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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-195028(P2021-195028A)
(43)【公開日】2021年12月27日
(54)【発明の名称】操舵装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20211129BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20211129BHJP
   B62D 1/04 20060101ALI20211129BHJP
   B62D 113/00 20060101ALN20211129BHJP
   B62D 119/00 20060101ALN20211129BHJP
【FI】
   B62D6/00
   B62D5/04
   B62D1/04
   B62D113:00
   B62D119:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-103381(P2020-103381)
(22)【出願日】2020年6月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】西▲崎▼ 勝利
(72)【発明者】
【氏名】酒井 悠太
(72)【発明者】
【氏名】田村 勉
(72)【発明者】
【氏名】フックス ロバート
(72)【発明者】
【氏名】大北 直之
(72)【発明者】
【氏名】阿部 哲平
【テーマコード(参考)】
3D030
3D232
3D333
【Fターム(参考)】
3D030DB13
3D232CC08
3D232DA03
3D232DA15
3D232DA63
3D232DC10
3D232DD02
3D232DE09
3D232EB12
3D232EC23
3D232EC29
3D232EC37
3D333CB02
3D333CB31
3D333CB46
3D333CE49
(57)【要約】
【課題】運転者による操作部材の把持の検出精度の向上。
【解決手段】操作部材210を回転可能に保持する操舵装置100であって、運転者が操作部材210に加える入力トルクを検出するトルク検出手段140と、トルク検出手段140により検出された入力トルクを所定の閾値である判定閾値に基づき判定し、運転者の操作部材の把持を検出する把持検出部136と、を備え、把持検出部136は、把持した腕に作用する重力によって操作部材に発生する腕重力トルクを含む二次トルクに基づき判定閾値を変更する操舵装置100。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部材を回転可能に保持する操舵装置であって、
運転者が前記操作部材に加える入力トルクを検出するトルク検出手段と、
前記トルク検出手段により検出された入力トルクを所定の閾値である判定閾値に基づき判定し、運転者の操作部材の把持を検出する把持検出部と、を備え、
前記把持検出部は、
把持した腕に作用する重力によって前記操作部材に発生する腕重力トルクを含む二次トルクに基づき前記判定閾値を変更する
操舵装置。
【請求項2】
前記操作部材における運転者の把持位置を検出する把持位置検出手段と、
前記把持位置検出手段が検出した把持位置に基づき把持した腕に作用する重力によって前記操作部材に発生する腕重力トルクを導出する二次トルク導出部と、
を備える請求項1に記載の操舵装置。
【請求項3】
前記二次トルクは、前記操作部材の重心に作用する重力によって発生する重心トルクをさらに含む
請求項1または2に記載の操舵装置。
【請求項4】
操作部材の回転角を検出する回転角検出手段と、
前記回転角検出手段が検出した回転角によって前記操作部材に発生する重心トルクを導出する二次トルク導出部と、
を備える請求項3に記載の操舵装置。
【請求項5】
前記判定閾値は、前記操作部材の操作方向に対応した上限基準閾値と、上限閾値、および、下限基準閾値と、下限閾値を含み、
前記把持検出部は、前記上限基準閾値と、前記二次トルクとに基づいて前記上限閾値
を増加させ、かつ前記下限基準閾値と、前記二次トルクとに基づいて前記下限閾値を減少させ、あるいは前記下限閾値を増加させ、かつ前記上限閾値を減少させる
請求項1から4のいずれか一項に記載の操舵装置。
【請求項6】
前記操作部材における運転者の把持位置を検出する把持位置検出手段と、
所定の姿勢の前記操作部材において、前記把持位置検出手段で検出した把持位置と、前記トルク検出手段で検出したトルクと、に基づき把持した手に関する腕質量を算出する腕質量算出部を備え、
前記把持検出部は、
前記腕質量算出部により算出された腕質量と、把持位置とに基づき腕重力トルクを算出する
請求項1から5のいずれか一項に記載の操舵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングホイールなどの操作部材に対する運転者の把持を適切に検出することができる操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されるように、操作部材に印加されるトルクを検出し、摩擦トルクの推定値に基づいて変化する判定閾値を用いて検出したトルクを判定し、運転者が操作部材を把持しているか否かの判定の精度を向上させる技術が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019−189180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、摩擦トルク以外にも操作部材には運転者の意思に基づかないトルクが入力されることを発明者は見出すに至った。さらに、鋭意実験と研究を重ねた結果、運転者の意思に基づかないトルクが操作部材を把持しているか否かの判定に影響することを見出した。
【0005】
本発明は、発明者の新たな知見に基づきなされたものであり、操作部材が把持されたことを適切に検出することができる操舵装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の1つである操舵装置は、操作部材を回転可能に保持する操舵装置であって、運転者が前記操作部材に加える入力トルクを検出するトルク検出手段と、前記トルク検出手段により検出された入力トルクを所定の閾値である判定閾値に基づき判定し、運転者の操作部材の把持を検出する把持検出部と、を備え、前記把持検出部は、把持した腕に作用する重力によって前記操作部材に発生する腕重力トルクを含む二次トルクに基づき前記判定閾値を変更する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、二次トルクに基づき判定閾値を変更することにより適切に操作部材の把持状態を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、操舵装置を備えた操舵システムを示す図である。
図2図2は、把持判定装置の機能構成を示すブロック図である。
図3図3は、中立姿勢の操作部材を示す正面図である。
図4図4は、中立姿勢から回転させた状態の操作部材を示す正面図である。
図5図5は、中立姿勢の操作部材を示す側面図である。
図6図6は、操作部材を左回転させた際の把持検出部の処理動作を示す図である。
図7図7は、二次トルクMの正負によるトルク閾値の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る操舵装置の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の位置関係、および接続状態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下では複数の発明を一つの実施の形態として説明する場合があるが、請求項に記載されていない構成要素については、その請求項に係る発明に関しては任意の構成要素であるとして説明している。また、図面は、本発明を説明するために適宜強調や省略、比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状や位置関係、比率とは異なる場合がある。
【0010】
図1は、操舵装置を備えた操舵システムを示す図である。操舵システム200は、運転者が意図して操作部材210を操作することにより転舵輪220を運転者の意図に応じて転舵させるシステムである。本実施の形態の場合、操舵システム200は、操作部材210の回転角を信号(情報)に変換し、信号を受信したECU(Electronic Control Unit)の1つである転舵制御装置240が転舵機構230を制御することにより転舵輪220を転舵するリンクレス・ステア・バイ・ワイヤ・システムである。操舵システム200は、操作部材210と、転舵機構230と、転舵制御装置240と、操舵装置100とを備えている。
【0011】
操作部材210は、運転者から転舵のための操作を受ける装置であり、操舵装置100に連結されている。操作部材210の形状は特に限定されるものではないが、本実施の形態では操作部材210は、角がまるめられた台形の環形状のリム211とスポーク212とを備えている。車両の直進走行時における操作部材210の姿勢(中立姿勢)において、操作部材210は、重心213が操作部材210の回転中心214よりも上方に位置するものとなっている。
【0012】
転舵機構230は、転舵制御装置240によって制御される転舵モータ232を駆動源として、転舵輪220を転舵させる機構である。本実施の形態の場合、転舵機構230は、ラックシャフト231と、転舵モータ232と、転舵モータ232の回転駆動力を増幅してラックシャフト231に伝達するピニオンシャフトを備えた転舵減速機233と、直動するラックシャフト231と転舵輪220とを連結するタイロッド234と、を備えている。
【0013】
操舵装置100は、転舵輪220と機械的に接続されていない操作部材210を回転可能に保持する装置であって、操作部材210の回転角に応じた信号(情報)を転舵制御装置240に出力することにより転舵輪220を転舵する。操舵装置100は、トルク検出手段140と、把持判定装置130(図2参照)と、を備えている。本実施の形態の場合、操舵装置100は、把持位置検出手段120と、軸部材150と、回転角検出手段160と、を備えている。
【0014】
軸部材150は、操作部材210に機械的に連結され、操作部材210の操作に応じて回転する棒状の部材である。本実施の形態の場合、軸部材150は、反力手段110に接続され、操作部材210を操作する運転者に対し運転状態に応じた操舵感覚などを付与する反力が加えられる。
【0015】
反力手段110は、軸部材150を介して操作部材210に反力を付与する装置である。反力手段110の構成は、特に限定されるものではないが、本実施の形態の場合、反力手段110は、転舵輪と機械的に接続されている操舵装置が転舵輪などから受けるトルクと類似した反力を発生させるための電動モータ111と、電動モータ111の出力トルクを増幅して軸部材150に伝達するための減速機112とを備えている。電動モータ111としては、三相ブラシレスモータを例示することができる。減速機112は、電動モータ111によって回転駆動されるウォームギヤと、軸部材150に一体回転可能に連結され、ウォームギヤによって回転駆動されるウォームホイールと、を備えるウォーム減速機を例示することができる。電動モータ111のロータの回転角であるロータ回転角は、レゾルバ等の回転角センサ(不図示)によって検出され、操作部材210の回転角を導出する情報として用いられる場合がある。
【0016】
把持位置検出手段120は、操作部材210における運転者の把持位置を検出する装置である。本実施の形態の場合、把持位置検出手段120は、操作部材210のリム211に、所定の間隔で配置された複数のタッチセンサを備え、運転者がリム211を把持により反応したタッチセンサの位置に基づき把持位置を検出している。タッチセンサの種類は特に限定されるものではなく、静電容量を利用したもの、膜抵抗を利用したもの、赤外線など光を利用したもの、圧力を検出するもの、マイクロスイッチなどを例示することができる。タッチセンサは、スポーク212などに取り付けられても構わない。
【0017】
把持位置検出手段120の把持位置検出精度は特に限定されるものではないが、少なくとも、操作部材210の中立姿勢における左右、および回転中心214から最も遠い位置、最も近い位置の4箇所が区別できる精度を備えることが好ましい。把持位置検出手段120は、操作部材210の中立姿勢における上死点、下死点などを把持していることを検出できる精度を備えてもよい。また、把持位置検出手段120は、中立姿勢における回転中心214の左右の真横を把持していることを検出できる精度を備えてもよい。また、把持位置検出手段120は、回転中心214を中心として所定の角度毎に把持位置を検出する精度を備えても構わない。
【0018】
回転角検出手段160は、操作部材210の回転角を検出する装置である。本実施の形態の場合、回転角検出手段160は、軸部材150の回転を操作部材210の回転として検出している。回転角検出手段160の種類は、特に限定されるものではないが、本実施の形態の場合、回転角検出手段160は、軸部材150と共に回転する主歯車と、主歯車に噛み合う径の異なる二つの従動歯車とを備え、従動歯車にそれぞれ備えられた永久磁石の回転をホール素子などで検出することにより操作部材210の回転角度ばかりでなく回転方向も検出できるものとなっている。
【0019】
トルク検出手段140は、操作部材210を介して軸部材150に加えられるトルクを検出する装置である。トルク検出手段140の構成は、特に限定されるものではないが、本実施の形態の場合、トルク検出手段140は、軸部材150に介在配置されているトーションバー142と、トーションバー142の操作部材210側の端部と減速機112側の端部との相対的なねじれ角(回転変位量)を検出するねじれ角検出装置141とを備えている。
【0020】
図2は、把持判定装置の機能構成を示すブロック図である。把持判定装置130は、運転者の操作部材210の把持状態を判定し、判定結果示す情報を上位の制御装置250に出力するECUの一つであって、把持判定装置130が搭載するマイクロコンピュータ(マイクロプロセッサ)が記憶装置などに記憶されたプログラムを実行することにより実現する処理部として、把持位置取得部131と、回転角取得部132と、腕質量算出部133と、二次トルク導出部134と、把持検出部136と、トルク取得部137と、を備えている。
【0021】
把持位置取得部131は、把持位置検出手段120が出力する信号に基づき運転者が操作部材210を把持している位置を導出する処理部である。本実施の形態の場合、把持位置取得部131は、中立姿勢の操作部材210を運転者側から見た右側をR、左側をLとして区別し、把持位置を極座標として導出している。具体的には、図3に示すように、把持位置取得部131は、右腕把持位置RAの極座標(rR,θR)を導出し、左腕把持位置LAの極座標(rL,θL)を導出している。なおθは、回転中心214を中心(原点)とし、中立姿勢の操作部材210のリム211の回転中心214の直上部分へ延びる基準線からの角度を示している。この極座標(基準線)は操作部材210に固定され、操舵部材210とともに回転する。なお、rR、およびrLは、把持位置に関連付けられた状態で記憶手段139に記憶されている。
【0022】
また、図5に示すように、操舵部材の回転面と重力方向とのなす角θzも記憶手段139に記憶されている。
【0023】
回転角取得部132は、回転角検出手段160が出力する信号に基づき運転者が操作部材210を回転させた回転量を角度として導出する処理部である。本実施の形態の場合、運転者から操作部材210を見た場合において、図4に示すように、操作部材210が反時計回りに回る方向を正とし、回転角をδとして情報を出力する。つまりδの値が正の場合、回転角取得部132は、その値を左回転情報として出力し、δの値が負の場合、回転角取得部132は、その値を右回転情報として出力する。以上から鉛直線(図中X軸)に対する右腕把持位置RAの角度はδ+θRであり、左腕把持位置LAの角度はδ+θLである。
【0024】
トルク取得部137は、トルク検出手段140が出力する信号に基づき運転者が操作部材210を回転させる際に発生する入力トルクを導出する処理部である。本実施の形態の場合、トーションバー142の両端部の相対的なねじれ角(回転変位量)、およびトーションバー142のねじり弾性率に基づきトルクを導出する。
【0025】
腕質量算出部133は、所定の姿勢の操作部材210において、把持位置検出手段120で検出した把持位置と、トルク検出手段140で検出したトルクと、に基づき把持した手に関する腕質量を算出する処理部である。なお、腕質量とは、運転者の実際の腕の質量ではなく、運転者が操作部材210を回転させようとする意識を持つことなく操作部材210を把持した際に、重力により操作部材210に発生する力を示す指標となる物理量である。腕質量は、左右の腕によっても異なり、運転者の筋力や運転姿勢などによっても異なる場合がある。
【0026】
本実施の形態の場合、腕質量算出部133は、操舵装置100が搭載されている車両の停止中、自動運転中などにおいて、操舵装置100を腕質量測定モードに設定して腕質量を算出する。腕質量測定モードとは、反力手段110を制御することにより操作部材210が中立姿勢を維持するように固定し、片腕ずつ操作部材210を肩の力を抜いた状態で把持することを運転者に促す情報を報知し、トルク検出手段140からのトルク、および把持位置取得部131からの把持位置の情報を取得するモードである。
【0027】
腕質量算出部133は、腕質量測定モードにおいて取得した把持位置とトルクとから回転中心214からの距離、および重力加速度gを考慮してそれぞれの右腕の質量である右腕質量mR、および左腕の質量である左腕質量mLを算出する。算出された、右腕質量mR、および左腕質量mLは、記憶手段139に記憶される。
【0028】
図3図4図5を参照して、二次トルク導出部134は、把持位置取得部131が取得した把持位置である(rR,θR)、および(rL,θL)の少なくとも一方、把持位置に対応した右腕質量mR、および左腕質量mLの少なくとも一方、回転角取得部132が取得した操作部材210の回転角δ、および重力加速度に基づき運転者の把持した腕の重心に作用する重力によって操作部材210に発生する腕重力トルクを式1、式2に基づきそれぞれ二次トルクとして導出する。
【0029】
右腕重力トルク=mR*g*cosθz*rR*sin(δ+θR)・・・(式1)
【0030】
左腕重力トルク=mL*g*cosθz*rL*sin(δ+θL)・・・(式2)
【0031】
なお、*(アスタリスク)は乗算を表す。
【0032】
本実施の形態の場合、二次トルク導出部134は、操作部材210の重心に作用する重力によって軸部材150に発生する重心トルクを式3に基づき二次トルクの一つとして導出する。なお、操作部材210の質量をmH、回転中心214から操作部材210の重心213までの長さをrCと記載する
【0033】
重心トルク=mH*g*cosθz*rC*sinδ・・・(式3)。
【0034】
把持検出部136は、トルク検出手段140により検出された入力トルクを所定の閾値である判定閾値に基づき判定し、入力トルクが判定閾値以上である場合、運転者が操作部材210を操舵の意思を持って把持していることを検出する。把持を検出するとは、運転者が車両を操舵する意思を有して操作部材210を把持した状態を検出することであり、車両の直進時に操作部材210に手が単に接触している状態、自動運転に基づき反力手段110により動作している操作部材210の動作に追随するように操作部材210に接触している状態などは除外される。
【0035】
把持検出部136は、把持を検出するにあたり、二次トルク導出部134から取得した二次トルクに基づき判定閾値を変更する。判定閾値の変更方法は特に限定されるものではない。例えば二次トルクをMとして下記の式4に基づき二次トルクを算出する。
【0036】
M=mR*g*cosθz*rR*sin(δ+θR)+mL*g*cosθz*rL*sin(δ+θL)+mH*g*cosθz*rC*sinδ・・・(式4)
【0037】
また、図6に示すように、判定閾値は、操作部材210の操作方向に対応した上限基準閾値と、上限閾値(負側)、および下限基準閾値と、下限閾値(正側)を含んでいる場合、把持検出部136は、式5に従い上限閾値および下限閾値を算出する。
【0038】
(上限閾値)=+(基準閾値)+M
(下限閾値)=−(基準閾値)+M ・・・(式5)
【0039】
ここで、基準閾値とは、運転者が操作部材210を操舵の意思を持って把持していることを検出するための閾値であり、本実施例では、あらかじめ実験などにより求められた値が記憶手段139に保存されている。
【0040】
式5では、+(基準閾値)が上限基準閾値に相当し、−(基準閾値)が下限基準閾値に相当する。
【0041】
図7は、二次トルクMの正負によるトルク閾値の変化を示すグラフである。中立姿勢、左回転、および右回転のいずれにおいても左閾値と右閾値の間隔、つまり閾値としてのトルクの差分は同じになるように把持検出部136は、左閾値、および右閾値を変更している。
【0042】
また、把持検出部136は、操作部材210を中立姿勢に戻す切り戻し方向に操作部材210が操作されていると判断した場合には、判定閾値の変更を中断しても構わない。
【0043】
以上、本実施の形態にかかる操舵装置100によれば、腕重力トルク、重心トルクなどの二次トルクにより把持を判定するための判定閾値を変更するため、運転者が操作の意図なく操作部材210を把持している状態を除外し、運転の意思を有した操作部材210の把持を高い精度で検出することができる。
【0044】
また、腕重力トルクは回転中心214から把持位置までの長さを変数として含んでいるため、把持位置の違いにより腕重力トルクの値が異なる。このため、台形などの異形の操作部材210のいずれの箇所を把持した場合であっても、正確に把持を検出することができる。これにより、操作部材210の形状の自由度が向上するため、自動運転時にダッシュボード内に収納させやすい形状など操作部材210の形状の幅を広げることが可能となる。
【0045】
また、スポーク212などにも把持位置検出手段120を設けることにより、スポーク212を把持して運転した場合でも、運転者の把持を検出することができる。
【0046】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本発明に含まれる。
【0047】
例えば、上記実施の形態では、説明を容易にするため、操作部材210を垂直面内に配置されるものとし、前記垂直面の法線を回転軸として説明したが、操作部材210が垂直面に対して傾いて配置されている場合、操作部材210の傾きを考慮して腕重力トルク、および重心トルクを算出してもよい。
【0048】
また、判定閾値を一定にし、比較対象である入力トルクを二次トルクに基づき変更する場合も判定閾値を変更するという文言に実質的に同値として含まれる。
【0049】
また、腕質量算出部133は、操作部材210を中立姿勢に固定する腕質量測定モードを実行していたが、操作部材210を複数の異なる姿勢で固定し、それぞれの姿勢で複数の腕質量を測定し統計的処理により腕質量を決定しても構わない。
【0050】
また、操舵装置100が腕質量算出部133を備えることなく予め定められた複数の腕質量を記憶し、例えば運転者の指示に基づき選定された腕質量を使用しても構わない。例えば5段階の腕質量を記憶手段139に記憶させておき、運転者の身長、体重などに基づき適切な腕質量の段階を決定しても構わない。
【0051】
また、操舵システム200がリンクレス・ステア・バイ・ワイヤ・システムである場合を説明したが、操舵システム200は操作部材210と転舵機構230とが機械的に連結されているステアリング装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、自動運転など、運転者が操作部材を把持している状態を示す情報を用いて動作が制御される自動車などに備えられる操舵装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0053】
100…操舵装置、110…反力手段、111…電動モータ、112…減速機、120…把持位置検出手段、130…把持判定装置、131…把持位置取得部、132…回転角取得部、133…腕質量算出部、134…二次トルク導出部、136…把持検出部、137…トルク取得部、139…記憶手段、140…トルク検出手段、141…角検出装置、142…トーションバー、150…軸部材、160…回転角検出手段、200…操舵システム、210…操作部材、211…リム、212…スポーク、213…重心、214…回転中心、220…転舵輪、230…転舵機構、231…ラックシャフト、232…転舵モータ、233…転舵減速機、234…タイロッド、240…転舵制御装置、250…制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7