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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-195521(P2021-195521A)
(43)【公開日】2021年12月27日
(54)【発明の名称】成形体及び成形体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 33/06 20060101AFI20211129BHJP
   C08F 20/10 20060101ALI20211129BHJP
【FI】
   C08L33/06
   C08F20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-105606(P2020-105606)
(22)【出願日】2020年6月18日
(71)【出願人】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】高田 十志和
(72)【発明者】
【氏名】広重 聖奈
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 悠馬
(72)【発明者】
【氏名】大日方 秀平
(72)【発明者】
【氏名】大倉 滉生
(72)【発明者】
【氏名】脇屋 武司
【テーマコード(参考)】
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
4J002BG061
4J002FA011
4J100AL03P
4J100FA20
(57)【要約】
【課題】高い強靭性を有し、安価な成形体を提供する。また、該成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】(メタ)アクリルモノマーの重合体を含み、ロタキサンの重合体を含まない微粒子の水系分散液の乾燥物である成形体。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリルモノマーの重合体を含み、ロタキサンの重合体を含まない微粒子の水系分散液の乾燥物である成形体。
【請求項2】
(メタ)アクリルモノマーの重合体を含み、ロタキサンの重合体を含まない微粒子の水系分散液を成形する工程、及び、乾燥する工程を有する成形体の製造方法。
【請求項3】
微粒子がブタジエン、イソプレン又はクロロプレンの重合体を含まない、請求項2に記載の成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い強靭性を有し、安価な成形体に関する。また、本発明は、該成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アクリル樹脂フィルムは優れた耐候性、透明性、加工性を有するため、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂基材やガラス、金属、木材等の表面に貼り合わせて使用するラミネートフィルム等の保護フィルム等、様々な用途に用いられている。
このようなアクリル樹脂フィルムは、アクリルモノマーの重合体を酢酸エチル等の有機溶剤に溶解して得られたアクリル樹脂溶液を塗布、乾燥して得られるものであるが、得られるフィルムの破断強度が低く、強靭性が低いという問題があった。
【0003】
これに対して、特許文献1及び2では、アクリルモノマーとロタキサンとの共重合体を用いることで、ロタキサンネットワークに由来するスライディング効果により強靭性を高めることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018−30928号公報
【特許文献2】特開2019−99607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2の重合体は、高価なロタキサンを原料として用いるうえ、工程も煩雑になるという問題がある。このため、より安価で充分な強靭性を発揮し得るアクリル樹脂フィルムが求められている。
【0006】
本発明は、高い強靭性を有し、安価な成形体を提供することを目的とする。また、本発明は、該成形体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(メタ)アクリルモノマーの重合体を含み、ロタキサンの重合体を含まない微粒子の水系分散液の乾燥物である成形体である。
以下に本発明を詳述する。
【0008】
本発明者らは、(メタ)アクリルモノマーの重合体を含み、ロタキサンの重合体を含まない微粒子の水系分散液を乾燥させることで、高価なロタキサンの重合体を含まない場合であっても、高い強靭性を有する成形体が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明の成形体は、(メタ)アクリルモノマーの重合体を含み、ロタキサンの重合体を含まない微粒子の水系分散液の乾燥物である。
上記構成とすることで、高価なロタキサンの重合体を含まずに、高い強靭性を有する成形体とすることができる。
【0010】
上記水系分散液は、(メタ)アクリルモノマーの重合体を含み、ロタキサンの重合体を含まない微粒子を含有する。
【0011】
上記(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル化合物等が挙げられる。
なお、本明細書において、上記「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味し、上記「(メタ)アクリル酸エステル化合物」とは、(メタ)アクリル酸エステルを有する化合物を意味する。また、上記「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0012】
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状アルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0013】
上記直鎖状又は分岐鎖状アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0014】
上記(メタ)アクリルモノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記(メタ)アクリルモノマーとしては、なかでも、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状アルキルアクリレートが好ましく、メチルアクリレートがより好ましい。
【0015】
上記微粒子は、(メタ)アクリルモノマーの重合体を含み、ロタキサンの重合体を含まない限り、他の重合体を含んでいてもよい。また、上記微粒子の形状は球体であることが好ましい。
上記他の重合体としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートの重合体、ジビニルベンゼンの重合体等が挙げられる。
【0016】
また、上記微粒子は、ブタジエン、イソプレン又はクロロプレンの重合体を含まないことが好ましい。
上記重合体を含む場合、着色による透明性の低下やゴム特有の臭気の発生等の問題がある。
【0017】
上記微粒子における(メタ)アクリルモノマーの重合体の含有量は、60重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましく、100重量%であることが更に好ましい。
【0018】
上記水系分散液における上記微粒子の含有量は、1重量%以上であることが好ましく、3重量%以上であることがより好ましく、50重量%以下であることが好ましく、40重量%以下であることがより好ましい。
【0019】
上記水系分散液は、水系溶剤を含有することが好ましい。
上記水系溶剤としては、水、水溶性有機溶剤、水と水溶性有機溶剤との混合物等が挙げられる。
上記水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール等が挙げられる。
なかでも水が好ましく用いられる。
【0020】
上記水系分散液における上記水系溶剤の含有量は、70重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましく、97重量%以下であることが好ましく、95重量%以下であることがより好ましい。
上記範囲とすることで、得られる成形体の強靭性を充分に高めることができる。
【0021】
上記水系分散液は、上記水系溶剤以外に、水難溶性の低分子物質を含んでいてもよい。
上記水難溶性の低分子物質としては、セチルアルコール、n−ヘキサデカン等が挙げられる。
ここで、水難溶性とは、20℃の水に対する溶解度が0.02mg/l以下であることを意味する。
【0022】
上記水系分散液における上記水難溶性の低分子物質の含有量は、0.3重量%以上であることが好ましく、0.5重量%以上であることがより好ましく、2.5重量%以下であることが好ましく、2.0重量%以下であることがより好ましい。
【0023】
上記水系分散液は、更に、後述する成形体を製造する方法に用いる界面活性剤、重合開始剤等を含有していてもよい。
【0024】
本発明の成形体は、上記水系分散液の乾燥物である。
上記水系分散液の乾燥物であることで、高価なロタキサンの重合体を含まない場合でも、高い強靭性を有する成形体とすることができる。
【0025】
上記乾燥物とするための乾燥方法としては、後述する成形体を製造する方法における乾燥方法を用いることができる。
【0026】
本発明の成形体の形状は、特に限定されず、例えば、フィルム状、板状、シート状、ロッド状、円筒状、環状、円形状、楕円形状、中空状、枠状、箱状等が挙げられる。
【0027】
本発明の成形体を製造する方法としては、上記(メタ)アクリルモノマーの重合体を含む、ロタキサンの重合体を含まない微粒子の水系分散液を成形し、乾燥する方法等が挙げられる。
上記(メタ)アクリルモノマーの重合体を含み、ロタキサンの重合体を含まない微粒子の水系分散液を成形する工程、及び、乾燥する工程を有する成形体の製造方法もまた本発明の1つである。
【0028】
本発明の成形体の製造方法は、上記(メタ)アクリルモノマーを含む混合液を重合反応させることで、(メタ)アクリルモノマーの重合体を含み、ロタキサンの重合体を含まない微粒子の水系分散液を得る工程を有することが好ましい。
【0029】
上記重合させる方法としては、例えば、乳化重合、懸濁重合、分散重合、ソープフリー重合、マイクロエマルション重合、ミニエマルション重合、マイクロサスペンション重合等が挙げられる。
【0030】
上記(メタ)アクリルモノマーを含む混合液に含まれる(メタ)アクリルモノマーとしては、上述の(メタ)アクリルモノマーを用いることができる。
なかでも、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状アルキルアクリレートが好ましく、メチルアクリレートがより好ましい。
【0031】
上記混合液における(メタ)アクリルモノマーの含有量は、1重量%以上であることが好ましく、3重量%以上であることがより好ましく、50重量%以下であることが好ましく、40重量%以下であることがより好ましい。
上記範囲とすることで、重合反応を充分に進行させることができる。
【0032】
上記混合液は、水系溶剤を含有することが好ましい。
上記水系溶剤としては、水、水溶性有機溶剤、水と水溶性有機溶剤との混合物等が挙げられる。
上記水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール等が挙げられる。
なかでも水が好ましく用いられる。
上記水系溶剤は、水系分散液の溶剤として使用してもよい。
【0033】
上記水系溶剤の含有量は、上記(メタ)アクリルモノマー100重量部に対して、100重量部以上であることが好ましく、250重量部以上であることがより好ましく、10000重量部以下であることが好ましく、2000重量部以下であることがより好ましい。
上記範囲とすることで、得られる微粒子の粒径を好適なものとすることができる。
【0034】
上記混合液は、上記水系溶剤以外に、水難溶性の低分子物質を含んでいてもよい。
上記水難溶性の低分子物質としては、例えば、セチルアルコール、n−ヘキサデカン等が挙げられる。
【0035】
上記重合に用いられる重合開始剤としては、例えば、過硫酸塩類、有機過酸化物、アゾ系化合物等が挙げられる。
上記過硫酸塩類としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等が挙げられる。
上記有機過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、o−クロロ過酸化ベンゾイル、o−メトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、キュメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド等が挙げられる。
上記アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が挙げられる。
なかでも、過硫酸塩類が好ましく、過硫酸カリウムがより好ましい。
【0036】
上記重合開始剤の添加量は、上記(メタ)アクリルモノマー100重量部に対して、0.05重量部以上であることが好ましく、0.5重量部以上であることがより好ましく、15重量部以下であることが好ましく、12重量部以下であることがより好ましい。
上記範囲とすることで、重合反応を充分に進行させることができる。
【0037】
上記重合反応において、(メタ)アクリルモノマーを含む混合液は、界面活性剤を含有していてもよい。
上記界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
上記アニオン界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。
上記カチオン界面活性剤としては、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテートなどのアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドのような第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
上記ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
上記両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
なかでも、アニオン界面活性剤が好ましく、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムがより好ましい。
【0038】
上記混合液が上記界面活性剤を含む場合、上記界面活性剤の添加量は、上記(メタ)アクリルモノマー100重量部に対して、0.1重量部以上であることが好ましく、0.25重量部以上であることがより好ましく、5重量部以下であることが好ましく、3重量部以下であることがより好ましい。
【0039】
上記重合反応における反応温度は、25℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、90℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましい。
上記範囲とすることで、重合反応を充分に進行させることができる。
【0040】
上記重合反応における反応時間は、5時間以上であることが好ましく、10時間以上であることがより好ましく、36時間以下であることが好ましく、24時間以下であることがより好ましい。
上記範囲とすることで、重合反応を充分に進行させることができる。
【0041】
本発明の成形体の製造方法は、上記重合反応を進行させて得られた上記(メタ)アクリルモノマーの重合体を含み、ロタキサンの重合体を含まない微粒子の水系分散液を成形する工程を有する。
本発明の成形体の製造方法では、上記水系分散液を成形することで、高価なロタキサンを含まない場合でも強靭性の高い成形体を得ることができる。
なお、上記水系分散液の媒体は、上記に記載した通りであるが、上記混合液にて使用したものをそのまま用いてもよい。
【0042】
上記微粒子は、(メタ)アクリルモノマーの重合体を含み、ロタキサンの重合体を含まない限り、他の重合体を含んでもよいが、より強靭性の高い成形体を得られることから、(メタ)アクリルモノマーの重合体からなる微粒子であることが好ましい。
【0043】
上記水系分散液を成形する方法としては、例えば、基材上に塗布する方法、基材上に噴霧する方法、型枠に流し込む方法等が挙げられる。
【0044】
本発明の成形体の製造方法では、更に、上記成形する工程の後に、乾燥する工程を有する。
上記乾燥方法としては、自然乾燥、加熱乾燥、熱風乾燥、真空乾燥等の方法が挙げられる。
上記乾燥温度及び乾燥時間は、特に限定されず、水系分散液中の水系溶剤等の量に応じて適宜設定される。
【0045】
本発明の成形体の用途は特に限定されず、例えば、保護フィルム、保護テープ等が挙げられる。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、高い強靭性を有し、安価な成形体を提供することができる。また、本発明によれば、該成形体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0048】
(実施例1)
(メタ)アクリルモノマーとしてメチルアクリレート100重量部、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(東京化成工業社製「DBS」)2重量部、溶剤としてイオン交換水500重量部、水難溶性の低分子物質としてn−ヘキサデカン(東京化成工業社製)10重量部を混合し、乳化液を作製した。上記乳化液に重合開始剤として過硫酸カリウム(MERCK社製「KPS」)2重量部を添加し、加熱を開始して70℃で18時間反応させて、平均粒子径57nmの微粒子の水系分散液を得た。
なお、上記微粒子の平均粒子径は、粒径測定装置(Malvern Instruments社製「Zetasizer NanoS」)を用いて動的光散乱法により測定した体積統計値の平均粒子径の値である。
また、原料としてロタキサン又はその重合体を使用しておらず、上記微粒子がロタキサンの重合体を含有しないことは明らかである。
【0049】
上記微粒子の水系分散液(固形分濃度:10重量%)を、固形量2.4mgとなるように厚さ1mmのJIS規格7号の型枠に流し込み、静置して乾燥させることで厚さ0.2mmのフィルムを作製した。
【0050】
(実施例2)
(メタ)アクリルモノマーとしてメチルアクリレート100重量部、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部、溶剤としてイオン交換水500重量部を混合し、混合液を作製した。上記混合液に重合開始剤として過硫酸カリウム1重量部を添加し、加熱を開始して70℃で18時間反応させ、平均粒子径73nmの微粒子の分散液を得た。
得られた分散液を用いた以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製した。
【0051】
(実施例3)
過硫酸カリウム0.7重量部を用いた以外は実施例2と同様にして平均粒子径82nmの微粒子の分散液及びフィルムを作製した。
【0052】
(実施例4)
n−ヘキサデカン5重量部を用いた以外は実施例1と同様にして平均粒子径87nmの微粒子の分散液及びフィルムを作製した。
【0053】
(実施例5)
過硫酸カリウム0.6重量部を用いた以外は実施例2と同様にして平均粒子径93nmの微粒子の分散液及びフィルムを作製した。
【0054】
(実施例6)
(メタ)アクリルモノマーとしてメチルアクリレート100重量部、溶剤としてイオン交換水2000重量部、重合開始剤として過硫酸カリウム10重量部を混合し、混合液を作製した。次いで、加熱を開始して70℃で18時間反応させ、平均粒子径181nmの微粒子の水系分散液を得た。
得られた水系分散液を用いた以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製した。
【0055】
(実施例7)
過硫酸カリウム2重量部を用いた以外は実施例6と同様にして平均粒子径444nmの微粒子の水系分散液及びフィルムを作製した。
【0056】
(実施例8)
メチルアクリレート200重量部、過硫酸カリウム0.2重量部を用いた以外は実施例6と同様にして平均粒子径829nmの微粒子の水系分散液及びフィルムを作製した。
【0057】
(比較例1)
(メタ)アクリルモノマーとしてメチルアクリレート10重量部、溶剤として酢酸エチル100重量部、重合開始剤として過酸化ベンゾイル(日油社製「ナイパーBW」)0.05重量部を混合し、混合液を作製した。次いで、加熱を開始して70℃で18時間反応させ、重合体を含む溶液を得た。なお、上記溶液について、重合体が酢酸エチルに完全に溶解していることを確認した。得られた重合体を含む溶液を、固形量2.4mgになるよう厚さ1mmのJIS規格7号の型枠に流し込み、静置して乾燥させることで厚さ0.2mmのフィルムを作製した。
【0058】
(比較例2)
実施例3と同様にして微粒子の水系分散液を作製した。得られた微粒子の水系分散液を遠心分離(14000rpm、60分)し、微粒子の凝集物を得た。次いで、微粒子の凝集物を酢酸エチルに溶解し、固形分10重量%になるように調整し、固形量2.4mgになるように、厚さ1mmのJIS規格7号の型枠に流し込み、静置して乾燥させることで厚さ0.2mmのフィルムを作製した。
【0059】
<評価>
実施例及び比較例で得られたフィルムについて以下の評価を行った。結果を表1に示した。
【0060】
(破断強度の測定)
実施例及び比較例で得られたフィルム(JIS規格7号ダンベル型、幅2mm×長さ12mm×厚さ0.2mm)について、テンシロン(A&D社製「RTC1250A」)を用いて、25℃、荷重50N、速度10mm/minの条件で引張試験を行い、破断強度を測定した。また、得られた破断強度について、以下の基準で評価した。
〇〇:6MPa以上
〇:4MPa以上、6MPa未満
△:2MPa以上、4MPa未満
×:2MPa未満
【0061】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、高い強靭性を有し、安価な成形体を提供することができる。また、本発明によれば、該成形体の製造方法を提供することができる。