特開2021-194892(P2021-194892A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-194892(P2021-194892A)
(43)【公開日】2021年12月27日
(54)【発明の名称】感熱記録体
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/333 20060101AFI20211129BHJP
   B41M 5/337 20060101ALI20211129BHJP
【FI】
   B41M5/333 220
   B41M5/337 230
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2020-105074(P2020-105074)
(22)【出願日】2020年6月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110249
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 昭
(74)【代理人】
【識別番号】100113022
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】村田 佑香
(72)【発明者】
【氏名】平井 健二
(72)【発明者】
【氏名】緑川 佳美
【テーマコード(参考)】
2H026
【Fターム(参考)】
2H026AA07
2H026BB24
2H026CC05
2H026CC07
2H026CC10
2H026DD14
2H026DD17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】保護層を設けることなしに、発色性能を有しつつ、耐湿熱性、溶剤バリア性などに優れる感熱記録体を提供する。
【解決手段】支持体上に、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料及び電子受容性顕色剤を主成分として含有する感熱記録層を有し、該感熱記録層上に保護層を有さない感熱記録体において、該感熱記録層が、電子受容性顕色剤として下記一般式で表されるウレア化合物、バインダーとしてカルボキシ変性ポリビニルアルコール、並びに架橋剤としてエピクロロヒドリン系樹脂及びポリアミン/ポリアミド系樹脂(エピクロロヒドリン系樹脂に含まれるものを除く。)を含有する、感熱記録体。

(式中、R〜Rは、それぞれ同じであっても異なってもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基などを表し、mは0〜2の整数を表す。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料及び電子受容性顕色剤を主成分として含有する感熱記録層を有し、該感熱記録層上に保護層を有さない感熱記録体において、該感熱記録層が、電子受容性顕色剤として下記一般式(化1)で表されるウレア化合物、バインダーとしてカルボキシ変性ポリビニルアルコール、並びに架橋剤としてエピクロロヒドリン系樹脂及びポリアミン/ポリアミド系樹脂(エピクロロヒドリン系樹脂に含まれるものを除く。)を含有する、感熱記録体。
【化1】
(式中、R〜Rは、それぞれ同じであっても異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、又はアリールアミノ基を表し、mは0〜2の整数を表す。)
【請求項2】
前記ウレア化合物が、下記一般式(化2)又は下記一般式(化3)で表される請求項1に記載の感熱記録体。
【化2】
【化3】
【請求項3】
前記感熱記録層中の前記ウレア化合物の含有量(固形分)が1.0〜50.0重量%である、請求項1又は2に記載の感熱記録体。
【請求項4】
前記感熱記録層が、前記一般式(化1)で表されるウレア化合物以外の顕色剤を含有し、前記感熱記録層中に含有される全顕色剤に対する、一般式(化1)で表されるウレア化合物の含有量(固形分)が90重量%以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感熱記録体。
【請求項5】
前記感熱記録層が、更に、ガラス転移点(Tg)が50℃以下、最低造膜温度(MFT)が40℃以上であるアクリル系樹脂を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感熱記録体。
【請求項6】
前記アクリル系樹脂のガラス転移点(Tg)が40℃〜50℃である請求項5に記載の感熱記録体。
【請求項7】
前記アクリル系樹脂の最低造膜温度(MFT)が60℃〜80℃である請求項5又は6に記載の感熱記録体。
【請求項8】
前記アクリル系樹脂が単量体成分としてスチレンを含まない請求項5〜7のいずれか一項に記載の感熱記録体。
【請求項9】
前記アクリル系樹脂が非コアシェル型のアクリル系樹脂である請求項5〜8のいずれか一項に記載の感熱記録体。
【請求項10】
前記カルボキシ変性ポリビニルアルコールと前記アクリル系樹脂の重量比が80/20〜20/80である請求項5〜9のいずれか一項に記載の感熱記録体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料(以下、「ロイコ染料」ともいう。)と電子受容性顕色剤(以下、「顕色剤」ともいう。)との発色反応を利用した感熱記録体であって、保護層を設けることなしに、発色性能を有しつつ、耐湿熱性、溶剤バリア性などに優れる感熱記録体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、感熱記録体は通常無色ないし淡色のロイコ染料と顕色剤とを含有する塗工液を、紙、合成紙、フィルム、プラスチック等の支持体に塗工したものであり、サーマルヘッド、ホットスタンプ、熱ペン、レーザー光等の加熱による瞬時の化学反応により発色し、記録画像が得られる。感熱記録体は、ファクシミリ、コンピューターの端末プリンタ、自動券売機、計測用レコーダー、スーパーマーケットやコンビニなどのレシート等の記録媒体として広範囲に使用されている。
近年、感熱記録体は、各種チケット用、レシート用、ラベル用、銀行のATM用、ガスや電気の検針用、車馬券等の金券用など多様な用途にも拡大してきており、そのため、耐水性、画像部の耐可塑剤性、白紙部の耐熱性、耐油性、過酷な条件下における画像部及び白紙部の保存性など様々な性能が必要とされてきている。
このような要求に対して、感熱記録体の耐水性、耐熱性、保存安定性などの要求性能を向上させるための顕色剤としてのウレア化合物(特許文献1〜3)が開示されている。また、感熱記録体の発色性能を落とさずに耐水性等を向上させるため、保護層を有さずに、感熱記録層にカルボキシル基含有樹脂、エピクロロヒドリン系樹脂及びポリアミン/アミド系樹脂を含有させることが知られている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開WO2017/111032
【特許文献2】特開2020−04286
【特許文献3】特開2020−04287
【特許文献4】国際公開WO2008/139948
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、保護層を設けることなしに、感熱記録体に求められる様々な性能のうち、発色性能を有しつつ、耐湿熱性、溶剤バリア性などに優れる感熱記録体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意検討の結果、感熱記録層に特定の2種類の顕色剤を含有させることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、支持体上に、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料及び電子受容性顕色剤を主成分として含有する感熱記録層を有し、該感熱記録層上に保護層を有さない感熱記録体において、該感熱記録層が、電子受容性顕色剤として下記一般式(化1)で表されるウレア化合物、バインダーとしてカルボキシ変性ポリビニルアルコール、並びに架橋剤としてエピクロロヒドリン系樹脂及びポリアミン/ポリアミド系樹脂(エピクロロヒドリン系樹脂に含まれるものを除く。)を含有する、感熱記録体である。
【化1】
(式中、R〜Rは、それぞれ同じであっても異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、又はアリールアミノ基を表し、mは0〜2の整数を表す。)
本発明の感熱記録体の感熱記録層は、更に、ガラス転移点(Tg)が50℃以下、最低造膜温度(MFT)が40℃以上であるアクリル系樹脂を含有してもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、保護層を設けることなしに、感熱記録体に求められる様々な性能のうち、発色性能を有しつつ、耐湿熱性、溶剤バリア性、耐水性に優れる感熱記録体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の感熱記録体は、感熱記録層上に保護層を有さず、感熱記録層が、ロイコ染料と顕色剤を必須に含有し、顕色剤として一般式(化1)で表されるウレア化合物、バインダーとしてカルボキシ変性ポリビニルアルコール、並びに架橋剤としてエピクロロヒドリン系樹脂及びポリアミン/ポリアミド系樹脂(エピクロロヒドリン系樹脂に含まれるものを除く。)を含有し、更に任意に、ガラス転移点(Tg)が50℃以下、最低造膜温度(MFT)が40℃以上であるアクリル系樹脂を含有する。
本発明の感熱記録層は、更に任意に、増感剤、顔料、上記バインダー以外のバインダー、上記架橋剤以外の架橋剤、画像安定剤、その他の成分を含有してもよい。
【0008】
本発明で用いるウレア化合物は下式(化1)で表される。
【化1】
【0009】
一般式(化1)中、R〜Rは、それぞれ同じであっても異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、又はアリールアミノ基を表し、好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基である。
特に、R、R、R、Rとしては、水素原子が好ましく、Rとしては、水素原子、又はアルキル基が好ましい。Rとしては、特にアルキル基が好ましい。
このアルキル基(アルキルカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基に含まれるものを含む。)は、例えば、直鎖状、分岐鎖状若しくは脂環状のアルキル基であり、炭素数は好ましくは1〜12である。
このアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルへキシル基、ラウリル基などが挙げられる。
【0010】
このアリール基(アリールオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アリールカルボニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アリールアミノ基に含まれるものを含む。)の炭素数は好ましくは6〜12である。
このアリール基としては、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、メシチレン基、p−エチルフェニル基、p−i−プロピルフェニル基、p−t−ブチルフェニル基、p−メトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、p−エトキシフェニル基、p−クロロフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、t−ブチル化ナフチル基などの無置換又はアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリール基若しくはハロゲン原子で置換されたアリール基などが挙げられる。
【0011】
このアルコキシ基は、例えば、直鎖状、分岐鎖状若しくは脂環状のアルコキシ基であり、炭素数は好ましくは1〜12である。
また、これらが置換されている場合、その置換基は、好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基又はハロゲン原子である。
一般式(化1)のベンゼン環中の−O−(CONH)−SO−置換フェニル基の位置は、好ましくは、3位、4位又は5位である(下記一般式(化2)及び一般式(化3)においても同じ。)。
一般式(化1)中、mは0〜2、好ましくは0〜1の整数を表す。
【0012】
本発明のウレア化合物として、下記一般式(化2)又は下記一般式(化3)で表されるウレア化合物が好ましい。
【化2】
【化3】
【0013】
本発明の感熱記録層は、前記一般式(化1)で表されるウレア化合物以外の顕色剤を使用してもよく、このような顕色剤として、例えば、活性白土、アタパルジャイト、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウムなどの無機酸性物質、4,4'−イソプロピリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−n−プロポキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4'−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4'−ベンジルオキシフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−4'−メチルフェニルスルホン、1−[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ]−4−[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェノキシ]ブタン、特開2003−154760号公報記載のフェノール縮合組成物、特開平8−59603号公報記載のアミノベンゼンスルホンアミド誘導体、ビス(4−ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、1,5−ジ(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサペンタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス[α−メチル−α−(4'−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1,3−ビス[α−メチル−α−(4'−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、ジ(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、2,2'−チオビス(3−tert−オクチルフェノール)、2,2'−チオビス(4−tert−オクチルフェノール)、N−[2−(3−フェニルウレイド)フェニル]ベンゼンスルホンアミド、WO02/081229号あるいは特開2002−301873号公報記載の化合物、またN,N'−ジ−m−クロロフェニルチオウレア等のチオ尿素化合物、p−クロロ安息香酸、没食子酸ステアリル、ビス[4−(n−オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸亜鉛]2水和物、4−[2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ]サリチル酸、4−[3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ]サリチル酸、5−[p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル]サリチル酸の芳香族カルボン酸、及びこれらの芳香族カルボン酸の亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マンガン、スズ、ニッケル等の多価金属塩との塩、さらにはチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テレフタルアルデヒド酸と他の芳香族カルボン酸との複合亜鉛塩等が挙げられる。これらの顕色剤は、単独又は2種以上混合して使用することもできる。1−[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ]−4−[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェノキシ]ブタンは、例えば、株式会社エーピーアイコーポレーション製商品名JKY−214として入手可能であり、特開2003−154760号公報記載のフェノール縮合組成物は、例えば、株式会社エーピーアイコーポレーション製商品名JKY−224として入手可能である。また、WO02/081229号等に記載の化合物は、日本曹達(株)製商品名NKK−395、D−100として入手可能である。この他、特開平10−258577号公報記載の高級脂肪酸金属複塩や多価ヒドロキシ芳香族化合物などの金属キレート型発色成分を含有することもできる。
【0014】
本発明で使用するロイコ染料としては、従来の感圧あるいは感熱記録紙分野で公知のものは全て使用可能であり、特に制限されるものではないが、トリフェニルメタン系化合物、フルオラン系化合物、フルオレン系化合物、ジビニル系化合物等が好ましい。以下に代表的な無色ないし淡色の染料(染料前駆体)の具体例を示す。また、これらの染料前駆体は単独又は2種以上混合して使用してもよい。
【0015】
<トリフェニルメタン系ロイコ染料>
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド〔別名クリスタルバイオレットラクトン〕、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド〔別名マラカイトグリーンラクトン〕
【0016】
<フルオラン系ロイコ染料>
3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−p−メチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔a〕フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔c〕フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−p−メチルアニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−キシルアミノ)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイディノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、2−(4−オキサヘキシル)−3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(4−オキサヘキシル)−3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(4−オキサヘキシル)−3−ジプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−メトキシ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−クロロ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ニトロ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−アミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−フェニル−6−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ベンジル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ヒドロキシ−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジブチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2,4−ジメチル−6−〔(4−ジメチルアミノ)アニリノ〕−フルオラン
【0017】
<フルオレン系ロイコ染料>
3,6,6'−トリス(ジメチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3'−フタリド〕、3,6,6'−トリス(ジエチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3'−フタリド〕
【0018】
<ジビニル系ロイコ染料>
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス−〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3,3−ビス−〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
【0019】
<その他>
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−シクロヘキシルエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(3'−ニトロ)アニリノラクタム、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4'−ニトロ)アニリノラクタム、1,1−ビス−〔2',2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジニトリルエタン、1,1−ビス−〔2',2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2−β−ナフトイルエタン、1,1−ビス−〔2',2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジアセチルエタン、ビス−〔2,2,2',2'−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−メチルマロン酸ジメチルエステル
【0020】
本発明の該感熱記録層はバインダーとしてカルボキシ変性ポリビニルアルコールを含有し、更に架橋剤としてエピクロロヒドリン系樹脂及びポリアミン/ポリアミド系樹脂(エピクロロヒドリン系樹脂に含まれるものを除く。)を含有し、更に任意に特定のアクリル系樹脂を含有する。
【0021】
このアクリル系樹脂のガラス転移点(Tg)は、50℃以下、好ましくは40〜50℃である。このガラス転移温度(Tg)は、樹脂を構成する組成(モノマー)単体各々をJIS K−7122に準拠して、走査型差動熱量計(窒素雰囲気下で10mgの試料を25℃/分で昇温)で測定した二次転移に伴う比熱の変化をガラス転移温度として、樹脂のガラス転移温度(Tg)=Tg1×α1+Tg2×α2+・・・+Tgn×αn(Tg1、Tg2・・・Tgn:実測した各組成単体のガラス転移温度、α1、α2・・・αn:樹脂全重量に対する各組成単体の重量分率(%))の計算式より求める。
【0022】
一方、このアクリル系樹脂の最低造膜温度(MFT)は40℃以上、好ましくは50℃以上、より好ましくは60〜80℃である。この最低増膜温度(MFT)は、JIS K−6828に準拠して、20重量%に調整した樹脂をスライドガラス上一面に広げ、所定の温度で乾燥し、乾燥した樹脂が一様な連続皮膜であり、且つ皮膜が白濁してない最低の温度とする。
このようなアクリル系樹脂として、例えば、A537(ジョンソンポリマー社製、Tg49℃、MFT42℃)、A25(アイカ工業株式会社製、Tg47℃、MFT70℃)などが挙げられる。
【0023】
本発明で用いるアクリル系樹脂は、メチルメタアクリレート(MMA)モノマーを含有する、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、及びこれらのモノエステルや、酢酸ビニル等のビニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類などの不飽和基含有重合性単量体の重合によって合成される。メチルメタクリレート(MMA)の含有率は50%以上が好ましく、より好ましくは60%以上である。
このようなアクリル系樹脂として、例えば、A25(アイカ工業株式会社製、MMA60%以上含有)などが挙げられる。
また、本発明で用いるアクリル系樹脂は、単量体成分としてスチレンを含まないことが好ましく、非コアシェル型のアクリル系樹脂であることが好ましい。このようなアクリル系樹脂として、例えば、A25(アイカ工業株式会社製) などが挙げられる。
【0024】
本発明で使用するカルボキシ変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールとフマル酸、無水フタル酸、無水メリト酸、無水イタコン酸などの多価カルボン酸との反応物、又はこれらの反応物のエステル化物、さらに酢酸ビニルとマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、アクリル酸、メタアクリル酸などのエチレン性不飽和ジカルボン酸との共重合物の鹸化物として得られる。具体的には例えば特開昭53−91995号公報の実施例1もしくは4に例示されている製造方法が挙げられる。また、カルボキシ変性ポリビニルアルコールの鹸化度は72〜100mol%であることが好ましく、重合度は500〜2400、より好ましくは1000〜2000である。
【0025】
本発明の該感熱記録層はバインダーとしてカルボキシ変性ポリビニルアルコールに加えて、所望の性能を阻害しない範囲で、カルボキシ変性ポリビニルアルコール以外のバインダーを併用してもよい。このようなバインダーとして、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、オレフィン変性ポリビニルアルコール、ニトリル変性ポリビニルアルコール、ピロリドン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、末端アルキル変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アセチルセルロースなどのセルロースエーテル及びその誘導体、澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉(例えば、ヒドロキシエチル化澱粉など)、カチオン化澱粉などの澱粉類、ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミドなどのポリアクリルアミド類、ポリエステルポリウレタン系樹脂、ポリエーテルポリウレタン系樹脂、ポリウレタン系アイオノマー樹脂などのウレタン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル共重合体などのスチレン−ブタジエン系樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸エステル、アラビヤゴム、ポリビニルブチラール、ポリスチロース及びそれらの共重合体、シリコーン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂などを例示することができる。これらは単独で又は2種以上混合して使用してもよい。
本発明の該感熱記録層のバインダーは、全量カルボキシ変性ポリビニルアルコールであることが好ましいが、カルボキシ変性ポリビニルアルコール以外のバインダーを併用する場合には、その量は、バインダー全量に対して、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。
【0026】
本発明で使用するエピクロロヒドリン系樹脂は、分子中にエポキシ基を含有していることを特徴とする樹脂であり、例えば、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂などを挙げることができ、これらを単独又は併用することができる。また、エピクロロヒドリン系樹脂の主鎖に存在するアミンとしては第1級から第4級までのものを使用することができ、特に制限はない。さらに、耐水性が良好なことから、カチオン化度および分子量はカチオン化度5meq/g・Solid以下(pH7での測定値)、分子量50万以上が好ましい。エピクロロヒドリン系樹脂の具体例としては、スミレーズレジン650(30)、スミレーズレジン675A、スミレーズレジン6615(以上住友化学社製)、WS4002、WS4020、WS4024、WS4030、WS4046、WS4010、CP8970(以上、星光PMC社製)などが挙げられる。
【0027】
本発明で使用するポリアミン/ポリアミド系樹脂とは、ポリアミン系樹脂及び/又はポリアミド系樹脂を意味し、上記のエピクロロヒドリン系樹脂に含まれるものを含まない。このようなポリアミン/ポリアミド系樹脂として、例えば、分子中にエポキシ基を有さない、ポリアミド尿素樹脂、ポリアルキレンポリアミン樹脂、ポリアルキレンポリアミド樹脂、ポリアミンポリ尿素樹脂、変性ポリアミン樹脂、変性ポリアミド樹脂、ポリアルキレンポリアミン尿素ホルマリン樹脂、ポリアルキレンポリアミンポリアミドポリ尿素樹脂などを挙げることができ、これらを単独又は併用することができる。このようなポリアミン/ポリアミド系樹脂の具体例としては、スミレーズレジン302(住友化学社製:ポリアミンポリ尿素樹脂)、スミレーズレジン712(住友化学社製:ポリアミンポリ尿素樹脂)、スミレーズレジン703(住友化学社製:ポリアミンポリ尿素樹脂)、スミレーズレジン636(住友化学社製:ポリアミンポリ尿素樹脂)、スミレーズレジンSPI−100(住友化学社製:変性ポリアミン樹脂)、スミレーズレジンSPI−102A(住友化学社製:変性ポリアミン樹脂)、スミレーズレジンSPI−106N(住友化学社製:変性ポリアミド樹脂)、スミレーズレジンSPI−203(50)(住友化学社製)、スミレーズレジンSPI−198(住友化学社製)、プリンティブA−700(旭化成社製)、プリンティブA−600(旭化成社製)、PA6500、PA6504、PA6634、PA6638、PA6640、PA6644、PA6646、PA6654、PA6702、PA6704(以上、星光PMC社製:ポリアルキレンポリアミンポリアミドポリ尿素樹脂)などが挙げられ、これらを単独又は2種類以上使用することも可能である。特に制限はないが、発色感度の点からポリアミン系樹脂(ポリアルキレンポリアミン樹脂、ポリアミンポリ尿素樹脂、変性ポリアミン樹脂、ポリアルキレンポリアミン尿素ホルマリン樹脂、ポリアルキレンポリアミンポリアミドポリ尿素樹)を使用することが好ましい。
【0028】
本発明で使用する増感剤としては、従来公知の増感剤を使用することができる。かかる増感剤としては、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アマイド、エチレンビスアミド、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、1,2−ビス−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、β−ベンジルオキシナフタレン、4−ビフェニル−p−トリルエーテル、m−ターフェニル、1,2−ジフェノキシエタン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p−クロロベンジル)、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−α−ナフチルカーボネート、1,4−ジエトキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、o−キシレン−ビス−(フェニルエーテル)、4−(m−メチルフェノキシメチル)ビフェニル、4,4'−エチレンジオキシ−ビス−安息香酸ジベンジルエステル、ジベンゾイルオキシメタン、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エチレン、ビス[2−(4−メトキシ−フェノキシ)エチル]エーテル、p−ニトロ安息香酸メチル、p−トルエンスルホン酸フェニル、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミドなどを例示することができる。これらの増感剤は、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
【0029】
本発明で使用する顔料としては、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリカ等が挙げられ、要求品質に応じて併用することもできる。
【0030】
本発明で使用する滑剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪
酸金属塩、ワックス類、シリコーン樹脂類などが挙げられる。
【0031】
本発明においては、上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、画像部の耐油性等を向上させる安定剤として、4,4′−ブチリデン(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジメチル−4,4′−スルホニルジフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等を添加することもできる。このほかにベンゾフェノン系やトリアゾール系の紫外線吸収剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料等を使用することができる。
【0032】
本発明の感熱記録層で使用するロイコ染料、顕色剤、増感剤、その他の各種成分の種類及び量は、要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではないが、通常、ロイコ染料1重量部に対して顕色剤0.5〜10重量部、増感剤0.1〜10重量部、顔料0.5〜20重量部、安定化剤0.01〜10重量部、その他の成分0.01〜10重量部程度を使用する。
本発明の感熱記録層中の前記一般式(化1)で表されるウレア化合物の含有量(固形分)は、1.0〜50.0重量%、好ましくは1.0〜40.0重量%である。
本発明の感熱記録層が、前記一般式(化1)で表されるウレア化合物以外の顕色剤を含有する場合、感熱記録層中に含有される全顕色剤(前記一般式(化1)で表されるウレア化合物を含む)に対する、一般式(化1)で表されるウレア化合物の含有量(固形分)は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上である。
【0033】
本発明で使用されるカルボキシ変性ポリビニルアルコールの配合量は、感熱記録層(固形分)100重量部に対し固形分で1〜50重量部、好ましくは3〜40重量部、より好ましくは4〜20重量部である。少なすぎると塗工層強度や耐水性が不足し、多すぎると感度低下が起こりやすい。
本発明に用いられるエピクロロヒドリン系樹脂及びポリアミン/ポリアミド系樹脂(エピクロロヒドリン系樹脂に含まれるものを除く。)の含有量は、カルボキシ変性ポリビニルアルコール100重量部に対してそれぞれ好ましくは1〜100重量部、より好ましくは5〜50重量部である。含有量が少なすぎると架橋反応が不十分となり良好な耐水性が得られず、多すぎると塗液の粘度増加やゲル化により操業性の問題が生じる。
【0034】
本発明で使用される上記アクリル系樹脂の配合量は、感熱記録層(固形分)100重量部に対し固形分で0〜50重量部程度、好ましくは3〜30重量部、より好ましくは4〜10重量部である。ただし、カルボキシ変性ポリビニルアルコールとアクリル系樹脂を合計した配合量は、感熱記録層(固形分)100重量部に対し固形分で50重量以下である。
なお、上記カルボキシ変性ポリビニルアルコールと上記アクリル系樹脂の重量比(即ち、カルボキシ変性ポリビニルアルコール/アクリル系樹脂)は、好ましくは80/20〜20/80、より好ましくは60/40〜40/60である。
【0035】
本発明において、ロイコ染料、顕色剤並びに必要に応じて添加する材料は、ボールミル、アトライター、サンドグライダーなどの粉砕機あるいは適当な乳化装置によって数ミクロン以下の粒子径になるまで微粒化し、バインダー及び目的に応じて各種の添加材料を加えて塗工液とする。この塗工液に用いる溶媒としては水あるいはアルコール等を用いることができ、その固形分は20〜40重量%程度である。
【0036】
本発明の感熱記録体は、支持体上に感熱記録層を有するが、支持体と感熱記録層の間に
下塗り層を設けてもよい。
【0037】
この下塗り層は、主としてバインダーと顔料とから成る。
下塗り層に用いるバインダーとしては、一般的に使用されている水溶性高分子あるいは疎水性高分子のエマルジョン等が適宜使用可能である。具体例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、等のセルロース誘導体、デンプンとその誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン/ブタジエン共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン/酢酸ビニル共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体等の疎水性高分子のエマルジョンを用いることができる。これらのバインダーは1種又は2種以上用いてもよい。
【0038】
下塗り層に用いる顔料としては、従来一般的に使用されている公知の顔料、具体例としては炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、焼成カオリン、クレー、タルク等の無機顔料などを使用することができる。これらの顔料は1種又は2種以上用いてもよい。
下塗り層中の顔料は、全固形分100重量部に対して、通常50〜95重量部、好ましくは70〜90重量部である。
下塗り層の塗工液には必要に応じて、分散剤、可塑剤、pH調整剤、消泡剤、保水剤、防腐剤、着色染料、紫外線防止剤等の各種助剤を適宜配合してもよい。
【0039】
本発明において、感熱記録層及び感熱記録層以外の塗工層、即ち下塗り層などを塗工する手段は特に限定されるものではなく、周知慣用技術に従って塗布することができる。例えばエアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、ベントブレードコーター、ベベルブレードコーター、ロールコーター、カーテンコーターなど各種コーターを備えたオフマシン塗工機やオンマシン塗工機が適宜選択され使用される。
感熱記録層及び感熱記録層以外の塗工層の塗工量は、要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではないが、感熱記録層の一般的な塗工量は固形分で2〜12g/m程度である。
また、各塗工層の塗工後にスーパーカレンダー掛けなどの平滑化処理を施すなど、感熱記録体分野における各種公知の技術を必要適宜付加することができる。
【実施例】
【0040】
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。なお、各実施例及び比較例中、特にことわらない限り「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を示す。
【0041】
下記配合からなる配合物を攪拌分散して、下塗り層用塗工液を調製した。
<下塗り層用塗工液>
焼成カオリン(BASF社製、商品名:アンシレックス90) 100.0部
スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(日本ゼオン株式会社製、
商品名:ST5526、固形分48%) 10.0部
水 50.0部
【0042】
下記配合の顕色剤分散液(A液)、ロイコ染料分散液(B液)、増感剤分散液(C液)を、それぞれ別々にサンドグラインダーで平均粒子径0.5μmになるまで湿式磨砕を行い、調製した。
【0043】
顕色剤分散液(A液)
下記一般式(化2)で表されるウレア化合物(以下「A1」という。) 6.0部
【化2】
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、商品名:
PVA117、固形分10%) 5.0部
水 1.5部
【0044】
ロイコ染料分散液(B液)
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(山本化成株式会社製、
商品名:ODB−2) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(PVA117) 5.0部
水 1.5部
増感剤分散液(C液)
ジフェニルスルホン(Volant社製、商品名:DPS) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(PVA117) 5.0部
水 1.5部
【0045】
次いで、下記の割合で各分散液を混合して感熱記録層用塗工液を調製した。
<感熱記録層用塗工液>
顕色剤分散液(A液) 30.0部
ロイコ染料分散液(B液) 15.0部
増感剤分散液(C液) 30.0部
シリカ分散液(水澤化学社製、商品名:P527、固形分25%) 40.0部
カルボキシ変性ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製:商品名:KL318、
固形分10%) 40.0部
ポリアミド樹脂(住友化学社製:商品名:スミレーズレジンSPI−106N、
固形分45%) 1.25部
ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(星光PMC社製、商品名:WS4030、
固形分25%) 2.5部
ステアリン酸亜鉛(中京油脂社製、商品名:ハイドリンZ−7−30、固形分30%)
2.0部
【0046】
[実施例1]
支持体(坪量47g/mの上質紙)の片面に、下塗り層用塗工液を、固形分で塗工量10.0g/mとなるようにベントブレード法で塗工した後、乾燥を行ない、下塗り層塗工紙を得た。
この下塗り層塗工紙の下塗り層上に、感熱記録層用塗工液を、固形分で塗工量6.0g/mとなるようにロッドブレード法で塗工した後、乾燥を行い、スーパーカレンダーで平滑度が500〜1000秒になるように処理して感熱記録体を作製した。
[実施例2]
感熱記録層用塗工液において、顕色剤分散液(A液)中のウレア化合物(A1)を、下記一般式(化3)で表されるウレア化合物(以下「A2」という。)に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【化3】
[実施例3]
感熱記録層用塗工液に、アクリル系樹脂(アイカ工業社製:商品名:A25、固形分48%、Tg45℃、MFT70℃、以下「アクリル系樹脂A」という。)を4.0部加え、カルボキシ変性ポリビニルアルコール水溶液(KL318)の配合量を20部に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例4]
感熱記録層塗工液のアクリル系樹脂A4.0部をアクリル系樹脂(ジョンソンポリマー社製、A537、固形分45%、Tg49℃、MFT42℃、以下「アクリル系樹脂B」という。)4.3部(固形分等量)に変更した以外は、実施例3と同様にして感熱記録体を作製した。
【0047】
[実施例5]
感熱記録層塗工液のアクリル系樹脂A4.0部をアクリル系樹脂(三井化学社製、商品名:ASN1004K、固形分18%、Tg55℃、MFT18℃、以下「アクリル系樹脂C」という。)10.7部(固形分等量)に変更した以外は、実施例3と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例6]
感熱記録層塗工液のアクリル系樹脂A4.0部をアクリル系樹脂(三井化学社製、商品名:B697B、固形分18%、Tg45℃、MFT20℃、以下「アクリル系樹脂D」という。)10.7部(固形分等量)に変更した以外は、実施例3と同様にして感熱記録体
【0048】
[実施例7]
感熱記録層用塗工液において、アクリル系樹脂Aの配合量を6.0部に変更し、カルボキシ変性ポリビニルアルコール水溶液(KL318)の配合量を10部に変更した以外は、実施例3と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例8]
感熱記録層用塗工液において、アクリル系樹脂Aの配合量を2.0部に変更し、カルボキシ変性ポリビニルアルコール水溶液(KL318)の配合量を30部に変更した以外は、実施例3と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例9]
感熱記録層用塗工液において、顕色剤分散液(A液)中のウレア化合物(A1)を、ウレア化合物(A2)に変更した以外は、実施例3と同様にして感熱記録体を作製した。
【0049】
[比較例1]
感熱記録層用塗工液において、カルボキシ変性ポリビニルアルコール水溶液、ポリアミド樹脂、及びポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を配合せず、完全ケン化PVA(PVA−117)20.0部を加えた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例2]
感熱記録層用塗工液において、完全ケン化PVA(PVA−117)の配合量を40.0部に変更した以外は、比較例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例3]
感熱記録層用塗工液の顕色剤分散液(A液)において、ウレア化合物(A1)を配合せず、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン(日華化学株式会社製、商品名BPS)6.0部を加えた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例4]
感熱記録層用塗工液の顕色剤分散液(A液)において、ウレア化合物(A1)を配合せず、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン(日華化学株式会社製、商品名BPS)6.0部を加えた以外は、実施例3と同様にして感熱記録体を作製した。
【0050】
作製した感熱記録体について、下記評価を行った。
<発色性能(印字濃度)>
作製した感熱記録体について、大倉電機社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、京セラ社製サーマルヘッドを装着)を用い、印加エネルギー0.35mJ/dot及び0.41mJ/dot、印字速度50mm/secで市松模様を印字した。
印字部の印字濃度をマクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定し、発色性能(印字濃度)を評価した。
【0051】
<耐湿熱性>
作製した感熱記録体について、大倉電機社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、
京セラ社製サーマルヘッドを装着)を用い、印加エネルギー0.41mJ/dot、印字
速度50mm/secで市松模様を印字した。
印字した感熱記録体を、50℃、90%RH環境条件下で24時間静置した。
印字部の印字濃度をマクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定し、処理前後の値から残存率を算出して、耐湿熱性を評価した。
残存率(%)=(処理後の印字部の印字濃度/処理前の印字部の印字濃度)×100
この残存率が80%以上は耐湿熱性が良好といえる。
<溶剤バリア性>
作製した感熱記録体について、IPA又はエタノールを含んだ綿棒で塗布した際の、感熱記録面の発色具合を以下の基準で目視評価した。
◎:溶剤を塗布しても、全く発色せず、印字面の視認性は問題なし。
〇:溶剤を塗布した箇所が僅かに発色するが、印字面の視認性は問題なし。
△:溶剤を塗布した箇所が僅かに発色し、印字面の視認性が劣る。
×:感熱記録層全体が発色し、印字面の判読不能。
【0052】
<耐水性:湿潤摩擦>
作製した感熱記録体について、水道水を指につけて、感熱記録層の塗工面を100往復摩擦し、感熱記録層の剥がれを以下の基準で目視評価した。
◎:感熱記録層の剥がれが全くなく、印字面の視認性は問題なし
〇:感熱記録層が僅かに剥がれるが、印字面の視認性は問題なし
△:感熱記録層全体で剥がれている箇所が散見され、印字面の視認性がやや劣る
×:感熱記録層全体が剥がれ、印字面の判読不能。
<耐水性:耐水ブロッキング>
作製した感熱記録体について、感熱記録層の塗工面に10mlの水道水を滴下し、感熱記録層の塗工面が内側になるように二つ折りにして、10gf/cmの加重を掛けて24時間静置した後に剥がし、水を滴下した部分の感熱記録層の剥がれを以下の基準で目視評価した。
◎:感熱記録層の剥がれが全くなく、再印字性した際の印字面が均一。
〇:感熱記録層の剥がれがなく、再印字性した際の印字面が概ね均一。
△:感熱記録層が僅かに剥がれ、再印字した際の印字面が不均一。
×:感熱記録層全体が剥がれ、再印字不可能。
<耐水性:浸漬摩擦>
作製した感熱記録体について、水道水に5分間浸漬し、感熱記録層の塗工面を指で10往復摩擦し、感熱記録層の剥がれを以下の基準で目視評価した。
◎:感熱記録層の剥がれが全くなく、再印字性した際の印字面が均一。
〇:感熱記録層の剥がれがなく、再印字性した際の印字面が概ね均一。
△:感熱記録層が僅かに剥がれ、再印字した際の印字面が不均一。
×:感熱記録層全体が剥がれ、再印字不可能。
【0053】
評価結果を表1に示す。
【表1】