【解決手段】車両3に設けられたセンサ部による周辺のセンシングに基づいて前記車両3の周辺に存在する駐車区画Qが空き区画QAか否かを判定する空き区画判定部43と、前記空き区画判定部43によって判定された空き区画QAの位置に関する情報を前記車両3の通過経路Tと関連付けて記憶する空き区画記憶部44と、前記センサ部による周辺のセンシングに基づいて、現在位置から前記空き区画QAまでの走行経路を生成し、当該走行経路に沿って走行して前記空き区画QAへ前方から駐車するように前記車両3を制御する自動走行制御部48と、を備える車載装置を構成した。
前記第1ステップによって前記空き区画と判定される駐車区画が無い場合、前記車両が駐車場に入場してから現在位置に至るまでの走行経路を生成し、当該走行経路を走行するように前記車両を制御する第5ステップと、
前記第5ステップの制御によって前記走行経路を前記車両が走行している間、前記センサ部による周辺のセンシングに基づいて前記車両の周辺に存在する駐車区画が空き区画か否かを判定する第6ステップと
を備えることを特徴とする請求項6に記載の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る自動バレーパーキング(Valet Parking)システム1の構成を示す図である。
図2は、自動バレーパーキングシステム1の動作説明図である。
本実施形態の自動バレーパーキングシステム1は、
図2に示すように、複数の駐車区画Qが設けられた駐車場2において車両3の自動駐車を実現するシステムである。
ここで、本実施形態では、自動駐車が車両3の自動入庫、及び自動出庫の両方の動作を含んでいる場合を説明するが、自動駐車は車両3の自動入庫のみでもよい。
自動入庫とは、
図2に示すように、駐車区画Qのいずれかの空き区画QAへ乗員4の降車位置PAから車両3が自動走行し、車両3が空き区画QAに自律的に入庫して駐車を完了する動作を言う。
自動出庫とは、
図2に示すように、駐車中の車両3が乗員4の呼び出しに応じて駐車区画Qから自律的に出庫し、車両3が目的位置PBまで自動走行する動作を言う。
目的位置PBは、例えば乗員4の待機位置(
図2の例では待機位置は降車位置PAと同じ)や、乗員4によって指定された位置などである。
また自動走行は、車両3が乗員4の運転操作を伴わずに(すなわち無人状態でも)自律的に走行することである。
【0010】
自動バレーパーキングシステム1は、
図1に示すように、自動駐車制御装置10と、スマートフォン12と、を備えている。
自動駐車制御装置10は、車両3に搭載され、自動駐車に係る制御を実行する車載装置である。
スマートフォン12は、乗員4が携帯する携帯型電子機器(いわゆる携帯端末)である。
これら自動駐車制御装置10、及びスマートフォン12は、インターネットや携帯電話通信網などの適宜の電気通信回線を通じて互に通信可能に構成されている。
【0011】
本実施形態のスマートフォン12は、車両3の自動駐車に関する指示を乗員4が入力するための機器として用いられる。スマートフォン12は、
図1に示すように、乗員4の操作を受け付ける操作子としてのタッチパネル12Aと、各種情報を表示する表示部としてのディスプレイ12Bと、自動駐車制御装置10との間で通信する通信ユニット12Cと、を備えている。
なお、通信ユニット12Cは、自動駐車制御装置10との通信のための受信装置、及び送信装置を備えている。またスマートフォン12は、乗員の操作を受け付ける操作子としてジェスチャーを検出するジェスチャー検出部等を備えてもよい。スマートフォン12に代えて、タブレットPCなどの任意の携帯型電子機を用いることもできる。
【0012】
車両3は、自動駐車制御装置10の制御によって自動走行が可能に構成されている。
具体的には、車両3は、
図1に示すように、車両側センサ21と、操舵装置22と、駆動装置23と、制動制御装置24と、車両制御ユニット25と、周辺検出センサ部26と、通信ユニット27と、を備え、これらが直接的、又はCAN(Controller Area Network)などの適宜の車載ネットワークを介して自動駐車制御装置10に接続されている。
【0013】
車両側センサ21は、車両3の自律的な走行の制御、及び、自律航法(デッドレコニング)に要する各種の情報を検出するための各種のセンサを備える。かかるセンサは、例えば、ジャイロセンサや加速度センサ、車両3の車速を検出する車速センサ、車両3の操舵角を検出する舵角センサなどである。
【0014】
操舵装置22は、車両3の操舵輪を操舵させるアクチュエータを含む装置である。
駆動装置23は、車両3の駆動輪の駆動力を調整するアクチュエータを含む装置である。車両3の動力源がエンジンである場合、駆動装置23のアクチュエータは、スロットルアクチュエータである。動力源がモータである場合、駆動装置23のアクチュエータは、動力源のモータである。
制動制御装置24は、車両3に設けられたブレーキシステムを制御することで、車両3の車輪へ付与する制動力を制御するアクチュエータを備えている。
【0015】
車両制御ユニット25は、操舵装置22、駆動装置23、及び制動制御装置24を制御することで車両3を自律的に走行(自動走行)させる装置である。
車両制御ユニット25は、かかる制御を実行するコンピュータ(例えばECU(Electronic Conrtol Unit))を備えている。
【0016】
周辺検出センサ部26は、車両3の周辺の情報をセンシングするための各種のセンサを備え、センシングによって取得した周辺の情報を自動駐車制御装置10に出力する。以下、周辺の情報を「周辺情報」と言う。
周辺情報は、車両3の周辺に存在する物体の情報を含み、当該情報は、自動走行、自動入庫、或いは自動出庫の制御に用いられる。周辺の物体は、例えば、障害物や、車両3の走行路や駐車区画Qを区画する区画線などである。障害物は、車両3の走行の妨げになる各種の物体である。障害物の典型的な例として、柱や壁などの建造物、駐車中や走行中の他車両、及び通行人が挙げられる。
【0017】
本実施形態の周辺検出センサ部26は、センサとして、ソナー26A、及びカメラ26Bを備えている。
ソナー26Aは、周辺の障害物を音波によってセンシングし、当該障害物と車両3との間の距離を測定する測距センサである。
本実施形態の車両3は、例えば、
図3に示すように、左側、及び右側のそれぞれにソナー26Aが配置されている。車両3からみて右側、及び左側のそれぞれのセンシング範囲Rの障害物が各ソナー26Aによってセンシングされる。本実施形態のソナー26Aは、センシング範囲Rがビーム状に形成されることで、車両3の側方への指向性が高められている。これにより、車両3の側方の障害物がより高い精度で検出される。
なお、ソナー26Aの位置は、
図3に示す位置に限定されず、自動走行のために必要な、障害物などのセンシングが可能な適宜の位置であればよい。また、ソナー26Aに代えてレーダーやライダー(Lidar)などの他の測距センサを用いてもよい。
【0018】
カメラ26Bは、走行路や駐車区画Qの区画線などの周辺の物体を撮影する撮影手段である。
本実施形態の車両3は、
図3に示すように、前方、左側方、右側方、及び後方のそれぞれにカメラ26Bが設けられている。これらのカメラ26Bによって車両3を中心とした全方位(360度の範囲)が撮影される。
なお、カメラ26Bは全方位を1台のカメラで撮影するものであってもよい。またカメラ26Bによる撮影範囲、及びカメラ26Bの台数は車両3の周囲のセンシング範囲に応じて適宜に変更してもよい。
【0019】
通信ユニット27は、スマートフォン12との間で電気通信回線を介して通信し、これらスマートフォン12と自動駐車制御装置10との間の通信を中継する装置である。通信ユニット27は、電気通信回線を通じた通信のための受信装置、及び送信装置を備えた、例えばTCU(Telematics Control Unit)である。
【0020】
自動駐車制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Microprocessor Unit)などのプロセッサと、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリデバイス(主記憶装置とも呼ばれる)と、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などのストレージ装置(補助記憶装置とも呼ばれる)と、センサ類や周辺機器などを接続するためのインターフェース回路と、車載ネットワークを介して他の車載装置と通信する車載ネットワーク通信回路と、を備えたコンピュータ(本実施形態ではECU)を備えている。
かかる自動駐車制御装置10において、プロセッサがメモリデバイス又はストレージ装置に記憶されているコンピュータプログラムを実行することで、
図1に示す各種の機能的構成が実現されている。
【0021】
すなわち、自動駐車制御装置10は、機能的構成として、入場判定部40と、位置推定部41と、マップ生成部42と、空き区画判定部43と、空き区画記憶部44と、指示取得部45と、降車位置記憶部46と、目標駐車区画設定部47と、自動走行制御部48と、通知制御部49と、を備えている。
【0022】
入場判定部40は、駐車場2に車両3が入場したか否かを判定する。この入場判定は、公知または周知の適宜の手法を用いて行うことができる。例えば、入場判定部40は、道路地図データによって示されている駐車場2の位置と、GPS等から求められる車両3の位置(絶対位置)との対比に基づいて判定を行ってもよい。また例えば、入場判定部40は、駐車場2に設置された設備が発信する信号などを車両3が受信したか否かによって判定を行ってもよい。また例えば、入場判定部40は、駐車場2へ車両3が入場したことを示す操作を乗員4が行ったか否かによって判定を行ってもよい。
【0023】
位置推定部41は、少なくとも車両3が駐車場2に入場してから退場するまでの間、公知、又は周知のデッドレコニングの手法を用いて、車両3の現在位置(自己位置)を推定する。
【0024】
マップ生成部42は、駐車場2における通過経路T、障害物、及び駐車区画Qの位置を記録することで互いの位置を関連付けるマップデータ42Aを生成する。
通過経路Tは、
図2に示すように、駐車場2において車両3が通過した経路である。
マップデータ42Aは、適宜の座標空間に通過経路T、障害物、及び駐車区画Qの各々の位置座標がマッピングされたデータである。
【0025】
マップ生成部42は、車両3が駐車場2に位置する間、位置推定部41によって推定された現在位置をトレースすることで通過経路Tを逐次に求める通過経路取得手段として機能し、当該通過経路Tをマップデータ42Aに更新記録する。
【0026】
またマップ生成部42は、周辺情報(すなわち、ソナー26Aによるセンシング結果、やカメラ26Bの撮影画像)に基づいて車両3の周辺に存在する障害物を検出する障害物検出手段としても機能し、障害物を検出した場合、当該障害物の位置をマップデータ42Aに記録する。
さらにマップ生成部42は、周辺情報(すなわち、ソナー26Aによるセンシング結果やカメラ26Bの撮影画像)に基づいて、車両3の周辺に存在する駐車区画Qを検出する駐車区画検出手段としても機能し、駐車区画Qを検出した場合、当該駐車区画Qの位置をマップデータ42Aに記録する。
周辺情報に基づく障害物、及び駐車区画Qの検出手法には、周知又は公知の適宜の手法を用いることができる。
【0027】
空き区画判定部43は、駐車区画Q、及び障害物の検出結果に基づいて、駐車区画Qが空き区画QAか否かを判定する。具体的には、空き区画判定部43は、駐車区画Qの区画内に障害物が存在しない場合、当該駐車区画Qが空き区画QAであると判定する。また、空き区画判定部43は、車両3が後述する目標駐車区画QBに到達したときも、障害物の検出結果に基づいて目標駐車区画QBが駐車可能な空き区画であると判定する。具体的には、車両3が目標駐車区画QBに到達したとき、目標駐車区画QBに停車中の他車両等またはショッピングカート等の障害物が存在する場合、空き区画判定部43は、目標駐車区画QBが駐車可能な空き区画ではないと判定する。車両3が目標駐車区画QBに到達したとき、目標駐車区画QBに障害物が存在しない場合、空き区画判定部43は、目標駐車区画QBが駐車可能な空き区画であると判定する。
【0028】
空き区画記憶部44は、空き区画QAの位置を通過経路Tと関連付けて記憶する。これにより通過経路Tの周辺の空き区画QAが特定可能になる。なお、空き区画QAの位置はマップデータ42Aに記録されてもよい。
【0029】
指示取得部45は、自動駐車に係る乗員4の指示をスマートフォン12から通信ユニット27を通じて取得する。この指示は、例えば自動入庫の指示や自動出庫の指示などである。
【0030】
降車位置記憶部46は、乗員4が降車したときの車両3の現在位置を降車位置PAとして記憶する。
乗員4の降車は公知、または周知の適宜の技術で検出可能である。
例えば、車両3のドアの開閉を検出するドア開閉センサを車両3が備える場合、自動駐車制御装置10は、ドア開閉検出センサ、及び車速センサの検出信号に基づいて、車両3の停車中にドアが開けられたことを検出することで、乗員4の降車を検出可能である。
また例えば、座席の座面圧力を検出する座面圧力センサを車両3が備える場合、自動駐車制御装置10は、座面圧力センサの検出信号に基づいて、座席の座面への圧力印加が無くなったことを検出することで、乗員4の降車を検出可能である。
【0031】
目標駐車区画設定部47は、車両3を駐車させる目標の駐車区画Qを空き区画QAの中から設定する。以下、目標の駐車区画Qを目標駐車区画QB(
図6)と言う。
目標駐車区画QBの設定は、乗員4による手動設定でもよいし、目標駐車区画設定部47による自動設定でもよい。自動設定は、所定の選択条件(例えば、降車位置PAからの距離など)に基づいて行われる。選択条件は、乗員4が予め自動駐車制御装置10に設定可能にしてもよい。
なお、目標駐車区画QBの設定タイミングは適宜である。設定タイミングは、乗員4が降車した後(降車位置PAが確定した後)、及び、降車位置PAが確定する前のいずれであってもよい。
【0032】
自動走行制御部48は、車両3が降車位置PAから目標駐車区画QBに到達するために自動走行する経路(以下、「自動走行経路U」という)をマップデータ42Aに基づいて設定する。
また自動走行制御部48は、自動走行経路Uに基づいて、自動入庫、及び自動出庫のための制御情報を生成し、当該制御情報を車両制御ユニット25へ出力する。
より具体的には、自動入庫動作の場合、自動走行制御部48は、降車位置PAから目標駐車区画QBへ車両3を自律的に走行させる制御情報、及び、当該目標駐車区画QBへ自律的に車両3を入庫させるための制御情報を生成する。この場合において、自動走行制御部48は、車両3が目標駐車区画QBを通過する前に当該目標駐車区画QBへの入庫動作を開始し、切り返し動作を伴わずに前向きに入庫する(いわゆる前向き駐車する)制御情報を生成する。切り返し動作は、車両3を前進または後退させてホイールの角度を修正した後、再度、前進または後退する動作である。
一方、自動出庫動作の場合、自動走行制御部48は、目標駐車区画QBから車両3を自律的に出庫させ、車両3を目的位置PBへ自律的に走行させるための制御情報を生成する。
【0033】
通知制御部49は、自動駐車に係る各種の通知を乗員4のスマートフォン12に通信ユニット27を通じて出力する。
【0034】
図4、及び
図5は、自動駐車制御装置10の動作に係る自動駐車処理のフローチャートである。
車両3が駐車場2に入場し、入場判定部40によって当該入場が検出されると(ステップSa1:YES)、マップ生成部42が、車両3の通過経路Tのトレースと、障害物、及び駐車区画Qの検出とを継続的に行うことでマップデータ42Aを作成する(ステップSa2)。このように、空き区画QAの記憶は入場とともに開始され、車両3に設けられた周辺検出センサ部26を用いて車両3の走行経路に沿って空き区画QAの検出が行われる。これによって、空き区画QAに関する情報を得る路車間通信機等の設備が不要となる。
【0035】
駐車区画Qが検出されると、空き区画判定部43が当該駐車区画Qについて空き区画QAであるか否かを判定する。空き区画判定部43が空き区画QAであると判定した場合、空き区画記憶部44が当該空き区画QAの情報を記憶する(ステップSa3)。この場合において、空き区画記憶部44は、必要に応じて複数の空き区画QAについて情報を保持する。すなわち、ある空き区画QAに関する情報が空き区画記憶部44に既に記憶されている場合に、新たな空き区画QAが判明したときには、当該新たな空き区画QAの情報で、先の空き区画QAの情報を上書きするのではなく、新たな空き区画QAの情報が空き区画記憶部44に追加的に記憶されることで、両方の空き区画QAの情報を空き区画記憶部44が保持する。
【0036】
その後、乗員4が所望の降車位置PAで降車し、スマートフォン12を操作して、自動入庫を指示する。
自動駐車制御装置10は、指示取得部45が自動入庫の指示を取得するまで、上記ステップSa2、及びステップSa3の処理を繰り返し実行する。そして、自動駐車制御装置10は、自動入庫の指示を取得した場合(ステップSa4:Yes)、次の処理を行う。
【0037】
先ず、降車位置記憶部46が現在位置を降車位置PAとして記憶する(ステップSa5)。
次いで目標駐車区画設定部47は、空き区画QAが空き区画記憶部44に記憶されているか否かを判定する(ステップSa6)。
【0038】
目標駐車区画設定部47は、空き区画QAが記憶されている場合(ステップSa6:Yes)、空き区画QAの中から目標駐車区画QBを決定する(ステップSa7)。
そして自動走行制御部48が自動走行経路Uをマップデータ42Aに基づいて設定する(ステップSa8)。
【0039】
図6は、自動走行経路Uの一例を示す図である。
同図に示すように、自動走行経路Uは、後進から前進への方向転回のための切り返し経路Uaを少なくとも1箇所以上含み、車両3が降車位置PAから後進後、切り返し経路Uaにおいて方向転換し、前進で目標駐車区画QBへ向かうようになっている。
【0040】
空き区画QAが記憶されていない場合(ステップSa6:No)、目標駐車区画設定部47は、目標駐車区画QBを設定不能であるため、ここでの目標駐車区画QBの設定を行わない。この場合、自動走行制御部48が、通過経路Tの一部又は全部を、Uターンや後退などを終端で行うことで往復移動する経路を自動走行経路Uとしてマップデータ42Aに基づいて設定する(ステップSa9)。後述のように、この自動走行経路Uを車両3が往復移動する間に、新たな空き区画QAの検出が行われる。
【0041】
次いで、自動走行制御部48は、自動走行経路Uに基づいて、車両3の自動走行のための制御情報を生成し、当該制御情報を車両制御ユニット25に出力することで自動走行を開始する(ステップSa10)。
この自動走行の間、マップ生成部42が障害物の検出を行う(ステップSa11)。そして、空き区画判定部43が障害物の検出結果に基づいて、各駐車区画Qが空き区画QAであるか否かを判定する(ステップS12)。これにより、他車両の出庫等によって新たに生じた空き区画QAの検出が継続的に行われる。
【0042】
新たな空き区画QAが検出された場合(ステップSa12:Yes)、自動走行制御部48は、その場で車両3を一旦、停車する制御を行う(ステップSa13)。
そして、通知制御部49が新たな空き区画QAが検出されたこと、及び、この新たな空き区画QAに車両3を駐車させるかどうかの問合せを、乗員4のスマートフォン12に通知する(ステップSa14)。
その後、自動駐車制御装置10は、通知の中の問合せに対する乗員4の指示を取得する(ステップSa15)。
【0043】
乗員の指示が新たな空き区画QAへ駐車させる旨の指示である場合(ステップSa16:Yes)、自動走行制御部48は、当該新たな空き区画QAへ車両3を自動入庫させる制御情報を生成し、当該制御情報を車両制御ユニット25に出力する(ステップSa17)。この結果、車両3が新たな空き区画QAへ自動入庫を開始する。
【0044】
かかる処理が行われることで、
図7に示すように、車両3が自動走行経路Uに沿って自動走行している場合、新たな空き区画QAが検出されたとき、乗員4は、スマートフォン12から指示を出力することで、当該空き区画QAに車両3を自動入庫させることができる。
【0045】
一方、乗員4の指示が新たな空き区画QAに駐車させない旨の指示である場合(ステップSa16:No)、自動走行制御部48が自動走行経路Uに沿った自動走行を再開する(ステップSa18)。
このように、ステップSa16において、乗員4の指示が受け付けられるため、空き区画QAへの駐車に関し、乗員4の意図に沿ったリアルタイムな判断が可能となる。
【0046】
ステップSa12において、新たな空き区画QAが検出されなかった場合(ステップSa12:No)、又は、ステップSa18において自動走行が再開された場合、自動走行制御部48は、車両3の自動走行の間、マップデータ42Aと車両3の現在位置とに基づいて目標駐車区画QBと車両3の相対位置を監視する。
車両3が目標駐車区画QBに到達するまでの間(すなわち、ステップSa19=Noの間)、自動駐車制御装置10は、ステップSa12からステップSa16の処理を繰り返し実行し、新たな空き区画QAの検出を継続的に行う。
そして車両3が目標駐車区画QBの手前に到達した場合(ステップSa19:Yes)、空き区画判定部43は、目標駐車区画QBが、その時点で駐車可能な空き区画QAかどうかを判定する(ステップSa20)。目標駐車区画QBが駐車可能な空き区画QAである場合(ステップSa20:Yes)、次のステップSa21へ処理を進める。このステップSa21において、自動走行制御部48は、切り返し動作を伴うこと無く、すなわち前進のみで車両3を前向きに目標駐車区画QBに自動入庫させる制御情報を生成し、当該制御情報を車両制御ユニット25に出力する(ステップSa21)。これにより、車両3が目標駐車区画QBの手前から前進のみで自動入庫を開始する。
このように、予め記憶した空き区画QAに基づいて設定された目標駐車区画QBへ自動入庫を行うことで、前進による自動入庫が可能となり、後進で駐車を行う場合よりも速やかに自動入庫を行うことができる。
【0047】
一方、ステップSa20の判定において、目標駐車区画QBが駐車可能な空き区画QAではないと判定された場合(ステップSa20:No)、自動走行制御部48は、車両3がUターンや後退などを終端で行うことで通過経路Tの一部又は全部を往復移動する経路を自動走行経路Uとしてマップデータ42Aに基づいて設定し、ステップSa12に処理を戻し、新たな空き区画QAの検出を行う。この場合において、目標駐車区画QBにおいて検出された障害物が他車両であるとき、例えば目標駐車区画設定部47が目標駐車区画QBに関する設定を削除してもよい。他車両が目標駐車区画QBに既に駐車している場合、当該他車両の乗員は買い物等の用事で車両から離れており、車両3が往復移動する上記自動走行経路Uを自動走行している間に、当該他車両が出庫して目標駐車区画QBが駐車可能な状態になる可能性は低いためである。
このように、ステップSa20の判定が行われることで、目標駐車区画QBに車両3が到達するまでの間に他車両が先に駐車していた場合であっても、駐車可能な空き区画QAを再度探索することができる。さらに、記憶リソースを効率的に使うことも可能となる。
【0048】
自動駐車制御装置10は、ステップSa17、又はステップSa21の自動入庫が完了した場合(ステップSa22:Yes)、本処理を終了する。
【0049】
なお、ステップSa17での新たな空き区画QAへの自動入庫において、駐車方向は前向き駐車、及び後ろ向き駐車のいずれでもよい。また、自動入庫動作が切り返し動作を含んでもよい。
詳述すると、本実施形態の周辺検出センサ部26が備えるソナー26Aは、前掲
図3に示すように、センシング範囲Rがビーム状であるため、ソナー26Aの正面に駐車区画Qが位置するまで当該駐車区画Qにおける障害物の有無が判明しない。換言すれば、駐車区画Qが空き区画QAであると判定された時点で、当該空き区画QAは車両3からみて側方、或いは、側方よりも後方に位置する。したがって、この場合、当該空き区画QAに車両3を入庫可能にするために、自動駐車制御装置10(自動走行制御部48)は、車両3と空き区画QAの相対位置関係、及び、周辺の障害物の位置に基づいて、当該空き区画QAに入庫可能な自動走行経路を、切り返し動作の排除を必須とせずに生成することになる。
【0050】
自動出庫時の動作について説明すると、乗員4は、駐車中の車両3の自動駐車制御装置10に対しスマートフォン12を操作して自動出庫の指示を送信する。この場合において、スマートフォン12は、乗員4の乗車位置である上記目的位置PBの位置情報も送信する。目的位置PBは、乗員4が地図上で指示した位置や、スマートフォン12の現在位置などの適宜の位置が用いられる。
自動駐車制御装置10は、指示取得部45が自動出庫の指示を取得すると、自動走行制御部48が駐車中の現在位置から目的位置PBまでの自動走行経路Uをマップデータ42Aに基づいて生成し、当該自動走行経路Uに基づいて車両3の自動走行のための制御情報を生成し、当該制御情報を車両制御ユニット25に出力する。これにより車両3が自動出庫を開始し、自動出庫完了後に目的位置PBへ自動走行する。
【0051】
また、自動駐車制御装置10は、自動走行を開始してから入庫を完了する前に自動出庫の指示を取得した場合、自動入庫に係る動作を終了する。そして、自動走行制御部48が現在位置から目的位置PBまでの自動走行経路Uをマップデータ42Aに基づいて生成し、目的位置PBへの自動走行を開始させる。
【0052】
本実施形態によれば次の効果を奏する。
【0053】
本実施形態の自動駐車制御装置10は、周辺検出センサ部26による周辺のセンシングに基づいて車両3の周辺に存在する駐車区画Qが空き区画QAか否かを判定する空き区画判定部43と、空き区画判定部43によって判定された空き区画QAの位置に関する情報を車両3の通過経路Tと関連付けて記憶する空き区画記憶部44と、降車位置PAから目標駐車区画QB(空き区画QA)までの自動走行経路Uを生成し、当該自動走行経路Uに沿って走行して当該目標駐車区画QBへ前方から入庫するように車両3を制御する自動走行制御部48を備えている。
この構成によれば、通過経路Tの周辺に存在する空き区画QAの位置が予め記憶される。そして、切り返し動作を生じることなく車両3が前方から空き区画QAへ入庫するための自動走行経路Uを生成し、自動入庫を速やかに完了させることができる。
これにより、後続車両が目標駐車区画QBへ先に駐車を完了してしまったり、車両3が切り返し動作によって周囲の通行を妨げてしまったりすることがなく、より適切に自動駐車を行うことができる。
【0054】
本実施形態の自動駐車制御装置10は、車両3が駐車場2に入場したか否かを判定する入場判定部40を備え、空き区画判定部43は、車両3が駐車場2に入場したと判定されると、周辺検出センサ部26による周辺のセンシングに基づいて車両3の周辺に存在する駐車区画Qが空き区画QAか否かの判定を開始する。
これにより、車両3が降車位置PAに到達するまでの間に、空き区画QAを検出しておくことができる。
【0055】
本実施形態の自動駐車制御装置10において、自動走行制御部48は、空き区画QAがない場合、車両3が駐車場2に入場してから現在位置に至るまでの通過経路Tを走行する自動走行経路Uを生成し、当該自動走行経路Uを走行するように車両を制御する。そして、空き区画判定部43は、車両3が自動走行経路Uを走行している間、周辺検出センサ部26による周辺のセンシングに基づいて車両3の周辺に存在する駐車区画Qが空き区画QAか否かを判定する。
これにより、乗員4が降車するまでの間に空き区画QAが検出されなかった場合でも、新たな空き区画QAを検出することができる。
【0056】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示したものであって、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
【0057】
(変形例1)
車両3が目標駐車区画QBに到達したときに、他車両が当該目標駐車区画QBに既に駐車している場合、すなわち、上述した
図5において、ステップSa20の判定結果がNoの場合、他の空き区画QAが空き区画記憶部44に記憶されているときには、当該空き区画QAに車両3を駐車させてもよい。
具体的には、目標駐車区画設定部47が空き区画記憶部44に記憶されている他の空き区画QAを目標駐車区画QBに決定し、自動走行制御部48が当該目標駐車区画QBに現在位置から到達し前向きに入庫する自動走行経路Uを設定し、当該自動走行経路Uに沿って車両3を自動走行させ目標駐車区画QBに自動入庫させる。
【0058】
この場合において、目標駐車区画設定部47は、他の空き区画QAの中から現在位置からの走行予定距離が最も短い空き区画QAや、空き区画QAであると判定されたタイミングがより直近の空き区画QAを新しい目標駐車区画QBとして設定してもよい。走行予定距離は、その空き区画QAに現在位置から到達するまでに車両3が走行する距離である。当該距離の算出には、一方通行等の交通規制も考慮される。
【0059】
より具体的には、空き区画記憶部44は、空き区画QAの情報の1つとして、空き区画判定部43によって空き区画QAであると判定された時刻(以下、判定時刻という)を記憶する。
空き区画QAは、車両3が駐車場に入場してから自動入庫指示を受けるまでの第1の期間(
図4中、ステップSa1からステップSa4の間)と、車両3が自動走行経路Uに沿って自動走行している第2の期間(
図4のステップSa10から
図5のステップSa12の間)と、のそれぞれの期間で検出され、空き区画記憶部44に記憶される。
そして、車両3が目標駐車区画QBに到達したときに、他車両が当該目標駐車区画QBに既に駐車している場合、目標駐車区画設定部47は、空き区画記憶部44に記憶されている空き区画QAの中から、現在位置からの走行予定距離、及び、判定時刻に基づいて、次のように目標駐車区画QBを設定する。
【0060】
先ず、目標駐車区画設定部47は、第1の期間で検出された空き区画QAの中で走行予定距離が最も短い空き区画QAと、第2の期間で検出された空き区画QAの中で走行予定距離が最も短い空き区画QAと、を選択し、両者の空き区画QAの走行予定距離を比較する。この比較の結果、走行予定距離の差が所定値未満である場合、目標駐車区画設定部47は、より直近のタイミングで検出された空き区画QAである第2の期間で検出された空き区画QAを目標駐車区画QBとして設定する。
これにより、上記両者の空き区画QAの間の走行予定距離の差が所定値未満の場合には、検出後の経過時間が短く、現時点でも空いている可能性が高い空き区画QAを優先的に目標駐車区画QBに設定することができる。
一方、上記両者の空き区画QAの間の走行予定距離の差が所定値以上である場合、目標駐車区画設定部47は、より走行予定距離が短い方の空き区画QAを目標駐車区画QBとする。例えば、第1の期間で検出された空き区画QAの方が第2の期間で検出された空き区画QAよりも走行予定距離が所定値以上も短い場合、目標駐車区画設定部47は、この第1の期間で検出された空き区画QAを目標駐車区画QBとして設定する。
これにより、上記両者の空き区画QAのうち、明らかに近い方を優先的に目標駐車区画QBに設定することができる。
【0061】
なお、本変形例において、他の空き区画QAが空き区画記憶部44に記憶されていない場合、自動走行制御部48が現在位置から上述の通過経路Tに復帰する経路を設定し、当該通過経路Tを往復する自動走行経路Uを設定し、当該自動走行経路Uに沿って車両3を自動走行させつつ、空き区画判定部43が周辺検出センサ部26のセンシングに基づいて、空き区画QAの検出を継続的に実行することで、空き区画QAを探索してもよい。
【0062】
(変形例2)
自動入庫動作時に、通知制御部49が目標駐車区画QBを乗員4のスマートフォン12へ通知してもよい。
この場合において、通知制御部49は、降車位置PAと目標駐車区画QBの位置とをスマートフォン12へ送信し、スマートフォン12は、これらの位置をディスプレイ12Bに表示してもよい。またスマートフォン12は、外部のサーバなどの適宜の装置から駐車場2の外形を示す地図データを取得し、当該地図データの地図に降車位置PAと目標駐車区画QBとを重ねて表示してもよい。
これにより、乗員4は、目標駐車区画QBの位置、すなわち車両3が駐車する位置を把握できる。
また地図データの地図は航空写真であってもよい。地図を航空写真とすることで、駐車場2内の全ての駐車区画Qを表示することができる。
【0063】
また、通知制御部49は、目標駐車区画QBに加え、他の空き区画QAの位置もスマートフォン12へ送信し、スマートフォン12がこれら目標駐車区画QB、及び他の空き区画QAをディスプレイ12Bに表示してもよい。
この場合において、通知制御部49は、目標駐車区画QB、又は/及び、他の空き区画QAの表示態様を指定して、これらの位置をスマートフォン12に送信することで、
図8に示すように、目標駐車区画QBと、他の空き区画QAとが互いに異なる表示態様で表示されるように表示制御する表示制御部として機能してもよい。表示態様は、例えば表示色、模様、大きさ、点滅などを変えることで異ならせることができる。また、目標駐車区画QB以外の空き区画QAを非表示にしたり、互いに異なるアイコンを付したりするなどして、表示態様を異ならせることもできる。
目標駐車区画QBと、他の空き区画QAの表示態様が異なることで、乗員4は目標駐車区画QBを明確に把握することができる。
【0064】
なお、乗員4がスマートフォン12を操作して他の空き区画QAを指定した場合に、目標駐車区画設定部47が目標駐車区画QBを、乗員4によって指定された空き区画QAに置き換えることで、乗員4が目標駐車区画QBを変更できるようにしてもよい。
【0065】
(変形例3)
自動駐車制御装置10は、駐車区画Qの位置、及び、当該駐車区画Qにおける他車両の有無の情報を周辺検出センサ部26のセンシング結果から取得した。
しかしながら、自動駐車制御装置10は、駐車場2における駐車区画Qの空き状況(他車両の駐車状況)を配信する装置から、空き区画QAの情報を適宜の通信を用いて取得してもよい。
【0066】
(他の変形例)
図1に示すブロックは、本願発明を理解容易にするために、構成要素を主な処理内容に応じて分類して示した概略図であり、構成要素は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
例えば、
図1において、自動駐車制御装置10が、通信ユニット27や、周辺検出センサ部26、車両制御ユニット25など備えてもよい。