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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-195014(P2021-195014A)
(43)【公開日】2021年12月27日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/18 20060101AFI20211129BHJP
   B60Q 1/14 20060101ALI20211129BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20211129BHJP
   F21S 41/663 20180101ALI20211129BHJP
   F21S 41/151 20180101ALI20211129BHJP
   F21W 102/145 20180101ALN20211129BHJP
   F21W 102/155 20180101ALN20211129BHJP
   F21W 102/165 20180101ALN20211129BHJP
   F21W 102/19 20180101ALN20211129BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20211129BHJP
【FI】
   B60Q1/18 B
   B60Q1/14 H
   F21S41/143
   F21S41/663
   F21S41/151
   F21W102:145
   F21W102:155
   F21W102:165
   F21W102:19
   F21Y115:10
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-102869(P2020-102869)
(22)【出願日】2020年6月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】特許業務法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】金澤 隆志
(72)【発明者】
【氏名】仲野 隆一
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339BA01
3K339BA02
3K339BA21
3K339BA22
3K339BA30
3K339CA01
3K339DA01
3K339GB01
3K339HA01
3K339HA04
3K339KA07
3K339KA09
3K339LA06
3K339LA07
3K339LA17
3K339LA34
3K339MC43
3K339MC48
3K339MC50
3K339MC51
3K339MC90
(57)【要約】      (修正有)
【課題】車両手前側への照射光についても十分な照度を確保できる車両用灯具の提供。
【解決手段】車両の前方へ光照射を行うための車両用灯具であって、第1ロービーム103を形成するための光を生成する第1ユニットと、ハイビーム101並びに第2ロービーム102の各々を形成するための光を生成する第2ユニットと、を含む。ハイビーム101は、その下端側の一部分が第1ロービーム103の上端側の一部領域と重なり、かつ、下端側の一部分以外の部分が、第1ロービーム103とは重ならずに、第1ロービーム103よりも相対的に上方に形成される。第2ロービーム102は、その上端側の一部分が第1ロービーム103の下端側の一部領域と重なり、かつ、上端側の一部分以外の部分が、第1ロービーム103とは重ならずに第1ロービーム103よりも相対的に下方に形成される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方へ光照射を行うための車両用灯具であって、
第1ロービームを形成するための光を生成する第1ユニットと、
ハイビーム並びに第2ロービームの各々を形成するための光を生成する第2ユニットと、
を含み、
前記ハイビームは、その下端側の一部分が前記第1ロービームの上端側の一部領域と重なり、かつ当該下端側の一部分以外の部分が前記第1ロービームとは重ならずに当該第1ロービームよりも相対的に上方に形成されるものであり、
前記第2ロービームは、その上端側の一部分が前記第1ロービームの下端側の一部領域と重なり、かつ当該上端側の一部分以外の部分が前記第1ロービームとは重ならずに当該第1ロービームよりも相対的に下方に形成されるものであるか、あるいは全てが前記第1ロービームと重なるものである、
車両用灯具。
【請求項2】
前記ハイビームと前記第2ロービームは、互いに重ならずに形成される、
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第2ロービームは、前記ハイビームよりも狭い幅で形成される、
請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記第2ロービームは、少なくとも、前記車両の前方の路面上において当該車両の前後方向に沿って当該車両から5m〜15mの範囲かつ当該車両の左右方向に3.5mの範囲の全体に形成される、
請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記第2ユニットは、前記ハイビームと前記第2ロービームの各々を個別に形成可能であり、
前記ハイビームの形成時と非形成時のいずれにおいても、前記第1ユニットによる前記ロービームの形成と前記第2ユニットによる前記第2ロービームの形成が行われる、
請求項1〜4の何れか1項に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記第1ユニットと前記第2ユニットとが、前記車両の前部において当該車両の左右方向に沿って隣り合って配置される、
請求項1〜5の何れか1項に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記第2ユニットは、同一基板に搭載された複数の発光素子を含み、
前記複数の発光素子は、前記ハイビームの照射に用いられる1又は複数の第1発光素子と、前記第2ロービームの照射に用いられる1又は複数の第2発光素子とを含み、
前記第2発光素子は、平面視で、前記第1発光素子を基準にして相対的に前記車両の左右方向に沿ってずれた位置に配置されている、
請求項1〜7の何れか1項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両前方へ光照射を行うための車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2018−172038号公報(特許文献1)には、ロービーム用灯具ユニットとハイビーム用灯具ユニットを備える車両用灯具が記載されている。この車両用灯具では、車両前方において相対的に下方にロービーム用配光パターンが形成され、相対的に上方にハイビーム用配光パターンが形成される。
【0003】
ところで、例えば上記のような車両用灯具の搭載される車両が比較的車高の高いものである場合などにおいては、車両用灯具の設置位置も相対的に高くなることから、車両の手前側(例えば前方5m〜15m程度の範囲)における照射光の照度が低くなることがある。この場合、車両用の照射光としては必要十分な照度が確保されていたとしても、車両の搭乗者の心理的には手前側の暗さに影響されて照射光全体の明るさが足りないという印象を持つ可能性がある。このような印象を持たせることは商品価値の低下を招くために好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018−172038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明に係る具体的態様は、車両手前側への照射光についても十分な照度を確保できる車両用灯具を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る一態様の車両用灯具は、(a)車両の前方へ光照射を行うための車両用灯具であって、(b)第1ロービームを形成するための光を生成する第1ユニットと、(c)ハイビーム並びに第2ロービームの各々を形成するための光を生成する第2ユニットと、を含み、(d)前記ハイビームは、その下端側の一部分が前記第1ロービームの上端側の一部領域と重なり、かつ当該下端側の一部分以外の部分が前記第1ロービームとは重ならずに当該第1ロービームよりも相対的に上方に形成されるものであり、(e)前記第2ロービームは、その上端側の一部分が前記第1ロービームの下端側の一部領域と重なり、かつ当該上端側の一部分以外の部分が前記第1ロービームとは重ならずに当該第1ロービームよりも相対的に下方に形成されるものであるか、あるいは全てが前記第1ロービームと重なるものである、車両用灯具である。
【0007】
上記構成によれば、車両手前側への照射光についても十分な照度を確保できる車両用灯具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態の車両用灯具の構成を示すブロック図である。
図2図2は、ハイビームユニットの構成例を示す図である。
図3図3は、ハイビームユニットの光源の構成を示す模式的な平面図である。
図4図4(A)は、車両用灯具の外観構成を模式的に示す平面図である。図4(B)は、車両用灯具の点灯時の様子を模式的に示す図である。図4(C)は、比較例の車両用灯具の点灯時の様子を模式的に示す図である。
図5図5(A)〜図5(D)は、車両用灯具によって形成されるハイビーム、ロービームおよび追加的ロービームについて説明するための図である。
図6図6(A)は、車両用灯具によって形成される照射光の照度分布例を示す図である。図6(B)は、比較例の車両用灯具によって形成される照射光の照度分布例を示す図である。
図7図7は、変形例の車両用灯具の光学的要素の構成を示す図である。
図8図8は、変形例の車両用灯具におけるハイビームユニットの光源の構成を示す模式的な平面図である。
図9図9は、変形例の車両用灯具におけるレンズの構成例を示す模式的な正面図である。
図10図10(A)は、図9に示すA−A線における断面図、図10(B)は、図9に示すB−B線における断面図、図10(C)は、図9に示すC−C線における断面図である。
図11図11(A)〜図11(C)は、変形例の車両用灯具によって形成される選択的ハイビーム、ロービーム、追加的ロービーム及び追加的ハイビームについて説明するための図である。
図12図12は、追加的ロービームとして望ましい照射範囲を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、一実施形態の車両用灯具の構成を示すブロック図である。図示の車両用灯具は、制御装置(点灯制御装置)10、一対のランプユニット20L、20Rを含んで構成されている。
【0010】
制御装置10は、一対のランプユニット20L、20Rの動作を制御する。この制御装置10は、例えばCPU、ROM、RAM等を有するコンピュータシステムを用い、このコンピュータシステムにおいて所定の動作プログラムを実行させることによって実現される。
【0011】
各ランプユニット20L、20Rは、車両の前部の左右に1つずつ設けられ、車両の前方に光照射を行うためのものである。これらのランプユニット20L、20Rは、それぞれ、駆動回路30と、ロービームユニット(第1ユニット)31と、ハイビームユニット(第2ユニット)32を有する。
【0012】
駆動回路30は、制御装置10から供給される制御信号に基づいて、ロービームユニット31およびハイビームユニット32を駆動する。
【0013】
ロービームユニット31は、例えば光源バルブとリフレクタを有しており、駆動回路30から駆動電力を受けて動作し、光源バルブから出射する光をリフレクタによって反射させ、この反射光の一部を遮光板で遮光することによりロービームを形成するための照射光を生成する。
【0014】
ハイビームユニット32は、駆動回路30から駆動電力を受けて、ハイビームを形成するための照射光を生成するとともに、上記したロービームユニット31により形成されるロービーム(第1ロービーム)とは異なる追加的ロービーム(第2ロービーム)を形成するための照射光を生成する。ここで、本実施形態における追加的ロービームとは、ロービームよりも更に車両に近い側の前方領域に照射するための光である。
【0015】
図2に構成例を示すように、ハイビームユニット32は、ハイビーム用の照射光を生成するための複数の発光素子(LED)や追加的ロービーム用の照射光を生成するための複数の発光素子(LED)を備える光源33と、これらの発光素子から出射する光を集光して反転投影することによりハイビームおよび追加的ロービームを形成するためのレンズ34などを備える。
【0016】
図3は、ハイビームユニットの光源の構成を示す模式的な平面図である。図示の光源33は、複数の発光素子(第1発光素子)を有するハイビーム用チップ群40と、複数の発光素子(第2発光素子)を有する追加的ロービーム用チップ群41と、これらが搭載される基板42を含んで構成されている。図示の例では、ハイビーム用チップ群40は、図中の左右方向に沿って配列された3個の発光素子を備えている。また、追加的ロービーム用チップ群41は、図中の左右方向に沿って配列された2個の発光素子を備えており、このように本実施形態では、ハイビーム用チップ群40と追加的ロービーム用チップ群41が同一の基板42上に搭載されている。
【0017】
ハイビーム用チップ群40は、レンズ34(図2参照)の焦点近傍に配置されている。また、追加的ロービーム用チップ群41は、平面視において、ハイビーム用チップ群41よりも図中上側に配置されており、かつハイビーム用チップ群40の左右方向の中心位置aよりも車両の内側に対応する位置(例えば、左側のランプユニット20Lであれば車両の左右方向において右側寄りの位置)にずらして配置されている。これにより、追加的ロービーム用チップ群41から出射される光は車両前方の外側寄りの領域に照射されるので、例えば路上の白線などの視認性を向上させることができる。
【0018】
図4(A)は、車両用灯具の外観構成を模式的に示す平面図である。同図では車両の前部左側に設置される車両用灯具を正面側から見た様子が示されている。なお、車両の前部右側に設置される車両用灯具は図示のものと左右対称であるのでここでは図示を省略する。図示のように、ロービームユニット31は相対的に車両の外側寄りに配置され、ハイビームユニット32は、相対的に車両の内側寄りに配置されている。
【0019】
図4(B)は、車両用灯具の点灯時の様子を模式的に示す図である。なお、同図では点灯状態にあることを模様により表現している。本実施形態の車両用灯具では、ハイビームを形成する場合と形成しない場合のいずれにおいても追加的ロービームを形成する。このため、ハイビームの形成時(図中下段)と非形成時(図中上段)のいずれにおいても、外観上はロービームユニット31とハイビームユニット32の両者から常に光が生成されるので、車両用灯具全体としては常にひとつながりの照射光が視認される。これに対して、追加的ロービームを照射する構成を有していない比較例の車両用灯具では、図4(C)に示すように、ハイビームユニット32からのハイビームの形成時(図中下段)と非形成時(図中上段)で外観上の照射光の範囲(面積)が異なる。従って、本実施形態の車両用灯具は点灯時の外観デザインを向上させることができる。
【0020】
図5(A)〜図5(D)は、車両用灯具によって形成されるハイビーム、ロービームおよび追加的ロービームについて説明するための図である。図5(A)〜図5(D)では、自車両の前方の所定位置(例えば前方25mの位置)における仮想スクリーン上での各ビームの形状や配置が模式的に示されている。
【0021】
図5(A)は、各ランプユニット20L、20Rの各ハイビームユニット32によって形成されるハイビームを示す図である。図示のハイビーム101は、ランプ正面(横軸0°)を基準として左右それぞれ約15°の範囲に形成されており、かつ水平線(縦軸0°)より僅かに下の位置(下方向へ2°前後の位置)から水平線よりも高い位置(上方向へ5〜6°の位置)の範囲に形成されている。このハイビーム101は、各ハイビームユニット32のハイビーム用チップ群40からの光を1つに重ねて形成されている。
【0022】
図5(B)は、各ランプユニット20L、20Rの各ハイビームユニット32によって形成される追加的ロービームを示す図である。図示の追加的ロービーム102は、ランプ正面(横軸0°)を基準として右側に約7°の範囲かつ左側に約13°の範囲に形成されており、かつ水平線(縦軸0°)より下方向へ約4°から約7°の範囲に形成されている。この追加的ロービーム102は、各ハイビームユニット32の追加的ロービーム用チップ群41からの光を1つに重ねて形成されている。
【0023】
図5(C)は、各ランプユニット20L、20Rの各ロービームユニット31によって形成されるロービームを示す図である。図示のロービーム103は、ランプ正面(横軸0°)を基準として右側に約30°の範囲かつ左側に約38°の範囲に形成されており、かつ水平線(縦軸0°)から下方向へ約4°〜8°の範囲に形成されている。ロービーム103は、上端側の中央左寄りにカットオフ形状を有している。また、ロービーム103は、下端側が中央から左右にかけて徐々に上がる形状を有している。このロービーム103は、各ロービームユニット31からの光を1つに重ねて形成されている。
【0024】
図5(D)は、ハイビーム、ロービーム、追加的ロービームを重ね合わせた様子を示す図である。図示のように、ハイビーム101は、ロービーム103の上端側の一部領域と僅かに重なって形成され、追加的ロービーム102とは重ならないように形成される。追加的ロービーム102は、上端側の一部分がロービーム103と部分的に重なっており、下端側の部分はロービーム103とは重ならずにこのロービーム103の下端よりも更に下側に形成されている。また、追加的ロービーム102は、ハイビーム101よりも狭い幅で形成されている。ロービーム103は、最大光度が0.5°〜2°下方にあり明瞭なカットオフを有する。これに対して追加的ロービーム102は、5°〜10°下方、左右10°の間に最大光度を有し、V線(横軸0°の線)をまたがり、明瞭なカットオフを有していない。このような配光パターンによれば、ロービーム103による照射範囲よりも更に手前側の車両前方を効果的に光照射することできるとともに、車両左側の車線などに対して効果的に光照射することができる。なお、追加的ロービーム102は、その全てがロービーム103と重なるように形成されてもよい。その場合、追加的ロービーム102は、ロービーム103の下方(例えば上下方向の中央よりも下側領域)に重なる範囲に形成されることが望ましい。
【0025】
図6(A)は、車両用灯具によって形成される照射光の照度分布例を示す図である。また、図6(B)は、追加的ロービームを照射する構成を有していない比較例の車両用灯具によって形成される照射光の照度分布例を示す図である。各図では、車両の進行方向に沿って車両位置(0m)から前方20mの範囲、かつ左右各20mの範囲における照射光の照度分布例が示されている。図6(A)に示すように、本実施形態の車両用灯具では、主にロービームによって形成される照射光(5lux〜50lux以上の範囲)と主にハイビームによって形成される照射光(50lux〜100luxの範囲)に加えて、車両の前方中央の狭い範囲に100lux以上の照射光が形成される。これにより、例えば車両の低速走行時に追加的ロービームが照射されることで車両手前側の照度を最大で80lux増加させることができる。また、雨天の走行時において追加的ロービームが照射された場合にも、車両の手前側が重点的に照射されることから、濡れた路面での反射光により対向車の運転者がグレアを受ける時間を少なくすることができる。これに対して、図6(B)に示す比較例では、上記したような追加的ロービームによる効果が得られない。
【0026】
図7は、変形例の車両用灯具の光学的要素の構成を示す図である。なお、駆動回路等の構成については上記した実施形態と同様であるので説明を省略する。変形例の車両用灯具は、複数の発光素子(LED)を備える光源33aと、これら発光素子によって生成される光を集光して反転投影することによりハイビーム等を形成するレンズ34aと、光源33aの前面に配置されており光源33aから出射する光のうち元来レンズ34aに入らずに拡がって進む光をレンズ34a側へ戻すように反射させる複数の反射面を複数有しているリフレクタ35を備える。このリフレクタ35は、追加的ロービームの路面上照度の均一性を高めるとともに、光利用効率を高めることでより広範囲に追加的ロービームを照射できるようにするためのものである。また、レンズ34aは、光学系としては2段に分かれており、上段に入射する光と下段に入射する光とを合成して照射光を形成するように設計されている。
【0027】
図8は、変形例の車両用灯具におけるハイビームユニットの光源の構成を示す模式的な平面図である。図示の光源33aは、図中下側に、複数の発光素子を有するADB用チップ群40aと、1つの発光素子を有する追加的ロービーム用チップ41aと、2つの発光素子を有する追加的ハイビーム用チップ群43aを含んで構成されている。ここで、ADB用チップ群40aは、図示しないカメラにより撮影される車両前方に存在する対向車等の位置に応じて制御部10により減光領域が設定された配光パターンによるハイビーム(以下、「選択的ハイビーム」と称する。)を形成するための照射光を生成するものである。
【0028】
また、追加的ハイビーム用チップ群43aは、車両の前方上方へ追加的なハイビームを形成するための照射光を出射するものである。図示の例では、ADB用チップ群40aは、図中の左右方向に沿って配列された5個の発光素子チップを備えている。また、追加的ハイビーム用チップ43aは、図中の左右方向に沿って配列された2個の発光素子チップを備えている。このように変形例においても、ADB用チップ群40a、追加的ロービーム用チップ41a、追加的ハイビーム用チップ群43aが共通の基板上に搭載されている。
【0029】
ADB用チップ群40aは、レンズ34aの図中上段部分の焦点近傍に配置されている。また、追加的ロービーム用チップ41aは、図中においてADB用チップ群40aよりも下側に配置されている。追加的ハイビーム用チップ群43aは、図中において追加的ロービーム用チップ41aよりも下側に配置されている。また、上記した実施形態と同様に、追加的ロービーム用チップ41aは、ADB用チップ群40aおよび追加的ハイビーム用チップ群43aの左右方向の中心位置aよりも車両の内側に対応する位置(例えば、右側のランプユニット20Rであれば車両左側寄りの位置)にずらして配置されている。
【0030】
図9は、変形例の車両用灯具におけるレンズの構成例を示す模式的な正面図である。また、図10(A)は、図9に示すA−A線における断面図、図10(B)は、図9に示すB−B線における断面図、図10(C)は、図9に示すC−C線における断面図である。図9および図10(A)に示すように、レンズ34aは、上段部分50と下段部分51を備えている。このうち、上段部分50は、図10(B)に示すように一般的な凸レンズの形状を有しており、その焦点近傍に光を集光させる機能を有している。この上段部分50には上記したADB用チップ群41aから出射される光が入射する。これにより、ADB用照射光は、中心光度が高められ、かつ所望の配光パターンで照射される。また、下段部分51は、図10(C)に示すように、光源33aに近い側の面(光入射面)に2つの凸形状を有している。この下段部分51は、光を左右に広げる効果(拡散効果)を有するものであり、上記した追加的ロービーム用チップ41aおよび追加的ハイビーム用チップ群43aから出射される光が入射する。これにより、追加的ハイビームは車両の前方上方の広範囲に照射され、追加的ロービームは車両の前方手前側の広範囲に照射される。
【0031】
図11(A)〜図11(C)は、変形例の車両用灯具によって形成される選択的ハイビーム、ロービーム、追加的ロービーム及び追加的ハイビームについて説明するための図である。図11(A)〜図11(C)では、自車両の前方の所定位置(例えば前方25mの位置)における仮想スクリーン上での各ビームの形状や配置が模式的に示されている。
【0032】
図11(A)は、各ランプユニット20L、20Rの各ハイビームユニット32によって形成される選択的ハイビームを示す図である。図示の選択的ハイビーム101aは、ランプ正面(横軸0°)を基準として右側に約14°、左側に約21°の範囲に形成されており、かつ水平線(縦軸0°)より僅かに上の位置(+2°前後の位置)から水平線よりも低い位置(縦軸5〜6°の位置)の範囲に形成されている。この選択的ハイビーム101aは、各ハイビームユニット32からの光を1つに重ねて形成されている。なお、図示の例では全範囲を照射する場合が示されているが、対向車等が存在する場合にはその位置に応じて適宜、一部分が減光状態(または非照射状態)に制御される
【0033】
図11(B)は、各ランプユニット20L、20Rの各ハイビームユニット32によって形成される追加的ロービーム及び追加的ハイビームを示す図である。図示の追加的ロービーム102aは、ランプ正面(横軸0°)を基準として右側に約14°、左側に約13°の範囲に形成されており、かつ水平線(縦軸0°)より下方向の約4°から約12°の範囲に形成されている。この追加的ロービーム102aは、各ハイビームユニット32からの光を1つに重ねて形成されている。また、図示の追加的ハイビーム104は、ランプ正面(横軸0°)を基準として右側に約14°、左側に約15°の範囲に形成されており、かつ水平線(縦軸0°)より下方向の約2.5°から水平線より上の約6°の範囲に形成されている。この追加的ハイビーム104は、各ハイビームユニット32からの光を1つに重ねて形成されている。
【0034】
図11(C)は、各ランプユニット20L、20Rの各ロービームユニット31によって形成されるロービームを示す図である。図示のロービーム103は、上記した実施形態と同様に形成されている。本変形例でも、ロービーム103は、最大光度が0.5°〜2°下方にあり明瞭なカットオフを有する。これに対して上記の追加的ロービーム102は、5°〜10°下方、左右10°の間に最大光度を有し、V線(横軸0°の線)をまたがり、明瞭なカットオフを有していない。このような配光パターンによれば、ロービーム103による照射範囲よりも更に手前側の車両前方を効果的に光照射することできるとともに、車両左側の車線などに対して効果的に光照射することができる。
【0035】
図12は、追加的ロービームとして望ましい照射範囲を説明するための図である。図12においても自車両の前方の所定位置(例えば前方25mの位置)における仮想スクリーン上での各ビームの形状や配置が模式的に示されている。なお、ここでは車両の左側に設置されるランプユニット20Lによって照射される追加的ロービーム200の照射範囲が示されているが、右側のランプユニット20Rについては左右対称の照射範囲となる。図示のように、例えば車両の前方5m〜15m、左右3.5mの幅を好適に照射するためには、ランプユニット20Lによる照射範囲を10°下方−11°左側〜10°下方−8°右側、3.5°下方−4°左側〜3.5°下方−3°右側の台形状の照射範囲全域において300カンデラ以上で光照射を行えるのが好ましい。左右全体で考えると、10°下方−左右8°、3.5°下方−左右3°で囲まれた照射範囲全域において300カンデラ以上で光照射を行えるように車両用灯具の光学的設計を行うことが好ましい。
【0036】
以上のような実施形態等によれば、車両手前側への照射光についても十分な照度を確保できる車両用灯具が提供される。
【0037】
なお、本発明は上記した実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば、上記した実施形態等において、追加的ロービームによる照射光の明るさを車速に応じて可変に設定してもよい。例えば、高速(一例として80km/h以上)、中速(一例として40km〜80km/h)、低速(一例として40km/h以下)のそれぞれにおいて、車速が大きいほど明るくなるように照射光を制御することが考えられる。また、車両の舵角に応じてカーブ路走行時に進行方向を照らす照射光を形成する場合において、その照射光をハイビームユニットにより形成してもよい。
【0038】
また、上記した実施形態等における光学系(ダイレクトプロジェクション光学系)は一例であり、光学系の構成はこれに限定されない。
【符号の説明】
【0039】
10:制御部、20L、20R:ランプユニット、30:駆動回路、31:ロービームユニット、32:ハイビームユニット、33:光源、34:レンズ、40:ハイビーム用チップ群、41:追加的ハイビーム用チップ群、42:基板、101:ハイビーム、102:追加的ロービーム、103:ロービーム
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図12