【課題】本発明が解決しようとする課題は、時計機能を備えないプリンタにおいても、自機が有する機器情報を時期に関連する情報と関連付けて記憶媒体に記憶することができるプリンタおよびプログラムを提供することである。
【解決手段】実施形態のプリンタは、用紙に印刷を行う印刷部と、記憶媒体を着脱自在に接続可能な接続部と、前記接続部に接続された前記記憶媒体から時期を表す時期情報を取得する取得部と、前記印刷部の印刷機能に関する機器情報と前記取得部が取得した前記時期情報とを関連付けた出力情報を、前記接続部に接続された前記記憶媒体に記憶させる記憶制御部と、を備えたものである。
前記取得部は、前記記憶媒体に記憶されたフォルダのフォルダ名またはファイルのファイル名の少なくとも一方が前記時期情報を示すものであると認識した場合、当該フォルダ名またはファイル名を前記時期情報として取得する、
請求項1または2に記載のプリンタ。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態のプリンタについて説明する。本実施形態においては、プリンタの一例として、サーマルヘッドの発熱によって印刷を行うサーマルプリンタについて説明する。しかしながら、プリンタは、これに限るものではない。
【0009】
図1は、サーマルプリンタ1の外観の一例を示す斜視図である。サーマルプリンタ1は、図示しない上位装置と接続され、この上位装置から印刷データを受信して印刷を行う。本実施形態においては、上位機種をPOS(Point Of Sales)端末としている。サーマルプリンタ1は、POS端末から受信した取引情報に基づいてレシートを印刷する。
【0010】
サーマルプリンタ1は、上部筐体2と下部筐体3とからなる機器本体4を備える。上部筐体2は、一端側5を軸として下部筐体3に回動可能に設けられている。
図1に示す状態から上部筐体2を回動させると、サーマルプリンタ1の内部が開放される。上部筐体2の上面には、操作部6が設けられている。操作部6は、複数の操作ボタン7を備えている。操作部6は、サーマルプリンタ1に対する操作をユーザから受け付け、受け付けた操作に応じた各種指示を入力する。例えば、操作部6は、電源のオン又はオフの操作指示を入力する。また、例えば、操作部6は、機器本体4に接続されたUSBメモリ100(
図5、
図6参照)に対する機器情報の出力指示などを入力する。
【0011】
サーマルプリンタ1は、発行口8を有している。発行口8は、印刷されたレシート9をサーマルプリンタ1内から外部へ排出する。また、サーマルプリンタ1は、USB接続ポート10を備えている。USB接続ポート10は、USBメモリ100などUSB規格に準拠した装置を着脱可能に接続する。USB接続ポート10は、記憶媒体が着脱可能に接続される接続部の一例である。
【0012】
図2は、サーマルプリンタ1の内部構造を模式的に示す図である。
図2に示すように、サーマルプリンタ1は、保持部11、複数のガイドローラ12、プラテン13、サーマルヘッド14、一対の刃からなるカッタ15等を内部に備える。
【0013】
保持部11は、ロール状に巻回された感熱紙16を回転自在に保持する。ガイドローラ12は、保持部11から巻き出された感熱紙16を、プラテン13とサーマルヘッド14との間に案内する。これらガイドローラ12は、保持部11からプラテン13とサーマルヘッド14との間に至る搬送経路中に2対設けられている。
【0014】
プラテン13は、サーマルヘッド14とともに感熱紙16を挟持した状態で搬送モータ17(
図3参照)を駆動源として回転することで、感熱紙16を搬送する。搬送モータ17は、例えばステッピングモータで構成される。
【0015】
サーマルヘッド14は、感熱紙16の搬送方向と交差(本実施形態では直交)する方向(
図2において紙面と直交する方向)に沿うライン上に複数の発熱体が設けられたラインサーマルヘッドである。また、サーマルヘッド14は、プラテン13に向けて所定の加圧力で付勢されている。サーマルヘッド14は、上記した発熱体を発熱させて感熱紙16に熱エネルギーを加えることで、搬送モータ17によって搬送される感熱紙16に印刷を行う。プラテン13とサーマルヘッド14は、感熱紙16を印刷する印刷部18を構成する。また、サーマルヘッド14は、サーミスタなどで構成される温度センサ19(
図3参照)を備えている。サーマルヘッド14の発熱体は、温度センサ19の検出温度に応じて発熱時間が制御される。印刷中に温度センサ19で検出された温度の履歴(以下、温度履歴ともいう)は、機器情報部43(
図3参照)に記憶される。
【0016】
カッタ15は、形状が同じ平板状の固定刃と可動刃とを組み合わせて形成され、固定刃に対して可動刃を摺動させることによって、搬送される感熱紙16を任意の位置で切断可能となっている。
図2において、固定刃は図示上方、可動刃は図示下方にそれぞれ配設される。可動刃は、カッタモータ20(
図3参照)によって駆動されて、
図2の上下方向に移動可能となっている。可動刃は、常時は下方に位置して固定刃との間に感熱紙16を通過させ、感熱紙16を切断する際に上方に移動する。カッタ15によって切断された感熱紙16は、レシート9として発行口8から発行される。
【0017】
次に、サーマルプリンタ1のハードウェア構成について説明する。
図3は、サーマルプリンタ1のハードウェア構成を示すブロック図である。サーマルプリンタ1は、制御部30と、記憶部40と、入出力コントローラ50と、USBインターフェイス60と、通信インターフェイス70等を備える。制御部30、記憶部40、入出力コントローラ50、USBインターフェイス60、通信インターフェイス70はバス80を介して互いに接続されている。
【0018】
制御部30は、CPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33を備えたコンピュータで構成される。CPU31、ROM32、RAM33は、バス80を介して互いに接続されている。
【0019】
CPU31は、サーマルプリンタ1の全体の動作を制御する。ROM32は、サーマルプリンタ1のファームウェア等、サーマルプリンタ1の動作に係るプログラムや各種データを記憶する。RAM33は、時期情報部331を備える。時期情報部331は、USB接続ポート10に接続されたUSBメモリ100(
図5、6参照)などの記憶媒体から読み出された時期情報を記憶する。時期情報は、時を示す情報であって、例えば、2020年などの年単位で時を示す情報、2020年1月などの月単位で時を示す情報、2020年1月1日などの日単位で時を示す情報、2020年1月1日1時などの時単位で時を示す情報、2020年1月1日1時1分などの分単位で時を示す情報、2020年1月1日1時1分1秒などの秒単位で時を示す情報等である。なお、時期情報は、さらに細かい単位で時を表すものでもよい。時期情報が時を表す単位は、適宜設定することができる。また、RAM33は、CPU31のワークエリアとして使用され、ROM32や記憶部40に記憶された各種プログラムや各種データを展開する。制御部30は、CPU31がROM32や記憶部40に記憶されRAM33に展開された制御プログラムに従って動作することによって、サーマルプリンタ1の各種制御処理を実行する。
【0020】
記憶部40は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Memory)などの記憶装置で構成される。記憶部40は、制御プログラム部41、更新プログラム部42、機器情報部43、時期情報フォーマット部44を備える。制御プログラム部41は、サーマルプリンタ1として機能するための制御プログラムの他、各種制御プログラムを記憶する。
【0021】
更新プログラム部42は、USBインターフェイス60あるいは通信インターフェイス70を介して外部からダウンロードした更新プログラムを記憶する。更新プログラムは、例えばROM32に記憶されたファームウェアや、制御プログラム部41に記憶された制御プログラム等のソフトウェアを更新するためのプログラムである。以下、更新プログラムによって更新されるソフトウェアをプログラムとも称する。
【0022】
機器情報部43は、サーマルプリンタ1が具備する機器に関する情報を記憶する。具体的には、機器情報部43は、印刷部18の印刷機能に関する情報(以下、機器情報ともいう)を記憶する。
図4は、機器情報部43のデータ構成を説明する図である。機器情報部43は、機器情報として、製品情報とメンテナンス情報とを記憶する。
【0023】
製品情報は、一例として、サーマルプリンタ1の機種名、シリアルNo、製造年月日などを示す情報を含む。製品情報は、製品出荷時に記憶される。機種名は、サーマルプリンタ1の機種の名称である。シリアルNoは、サーマルプリンタ個品毎に定められた番号である。製造年月日は、サーマルプリンタ1が製造された年月日である。なお、サービスマン等の使用者(以下、単に使用者ともいう)がメンテナンスを行う際に製品情報を利用することもあり得るので、製品情報はメンテナンス情報の一部ということもできる。
【0024】
メンテナンス情報は、使用者等がサーマルプリンタ1のメンテナンスを行う際に利用可能な情報である。具体的には、メンテナンス情報は、印刷部18の動作に係る設定や印刷部18の動作履歴などを示す情報である。メンテナンス情報は、製品出荷後に記憶される情報であって、一例としては、設定情報、発行枚数、印刷ジョブ履歴、エラー情報、サーマルヘッド温度履歴などを示す情報を含む。
【0025】
設定情報は、サーマルプリンタ1を利用するにあたって設定されるIPアドレス、使用言語、用紙サイズなどである。発行枚数は、サーマルプリンタ1が発行したレシートの枚数であり、レシートの印刷毎に更新される。印刷ジョブ履歴は、サーマルプリンタ1が印刷を行ったジョブの履歴であり、印刷ジョブ実行毎に更新される。エラー情報は、POS端末との間の通信エラーやサーマルヘッド14の動作不良等、サーマルプリンタ1で発生したエラーの内容であり、エラー発生毎に更新される。サーマルヘッド温度履歴は、印刷中に温度センサ19が検知した温度の履歴であり、印刷ジョブ実行毎に更新される。
【0026】
図3に戻って、時期情報フォーマット部44は、USB接続ポート10に接続された記憶媒体から時期情報を抽出するためのフォーマットを記憶する。本実施形態においては、フォーマットは、秒単位で時を示すためのもので、「yyyy−mm−dd−hh−mm−ss」の形式となっている。このフォーマットでは、左から順に、最初の4桁は西暦を示し、次からの各2桁は、月、日、時、分、秒を示す。
【0027】
入出力コントローラ50は、操作部6、サーマルヘッド14、搬送モータ17、温度センサ19、およびカッタモータ20と接続される。入出力コントローラ50は、接続されるハードウェアに対する入出力インターフェイスとしての機能とこれらハードウェアを制御するための機能とを備えている。これにより、制御部30は、入出力コントローラ50を介して、操作部6、サーマルヘッド14、搬送モータ17、温度センサ19、およびカッタモータ20とそれぞれ情報(データ)の送受信が可能であるとともに、制御部30の指示に基づいてこれらハードウェアを制御可能となっている。
【0028】
USBインターフェイス60は、USB接続ポート10に接続されたUSBメモリ100(
図5、6参照)などUSB規格に準拠する装置と着脱自在に接続される。これにより、制御部30は、USBメモリ100などと情報(データ)の送受信が可能となっている。通信インターフェイス70は、上位装置であるPOS端末と接続される。これにより、制御部30は、POS端末と情報(データ)の送受信が可能となっている。
【0029】
次に、サーマルプリンタ1の機能構成について説明する。
図5は、サーマルプリンタ1の機能構成の一例を示すブロック図である。制御部30は、CPU31がROM32や記憶部40の制御プログラム部41および更新プログラム部42に記憶された制御プログラムにしたがって動作することで、検知部301、入力部302、フォルダ参照部303、ファイル参照部304、取得部305、機器情報読出部306、出力情報作成部307、記憶制御部308、として機能する。なお、これら各機能をハードウェアで構成してもよい。
【0030】
検知部301は、USB接続ポート10からの検知信号によって、USB接続ポート10にUSBメモリ100が接続されたことを検知する。また、検知部301は、USB接続ポート10からの検知信号によって、USBメモリ100がUSB接続ポート10から取り外されたことを検知する。
【0031】
入力部302は、機器情報の記憶媒体への出力指示が入力される。具体的には、入力部302は、USB接続ポート10に接続されたUSBメモリ100に対する機器情報の出力指示が操作部6から入力される。なお、入力部302は、検知部301がUSBメモリ100の接続を検知した場合に、検知部301から出力指示が入力されるようにしてもよい。すなわち、検知部301でUSBメモリ100の接続を検知すると直ちに出力指示が入力されるようにしてもよい。
【0032】
フォルダ参照部303は、検知部301によりUSB接続ポート10に対するUSBメモリ100の接続が検知され、かつ、入力部302に機器情報の出力指示が入力された場合に動作する。フォルダ参照部303は、USB接続ポート10に接続されたUSBメモリ100にアクセスして、USBメモリ100に記憶されたフォルダのフォルダ名を参照して時期情報と認識する。また、フォルダ参照部303は、USB接続ポート10に接続されたUSBメモリ100にアクセスして、USBメモリ100に記憶されたフォルダに関連付けて記憶されている当該フォルダの更新時期を参照して時期情報と認識する。フォルダに関連付けて記憶される更新時期とは、PC(Personal Computer)等によってUSBメモリ内のフォルダを更新した際に、当該PCの時計機能に基づいて記録されるものである。なお、フォルダ参照部303は、USBメモリ100に記憶されたフォルダに関連付けて記憶されている当該フォルダの作成時期を参照してもよい。
【0033】
ファイル参照部304は、フォルダ参照部303と同様に、検知部301によりUSB接続ポート10に対するUSBメモリ100の接続が検知され、かつ、入力部302に機器情報の出力指示が入力された場合に動作する。ファイル参照部304は、USB接続ポート10に接続されたUSBメモリ100にアクセスして、USBメモリ100に記憶されたファイルに関連付けて記憶されている当該ファイルの更新時期を参照して時期情報と認識する。ファイルに関連付けて記憶される更新時期とは、PC等によってファイルを更新した際に、当該PCの時計機能に基づいて記録されるものである。なお、ファイル参照部304は、USBメモリ100に記憶されたファイルに関連付けて記憶されている当該ファイルの作成時期を参照して時期情報と認識してもよい。また、ファイル参照部304は、USB接続ポート10に接続されたUSBメモリ100にアクセスして、USBメモリ100に記憶されたファイルのファイル名を参照して時期情報と認識することも可能である。
【0034】
取得部305は、接続部に接続された記憶媒体から時期を示す時期情報を取得する。具体的には、取得部305は、フォルダ参照部303、ファイル参照部304が認識した時期情報を、USB接続ポート10に接続されたUSBメモリ100から取得してRAM33の時期情報部331に記憶する。取得部305がUSBメモリ100から時期情報を取得する方法は、以下に説明するものがある。取得部305は、これら取得方法を単独あるいは組み合わせることによって、USBメモリ100から時期情報を取得することができる。
【0035】
第1の取得方法として、取得部305は、予め定められた記憶媒体の時期情報記憶領域にアクセスして時期情報を取得することができる。時期情報記憶領域は、使用者が自由に書き込むことができる領域である。例えば、USBメモリ100に記憶された最上位のフォルダ名を記憶した領域を時期情報記憶領域とし、取得部305は、USBメモリ100に記憶された最上位のフォルダのフォルダ名を読み取ることで時期情報を取得することができる。なお、時期情報記憶領域は、USBメモリ100の任意の記憶領域に設定することができる。
【0036】
第2の取得方法として、取得部305は、記憶媒体に記憶されたフォルダのフォルダ名またはファイルのファイル名の少なくとも一方が時期情報を示すものであると認識した場合、当該フォルダ名またはファイル名を時期情報として取得することができる。例えば、まず、フォルダ参照部303やファイル参照部304が、USBメモリ100に記憶されたフォルダのフォルダ名やファイルのファイル名を参照し、これらフォルダ名やファイル名が、記憶部40の時期情報フォーマット部44に記憶されたフォーマットと合致するフォーマットで記憶されているか否かチェックする。
【0037】
続いて、取得部305は、参照したフォルダ名やファイル名が時期情報フォーマット部44に記憶されたフォーマットと合致した場合、当該フォルダ名やファイル名を時期情報として取得する。時期情報として認識できるフォルダ名やファイル名が複数ある場合、取得部305は、最新の時期として認識できるものを取得する。上述したとおり、時期情報フォーマット部44に記憶されたフォーマットは、秒単位で時を示すものであるので、取得部305は、このフォーマットのルールにしたがって最新の時期情報を判断することができる。なお、取得部305は、フォルダ参照部303が参照したフォルダ名のみに基づいて時期情報を取得することもできる。同様に、取得部305は、ファイル参照部304が参照したファイル名のみに基づいて時期情報を取得することもできる。また、取得部305がフォルダ名又はファイル名を参照し、時期情報であることを認識してもよい。すなわち、取得部305にフォルダ参照部303及びファイル参照部304の機能を持たせることも可能である。
【0038】
第3の取得方法として、取得部305は、記憶媒体に記憶されたフォルダまたはファイルの更新時期のうち、最新の更新時期を時期情報として取得することができる。ここでいう、記憶媒体に記憶されたフォルダまたはファイルの更新時期とは、PC等によってフォルダやファイルが更新された際に、当該PC等の時計機能に基づいて記録される更新時期である。第3の取得方法では、例えば、フォルダ参照部303やファイル参照部304が、USBメモリ100に記憶されたフォルダやファイルの更新時期を参照する。続いて、取得部305は、これら更新時期の中から最新のものを時期情報として取得することができる。なお、取得部305は、フォルダ参照部303が参照したフォルダの更新時期のみに基づいて時期情報を取得することもできる。同様に、取得部305は、ファイル参照部304が参照したファイルの更新時期のみに基づいて時期情報を取得することもできる。また、取得部305がフォルダやファイルの更新時期を参照してもよい。第2の取得方法で説明した場合と同様に、取得部305にフォルダ参照部303及びファイル参照部304の機能を持たせることも可能である。
【0039】
機器情報読出部306は、検知部301によりUSB接続ポート10に対するUSBメモリ100の接続が検知され、かつ、入力部302に機器情報の出力指示が入力された場合、記憶部40の機器情報部43に記憶された機器情報を読み出す。
【0040】
出力情報作成部307は、機器情報と時期情報とを関連付けた出力情報を作成する。具体的には、出力情報作成部307は、機器情報読出部306が読み出した機器情報を出力ファイルとして作成し、取得部305が取得して時期情報部331に記憶された時期情報を出力ファイルの作成時期(あるいは更新時期)として記憶する。出力ファイルは、出力情報の一例であり、複数のファイルで構成してもよい。
【0041】
記憶制御部308は、印刷部18の印刷機能に関する機器情報と取得部305が取得した時期情報とを関連付けた出力情報を、接続部に接続された記憶媒体に記憶させる。具体的には、記憶制御部308は、出力情報作成部307が作成した出力ファイルをUSBメモリ100の所定領域に記憶させる。なお、記憶部40やUSBメモリ100等に記憶する動作のことを書込むと呼ぶ場合がある。
【0042】
次に、USBメモリ100の構成について説明する。
図6は、USBメモリのデータ構成を説明する図である。USBメモリ100には、最上位のフォルダ(ルートフォルダ)である統合フォルダ101が記憶されている。統合フォルダ101は、USBメモリ100の直下に保存される唯一のフォルダである。なお、必要に応じて、統合フォルダ101の外、つまりUSBメモリ100の直下にファイルが保存されることもある。
【0043】
統合フォルダ101のフォルダ名を記憶する領域は、予め定められた記憶媒体の時期情報記憶領域の一例である。統合フォルダ101のフォルダ名は、使用者によって任意に設定可能であり、例えば、サーマルプリンタ1の機器情報を取得する日を示す情報が設定される。統合フォルダ101のフォルダ名は、時期情報フォーマット部44に記憶されたフォーマットと同様に、「yyyy−mm−dd−hh−mm−ss」のフォーマットとなっている。すなわち、統合フォルダ101のフォルダ名は、左から西暦を表す4桁の数字yyyy、月を表す2桁の数字mm、日を表す2桁の数字dd、時を表す2桁の数字hh、分を表す2桁の数字mm、秒を表す2桁の数字ss、によって構成される。サーマルプリンタ1のフォルダ参照部303は、統合フォルダ101のフォルダ名を参照することで、このフォルダ名が時期を示す時期情報であることを認識できる。なお、予め定められた記憶媒体の時期情報領域は、統合フォルダ101のフォルダ名の記憶領域に限らず、任意の記憶領域に設定することができる。
【0044】
統合フォルダ101のフォルダ名は、任意の方法で記憶される。一例としては、統合フォルダ101のフォルダ名は、サーマルプリンタ1にUSBメモリ100を接続する使用者によってPC等を用いて書き込まれる。
【0045】
統合フォルダ101は、内部に複数のプリンタフォルダを有している。
図6においては、プリンタAフォルダ110、プリンタBフォルダ120のみを図示しているが、統合フォルダ101は、この他にもプリンタフォルダを有している。プリンタフォルダは、サーマルプリンタ1の機種ごとに設けられている。プリンタAフォルダ110には、機種Aに対応する情報が記憶され、プリンタBフォルダ120には、機種Bに対応する情報が記憶されている。
【0046】
プリンタAフォルダ110は、ファームウェアファイル111、フォントファイル112、および機器情報ファイル113を有する。プリンタBフォルダ120は、ファームウェアファイル121、フォントファイル122、および機器情報ファイル123を有する。プリンタAフォルダ110とプリンタBフォルダ120のフォルダ構成は同様であるので、以下、プリンタAフォルダ110についてのみ説明し、プリンタBフォルダ120の説明は省略する。
【0047】
ファームウェアファイル111は、サーマルプリンタ1に記憶されたファームウェアの更新プログラムを記憶する。ファームウェアファイル111は、USBメモリ100を接続したサーマルプリンタ1にダウンロードされ、記憶部40の更新プログラム部42に記憶される。ファームウェアファイル111のサーマルプリンタ1へのダウンロードは必要に応じて適宜実行される。
【0048】
フォントファイル112は、サーマルプリンタ1が印字する文字のイメージを記憶する。フォントファイル112は、サーマルプリンタ1にダウンロードされ、記憶部40に記憶される。フォントファイル112のダウンロードはサーマルプリンタ1の使用開始時に実行され、また、必要に応じて適宜実行される。ダウンロードされたフォントファイル112の情報、例えば使用言語を示す情報は、設定情報の一部として機器情報部43に記憶される。
【0049】
機器情報ファイル113は、サーマルプリンタ1の記憶制御部308によって、サーマルプリンタ1の出力情報が記憶される。具体的には、機器情報ファイル113は、サーマルプリンタ1の記憶制御部308によって、出力情報作成部307が作成した出力ファイルが書き込まれる。
【0050】
上記のとおり、ファームウェアファイル111およびフォントファイル112は、USBメモリ100を接続したPC等によって書き込まれる。ファームウェアファイル111およびフォントファイル112の更新時期は、上記PC等の時計機能に基づいて秒単位で記憶される。一方、機器情報ファイル113は、USBメモリ100を接続したサーマルプリンタ1によって書き込まれる。サーマルプリンタ1は、時計機能を有していないため、時期情報部331に記憶された時期情報を更新日時として記憶する。
【0051】
上記構成のUSBメモリ100がサーマルプリンタ1に接続されるシーンとしては、ファームウェアファイル111をサーマルプリンタ1にダウンロードする場合、フォントファイル112をサーマルプリンタ1にダウンロードする場合、機器情報ファイル113にサーマルプリンタ1の機器情報を記憶する場合がある。
【0052】
次に、サーマルプリンタ1が接続されたUSBメモリ100に機器情報を記憶するための処理の一例について説明する。
図7は、制御部30による処理の一例を示すフローチャートである。
【0053】
検知部301は、USB接続ポート10にUSBメモリ100が接続されたか否かを判断し(S1)、接続されていない場合(S1のN)、制御部30は、S1の処理に戻って待機する。検知部301がUSBメモリ100の接続を検知すると(S1のY)、入力部302は、操作部6から出力指示が入力されたか否かを判断し(S2)、入力されていない場合(S2のN)、制御部30は、S2の処理に戻る。
【0054】
入力部302に出力指示が入力されると(S2のY)、フォルダ参照部303は、USBメモリ100の最上位フォルダである統合フォルダ101のフォルダ名を参照する(S3)。すなわち、フォルダ参照部303は、時期情報記憶領域として予め設定された、統合フォルダ101のフォルダ名を記憶した記憶領域にアクセスして、当該フォルダ名を時期情報として認識する。
【0055】
続いて、取得部305は、統合フォルダ101のフォルダ名を時期情報として取得し、RAM33の時期情報部331に記憶する(S4)。機器情報読出部306は、記憶部40の機器情報部43から機器情報を読み出す(S5)。
【0056】
次いで、出力情報作成部307は、出力情報として出力ファイルを作成する(S6)。出力ファイルは、S5で読み出した機器情報を記憶したファイルであって、S4で記憶した時期情報が関連付けて記憶されている。具体的には、出力ファイルの作成時期あるいは更新時期として上記時期情報が記憶される。
【0057】
記憶制御部308は、S6で出力情報作成部307が作成した出力ファイルをUSBメモリ100に記憶させる(S7)。具体的には、記憶制御部308は、出力ファイルを、サーマルプリンタ1に接続されたUSBメモリ100の機器情報ファイル113に記憶させる。そして、制御部30は、USBメモリ100に機器情報を記憶するための処理を終了する。
【0058】
メンテナンスを行う使用者は、このようにしてメンテナンスを行うサーマルプリンタ1の機器情報を時期情報とともにUSBメモリ100に記憶することができる。USBメモリ100に記憶された機器情報は、例えばサーマルプリンタ1で発生したエラーを解析するために解析用のPCにダウンロードされる。なお、機器情報を記憶したサーマルプリンタ1と同じ機種の他のサーマルプリンタからUSBメモリ100に機器情報を記憶する場合、記憶した機器情報を別途用意した管理用のPC等に保存した後、他のサーマルプリンタの機器情報をUSBメモリ100に記憶する。この場合、USBメモリ100の機器情報ファイル113は上書きされる。このため、USBメモリ100に記憶されるデータ容量は制限されることから、サーマルプリンタ1に接続したUSBメモリ100に機器情報を書込む際、USBメモリの容量不足によって書込みができなくなることを抑制できる。
【0059】
以上説明したとおり、本実施形態のサーマルプリンタ1によれば、サーマルプリンタおよびサーマルプリンタに接続される記憶媒体(あるいは記憶媒体を備えた装置)に時計機能を備えていない状況においても、記憶媒体に機器情報が記憶された時期の情報を書込むことができる。したがって、上記状況においても、機器情報を書込んだ時期の情報をメンテナンスに活用することができる。また、USBメモリ100に記憶した時期情報に基づいて、取得した機器情報の管理等を行うことができる。これにより、サーマルプリンタ1の印刷機能に関する情報を時系列で把握することができ、メンテナンスを効果的に行うことができる。なお、機器情報とともに記憶される時期情報は、USBメモリ100に機器情報を記憶した時期と完全には一致しないが、使用者は、自己の作業に合せて必要な範囲で時期情報を設定することができる。
【0060】
(変形例)
次に、本実施形態の変形例について説明する。
図8は、変形例における制御部30の処理を示すフローチャートである。
図7における処理では、時期情報記憶領域として予め設定された記憶領域に正しいフォーマットで時期情報が記憶されていることを前提としたものである。これに対し、変形例は、使用者が時期情報を予め記憶していない場合、あるいは時期情報を記憶しようとしたが正しいフォーマットで記憶されていない場合等であっても対応できるようにしたものである。
【0061】
検知部301は、USB接続ポート10にUSBメモリ100が接続されたか否かを判断し(S11)、接続されていない場合(S11のN)、制御部30は、S11の処理に戻って待機する。検知部301がUSBメモリ100の接続を検知すると(S11のY)、入力部302は、操作部6から出力指示が入力されたか否かを判断し(S12)、入力されていない場合(S12のN)、制御部30は、S12の処理に戻る。
【0062】
入力部302に出力指示が入力されると(S12のY)、フォルダ参照部303は、USBメモリ100にアクセスし、プリンタフォルダのフォルダ名を参照してRAM33に記憶する(S13)。この例においては、サーマルプリンタ1の機種がAであるものとし、フォルダ参照部303は、プリンタAフォルダ110のフォルダ名を参照する。プリンタAフォルダ110のフォルダ名が記憶される領域は、時期情報記憶領域として予め設定された記憶領域の一例である。
【0063】
次いで、フォルダ参照部303は、時期情報フォーマット部44から時期情報フォーマットを読出し(S14)、プリンタAフォルダ110のフォルダ名のフォーマットが時期情報フォーマットと合致するか否か判断する(S15)。合致していると(S15のY)、取得部305は、プリンタAフォルダ110のフォルダ名を時期情報として取得し、RAM33の時期情報部331に記憶する(S16)。つまり、フォルダ参照部303は、使用者によって時期情報記憶領域として予め設定された記憶領域に時期情報が書き込まれたものと判断し、取得部305はこれを時期情報として記憶する。
【0064】
S15において、プリンタAフォルダ110のフォルダ名のフォーマットが時期情報フォーマットと合致しないと(S15のN)、フォルダ参照部303は、プリンタAフォルダ110の更新時期を参照してRAM33に記憶する(S17)。次いで、ファイル参照部304は、プリンタAフォルダ110内のファームウェアファイル111とフォントファイル112の更新時期を参照してRAM33に記憶する(S18)。
【0065】
プリンタAフォルダ110のフォルダ名のフォーマットが時期情報フォーマットと合致しない場合は、利用者によって時期情報が書込まれていない、あるいは書き込まれたが正しいフォーマットで書き込まれていないことを意味する。この場合、変形例においては、プリンタAフォルダ110、ファームウェアファイル111、フォントファイル112を更新した際に、PC等で自動的に記録される更新時期を時期情報として扱うこととしている。したがって、利用者によって時期情報が正しく書込まれていない場合でも時期情報を取得することができる。
【0066】
続いて、取得部305は、RAM33に記憶されたプリンタAフォルダ110、ファームウェアファイル111、フォントファイル112のそれぞれの更新時期から最新の更新時期を選定し(S19)、制御部30は、S16の処理に移行する。すなわち、取得部305は、最新の更新時期を時期情報として時期情報部331に記憶する。S16の処理後、機器情報読出部306は、記憶部40の機器情報部43から機器情報を読み出す(S20)。
【0067】
次いで、出力情報作成部307は、出力情報として出力ファイルを作成する(S21)。出力ファイルは、S20で読み出した機器情報を記憶したファイルであって、S16で記憶した時期情報が関連付けて記憶されている。具体的には、出力ファイルの作成時期あるいは更新時期として上記時期情報が記録される。
【0068】
記憶制御部308は、S21で出力情報作成部307が作成した出力ファイルをUSBメモリ100に記憶させる(S22)。具体的には、記憶制御部308は、出力ファイルをサーマルプリンタ1に接続されたUSBメモリの機器情報ファイル113に記憶させる。そして、制御部30は、USBメモリ100に機器情報を記憶するための処理を終了する。
【0069】
以上説明したとおり、上記変形例によれば、使用者によって正しいフォーマットでUSBメモリ100の所定の領域に時期情報が記憶されていない場合でも、USBメモリ100に機器情報が記憶された時期の情報を書込むことができる。なお、機器情報とともに記憶される時期情報は、USBメモリ100に機器情報を記憶した時期と完全には一致しない。しかし、通常、USBメモリ100をサーマルプリンタ1に接続する前には、USBメモリ100内のフォルダやファイルは何らかの更新がなされるので、書込まれる時期情報は、機器情報が記憶された時期に関する情報ということができる。
【0070】
上記変形例においては、時期情報記憶領域として予め設定された記憶領域に正しいフォーマットで時期情報が記憶されていない場合に、取得部305がUSBメモリ100のフォルダやファイルの更新時期を時期情報として取得するようにしている。しかしながら、時期情報記憶領域として予め設定された記憶領域を設けなくてもよい。この場合、フォルダ参照部303がプリンタAフォルダ110のフォルダ名を参照することなく、取得部305がUSBメモリ100のフォルダやファイルの更新時期を時期情報として取得すればよい。
【0071】
なお、上記実施形態において、サーマルプリンタ1で実行される制御プログラムは、CD−ROM等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。また、上記実施形態のサーマルプリンタ1で実行される制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良く、さらには、インターネット等のネットワーク経由で提供するように構成しても良い。
【0072】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0073】
例えば、サーマルプリンタ1に接続される記憶媒体は、USBメモリに限らない。また、上記実施形態においては、機器情報とともに記憶される時期情報を秒単位で示す情報としたが、これに限らず、使用者が必要な範囲で任意に設定することができる。