフト1722の遠位端で嵌合され得る。カテーテル1740は、折り畳まれた状態でシース1723を通して挿入され得、次に、心臓1726内で拡張され得る。本明細書で更に開示するように、カテーテル1740は、少なくとも1つのアブレーション電極1747と、カテーテル針と、を含み得る。
【0115】
実施形態によれば、カテーテル1740は、心臓1726の心腔の組織領域をアブレーションするように構成され得る。差し込み
図1745は、心臓1726の心室内部のカテーテル1740を拡大して示している。示すように、カテーテル1740は、カテーテルの本体に連結された少なくとも1つのアブレーション電極1747を含み得る。他の実施形態によれば、複数の要素が、カテーテル1740の形状を形成するスプラインを介して接続され得る。1つ又は2つ以上のその他の要素(図示せず)を設けることができるが、それらは、アブレーションを行うか又は生体データを取得するように構成された任意の要素であってよく、電極、トランスデューサ又は1つ若しくは2つ以上のその他の要素であり得る。
【0116】
本明細書で開示する実施形態によれば、電極1747などのアブレーション電極は、心臓1726などの体内器官の組織領域にエネルギーを提供するように構成され得る。エネルギーは、熱エネルギーであり得、組織領域の表面から始まって組織領域の厚さに延在する組織領域への損傷を引き起こす可能性がある。
【0117】
本明細書に開示される実施形態によれば、生体データは、LAT、電気活動、トポロジー、双極マッピング、卓越周波数、インピーダンスなどのうちの1つ又は2つ以上を含んでもよい。LATは、正規化された初期開始ポイント点に基づいて計算される、局所活性化に対応する閾値活動時のポイントであり得る。電気活動は、1つ又は2つ以上の閾値に基づいて測定され得る任意の適用可能な電気信号であってよく、信号対ノイズ比及び/又はその他のフィルタに基づいて、検知及び/又は拡張され得る。トポロジーは、身体部分又は身体部分の一部の物理的構造に対応し得、身体部分の異なる部分に関する、又は異なる身体部分に関する物理的構造における変化に対応し得る。主要周波数は、身体部分の一部に行き渡る周波数又は周波数の範囲であり得、同じ身体部分の異なる部分において異なり得る。例えば、心臓の肺静脈の主要周波数は、同じ心臓の右心房の主要周波数と異なり得る。インピーダンスは、身体部分の所与の領域における抵抗測定値であり得る。
【0118】
図17に示すように、プローブ1721及びカテーテル1740は、コンソール1724に接続され得る。コンソール1724は、カテーテルに信号を送信するための、及びカテーテルから信号を受信するための、並びにシステム1720の他の構成要素を制御するための、好適なフロントエンド及びインターフェース回路1738を有する汎用コンピュータなどのプロセッサ1741を含み得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ1741は、電気活動などの生体データを受信し、所与の組織領域が電気を伝導するか否かを判定するように更に構成され得る。一実施形態によれば、プロセッサは、コンソール1724の外部にあり得るか、例えばカテーテル内、外部デバイス内、モバイルデバイス内、クラウドベースのデバイス内に位置付けられ得るか、又はスタンドアロン型プロセッサであり得る。
【0119】
上記のとおり、プロセッサ1741は、汎用コンピュータを含み得、このコンピュータは、本明細書に記載する機能を実行するようにソフトウェアにプログラムされ得る。ソフトウェアは、例えば、ネットワーク上で、汎用コンピュータに電子形態でダウンロードされてよく、又は代替的に若しくは追加的に、磁気メモリ、光学メモリ、若しくは電子メモリなどの、非一時的有形媒体上で提供及び/若しくは記憶されてもよい。
図17に示す例示的な構成は、本明細書で開示する実施形態を実装するように修正され得る。本開示の実施形態は、他のシステム構成要素及び設定を使用して、同様に適用することができる。追加的に、システム1720は、電気活動を検知するための要素、有線又は無線コネクタ、処理及びディスプレイデバイスなどの、追加の構成要素を含み得る。
【0120】
一実施形態によれば、プロセッサ(例えば、プロセッサ1741)に接続されたディスプレイ1727は、別個の病院などの遠隔場所又は別個の医療提供者ネットワークに位置付けられ得る。追加的に、システム1720は、心臓などの患者の器官の解剖学的測定値及び電気的測定値を取得し、心臓アブレーション処置を実施するように構成された、外科用システムの一部であり得る。かかる外科用システムの一例は、Biosense Websterにより販売されているCarto(登録商標)システムである。
【0121】
システム1720はまた、及び任意選択的に、超音波、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴映像法(MRI)、又は当該技術分野において既知の他の医療用撮像技術を使用して、患者の心臓の解剖学的測定値などの生体データを得ることができる。システム1720は、カテーテル、ECG、又は心臓の電気的特性を測定する他のセンサを使用して、電気測定値を得ることができる。次に、
図17に示すように、解剖学的測定値及び電気的測定値を含む生体データが、マッピングシステム1720のメモリ1742内に記憶され得る。生体データは、メモリ1742からプロセッサ1741に送信され得る。代替的に又は加えて、生体データは、ネットワーク1762を使用して、ローカル又は遠隔であり得るサーバ1760に送信され得る。
【0122】
ネットワーク1762は、イントラネット、LAN、WAN、MAN、直接接続若しくは一連の接続、セルラー電話ネットワーク、又はマッピングシステム1720とサーバ1760との間の通信を容易にすることが可能な任意の他のネットワーク若しくは媒体などの、当該技術分野で一般的に知られている任意のネットワーク又はシステムであり得る。ネットワーク1762は、有線、無線、又はこれらの組み合わせであり得る。有線接続は、イーサネット、USB、RJ−11、又は当該技術分野で一般的に知られている任意の他の有線接続を使用して実装され得る。無線接続は、Wi−Fi、WiMAX、及びBluetooth、IR、セルラーネットワーク、衛星、又は当該技術分野で一般的に知られている任意の他の無線接続方法を使用して実装され得る。追加的に、いくつかのネットワークは、ネットワーク1762内の通信を容易にするために単独で又は互いに通信して機能し得る。
【0123】
いくつかの場合では、サーバ1760は、物理サーバとして実装され得る。他の場合では、サーバ1762は、仮想サーバ、パブリッククラウドコンピューティングプロバイダ(例えば、Amazon Web Services(AWS)(登録商標))として実装され得る。
【0124】
例示的な実施形態によれば、サーバ1760は、ニューラルネットワーク1790などのマシン学習アルゴリズムを保存するプロセッサとして実装すること、又はそれと通信することができる。別の実施形態では、ニューラルネットワーク1790は、コンソール1724内に実装され得る。例えば、限定されないが、ニューラルネットワーク1790は、1つ又は複数のCPUプロセッサに、1つ又は複数のGPUプロセッサに、1つ又は複数のFPGAチップに、又はIntel(登録商標)Nervana(商標)ニューラルネットワークプロセッサなどのディープラーニング計算(例えば)の実行専用のASICに実装され得る。例示的な実施形態によれば、ニューラルネットワーク1790は、限定されないが、医療処置室内に、病院又は医療施設内のサーバ又はプロセッサに、リモートサーバ又はプロセッサに、あるいはクラウドに位置付けることができる。
【0125】
制御コンソール1724は、ケーブル1739によって体表面電極1743に接続され得、体表面電極は、患者1728に貼り付けられる接着性皮膚パッチを含み得る。プロセッサは、電流追跡モジュールと連動して、患者の身体部分(例えば、心臓1726)内のカテーテル1740の位置座標を決定することができる。位置座標は、体表面電極1743と、カテーテル1740の電極1747又は他の電磁構成要素と、の間で測定されるインピーダンス又は電磁場に基づき得る。追加的に又は代替的に、位置パッドは、テーブル1729の表面に位置付けられ得、テーブル1729とは別個であり得る。
【0126】
プロセッサ1741は、典型的に、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)として構成されたリアルタイムノイズ低減回路と、続いてアナログ−デジタル(A/D)ECG又はEMG信号変換集積回路と、を含み得る。プロセッサ1741は、A/D ECG又はEMG回路から別のプロセッサへ信号を伝え得、及び/又は本明細書で開示する1つ又は2つ以上の機能を実施するようにプログラムすることができる。
【0127】
制御コンソール1724はまた、入力/出力(I/O)通信インターフェースを含み得、これは、制御コンソールが、電極1747から信号を転送すること、及び/又はそこに信号を転送することを可能にする。
【0128】
処置中に、プロセッサ1741は、ディスプレイ1727上での医師1730への身体部分レンダリング1735の提示を容易にし、身体部分レンダリング1735を表すデータをメモリ1742に記憶し得る。メモリ1742は、RAM又はハードディスクドライブなどの、任意の好適な揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリを含み得る。いくつかの実施形態では、医師1730は、タッチパッド、マウス、キーボード、ジェスチャ認識装置などの1つ又は2つ以上の入力デバイスを使用して、身体部分レンダリング1735を操作することが可能であり得る。例えば、入力デバイスを使用して、レンダリング1735が更新されるようにカテーテル1740の位置を変更し得る。代替的な実施形態では、ディスプレイ1727は、身体部分レンダリング1735を提示することに加えて、医師1730からの入力を受け取るように構成され得るタッチスクリーンを含み得る。
【0129】
プロセッサ1741は、上述のように、カテーテル1740、ECG、他のセンサによって得られた、心臓の電気的特性を測定する複数の電気信号を取得し得る。プロセッサ1741は、最適な心拍を選択するためのアルゴリズムを適用し得る。いくつかの実施形態では、アルゴリズムは、心腔などの所望の解剖学的構造を表す「ポイントクラウド」内の「ポイント」として、どの電気信号が統合されるかを決定するために、電気信号の動的フィルタフィルタリングを含み得る。
【0130】
アルゴリズムは、複数のフィルタを含み得る。フィルタとしては、位置安定性、内部距離、カテーテルフィルタ、サイクル長、サイクル長安定性、空洞活動、位置密度、呼吸、パターンマッチング、LAT、LAT安定性、単極性傾斜、双極性電圧、組織近接度指標(TPI)、分割安定性、及びノイズレベルが挙げられ得るが、これらに限定されない。しかしながら、このリストは網羅的でものではなく、動的フィルタは、他のパラメータを利用し得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、アルゴリズムは、フィルタリングの2つのフェーズ、すなわち、第1のフェーズ及び第2のフェーズを含み得る。第1のフェーズでは、1つ又は2つ以上の第1のフィルタが、収集した電気信号の全てに適用され得る。第1のフィルタとしては、位置安定性、内部距離、カテーテルフィルタ、サイクル長、心室活動、位置密度、呼吸サイクル指示、及びパターンマッチングが挙げられ得るが、これらに限定されない。第1のフェーズにおいて電気信号が特定の基準を満たす場合、第2のフェーズにおいて1つ又は2つ以上の第2のフィルタが適用され得る。第2のフィルタとしては、相対LAT安定性、単極性信号の傾斜、双極性電圧、TPI、及び分割安定性が挙げられ得るが、それらに限定されない。
【0132】
いくつかの実施形態では、信号の特徴に応じて、第2のフェーズにおいて1つ又は2つ以上のパラメータが計算され得る。例えば、第2のフェーズでは、信号を分析して、信号がLATを有するか否かを決定し得る。更に、双極性電圧が計算及び分析され得る。信号はまた、分析され、電極が組織に近接しているか否かが決定され得る。また、力値(グラム)も分析され得る。また、呼吸サイクル内の点の相対位置も分析され得る。いくつかの実施形態では、アルゴリズムは、双極性電圧が高いか又は低いかを決定する。例えば、信号は、双極性電圧が0.1mV以上である場合に「高い」双極性電圧を有し、双極性電圧が0.1mV未満である場合に「低い」双極性電圧を有するとみなされ得る。しかしながら、当該技術分野の当業者によって理解されるように、双極性電圧の「高い」閾値及び「低い」閾値は、特定の患者に特有であり得る多くの要因に基づいて変化し得る。閾値は、その事例の間、医師によって(例えばグラフィカルユーザーインターフェースを介して)システムに入力され得る。LATを有する信号が「高い」双極性電圧を有すると決定された場合、信号の単極性傾斜及び相対LAT安定性が計算及び分析され得る。信号の単極性傾斜、相対LAT安定性、及びTPIが計算及び分析され得る。
【0133】
アルゴリズムは、細分化信号であるか否かを決定し得る。アルゴリズムはまた、信号のTPIも計算し得る。アルゴリズムは、信号の分割安定性を計算し得る。これらの属性の各々は、マシン学習に対する独立変数であり得る。
【0134】
複数の第2のフィルタが、第1のフィルタを通過した信号に適用され得る。いくつかの実施形態では、各信号に適用される第2のフィルタは、各信号の特徴に基づく。例えば、以下の特徴、すなわち、0.03mV/ms以上の単極性傾斜及び3msの相対LAT安定性信号のうちの1つ又は2つ以上を有するように、以下のフィルタが、LAT及び高電圧を有すると決定された信号に適用され得る。提供された閾値は、単なる一例であり、様々な他の閾値がアルゴリズム内で利用され得る。更に、0.03mV/ms以上の単極性傾斜及び3msの相対LAT安定性を有することに加えて、LAT及び低電圧を有すると決定された信号はまた、カテーテル14が組織と接触して第2のフィルタを通過したときに信号が収集されたことを示すTPIを必要とし得る。
【0135】
マシン学習は、例えば、いかなるLATも有さず、かつ分裂していないと決定された信号が、「良好な」ポイントとみなされる組織とカテーテルが接触したときにその信号が収集されたことを示すTPIを必要とし得ることを学習し得る。接触を示すTPIを有することに加えて、いかなるLATも有さず、かつ分裂していると決定された信号は、「良好な」ポイントとみなされる満足な分裂安定性を必要とし得る。
【0136】
第2のフィルタを通過しない信号は、破棄され得る。第2のフィルタを通過する信号は、心腔などの標的マッピング部位のEPマップを作成するために、ポイントクラウド内のポイントとなるように選択され得る。
【0137】
一実施形態によれば、ニューラルネットワーク1790は、心臓マッピングアノテーションとして各空間位置での最良の心拍を選択及び検出するために、並びに心臓マッピングアノテーションの決定を改善するために提供され得る。例示的な一実施形態によれば、ニューラルネットワーク1790は、入力データを受信して、ニューラルネットワークを訓練する。入力データは、好ましくは、心拍に関する一組の属性である。入力データ又は属性データの非限定的な例としては、以下を挙げることができる。
−EPマップの基準アノテーションの周囲でマッピング電極から受信されるECG信号、
−基準アノテーションの周囲で体表面電極(複数可)によって受信されるECG信号、
−電極によって、又はマッピングカテーテルなどのカテーテルの双極性電極対によって受信される心臓内EGM信号、EMG信号は、EPマップ内の基準アノテーションの周囲の、マッピングカテーテルの電極の双極性又は単極性EGMであり得る、
−呼吸補正の有無にかかわり得ない、基準アノテーションでのマッピング電極の空間位置、
−心拍がEPマップに組み込まれるか(例えば、心拍が心拍セレクタアルゴリズムのフィルタを通過するか)否か、
−医師による任意の修正を含む、取得された心拍の局所的なアノテーション時間、
−基準アノテーション時のマッピング電極のTPI、
−(典型的にグラムで測定される)基準アノテーション時に、マッピングカテーテルの力センサによって検出される、力値、
−肺の運動が監視されているときの、呼吸サイクル内の基準アノテーションの位置、
−ブール出力としての呼吸ゲーティング状態、
−現在の呼吸サイクル長から以前のサイクル長を減算した差、
−以前のサイクル長で除算した現在の呼吸サイクル長の比率、
−現在の呼吸サイクル長から平均又は中間の呼吸サイクル長を減算した差、
−平均又は中間の呼吸サイクル長で除算した現在の呼吸サイクル長の比率、
−実際の位置又は呼吸補正された位置のいずれかによって測定することができる、以前の基準アノテーションの同じ電極の空間位置からの、現在の基準アノテーションのマッピング電極の距離、
−この心拍時に任意の体表面活性化(すなわち、V干渉)が存在したか否かの指示、
−医師によって心拍がマップから削除されたか否かを示す入力としての、別個ブール値(すなわち、0又は1)、及び
−カテーテルの電極によって測定される任意の他のEPデータ。
【0138】
一実施形態では、入力データのうちの1つ又は2つ以上は、ニューラルネットワーク1790に供給される。入力データは、病院又は医療施設、リモートサーバの位置、又はクラウド内が挙げられるが、それらに限定されない、様々な位置に記憶することができる。訓練データは、リアルタイムで、所定の間隔で、要求に応じて、マッピングシステム1720がアイドル状態であるときに、ニューラルネットワークと関連付けられた記憶デバイスに手動又は自動で転送することができる。その結果、ニューラルネットワーク1790は、リアルタイムで、又は所定の時間若しくは間隔で学習することができる。
【0139】
一実施形態において、ニューラルネットワーク1790の出力としては、以下を挙げることができるが、それらに限定されない。
−現在の心拍が以前の心拍を超えて属性を改善させたか否かを示す、離散ブール値などの決定、及び
−正確な心臓マッピングアノテーションの決定。
【0140】
現在の最高水準の技術では、(例えば、このEAポイントのECGにノイズが多かったので)心臓EPマッピングシステムのEAポイントが十分に良好でない場合、医師は、このEAポイントを削除して、ほぼ同じ空間位置で新しいEAポイントを取得する。
【0141】
本出願の例示的な一実施形態によれば、ほぼ同じ空間位置(すなわち、ある程度まで同じ位置)において得られた、一対の削除されて再取得されたEAポイントを使用して、マシン学習アルゴリズムを訓練する。2つのEAポイントが与えられると、マシン学習アルゴリズムは、再取得されたEAポイントが、削除されたEAポイントよりも良好な特徴を有することを学習する。マシン学習アルゴリズムが十分なデータによって訓練され、一対の任意の2つのEAポイントが与えられると、アルゴリズムは、どちらがより良好な特徴を有するかを予測し得る。EPマッピングシステムは、この情報を使用して、EP事例中に、不十分な特徴を有するEAポイントを自動的に置き換え得る。マッピングシステムは、空間位置のポイントを取得する前に、それをマッピングで自動的に使用して、その位置において取得された任意の他のポイントを無視する。このシステムでは、複数のポイントが取得され得、システムは、どのポイントをマッピングシステムで使用するべきかを決定することができる。マシン学習アルゴリズムの入力は、好ましくは、上述の入力データのうちの1つ又は2つ以上を含む。
【0142】
例示的な実施形態によれば、ニューラルネットワーク1790は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)又は長期短期記憶(LSTM)ニューラルネットワークなどのリカレントニューラルネットワーク(RNN)を含むことができる。CNNは、好ましくは、コンピュータビジョン及び/又は画像認識の分野で使用されるディープラーニングアルゴリズムである。CNNは、入力画像内の様々な態様又は特徴に重要性(学習可能な重み)を割り当てて、一方を他方から区別する。LSTMニューラルネットワークは、ディープラーニングのために使用されるフィードバック接続を有するRNNである。
【0143】
一実施形態では、EPマッピングシステムベンダは、予め訓練されたネットワークを有するシステムを発送し得る。病院は、好ましくは、システムを訓練し続けることができる。一実施形態では、単一のモデルが、全ての病院について、若しくは一群の病院について維持され得るか、又は病院ごとにそれ自体のモデルを維持し得る。
【0144】
例示的な一実施形態では、各訓練の後に、その出力を含む訓練モデルを、至適基準データベースなどの標準データベースに対して実行して、その精度を確認することができる。例示的な一実施形態では、新しく訓練されたモデルの精度が閾値より低い場合、又は代替的に、新しく訓練されたモデルの精度が以前のモデルの精度よりも低い場合、そのモデルは、廃棄することができる。同様に、新しく訓練されたモデルの精度が閾値以上である場合、又は代替的に、新しく訓練されたモデルの精度が以前のモデルの精度よりも高い場合、そのモデルは、フィールド内のEPマッピングシステムに公開することができる。例示的な一実施形態では、新しいモデルの公開は、例えば操作者がウェブアドレスからファイルをダウンロードしてそれをマッピングシステム1720にアップロードすることによって、手動で実施することができる。代替的に、新しいモデルを、インターネットを介してフィールド内のマッピングシステム1720にプッシュすることができる。
【0145】
EPマッピングでは、体内プローブとともに、典型的には複数のマッピング電極がカテーテル遠位端の近くでカテーテルの本体に沿って配置されたカテーテルが、心臓の腔に挿入される。時間変動ECG信号は、マッピング電極と心臓組織との間の複数の接触点で記録される。次に、複数のECG電極を心臓組織内の異なる接触位置へ移動させて、プロセスを繰り返す。次いで、心臓の機能に関する基準が局所ECG信号から計算され、信号が、心臓腔の表面にわたって空間的にマッピングされる。マッピングは、医療専門家が心臓の機能不全の領域を特定するのを支援する。
【0146】
洞房(SA)及び房室(AV)結節などの、心臓内の電気供給源は、固有の洞調律で収縮するように心房及び心室の筋組織をトリガする、心臓にわたって伝播する電気的活動波を開始する。活動波面が各心臓周期中に複数のマッピング電極に到達するとき、固有のECG波形が複数のマッピング電極で検知される。これらの波形は、心臓腔の表面に沿った異なる空間的場所で組織に接触した、異なる複数の電極における同じ波面の異なる到着時間により、時間ずれする。
【0147】
複数のマッピング電極で検知されるECG波形の到着時間は、心臓を横切る活動波の伝播時間及び/又は速度をマッピングするために使用され得る。活動波のマッピングは、基準アノテーション時間として参照する心周期を表す単一の時間基準に関して実施される。
【0148】
基準アノテーション時間は、身体表面電極から、又は心腔の表面と接触して配置された追加のカテーテルのIC基準電極から得られたECG信号を処理することによって計算することができる。典型的に、医師は、疑わしい病変に応じて、基準注釈時間をBS又はICチャネルから計算するかを指定する。しかしながら、マッピング処置中に、割り当てられたECG基準チャネルが(例えば、不十分な基準電極接触、システムノイズ、又は他の障害により)機能しない場合には、再マッピングの実施が必要となる。心臓の再マッピングは、時間を要し、患者にとって不快である。
【0149】
図20は、本出願の実施形態による、心臓腔内の複数の接触点をサンプリングする複数の電極の例示的な図である。
図20に示す例示的な実施形態では、ICカテーテル2024Aは、心臓2034の冠状静脈洞2062の中へ挿入される。カテーテルは、好ましくは、遠位端2065の近くでカテーテル2024Aの本体の長さに沿った点に配置された、5つの基準ECG電極2060A〜2060Eを含む。基準ECG電極2060A〜2060Eは、冠状静脈洞の表面上の複数の組織点に接触し、複数の接触点でそれぞれの基準ECG信号を測定するために使用される。
【0150】
同様に、ICカテーテル2024Bは、右心室2034の中へ挿入される。カテーテルは、遠位端2075の近くでカテーテル2024Bの本体に沿った点に5つのマッピング電極2070A〜2070Eを含む。マッピング電極2070A〜2070Eは、右心室の表面上の複数の組織点に接触し、複数の接触点でそれぞれのマッピングECG信号を測定するために使用される。
【0151】
図20に示す5つの基準ECG電極2060A〜2060E及び複数のマッピング電極2070A〜2070Eは、単に概念の明瞭化のために示され、本特許請求の範囲を限定するものとして示されていない。代替的な実施形態では、任意の好適な数のマッピング及び基準電極の構成を使用することができる。例えば、単極性ECG検出のための単一電極の代わりに、電極は、双極性ECG検出のために対で配設され得る。任意の好適な数のマッピング及び基準カテーテルを、任意の好適な構成で使用することができる。基準カテーテル2024A及びマッピングカテーテル2024B、又は任意の数のカテーテルは、心臓2034内の好適な位置にナビゲートして、本明細書に記載する機能を実施することができる。
【0152】
プロセッサ1741(
図17に示す)などのECG信号インターフェースは、体表面電極1743(
図17に示す)などの体表面電極、IC ECG基準電極2060A〜2060E、及びマッピング電極2070A〜2070Eから信号を受信及び処理する。心臓マッピングは、心臓組織の表面にわたって複数のマッピング電極2070A〜2070Eを移動させて、ECG波形が記録されたときの電極の位置とともに各接触点でのECGを記録することによって実施される。代替的に、心臓マッピングは、心外膜組織の表面に接触するように、外部から、例えば胸腔を通して患者の身体内に、基準電極及び/又はマッピング電極を挿入することを含み得る。
【0153】
各マッピングポイントで記録されたデータはまた、マッピングアノテーションとも称される。しかしながら、興奮波面は、心内膜上の空間的に異なる点の異なる電極へ伝播するので、局所ECG信号は、異なる時間に異なる点に、したがって異なる電極に到達する。所与のECG電極へのECG信号の到着時間の差は、局所的な興奮波面速度を示す。心臓の心周期タイミングを表す単一のタイミング基準に対する、特定の心周期又は心拍の特定のマッピング電極に到達するECG信号の測定された時間の差は、本明細書でLATとして知られている。同様に、単一のタイミング基準は、基準アノテーション時間と称される。
【0154】
典型的な心臓マップは、心臓表面上の複数の異なる点でのLATのマッピング、心臓全体にわたる異なる時間での興奮波面を示す伝播マップ、及び同じ所与の点でのECGの固有電圧を含む。次に、医師などのユーザーは、心臓マップに示される予想活動波面及び/又は電圧からの変化を使用して、心房性又は心室性頻拍などの、心臓の機能不全の領域を検出することができる。アブレーション療法が、例えば、機能不全を補正するために使用されてもよい。
【0155】
いくつかの実施形態では、プロセッサ1741は、BS電極1743から及び/又はIC基準電極2060A〜2060Eから基準アノテーション時間を計算する際に、取得された基準ECG信号を使用する。取得されたICマッピングECG信号は、マッピング電極を記録される心臓組織にわたって移動させたときに取得され、ECGは、マッピングデータポイントを取得するために記録される。しかしながら、医療処置中に、複数のIC基準電極は、心臓組織に接触して、移動しない。予想される病変のタイプに応じて、医師は、典型的に、基準アノテーション時間を、BS電極1743から取り込んだECGから計算するのか、又はIC基準電極2060A〜2060Eから計算するのかを指定する。
【実施例1】
【0156】
例示的な一実施形態では、
図18及び
図19に関して以下により詳細に記載されるように、ニューラルネットワークなどのマシン学習アルゴリズムは、2つの心拍の属性を入力として利用すること、所定の基準に基づいてどの心拍がより良好な特徴を示すかを特定するように学習すること、及びバイナリの結果を出力することができる。どの心拍がより良好であるかを特定するための例示的な属性としては、より少ないノイズを有する心拍、より明らかなLAT活性化を有する心拍、より明らかな遅延電位を有する心拍、より安定した分裂を有する心拍、より少ないV干渉を有する心拍などが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、心拍は、安定した不整脈から得られる。
【0157】
従来のEPマッピングシステムは、空間位置ごとに第1の心拍を取得するか、又はルールベースのシステムを使用して空間位置ごとに最良の心拍を選択する。例えば、医師が特定の空間位置での第1の心拍を取得する場合、第1の心拍が不十分な特徴を示した場合であっても、その後に心拍を取得するのを止める。この実施例で開示されるシステム及び方法は、特定の空間位置で複数の心拍を収集し、マシン学習を介して各空間位置での最良の心拍を選択するように学習する。
【0158】
図18は、本出願による、2つの心拍の属性を受信することができ、どの心拍がより良好であるかを特定するように学習することができるCNN1800の例示的な実施形態である。
【0159】
図18を参照すると、例示的な一実施形態では、ニューラルネットワーク1800は、CNNである。CNN1800は、好ましくは入力データ1810を受信する。一実施形態において、入力データ1810は、好ましくは、第1の心拍の属性に関する第1の一組の入力データ、及び第1の心拍と同じ空間位置で得られた第2の心拍に関する第2の一組の入力データを含む。第1の一組の入力データ及び第2の一組の入力データは、入力In−1、In−2、In−3、・・・、In−nを含むことができるが、ここで、「n」は、複数のうちの最後の入力である。例えば、第1の一組の入力データは、入力In−1及びIn−2を含むことができ、第2の一組の入力データは、In−3及びIn−nを含むことができる。第1の一組の入力データ及び第2の一組の入力データは、同じサイクル中に、又は別個のサイクル中に、CNNに入力することができる。入力データ1810は、好ましくは、以下が挙げられるが、それらに限定されない、心拍の属性を含むことができる。
−電極によって、又はマッピングカテーテルなどのカテーテルの双極性電極対によって受信される心臓内EGM信号、EMG信号は、EPマップ内の基準アノテーションの周囲の、マッピングカテーテルの電極の双極性又は単極性EGMであり得る、
−基準アノテーションの周囲でマッピング電極から受信されるECG信号、
−基準アノテーションの周囲で体表面電極(複数可)によって受信されるECG信号、
−基準アノテーション時のマッピング電極のTPI、
−(典型的にグラムで測定される)基準アノテーション時に、マッピングカテーテルの力センサによって検出される、力値、
−呼吸補正の有無にかかわり得ない、基準アノテーションでのマッピング電極の空間位置又は距離ベクター、
−基準アノテーションの周囲の呼吸状態ベクター、
−肺の運動が監視されているときの、呼吸サイクル内の基準アノテーションの位置、
−現在の呼吸サイクル長から以前のサイクル長を減算した差、
−以前のサイクル長で除算した現在の呼吸サイクル長の比率、
−現在の呼吸サイクル長から平均又は中間の呼吸サイクル長を減算した差、
−平均又は中間の呼吸サイクル長で除算した現在の呼吸サイクル長の比率、
−医師が手動で、EPマッピングシステムへの心拍を受け取ったか、又は心拍を削除したかの指示、並びに
−実際の位置又は呼吸補正された位置のいずれかによって測定することができる、以前の基準アノテーションの同じ電極の空間位置からの、現在の基準アノテーションのマッピング電極の距離。換言すれば、カテーテルの安定性の指示としての、例えば実際の位置又は呼吸補正した位置による、最後の心拍から電極が移動した距離。
【0160】
入力データ1810は、ノードHL1−1、HL1−2、HL1−3、・・・、HL1−nを含む第1の隠れ層1820に、及び任意選択的に、ノードHL2−1、HL2−2、HL2−3、・・・、HL2−nを含む第2の隠れ層1830に提供され、これらを組み合わせて出力1840を生成する。隠れ層1820、1830は、入力からのデータを利用して、第1の心拍又は第2の心拍のうちどちらが、限定されないが、より少ないノイズ、より明らかなLAT活性化、より明らかな遅延電位、より安定した分裂、より少ないV干渉などの、より良好な特徴を有するかを決定する。経時的に、ニューラルネットワークは、入力データに適用するために重みを学習する。
【0161】
いくつかの実施形態では、出力1840は、例えば、同じ空間位置で取られた一対の心拍の第1又は第2の心拍のどちらがより良好であるかを示す値である。例えば、CNN1800では、全ての入力1810が、ニューラルネットワークに同時に供給されて、出力1840を計算する。
【0162】
図19は、本出願による、2つの心拍の属性を得て、どちらの心拍がより良好であるかを特定することを学習するようにニューラルネットワーク1900を訓練するための方法を表す、例示的なフロー図である。
【0163】
1910で、CNN1800が、好ましくは、同じ空間位置で得られた一対の削除された心拍及び削除されていない心拍をデータベースから受信する。受信されたデータは、CNN1800の入力データ1810であり、好ましくは、同じ空間位置で得られた心拍対の各心拍に対応する一組の属性データを含む。例えば、一組の属性データは、各心拍について上述した入力データ1810のいずれかであり得る。
【0164】
1920で、CNN1800の隠れ層1820、1830が、好ましくは、削除された心拍と削除されていない心拍との間で一組の属性情報を比較して、限定されないが、より少ないノイズ、より明らかなLAT活性化、より明らかな遅延電位、より安定した分裂、より少ないV干渉を有する心拍、医師の手動の削除などの所定の基準に基づいて、第1の心拍又は第2の心拍のうちどちらがより良好な特徴を有するかを決定する。例えば、第1の心拍が医師によって手動で削除され、第2の心拍が医師によって手動で取得された場合、CNN1800は、第2の心拍が第1の心拍よりも良好な特徴を有するとみなす。CNN1800は、各心拍と関連付けられた属性情報を比較して、最適な心拍特徴を学習する。
【0165】
1930で、CNN1800が、削除されていない心拍が削除された心拍よりも良好な特徴を有するか否かを示す結果を出力する。
【0166】
1940で、CNN1800が、好ましくは、CNN1800が訓練されるまで、同じ空間位置で得られた追加の一対の削除された及び削除されていない心拍に対してステップ1910、1920、及び1930を繰り返す。
【0167】
一実施形態では、CNN1800が訓練されると、それを使用して、リアルタイムで、又は処置後に、より良好な特徴を有する、同じ空間位置での心拍を有するEPマッピングシステム内の次善の心拍を置き換えることができる。例えば、EPマッピングシステムは、最初に、空間位置X、Y、Zでの第1の心拍を取得する。同じ空間位置で別の心拍が記録された場合、システムは、各心拍の属性データを入力データとして使用してCNNを実行し、どちらの心拍がより良好な特徴を有するかという決定を出力する。第1の心拍がより良好であると決定された場合、第2の心拍は、EPマッピングシステムから廃棄される。第2の心拍がより良好であると決定された場合、第1の心拍は、EPマッピングシステムの第2の心拍と自動的に置き換えられる。
【0168】
上述した訓練モデルは、好ましくは、医師によって、病院においてオンサイトで、遠隔訓練施設で監督される。
【0169】
本出願に従って、CNN1800を利用して、2つの心拍の属性データを受信し、どちらの心拍がより良好かを特定することを学習する利点は、CNN1800が、医師によって削除された心拍を見ることによって医師の決定を模倣するように学習することができることである。加えて、空間位置で最良の心拍を決定することによって、医師は、より正確に心拍の特徴(例えばLAT値、ピーク間双極性電圧値、ECG信号、及びEGM信号)を決定することができる。
【0170】
上述した実施形態では、マシン学習は、2つの心拍を取り、どちらがより良好であったかを決定した。システムは、一対の心拍によって訓練した(1つが削除され、1つが心臓のほぼ同じ空間位置で心拍を再度取得した)。以下、我々は、同じ目的の別の実施形態を説明する。この実施形態では、各心拍には、成績が割り当てられる。例えば、一実施形態では、第1の心拍及び第2の心拍は、各々が0、0.5、又は1の成績が割り当てられ得る。医師が心拍を削除した場合、心拍は、0の成績を受信し、医師が新しい心拍をほぼ同じ位置で取得した場合、心拍は、1の成績を受信し、全ての他の心拍は、0.5の成績を受信する。2つの心拍を取り、どちらがより良好であるかを予測する、上述した実施形態とは異なり、この実施形態は、単一の心拍について一組の属性を取り、単一心拍の成績を予測する。心拍が、医師が一般に削除する心拍の特徴を有する場合、マシン学習は、おそらく約0の数を出力する。心拍が、医師が一般に不適当な方を削除した後に再取得する心拍の特徴を有する場合、マシン学習は、おそらく約1の数を出力する。この実施形態では、成績は、連続変数である(離散したカテゴリでない)。我々は、0、0.5、及び1だけの成績によってマシン学習を訓練するが、マシン学習は、任意の実数を出力することができる。この実施形態では、実行中に(換言すれば、推定段階の間、医師が患者の電気生理学的研究を実施する間)、システムは、どの心拍がより良好であるかを理解することを必要とする場合、各心拍の成績を独立して予測することができ、最高の成績を有する心拍を最良の心拍であるとみなすことができる。
【実施例2】
【0171】
例示的な一実施形態では、ニューラルネットワークなどのマシン学習アルゴリズムは、同じ空間位置で得られた複数の心拍を表すEPデータを受信して、上で説明した入力のいずれかに基づいてEPマッピングシステムの最良のマッピングアノテーションを選択及び出力するように学習することができる。
【0172】
従来のルールベースのEPマッピングシステムでは、マッピングアノテーションは、典型的に、
図22に示すような基準アノテーションの周囲のECG信号の最高ピーク電圧2201又は基準アノテーションの周囲のECG信号の最高負導関数2202に基づいて決定される。医師は、結果が満足でない場合に、マッピングアノテーションを受け取ること、又はマッピングアノテーションを移動させことができる。医師がマッピングアノテーションを移動させ得る理由の例としては、例えば、限定されないが、心拍が、相当なノイズ、あまり明らかでないLAT、あまり明らかでない遅延電位、あまり安定していない分裂、より多くのV干渉などを有することが挙げられる。
【0173】
本出願の主題によれば、ニューラルネットワークは、同じ空間位置での複数の心拍の属性を受信して、上で説明した入力データに基づいて最良のマッピングアノテーションを特定するように学習することができる。一実施形態では、心拍は、安定した不整脈から得られる。
【0174】
本出願の主題の実施形態では、最初に、ニューラルネットワーク又はマシン学習システムが、ルールベースのシステムによって計算された同じマッピングアノテーションを見出すように訓練される。ルールベースのシステムは、複数のルールを使用して行動を選択する。複数のルールは、人間のプログラマによって定義することができる。いくつかの実施形態では、複数のルールは、if−then文の形態である。例えば、最初に、各ECG信号についてルールベースのシステムによって計算された多数のECG信号及び対応するマッピングアノテーションが、マシン学習システムに供給されて、それを訓練する。これは、ルールベースのシステムとほぼ同程度に正確なマシン学習システムになると予想される。医師がこのシステムを様々な位置で使用し始めたとき、最初の結果は、ルールベースのシステムと同様である。しかしながら、医師がマッピングアノテーションを手動で修正するたびに、この情報を使用して、好ましくは自己学習システムであるマシン学習システムを訓練する。一実施形態では、単一のモデルが、全ての病院について維持され得るか、又は各病院若しくは病院群が、それ自体のモデルを維持することができる。マシン学習システムを訓練した後に、モデルの性能を至適基準に対して検証して、その精度が所定の閾値を超えていること、及び/又は以前のモデルの精度よりも良好であることが確認され得る。経時的に、マシン学習システムは、マシン学習アルゴリズムをルールベースのシステムよりも良好にする。
【0175】
図21を参照すると、例示的な一実施形態では、ニューラルネットワークは、RNN2100である。RNN2100は、好ましくは、入力データ2110を受信する。一実施形態では、入力データ2110は、同じ空間位置から得られた複数の心拍2110−1、2110−2、2110−3、・・・、2110−nの各々の属性データを含むことができる。例えば、属性データは、
図20に示すマッピング電極2070A〜2070Eのうちの1つから導出することができる。各心拍の属性データは、本明細書に記載される属性のうちのいずれかを含むことができる。RNNの各サイクルは、単一の心拍の属性データを提供することとは対照的に、各心拍に関する全ての属性データを受信する。加えて、
図21の矢印2140を参照して示されるように、新しく訓練されたモデルの精度が閾値以上である場合、又は代替的に、新しく訓練されたモデルの精度が以前のモデルの精度よりも高い場合、モデルは、ニューラルネットワークの入力として使用することができる。
【0176】
入力2110は、RNN2100に提供され、最良のマッピングアノテーションの識別情報などの出力2130を生成するように組み合わせられる。より多くの心拍サンプルがRNN2100に供給されるほど、出力2130がより正確になる。
【0177】
一実施形態では、モデルを訓練するために、医師がマッピングアノテーションとしての心拍を受け取ることは、空間位置から得られる他の心拍とともに、RNN2100の入力であり得る。医師が受け取った心拍は、同じ空間位置で得られた他の心拍よりも良好な特徴を有することになり、RNN2100は、医師が受け取った心拍を最良のマッピングアノテーションとして出力することが予想される。RNN2100は、各心拍と関連付けられた属性情報を医師が受け取った心拍と比較して、最適な心拍特徴を学習する。経時的に、RNN2100は、医師が受け取った心拍の属性の特徴を学習して、モデルを訓練する。
【0178】
出力2130などのRNNの出力を使用して、RNN2100を訓練することができる。例えば、
図21の矢印2140を参照して示されるように、出力2130の精度が閾値以上である場合、出力2130は、ニューラルネットワーク2100の入力2110として使用することができる。
【0179】
加えて、例えば、上で論じたように、各訓練の後に、その出力を含む訓練モデルを至適基準データベースなどの標準データベースに対して実行して、その精度を確認することができる。例示的な一実施形態では、新しく訓練されたモデルの精度が閾値より低い場合、又は代替的に、新しく訓練されたモデルの精度が以前のモデルの精度よりも低い場合、そのモデルは、廃棄することができる。同様に、新しく訓練されたモデルの精度が閾値以上である場合、又は代替的に、新しく訓練されたモデルの精度が以前のモデルの精度よりも高い場合、そのモデルは、フィールド内のEPマッピングシステムに公開することができる。
【0180】
一実施形態では、RNN2100が訓練されると、それを使用して、EPマッピングシステムのマッピングアノテーションをリアルタイムで、又は処置後に改善することができる。
【0181】
一実施形態では、RNN2100の訓練は、病院又は医療施設などの心臓処置が行われている施設で、又は訓練センターなどの遠隔場所で監督することができる。
【実施例3】
【0182】
例示的な一実施形態では、ニューラルネットワークなどのマシン学習アルゴリズムは、心拍を表すデータ及び医師によって実施された修正などのマッピングアノテーションの任意の手動修正を受信することができ、EPマッピングシステムのマッピングアノテーションを計算するように学習する。
【0183】
ルールベースのシステムなどの従来のマッピングアノテーションシステムでは、マッピングアノテーションは、心臓内ECG活性化に基づいて決定される。ECG活性化は、従来では、限定されないが、双極性EGMの発生、最大双極性振幅の時間などのいくつかの方法で、又は例えば限定されないが米国特許公開第2018/00042504号に記載されている様式などの、ECG信号の様々な特徴を組み合わせることによって決定される。医師は、精度について、決定されたマッピングアノテーションを検討することを必要とする。マッピングアノテーションが正確でない場合、医師は、マッピングアノテーションを手動で移動させて、それを修正しなければならない。
【0184】
図23は、本出願による、ニューラルネットワークなどのマシン学習システムを訓練して、EGM信号などの心臓内信号のマッピングアノテーションを計算するための方法を示す例示的なフロー図である。一実施形態では、ニューラルネットワークは、
図18及び
図21を参照して記載されるものと類似の、CNN又はRNNなどの任意の種類のニューラルネットワークとすることができる。
【0185】
図23の2310〜2316は、一実施形態による、マシン学習システムのために初期モデルを訓練するための好適なシステム及び方法を示す。2310で、マシン学習システムが、好ましくは、EP信号に関する入力データを受信する。例えば、入力データは、限定されないが、以下の1つ又は2つ以上を含むことができる。
−基準アノテーションの周囲のマッピングカテーテルの双極性EGM信号、
−基準アノテーションの周囲のマッピングカテーテルの単極性EGM信号、
−基準アノテーションの周囲で体表面電極(複数可)によって受信されるECG信号、
−関心窓(WOI)の開始、
−WOIの終了、
−基準アノテーションの周囲のマッピング電極の3D座標などの空間位置、
−基準アノテーションの周囲のマッピング電極のTPI、
−(典型的にグラムで測定される)基準アノテーション時に、マッピングカテーテルの力センサによって検出される、力値、
−基準アノテーションの周囲の呼吸状態ベクター、
−肺の運動が監視されているときの、呼吸サイクル内の基準アノテーションの位置、
−現在の呼吸サイクル長から以前のサイクル長を減算した差、
−以前のサイクル長で除算した現在の呼吸サイクル長の比率、
−現在の呼吸サイクル長から平均又は中間の呼吸サイクル長を減算した差、
−平均又は中間の呼吸サイクル長で除算した現在の呼吸サイクル長の比率、
−医師が手動で、EPマッピングシステムへの心拍を受け取ったか、又は心拍を削除したかの指示、並びに
−実際の位置又は呼吸補正された位置のいずれかによって測定することができる、以前の基準アノテーションの同じ電極の空間位置からの、現在の基準アノテーションのマッピング電極の距離。換言すれば、カテーテルの安定性の指示としての、例えば実際の位置又は呼吸補正した位置による、最後の心拍から電極が移動した距離。
【0186】
2312で、ルールベースアルゴリズムが、好ましくは、入力データに適用され、2314で、ルールベースアルゴリズムによってマッピングアノテーションが計算される。2316で、マシン学習システムを更に訓練するために、マッピングアノテーションが初期モデルとして出力される。初期モデルは、好ましくは、ルールベースのアルゴリズムを模倣するように訓練される。
【0187】
いくつかの実施形態では、信号は、シフトされた信号を得るために、シフトされ得る。シフトされた信号は、2310での追加の入力データとして使用され得る。例えば、双極に対応するデータ及び2つの単極性信号が入力データとして使用されている場合、信号は、1ms左に、2ms左に、3ms左に、4ms左に、5ms左に、6ms左に、7ms左に、8ms左に、9ms左に、10ms左に、1ms右に、2ms右に、3ms右に、4ms右に、5ms右に、6ms右に、7ms右に、8ms右に、9ms右に、及び10ms右にシフトされ得る。このように、この実施例では、21個の異なる信号が得られ得る。シフトされた信号がニューラルネットワークに供給されると、ニューラルネットワークは、信号が時間不変であることを学習し得る。これは、より少ない入力データで訓練を行うことを可能にする。
【0188】
いくつかの実施形態では、信号は、低周波ノイズ及び/又は高周波ノイズを加えることによって増強され得る。低周波ノイズは、呼吸の効果を表し得、高周波ノイズは、電磁ノイズを表し得る。例えば、4つの信号、すなわち、信号自体、1Hzのノイズを加えた信号、450Hzのノイズを加えた信号、1Hz及び450Hzのノイズを加えた信号が、単一の信号から得られ得る。このようにして、CNNの畳み込み層は、低周波ノイズ及び高周波ノイズをより迅速かつ効率よく無視するように学習し得る。
【0189】
いくつかの実施形態では、時間シフト及びノイズ加算の組み合わせが使用され得る。例えば、信号は、1Hzのノイズを加えて1ms左へ、1Hzのノイズを加えて2ms左へなどのようにシフトされ得る。
【0190】
図23の2320〜2328は、一実施形態による、マシン学習システムの展開されたモデルの連続向上訓練の一実施形態を示す。2320で、展開されたモデルが、病院又は医療試験施設などの環境内のEPマッピングシステムに展開される。一実施形態では、展開されたモデルは、初期モデル又は新しいモデルであり得る。
【0191】
いくつかの実施形態では、展開されたモデルは、中央サーバからダウンロードされ得る。中央サーバからダウンロードされたデータは、秘密鍵で署名され得、秘密鍵は、中央サーバだけが知っている。上述した秘密鍵に対応する公開鍵は、中央サーバから展開されたモデルをダウンロードする医療用デバイスが知り得る。いくつかの実施形態では、ダウンロードの安全性を確実にするために、HTTPの公開鍵/秘密鍵機構又はSFTPなどの同様のプロトコルも使用され得る。これらの実施形態では、医療用デバイスは、中央サーバのURLアドレス及びセキュアソケットレイヤー(SSL)証明書の有効性を確認し得る。
【0192】
2322で、EPマッピングシステムが、展開されたモデルを使用して、リアルタイムでマッピングアノテーションを計算する。例えば、限定されないが、展開されたモデルが初期モデルである場合、ルールベースのアルゴリズムを使用して、ルールベースのアルゴリズムを利用してマッピングアノテーションを計算する。
【0193】
2324で、マッピングアノテーションが正確でない場合に、医師が、EPマッピングシステムのマッピングアノテーションを手動で修正することができる。マシン学習システムは、好ましくは、EPマッピングシステムにおいて医師によって手動で修正されたマッピングアノテーションに関するデータを受信する。医師の修正は、リアルタイムで、クラウドを通じて、又はメモリスティック、CD、デジタル多用途ディスク(DVD)などのオフラインのデバイスを介して、マシン学習システムに供給され得る。一実施形態では、医師の修正は、それらがマシン学習システムに供給される前に、手動で確認され得る。
図24のEGM信号A2410は、ルールベースのシステムによって修正されたマッピングアノテーションの一例を示す。
図24のEGM信号B2420は、医師によって手動で修正されたマッピングアノテーションの一例を示す。
【0194】
いくつかの実施形態では、医師の修正は、それらがマシン学習システムに供給される前に、医療用デバイスによって署名され得る。マシン学習システムは、医師の修正が実際に医療用デバイスに由来することを確実にするために、それらを確認し得る。いくつかの実施形態では、公開鍵/秘密鍵が使用され得る。例えば、秘密鍵は、医療用デバイスによって知られ得、公開鍵は、マシン学習システムによって知られ得る。更なる実施形態では、秘密鍵は、医療用デバイスの耐テンパハードウェアセキュリティモジュールにおいて保持され得る。追加的に又は代替的に、医療用デバイスの秘密鍵は、医療用デバイスのメインボードに内蔵されたトラステッドプラットフォームモジュール内に記憶され得る。更なる実施形態では、公開鍵/秘密鍵法は、IPホワイトリスティングと組み合わせられ得る(例えば、秘密鍵P1は、IPアドレスxxx.x.xxx.xに由来するものとする)。いくつかの実施形態では、複数の医療用デバイスが同じ秘密鍵を含む。他の実施形態では、異なる秘密鍵を各医療用デバイスに展開することができる。いくつかの実施形態では、セキュリティを強化するために、ユーザーは、データをアップロードする間、ユーザー名及びパスワードを提供するように求められ得る。ユーザー名及びパスワードは、秘密鍵法及び/又はIPホワイトリスティングと組み合わせられ得る。
【0195】
2326で、マシン学習システムが、好ましくは、新しいEP信号、及びEPマッピングシステムにおいて医師によって手動で修正されたマッピングアノテーションを使用することによって、展開されたモデルを更に訓練する。
【0196】
2326で、マシン学習システムが、好ましくは、新しいEP信号、及び医師によって修正されたマッピングアノテーション(複数可)を使用することによって、展開されたモデルを更に訓練する。上で論じたように、最初に、マシン学習システムは、ルールベースのアルゴリズムの結果に基づいて、マッピングアノテーションを計算する。しかしながら、ニューラルネットワークが、医師によって手動で修正されたより多くのマッピングアノテーションを受信すると、マシン学習システムは、医師によって行われた修正から学習し、マッピングアノテーションをより正確に計算する。
【0197】
2328で、マシン学習システムが、好ましくは、新しいモデルを出力する。一実施形態では、出力は、マッピングアノテーション、及びマッピングアノテーションを計算することができるか否かを示すブール値のうちの少なくとも1つを更に含むことができる。例えば、マシン学習システムは、不十分な力、カテーテルが不安定である場合などの、いくつかの状況下で、マッピングアノテーションを計算することができないことを学習し得る。ブール出力は、実数を出力するニューロンとして実装され得る。任意選択的に、ロジット関数が出力数に適用され得、ブール値は、出力数が所定の閾値を超えたときに正確であるとみなされ、出力数が所定の閾値よりも低いときに不正確であるとみなされる。一実施形態では、ユーザーは、例えば、グラフィカルユーザーインターフェースのスライダバーを動作させることによって、所定の閾値を設定することができる。
【0198】
2328で、その出力を含む新しいモデルを、任意選択的に、至適基準データベースなどの標準データベースに対して実行して、その精度を確認することができる。例示的な一実施形態では、新しく訓練されたモデルの精度が閾値より低い場合、又は代替的に、新しく訓練されたモデルの精度が以前のモデルの精度よりも低い場合、そのモデルは、廃棄することができる。同様に、新しく訓練されたモデルの精度が閾値以上である場合、又は代替的に、新しく訓練されたモデルの精度が以前のモデルの精度よりも高い場合、そのモデルは、フィールド内のEPマッピングシステムに公開することができる。新しいモデルが検証されると、2320で、EPマッピングシステムに展開することができる。
【0199】
新しく訓練されたモデルの精度が以前のモデルの精度よりも低いが、閾値を超えている場合、新しく訓練されたモデルの結果は、人間の専門家に送信され得る。人間の専門家は、至適基準データベースの予想結果を、新しく訓練されたモードによって計算された結果と比較し得る。人間の専門家が、新しく訓練されたモデルの結果が至適基準よりも良好であると考えた場合、人間の専門家は、新しく訓練されたモデルの結果を予想結果としてマークし、それに対して、至適基準データベースが更新され得る。
【0200】
一実施形態では、マシン学習システムが訓練されると、それを使用して、EPマッピングシステムのマッピングアノテーションをリアルタイムで、又は処置後に改善することができる。
【0201】
一実施形態では、マシン学習システムの訓練は、病院又は医療施設などの心臓処置が行われている施設で、又はクラウド若しくは訓練センターなどの遠隔場所で監督することができる。
【0202】
特徴及び要素が特定の組み合わせで上に記載されるが、当業者であれば、特徴又は要素の各々を単独で又は他の特徴及び要素と組み合わせて使用することができることを理解するであろう。加えて、プロセスステップは、特定の順序で上述されているが、ステップは、他の望ましい順序で実施することができる。
【0203】
本明細書に記載される方法、プロセス、モジュール、及びシステムは、コンピュータ又はプロセッサによって実行するために、コンピュータ可読媒体に組み込まれるコンピュータプログラム、ソフトウェア、又はファームウェアに実装され得る。コンピュータ可読媒体の例には、電子信号(有線又は無線接続を介して送信される)及びコンピュータ可読記憶媒体が挙げられる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、ROM、RAM、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリデバイス、磁気媒体、例えば内蔵ハードディスク及びリムーバルディスク、磁気光学媒体、並びに光学媒体、例えばCD−ROMディスク及びDVDが挙げられるが、これらに限定されない。ソフトウェアと関連したプロセッサを使用して、WTRU、UE、端末、基地局、RNC、又は任意のホストコンピュータで使用するため無線周波数送受信機を実装することができる。
【0204】
本明細書の更なる実施形態は、ある実施形態に、本明細書の任意の1つ又は2つ以上の他の実施形態に由来する1つ又は2つ以上の要素を付加することによって、かつ/あるいはある実施形態に由来する1つ又は2つ以上の要素を、本明細書の1つ又は2つ以上の他の実施形態に由来する1つ又は2つ以上の要素と置換することによって、形成されてもよい。
【0205】
したがって、開示された主題は、開示された特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲、上記の説明によって定義され、かつ/又は添付の図面に示される本開示の趣旨及び範囲内にある全ての修正を包含することを意図するものと理解される。
【0206】
〔実施の態様〕
(1) 電気生理学的(EP)マッピングシステムの最適な特徴を有する心拍を検出するためのシステムであって、前記システムが、
プロセッサであって、
第1の心拍に対応する第1の属性情報を含む、特定された心臓空間位置での前記第1の心拍を受信することと、
第2の心拍に対応する第2の属性情報を含む、前記特定された心臓空間位置での前記第2の心拍を受信することと、
前記第1の属性情報を前記第2の属性情報と比較することと、
比較した前記属性情報に基づいて、前記第1の心拍及び前記第2の心拍のうちどちらが最適な特徴を有するかを決定することと、を行うように構成されたマシン学習アルゴリズムを含む、プロセッサを含む、システム。
(2) 前記マシン学習アルゴリズムが、最適な特徴を有する前記心拍の前記決定を前記EPマッピングシステムに更に出力する、実施態様1に記載のシステム。
(3) 第1の属性情報を含む前記第1の心拍及び第2の属性情報を含む前記第2の心拍のうちの少なくとも1つが、前記プロセッサと通信するデータベースに記憶される、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記第1の心拍及び前記第2の心拍のうちの一方が、前記EPマッピングシステムにおいて手動で受け取られる心拍であり、前記第1の心拍及び前記第2の心拍のうちの他方が、閾値許容限度まで同じ空間位置において前記EPマッピングシステムから医師によって削除される心拍である、実施態様3に記載のシステム。
(5) 前記EPマッピングシステムにおいて手動で受け取った前記心拍及び前記EPマッピングシステムにおいて前記医師によって削除された前記心拍の結果に基づいて、前記マシン学習アルゴリズムが、前記第1の心拍及び前記第2の心拍のうちどちらが最適な特徴を有するかを決定するように学習し、前記手動で受け取った心拍及び前記削除された心拍が、閾値許容限度まで同じ位置にある、実施態様4に記載のシステム。
【0207】
(6) 前記属性情報が、
カテーテルの電極によって受信された心内電位図信号、
マッピング電極から受信された心電図信号、
1つ又は2つ以上の体表面電極によって受信された心電図信号、
基準アノテーション時の前記マッピング電極の組織近接度指示(TPI)、
マッピングカテーテルの力センサによって検出された力値、
前記基準アノテーションでの前記マッピング電極の空間位置、
前記基準アノテーションの周囲の呼吸状態ベクター、
呼吸サイクル内の前記基準アノテーションの位置、
現在の呼吸サイクル長と以前の呼吸サイクル長との間の差、
前記現在の呼吸サイクル長と前記以前の呼吸サイクル長との比率、
前記現在の呼吸サイクル長と平均又は中間の呼吸サイクル長との間の差、
前記現在の呼吸サイクル長と前記平均又は中間の呼吸サイクル長との比率、
医師が手動で、前記EPマッピングシステムへの心拍を受け取ったか、又は前記心拍を削除したかの指示、及び
現在の基準アノテーションでの前記マッピング電極の、以前の基準アノテーションでの同じ電極の前記空間位置からの距離、のうちの少なくとも1つを含む、実施態様1に記載のシステム。
(7) より少ないノイズを有する前記心拍、より明らかな局所活性化時間(LAT)を有する前記心拍、より明らかな遅延電位を有する前記心拍、より安定した分画を有する前記心拍、及びより少ないV干渉(V interference)を有する前記心拍のうちの少なくとも1つに基づいて、前記マシン学習アルゴリズムが、前記第1の心拍及び前記第2の心拍のうちどちらが最適な特徴を有するかを決定する、実施態様1に記載のシステム。
(8) 前記比較した属性情報に基づく、前記第1の心拍又は前記第2の心拍が最適な特徴を有するかどうかの前記決定が、バイナリ決定である、実施態様1に記載のシステム。
(9) 前記マシン学習アルゴリズムが、ニューラルネットワークである、実施態様1に記載のシステム。
(10) 前記ニューラルネットワークが、畳み込みニューラルネットワークである、実施態様9に記載のシステム。
【0208】
(11) マシン学習アルゴリズムによって電気生理学的(EP)マッピングシステムの最適な特徴を有する心拍を検出するための方法であって、前記方法が、
第1の心拍に対応する第1の属性情報を含む、特定された心臓空間位置での前記第1の心拍を含む第1のデータを受信することと、
第2の心拍に対応する第2の属性情報を含む、前記特定された心臓空間位置での前記第2の心拍を含む第2のデータを受信することと、
前記第1のデータを前記第2のデータと比較することと、
前記比較することに基づいて、前記第1の心拍及び前記第2の心拍のうちのどちらが最適な特徴を有するかの決定を出力することと、を含む、方法。
(12) 前記決定を前記EPマッピングシステムに出力することを更に含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 電気生理学的(EP)マッピングシステムのマッピングアノテーションを検出するためのシステムであって、前記システムが、
プロセッサであって、
同じ空間位置で得られた複数の心拍の各々の属性データを含む入力データを受信することと、
複数の心拍の各々の前記属性データを、事前に定義した閾値と比較することと、
前記属性データに基づいて、どの心拍を前記マッピングアノテーションとして使用するべきかを決定することと、を行うように構成されたマシン学習アルゴリズムを含む、プロセッサを含む、システム。
(14) 前記マシン学習アルゴリズムが、前記マッピングアノテーションとして使用する前記心拍の前記決定を前記EPマッピングシステムに更に出力する、実施態様13に記載のシステム。
(15) 前記複数の心拍のうちの1つが、前記EPマッピングシステムにおいて医師によって手動で取得される、実施態様13に記載のシステム。
【0209】
(16) 前記EPマッピングシステムにおいて前記医師によって取得された前記心拍の結果に基づいて、前記マシン学習アルゴリズムが、前記複数の心拍のうちのどれを前記マッピングアノテーションとして使用するべきかを決定するように学習する、実施態様15に記載のシステム。
(17) 前記属性データが、
カテーテルの電極によって受信された心内電位図信号、
マッピング電極から受信された心電図信号、
1つ又は2つ以上の体表面電極によって受信された心電図信号、
取得された心拍の局所的なアノテーション時間、
基準アノテーション時の前記マッピング電極の組織近接度指示(TPI)、
マッピングカテーテルの力センサによって検出される力値、
前記基準アノテーションでの前記マッピング電極の空間位置、
呼吸ゲーティング状態、
前記基準アノテーションの周囲の呼吸状態ベクター、
呼吸サイクル内の前記基準アノテーションの位置、
現在の呼吸サイクル長と以前の呼吸サイクル長との間の差、
前記現在の呼吸サイクル長と前記以前の呼吸サイクル長との比率、
前記現在の呼吸サイクル長と平均又は中間の呼吸サイクル長との間の差、
前記現在の呼吸サイクル長と前記平均又は中間の呼吸サイクル長との比率、
医師が手動で、前記EPマッピングシステムへの心拍を受け取ったか、又は前記心拍を削除したかの指示、
この心拍時に何らかの体表面活性化が存在したか否かの指示、及び
現在の基準アノテーションでの前記マッピング電極の、以前の基準アノテーションでの同じ電極の前記空間位置からの距離、のうちの少なくとも1つを含む、実施態様13に記載のシステム。
(18) より少ないノイズを有する前記心拍、より明らかな局所活性化時間(LAT)を有する前記心拍、より明らかな遅延電位を有する前記心拍、より安定した分画を有する前記心拍、及びより少ないV干渉を有する前記心拍のうちの少なくとも1つに基づいて、前記マシン学習アルゴリズムが、前記複数の心拍のうちのどれを前記マッピングアノテーションとして使用するかを決定する、実施態様13に記載のシステム。
(19) 前記マシン学習アルゴリズムが、ニューラルネットワークである、実施態様13に記載のシステム。
(20) 前記ニューラルネットワークが、リカレントニューラルネットワーク(RNN)である、実施態様19に記載のシステム。
【0210】
(21) 前記マッピングアノテーションとして使用されると決定される前記心拍が、前記RNNを訓練するための入力である、実施態様20に記載のシステム。
(22) 前記マッピングアノテーションとして使用する前記心拍の前記決定が、その精度を確認するために、ゴールドスタンダードデータベースに対して比較される、実施態様13に記載のシステム。
(23) マシン学習アルゴリズムによって電気生理学的(EP)マッピングシステムのマッピングアノテーションを検出するための方法であって、
同じ空間位置で得られた複数の心拍の各々の属性データを含む入力データを受信することと、
複数の心拍の各々の前記属性データを、事前に定義した閾値と比較することと、
前記比較することに基づいて、どの心拍を前記マッピングアノテーションとして使用するべきかを決定することと、
前記決定を前記EPマッピングシステムに出力することと、を含む、方法。
(24) 前記複数の心拍のうちの1つが、前記EPマッピングシステムにおいて医師によって手動で取得され、
前記方法が、前記EPマッピングシステムにおいて前記医師によって取得された前記心拍の結果に基づいて、前記マシン学習アルゴリズムを、前記複数の心拍のうちのどれを前記マッピングアノテーションとして使用するべきかを決定するように学習するように訓練することを更に含む、実施態様23に記載の方法。