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特開2021-195061転てつ制御装置、その方法、及びそのプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-195061(P2021-195061A)
(43)【公開日】2021年12月27日
(54)【発明の名称】転てつ制御装置、その方法、及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
   B61L 7/06 20060101AFI20211129BHJP
   E01B 7/20 20060101ALI20211129BHJP
【FI】
   B61L7/06
   E01B7/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-104139(P2020-104139)
(22)【出願日】2020年6月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植村 良
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 由亮
(72)【発明者】
【氏名】服部 力
(72)【発明者】
【氏名】リウティエン ドゥック
(72)【発明者】
【氏名】平塚 敦
(57)【要約】      (修正有)
【課題】転てつ装置に転換異常が生じても、鉄道車両の運行可用性を確保できる転てつ制御装置を提供できる。
【解決手段】複数の方向への転換を可能にする転てつ装置4を制御する転てつ制御装置1であって、転てつ装置の転てつ制御プログラムに基づいて、転てつ装置の転換を制御するコントローラを備える。コントローラは、複数の方向の何れかの方向への転換の要求を受信し、転換に異常があることを検出すると、転てつ装置を転換させようとした方向に転換させることなく、他の方向への転換を維持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の方向への転換を可能にする転てつ装置を制御する転てつ制御装置であって、
前記転てつ装置の転てつ制御プログラムに基づいて、当該転てつ装置の転換を制御するコントローラを備え、
当該コントローラは、
前記複数の方向の何れかの方向への転換の要求を受信し、
当該転換に異常があることを検出すると、
前記転てつ装置を転換させようとした方向に転換させることなく、他の方向への転換を維持する、
転てつ制御装置。
【請求項2】
新たな進路設定に応じて前記転てつ装置を転換動作しても所定時間内に開通できなかった特定方向に係る転換異常を検知する転換異常センサと、
前記転換異常の事態を故障情報として前記特定方向及び該特定方向とは別の方向を記録する故障状態テーブルと、
を備え、
前記転換異常センサが、前記転換異常を検知した場合は、
前記故障状態テーブルの故障情報を参照し、新たな進路設定なしに、前記別の方向へ転換して開通させた保持状態を維持し、
前記特定方向への開通要求を拒絶する、
請求項1に記載の転てつ制御装置。
【請求項3】
転てつ装置を制御する転てつ制御方法であって、
新たに進路設定された方向へ前記転てつ装置を転換指示するステップと、
前記転換指示に応じた前記転てつ装置の転換動作の結果が、前記転換指示から所定時間内に開通できたか、転換異常により未開通か、を検知するステップと、
前記未開通であり前記転換異常が検知された特定方向とは別の方向へ前記転てつ装置を転換指示するステップと、
前記転てつ装置を現在の開通方向に保持するステップと、
前記転換異常が検知された特定方向への転換指示を拒絶するステップと、
を有する、
転てつ制御方法。
【請求項4】
前記別の方向は、前記新たに進路設定される以前に設定されていた元の方向とする、
請求項3に記載の転てつ制御方法。
【請求項5】
前記転換異常を検知したときの故障情報を前記転てつ装置以外の地上装置及び車上装置に送信する、
請求項4に記載の転てつ制御方法。
【請求項6】
前記故障情報は、
前記転換異常が検知された特定方向と、
前記現在の開通方向に保持されている保持状態を明示する保持表示の情報と、
を少なくとも含み、
前記故障情報が受信された操作端末に前記保持表示させる、
請求項5に記載の転てつ制御方法。
【請求項7】
前記保持状態は、前記操作端末からのリセット操作によって解除される、
請求項6に記載の転てつ制御方法。
【請求項8】
前記操作端末に表示された前記故障情報を前記リセット操作によって消去する、
請求項7に記載の転てつ制御方法。
【請求項9】
前記リセット操作によって前記保持状態を解除する転てつ装置保持解除の情報を前記転てつ装置以外の地上装置及び車上装置に送信する、
請求項7に記載の転てつ制御方法。
【請求項10】
転てつ器を制御可能なコンピュータで実行される転てつ制御プログラムであって、
新たに進路設定された方向へ前記転てつ器を転換指示するステップと、
前記転換指示に応じた前記転てつ器の転換動作の結果が、前記転換指示から所定時間内に開通できたか、転換異常により未開通か、を検知するステップと、
前記未開通であり前記転換異常が検知された特定方向とは別の方向へ前記転てつ器を転換指示するステップと、
前記転てつ器を現在の開通方向に保持するステップと、
前記転換異常が検知された特定方向への転換指示を拒絶するステップと、
を有する、
転てつ制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転てつ装置を制御するための転てつ制御装置、その方法、及びそのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
転てつ装置は、鉄道車両の進行方向を変えるための設備として知られている。2方向に分岐させるものが多く、車両の進行を開通させる方向は、通常開通させている方向を定位側と呼び、そうでは無い方向を反位側と呼んでいる。
【0003】
転てつ装置の転てつ動作は、鉄道車両の安全運行に大きな影響があるために、連動装置等の転てつ装置の動作を制御する制御装置が設けられている。制御装置は転てつ装置の動作を監視し、開通方向を検知する等して、転てつ装置の転換を制御している。転てつ装置の制御に関連する従来技術として、例えば、下記特許文献1には、故障列車が接近鎖錠区間を走行中に進路の取り消しを実施しても、接近鎖錠の解錠を防止し、それにより転てつ装置も転換されないようにした信号保安システムが開示されている。
【0004】
そして、下記特許文献2は、転てつ装置が所定時間転換できない状態を継続した場合に、制御用端末に警報を出力する列車運行管理装置を開示する。この警報を受けた駅員は、故障を設備状態テーブルに入力し、管理装置は、設備状態テーブルを参照して、手信号代用信号機を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−119290号公報
【特許文献2】特許第4470166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
トングレールに石を挟み込む、トングレールが折れるなど、様々な理由により、転てつ装置の転換異常が発生する。転換異常には、複数のどの方向にも転換できない態様と、ある方向には転換できるが、他の方向には転換できない態様とがあるが、制御装置がこれらは態様を一括りにして、転てつ装置の転換を中止してしまうと、鉄道車両が走行可能な状態である割合(可用性)を低下させてしまう。
【0007】
また、制御装置が転換異常があるにも拘らず、転てつ装置を異常がある方向に複数回再転換させようとすると、無駄な電力消費を来してしまう。なお、特許文献1,2とも、転てつ装置の転換異常に対する、転てつ制御装置の制御態様の改良については、開示も示唆もしていない。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、転てつ装置に転換異常が生じても、鉄道車両の運行可用性を確保できる転てつ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明は、複数の方向への転換を可能にする転てつ装置を制御する転てつ制御装置であって、転てつ装置の転てつ制御プログラムに基づいて、転てつ装置の転換を制御するコントローラを備え、コントローラは、複数の方向の何れかの方向への転換の要求を受信し、転換に異常があることを検出すると、転てつ装置を転換させようとした方向に転換させることなく、他の方向への転換を維持する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、転てつ装置に転換異常が生じても、鉄道車両の運行可用性を確保できる転てつ制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例1に係る転てつ制御方法(実施例1の方法)を実現する転てつ制御装置(実施例1の装置)のシステム構成を示す機能ブロック図である。
図2】実施例1の方法によって変化する転てつ装置の状態を示す状態遷移図である。
図3】実施例1の方法による処理手順を詳細に説明するフローチャートである。
図4】本発明の実施例2に係る転てつ制御装置(実施例2の装置)のシステム構成を示す機能ブロック図である。
図5】本発明の実施例3に係る転てつ制御装置(実施例3の装置)のシステム構成を示す機能ブロック図である。
図6】本発明の実施形態に係る転てつ制御方法(以下、「本方法」ともいう)の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述する。以下の記載及び図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされることもある。そして、実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
本発明が実施の形態に制限されることはなく、本発明の思想に合致するあらゆる応用例が本発明の技術的範囲に含まれる。本発明は、当業者であれば本発明の範囲内で様々な追加や変更等を行うことができる。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。特に限定しない限り、各構成要素は複数でも単数でも構わない。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の実施例1に係る転てつ制御方法(実施例1の方法)を実現する転てつ制御装置(実施例1の装置)のシステム構成を示す機能ブロック図である。図1に示すように、転てつ制御装置1Aは、操作端末3、転てつ装置4、転換異常センサ11、及び信号機5といった各設備に接続され、ダイヤどおりに列車を運行させるために、進路設定や進路解除の転てつ動作するようにシステム構成されている。転換異常センサ11は、転てつ装置4に付設され、転換異常の発生を検知して転てつ制御装置1Aへ故障情報を送信する。
【0015】
ここで例示する転てつ装置4は、トングレールを移動させて2方向に分岐する一般的な鉄道用のものである。2方向に分岐する転てつ装置4は、開通方向について、基本(直線)側を定位側、曲線側を反位側と呼ぶ。実施例1において、この転てつ装置4の開通方向を制御する転てつ制御装置1A、及びその方法を説明する。実施例1の装置1Aは、転てつ装置4に転換異常が発生した際、転換異常が発生していない開通方向の転換状態に保持する。
【0016】
転てつ制御装置1Aは、主要部が不図示のCPU(Central Processing Unit)、メモリ及び入出力機能を有するコンピュータにより構成される。メモリには、故障状態テーブル2が形成される。故障状態テーブル2は、転てつ制御装置1Aに接続される各設備の故障状態を読み出し可能に記録する。主な記録内容として、転てつ装置4について、各開通方向それぞれの故障状態が記録される。なお、ここで転てつ制御装置1Aに接続される転てつ装置4の分岐方向の数は、一例として2方向のみであるが、3方向以上でも良い。
【0017】
信号機5は、転てつ制御装置1Aに接続される機器の1つであり、転てつ装置4を反位側に開通する進路(1R-AT)と、定位側に開通する進路(1R-BT)と、の2つの進路のどちらに開通しているかを識別し、運行ダイヤ等に応じて何れかに設定し、その設定を解除できる。このような、進路設定や進路解除の制御情報は、人が操作する操作端末3から入力される。また、操作端末3には、転てつ装置4の状態、例えば、開通方向や故障情報等が表示される。
【0018】
図2は、実施例1の方法によって変化する転てつ装置4の状態を示す状態遷移図である。実施例1の方法により、転てつ装置4を所望の方向へ転換動作した結果、転換異常発生時の進路設定可否について、図2(a)〜(c)に変化する。転てつ制御装置1Aは、操作端末3から進路(1R-AT)を設定されると、進路(1R-AT)に関連する設備の状態を確認する。
【0019】
また、転てつ制御装置1Aは、定位側(BT)に開通している転てつ装置4を反位側(AT)に転換する。これに対し、転てつ装置4が所定時間内に反位側(AT)に開通しなかった場合、転てつ制御装置1Aは転てつ装置反位側の転換異常を検知して故障状態テーブル2に記録する。つぎに、転てつ制御装置1Aは、進路(1R-AT)の進路設定を取り消す。
【0020】
その結果、転てつ制御装置1Aは、図2(a)に示すように、転てつ装置4に、反位側(AT)への転換を中止させ、転換異常を検知していない定位側(BT)に転換させる。このとき、転換異常を意味するシンボル6が端末器3に表示される。その後、転てつ制御装置1Aは、図2(b)に示すように、転てつ装置4を定位側(BT)に開通させた状態に保持するとともに、それを意味するシンボル7を操作端末3に表示させる。
【0021】
転てつ装置4が定位側(BT)に開通している状態において、操作端末3から新たな進路設定がなされる場合について説明する。まず、新たな設定進路が図2(c)に示すような進路(1R-BT)であれば、現状そのままなので転換は不要である。このように、転てつ制御装置1Aは、他の設備の状態チェックが全て完了すれば、さらなる新たな進路設定を受け付ける。
【0022】
一方、操作端末3から新たに受け付けられた設定進路が進路(1R-AT)の場合、転てつ装置4の反位側(AT)について、既に転換異常が検知されており、かつ、転てつ装置4が定位側(BT)で保持されているため、転てつ制御装置1Aは、この進路設定を拒否する。
【0023】
また、転てつ制御装置1Aは、上述した転てつ装置4が定位側(BT)に保持された状態について、操作端末3からのリセット操作で取り消すことが可能である。この取り消し操作によって、保持シンボル7は、操作端末3から消去される。このように、転てつ制御装置1Aは、転換異常の原因を除去された後、リセット操作することにより、通常の運用に戻すことが可能である。
【0024】
図3は、実施例1の方法による処理手順を詳細に説明するフローチャートである。換言すると、図3は、実施例1の転てつ制御装置1Aが主に転てつ装置4に関する箇所を中心に実行する、進路設定時における設備チェックの処理手順を示すフローチャートである。以下、主語のない実行主体は、転てつ制御装置1Aである。
【0025】
転てつ制御装置1Aは、操作端末3から進路設定の操作を行うと、その進路に関連する転てつ装置4のほか、不図示の軌道回路等の設備を抽出し、順次チェックする。なお、軌道回路は、鉄道において線路上の特定区間に列車が存在するかどうかを検知する電気的な装置であり、軌道閉塞のための信号装置を動かすために用いられる。
【0026】
転てつ制御装置1Aは、図3のステップS1〜S13に示す設備チェックの処理手順によって、全てのチェックが完了すれば、進路を設定する。ステップS1では、設定操作が行われた進路に関連する設備を1つ抽出する。
【0027】
ステップS2で、転てつ制御装置1Aは、抽出された設備が転てつ装置4かどうかの判定を行う。もし、転てつ装置4でなかった場合、転てつ制御装置1Aは、ステップS11により、他の設備に関するチェックを実施する。ステップS3で、転てつ制御装置1Aは、転てつ装置4の開通方向の判定を行う。判定の結果、転てつ装置4が開通方向として設定した進路と、要求されている方向と、一致する場合、転てつ制御装置1Aは、ステップS12により、当該転てつ装置4のチェックを完了する。
【0028】
ステップS4で、転てつ制御装置1Aは、転てつ装置4に対し転換指示を出力する。ステップS5で、転てつ制御装置1Aは、転換指示を出力してから所定時間内に転換を完了して、要求されている方向に開通したかの判定を行う。もし開通したのであれば、転てつ制御装置1Aは、ステップS13により当該転てつ装置4のチェックを完了する。
【0029】
ステップS6で、転てつ制御装置1Aは、転てつ装置4が転換しようとしていた特定方向(1R-AT)の転換異常を検知し、故障状態テーブル2に記録するとともに、操作端末3に故障を示すシンボル6を表示させる。
【0030】
ステップS7で、転てつ制御装置1Aは、ステップS4から実行中だった転てつ装置4への転換指示出力を中止する。ステップS8で、転てつ制御装置1Aは、転てつ装置4に、当初転換しようとしていた方向(1R-AT)と別の開通方向(1R-BT)への転換指示を出力する。
【0031】
ステップS9で、転てつ制御装置1Aは、転てつ装置4が当初転換しようとしていた方向(1R-AT)と別の方向(1R-BT)への開通を確認したら、転換指示出力を終了する。ステップS10で、転てつ制御装置1Aは、引き続き転てつ装置4に対し、現在の開通方向(1R-BT)を保持させるとともに、操作端末3に保持を示すシンボル7を表示させる。
【0032】
以上の処理を、設定する進路に関係した全ての設備に対して実行する。その結果、転てつ制御装置1Aは、全ての設備に対するチェックが完了した場合のみ、新たな進路設定を行う。何れか1個以上の設備に対するチェックが完了しなかった場合は、進路設定を中止する。
【0033】
転てつ制御装置1Aは、転てつ装置4を制御する簡素な単独の装置で構成することが可能である。例えば、後述する実施例2に例示する連動装置8を構成するコンピュータは、転てつ制御装置1Aに対応するプログラムを実行することにより、つぎのような制御機能を発揮する。その制御機能によれば、転てつ装置4が故障により開通できない方向へ転換することを防止し、かつ開通できる方向での運用を妨げない動作を実現する。
【0034】
すなわち、転てつ制御装置1Aは、新たな進路設定による転てつ装置4の転換動作に対し、所定時間内に開通できなかった場合、その開通方向に転換異常が発生したと検知して故障情報テーブル2に記録し、転換異常が発生していない開通方向(1R-BT)へと転換し直す。
【0035】
引き続き、転てつ制御装置1Aは、転換完了した開通方向(1R-BT)を維持するように、転てつ装置4の状態を保持する。さらに、転てつ制御装置1Aは、転換異常が発生していない開通方向(1R-BT)の進路設定を受け付け、転換異常が発生した開通方向(1R-AT)への進路設定を拒絶する。
【0036】
その結果、転てつ制御装置1Aは、保持している方向(1R-BT)を重ねて継続させる進路設定や列車走行を可能とし、また故障検知した特定方向(1R-AT)への無駄な転換制御、及びその転換動作を抑止する。
【0037】
上述のように、実施例1の転てつ制御装置1A、及びそれを用いた方法によれば、より簡素なシステム構成により、故障した転てつ装置4に残された開通可能な方向(1R-BT)へ転換して可用性を高めた転てつ制御を実現できる。このように、転てつ制御装置1A、及びそれを用いた方法によれば、転てつ装置4に転換異常が発生しても、転換異常が発生していない開通方向(1R-BT)での運用が引き続き可能となり、設備の可用性の低下を軽減できる。
【0038】
また、実施例1の転てつ制御装置1A、及びそれを用いた方法によれば、操作端末3、及びその他の装置に故障情報を表示することで、操作者に転換異常発生原因の除去を促せる。さらに転換異常の回復まで転換異常側(1R-AT)への転換を防ぐことで電力消費量を低減できる。
【実施例2】
【0039】
図4は、本発明の実施例2に係る転てつ制御装置(実施例2の装置)1Bのシステム構成を示す機能ブロック図である。実施例2において、転てつ装置4は、リレー架9を介して連動装置8に接続される。連動装置8は、信号機5と転てつ装置4の間に合理的な相互関係を持たせる論理のプログラムを有し、そのプログラムをフェールセーフコンピュータで実行させるシステムである。このような連動装置8によって、設備チェックの処理が実行される。実施例2の転てつ制御装置1Bは、連動装置8によって代用される。
【0040】
連動装置8のコンピュータは、プログラムが実行されると、信号機5及び転てつ装置4に対し、駅構内における列車運転の安全が確保されるように、制御機能を発揮する。その制御機能は、信号機5に進行信号を現示する条件として、転てつ装置4を列車の進行方向に開通させるとともに、開通後はそのままの位置に固定するように制御する。
【0041】
実施例1の転てつ制御装置1は、簡素な単独の装置で足りていたところ、実施例2の転てつ制御装置1Bは、複数装置、又は複数システムが組み合された構成であることを妨げない。実施例2では、転てつ装置4の近くに設置された連動装置8により、転てつ制御装置1Bが形成される。連動装置8について、一例を挙げれば、運行管理システムやCTC等の中央集中型のシステムを導入したものであると良い。
【実施例3】
【0042】
図5は、本発明の実施例3に係る転てつ制御装置(実施例3の装置)1Cのシステム構成を示す機能ブロック図である。実施例3の装置1Cは、実施例1における転てつ制御装置1の近傍に設置された操作端末3の代わりに、遠隔地に設置された列車運行管理装置10から、手動ないし自動にて進路設定や進路解除を行うものである。
【0043】
この実施例3の装置1Cにおける設備チェックの処理も、実施例2の装置1Bと同様に、連動装置8にて行われる。なお、列車運行管理装置10は、遠隔設地に限らず、連動装置8に併設されるような形態で、駅に設置されても構わない。
【0044】
図6は、本発明の実施形態に係る転てつ制御方法(本方法)の処理手順を示すフローチャートである。図6に示す本方法は、転てつ装置4を制御する転てつ制御方法であって、つぎのステップ(S21)〜(S25)を有する。
【0045】
ステップ(S21)では、転てつ制御装置1A,1B,1C(以下、まとめて「転てつ制御装置1」とする)が、新たに進路設定された方向(1R-AT)へ転てつ装置を転換指示する。ステップ(S22)では、転換指示に応じた転てつ装置4の転換動作の結果が、転換指示から所定時間内に開通できたか、転換異常により未開通か、を検知する。
【0046】
本方法によれば、ステップ(S22)により、転てつ制御装置1が、転換指示から所定時間内に開通できなかったならば、転換異常による未開通が検知される。転てつ装置が1度で開通できなくとも、複数回に及んで試行されることもあるが、所定時間内に開通できなければ、転てつ制御装置1は転換異常が発生して未開通であるものと判断する。
【0047】
ステップ(S23)では、転てつ制御装置1が、未開通であり転換異常が検知された特定方向(1R-AT)とは別の方向(1R-BT)へ転てつ装置4を転換指示する。ステップ(S24)では、転てつ制御装置1が、転てつ装置4を現在の開通方向(1R-BT)に保持する。そうすることで、転てつ制御装置1が、転てつ装置4に転換異常が発生しても、転換異常が発生していない開通方向(1R-BT)での運用が引き続き可能となる。
【0048】
転てつ制御装置1が、その状態を保持し、開通方向(1R-BT)への進路設定及び列車走行を可能とする。その結果、転てつ制御装置1は、設備の可用性の低下を防ぐことができる。さらに、ステップ(S25)では、転てつ制御装置1が、転換異常が検知された特定方向(1R-AT)への転換指示を拒絶する。そうすることで、転換異常の回復まで転換異常側への転換を防ぐことで電力消費量を低減させる。
【0049】
以下、転てつ装置4その他を簡単に補足説明する。転てつ装置4は、鉄道車両の進行方向を変えるために設置される設備であって、主に直線軌道の基本側と、それに対する曲線側と、の2方向に分岐し、基本側に開通すれば定位側、曲線側に開通すれば反位側と呼ばれることが多い。また、3方向以上に分岐可能な転てつ装置4は、モノレールで知られるのみならず、一般的な鉄道でも存在する。
【0050】
転てつ装置4が何れの方向にも開通していない状態で鉄道車両が進入すると直ちに脱線につながる。このため転換完了したかどうか、つまり何れかの方向に開通しているかどうかの検知は鉄道車両の安全性を保つうえで重要である。
【0051】
転てつ装置4には連動装置8等の転てつ装置4を制御する転てつ制御装置1が接続され、そこから制御指示の信号を送信する。換言すれば、図4及び図5に示すように、連動装置8も転てつ制御装置1の一種として、同等の機能を備えている。このような、転てつ制御装置1は転てつ装置4の動作を監視し、また開通方向を検知する。
【0052】
転てつ装置4は、転換時の異常動作には、トングレールに石を挟み込むことのほか、トングレールが折れる等、様々な原因があって、転換完了できない事態を発生させる。これに対し、転てつ制御装置1は転換を開始してから予め定められた所定時間内に開通を検知しない場合、これを転換異常と見なして制御を中止する。日本では可用性確保を重視されるため、所定時間内に開通を検知しなかった場合も1回ないし2回の再転換動作を実行されることが多い。
【0053】
これに限らず、転てつ装置4の構造は、制御指示の信号送信が停止した時点で直ちに転換動作を打ち切るものと、制御指示の信号送信が停止しても転換完了するまで動作を継続するものと、2種類がある。上述の理由により日本で導入されている転てつ装置4のほとんどは後者だが、海外では前者も広く採用されている。
【0054】
転換異常には、何れの方向にも開通しない場合(通称「ブラ」)と、ある方向には開通できず他の方向は正常に開通できる半分故障の場合と、の2通りがある。両者とも一律に故障として使用できない状態とみなしてしまえば損失が多くなる。つまり、半分故障であっても、当該転てつ装置4が復旧するまでの間、それに係る分岐路線を一切通行禁止にした場合、関連する路線全体の可用性、すなわち鉄道車両が走行可能な状態の割合が低下する。
【0055】
このため、半分故障の場合であれば、残された機能を生かして正常に開通できる方向に転換し、その開通方向を保持することで設備の可用性を高める方が好ましいとされた。また、転換異常が発生した後、異常原因を除去するより前に、異常検知と同一方向へ転換させる動作に要する電力消費が無駄であった。
【0056】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。
【0057】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置いてもよい。転てつ制御装置1は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やカスタムLSI、SRAM(Static Random Access Memory)やフラッシュメモリで実現しても良い。
【0058】
本発明の実施形態に係る転てつ制御装置1は、次のように総括できる。
[1]転てつ制御装置1は、転てつ装置4の転てつ制御プログラムに基づいて、転てつ装置4の転換を制御するコントローラを備え、複数の方向への転換を可能にする転てつ装置4を制御する。コントローラは、複数の方向の何れかの方向への転換の要求を受信し、転換に異常があることを検出すると、転てつ装置4を転換させようとした方向(1R-AT)に転換させることなく、他の方向(1R-BT)への転換を維持する。これにより、転てつ装置4に転換異常が生じても、鉄道車両の運行可用性を確保できる。なお、転てつ制御プログラムは下記[10]のとおりである。
【0059】
[2]転てつ制御装置1は、転換異常センサ11と、故障状態テーブル2と、を備え、転てつ装置の開通方向を制御する。転換異常センサ11は、新たな進路設定に応じて転てつ装置4を転換動作しても、所定時間内に開通できなかったならば、その開通できなかった特定方向(1R-AT)に転換異常が発生した故障情報を検知する。転てつ制御装置1は、故障情報を故障状態テーブル2に記憶させる。
【0060】
転換異常センサ11が転換異常を検知した場合、転てつ制御装置1は、故障状態テーブル2の故障情報を参照し、新たな進路設定なしに、開通できなかった特定方向(1R-AT)とは別の方向(1R-BT)へ、自動的に転換して開通させ、その保持状態を維持する。
【0061】
故障状態テーブル2には、転換異常の事態を故障情報として特定方向(1R-AT)及び特定方向(1R-AT)とは別の方向(1R-BT)が記録されている。転てつ制御装置1は、故障状態テーブル2から故障情報を読み出して、不通の特定方向(1R-AT)とは別の方向(1R-BT)へ、自動的に転換して開通させた保持状態を維持する。
【0062】
また、転てつ制御装置1は、特定方向(1R-AT)への開通要求を拒絶するように制御する。したがって、転てつ制御装置1は、所定時間内に特定方向(1R-AT)へ未開通であれば、所定時間以降に無駄な転てつ動作を繰り返さずに済む。その結果、電力の無駄も省ける。
【0063】
本発明の実施形態に係る転てつ制御方法(本方法)は、下記[3]〜[9]のように総括できる。また本方法を実現するための転てつ制御プログラム(本プログラム)は、転てつ装置を制御する転てつ制御装置1に備わるコンピュータで実行される転てつ制御プログラムであって、つぎのステップ(S21)〜(S25)を有する。このように、本プログラム(下記[10])は、本方法の説明で足りるため、重複する説明を省略する。
【0064】
[3]本方法は、転てつ装置を制御する転てつ制御方法であって、つぎのステップ(S21)〜(S25)を有する。ステップ(S21)では、転てつ制御装置1が、新たに進路設定された方向(1R-AT)へ転てつ装置4を転換指示する。ステップ(S22)では、転てつ制御装置1が、転換指示に応じた転てつ装置4の転換動作の結果が、転換指示から所定時間内に開通できたか、転換異常により未開通か、を検知する。
【0065】
ステップ(S22)では、転てつ制御装置1が、転換指示から所定時間内に開通できなかったならば、転換異常による未開通である旨の故障情報が検知される。転てつ装置が1度で開通できなくとも、複数回に及んで試行されることもあるが、所定時間内に開通できなければ、転てつ制御装置1は転換異常が発生して未開通であるものと判断する。
【0066】
ステップ(S23)では、転てつ制御装置1が、未開通であり転換異常が検知された特定方向(1R-AT)とは別の方向(1R-BT)へ転てつ装置を転換指示する。ステップ(S24)では、転てつ制御装置1が、転てつ装置4を現在の開通方向(1R-BT)に保持する。そうすることで、転てつ制御装置1は、転てつ装置4に転換異常が発生しても、転換異常が発生していない開通方向(1R-BT)での運用を引き続き可能とする。つまり、転てつ制御装置1が、その状態を保持し、開通方向(1R-BT)への進路設定及び列車走行を可能とする。その結果、本方法によれば、設備の可用性が低下することを防止できる。
【0067】
さらに、ステップ(S25)では、転てつ制御装置1が、転換異常が検知された特定方向(1R-AT)への転換指示を拒絶する。そうすることで、本方法によれば、転換異常の回復まで転換異常側への転換を防ぐことで電力消費量を低減させる。
【0068】
[4]転換異常が検知された特定方向(1R-AT)とは別の方向(1R-BT)として、新たに進路設定される以前に設定されていた元の方向(1R-BT)を選択しても良い。一例として、最も一般的な二股分岐の転てつ装置4において、特定方向(1R-AT)へ開通させることができなかったときに、元の方向(1R-BT)に戻して開通させる。二股分岐の一方が転換異常を検知された特定方向(1R-AT)ならば、これに対する別の方向(1R-BT)とは、二股分岐の他方であり、元の方向(1R-BT)を意味する。
【0069】
[5]本方法において、転換異常を検知したときの故障情報を転てつ装置4以外の地上装置及び車上装置に送信しても良い。列車運行管理装置10のほか、例えば、不図示の運行管理システムに故障情報を送信することにより、分岐路線の選択肢の多い大規模な駅等において、1つの分岐方向が不通ならば、別の分岐路線を探して補うことにより、列車運行の可用性、つまり設備の可用性を高めることが可能となる。
【0070】
[6]故障情報は、転換異常が検知された特定方向(1R-AT)と、現在の開通方向(1R-BT)で保持されている保持状態を明示する保持表示の情報と、を少なくとも含む。故障情報は、これを受信した操作端末3に保持表示される。このように、本方法によれば、操作端末3に故障情報を表示することで、操作者に転換異常発生原因の除去を促すことができる。
【0071】
[7]上記[6]に応じた操作者は、転てつ装置4に対し、転換異常発生原因を除去し、特定方向(1R-AT)へ開通させたならば、操作端末3からのリセット操作によって、保持状態を解除できる。その結果、転てつ装置4の転換機能は復旧する。
【0072】
[8]操作端末3に表示された故障情報をリセット操作によって消去することが好ましい。これにより、操作端末3を用いて列車運行管理する人が知り得た最新情報に応じて、リアルタイムに状況表示することにより、操作端末3が申し送りの効果を発揮できる。その結果、本方法によれば、列車運行管理する人が交代しても最新情報を一覧把握し易くなるので、操作性が向上する。
【0073】
[9]リセット操作によって、転てつ装置4の保持状態を解除する転てつ装置保持解除の情報を転てつ装置以外の地上装置及び車上装置に送信することが好ましい。これにより、上位の列車運行管理システム等による統合運用の可能性も模索できる。
【0074】
[10]本プログラムは、転てつ装置4を制御可能なコンピュータで実行される転てつ制御プログラムであって、上記ステップ(S21)〜(S25)を有する。これら各ステップの詳細については、上述のとおりである。
【符号の説明】
【0075】
1,1A,1B,1C 転てつ制御装置、2 故障状態テーブル、3 操作端末、4 転てつ装置、5 信号機、6 (操作端末3に表示される転換異常を示す)シンボル、7 (操作端末3に表示される開通方向保持を示す)シンボル、8 連動装置、9 リレー架、10 列車運行管理装置、11 転換異常センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6