(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-195122(P2021-195122A)
(43)【公開日】2021年12月27日
(54)【発明の名称】車両用エンブレム
(51)【国際特許分類】
B60B 7/04 20060101AFI20211129BHJP
F21S 43/50 20180101ALI20211129BHJP
F21S 9/04 20060101ALI20211129BHJP
F21S 45/10 20180101ALI20211129BHJP
F21S 9/02 20060101ALI20211129BHJP
B60Q 1/50 20060101ALN20211129BHJP
【FI】
B60B7/04 K
F21S43/50
F21S9/04
F21S45/10
F21S9/02
B60Q1/50 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2021-97503(P2021-97503)
(22)【出願日】2021年6月10日
(31)【優先権主張番号】16/897,907
(32)【優先日】2020年6月10日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】517009486
【氏名又は名称】ザニニ オート グループ,ソシエダッド アノニマ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キャノンズ ボーナム デビット
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA31
3K339BA02
3K339BA04
3K339BA11
3K339BA13
3K339BA18
3K339CA30
3K339GB15
3K339HA30
3K339JA21
3K339JA23
3K339KA39
3K339MC48
(57)【要約】 (修正有)
【課題】発電装置がフロントカバーの後ろにある非常に小さい空きスペースに軸方向に一致するように最適化されたエンブレムを提供すること。
【解決手段】車両用エンブレムであって、装飾層16と、装飾層を照明する少なくとも1つの発光素子14と、少なくとも1つの発光素子に給電する発電装置と、を備え、発電装置は、少なくとも1つの磁石5のための支持ディスク4を備えるロータと、巻線が設けられた少なくとも1つのプリント回路基板9を備えるステータと、を含む、車両用エンブレム。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用エンブレムであって、
装飾層と、
前記装飾層を照明する少なくとも1つの発光素子と、
前記少なくとも1つの発光素子に給電する発電装置と、
を備え、
前記発電装置は、
少なくとも1つの磁石のための支持ディスクを備えるロータと、
巻線が設けられた少なくとも1つのプリント回路基板を備えるステータと、
を有する、車両用エンブレム。
【請求項2】
前記プリント回路基板の前記巻線又は各プリント回路基板の前記巻線は直列に接続されている、請求項1に記載の車両用エンブレム。
【請求項3】
前記エンブレムは偏心ウェイトも備える、請求項1に記載の車両用エンブレム。
【請求項4】
前記支持ディスクと、前記プリント回路基板又は前記各プリント回路基板との間には、スペーサが設けられる、請求項1に記載の車両用エンブレム。
【請求項5】
前記ステータは2つのプリント回路基板を備え、各プリント回路基板の巻線はピンにより互いに接続される、請求項1に記載の車両用エンブレム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのプリント回路基板は磁性導電層を備える、請求項1に記載の車両用エンブレム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの発光素子は前記少なくとも1つのプリント回路基板に取り付けられる、請求項1に記載の車両用エンブレム。
【請求項8】
前記エンブレムは発光ガイドも備える、請求項1に記載の車両用エンブレム。
【請求項9】
前記発光ガイドは前記磁性導電層に取り付けられる、請求項7及び8に記載の車両用エンブレム。
【請求項10】
前記支持ディスクは両側に磁石を備える、請求項1に記載の車両用エンブレム。
【請求項11】
前記エンブレムはベースとカバーとにより形成されるハウジングを備える、請求項1に記載の車両用エンブレム。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は車両用エンブレム、とりわけ車両のホイールのハブ上で一定の向きで使用されるエンブレムに関する。
【0002】
[発明の背景]
車両の外観を、発光効果を加えることで向上させる傾向が高まっている。さらには、車の製造業者やリムの製造業者は、その象徴であるエンブレムの可視性を、可能な限り全ての屋外照明状況において維持したいと考えている。両方の目標を組み合わせることが可能な位置の1つとして、静止状態のままの図形を照明することにより、自動車のホイールのハブが挙げられる。
【0003】
ホイールのトルクを利用することで電気エネルギーを生成する様々な装置が存在する。永久磁石とコイルとの組み合わせにより、プリント回路基板上の複数のLEDへの電力供給を可能にし、広告部材を照明する。
【0004】
この解決策は、空きスペースが原因となり、技術的な実現性に制約がある。また、投資が必要であり、通常関連のある製造量が小規模であるため、経済的な実現性にも制約がある。
【0005】
以下に、有効な解決策を記載する。
米国特許第7168831号は、発電ユニット、及びホイールとともに回転する締結用シャフトに外嵌された磁芯を開示している。該特許では、発電ユニットと磁芯とをLEDを含むプリント回路基板に接続するために、電源端子及び電線を必要とする。発電ユニット(又はコイル)には多大な投資が必要であり、全体的な解決には、軸方向に十分なスペースが必要である。
【0006】
米国特許第10442242号は、電気エネルギー生成システムを開示している。電気エネルギー生成システムは、ホイールとともに回転する部材の表面に磁石を含む。ステータ(コイル)とLEDとに電気的に接続されたプリント回路基板は、ベアリングに組み付けられて、ベアリングが回転シャフトとともに回転しないようにする。ステータのコイルには多大な投資が必要であるが、その投資は、製造する装置の数が少ない場合は、経済的に正当化されにくい。
【0007】
[発明の概要]
したがって、本発明の1つの目的は、エンブレムであって、発電装置がフロントカバーの後ろにある非常に小さい空きスペースに軸方向に一致するように最適化されたエンブレムを提供することである。
【0008】
本発明に係る車両用エンブレムによれば、上記の欠点を解決して、以下に述べる他の利点をもたらすことが可能である。
本発明に係る車両用エンブレムは、
装飾層と、
装飾層を照明する少なくとも1つの発光素子と
少なくとも1つの発光素子に給電する発電装置と、
を備え、
発電装置は、
少なくとも1つの磁石のための支持ディスクを備えるロータと、
巻線が設けられた少なくとも1つのプリント回路基板を備えるステータと、
を含む。
【0009】
好適な実施形態によれば、プリント回路基板又は各プリント回路基板の巻線は、直列に接続される。
好ましくは、固定位置を維持するために、本発明に係る車両用エンブレムは、偏心ウェイトも備える。
【0010】
有利には、支持ディスクとプリント回路基板又は各プリント回路基板との間にスペーサが設けられる。スペーサは、支持ディスクとプリント回路基板との間において軸方向に制御された距離を確保する。
【0011】
好適な実施形態によれば、ステータは2つのプリント回路基板を備え、各プリント回路基板の巻線はピンにより互いに接続される。
さらには、少なくとも1つのプリント回路基板は、磁性導電層と発光ガイドとを備え、発光ガイドは磁性導電層に取り付けられる。
【0012】
好適には、少なくとも1つの発光素子は、少なくとも1つのプリント回路基板に取り付けられる。
好適な実施形態によれば、支持ディスクは、両側に磁石を備える。
【0013】
さらには、本発明に係る車両用エンブレムは、ベースとカバーとにより形成されるハウジングを備える。
車両用エンブレムは、空きスペースが非常に小さい。本発明に係るエンブレムは、寸法が空きスペースに軸方向に一致するように最適化されている。
【0014】
上記の説明のより良い理解のために、また、単に一例を提供する目的で、実施形態を概略的に描写した非限定的な図がいくつか含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る車両用エンブレムの主要部を示す拡大図である。
【
図2】
図1に示すエンブレムを組み立てたものの詳細な断面図である。
【
図3】本発明に係る車両用エンブレムに用いられる、巻線を形成するトレースを示すプリント回路基板の層である。
【
図4】本発明に係るエンブレムのプリント回路基板の層の数と、車両の速度とに応じた照明力のシミュレーションである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1及び
図2を参照すると、これらの図は、本発明に係る車両用エンブレムを示している。
ベース1、装飾リング3を備えるカバー2により、密閉されたハウジングが形成される。このハウジングは、自動車のホイールのハブに固定される。カバー2は、その前側の全体又は一部が透明であってもよい。ハウジングは、水、埃、又は前側を照明するために用いられる電気エネルギーを生成する内部装置へのその他の汚染に対し、保護を提供する。
【0017】
永久磁石5を備える支持ディスク4は、その周囲がハウジングに固定されて、ホイールが回転する際に、発電装置のロータの機能を発揮する。永久磁石5は、交互極性を備えていても備えていなくてもよい。支持ディスク4は、その軸に、スペーサ7及びシャフト8を自由に回転させるベアリング6を保持している。
【0018】
シャフト8は、支持ディスク4とカバー2との間に位置するプリント回路基板9を保持している。
スペーサ7は、支持ディスク4とプリント回路基板9との間において軸方向に制御された距離を確保する。
【0019】
プリント回路基板9は、
図3に示す巻線10の複数の対を備える1つ以上の層を含む。プリント回路基板9の種々の層は、ビアにより接続されている。巻線10の配置は、配線トレースを層間で同一の回転方向に沿わせた状態に維持する従来通りのものでもよい。
【0020】
全ての巻線10は、直列に接続されて、単相出力を行う。プリント回路基板9のこの部分は、発電装置のステータとして作用する。
生成された磁場の電力への変換を、プリント回路基板9の表面に接して設けられた磁性導電体層11を追加することにより向上させてもよい。磁性導電体層11は、永久磁石5からより遠位にあり、磁場を閉じ込めている。
【0021】
生成された電力を、シャフト8により保持され、支持ディスク4の表面に近接して位置する第2プリント基板9´を追加することにより増加させてもよい。第2プリント基板9´は、カバー2からより遠位にある。
【0022】
スペーサ7´は、支持ディスク4とプリント回路基板9´との間において軸方向に制御された距離を確保する。プリント回路基板9´の巻線は、プリント回路基板9の巻線と類似又は同一の設計を有するとともに、シャフト8の内部に位置するピン12により、プリント回路基板9の巻線に直列に接続されている。
【0023】
ここでも、生成された磁場の電力への変換を、プリント回路基板9´の表面に接して設けられた磁性導電体層11´を追加することにより向上させてもよい。磁性導電体層11´は、永久磁石5からより遠位にあり、磁場を閉じ込めている。
【0024】
スペーサ7(及びスペーサ7´)と、シャフト8と、プリント回路基板9(及びプリント回路基板9´)と、を含む静止アセンブリは、また、偏心的に配置されたウェイト13を含む。
【0025】
ウェイト13に作用する重力は、このアセンブリ、ひいては外部ハウジング及び内部ロータを、ホイールの回転運動にかかわらず、相対的な一定の位置に維持する。
支持ディスク4とフロントカバー2との間に位置するプリント回路基板9は、また、LED等の発光素子14に電気的に接続されて、発光素子14に生成された電力を提供する。
【0026】
発光素子14は、プリント回路基板9と装飾層16との間に位置する発光ガイド15を照明する。発光ガイド15は、装飾層16を介して光を照射しながら分散させる。
装飾層16は、不透明な領域と、透明又は半透明の領域とを組み合わせて、電飾により強調したい図形(例えば、製造業者のエンブレム)を画定してもよい。
【0027】
発光ガイド15及び装飾層16は、静止アセンブリに含まれ、接着剤、機械的干渉、又ははんだにより固定される2つの異なる部品であってもよい。或いは、これらは、装飾層16が単に発光ガイド15上のフィルムである、一体化された部品でもよく、ともに静止アセンブリに含まれる。いずれの場合においても、装飾層16もまたウェイト13の作用を利用して、静止位置に留まるとともに、図形を屋外の観察者にとってより認識可能なものにする。
【0028】
プリント回路基板9(及びプリント回路基板9´)で用いられる巻線10の層の数は、以下に挙げる項目に依拠する。
消費者により定められる光度(最低値から最大値の範囲内)。
【0029】
所定の最低光度を実現することが可能な、車両の所定の最低速度。
図4は、様々な数の層や車両の速度に関する照明力をシミュレーションしたグラフを示している。予想通り、層の数が多いほど、必要最低限の照明を低速度で実現することが可能であることが分かる。
【0030】
発光素子14に接続されたプリント回路基板9は、所定の最大光度が実現された際に、発光素子14に送られる電力を制限して発光素子14を保護するための複数の保護装置を含んでいてもよい。それらの保護装置は、ローパスフィルタの形を成し、所定値を上回る車両速度にて作用してもよい。その余剰電力は、プリント回路基板に接続された蓄電デバイス(バッテリ又は電気二重層コンデンサ)を充電してもよい。
【0031】
車両の速度が所定の最低光度を実現するのに必要な速度より遅くなった際は、一定期間後に、蓄電デバイスの利用可能な電力により、発光素子14に給電してもよい。蓄電デバイスが著しく重い場合は、ウェイト13がアセンブリを重力により静止位置に維持するのを助力するように、蓄電デバイスを偏心して配置することが望ましい。
【0032】
フロントカバーは、標準的な非照明型ホイールハブエンブレムに一般的に採用されているように、保護層(紫外線保護層、耐衝撃層、反射防止層)を含んでいてもよい。
振動を抑制するとともに、機械的堅牢性を向上させるために、静止アセンブリには、ベアリング18によりベース1に対して径方向に配置された後方シャフト17が含まれていてもよい。
【0033】
本発明の特定の実施形態を参照してきたが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲により定義した保護範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された車両用エンブレムを様々に変更することが可能であるとともに、その他の技術的同等物を全ての詳述内容に置き換えることが可能であることは、明らかである。
【外国語明細書】