特開2021-194899(P2021-194899A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2021-194899射出成形型とプリフォーム成形方法、及び中空体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-194899(P2021-194899A)
(43)【公開日】2021年12月27日
(54)【発明の名称】射出成形型とプリフォーム成形方法、及び中空体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/26 20060101AFI20211129BHJP
   B29C 45/00 20060101ALI20211129BHJP
   B29C 49/42 20060101ALI20211129BHJP
【FI】
   B29C45/26
   B29C45/00
   B29C49/42
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-105330(P2020-105330)
(22)【出願日】2020年6月18日
(11)【特許番号】特許第6777960号(P6777960)
(45)【特許公報発行日】2020年10月28日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 本発明に係る射出成形型の令和1年10月16日付販売。本発明に係る射出成形型の令和1年12月19日付販売。本発明に係る射出成形型の令和1年12月19日付販売。
(71)【出願人】
【識別番号】390007179
【氏名又は名称】株式会社青木固研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100062225
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 輝雄
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100145458
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 正哉
(72)【発明者】
【氏名】竹内 秀樹
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
4F208
【Fターム(参考)】
4F202AG07
4F202AH55
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK32
4F202CK42
4F202CK52
4F202CK54
4F206AG07
4F206AH55
4F206JA06
4F206JL02
4F206JQ81
4F208AG07
4F208AH55
4F208LA08
4F208LB01
4F208LG03
4F208LG19
4F208LG29
(57)【要約】
【課題】プリフォームを、射出成形型から早期に離型させるときに、プリフォームの胴部に変形を生じさせないようにして、射出成形型から早期にプリフォームを離型する際、射出冷却の時間を短くして、プリフォームの成形のサイクルを短縮する。
【解決手段】リップ型3のサポートリング成形部14の外端内面部15に、プリフォームの離型時のプリフォーム胴部を非接触で支持する胴支持部16を設けた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出キャビティ型にリップ型を重ね合わせて、リップ型の内側から射出キャビティ型の内側にかけて射出コア型を配置して、プリフォームを成形する金型において、
射出キャビティ型とリップ型とを重ね合わせるパーティングラインに対応する位置に、サポートリング成形部を備えていて、
リップ型におけるサポートリング成形部の外端内面部に、プリフォーム離型時のプリフォーム胴部を非接触で支持する胴支持部が、金型内方に向けて凸にして設けられていることを特徴とする射出成形型。
【請求項2】
胴支持部は、サポートリング成形部の周方向に沿って連続して設けられている請求項1に記載の射出成形型。
【請求項3】
胴支持部は、サポートリング成形部の周方向に沿って不連続にして設けられている請求項1に記載の射出成形型。
【請求項4】
サポートリング成形部は平面形状を略角形にして設けられていて、胴支持部は、略角形のサポートリング成形部の角部に位置している請求項1に記載の射出成形型。
【請求項5】
胴支持部は、パーティングラインに沿った位置、またはパーティングラインに近接する位置に設けられている請求項1から4の何れか一項に記載の射出成形型。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項の射出成形型に溶融樹脂を充填し、サポートリング部を一体にしたプリフォームを成形し、リップ型の胴支持部がプリフォームのサポートリング部を下方から受けて、プリフォーム胴部を非接触で支持した状態で、プリフォームを射出キャビティ型から離型することを特徴とするプリフォームの成形方法。
【請求項7】
請求項6に記載のプリフォームの成形方法により成形されるプリフォームであって、サポートリング部の外端に、リップ型の胴支持部によって凹所が形成されていることを特徴とするプリフォーム。
【請求項8】
請求項1から5の何れか一項の射出成形型に溶融樹脂を充填し、サポートリング部を一体にしたプリフォームを成形し、リップ型の胴支持部がプリフォームのサポートリング部を下方から受けて、プリフォーム胴部を非接触で支持した状態で、プリフォームを射出キャビティ型から離型し、
前記離型したプリフォームを中空体にブロー成形することを特徴とする中空体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融樹脂からプリフォームを得るための射出成形型と、この射出成形型を用いたプリフォーム成形方法、プリフォーム、そして、中空体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、射出成形したプリフォームをブロー成形して中空体を製造し、この中空体に収容物を収めて、キャップを取り付けた製品が多く流通している。そして、PETボトルなどの飲料容器において多く見られるように、プリフォームをブロー成形した中空体には、外方に張り出るサポートリング部を一体に設けている。
【0003】
サポートリング部は、例えば、特許文献1の図4に示されているように、収容物の充填ライン上で中空体を搬送したり受け渡しを行なうときに利用される。
【0004】
また、PETボトルを用いた飲料容器などでは、不正開封防止の目的としてタンパーエビデンスリングを有するキャップを取り付けている。そして、開封操作したときに、タンパーエビデンスリングはカブラに係止して容器の頸部側に残るようにしている。このタンパーエビデンスリングをサポートリング部で受け止めて、再封したキャップとタンパーエビデンスベルトとの間が開き過ぎないようにする役割も、このサポートリング部が有している。
【0005】
また、通常のキャップを容器の口部にキャッピングした後、キャップの天面からキャップ下部のサポートリング部に亘ってシュリンクフィルムを被せて、シュリンクフィルムを収縮させることで、不正開封の抑止を図った商品もあり、シュリンクフィルムを外さずに開栓操作をすると、シュリンクフィルムがサポートリング部から外れて、開封操作をしたことが目視確認できるようになる。
【0006】
サポートリング部を収容物の充填ライン上での搬送、受け渡し、キャッピングなどで専用具にてグリップすると、専用具が摺ることによってそのサポートリング部の下面にバリが生じ易い。特許文献2には、この対策としてサポートリング部の下面に段差を形成して、バリを目立たなくする工夫が示されている。
【0007】
このようにサポートリング部は収容物の搬送やキャッピング時に利用したり、上述のようにタンパーエビデンスベルトの受け止め、シュリンクフィルムの掛け止めをする部分として利用されている。そして、以下に説明する本発明においても、サポートリング部の用途が限定されない。また、本発明においてサポートリング部は、中空体の頸部から平板状にして張り出る形態に限定されない。さらに、本発明においてサポートリング部は、上方から見た平面形状が円形に限定されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−099381号公報(図4
【特許文献2】特許第3884649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
溶融樹脂を射出成形型に射出してプリフォームを成形し、そのプリフォームをブローして中空体を製造する場合、PETボトルの製造に限らないが、射出キャビティ型にリップ型を重ね合わせ、リップ型を通して射出キャビティ型に射出コア型を配置する射出成形型を用いている。
【0010】
そして、射出成形型では、サポートリング部を成形するためのサポートリング成形部をリップ型の内側の所定高さ位置に設けたり、金型の強度を確保するために、リップ型と射出キャビティ型とを重ね合わせるパーティングラインを前記サポートリング成形部の位置に設定する場合も多い。
【0011】
ところで、プリフォームを成形する段階での射出冷却時間を短くして、樹脂が高温度で軟化状態のプリフォームを射出成形型から早期に離型することによって、中空体の製造効率を高める手法が採られるようになってきた。そして、この手法を実施する中空体の製造において、パーティングラインをサポートリング成形部の位置に設定した射出成形型を採用することがある。
【0012】
上述した射出成形型から高温度で軟化状態のプリフォームを早期に離型する場合、プリフォームのサポートリング部の付け根部分(プリフォームの頸部)の肉厚が厚いことから、冷却不足によってこのサポートリング部の付け根部分が変形し易くなっている。そのため、以下の不具合が生じる場合がある。
【0013】
図14に示すように離型では、射出コア型aを上昇させてプリフォームbの内面から外すとともに、上昇するリップ型cによってプリフォームbを射出キャビティ型dから上方に引き上げるようにしている。この離型が行なわれるときに、サポートリング部eの付け根部分fが上下方向に回転する変形をしてサポートリング部eが垂れ下がるようになる。また、サポートリング部eが垂れ下がる変形をすることで、付け根部分fを含むプリフォームbの胴部gが部分的にプリフォームbの中心側に移動して凹む変形をするようになる。
【0014】
サポートリング部eの付け根部分fがプリフォームbの中心側に移動して凹む変形をすることによって、図15に示すようにプリフォームbの胴部gが平面形状で略長円状になるような変形をする。そのため、変形した胴部gが射出キャビティ型dの内面に当接して抜け出ず、プリフォームbの胴部gの一部(例えば、容器の収容本体となる部分)が射出キャビティ型dの内側に残ってしまうことがある。
【0015】
サポートリング部eの付け根部分fの冷却が不足することで生じる不具合を回避するためには、射出冷却時間を延ばす必要がある。そのため、現状では、プリフォームの成形のサイクルを短縮することができない。
【0016】
そこで本発明は、上記事情に鑑み、射出冷却の時間を短縮して、射出成形型内で樹脂の熱量が高く変形し易い状態のプリフォームを、射出成形型から早期に離型させるときに、プリフォームの胴部に変形を生じさせないようにすることを課題とし、射出成形型から早期にプリフォームを離型する際、射出冷却の時間を短くして、プリフォームの成形のサイクルを短縮することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(請求項1の発明)
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、射出キャビティ型にリップ型を重ね合わせて、リップ型の内側から射出キャビティ型の内側にかけて射出コア型を配置して、プリフォームを成形する金型において、
射出キャビティ型とリップ型とを重ね合わせるパーティングラインに対応する位置に、サポートリング成形部を備えていて、
リップ型におけるサポートリング成形部の外端内面部に、プリフォーム離型時のプリフォーム胴部を非接触で支持する胴支持部が、金型内方に向けて凸にして設けられていることを特徴とする射出成形型を提供して、上記課題を解消するものである。
【0018】
(請求項2の発明)
そして、本発明において、胴支持部は、サポートリング成形部の周方向に沿って連続して設けられているものとすることが可能である。
【0019】
(請求項3の発明)
また、本発明において、胴支持部は、サポートリング成形部の周方向に沿って不連続にして設けられているものとすることが可能である。
【0020】
(請求項4の発明)
また、本発明において、サポートリング成形部は平面形状を略角形にして設けられていて、胴支持部は、略角形のサポートリング成形部の角部に位置しているものとすることが可能である。
【0021】
(請求項5の発明)
また、本発明において、胴支持部は、パーティングラインに沿った位置、またはパーティングラインに近接する位置に設けられているものとすることが良好である。
【0022】
(請求項6の発明)
また、もう一つの発明は、請求項1から5の何れか一項の射出成形型に溶融樹脂を充填し、サポートリング部を一体にしたプリフォームを成形し、リップ型の胴支持部がプリフォームのサポートリング部を下方から受けて、プリフォーム胴部を非接触で支持した状態で、プリフォームを射出キャビティ型から離型することを特徴とするプリフォームの成形方法であり、このプリフォームの成形方法を提供して上記課題を解消するものである。
【0023】
(請求項7の発明)
さらに、もう一つの発明は、請求項6に記載のプリフォームの成形方法により成形されるプリフォームであって、サポートリング部の外端に、リップ型の胴支持部によって凹所が形成されていることを特徴とするプリフォームであり、このプリフォームを提供して上記課題を解消するものである。
【0024】
(請求項8の発明)
さらに、もう一つの発明は、請求項1から5の何れか一項の射出成形型に溶融樹脂を充填し、サポートリング部を一体にしたプリフォームを成形し、リップ型の胴支持部がプリフォームのサポートリング部を下方から受けて、プリフォーム胴部を非接触で支持した状態で、プリフォームを射出キャビティ型から離型し、
前記離型したプリフォームを中空体にブロー成形することを特徴とする中空体の製造方法であり、この中空体の製造方法を提供して、上記課題を解消するものである。
【発明の効果】
【0025】
(請求項1の発明の効果)
請求項1の発明によれば、リップ型のサポートリング成形部の外端内面部に設けた胴支持部は、サポートリング成形部の内天面から離れてパーティングライン位置側にしているので、射出成形されるプリフォームは、胴支持部の上に乗る顎状の部分を有するようになる。
【0026】
そして、溶融樹脂が充填された所要時間後に射出コア型を射出キャビティ型とリップ型とから抜くとともに、リップ型を射出キャビティ型から離す際に、リップ型の胴支持部がプリフォームのサポートリング部を支えるようになる。そして、サポートリング部が下方に向けて垂れる変形をしないことから、このサポートリング部の付け根部分に回転などの変形を生じさせない。
【0027】
このようにサポートリング部の垂れ下がりや付け根部分の変形を生じさせないため、プリフォームの胴部に平断面方向で扁平になる変化が生じず、リップ型が、プリフォームのサポートリング部を介した状態でプリフォームの胴部に非接触でこの胴部の形状を維持する。よって、プリフォームの胴部が射出キャビティ型側に残らず、プリフォーム全体が適正に離型されるようになる。
【0028】
(請求項2の発明の効果)
そして、胴支持部が、サポートリング成形部の周方向に沿って連続して設けていることで、プリフォームの胴部の周方向での形状をより確実に維持することができる。
【0029】
(請求項3の発明の効果)
そして、胴支持部が、サポートリング成形部の周方向に沿って不連続にして設けていることで、プリフォームの胴部の周方向での形状をより確実に維持することができる。
【0030】
(請求項4の発明の効果)
そして、サポートリング成形部を略角形にして、胴支持部を、前記サポートリング成形部の角部に位置させることで、成形されるプリフォームのサポートリング部が平面略角形であっても、プリフォームの胴部の周方向の形状を確実に維持できる。
【0031】
(請求項5の発明の効果)
請求項5の発明により、胴支持部の上部側で樹脂厚さが薄くなることはなく、離型するときに胴支持部で下支えしてもこの胴支持部の上に乗る樹脂部分が変形しないようにすることができる。
【0032】
(請求項6の発明の効果)
請求項6のプリフォームの成形方法に係る発明によれば、射出コア型を射出キャビティ型とリップ型から抜くとともに、リップ型を射出キャビティ型から離す際に、胴支持部がプリフォームのサポートリング部を下支えする。そして、このサポートリング部の付け根部分に自由な動きを生じさせず、プリフォームの胴部に対して非接触で平面方向での形状を維持する。
【0033】
そのため、リップ型とともにプリフォームが射出キャビティ型側から離れるときに、プリフォームの胴部が適正に射出キャビティ型から適正に分離するようになり、プリフォームの離型が適正に行われる。即ち、樹脂が高温度で軟化状態としたプリフォームの一部分が射出キャビティ型の内面に当接して引っ掛かり、そのプリフォーム胴部の一部が射出キャビティ型に残ってしまうという従来の問題は生じない。
【0034】
(請求項7の発明の効果)
請求項7のプリフォームに係る発明によれば、サポートリング部の外端に、リップ型の胴支持部が位置していた部分が凹所として形成されている。そして、サポートリング部の外端に凹所が配置されているので、サポートリング部の外観を大きく損なうことがない。
【0035】
(請求項8の発明の効果)
請求項8の中空体の製造方法に係る発明によれば、プリフォームの射出冷却の時間を短縮した状態でもプリフォームの早期の離型が行なえるので、プリフォームの成形のサイクルが短くなる。よって、中空体の製造効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の射出延伸ブロー成形機における射出成形型を示すもので、(a)は型閉めされた状態の射出成形型を示す説明図、(b)はサポートリング成形部を拡大して示す説明図である。
図2】射出成形型から成形されたプリフォームを側方から見た状態で示す説明図である。
図3】同じくプリフォームを上方から見た状態で示す説明図である。
図4】射出成形型に樹脂を充填した状態を示す説明図である。
図5】プリフォームを離型した状態を示す説明図である。
図6】ブロー成形された中空体の一例を示す説明図である。
図7】胴支持部を不連続としたリップ型を示す説明図である。
図8】スカート状サポートリング部を得る射出成形型を示す説明図である。
図9】スカート状サポートリング部を得るプリフォームと中空体とを示す説明図である。
図10】リップ型のサポートリング成形部を示すもので、(a)は閉じている状態を示説明図、(b)は開く状態を示す説明図である。
図11】胴支持部を縦断面で示すもので、(a)は胴支持部がパーティングライン位置より上位置にある状態を示す説明図、(b)は胴支持部がパーティングライン位置に沿って設けられている例を示す説明図である。
図12】他のプリフォームを示す説明図である。
図13図12の他のプリフォームより成形される中空体を示す説明図である。
図14】従来の離型の不具合を示すもので、(a)は離型におけるプリフォーム胴部の変形を示す説明図、(b)は従来のサポートリング成形部を拡大して示す説明図である。
図15】射出キャビティ型内で変形したプリフォームを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(射出延伸ブロー成形機)
つぎに本発明を図1から図13に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。合成樹脂製の中空体を製造する装置には、例えばPETを樹脂材料としてプリフォームを成形し、このプリフォームを延伸して中空体にブロー成形する射出延伸ブロー成形機がある。そして、この射出延伸ブロー成形機は、射出装置から溶融樹脂が射出されてプリフォームを成形する射出成形部と、射出成形部から移したプリフォームを延伸し、ブローして中空体に成形するブロー成形部と、ブロー成形部から移した中空体を装置外へと送り出す取り出し部とを備える。
【0038】
図1は、射出延伸ブロー成形機の射出成形部に組み入れる射出成形型1を示している。射出成形型1は、射出キャビティ型2にリップ型3を重ね合わせ、リップ型3の内側から射出キャビティ型2の内側にかけて上方から射出コア型4を挿入して配置することで、内部にプリフォーム形成空間5を形成する。
【0039】
射出キャビティ型2の下部のゲートにはホットランナー装置のランナーノズル6が配置されていて、不図示の射出装置からの溶融樹脂がホットランナー装置を介してプリフォーム形成空間5に射出される。
【0040】
射出成形型1に溶融樹脂を射出して冷却することによってプリフォームが成形される。そして、射出延伸ブロー成形機では、閉じていた射出成形型1が開いて、前記プリフォームをリップ型3で咥えた状態で射出成形部からブロー成形部に移すようにしている。
【0041】
プリフォームはブロー成形部のブロー型内で延伸されるとともに、圧縮空気で吹き込みを行なって中空体にブロー成形される。また、前記ブロー型から、中空体がリップ型3で口部分が咥えられた状態で取り出し部へと移され、この取り出し部において、リップ型3が開いて中空体の口部分を放し、中空体を装置外へと送り出すようにしている。
【0042】
射出成形部では、射出成形型1においてプリフォームを成形するに際し、射出コア型4を上昇させ、そして、リップ型3をプリフォームとともに射出キャビティ型2から引き上げる離型を早期に行なうようにしていて、プリフォームのコア層(プリフォームの内外スキン層に挟まれた部分)が高温度となっている状態でブロー成形部に移し、延伸とブローとで中空体をブロー成形する。
【0043】
図2はプリフォーム11を示している。プリフォーム11は、口部8に外ねじ9を有し、この口部8の下にプリフォーム胴部10が連続する。そして、プリフォーム胴部10の上端側を口部8に繋がる頸部12とし、頸部12の周りに外方に張り出るサポートリング部13を有し、頸部12の下端から下方を、中空体の収容部分として賦形する部分としている。
【0044】
(リップ型)
プリフォーム11を成形する射出成形型1は、射出キャビティ型2とリップ型3とを重ね合わせるパーティングライン7に対応する位置に、プリフォーム11のサポートリング部13を形成する部分としてサポートリング成形部14を備えている。図1参照
【0045】
(胴支持部)
図1に示すようにリップ型3でのサポートリング成形部14の外端内面部15に、胴支持部16を配置している。この胴支持部16は、プリフォーム11の離型時にプリフォーム胴部10を非接触で支持するものである。そして、胴支持部16は、リップ型3の内方(金型内方)に向けて凸にして一体にして設けられている。また、縦断面形状を同一とした状態でサポートリング成形部14の周方向に沿って連続している。
【0046】
さらに、リップ型3では、胴支持部16を、このリップ型3でのパーティングライン7に近接する位置、即ち、最下面位置に近接する位置に配置している。そして、胴支持部16とサポートリング成形部14の天面17との間に隙間を形成している。勿論、胴支持部16と前記天面17との間の隙間は、射出時に溶融樹脂が適切に入り込む空間である。
【0047】
この射出成形型1を用いてプリフォームを成形するに際しては、溶融樹脂を射出して冷却時間を短縮し、早期に離型する。図4は射出成形型1に溶融樹脂を射出してプリフォーム形成空間5を満たしている状態を示している。また、図5は、射出コア型4を引き上げ、さらにプリフォーム11とともにリップ型3を射出キャビティ型2から引き上げて、プリフォーム11を離型する状態を示している。
【0048】
本実施の形態のプリフォーム11を含めて一般的なプリフォームでは、サポートリング部13の付け根部分fを上端側として含むプリフォーム胴部10は賦形する部分であるために肉厚が大きい。そして、早期に離型する場合、プリフォーム胴部10の内外スキン層(内表面側の樹脂層と外表面側の樹脂層)は、形を保つことができる硬さを有し、内外スキン層の間の中間層(コア層)は、高温度で軟化していて低粘度の溶融状態である。
【0049】
プリフォームのサポートリング部13の付け根部分fは上述のように肉厚が大きいため、中間層の熱量が多く、早期に離型させる場合に際し、この中間層からの熱が内外スキン層側に向けて伝わり、付け根部分fが変形し易い。
【0050】
従来では、図14に基づいて説明すれば、リップ型cが上昇するときに、サポートリング部eが垂れるように付け根部分f自体が上下方向に回転して変形し、この変形によって、サポートリング部fの下方のプリフォーム胴部gの平面方向の形状を扁平にする変形を生じさせる。そのため、射出キャビティ型dに接する圧力が高まり、プリフォーム胴部gが伸びるなどして射出キャビティ型dに残るという問題がある。
【0051】
本実施の形態では、リップ型3の胴支持部16がサポートリング部13を下方から受けて、サポートリング部13が垂れるようになる変化を生じさせず、付け根部分fの上下方向での回転を抑える。即ち、前記サポートリング部13を介してプリフォーム胴部10を変形させないように非接触で支える。そのため、このプリフォーム胴部10の形状が損なわれず、適正に離型できる。そして、非接触で支持するため、プリフォーム胴部10の内外スキン層に支持痕が付くという不都合も生じない。
【0052】
射出延伸ブロー成形機は、射出成形部で離型したプリフォーム11をブロー成形部へ移し、このブロー成形部によって中空体18にブロー成形して、得られた中空体18をブロー成形部から取り出し部へと移し、上述したように取り出し部では中空体18が装置外へ送り出す。
【0053】
図6は製造された中空体18を示している。この中空体18のサポートリング部13の外端面には、リップ型3の胴支持部16によって形成された凹所19が位置している。図示の実施の例では凹所19は、サポートリング部13の周方向に沿って連続する溝であり、サポートリング部13の外観を損なわない。
【0054】
(胴支持部−不連続)
上記例でのリップ型3では、胴支持部16がサポートリング成形部14の周方向に沿って連続しているが、他の実施の形態を表現している図7に示すように、胴支持部16は、サポートリング成形部14の周方向に沿って不連続に配置することも可能である。なお、リップ型3は、対の割り型を組み合わせて径方向に分けることができるようにした型である。
【0055】
(サポートリング部−スカート状)
上記例でのサポートリング成形部14は、プリフォーム11の頸部12の周囲から略平板形状にして張り出るサポートリング部13を得るようにしているが、本発明において、サポートリング部13は縦断面形状で平板形状に限定されない。サポートリング部13の縦断面形状は、必要に応じて平板形状以外にすることが可能である。
【0056】
図8は射出成形型1の一部を断面にしてサポートリング成形部14を示している。前記サポートリング成形部14は縦断面形状が下向きの略弧形状に設けられていて、リップ型3のサポートリング成形部14側の縦断面形状を略鉤形状にするとともに、射出キャビティ型2のサポートリング成形部14側では、サポートリング部基端箇所に対応する部分を上方に凸となる形状にしている。
【0057】
さらに、リップ型3のサポートリング成形部14での外端内面部15に、上述した例と同じようにサポートリング成形部14の周方向に沿って不連続にして胴支持部16を配置している。
【0058】
図9において左半面は、上記サポートリング成形部14を有する射出成形型1から成形されるプリフォーム11の一部断面を示している。このプリフォーム11は、サポートリング成形部14によってサポートリング部13をスカート状にして頸部12の周囲に一体に有した形状に成形される。
【0059】
図9において右半面は、早期に離型したプリフォーム11をブロー成形して得られた中空体18の一部を示して、サポートリング部13の下面位置で、頸部12の基端が拡径するように設けられている。そして、胴支持部16を不連続に配置していることから、サポートリング部13の外端に表われる凹所19も不連続に形成される。
【0060】
(サポートリング部−平面形状)
本発明において、サポートリング部13の平面形状は円に限定されない。図10は、略角形のサポートリング部13に応じたサポートリング成形部14を備えるリップ型3を示している。
【0061】
リップ型3を下方から見た状態で示すように、この例では、サポートリング成形部14の平面形状を略四角形状にしている。サポートリング成形部14の平行な一組の辺部がリップ型3の割り方向と平行となるようにしてサポートリング成形部14を形成している。そして、サポートリング成形部14の四つの角部それぞれに胴支持部16が位置している。図10の(a)はリップ型3が閉じている状態を示し、図10の(b)はリップ型3が開く状態を示している。
【0062】
例えば、平面形状を略四角形状とするサポートリング成形部14の角部に胴支持部16を位置させる場合も、サポートリング成形部14の角部を縦断面で表現している図11(a)で示すように、上記実施の例と同じくその胴支持部16をパーティングライン7に対応する位置より上方となる位置であって、型の中心側に向けて凸となる突起状に設ける。また、図11(b)に示すように、下面をパーティングライン7の位置に沿わせて胴支持部16をパーティングライン7の位置に配することも可能である。
【0063】
上記例の胴支持部16も、図12に示す形状のプリフォーム11を離型するに際してプリフォーム胴部10の形状が崩れないように維持する役割を有する。図12に示す例のプリフォーム11の場合、サポートリング部13の下の部分は、図13に示す中空体18を得るための設計上、下向き方向で縮径するテーパー形状に設定される。そして、このプリフォーム11は、胴支持部16が存在する射出成形型にて成形されるので、早期離型を行なってもプリフォーム形状は崩れない。
【0064】
なお、リップ型3の割れ方向に対して、一組の辺部が平行となるように胴支持部16を配置したが、リップ型3の割れ方向に対角方向を揃えるように胴支持部16を配置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…射出成形型
2…射出キャビティ型
3…リップ型
4…射出コア型
5…プリフォーム形成空間
7…パーティングライン
8…プリフォーム口部
10…プリフォーム胴部
11…プリフォーム
12…頸部
13…サポートリング部
14…サポートリング成形部
15…外端内面部
16…胴支持部
18…中空体
19…凹所
a…射出コア型
b…プリフォーム
c…リップ型
d…射出キャビティ型
e…サポートリング部
f…付け根部分
g…プリフォームの胴部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2020年8月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出キャビティ型にリップ型を重ね合わせて、リップ型の内側から射出キャビティ型の内側にかけて射出コア型を配置して、プリフォームを成形する金型において、
射出キャビティ型とリップ型とを重ね合わせるパーティングラインに対応する位置に、サポートリング成形部を備えていて、
リップ型におけるサポートリング成形部の外端内面部に、プリフォーム離型時のプリフォーム胴部を非接触で支持する胴支持部が、金型内方に向けて凸にして設けられていることを特徴とする射出成形型。
【請求項2】
胴支持部は、サポートリング成形部の周方向に沿って連続して設けられている請求項1に記載の射出成形型。
【請求項3】
胴支持部は、サポートリング成形部の周方向に沿って不連続にして設けられている請求項1に記載の射出成形型。
【請求項4】
サポートリング成形部は平面形状を略角形にして設けられていて、胴支持部は、略角形のサポートリング成形部の角部に位置している請求項1に記載の射出成形型。
【請求項5】
胴支持部は、パーティングラインに沿った位置、またはパーティングラインに近接する位置に設けられている請求項1から4の何れか一項に記載の射出成形型。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項の射出成形型に溶融樹脂を充填し、サポートリング部を一体にしたプリフォームを成形し、リップ型の胴支持部がプリフォームのサポートリング部を下方から受けて、プリフォーム胴部を非接触で支持した状態で、プリフォームを射出キャビティ型から離型することを特徴とするプリフォームの成形方法。
【請求項7】
請求項1から5の何れか一項の射出成形型に溶融樹脂を充填し、サポートリング部を一体にしたプリフォームを成形し、リップ型の胴支持部がプリフォームのサポートリング部を下方から受けて、プリフォーム胴部を非接触で支持した状態で、プリフォームを射出キャビティ型から離型し、
前記離型したプリフォームを中空体にブロー成形することを特徴とする中空体の製造方法
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、溶融樹脂からプリフォームを得るための射出成形型と、この射出成形型を用いたプリフォーム成形方法、そして、中空体の製造方法に関するものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
(請求項の発明)
さらに、もう一つの発明は、請求項1から5の何れか一項の射出成形型に溶融樹脂を充填し、サポートリング部を一体にしたプリフォームを成形し、リップ型の胴支持部がプリフォームのサポートリング部を下方から受けて、プリフォーム胴部を非接触で支持した状態で、プリフォームを射出キャビティ型から離型し、
前記離型したプリフォームを中空体にブロー成形することを特徴とする中空体の製造方法であり、この中空体の製造方法を提供して、上記課題を解消するものである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
(請求項の発明の効果)
請求項の中空体の製造方法に係る発明によれば、プリフォームの射出冷却の時間を短縮した状態でもプリフォームの早期の離型が行なえるので、プリフォームの成形のサイクルが短くなる。よって、中空体の製造効率を高めることができる。