【解決手段】 酸変性ポリオレフィン(a)と少なくとも1種のアミノ基を有する化合物(b0)とを必須構成原料とする変性ポリオレフィンであって、酸変性ポリオレフィン(a)が炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A)と不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(B)とを必須構成原料とする酸変性ポリオレフィンであり、酸変性ポリオレフィン(a)が要件(1)〜(3)をいずれも満たし、炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A)がエチレンとα−オレフィン(炭素数3〜8)とを必須構成単量体とするポリオレフィンであり、構成単量体としてエチレンとα−オレフィン(炭素数3〜8)との重量比[エチレン/α−オレフィン]が5/95〜65/35である変性ポリオレフィン(Y)。
酸変性ポリオレフィン(a)と、アミノ基を2個以上有し且つ1級アミノ基及び2級アミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を少なくとも1個有するポリアミン化合物並びに水酸基と3級アミノ基とを有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のアミノ基を有する化合物(b0)とを必須構成原料とする変性ポリオレフィンであって、前記酸変性ポリオレフィン(a)が炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A)と不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(B)とを必須構成原料とする酸変性ポリオレフィンであり、前記酸変性ポリオレフィン(a)が下記要件(1)〜(3)をいずれも満たし、前記炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A)がエチレンとα−オレフィン(炭素数3〜8)とを必須構成単量体とするポリオレフィンであり、構成単量体として前記エチレンとα−オレフィン(炭素数3〜8)との重量比[エチレン/α−オレフィン]が5/95〜65/35である変性ポリオレフィン(Y)。
(1)酸価が1〜100mgKOH/g
(2)数平均分子量(Mn)が1,000〜60,000
(3)α−オレフィン部分のアイソタクティシティーが1〜50%
前記炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A)が、炭素数1,000個当たり1〜20個の炭素−炭素二重結合を有する請求項1〜3いずれか記載の変性ポリオレフィン。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、酸変性ポリオレフィン(a)と、アミノ基を2個以上有し且つ1級アミノ基及び2級アミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を少なくとも1個有するポリアミン化合物並びに水酸基と3級アミノ基とを有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のアミノ基を有する化合物(b0)とを必須構成原料とする変性ポリオレフィンであって、前記酸変性ポリオレフィン(a)が炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A)と不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(B)とを必須構成原料とする酸変性ポリオレフィンであり、前記酸変性ポリオレフィン(a)が下記要件(1)〜(3)をいずれも満たし、前記炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A)がエチレンとα−オレフィン(炭素数3〜8)とを必須構成単量体とするポリオレフィンであり、構成単量体として前記エチレンとα−オレフィン(炭素数3〜8)との重量比[エチレン/α−オレフィン]が5/95〜65/35である変性ポリオレフィン(Y)である。
(1)酸価が1〜100mgKOH/g
(2)数平均分子量(Mn)が1,000〜60,000
(3)α−オレフィン単位連鎖部のアイソタクティシティーが1〜50%
【0008】
<炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A)>
本発明における炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A)は、エチレンとα−オレフィン(炭素数3〜8)とを必須構成単量体として含む。
前記α−オレフィン(炭素数3〜8)は炭素数3〜8のα−オレフィンであり、前記α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン及び1−オクテン等が挙げられる。
なお、α−オレフィンは1種を単独でも、2種以上を併用してもよいが、1種が好ましい。
上記α−オレフィン(炭素数3〜8)のうち、接着剤のポリオレフィン基材への接着性、水性分散体の密着性、樹脂改質剤を含有してなる成形品の耐衝撃特性及び工業上の観点から、好ましくは直鎖のα−オレフィン(炭素数3〜8)であり、更に好ましくは直鎖のα−オレフィン(炭素数3〜6)であり、特に好ましくはプロピレンである。
【0009】
炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A)の構成単量体であるエチレンとα−オレフィン(炭素数3〜8)との重量比[エチレン/α−オレフィン]は、5/95〜65/35であり、下限について好ましくは8/92、さらに好ましくは10/90、特に好ましくは15/85であり、上限について好ましくは60/40、更に好ましくは40/60、特に好ましくは30/70である。
重量比[エチレン/α−オレフィン]が、5/95未満の場合、接着剤の基材への接着性、水性分散体により得られる塗膜の基材密着性、樹脂改質剤を含有してなる成形品の耐衝撃特性に劣り、65/35を超えるとの接着剤の低誘電特性、水性分散体の貯蔵安定性、樹脂改質剤を含有してなる成形品の曲げ物性が劣る。
【0010】
前記ポリオレフィン(A)は、エチレン、α−オレフィン(炭素数3〜8)以外にその他の単量体を構成単量体としてもよい。
その場合、(A)を構成する全単量体の重量に基づいて、その他の単量体の重量は、好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
上記その他の単量体としては、例えば、α−オレフィン以外のC4〜30の不飽和単量体(例えば、2−ブテン等のオレフィン並びにスチレン、アクリロニトリル、アクリルアミド及び酢酸ビニル等のビニル単量体等)及び炭素数[Cと略記することがある]9〜30のα−オレフィン(1−デセン、1−ドデセン等)等が挙げられる。
【0011】
炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A)の数平均分子量(Mn)は、接着剤の基材への接着性、水性分散体の密着性、樹脂改質剤を含有してなる成形品の水濡れ特性、接着剤の塗工性、水性分散体のレベリング性、樹脂改質剤を含有してなる成形品の成形性の観点から、好ましくは800〜50,000であり、更に好ましくは1,500〜40,000、特に好ましくは2,000〜30,000である。
【0012】
本発明におけるGPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)による炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A)並びに後記する高分子量ポリオレフィン(A0)、酸変性ポリオレフィン(a)及び変性ポリオレフィン(Y)のMn、重量平均分子量(Mw)の測定条件は以下のとおりである。
装置 :高温ゲルパーミエイションクロマトグラフ
[「Alliance GPC V2000」、Waters(株)製] 検出装置 :屈折率検出器
溶媒 :オルトジクロロベンゼン
基準物質 :ポリスチレン サンプル濃度:3mg/ml
カラム固定相:PLgel 10μm、MIXED−B 2本直列
[ポリマーラボラトリーズ(株)製]
カラム温度 :135℃
【0013】
炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A)は、炭素数1000個当たりの炭素−炭素二重結合数[(A)の分子末端及び分子鎖中の炭素−炭素二重結合数]は、後述の不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(B)との反応性及び生産性の観点から、好ましくは1〜20個であり、更に好ましくは1.5〜18個、特に好ましくは2〜15個である。
ここにおいて、該二重結合数は、(A)の
1H−NMR(核磁気共鳴)分光法のスペクトルから求めることができる。
すなわち、該スペクトル中のピークを帰属し、(A)の4.5〜6ppmにおける二重結合由来の積分値及び(A)由来の積分値から、(A)の炭素−炭素二重結合数と(A)の炭素数の相対値を求め、(A)の炭素1,000個当たりの該分子末端及び分子鎖中の炭素−炭素二重結合数を算出する。後述の実施例における炭素−炭素二重結合数は該方法に従った。
【0014】
炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A)のα−オレフィン部分のアイソタクティシティーは、1〜50%であり、更に好ましくは5〜45%であり、特に好ましくは10〜40%である。
ポリオレフィン(A)のα−オレフィン部分のアイソタクティシティーが、1%未満であると接着剤の基材への接着性、水性分散体のポリオレフィン基材への密着性、樹脂改質剤を含有してなる成形品の曲げ物性が不十分であり、50%を超えると接着剤の塗工性、水性分散体のレベリング性、樹脂改質剤を含有してなる成形品の耐衝撃特性が悪くなる。 上記ポリオレフィン(A)のα−オレフィン部分のアイソタクティシティーは、後述の酸変性ポリオレフィン(a)のα−オレフィン部分のアイソタクティシティーに、そのまま反映される傾向がある。
【0015】
本発明のアイソタクティシティーは、
13C−NMR(核磁気共鳴分光法)を用いて算出する。一般的に、側鎖メチル基は両隣(三連子、トリアッド)、その三連子の両隣(五連子、ペンタッド)、更にその五連子の両隣(七連子、ヘプタッド)程度までのメチル基との立体配置(メソ又はラセモ)の影響を受け、異なる化学シフトにピークが観測されることが知られており、立体規則性の評価はペンタッドについて行うことが一般的であり、本発明におけるアイソタクティシティーも、ペンタッドの評価に基づいて算出する。
例えば、α−オレフィンがプロピレンの場合、
13C−NMRで得られるプロピレン中の側鎖メチル基由来の炭素ピークについて、ペンタッド各ピーク(H)、ペンタッドがメソ構造のみで形成されるアイソタクティックのプロピレン中のメチル基由来のピーク(Ha)とした場合、アイソタクティシティ−は、以下の式で算出される。
アイソタクティシティー(%)=[(Ha)/Σ(H)]×100 (1)
但し、式(1)中、Haはアイソタクチック(ペンタッドがメソ構造のみで形成される)の信号のピーク高さ、Hはペンタッドの各ピーク高さ、Σ(H)はペンタッドの各ピーク高さの合計である。
なお、後述の(a)のα−オレフィン部分のアイソタクティシティーについても上記同様に測定できる。
【0016】
本発明における炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A)の製造方法は、例えば、Mnが60,000を超える高分子量ポリオレフィン(A0)を熱減成する方法が挙げられる。
高分子量ポリオレフィン(A0)のMnは、ポリオレフィン(A)の生産性の観点から好ましくはMnが60,000を超え400,000以下、更に好ましくはMnが80,000〜250,000である。
【0017】
熱減成法には、前記高分子量ポリオレフィン(A0)を(1)有機過酸化物不存在下、例えば300〜450℃で0.5〜10時間、熱減成する方法、及び(2)有機過酸化物[例えば2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン]存在下、180〜300℃で0.5〜10時間、熱減成する方法等が含まれる。
これらのうち工業的な観点及び後述の酸変性ポリオレフィン(a)の生産性の観点から、好ましくは分子末端及び/又は分子鎖中の二重結合数のより多いものが得やすい(1)の方法である。
【0018】
上記(A)を構成する単量体であるエチレンとα−オレフィン(炭素数3〜8)との重量比[エチレン/α−オレフィン]は、高分子量ポリオレフィン(A0)の重量比[エチレン/α−オレフィン]が、そのまま維持される傾向がある。
また、熱減成温度が高い、熱減成時間が長いほど、炭素数1000個当たりの二重結合数は、大となる傾向がある。
更に、(A0)のMnが小、熱減成温度が高い、熱減成時間が長いほど、(A)のMnは小となる傾向がある。
また、(A0)のアイソタクティシティーが大であるほど、(A)のアイソタクティシティーが大である傾向がある。
(A0)のアイソタクティシティーは、所定のアイソタクティシティーを有する(A)を選択することで調整することができる。
【0019】
<不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(B)>
本発明における不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(B)は、重合性不飽和基を1個有する炭素数[以下、Cと略記することがある]3〜30の(ポリ)カルボン酸(無水物)である。 なお、本発明において不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)は、不飽和モノカルボン酸、不飽和ポリカルボン酸及び/又は不飽和ポリカルボン酸無水物を意味する。
該(B)のうち、不飽和モノカルボン酸としては、脂肪族(C3〜24、例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸)、脂環含有(C6〜24、例えばシクロヘキセンカルボン酸);不飽和ポリ(2〜3又はそれ以上)カルボン酸(無水物)としては、不飽和ジカルボン酸(無水物)[脂肪族ジカルボン酸(無水物)(C4〜24、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、及びこれらの無水物)、脂環含有ジカルボン酸(無水物)(C8〜24、例えばシクロへキセンジカルボン酸、シクロヘプテンジカルボン酸、ビシクロヘプテンジカルボン酸、メチルテトラヒドロフタル酸、及びこれらの無水物)等]等が挙げられる。
なお、(B)は1種単独でも、2種以上併用してもいずれでもよい。
【0020】
上記(B)のうち、炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A)との反応性の観点から好ましいのは、不飽和ジカルボン酸無水物、更に好ましいのは無水マレイン酸である。
【0021】
<酸変性ポリオレフィン(a)>
本発明における酸変性ポリオレフィン(a)は、炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A)と不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(B)とを必須構成原料とする酸変性ポリオレフィンであり、前記の炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A)と不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(B)とを付加反応させてなる酸変性ポリオレフィンである。
不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(B)との反応による変性は、例えば、ポリオレフィン(A)の二重結合に、溶液法又は溶融法のいずれかの方法で、ポリオレフィン(A)と不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(B)との付加反応である。好ましくは、前記ポリオレフィン(A)と不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(B)とを、ラジカル開始剤の不存在下又は存在下で反応させてなる変性である。
【0022】
(A)と(B)との反応における(A)と(B)との重量比[(A)/(B)]は、接着剤の基材への接着性、水性分散体のポリオレフィン基材への密着性、樹脂改質剤とポリオレフィン樹脂との相溶性及び接着剤の低誘電特性、水性分散体の分散安定性、樹脂改質剤の水濡れ性付与効果の観点から、好ましくは80/20〜99.5/0.5、更に好ましくは90/10〜99/1である。
【0023】
酸変性ポリオレフィン(a)は、好ましくは、ラジカル開始剤(D)の存在下で、前記ポリオレフィン(A)及び不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(B)を、必要により適当な有機溶媒[C3〜18、例えば炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素(ジ−、トリ−、及びテトラクロロエタン、ジクロロブタン等)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、ジ−t−ブチルケトン等)、エーテル(エチル−n−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−t−ブチルエーテル、ジオキサン等)]中で反応させて製造することができる。 なお、上記ラジカル開始剤(D)は、公知のもの、例えば、アゾ開始剤(アゾビスイソブチロニトリル等)、過酸化物開始剤(ジクミルパーオキサイド等)が挙げられる。
上記(D)のうち、過酸化物開始剤が好ましい。
【0024】
反応温度は(A)と(B)との反応性及び生産性の観点から好ましくは100〜270℃、更に好ましくは120〜250℃、特に好ましくは130〜240℃である。
【0025】
前記酸変性ポリオレフィン(a)は、下記要件(1)〜(3)のいずれも満たす。
(1)酸価が、1〜100mgKOH/g
(2)数平均分子量(Mn)が1,000〜60,000
(3)α−オレフィン単位連鎖部のアイソタクティシティーが1〜50%
【0026】
要件(1):(a)の酸価は、1〜100mgKOH/g(以下数値のみを示す)であり、好ましくは3〜75、更に好ましくは5〜50である。
ここにおける酸価はJIS K0070:1992に準じて測定される値であり、以下の(i)〜(iii)の手順で測定される値である。
(i)100℃に温度調整したキシレン100gに(X)1gを溶解させる。
(ii)同温度でフェノールフタレインを指示薬として、0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液[商品名「0.1mol/Lエタノール性水酸化カリウム溶液」、和光純薬(株)製]で滴定を行う。
(iii)滴定に要した水酸化カリウム量をmgに換算して酸価(単位:mgKOH/g)を算出する。
【0027】
なお、上記測定では1個の酸無水物基は1個のカルボキシル基と等価になる結果が得られる。酸価が1未満では接着剤の金属基材(銅箔等)への接着性、水性分散体の分散安定性、及び樹脂改質剤の水濡れ性付与効果が劣り、100を超えると(a)の生産性が劣る。
また、上記酸価は、(A)の有する二重結合数、(A)の重量、(B)の種類、重量で適宜、調整可能である。
【0028】
要件(2):(a)のMnは、1,000〜60,000、好ましくは2,000〜50,000、更に好ましくは3,000〜40,000である。
Mnが1,000未満では接着剤の基材への接着性、水性分散体により得られる塗膜のポリオレフィン基材への密着性、樹脂改質剤を含有してなる成形品の耐衝撃特性が劣り、60,000超では接着剤の塗工性、水性分散体のレベリング性、樹脂改質剤を含有してなる成形品の生産性が悪くなる。
また、上記(a)のMnは、(A)のMn、(B)の種類、量、(A)と(B)との反応の制御により、適宜、調整可能である。
【0029】
要件(3):(a)のα−オレフィン単位連鎖部のアイソタクティシティーは、1〜50%であり、好ましくは5〜45%、更に好ましくは10〜40%である。
アイソタクティシティーが1%未満では接着剤の基材への接着性、水性分散体により得られる塗膜のポリオレフィン基材への密着性、樹脂改質剤を含有してなる成形品の曲げ物性が劣る傾向があり、50%を超えると接着剤の塗工性、水性分散体のレベリング性、樹脂改質剤を含有してなる成形品の耐衝撃特性が劣る傾向がある。
また、(a)のα−オレフィン単位連鎖部のアイソタクティシティーは、前記のとおり、(A)、(A0)のアイソタクティシティーにより、適宜、調整可能である。
【0030】
本発明における酸変性ポリオレフィン(a)は炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A)と不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(B)とを反応させた後に、更に2次変性してもよく、具体的には(B)と反応性のある(ポリ)アミノカルボン酸及び(ポリ)ヒドロキシカルボン酸(m20)、(m20)の前駆体[(m20)を形成し得る化合物]たるラクタム及びラクトン(m21)、カルボキシ反応性のカップリング剤とポリカルボン酸(酸又はそのエステル形成性誘導体を意味する。以下同様)との組合せ(m22)並びにこれらの2種以上の組合せ等を用いて変性することができる。
また、本2次変性は、(m20)の(重)縮合、(m21)の開環付加(重合)又は(m22)のカップリング反応によって行うことができる。
【0031】
(m20)の(ポリ)アミノカルボン酸としては、C2〜12のもの、例えばアミノ酸[グリシン、アラニン、バリン、(イソ)ロイシン及びフェニルアラニン等]、ω−アミノアルカン酸(例えばω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸及び12−アミノドデカン酸等)及び芳香族アミノカルボン酸(例えばo−、m−又はp−アミノ安息香酸等)が挙げられる。
【0032】
(m20)の(ポリ)ヒドロキシカルボン酸としては、例えばω−ヒドロキシカプロン酸、サリチル酸、p−又はm−ヒドロキシ安息香酸等)、グリコール酸、グリセリン酸、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸、ベンジル酸が挙げられる。
(m21)のラクタムとしては、C4〜15(好ましくは6〜12)のもの、例えばε−カプロラクタム、エナントラクタム、ラウロラクタム及びウンデカノラクタムが挙げられる
(m21)のラクトンとしては、例えばε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン及びγ−バレロラクトン等が挙げられる。
【0033】
これらの内で好ましいのはε−カプロラクタム及び12−アミノドデカン酸である。(m21)及び(m20)の使用量は、酸変性ポリオレフィン(a)が有するカルボン酸基(カルボン酸無水物である場合には無水物基)1モル当たり1〜10モル又はそれ以上、好ましくは1〜2モルである。
【0034】
(m22)のカルボキシ反応性のカップリング剤としては、ポリカルボン酸類のカルボキシ基と反応性の基を2個又はそれ以上有する化合物、例えばポリオール、有機ポリイソシアネート、ポリエポキシド及びエポキシアルコールが挙げられる。これらのポリカルボン酸類、ポリオール、有機ポリイソシアネート及びポリエポキシドとしては後述のもの、エポキシアルコールとしてはグリシドール等が挙げられる。
【0035】
(m22)の上記ポリオールとしては、2価〜8価又はそれ以上の、低分子ポリオール(250未満の水酸基当量を有する)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。上記水酸基当量とは、水酸基価に基づく、水酸基1個当りの分子量を意味する。
低分子ポリオールとしては、多価アルコール及び低分子量の水酸基末端ポリマー(ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオール等)等が挙げられる。
【0036】
多価アルコールとしては、2価アルコール(C2〜20又はそれ以上)、例えばC2〜12の脂肪族2価アルコール[(ジ)アルキレングリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−、2,3−、1,3−又は1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール及び3−メチルペンタンジオール(以下、それぞれEG、DEG、PG、DPG、BD、HD、NPG及びMPDと略記)及びドデカンジオール等]、C6〜10の脂環式2価アルコール[1,4−シクロヘキサンジオール及びシクロヘキサンジメタノール等]、C8〜20の芳香脂肪族2価アルコール[キシリレングリコール及びビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン等]等;3価〜8価又はそれ以上の多価アルコール、例えば(シクロ)アルカンポリオール及びそれらの分子内又は分子間脱水物[グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジペンタエリスリトール、1,2,6−ヘキサントリオール、エリスリトール、シクロヘキサントリオール、マンニトール、キシリトール、ソルビタン及びジグリセリンその他のポリグリセリン等]、糖類及びその誘導体[例えば蔗糖、グルコース、フラクトース、マンノース、ラクトース及びグルコシド(メチルグルコシド等)等]、含窒素ポリオール(3級アミノ基含有ポリオール及び4級アンモニウム基含有ポリオール):例えば含窒素ジオール、例えばC1〜12の脂肪族、脂環式及び芳香族1級モノアミン[メチルアミン、エチルアミン、1−又は2−プロピルアミン、(イソ)アミルアミン、ヘキシルアミン、1,3−ジメチルブチルアミン、3,3−ジメチルブチルアミン、1−,2−又は3−アミノヘプタン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、シクロプロピルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、ベンジルアミン等]のビスヒドロキシアルキル(C2〜4)化物[ビス(2−ヒドロキシエチル)化物、ビス(ヒドロキシプロピル)化物等、例えば米国特許第4,271,217号明細書に記載の3級窒素原子含有ポリオール]及びそれらの4級化物[上記米国特許明細書に記載の4級化剤又はジアルキルカーボネート(ジメチルカーボネート等)による4級化物]、例えば上記米国特許明細書に記載の4級窒素原子含有ポリオール;3価〜8価又はそれ以上の含窒素ポリオール、例えばトリアルカノール(C2〜4)アミン(トリエタノールアミン等)]及びこれらの上記と同様の4級化物。
【0037】
低分子量の水酸基末端ポリマーとしては、後述のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリウレタンポリオールで250未満の水酸基当量を有するものが挙げられ、例えば低重合度のアルキレンオキシド(以下、AOと略記)開環重合物及び活性水素原子含有多官能化合物の低モルAO付加物[例えば後述のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等、ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン及びビスフェノールAのエチレンオキシド2〜4モル付加物]、低縮合度の縮合ポリエステルポリオール及びポリオールの低モルラクトン付加物[ポリカルボン酸と過剰(カルボキシ基1個当り1モル)の多価アルコールとの縮合物(例えばジヒドロキシエチルアジペート)及びEGのカプロラクトン1モル付加物]並びに低重合度のポリウレタンポリオール(例えばトリレンジイソシアネート1モルとEG2モルとの反応生成物)が挙げられる。
【0038】
ポリエーテルポリオールとしては、AOの開環重合物、少なくとも2個(2個〜8個又はそれ以上)の活性水素原子を有する開始剤[前記の多価アルコール、ヒドロキシルアミン、アミノカルボン酸及びヒドロキシカルボン酸;多価フェノール;並びにポリカルボン酸(後述)等]に1種又は2種以上のAOを付加させた構造を有するポリエーテルポリオール(AO付加物)、及びそれら(同一又は異なる)の2分子又はそれ以上をカップリング剤(ポリハライド、エピハロヒドリン、ポリエポキシド等)でカップリングさせてなるポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0039】
上記AOとしては、C2〜12又はそれ以上(好ましくは2〜4)のAO、例えばエチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン及び3−メチル−テトラヒドロフラン(以下それぞれEO、PO、THF及びMTHFと略記)、1,3−プロピレンオキシド、1,2−、2,3−、1,3−又はイソブチレンオキシド、C5〜12のα−オレフィンオキシド、置換AO、例えばスチレンオキシド及びエピハロヒドリン(エピクロルヒドリン等)並びにこれらの2種以上を併用したもの(ランダム付加及び/又はブロック付加)が挙げられる。
【0040】
ポリエーテルポリオールの例としては、ポリエーテルジオール、例えばポリアルキレングリコール[例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下それぞれPEG、PPG及びPTMGと略記)、ポリ−3−メチルテトラメチレンエーテルグリコール]、共重合ポリオキシアルキレンジオール〔EO/PO共重合ジオール、THF/EO共重合ジオール、THF/MTHF共重合ジオール等(重量比例えば1/9〜9/1)〕、芳香環含有ポリオキシアルキレンジオール[ポリオキシアルキレンビスフェノールA(ビスフェノールAのEO及び/又はPO付加物等)];及び3官能以上のポリエーテルポリオール、例えばポリオキシプロピレントリオール(グリセリンのPO付加物等);並びにこれらの1種以上をメチレンジクロライドでカップリングしたものが挙げられる。
【0041】
ポリエステルポリオールとしては、縮合ポリエステルポリオール、ポリラクトンポリオール、ヒマシ油系ポリオール[ヒマシ油(リシノール酸トリグリセリド)及びそのポリオール変性物]及びポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
【0042】
縮合ポリエステルポリオールは、ポリオールとポリカルボン酸類(及び必要によりヒドロキシカルボン酸)との重縮合又はポリオールとポリカルボン酸無水物及びAOとの反応により、ポリラクトンポリオールはポリオールを開始剤とするラクトンの開環付加(又はポリオールとヒドロキシカルボン酸との重縮合)により、ヒマシ油系ポリオール変性物はヒマシ油とポリオールとのエステル交換反応により、そしてポリカーボネートポリオールは、(1)ポリオールを開始剤とするアルキレンカーボネートの開環付加/重縮合、(2)ポリオールとジフェニル若しくはジアルキルカーボネートの重縮合(エステル交換)、又は(3)ポリオール若しくは2価フェノール(ビスフェノールA等)のホスゲン化により、製造することができる。
【0043】
ポリエステルポリオールの製造に用いるポリオールは、250未満の水酸基当量を有する。その例としては、上記の多価アルコール[ジオール(例えばEG、1,4−BD、NPG、HD及びDEG)、3価以上のポリオール(グリセリン、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトール等)]、上記ポリエーテルポリオール(PEG、PPG、PTMG等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。縮合ポリエステルポリオールの製造に好ましいのは、ジオール及びそれと少割合(例えば10当量%以下)の3価以上のポリオールとの併用である。
【0044】
ポリカルボン酸類としては、ジカルボン酸及び3価〜4価又はそれ以上のポリカルボン酸が挙げられる。それらの例としては、C2〜30又はそれ以上(好ましくはC2〜12)の飽和及び不飽和の脂肪族ポリカルボン酸、例えばC2〜15ジカルボン酸(例えばシュウ酸、コハク酸、マロン酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等)、C6〜20トリカルボン酸(例えばトリカルバリル酸、ヘキサントリカルボン酸等)];C8〜15の芳香族ポリカルボン酸、例えばジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等)、トリ−又はテトラ−カルボン酸(例えばトリメリット酸、ピロメリット酸等);C6〜40の脂環式ポリカルボン酸(ダイマー酸等);スルホ基含有ポリカルボン酸〔上記ポリカルボン酸にスルホ基を導入してなるもの、例えばスルホコハク酸、スルホマロン酸、スルホグルタル酸、スルホアジピン酸、スルホイソフタル酸、及びそれらの塩[金属塩、例えばアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)及びIIB族金属(亜鉛等)の塩;アンモニウム塩;並びにアミン塩及び4級アンモニウム塩等]〕;並びにカルボキシ末端のポリマーが挙げられる。
【0045】
カルボキシ末端のポリマーとしては、ポリエーテルポリカルボン酸、例えばポリオール(上記の多価アルコール及びポリエーテルポリオール等)のカルボキシメチルエーテル(アルカリの存在下にモノクロル酢酸を反応させて得られる);ポリアミドポリカルボン酸、ポリエステルポリカルボン酸及びポリウレタンポリカルボン酸、例えば上記ポリカルボン酸を開始剤としてラクタム又はラクトンを開環重合させてなるポリラクタムポリカルボン酸及びポリラクトンポリカルボン酸、上記ポリカルボン酸類の2分子又はそれ以上をポリオール又はポリアミンでカップリング(エステル化又はアミド化)させてなる縮合ポリエステルポリカルボン酸及び縮合ポリアミドポリカルボン酸、上記のポリカルボン酸類及びポリオールと有機ポリイソシアネートを反応させてなるポリウレタンポリカルボン酸が挙げられる。
【0046】
ポリカルボン酸類のエステル形成性誘導体としては、酸無水物、低級アルキル(C1〜4)エステル、酸ハライド、例えばコハク酸、マレイン酸、イタコン酸及びフタル酸の無水物、テレフタル酸ジメチル及びマロニルジクロライド等が挙げられる。
【0047】
縮合ポリエステルポリオールの製造に好ましいのは、ジカルボン酸類及びそれと少割合(例えば10当量%以下)の3価〜4価又はそれ以上のポリカルボン酸類との併用である。
ラクトン及びヒドロキシカルボン酸としては前掲のものが挙げられる。
アルキレンカーボネートとしては、C2〜6のアルキレン基を有するもの、例えばエチレンカーボネート及びプロピレンカーボネート等が挙げられる。
ジアルキルカーボネートとしては、C1〜4のアルキル基を有するもの、例えばジメチル、ジエチル又はジ−i−プロピルカーボネートが挙げられる。
【0048】
ポリエステルポリオールの具体例としては、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリエチレン/プロピレンアジペート、ポリエチレン/ブチレンアジペート、ポリブチレン/ヘキサメチレンアジペート、ポリジエチレンアジペート、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペート、ポリエチレンアゼレート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンアゼレート、ポリブチレンセバケート、ポリカプロラクトンジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール等が挙げられる。
【0049】
有機ポリイソシアネートとしては、2〜6個又はそれ以上(好ましくは2〜3個、特に好ましくは2個)のイソシアネート基を有する下記の有機ポリイソシアネート及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
C(NCO基中の炭素を除く、以下同様)2〜18の脂肪族ポリイソシアネート:ジイソシアネート、例えばエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、2,6−ジイソシアナトエチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート等;3官能以上のポリイソシアネート(トリイソシアネート等)、例えば1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート(リジンとアルカノールアミンとの反応生成物のホスゲン化物、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、2−又は3−イソシアナトプロピル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等);
【0050】
C4〜15の脂環式ポリイソシアネート:ジイソシアネート、例えばイソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキシレン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート;3官能以上のポリイソシアネート(トリイソシアネート等)、例えばビシクロヘプタントリイソシアネート;
C8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート:m−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、ジエチルベンゼンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI);
【0051】
C6〜20の芳香族ポリイソシアネート:ジイソシアネート、例えば1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−又は2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、m−又はp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート等;3官能以上のポリイソシアネート(トリイソシアネート等)、例えば粗製TDI、粗製MDI(ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート);
【0052】
並びに、有機ポリイソシアネートの変性体:これらの有機ポリイソシアネートの変性体〔例えばカルボジイミド、ウレタン、ウレア、イソシアヌレート、ウレトイミン、アロファネート、ビウレット、オキサゾリドン及び/又はウレトジオン基を有する変性体〕、例えばMDI、TDI、HDI、IPDI等のウレタン変性物(ポリオールと過剰の有機ポリイソシアネートとを反応させて得られるNCO末端ウレタンプレポリマー)、ビウレット変性物、イソシアヌレート変性物、トリヒドロカルビルホスフェート変性物、及びこれらの混合物。
【0053】
有機ポリイソシアネートの内で、耐光性の観点から好ましいのは、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート及びこれらの併用、特に好ましいのは、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート及びこれらの併用である。
【0054】
(m22)におけるポリエポキシドとしては、下記のものが挙げられる。
(1)脂肪族ポリエポキシド:脂肪族ポリオール[前記2価〜8価又はそれ以上の多価アルコール及びポリエーテルポリオール]のポリグリシジルエーテル:ジグリシジルエーテル[例えばEG、PG、1,4−BD、HD、MPD、DEG、NPG、PEG(Mn150〜200,000)又はPPG(Mn134〜200,000)のジグリシジルエーテル]、トリグリシジルエーテル[例えばグリセリン又はトリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル等]及び4価又はそれ以上のグリシジルエーテル[例えばペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル及びソルビトールヘキサグリシジルエーテル];脂肪族ポリカルボン酸(前記ポリエステルポリオール製造用に挙げた2価〜3価又はそれ以上の脂肪族ポリカルボン酸)のポリグリシジルエステル[例えばシュウ酸及びアジピン酸ジグリシジルエステル及びトリカルバリルトリグリシジルエステル等]、
【0055】
(2)脂環式ポリエポキシド:C8〜20のもの、例えばビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、EGビスエポキシジシクロペンチルエーテル、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート及び後述の芳香環含有ポリエポキシドの核水添化物;
(3)複素環含有ポリエポキシド:C5〜20、例えばトリスグリシジルメラミン等;
【0056】
(4)芳香環含有ポリエポキシド:多価フェノール(前記の2価〜3価又はそれ以上の多価フェノール)又はそのAO付加物のポリグリシジルエーテル:2価フェノールのジグリシジルエーテル(ビスフェノールF、A、B、AD又はSのジグリシジルエーテル、カテコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、1,5−ジヒドロキシナフタリンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル及びビスフェノールA2モルとエピクロロヒドリン3モルの反応により得られるジグリシジルエーテル等);3価フェノールのトリグリシジルエーテル(ピロガロールトリグリシジルエーテル等)等が挙げられる。
【0057】
(m22)におけるポリエポキシドの内、(a)との反応性の観点から好ましいのは、脂肪族ポリエポキシド及び芳香環含有ポリエポキシド、更に好ましいのは、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、及びビスフェノールAジグリシジルエーテルである。
また、上記ポリエポキシドの内で更に好ましいのは、50〜500g/eq、特に60〜200g/eqのエポキシ当量を有するものである。
【0058】
本発明の炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A)と不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(B)との反応物の2次変性物は、炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A)と不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(B)との反応物のカルボキシ基又はカルボン酸無水物基の少なくとも一部が、例えば下記3種類の一般式で表されるカルボキシ含有基に変換された構造を有する。
−E−(G−L−E)
n−G−L−E−OH
(−E−)
pG−L
3[−G−(E−L
1−E−G−L
2−G)
n−E−L
1−E−OH]
f
(−E−)
pG−L
3[−G−E−(L−G−E)
n−L
1−(E−G−L)
n−E−OH]
f
【0059】
式中、Eは−CO−(カルボニル基);nは0又は1以上(好ましくは1〜9又はそれ以上)の整数;Lは、アミノカルボン酸若しくはヒドロキシカルボン酸の残基(アミノ基若しくはヒドロキシル基とカルボキシ基が除かれたもの)又はラクタム若しくはラクトンの残基(アミド若しくはエステル結合が除かれたもの);L
1はジカルボン酸の残基(2個のカルボキシ基が除かれたもの);L
2はジオールの残基(ヒドロキシル基が除かれたもの);fは0又は1以上の整数;L
3は、(1+f)価のポリオール若しくは有機ポリイソシアネートの残基(ヒドロキシル基若しくはイソシアネート基が除かれたもの)又はエポキシ開環基(エポキシドの開環により形成される基);pは1又は2;Gは、−O−(Lがヒドロキシカルボン酸若しくはラクトンの残基、L
2がジオールの残基、L
3がポリオールの残基若しくはエポキシ開環基のとき)又は−NH−(Lがアミノカルボン酸若しくはラクタムの残基、L
3が有機ポリイソシアネートの残基のとき)[即ち(−E−)
pG−は、エステル結合、アミド結合又はイミド結合]を表す。上記及び以下において、複数個存在する場合の各記号の基は同一でも異なっていてもよい。
エポキシ開環基としては、−CH
2−CH(OH)−CH
2−、及びポリエポキシ開環基、例えば式−CR
4−CR
5−J−(CR
5−CR
4−)
fで表される基が挙げられる[式中、Jはポリエポキシドの残基(エポキシ基が除かれたもの);R
4及びR
5の、一方(例えばR
5)はOHであり、他方(例えばR
4)はHであるか、又はそれら(例えば2個のR
4)が互いに若しくはJと結合して環を形成していてもよい(Jが脂環式ポリエポキシドの残基の場合)]。
【0060】
<アミノ基を有する化合物(b0)>
本発明におけるアミノ基を有する化合物(b0)は、アミノ基を2個以上有し且つ1級アミノ基及び2級アミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を少なくとも1個有するポリアミン化合物並びに水酸基と3級アミノ基とを有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のアミノ基を有する化合物である。
【0061】
アミノ基を2個以上有し且つ1級アミノ基及び2級アミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を少なくとも1個有するポリアミン化合物としては、C2〜69のもの、例えばエチレンジアミン、N−メチル又はN−エチルエチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、N−メチル−、N−エチル−又はN−ブチル−1,3−プロパンジアミン、p−フェニレンジアミン、N−メチル−又はN−エチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジメチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジエチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−、−ジエチル−又は−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン、N,N,N’−トリメチル−1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナンメチレンジアミン、デカンメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,4−ジメチルオクタメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジン等が挙げられる。
水酸基と3級アミノ基を有する化合物としては、C4〜69のもの、例えば2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、m−ジメチルアミノフェノール及びN−メチルジエタノールアミン等が挙げられる。
【0062】
上記(b0)の内、酸変性ポリオレフィン(a)と(b0)の反応性の観点から好ましいのは、アミノ基を2個以上有し且つ1級アミノ基及び2級アミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を少なくとも1個有するポリアミン化合物、更に好ましいのは1級アミノ基及び2級アミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を少なくとも1個と3級アミノ基を少なくとも1個とを有するポリアミン化合物、1級アミノ基及び2級アミノ基をそれぞれ少なくとも1個有するポリアミン化合物及びアミノ基として1級アミノ基のみを2個以上有するポリアミン化合物である。
【0063】
本発明における前記アミノ基を有する化合物(b0)は、後述する接着剤の基材との接着性、水性分散体のポリオレフィン基材への密着性、樹脂改質剤を含有してなる成形品の水濡れ特性の観点から好ましくは下記一般式(1)で表される化合物である。
【0065】
一般式(1)におけるR
1、R
2、R
3及びR
4はそれぞれ独立に炭素数1〜20の1価の炭化水素基又は水素原子である。炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアラルキル基等、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びフェニル基等が挙げられる。
【0066】
R
1、R
2、R
3及びR
4は、接着剤の基材との接着性、水性分散体の分散性安定性、樹脂改質剤の水濡れ特性の観点から炭素数1〜15のもの及び水素原子が好ましく、更に好ましいのは炭素数1〜4のもの及び水素原子である。
【0067】
一般式(1)におけるR
5及びR
6は、それぞれ独立に炭素数2〜20の2価の炭化水素基である。炭素数2〜20の2価の炭化水素基としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基及びアラルキレン基等、例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、シクロヘキレン基及びフェニレン基等が挙げられる。R
5及びR
6は、接着剤の基材との接着性、水性分散体の分散性安定性、樹脂改質剤の水濡れ特性の観点から炭素数2〜15のものが好ましく、更に好ましいのは、炭素数3〜13である。
一般式(1)におけるnは、接着剤の低誘電特性、水性分散体により得られる塗膜のポリオレフィン基材への密着性、樹脂改質剤を含有してなる成形品の機械的強度の観点から好ましくは0〜9の整数であり、更に好ましくは0〜6の整数であり、特に好ましくは0〜3である。
【0068】
(b0)は、接着剤の基材との接着性、水性分散体の分散性安定性、樹脂改質剤の水濡れ特性の観点から、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、3,3’−ジアミノジプロピルアミン、1,2−ジアミノブタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、N,N−ジメチル−1,3プロパンジアミンが好ましく、更に好ましいのは、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、N,N−ジメチル−1,3プロパンジアミンである。
【0069】
<変性ポリオレフィン(Y)>
本発明の変性ポリオレフィン(Y)は、前記酸変性ポリオレフィン(a)と、アミノ基を2個以上有し且つ1級アミノ基及び2級アミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を少なくとも1個有するポリアミン化合物並びに水酸基と3級アミノ基とを有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のアミノ基を有する化合物(b0)とを必須構成単量体とする。
【0070】
変性ポリオレフィン(Y)は、前記酸変性ポリオレフィン(a)及び/又は(a)を(ポリ)アミノカルボン酸及び(ポリ)ヒドロキシカルボン酸(m20)、(m20)の前駆体たるラクタム及びラクトン(m21)並びにカルボキシ反応性のカップリング剤とポリカルボン酸との組合せ(m22)からなる群から選ばれる少なくとも1種で変性したものの中のカルボキシ基又はカルボン酸無水物基と、アミノ基を有する化合物(b0)中の水酸基、1級アミノ基及び2級アミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基とを反応させて変性したものである。
【0071】
酸変性ポリオレフィン(a)のカルボン酸基と(b0)のアミノ基とのモル比(カルボン酸基/アミノ基)は、接着剤の基材への接着性、水性分散体のポリオレフィン基材への密着性、樹脂改質剤を含有してなる成形品の耐衝撃特性の観点から好ましくは1/1.01〜1/5、更に好ましくは1/1.2〜1/4、特に好ましくは1/1.5〜1/3である。
【0072】
また、変性ポリオレフィン(Y)の220℃での溶融粘度は、好ましくは0.1〜20Pa・s、更に好ましくは0.3〜15Pa・s、特に好ましくは0.5〜10Pa・sである。
上記溶融粘度は、例えば、酸変性ポリオレフィン(a)の数平均分子量(Mn)、アイソタクティシティー、ポリオレフィン(A)の種類で、調整できる。
【0073】
得られる変性ポリオレフィン(Y)のアミン価は、接着剤の基材への接着性、水性分散体の分散安定性、樹脂改質剤を含有してなる成形品の水濡れ特性及び接着剤の低誘電特性、水性分散体のポリオレフィン基材への密着性、樹脂改質剤とポリオレィン樹脂との相溶性の観点から好ましくは0.5〜100mgKOH/g、更に好ましくは0.9〜80mgKOH/g、特に好ましくは10〜30mgKOH/gである。
ここにおけるアミン価はJIS K7237:1995に準じて測定される値である。
【0074】
本発明における変性ポリオレフィン(Y)の製造方法は、特に限定されないが、酸変性ポリオレフィン(a)とアミノ基を有する化合物(b0)とを窒素雰囲気下で高温(例えば140〜280℃)、常圧又は減圧(例えば0.1〜760mmHg)で反応させる方法が挙げられる。
【0075】
<接着剤>
本発明の接着剤は、変性ポリオレフィン(Y)を含有してなる。
本発明の接着剤には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要により、変性ポリオレフィン(Y)のアミノ基と反応する種々の硬化剤を含有させることができる。
硬化剤としては、特に限定されず、ナフタレン型エポキシ化合物、グリシジルエーテル型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、脂環型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、ノボラックフェノール型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物等及びこれら2種以上の混合物が挙げられ、好ましくはグリシジルエーテル型エポキシ化合物、脂環型エポキシ化合物が挙げられる。
硬化剤の含有量は、変性ポリオレフィン(Y)の重量に基づいて、添加効果及び接着性の観点から、好ましくは30重量%以下、更に好ましくは0.002〜25重量%、特に好ましくは1〜20重量%である。
【0076】
硬化剤及び後述の添加剤(F1)〜(F13)の間で添加剤が同一で重複する場合は、硬化剤及びそれぞれの添加剤が該当する添加効果を奏する量をそのまま使用するのではなく、硬化剤及び他の添加剤としての効果も同時に得られることをも考慮し、使用目的に応じて使用量を調整するものとする。
【0077】
本発明の接着剤には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要により更に種々の添加剤(F)を含有させることができる。
添加剤(F)としては、粘着性付与剤(F1)、可塑剤(F2)、吸着剤(F3)着色剤(F4)、難燃剤(F5)、充填剤(F6)、滑剤(F7)、核剤(F8)、酸化防止剤(F9)、離型剤(F10)、光安定剤(F11)、香料(F12)及び紫外線吸収剤(F13)からなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0078】
粘着性付与剤(F1)としては、例えばテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、フェノール樹脂、芳香族炭化水素変性テルペン樹脂、ロジン樹脂、変性ロジン樹脂、合成石油樹脂(脂肪族、芳香族又は脂環式合成石油樹脂等)、クマロン−インデン樹脂、キシレン樹脂、スチレン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、及びこれらの内の水素添加可能な不飽和二重結合を有するものの水素添加物等が挙げられる。
【0079】
可塑剤(F2)としては、種々の可塑剤[例えば接着の技術Vol.20,(2),21(2000)等に記載のもの]が使用でき、プロセスオイル(パラフィン、ナフテンもしくは芳香族化合物型);液状樹脂(Mn300〜6,000、例えば液状ポリブテン、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン);該液状樹脂の水素化体;低分子量(Mn300〜10,000)ポリイソブチレン;及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
【0080】
吸着剤(F3)としては、アルミナ、シリカゲル、モレキュラーシーブ等が挙げられる。
【0081】
着色剤(F4)としては、無機顔料[白色顔料、コバルト化合物、鉄化合物、硫化物等]、有機顔料[アゾ顔料、多環式顔料等]、染料[アゾ系、インジゴイド系、硫化系、アリザリン系、アクリジン系、チアゾール系、ニトロ系、アニリン系等]等が挙げられる。
【0082】
難燃剤(F5)としては、ハロゲン含有難燃剤、硫黄含有難燃剤、リン含有難燃剤、金属水酸化物含有難燃剤等が挙げられる。
【0083】
充填剤(F6)としては、例えば無機充填剤(炭化カルシウム、タルク、クレイ等)等が挙げられる。
【0084】
滑剤(F7)としては、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ブチル、オレイン酸アミド等が挙げられる。
【0085】
核剤(F8)としては、ソルビトール、ホスフェート金属塩、安息香酸金属塩、リン酸金属塩等が挙げられる。
【0086】
酸化防止剤(F9)としては、フェノール化合物〔単環フェノール(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等)、ビスフェノール[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等]、多環フェノール[1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等]等〕、硫黄化合物(ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート等)、リン化合物(トリフェニルホスファイト等)等が挙げられる。
【0087】
離型剤(F10)としては、カルボキシ変性シリコーンオイル、ヒドロキシル変性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0088】
光安定剤(F11)としては、ヒンダードアミン化合物[(ビス−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等]等が挙げられる。
【0089】
香料(F12)としては、ジテルペン、リモネン等が挙げられる。
【0090】
紫外線吸収剤(F13)としては、ベンゾトリアゾール[2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等]、ベンゾフェノン[2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等]、サリチレート[フェニルサリチレート等]等が挙げられる。
【0091】
添加剤(F)の合計含有量は、変性ポリオレフィン(Y)の重量に基づいて、添加効果及び接着性の観点から、好ましくは50重量%以下、更に好ましくは0.002〜40重量%、特に好ましくは1〜30重量%である。
【0092】
上記(F1)〜(F13)の間で添加剤が同一で重複する場合は、それぞれの添加剤が該当する添加効果を奏する量をそのまま使用するのではなく、他の添加剤としての効果も同時に得られることをも考慮し、使用目的に応じて使用量を調整するものとする。
【0093】
本発明の接着剤は、必要に応じて後述の有機溶剤に溶解したものを使用しても良いし、適宜、ブロック、ペレット、粉体、シート又はフィルム等所望の形状に成形して使用しても良い。成形にはペレタイザー、粉砕器、押し出し機等が用いられる。本発明の接着剤の使用方法としては特に限定されないが、例えば、該接着剤を有機溶剤に溶解した場合は、被着体に直接塗布し、必要に応じて有機溶剤を揮発させ、該接着剤がブロック又はペレットの形状の場合には、該接着剤を溶融させた後、被着体に塗布して使用される。
【0094】
<被着体>
本発明の接着剤は、被着体を接着させて接着体を得ることができる。
被着体としては、各種プラスチック[ポリオレフィン(ポリエチレン及びポリプロピレン等)、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ABS、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、変性PPO、ポリメチルメタクリレート、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等]、ゴム類[天然ゴム、合成ゴム(クロロプレンゴム、イソプレンゴム、SBR、NBR、ブチルゴム及びEPゴム等)]、多孔質材[木材、紙、布(天然繊維及び合成繊維等の織布又は不織布)及びプラスチックフォーム(ポリオレフィンフォーム及びポリウレタンフォーム等)等]並びに無機質材[金属(銅、鉄、ブリキ、トタン、アルミニウム及び亜鉛鋼板等)、ガラス、瓦スレート及びセラミック等]の基材が挙げられる。
これらのうち、低誘電特性、耐熱性の観点で好ましくはポリオレフィン、ポリイミド、シンジオタクチックポリスチレン、液晶ポリマー基材である。
また、被着体のすくなくとも一方がポリオレフィン基材であることが好ましい。
【0095】
本発明の接着剤を被着体に塗工する方法は特に限定されず、例えばスパイラル塗工、ロール塗工、スロットコート塗工、コントロールシーム塗工及びビード塗工等の公知の塗工方法を用いることができる。塗工装置としては、グラビアコータ、ロールコータ(グラビアロール及びリバースロール等)、リバースコータ、ドクターブレード、バーコータ、コンマコータ、ファウンテンダイコータ、リップコータ、ナイフコータ、カーテンコーター、ビード、スパイラル、スプレー、スロット及び押出機(単軸、二軸押出機及びニーダールーダー)等が挙げられる。
【0096】
<水性分散体>
本発明の水性分散体は、水と、前記変性ポリオレフィン(Y)とを含有してなる。
上記水性分散体は、例えば、以下の方法により製造できる。
【0097】
(1)変性ポリオレフィン(Y)と必要により後述の溶剤を含有してなる溶剤溶液を作成する。次に、水、必要により、溶剤を仕込み、転相乳化し、更に必要により、溶剤を留去して、水性分散体を得る。
(2)変性ポリオレフィン(Y)と必要により後述の溶剤を含有してなる溶剤溶液を作成する。次に、水を加えて、例えば、分散機により分散し、必要により、溶剤を留去して、水性分散体を得る。
製造装置は特に限定されず、混合・分散能力のある装置であれば使用可能であるが、温度調整及び混合・分散能力等の観点から、回転式混合・分散装置を用いることが好ましい。
回転式混合・分散装置としては、例えばマックスブレンドやヘリカル翼等の一般的な攪拌羽を有する混合装置、TKホモミキサー[プライミクス(株)製]、クレアミックス[エムテクニック(株)製]、フィルミックス[プライミクス(株)製]、ウルトラターラックス[IKA(株)製]、エバラマイルダー[荏原製作所(株)製]、キャビトロン(ユーロテック社製)及びバイオミキサー[日本精機(株)製]等が挙げられる。
【0098】
また、上記水性分散体を得る工程において、(Y)、溶剤、水以外に、必要により、公知のアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤を用いてもよい。
【0099】
上記溶剤としては、ケトン系溶剤(例えばアセトン及びメチルエチルケトン)、エステル系溶剤[例えば酢酸エチル及びニ塩基酸エステル(DBE)]、エーテル系溶剤(例えばテトラヒドロフラン)、アミド系溶剤(例えばN,N−ジメチルホルムアミド及びN−メチルピロリドン)、アルコール系溶剤(例えばイソプロピルアルコール)及び芳香族炭化水素系溶剤(例えばトルエン)等の有機溶剤が挙げられる。
また、水性分散体中に、上記溶剤を含有していてもよい。
【0100】
水性分散体の変性ポリオレフィン(Y)の含有量は、水性分散体の取り扱い易さの観点から、好ましくは20〜65重量%、更に好ましくは25〜55重量%である。固形分濃度は、水性分散体約1gをペトリ皿上にうすく伸ばし、精秤した後、循環式定温乾燥機を用いて130℃で、45分間加熱した後の重量を精秤し、加熱前の重量に対する加熱後の残存重量の割合(百分率)を計算することにより得ることができる。
【0101】
また、水性分散体の粘度は、好ましくは10〜100,000mPa・s、更に好ましくは10〜5,000mPa・sである。粘度はBL型粘度計を用いて、25℃の定温下で測定することができる。
【0102】
水性分散体のpHは、好ましくは2〜12、更に好ましくは4〜10である。pHは、pH Meter M−12[(株)堀場製作所製]を用いて、25℃で測定することができる。
【0103】
本発明水性分散体における変性ポリオレフィン(Y)の体積平均粒子径(Dv)は、分散安定性の観点から、好ましくは0.01〜1μm、更に好ましくは0.02〜0.7μm、特に好ましくは0.03〜0.4μmである。
(Dv)が0.01μm以上であると粘度が適正でありハンドリング性が良好であり、1μm以下であると分散安定性が良好である。
【0104】
上記体積平均粒子径(Dv)は、変性ポリオレフィン(Y)中のイオン性極性基及び分散工程で使用する分散機の種類及び運転条件によって制御できる。
【0105】
本発明の水性分散体は、水性塗料組成物、水性接着剤組成物、水性繊維加工処理剤組成物(顔料捺染用バインダー組成物、不織布用バインダー組成物、補強繊維用集束剤組成物、抗菌剤用バインダー組成物及び人工皮革・合成皮革用原料組成物等)、水性コーティング組成物(防水コーティング組成物、撥水コーティング組成物及び防汚コーティング組成物等)、水性紙処理剤組成物や水性インキ組成物等に使用することができるが、とりわけコーティング剤として好適である。
なお、塗膜は、例えば、基材(プラスチックフィルム等)に塗工して、必要により加熱及び/又は養生して得られる。
【0106】
これらの用途に用いる場合には、必要によりその他の樹脂及び添加剤(触媒、顔料、顔料分散剤、粘度調整剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、劣化防止剤、安定化剤及び凍結防止剤等)を1種又は2種以上添加することができる。
【0107】
その他の樹脂としては、例えば本発明における変性ポリオレフィン(Y)以外の水分散性又は水溶性のポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂及びポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0108】
粘度調整剤としては増粘剤、例えば無機系粘度調整剤(ケイ酸ソーダやベントナイト等)、セルロース系粘度調整剤(Mnが20,000以上のメチルセルロール、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシメチルセルロース等)、タンパク質系粘度調整剤(カゼイン、カゼインソーダ及びカゼインアンモニウム等)、アクリル系(Mnが20,000以上のポリアクリル酸ナトリウム及びポリアクリル酸アンモニウム等)及びビニル系粘度調整剤(Mnが20,000以上のポリビニルアルコール等)が挙げられる。
消泡剤としては、長鎖アルコール(オクチルアルコール等)、ソルビタン誘導体(ソルビタンモノオレート等)、シリコーンオイル(ポリメチルシロキサン及びポリエーテル変性シリコーン等)等が挙げられる。
【0109】
防腐剤としては、有機窒素硫黄化合物系防腐剤及び有機硫黄ハロゲン化物系防腐剤等が挙げられる。
劣化防止剤及び安定化剤(紫外線吸収剤及び酸化防止剤等)としてはヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、ヒドラジン系、リン系、ベンゾフェノン系又はベンゾトリアゾール系劣化防止剤及び安定化剤等が挙げられる。
凍結防止剤としては、エチレングリコール及びプロピレングリコール等が挙げられる。 粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、劣化防止剤、安定化剤及び凍結防止剤の含有量は、用いられる用途における前記の各組成物の重量を基準としてそれぞれ好ましくは5重量%以下、更に好ましくは3重量%以下である。
【0110】
<樹脂改質剤>
本発明の樹脂改質剤は、前記変性ポリオレフィン(Y)を含有してなる。樹脂改質剤は、後述するポリオレフィン樹脂用改質剤、とりわけポリオレフィン樹脂の水濡れ性付与剤として好適に用いられる。変性ポリオレフィン(Y)の含有量は、成形品の水濡れ性および成形品の機械的強度の観点から好ましくは、85〜100重量%、更に好ましくは、90〜100重量%、特に好ましくは95〜100重量%である。
【0111】
<ポリオレフィン樹脂>
本発明におけるポリオレフィン樹脂には、前記(A0)高分子量ポリオレフィン、又は高分子量ポリオレフィン(好ましくはMn80,000〜400,000)の減成(熱的、化学的及び機械的減成)法で得られるものが含まれ、例えば、前記例示のエチレン単位含有(プロピレン単位非含有)(共)重合体、プロピレン単位含有(エチレン単位非含有)(共)重合体、エチレン/プロピレン共重合体及びC4以上のオレフィンの(共)重合体等が含まれる。
【0112】
<ポリオレフィン樹脂組成物>
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、前記樹脂用改質剤、ポリオレフィン樹脂を含有してなる。
該樹脂組成物において、樹脂用改質剤、ポリオレフィン樹脂の合計重量に基づく各成分の割合は、樹脂改質剤は、成形品の水濡れ性及び成形品の曲げ特性の観点から好ましくは1〜35重量%、更に好ましくは3〜30重量%、特に好ましくは5〜25重量%;ポリオレフィン樹脂は、成形品の生産性及び機械的強度の観点から好ましくは65〜99重量%、更に好ましくは70〜97重量%、特に好ましくは75〜95重量%である。
【0113】
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で必要により更に種々の添加剤(G)を含有させることができる。
(G)としては、着色剤(G1)、難燃剤(G2)、充填剤(G3)、滑剤(G4)、帯電防止剤(G5)、分散剤(G6)、酸化防止剤(G7)及び紫外線吸収剤(G8)からなる群から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0114】
着色剤(G1)としては顔料及び染料が挙げられる。
顔料としては、無機顔料(アルミナホワイト、グラファイト等);有機顔料( アゾレーキ系等)が挙げられる。
染料としては、アゾ系、アントラキノン系等が挙げられる。
【0115】
難燃剤(G2)としては、有機難燃剤〔含窒素化合物[尿素化合物、グアニジン化合物等の塩等]、含硫黄化合物[硫酸エステル、スルファミン酸、及びそれらの塩、エステル、アミド等]、含珪素化合物[ポリオルガノシロキサン等]、含リン系[リン酸エステル等]等〕;無機難燃剤〔三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ポリリン酸アンモニム等〕等が挙げられる。
【0116】
充填剤(G3)としては、炭酸塩(炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等)、硫酸塩(硫酸アルミニウム等)、亜硫酸塩(亜硫酸カルシウム等)、金属硫化物(二硫化モリブデン等)、珪酸塩(珪酸アルミニウム等)、珪藻土、珪石粉、タルク、シリカ、ゼオライト、木質材料(木粉等)及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0117】
滑剤(G4)としては、ワックス(カルナバロウワックス等)、高級脂肪酸(ステアリン酸等)、高級アルコール(ステアリルアルコール等)、高級脂肪酸アミド(ステアリン酸アミド等)等が挙げられる。
【0118】
帯電防止剤(G5)としては、下記及び米国特許第3,929,678及び4,331,447号明細書に記載の、非イオン性、カチオン性、アニオン性及び両性の界面活性剤が挙げられる。
【0119】
(1)非イオン性界面活性剤
アルキレンオキシド(以下AOと略記)付加型ノニオニックス、例えば疎水性基(C8〜24又はそれ以上)を有する活性水素原子含有化合物[飽和及び不飽和の、高級アルコール(C8〜18)、高級脂肪族アミン(C8〜24)及び高級脂肪酸(C8〜24)等]の(ポリ)オキシアルキレン誘導体(AO付加物及びポリアルキレングリコールの高級脂肪酸モノ−及びジ−エステル);多価アルコール(C3〜60)の高級脂肪酸(C8〜24)エステルの(ポリ)オキシアルキレン誘導体(ツイーン型ノニオニックス等);高級脂肪酸(上記)の(アルカノール)アミドの(ポリ)オキシアルキレン誘導体;多価アルコール(上記)アルキル(C3〜60)エーテルの(ポリ)オキシアルキレン誘導体;及びポリオキシプロピレンポリオール[多価アルコール及びポリアミン(C2〜10)のポリオキシプロピレン誘導体(プルロニック(登録商標)型及びテトロニック型ノニオニックス)];多価アルコール(上記)型ノニオニックス(例えば多価アルコールの脂肪酸エステル、多価アルコールアルキル(C3〜60)エーテル、及び脂肪酸アルカノールアミド);並びに、アミンオキシド型ノニオニックス[例えば(ヒドロキシ)アルキル(C10〜18)ジ(ヒドロキシ)アルキル(C1〜3)アミンオキシド]。
【0120】
(2)カチオン性界面活性剤
第4級アンモニウム塩型カチオニックス[テトラアルキルアンモニウム塩(C11〜100)アルキル(C8〜18)トリメチルアンモニウム塩及びジアルキル(C8〜18)ジメチルアンモニウム塩等];トリアルキルベンジルアンモニウム塩(C17〜80)(ラウリルジメチルベンジルアンモニウム塩等);アルキル(C8〜60)ピリジニウム塩(セチルピリジニウム塩等);(ポリ)オキシアルキレン(C2〜4)トリアルキルアンモニウム塩(C12〜100)(ポリオキシエチレンラウリルジメチルアンモニウム塩等);及びアシル(C8〜18)アミノアルキル(C2〜4)もしくはアシル(C8〜18)オキシアルキル(C2〜4)トリ[(ヒドロキシ)アルキル(C1〜4)]アンモニウム塩(サパミン型4 級アンモニウム塩)[これらの塩には、例えばハライド(クロライド、ブロマイド等)、アルキルサルフェート(メトサルフェート等)及び有機酸(下記)の塩が含まれる];並びにアミン塩型カチオニックス:1〜3級アミン〔例えば高級脂肪族アミン(C12〜60)、脂肪族アミン(メチルアミン、ジエチルアミン等)のポリオキシアルキレン誘導体[エチレンオキシド(以下EOと略記)付加物等]、及びアシルアミノアルキルもしくはアシルオキシアルキル(上記)ジ(ヒドロキシ)アルキル(上記)アミン(ステアロイロキシエチルジヒドロキシエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン等)〕の、無機酸(塩酸、硫酸、硝酸及びリン酸等)塩及び有機酸(C2〜22)塩。
【0121】
(3)アニオン性界面活性剤
高級脂肪酸(上記)塩(ラウリル酸ナトリウム等)、エーテルカルボン酸[EO(1〜10モル)付加物のカルボキシメチル化物等]、及びそれらの塩; 硫酸エステル塩(アルキル及びアルキルエーテルサルフェート等)、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル及び硫酸化オレフィン;スルホン酸塩[アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸ジアルキルエステル型、α−オレフィン(C12〜18)スルホン酸塩、N−アシル−N−メチルタウリン(イゲポンT型等)等];並びにリン酸エステル塩等(アルキル、アルキルエーテル及びアルキルフェニルエーテルホスフェート等)。
【0122】
(4)両性界面活性剤:
カルボン酸(塩)型アンフォテリックス[アミノ酸型アンフォテリックス(ラウリルアミノプロピオン酸(塩)等)、及びベタイン型アンフォテリックス(アルキルジメチルベタイン、アルキルジヒドロキシエチルベタイン等)等];硫酸エステル(塩)型アンフォテリックス[ラウリルアミンの硫酸エステル(塩)、ヒドロキシエチルイミダゾリン硫酸エステル(塩)等];スルホン酸(塩)型アンフォテリックス[ペンタデシルスルホタウリン、イミダゾリンスルホン酸(塩)等];並びにリン酸エステル(塩)型アンフォテリックス等[グリセリンラウリル酸エステルのリン酸エステル(塩)等]。
【0123】
上記のアニオン性及び両性界面活性剤における塩には、金属塩、例えばアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)及びIIB族金属(亜鉛等)の塩;アンモニウム塩;並びにアミン塩及び4 級アンモニウム塩が含まれる。
【0124】
分散剤(G6)としては、Mn1,000〜20,000のポリマー、例えばビニル樹脂〔ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、変性ポリオレフィン[酸化ポリエチレン(ポリエチレンをオゾン等で酸化し、カルボキシ基、カルボニル基及び/又は水酸基等を導入したもの)等]、及び上記ポリオレフィン以外のビニル樹脂〔ポリハロゲン化ビニル[ポリ塩化ビニル、ポリ臭化ビニル等]、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメチルビニルエーテル、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル[ポリ(メタ)アクリル酸メチル等]及びスチレン樹脂[ポリスチレン、アクリロニトリル/スチレン(AS)樹脂等〕等〕;ポリエステル樹脂[ポリエチレンテレフタレート等]、ポリアミド樹脂[6,6−ナイロン、12−ナイロン等]、ポリエーテル樹脂[ポリエーテルサルフォン等]、ポリカーボネート樹脂[ビスフェノールAとホスゲンの重縮合物等]、及びそれらのブロック共重合体等が挙げられる。
【0125】
酸化防止剤(G7)としては、ヒンダードフェノール化合物[p−t−アミルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、ノルジヒドログアヤレチック酸(NDGA)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール(BHA)、6−t−ブチル−2,4,−ジメチルフェノール(24M6B)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール(26B)等];含イオウ化合物[N,N’−ジフェニルチオウレア、ジミリスチルチオジプロピオネート等];含リン化合物[2−t−ブチル− α−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルビス(p−ノニルフェニル)ホスファイト、ジオクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルホスホネート等]等が挙げられる。
【0126】
紫外線吸収剤(G8)としては、サリチレート化合物[フェニルサリチレート等];ベンゾフェノン化合物[2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等];ベンゾトリアゾール化合物[2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール等] 等が挙げられる。
【0127】
ポリオレフィン樹脂組成物中の(G)全体の含有量は、該組成物の全重量に基づいて、一般的に20重量%以下、各(G)の機能発現及び工業上の観点から好ましくは0.05〜10重量%、更に好ましくは0.1〜5重量%である。
該組成物の全重量に基づく各添加剤の使用量は、(G1)は好ましくは5%以下、更に好ましくは0.1〜3重量%;(G2)は好ましくは8重量%以下、更に好ましくは1〜3重量%;(G3)は好ましくは5重量%以下、更に好ましくは0.1〜1重量%;(G4)は好ましくは8重量%以下、更に好ましくは1〜5重量%;(G5)は好ましくは8重量%以下、更に好ましくは1〜3重量%;(G6)は好ましくは1重量%以下、更に好ましくは0.1〜0.5重量%;(G7)は好ましくは2重量%以下、更に好ましくは0.05〜0.5重量%;(G8)は好ましくは2重量%以下、更に好ましくは0.05〜0.5重量%である。
【0128】
上記(G1)〜(G8)の間で添加剤が同一で重複する場合は、それぞれの添加剤が該当する添加効果を奏する量をそのまま使用するのではなく、他の添加剤としての効果も同時に得られることをも考慮し、使用目的に応じて使用量を調整するものとする。
【0129】
本発明のポリオレフィン樹脂組成物の製造方法としては、(1)前記樹脂改質剤、ポリオレフィン樹脂、及び必要により(G)を一括混合してポリオレフィン樹脂組成物とする方法(一括法);(2)ポリオレフィン樹脂の一部、樹脂改質剤の全量、及び必要により(G)の一部もしくは全量を混合して高濃度の樹脂改質剤を含有するマスターバッチポリオレフィン樹脂組成物を一旦作成し、その後残りのポリオレフィン樹脂及び必要により(G)の残りを加えて混合してポリオレフィン樹脂組成物とする方法(マスターバッチ法)が含まれる。樹脂改質剤の混合効率の観点から好ましいのは(2)の方法である。
【0130】
前記のポリオレフィン樹脂組成物の製造方法における具体的な混合方法としては、
(i)混合する各成分を、例えば粉体混合機〔「ヘンシェルミキサー」[商品名「ヘンシェルミキサーFM150L/B」、三井鉱山(株)、社名変更後は日本コークス工業(株)製]、「ナウターミキサー」[ 商品名「ナウターミキサーDBX3000RX」、ホソカワミクロン(株)製]、「バンバリーミキサー」[商品名「MIXTRON BB−16MIXER」、(株)神戸製鋼所製]等〕で混合した後、溶融混練装置[バッチ混練機、連続混練機(単軸混練機、二軸混練機等)等]を使用して一般的に120〜220℃で2〜30分間混練する方法;
(ii)混合する各成分をあらかじめ粉体混合することなく、上記と同様の溶融混練装置を使用して同様の条件で直接混練する方法が挙げられる。
これらの方法のうち混合効率の観点から(i)の方法が好ましい。
【0131】
本発明のポリオレフィン組成物は、後述の成形品は機械的強度(耐衝撃特性)に優れる。該成形品の機械的強度は後述の耐衝撃性及び曲げ弾性率等により評価できる。
【0132】
<成形品、成形物品>
本発明の成形品は、前記ポリオレフィン樹脂組成物を成形してなる。
成形方法としては、射出成形、圧縮成形、カレンダ成形、スラッシュ成形、回転成形、押出成形、ブロー成形、フィルム成形(キャスト法、テンター法、インフレーション法等) 等が挙げられ、目的に応じて単層成形、多層成形あるいは発泡成形等の手段も取り入れた任意の方法で成形できる。成形品の形態としては、板状、シート状、フィルム、織物、繊維(不織布等も含む)等が挙げられる。
【0133】
本発明の成形品は、優れた機械的強度を有すると共に、良好な塗装性及び印刷性を有し、成形品に塗装及び/又は印刷を施すことにより成形物品が得られる。
該成形品を塗装する方法としては、例えばエアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、静電スプレー塗装、浸漬塗装、ローラー塗装、刷毛塗り等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
塗料としては、例えば、ポリエステルメラミン樹脂塗料、エポキシメラミン樹脂塗料、アクリルメラミン樹脂塗料、アクリルウレタン樹脂塗料等のプラスチックの塗装に一般に用いられる塗料が挙げられ、これらのいわゆる極性の比較的高い塗料でも、また極性の低い塗料(オレフィン系等)でも使用することができる。
塗装膜厚(乾燥膜厚)は、目的に応じて適宜選択することができるが一般的に10〜50μmである。
【0134】
また、該成形品又は成形品に塗装を施した上に更に印刷する方法としては、一般的にプラスチックの印刷に用いられている印刷法であればいずれも用いることができ、例えばグラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、ドライオフセット印刷及びオフセット印刷等が挙げられる。
印刷インキとしてはプラスチックの印刷に一般的に用いられるもの、例えばグラビアインキ、フレキソインキ、スクリーンインキ、パッドインキ、ドライオフセットインキ及びオフセットインキが使用できる。
【実施例】
【0135】
以下実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0136】
<製造例1>
反応容器に、プロピレン85重量%及びエチレン15重量%を構成単量体として含む高分子量ポリオレフィン(A0−1)[商品名「Vistamaxx6202」、Exxonmobil社製、Mn76,000]1000重量部を仕込み、液相に窒素通気しながら、マントルヒーターにて加熱溶融し、撹拌しながら375℃で40分間の条件で、熱減成を行い、炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A−1)を得た。
炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A−1)のMnは6,000、炭素1,000個当たりの分子鎖中の二重結合数は3.0個、アイソタクティシティーは20%であった。
【0137】
<製造例2〜4>
製造例1における熱減成条件について表1にしたがった以外は、製造例1と同様に行い、炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A−2)〜(A−4)を得た。
【0138】
<製造例5>
製造例1において、高分子量ポリオレフィン(A0−1)1000重量部をプロピレン94重量%及びエチレン9重量%を構成単量体として含むポリオレフィン(A0−2)[商品名「Vistamaxx3980」、Exxonmobil社製、Mn113,000]1000重量部に変更し、熱減成条件について表1にしたがった以外は、製造例1と同様に行い、炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A−5)を得た。
【0139】
<製造例6>
製造例1において、高分子量ポリオレフィン(A0−1)1000重量部をプロピレン73重量部%及びエチレン27重量部%を構成単量体として含むポリオレフィン(A0−3)[商品名「タフマーS4030」、三井化学(株)製、Mn200,000]1000重量部に変更し、熱減成条件について表1にしたがった以外は、製造例1と同様に行い、炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A−6)を得た。
【0140】
<比較製造例1>
製造例1において、高分子量ポリオレフィン(A0−1)1000重量部をプロピレン98重量%及びエチレン2重量%を構成単量体として含むポリオレフィン(比A0−1)[商品名「サンアロマーPMA20V」、サンアロマー(株)製、Mn100,000]1000重量部に変更し、熱減成条件について表1にしたがった以外は、製造例1と同様に行い、ポリオレフィン(比A−1)を得た。
【0141】
<比較製造例2>
高分子量ポリオレフィン(比A−2)として、プロピレン98重量%及びエチレン2重量%を構成単量体として含むポリオレフィン(比A0−1)をそのまま用いた。
【0142】
<比較製造例3>
製造例1において、高分子量ポリオレフィン(A0−1)1000重量部をプロピレン及びエチレンを構成単量体として含むメタロセン触媒を使用した高分子量ポリオレフィン(比A0−2)[商品名「ウィンテックWFX6」、日本ポリプロ(株)製、Mn150,000]1000重量部に変更し、熱減成条件について表1にしたがった以外は、製造例1と同様に行い、ポリオレフィン(比A−3)を得た。
【0143】
<比較製造例4>
製造例1において高分子量ポリオレフィン(A0−1)1000重量部をエチレン100重量%を構成単量体として含む高分子量ポリエチレン(比A0−3)[商品名「ノバテックLD LJ902」、日本ポリエチレン(株)製、Mn110,000]1000重量部に変更し、熱減成条件について表1にしたがった以外は、製造例1と同様に行い、ポリオレフィン(比A−4)を得た。
【0144】
上記で得られた各炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A)のMn、炭素1,000個当たりの二重結合数、アイソタクティシティーの測定結果を表1に示す。
【0145】
【表1】
【0146】
<製造例7>
反応容器に炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A−1)100重量部、無水マレイン酸(B−1)5重量部を仕込み、窒素置換後、窒素通気下に180℃まで加熱昇温して均一に溶解させた。ここにラジカル開始剤[ジクミルパーオキサイド、商品名「パークミルD」、日油(株)製](D−1)1.3重量部をキシレン5重量部に溶解させた溶液を5分間で滴下した後、キシレン還流下1時間撹拌を続けた。その後、減圧下(1.5kPa)で未反応の無水マレイン酸0.6重量部を留去して、酸変性ポリオレフィン(a−1)を得た。
なお、表2に記載の無水マレイン酸の配合量は仕込みから留去した量を差し引いた量である。また、(a−1)の酸価は24、Mnは13,000、アイソタクティシティーは20%であった。
【0147】
<製造例8>
反応容器に炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A−1)100重量部と無水マレイン酸(B−1)1.8重量部を仕込み、窒素通気下、200℃まで加熱昇温して10時間撹拌を続けた。その後、減圧下(1.5kPa)で未反応の無水マレイン酸を留去して、酸変性ポリオレフィン(a−2)を得た。
なお、表2に記載の無水マレイン酸の配合量は仕込みから留去した量を差し引いた量である。また、(a−2)の酸価は7、Mnは6,100、アイソタクティシティーは20%であった。
【0148】
<製造例9〜14、比較製造例5〜6>
製造例7において、使用原料(重量部)について表2にしたがった以外は、製造例7と同様に行い、各酸変性ポリオレフィン(a)を得た。
【0149】
<製造例15〜17、比較製造例7〜8>
製造例8において、使用原料(重量部)について表2にしたがった以外は、製造例8と同様に行い、各酸変性ポリオレフィン(a)を得た。
【0150】
上記で得られた各酸変性ポリオレフィン(a)の性状の結果を表2に示す。
【0151】
【表2】
【0152】
<実施例1>
反応容器に酸変性ポリオレフィン(a−1)100重量部、アミノカルボン酸(m20)として6−アミノヘキサン酸(m20−1)を10重量部、アミノ基を有する化合物(b0)としてN,N−ジメチル−1,3プロパンジアミン(b0−4)4.4部を窒素雰囲気下で仕込み、220℃、常圧、8時間反応した後、反応によって生成する水を減圧(1.0kPa)下で、3時間かけて留去し、変性ポリオレフィン(Y−1)(アミン価:21、220℃溶融粘度:3.1Pa・s)を得た。
【0153】
<実施例2>
反応容器に酸変性ポリオレフィン(a−2)100重量部、12−アミノドデカン酸(m20−2)を10重量部、ラクタム(m21)としてε−カプロラクタム(m21−1)18部、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(b0−3)2.8部を窒素雰囲気下で仕込み、220℃、加圧(2.0MPa)下で、8時間反応した後、未反応のε−カプロラクタム(m21−1)、未反応のビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(b0−3)及び反応によって生成する水を減圧(1.0kPa)下で、3時間かけて留去し、変性ポリオレフィン(Y−2)(アミン価:5.4、220℃溶融粘度:1.9Pa・s)を得た。
なお、表3に記載のε−カプロラクタム(m21−1)及びビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(b0−3)の配合量は仕込みから留去した量を差し引いた量である。また、表3に記載の配合量については以下の実施例についても同様である。
【0154】
<実施例3〜5、7〜17、比較例1、2、4>
実施例1において、使用原料(重量部)について表3に従った以外は、実施例1と同様に行い、各変性ポリオレフィン(Y)を得た。
【0155】
<実施例6、比較例3>
実施例2において、使用原料(重量部)について表3に従った以外は、実施例2と同様に行い、各変性ポリオレフィン(Y)を得た。
【0156】
上記で得られた各変性ポリオレフィン(Y)の性状の結果を表3に示す。
【0157】
【表3】
【0158】
<実施例18>
反応容器に変性ポリオレフィン(Y−2)100重量部、メチルシクロヘキサン240重量部を窒素雰囲気下で仕込み、80℃、常圧下で、1時間、(Y−2)を溶解させた後、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(エポキシ樹脂、商品名「デナコールEX−321L」、ナガセケムテックス社製)1.5重量部を25℃、常圧下で混合することで、変性ポリオレフィン(Y−2)を含有してなる接着剤を得た。
【0159】
<実施例19〜31、比較例5〜7>
実施例18において、使用原料(重量部)について表4に従った以外は、実施例18と同様に行い、各変性ポリオレフィン(Y)を含有してなる接着剤を得た。
【0160】
<評価方法>
<1>接着力(単位:kg/25mm)
評価する接着剤を各々、厚さ25μmのポリイミドフィルムに乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、循風乾燥機を用いて130℃で10分乾燥した。その後、OPPシート(二軸延伸ポリプロピレン、厚さ30μm)を加熱プレス機を用いて、温度80℃、プレス圧98kPa、時間30秒の条件で貼り合わせた
。次いで、140℃で6時間熱硬化処理し、被着体を得た。23℃、50%RH雰囲気下で24時間放置後、23℃雰囲気下でT型剥離強度を測定し、接着力とした。
上記の接着力は、JIS K6854−1999に準じオートグラフを用いて、引張強度50mm/minの条件で測定した。接着力は、以下の評価基準で評価した。
【0161】
<評価基準>
◎:2.0を超える
○:1.7を超え、2.0以下
△:1.5を超え、1.7以下
×:1.5以下
【0162】
<2>誘電率及び誘電正接
各接着剤を厚さ50μmの離型フィルムに、乾燥後の厚みが100μmとなるように塗布し、130℃で10分乾燥後に、150℃で3時間熱硬化処理をして、離型フィルムから剥がして接着剤を剥がした。得られた熱硬化後の接着剤をJIS C2138−2007に準じてLCRメータを用いて測定を行った。誘電率及び誘電正接は、以下の評価基準で評価した。
【0163】
<評価基準>
・誘電率
◎:2.5以下
○:2.5を超え、3.0以下
△:3.0を超え、3.5以下
×:3.5を超える
・誘電正接
◎:0.005以下
○:0.005を超え0.01以下
△:0.01を超え0.03以下
×:0.03を超える
【0164】
【表4】
【0165】
表4から明らかなように、本発明の接着剤は、比較の接着剤と比べて、ポリオレフィン基材への接着力及び低誘電特性に優れることがわかる。
【0166】
<実施例32>
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置に、窒素雰囲気下、変性ポリオレフィン(Y−4)100重量部、有機溶剤[THF、テトラヒドロフラン]250重量部を仕込み、80℃、1時間、攪拌して変性ポリオレフィン(Y−4)を有機溶剤に溶解させた後、撹拌下、イオン交換水233重量部を徐々に添加することで、乳化した。その後、減圧(10kPa)下に65℃で12時間かけてTHFを留去し、水性分散体を得た。
【0167】
<実施例33〜35、比較例8>
実施例32において、使用原料(重量部)を表5にしたがった以外は、実施例32と同様にして、各水性分散体を得た。
【0168】
得られた各水性分散体を、後述の手順で評価を行った。結果を表5に示す。
【0169】
なお、体積平均粒子径(Dv)は、レーザー回折式粒度分布測定器「LA−750」[(株)堀場製作所製]を用いて、測定を行った。
【0170】
<1>密着性
表面処理ポリプロピレンフィルム(OPP)[東洋紡績株式会社製「パイレンP−2161」(厚さ30μm)]、表面処理ポリエステルフィルム(PET)[東洋紡績株式会社製「エスペットE−5102」(厚さ12μm)]及び表面処理ナイロンフィルム[東洋紡績株式会社製「ハーデンN−1130」(厚さ15μm)]に樹脂水分散体を乾燥後のフィルム膜厚が50μmの厚さになるように塗布(コーティング)し、120℃、50%RHの雰囲気下で3時間乾燥させた後、温度5℃(±2℃)、相対湿度10%(±10%)の条件下で養生し、温度5℃(±2℃)、相対湿度10%(±10%)の条件にて碁盤目セロハンテープ(登録商標)剥離試験を行い、基材に対する密着性を評価した。
温度、湿度以外の条件はJIS K5600−5−6に準拠し、セロハンテープ(登録商標)(ニチバン(株)製)を使用し、以下の評価基準で評価した。
【0171】
<評価基準>
◎:剥がれなかったマス目が100個
○:剥がれなかったマス目が90〜99個
×:剥がれなかったマス目が90個未満
【0172】
<2>水性分散体の貯蔵安定性(40℃、高温)
水性分散体30gを、スクリュー菅瓶[50mL(胴径35mm×高さ78mm)]に入れて、40℃×7日間貯蔵した。貯蔵前後の体積平均粒子径(Dv)(単位:μm)の測定結果から、下記の算出式により(40℃での貯蔵安定性)を求め、以下の評価基準で評価した。
(40℃での貯蔵安定性)(%)=
(貯蔵後の体積平均粒子径)×100/(貯蔵前の体積平均粒子径)
【0173】
<評価基準>
○:150%未満
×:150%以上
【0174】
<2>水性分散体の貯蔵安定性(10℃、低温)
水性分散体30gを、スクリュー菅瓶[50mL(胴径35mm×高さ78mm)]に入れて、10℃×7日間貯蔵した。貯蔵前後の体積平均粒子径(Dv)(単位:μm)の測定結果から、下記の算出式により(5℃での貯蔵安定性)を求め、以下の評価基準で評価した。
(10℃での貯蔵安定性)(%)=
(貯蔵後の体積平均粒径)×100/(貯蔵前の体積平均粒径)
【0175】
<評価基準>
○:150%未満
×:150%以上
【0176】
【表5】
【0177】
表5の結果から、本発明の水性分散体は、比較の水性分散体と比べて、基材密着性、さらに貯蔵安定性(高温、低温)に優れることがわかる。
【0178】
<実施例36>
樹脂改質剤として上記で得られた変性ポリオレフィン(Y−1)15重量部と、ポリオレフィン樹脂(E−1)85重量部とを用いて、2軸押出機にて、220℃、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練してポリオレフィン樹脂組成物を得た。樹脂組成物について射出成形機[商品名「PS40E5ASE」、日精樹脂工業(株)]を用い、シリンダー温度220℃、金型温度50℃で成形し、所定の試験片(成形物)を作製後、以下の試験方法により、耐衝撃性、曲げ弾性率、濡れ性及び濡れ性の持続性を測定した。結果を表6に示す。
<実施例37〜43、比較例9〜13>
実施例36において、樹脂改質剤として各変性ポリオレフィン(Y)を使用して、表6の使用原料(重量部)にしたがった以外は、実施例36と同様にして、ポリオレフィン樹脂組成物を得て、所定の試験片(成形物)を作製後、各測定を行った。結果を表6に示す。
【0179】
<使用原料>
[ポリオレフィン樹脂(E)]
(E−1):市販のポリプロピレン[商品名「サンアロマーPL500A」、サンアロマー(株)製、Mn100,000]
(E−2):市販のポリエチレン[商品名「ノバテックHJ490」、日本ポリエチレン(株)製、Mn300,000]
(E−3):市販のエチレン/プロピレン共重合体[商品名「サンアロマーPB222A」、サンアロマー(株)製、Mn350,000]
【0180】
<試験方法>
(1)耐衝撃性(単位:kJ/m
2)
JIS K7110に準拠して測定した。
(2)曲げ弾性率(単位:MPa)
ASTM D790に準拠して測定した。
(3)濡れ性(単位:°)
濡れ性の評価をJIS R2367に準拠して水接触角の測定を行った。水接触角が小であるほど濡れ性が良好であることを示す。
(4)濡れ性の持続性(単位:°)
前記試験片を水に浸した綿布で表面を洗った後、減圧乾燥(1kPa、80℃、1時間)した。この試験片を温調(23℃、50%RH、24時間)し、上記(3)と同様に水接触角を測定した。
【0181】
【表6】
【0182】
表6の結果から、本発明の樹脂改質剤は、比較のものと比べて、本来の機械的強度を損なうことなくポリオレフィン樹脂基材に水に対する優れた濡れ性を付与し、該樹脂改質剤を含有してなる樹脂組成物を成形してなる成形品は、水に対する優れた濡れ性を有し、その持続性に優れることがわかる。