【解決手段】ノニオン性界面活性剤(A)[但し、脂肪酸アミド(B3)を除く]と、リン酸エステル塩(B1)、脂肪酸塩(B2)及び脂肪酸アミド(B3)からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(B)とを含有する経血透過性付与剤であって、前記ノニオン性界面活性剤(A)が、炭素数6〜24のアルキル基及び/又は炭素数6〜24のアルケニル基並びにエステル結合を有し、前記ノニオン性界面活性剤(A)のHLB値が、7〜11であり、前記界面活性剤(B)が、炭素数6〜24のアルキル基及び/又は炭素数6〜24のアルケニル基を有する経血透過性付与剤。
ノニオン性界面活性剤(A)[但し、脂肪酸アミド(B3)を除く]と、リン酸エステル塩(B1)、脂肪酸塩(B2)及び脂肪酸アミド(B3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(B)とを含有する経血透過性付与剤であって、
前記ノニオン性界面活性剤(A)が、炭素数6〜24のアルキル基及び/又は炭素数6〜24のアルケニル基並びにエステル結合を有し、
前記ノニオン性界面活性剤(A)のHLB値が、7〜11であり、
前記界面活性剤(B)が、炭素数6〜24のアルキル基及び/又は炭素数6〜24のアルケニル基を有する経血透過性付与剤。
前記ノニオン性界面活性剤(A)の重量Waと、前記界面活性剤(B)の重量Wbとの比率[Wa/Wb]が、0.1〜200である請求項1に記載の経血透過性付与剤。
請求項1〜3のいずれか1項に記載の経血透過性付与剤が疎水性繊維に付着した繊維であって、前記経血透過性付与剤の不揮発性成分の重量割合が、前記疎水性繊維の重量に基づいて、0.1〜20重量%である繊維。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の経血透過性付与剤は、ノニオン性界面活性剤(A)[但し、脂肪酸アミド(B3)を除く]と、リン酸エステル塩(B1)、脂肪酸塩(B2)及び脂肪酸アミド(B3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(B)とを含有する。
【0008】
前記ノニオン性界面活性剤(A)は、炭素数6〜24のアルキル基及び/又は炭素数6〜24のアルケニル基並びにエステル結合を有する。ノニオン界面活性剤(A)は、以下において「界面活性剤(A)」ともいう。
炭素数6〜24のアルキル基としては、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、セチル基、ステアリル基、イコシル基、ドコシル基及びテトラコシル基等が挙げられる。これらのアルキル基は直鎖であっても分岐を有していてもよい。
また、炭素数6〜24のアルケニル基としては、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基、ペンタデセニル基、オクタデセニル基及びイコセニル基等が挙げられる。これらのアルケニル基は直鎖であっても分岐を有していてもよい。
【0009】
前記ノニオン性界面活性剤(A)として好ましいものとしては、多価アルコールと脂肪酸とのエステルのアルキレンオキサイド付加物(A1)、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸とのエステル(A2)、ポリオキシアルキレングリコールのエステル(A3)及び多価アルコールと脂肪酸とのモノエステル(A4)等が挙げられる。
前記ノニオン性界面活性剤(A)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0010】
多価アルコールと脂肪酸とのエステルのアルキレンオキサイド付加物(A1)[(A1)の化合物]を構成する多価アルコールの具体例として、炭素数3〜6の脂肪族多価(3〜6価)アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール及びソルビタン等)が挙げられる。
(A1)の化合物を構成する脂肪酸の具体例として、炭素数8〜24の脂肪族カルボン酸[脂肪族飽和カルボン酸(カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びイソステアリン酸等)、脂肪族不飽和カルボン酸(オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸、ひまし油脂肪酸及び硬化ひまし油脂肪酸等)]が挙げられる。
(A1)の化合物を構成するアルキレンオキサイドとしては、炭素数2〜4のアルキレンオキサイド(以下、AOと略記)等が挙げられる。炭素数2〜4のAOとしては、エチレンオキサイド(以下、EOと略記)、1,2−又は1,3−プロピレンオキサイド(以下、POと略記)及び1,2−、1,3−、1,4−又は2,3−ブチレンオキサイド(以下、BOと略記)等が挙げられる。AOは、1種または2種以上の併用であってもよい。なお、2種以上のAOを併用する場合は、ブロック付加でもランダム付加でもよい。
(A1)の化合物としては炭素数3〜6の脂肪族多価アルコールと炭素数8〜24の脂肪族カルボン酸とのエステルのAO付加物が挙げられる。(A1)の化合物の具体例としては、グリセリンのジ菜種油脂肪酸エステルのEO20モル付加物、トリメチロールプロパンジオレイン酸エステルのEO20モル付加物、ソルビタントリオレイン酸エステルのEO20モル付加物、及びヒマシ油(グリセリンと脂肪族カルボン酸とのエステル)のEO10モル付加物等が挙げられる。
これらの内、経血透過性向上の観点から好ましいのは、ソルビタントリオレイン酸エステルのEO20モル付加物及びヒマシ油のEO10モル付加物である。
【0011】
多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸とのエステル(A2)[(A2)の化合物]を構成する多価アルコールの具体例としては、炭素数3〜6の脂肪族多価(3〜6価)アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール及びソルビタン等)が挙げられる。
(A2)の化合物を構成するアルキレンオキサイドの具体例として、炭素数2〜4のAO(EO、PO及びBO等)等が挙げられる。AOは、1種または2種以上の併用であってもよい。なお、2種以上のAOを併用する場合は、ブロック付加でもランダム付加でもよい。
(A2)の化合物を構成する脂肪酸としては、炭素数8〜24の脂肪族カルボン酸[脂肪族飽和カルボン酸(カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びイソステアリン酸等)、脂肪族不飽和カルボン酸(オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸、ひまし油脂肪酸及び硬化ひまし油脂肪酸等)等]が挙げられる。
(A2)の化合物としては、炭素数3〜6の脂肪族多価アルコールのAO付加物と炭素数8〜24の脂肪族カルボン酸とのエステル等が挙げられる。(A2)の化合物の具体例としては、グリセリンEO20モル付加物のジ菜種油脂肪酸エステル、トリメチロールプロパンEO20モル付加物のジオレイン酸エステル、及びソルビタンEO20モル付加物のトリオレイン酸エステルが挙げられる。
【0012】
ポリオキシアルキレングリコールのエステル(A3)としては、ポリオキシアルキレングリコールと脂肪酸とのモノまたはジエステル(A3−1)[(A3−1)の化合物]等が挙げられる。
(A3−1)の化合物を構成するオキシアルキレン基の具体例として、炭素数2〜4のオキシアルキレン基(オキシエチレン基、1,2−又は1,3−オキシプロピレン基及び1,2−、1,3−、1,4−又は2,3−オキシブチレン基等)等が挙げられる。オキシアルキレン基は、1種または2種以上の併用であってもよい。なお、2種以上のオキシアルキレン基を併用する場合は、ブロック付加でもランダム付加でもよい。
(A3−1)の化合物を構成する脂肪酸の具体例として、炭素数8〜24の脂肪族カルボン酸[脂肪族飽和カルボン酸(カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びイソステアリン酸等)、脂肪族不飽和カルボン酸(オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸等)、動植物油(ヤシ油、パーム油、ひまし油、硬化ひまし油、牛脂、硬化牛脂及び豚脂等)脂肪酸等]が挙げられる。
(A3−1)の化合物としては、ポリオキシアルキレングリコールと炭素数8〜24の脂肪族カルボン酸との(モノまたはジ)エステル等が挙げられる。これらのうち、経血透過性向上の観点から好ましいのは、ポリオキシエチレングリコール(オキシエチレン基の繰り返し数が5〜9のもの等)のモノまたはジオレイン酸エステルである。
【0013】
多価アルコールと脂肪酸とのモノエステル(A4)[(A4)の化合物]において、当該(A4)の化合物を構成する多価アルコールの具体例としては、炭素数3〜6の脂肪族多価(3〜6価)アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール及びソルビタン等)が挙げられる。
(A4)の化合物を構成する脂肪酸の具体例として、炭素数8〜24の脂肪族カルボン酸[脂肪族飽和カルボン酸(カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びイソステアリン酸等)、脂肪族不飽和カルボン酸(オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸、ひまし油脂肪酸及び硬化ひまし油脂肪酸等)等]が挙げられる。
(A4)の化合物としては炭素数3〜6の脂肪族多価アルコールと炭素数8〜24の脂肪族カルボン酸とのモノエステル等が挙げられる。これらの内、経血透過性向上の観点から好ましいのは、ソルビタンのモノオレイン酸エステル(ソルビタンモノオレート)である。
【0014】
本発明における界面活性剤(A)の化学式量又は数平均分子量(Mn)は、経血透過性の観点から、200〜2000であることが好ましく、250〜1000であることが更に好ましい。
本発明において数平均分子量(Mn)は、下記の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)等により、測定することができる。
装置:HLC−8220GPC[東ソー(株)製]
GPCカラム
ガードカラム:TSKguardcolumn SuperH−L(4.6mmI.D.×15cm)
分離カラム:TSKgel SuperH2000(6mmI.D.×15cm)+TSKgel SuperH3000(6mmI.D.×15cm)+TSKgel SuperH4000(6mmI.D.×15cm)
検出器:RI検出器
流動媒体:テトラヒドロフラン
流速:0.6ml/min
カラム温度:40℃
サンプル濃度:0.25重量%
サンプル注入量:10μl
【0015】
本発明における界面活性剤(A)のHLB値は、経血透過性の観点から、7〜11であり、7.5〜10.5であることが好ましく、8〜10であることがより好ましい。
なお、界面活性剤(A)のHLB値とは、親水性と親油性のバランスを示す指標であって、例えば「界面活性剤入門」〔2007年三洋化成工業株式会社発行、藤本武彦著〕212頁に記載されている小田法によって、有機化合物の有機性の値と無機性の値との比率から計算することができる。
HLB=10×無機性/有機性
HLBを導き出すための有機性の値及び無機性の値については前記「界面活性剤入門」213頁に記載の表の値を用いて算出できる。
【0016】
界面活性剤(A)として二種類以上の化合物を用いる場合、界面活性剤(A)のHLB値は加重平均により算出することができる。例えば、界面活性剤(A)として、HLB値がh1の化合物(Ax)をM1重量部とHLB値がh2の化合物(Ay)をM2重量部とを組み合わせて用いる場合、界面活性剤(A)のHLB値は下記式により算出できる。
界面活性剤(A)のHLB値=
(h1×M1+h2×M2)/(M1+M2)
【0017】
本発明の経血透過性付与剤が含有する界面活性剤(A)の重量割合は、経血透過性の観点から、経血透過性付与剤中の不揮発性成分の重量に基づいて、好ましくは9〜99.5重量%であり、更に好ましくは16〜95であり、特に好ましくは33〜90重量%である。
なお、本発明における不揮発性成分とは、試料1gをガラス製シャーレ中で蓋をせず、130℃45分間循風乾燥機で加熱乾燥した後の残渣である。
【0018】
本発明の経血透過性付与剤は、上記の通り、リン酸エステル塩(B1)、脂肪酸塩(B2)及び脂肪酸アミド(B3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(B)を含有する。
前記界面活性剤(B)は、炭素数6〜24のアルキル基及び/又は炭素数6〜24のアルケニル基を有する。
【0019】
前記リン酸エステル塩(B1)としては、炭素数6〜24のアルキル基及び/または炭素数6〜24のアルケニル基を有するリン酸エステルのアルカリ金属塩が挙げられる。リン酸エステル塩(B1)の具体例としては、オクチルアルコールのリン酸エステルカリウム塩、2−エチルヘキシルアルコールのリン酸エステルカリウム塩、デシルアルコールのリン酸エステルナトリウム塩、イソデシルアルコールのリン酸エステルカリウム塩、ドデシルアルコールのリン酸エステルカリウム塩、トリデシルアルコールのリン酸エステルナトリウム塩、イソトリデシルアルコールのリン酸エステルナトリウム塩、テトラデシルアルコールのリン酸エステルカリウム塩、ヘキサデシルアルコールのリン酸エステルナトリウム塩、オレイルアルコールのリン酸エステルカリウム塩、オクチルアルコールのエチレンオキサイド(以下、EOと略記する)2モル付加物のリン酸エステルカリウム塩、デシルアルコールのEO3モル付加物のリン酸エステルナトリウム塩、ラウリルアルコールのEO3モル付加物のリン酸エステルカリウム塩、トリデシルアルコールのEO5モル付加物のリン酸エステルカリウム塩及びイソトリデシルアルコールのEO3モル付加物のリン酸エステルカリウム塩等が挙げられる。
これらのうち、経血透過性の観点から好ましいのは、オレイルアルコールリン酸エステルカリウム塩及びラウリルアルコールEO3モル付加物のリン酸エステルカリウム塩である。
リン酸エステル塩(B1)は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0020】
前記脂肪酸塩(B2)としては、炭素数6〜24のアルキル基及び/または炭素数6〜24のアルケニル基を有する脂肪酸のアルカリ金属(ナトリウム及びカリウム等)塩等が挙げられる。
脂肪酸塩(B2)における脂肪酸としては、炭素数8〜24の脂肪族カルボン酸[脂肪族飽和カルボン酸(カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びイソステアリン酸等)、脂肪族不飽和カルボン酸(オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸、ひまし油脂肪酸及び硬化ひまし油脂肪酸等)等]等が挙げられる。
これらのうち、経血透過性の観点から好ましいのは、オレイン酸カリウム塩である。
脂肪酸塩(B2)は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0021】
前記脂肪酸アミド(B3)としては、炭素数6〜24の脂肪酸と水酸基及びアミノ基を有する炭素数2〜10の化合物とのアミド(B31)及び前記アミド(B31)のアルキレンオキサイド付加物(B32)等が挙げられる。
【0022】
前記アミド(B31)における炭素数6〜24の脂肪酸としては、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エイコサン酸、ドコサン酸及びテトラコン酸等が挙げられる。
また、前記アミド(B31)における炭素数6〜24の脂肪酸としては、天然油脂由来の脂肪酸[植物油脂由来の脂肪酸(ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、米糠油脂肪酸、米胚芽油脂肪酸、菜種油脂肪酸、ひまし油脂肪酸、水添ひまし油脂肪酸等)及び動物油脂由来の脂肪酸(牛脂脂肪酸、水添牛脂脂肪酸、豚脂脂肪酸等)等]を用いてもよい。
天然油脂由来の脂肪酸は、一般に、炭素数が8、10、12、14、16、18、20、22、24の飽和脂肪酸及び/又は炭素数が16、18、20、22の不飽和脂肪酸の混合物である。
炭素数6〜24の脂肪酸の内、肌への安全性の観点から好ましいのは、植物油脂由来の脂肪酸であり、経血透過性の観点から更に好ましいのはヤシ油脂肪酸(オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びオレイン酸等の混合物)である。
【0023】
前記の水酸基及びアミノ基を有する炭素数2〜10の化合物としては、モノエタノールアミン及びジエタノールアミン等が挙げられる。
【0024】
前記アミド(B31)は、前記炭素数6〜24の脂肪酸[又は前記炭素数6〜24の脂肪酸と炭素数1〜4のアルコール(メタノール等)とのエステル]、及び、前記水酸基及びアミノ基を有する炭素数2〜10の化合物とを公知の方法で反応させることにより、製造できる。
前記アミド(B31)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0025】
前記アミド(B31)のアルキレンオキサイド付加物(B32)[以下「アミドのAO付加物(B32)」ともいう]は、前記アミド(B31)が有する水酸基に、炭素数2〜4のアルキレンオキサイド(AO)が付加してなる化合物であることが好ましい。
アミドのAO付加物(B32)における炭素数2〜4のアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、1,2−又は1,3−プロピレンオキサイド及び1,2−、1,3−、1,4−又は2,3−ブチレンオキサイド等が挙げられる。
炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの内、経血透過性の観点から好ましいのは、エチレンオキサイドである。
【0026】
アミドのAO付加物(B32)における炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの付加モル数は、2〜20モルであることが好ましい。
【0027】
アミドのAO付加物(B32)は、前記アミド(B31)に、公知の方法で前記の炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加させる方法により、製造できる。
アミドのAO付加物(B32)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0028】
本発明の経血透過性付与剤は、界面活性剤(A)及び界面活性剤(B)以外に、その他の界面活性剤[界面活性剤(A)及び界面活性剤(B)以外のノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等]を含有していてもよい。
【0029】
本発明の経血透過性付与剤は、必要に応じて界面活性剤(A)、界面活性剤(B)及びその他の界面活性剤以外の添加剤を含有してもよい。
添加剤としては、溶剤(水及び有機溶剤等。好ましくは水)ワックス等の潤滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、防腐剤及び香料等が挙げられる。
本発明の経血透過性付与剤中の添加剤の含有量は、経血透過性付与剤中の不揮発性成分の重量に基づいて、好ましくは5重量%以下であり、更に好ましくは0.1〜1重量%である。
【0030】
本発明の経血透過性付与剤において、界面活性剤(A)の重量Waと、界面活性剤(B)の重量Wbとの比率[Wa/Wb]は、経血透過性向上の観点から、好ましくは0.1〜200であり、更に好ましくは1〜50であり、特に好ましくは5〜20である。
なお、本発明の経血透過性付与剤は、後述の本発明の繊維でも述べるように、均一であっても、不均一であってもよい。本発明において「経血透過性付与剤が均一」とは、経血透過性付与剤を繊維に付着させたときに、複数個所において、経血透過性付与剤に含まれる必須成分[界面活性剤(A)及び/又は界面活性剤(B)]の含有量のばらつきが1重量%以下であることをいい、当該ばらつきが1重量%超のときは「経血透過性付与剤が不均一」である。
【0031】
本発明の経血透過性付与剤は、後述の通り、1回の付着工程で、本発明における必須成分を繊維に付着させる場合は、以下の製造方法等で得られる混合物を経血透過性付与剤として用いることが好ましい。
この場合、本発明の経血透過性付与剤は、前記の界面活性剤(A)及び界面活性剤(B)、並びに、必要により、その他の界面活性剤及び添加剤等の各成分を配合し、常温又は必要により加熱(例えば30〜70℃)して例えば10分〜60分間混合することにより得ることができる。各成分の配合順序及び配合方法等は特に限定されない。
また、後述の通り、本発明の経血透過性付与剤の必須成分の一部を含む剤を、複数種類準備し、順次(複数回)付着させる場合、本発明の経血透過性付与剤の必須成分の一部を含む剤は、以下の製造方法等により得ることができる。
前記の界面活性剤(A)又は界面活性剤(B)、並びに、必要により、その他の界面活性剤添加剤等の各成分を配合し、常温又は必要により加熱(例えば30〜70℃)して例えば10分〜60分間混合することにより得ることができる。各成分の配合順序及び配合方法等は特に限定されない。
【0032】
本発明の経血透過性付与剤は、繊維(後述の疎水性繊維であることが好ましい)に使用されることが好ましい。
本発明の経血透過性付与剤が付着した繊維は、不織布製品に用いられることが好ましく、特に、生理用ナプキン等の吸収性物品のトップシートに用いられることが好ましい。
【0033】
本発明の経血透過性付与剤を疎水性繊維に付着させることで、疎水性繊維に経血透過性を付与し、本発明の繊維とすることができる。
疎水性繊維に経血透過性付与剤を付着させる方法には特に制限はなく、紡糸、延伸等の任意の工程で、ディップ給油法、オイリングロール法、浸漬法、噴霧法等の一般的に用いられる方法を利用することができる。
なお、本発明の繊維においては、前記の界面活性剤(A)及び界面活性剤(B)が付着してさえいればよく、付着する経血透過性付与剤自体は、均一であっても、不均一であっても良い。
従って、疎水性繊維に経血透過性付与剤を付着させる方法としては、以下の方法のいずれでもよい。
(方法1)本発明の経血透過性付与剤の必須成分を全て含有する経血透過性付与剤を、1回の付着工程で付着させる方法。
(方法2)本発明の経血透過性付与剤の必須成分の一部を含む剤を、複数種類準備し、順次(複数回)付着させることで、経血透過性付与剤の必須成分の全てを繊維に付着させる方法。
経血透過性付与剤の付着量は、疎水性繊維の重量(経血透過性付与剤付着前の重量)に基づいて、経血透過性付与剤中の不揮発性成分の重量割合が0.1〜20重量%となる量であることが好ましく、0.5〜10重量%となる量であることが更に好ましく、1〜10重量%となる量であることが特に好ましい。
【0034】
本発明の繊維を含有する不織布が、経血透過性に優れるメカニズムについては、詳細は不明であるが、以下のことが推定される。
本発明の繊維に付着した経血透過性付与剤に含まれる界面活性剤(A)は、経血との親和性が高く、経血と相溶することで、経血の粘度を低減させうる。
本発明の繊維に付着した経血透過性付与剤に含まれる界面活性剤(B)は、界面活性剤(A)と経血の混合物について、経血透過性を阻害する原因となる経血の過剰な凝集を防ぎつつ、その表面張力を低下させることで、不織布裏側への浸透力を向上させ、経血の透過性を向上させうる。
つまり、本発明の繊維においては、経血が、本発明の繊維を含有する不織布に吸収される過程で、界面活性剤(A)及び界面活性剤(B)のそれぞれが作用することで、経血透過性を向上させることができるものと推測される。
界面活性剤(B)による透過性向上効果を、界面活性剤(A)による効果を受けた経血に対して、より効果的に発揮させるという観点から、経血が本発明の繊維を含有する不織布に吸収される過程で、界面活性剤(A)に触れ、次いで界面活性剤(B)に触れるように、不織布が設計されていることが好ましい。
【0035】
疎水性繊維に経血透過性付与剤を付着させる方法の内、前記の方法1を用いる場合の具体的な方法としては、以下の方法等が挙げられる。
【0036】
方法1で用いる経血透過性付与剤は、例えば水系エマルションとして、疎水性繊維に付与される。
前記の水系エマルションにより疎水性繊維を処理した後は、加熱により揮発性成分を除去することが好ましい。
【0037】
前記の水系エマルションは、経血透過性付与剤に20〜40℃の水を投入して希釈する方法、20〜40℃の水の中に経血透過性付与剤を加えて乳化する方法、または、20〜40℃の水に、経血透過性付与剤を構成する各成分[界面活性剤(A)及び界面活性剤(B)、並びに、必要により添加される成分]を加えて混合する方法等により製造することができる。これらの方法のうち、20〜40℃の水に経血透過性付与剤を構成する各成分を加えて混合する方法が好ましい。
前記の水系エマルションの濃度は、任意の濃度の選択が可能であるが、経血透過性付与剤中の不揮発性成分の重量割合が、水系エマルションの重量に基づいて、好ましくは0.05〜20重量%であり、更に好ましくは0.1〜10重量%である。
【0038】
また、疎水性繊維に経血透過性付与剤を付着させる方法の内、前記の方法2を用いる場合の具体的な方法としては、以下の方法等が挙げられる。
本発明の経血透過性付与剤の必須成分の一部を含む剤として、界面活性剤(B)を含有する水系エマルションを準備する。
前記の水系エマルションは、経血透過性付与剤の必須成分の一部を含む剤である界面活性剤(B)を含有する剤に、20〜40℃の水を投入して希釈する方法、及び、20〜40℃の水の中に、経血透過性付与剤の必須成分の一部を含む剤である界面活性剤(B)を含有する剤を加えて乳化する方法等を用いて作製することが好ましい。
前記の水系エマルションの濃度は、任意の濃度の選択が可能であるが、経血透過性付与剤の必須成分の一部を含む剤中の不揮発性成分の重量割合が、水系エマルションの重量に基づいて、好ましくは0.05〜20重量%であり、更に好ましくは0.1〜10重量%である。
【0039】
界面活性剤(B)を含有する水系エマルションで、疎水性繊維を処理し、繊維に界面活性剤(B)を付着させる方法としては、前記のディップ給油法、オイリングロール法、浸漬法、噴霧法等を用いることができる。前記の水系エマルションにより疎水性繊維を処理した後は、加熱により揮発性成分を除去することが好ましい。
【0040】
次に、界面活性剤(A)を、界面活性剤(B)を付着させた繊維[界面活性剤(B)を付着させた繊維に代えて、界面活性剤(B)を付着させた繊維を不織布化した物を用いても良い。この場合、後述の本発明の不織布を直接得ることができる]に塗布する。
界面活性剤(A)の塗布方法は特に制限されるものではないが、必要に応じて加熱(30〜80℃であることが好ましい)した界面活性剤(A)を、バーコーター及び非接触式コーター等により塗布する方法、スプレー塗布する方法、並びに、ディッピング浸漬法により塗布する方法等が挙げられる。
【0041】
本発明の繊維の素材に用いられる疎水性繊維とは、温度25℃、相対湿度65%で吸水率が1重量%以下である繊維を意味する。
疎水性繊維としては特に限定されず、一般的に用いられる疎水性の合成繊維を用いることができ、ポリオレフィン、ポリエステル及びポリアミド等から選ばれる繊維が挙げられる。
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、及びエチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体等が挙げられる。
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート、及びポリエーテルポリエステル等が挙げられる。
ポリアミドとしては、6,6−ナイロン、及び6−ナイロン等が挙げられる。
これらの中でも、ポリオレフィン及びポリエステルが好ましい。
【0042】
本発明の経血透過性付与剤が付着した繊維を用いた繊維形態は、布状の形状のものが好ましく、織物、編物及び不織布等が挙げられる。また、混綿、混紡、混繊、交編及び交織等の方法で混合した繊維を布状として使用してもよい。これらの中では、特に不織布が好ましい。
【0043】
本発明の経血透過性付与剤が付着した繊維を不織布に適用する場合、本発明の経血透過性付与剤を処理した短繊維を、乾式又は湿式法で繊維積層体とした後、加熱ロールで圧着する方法、空気加熱で融着する方法、及び高圧水流で繊維を交絡させる方法から選ばれる方法により不織布としてもよい。また、スパンボンド法、メルトブローン法、フラッシュ紡糸法等によって得られた疎水性繊維から構成される不織布に、本発明の経血透過性付与剤を付着させてもよい。
【0044】
本発明の繊維、及びそれを用いた不織布は、吸収性物品のトップシート、特に生理用ナプキン等の衛生材料のトップシートとして好適に用いられる。
また、セカンドシート、吸収体及び吸収パッド等に利用することもできる。
【実施例】
【0045】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、以下において部は重量部を表す。
【0046】
<製造例1:ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(B−4)の合成>
温度計、還流冷却器、攪拌機、蒸留装置を備えた容量500mlの反応容器に、ジエタノールアミン106.2部(1.01mol)と、水酸化ナトリウム0.4部(0.01mol)とを仕込み、容器内を窒素置換後、これを2.66MPa〜3.99MPa(20〜30mmHg)に減圧した。その後反応系の温度を120〜130℃に昇温し、この温度を1時間保持した。水の留出が完全に止まったことを確認し、反応系を60℃まで冷却し、これにヤシ油脂肪酸メチル214.2部(1.00mol)を減圧下に添加し、この反応系を2.66MPa〜3.99MPa(20〜30mmHg)、65〜70℃の条件下、生成するメタノールを留去しながら、1時間熟成した。薄層クロマトグラフィーで反応終了確認後、反応系を40℃まで冷却し、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(B−4)を95重量%(不揮発性分の割合)含有する溶液を286.2部得た。
【0047】
<製造例2:ヒマシ油のEO10モル付加物(A−6)の製造>
攪拌機、温度計、圧力計、耐圧滴下ロート、減圧及び窒素導入ラインの付いた1Lのオートクレーブ中に、ヒマシ油459部、水酸化カリウム0.1部を加え攪拌を開始し、窒素封入し90℃に昇温した後、0.005MPaまで減圧し、1時間攪拌した。次いで130±10℃に昇温し、4〜6.5kPaに保ちながらエチレンオキサイド216部を逐次滴下した。その後、キョーワード600(協和化学製)20部を仕込み、95℃で1時間吸着処理した後、ろ過処理してアルカリ金属の除去を行った。60℃に冷却した後、取り出してヒマシ油EO10モル付加物(A−6)を得た(不揮発性成分100重量%)。
【0048】
<製造例3:ラウリルアルコールのEO3モル付加物のリン酸エステルカリウム塩(B−6)の製造>
攪拌機、温度計を備えた反応容器に、ラウリルアルコールEO3モル付加物1109部及び無水リン酸165部を仕込み、60℃で反応させた後、水酸化カリウム359部を投入し、ラウリルアルコールのEO3モル付加物のリン酸エステルカリウム塩を得た。得られたラウリルアルコールのEO3モル付加物のリン酸エステルカリウム塩に水を加えて、ラウリルアルコールのEO3モル付加物のリン酸エステルカリウム塩(B−6)を70重量%含有する溶液を得た。
【0049】
<実施例1〜5、実施例7、実施例9〜12及び比較例1〜4:経血透過性付与剤の水系エマルションの製造>
25℃の温水に(使用量は後述)、表1に記載した界面活性剤(A)及び界面活性剤(B)を、不揮発性成分の量が表1に記載の量(部)となるように添加し、40℃で30分間撹拌することにより、経血透過性付与剤の水系エマルション(実施例1〜5、実施例7,実施例9〜12及び比較例1〜4)を作製した。実施例1〜3、実施例6、比較例2及び4の経血透過性付与剤の水系エマルションの作製に用いた温水の量は、不揮発性成分が7.0重量%となる量とした。実施例4〜5及び比較例1の経血透過性付与剤の水系エマルションの作製に用いた温水の量は、不揮発性成分が1.0重量%となる量とした。実施例7の経血透過性付与剤の水系エマルションの作製に用いた温水の量は、不揮発性成分が0.41重量%となる量とした。実施例9の経血透過性付与剤の水系エマルションの作製に用いた温水の量は、不揮発性成分が2.2重量%となる量とした。実施例10の経血透過性付与剤の水系エマルションの作製に用いた温水の量は、不揮発性成分が11.0重量%となる量とした。実施例11の経血透過性付与剤の水系エマルションの作製に用いた温水の量は、不揮発性成分が5.0重量%となる量とした。実施例12の経血透過性付与剤の水系エマルションの作製に用いた温水の量は、不揮発性成分が4.4重量%となる量とした。比較例3の経血透過性付与剤の水系エマルションの作製に用いた温水の量は、不揮発性成分が6重量%となる量とした。
【0050】
尚、実施例1〜〜12及び比較例1〜4で用いる各成分に対応する原料は、以下の通りである。また、各成分の「HLB値」及び「化学式量又は数平均分子量(Mn)」を表1に記載した。実施例11では界面活性剤(A)として二種類の化合物を用いるので、界面活性剤(A)のHLB値を上述の方法(加重平均)により算出した(算出したHLB値は7.6)。
(A−1):ソルビタンモノオレート[品名:イオネット S−80、三洋化成工業(株)製]
(A−2):ソルビタントリオレートEO20モル付加物
(A−3):ポリオキシエチレングリコール(オキシエチレン基の繰り返し数:9)のジオレイン酸エステル
(A−4):ポリオキシエチレングリコール(オキシエチレン基の繰り返し数:5)のモノオレイン酸エステル[品名:イオネット MO−200、三洋化成工業(株)製]
(A−5):ポリオキシエチレングリコール(オキシエチレン基の繰り返し数:9)のモノオレイン酸エステル[品名:イオネット MO−400、三洋化成工業(株)製]
(A−6):製造例2で製造したヒマシ油EO10モル付加物
(A’−1)菜種油
(B−1):オレイルアルコールリン酸エステルカリウム塩を25重量%含有する溶液
(B−2):ヤシ油アルコールリン酸エステルカリウム塩を70重量%含有する溶液
(B−3):オレイン酸カリウム塩を10重量%含有する溶液
(B−4):製造例1で合成したヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドを95重量%含有する溶液
(B−5):製造例3で得たラウリルアルコールのEO3モル付加物のリン酸エステルカリウム塩を70重量%含有する溶液
【0051】
<実施例13〜17、実施例19、実施例21〜24及び比較例5〜8:不織布の製造>
実施例1〜5、実施例7、実施例9〜12、及び比較例1〜4の経血透過性付与剤の水系エマルションを用いて、以下の方法により、実施例13〜17、実施例19、実施例21〜24及び比較例5〜8の不織布を製造した。
。
繊維本体300gに対し、各例の経血透過性付与剤の水系エマルション150gをディップ給油法で付着させ、繊維に付着する経血透過性付与剤の不揮発性成分の付着量[繊維本体の重量に対する重量割合(重量%)]を、表1に記載の値にした。
繊維本体は、繊維処理剤等の繊維処理剤が付着していない、ポリエステル(芯)−ポリエチレン(鞘)系複合繊維であり、単繊維繊度が2.2Dtex、繊維長が51mmのものであった。それぞれの経血透過性付与剤希釈液を付着させた繊維を、80℃の温風乾燥機の中に1時間入れた後、室温で4時間以上放置して乾燥させて、経血透過性付与剤が付着した繊維を得た。
得られた繊維をローラーカードに通し、目付け25g/m
2のカードウェブを作製した。得られたカードウェブを140℃で10秒の熱風処理を行い、エアスルー不織布(厚みは3mmであった)を得た。
【0052】
<実施例6:不織布の製造>
表1に記載の種類の界面活性剤(B)[(B−2)]について、25℃の温水で不揮発性成分が1.0重量%となるように希釈することにより、界面活性剤(B)の希釈液を得た。
次に、繊維本体(実施例13で使用した繊維本体と同じ材質のもの)300gに対し、経血透過性付与剤希釈液150gをディップ給油法で付着させ、繊維に付着する界面活性剤(B)の不揮発性成分の付着量[繊維本体の重量に対する重量割合(重量%)]を0.5重量%とした。
界面活性剤(B)希釈液を付着させた繊維を、80℃の温風乾燥機の中に1時間入れた後、室温で4時間以上放置して乾燥させて、界面活性剤(B)が付着した繊維を得た。
得られた繊維をローラーカードに通し、目付け25g/m
2のカードウェブを作製した。得られたカードウェブを140℃で10秒の熱風処理を行い、エアスルー不織布を得た。
次に、40℃に加温した表1に記載の界面活性剤(A)[(A−1)]を、バーコーターを用いて、不織布の片面の全面に塗工した。なお、界面活性剤(A)の不揮発性成分の付着率[繊維本体の重量に対する重量割合(重量%)]が3重量%になるように塗工し、経血透過性付与剤[界面活性剤(A)及び界面活性剤(B)]が付着した不織布(厚みは3mmであった)を得た。
【0053】
<実施例8:不織布の製造>
表1に記載の種類の界面活性剤(B)[(B−4)]について、25℃の温水で不揮発性成分が0.2重量%となるように希釈することにより、界面活性剤(B)の希釈液を得た。
次に、繊維本体(実施例13で使用した繊維本体と同じ材質のもの)300gに対し、経血透過性付与剤希釈液150gをディップ給油法で付着させ、繊維に付着する界面活性剤(B)の不揮発性成分の付着量[繊維本体の重量に対する重量割合(重量%)]を0.1重量%とした。
界面活性剤(B)希釈液を付着させた繊維を、80℃の温風乾燥機の中に1時間入れた後、室温で4時間以上放置して乾燥させて、界面活性剤(B)が付着した繊維を得た。
得られた繊維をローラーカードに通し、目付け25g/m
2のカードウェブを作製した。得られたカードウェブを140℃で10秒の熱風処理を行い、エアスルー不織布を得た。
次に、40℃に加温した表1に記載の界面活性剤(A)[(A−5)]を、バーコーターを用いて、不織布の片面の全面に塗工した。なお、界面活性剤(A)の不揮発性成分の付着率[繊維本体の重量に対する重量割合(重量%)]が19.9重量%になるように塗工し、経血透過性付与剤[界面活性剤(A)及び界面活性剤(B)]が付着した不織布(厚みは3mmであった)を得た。
【0054】
実施例6、実施例8及び実施例13〜17、実施例19、実施例21〜24及び比較例5〜8で得られた不織布について、下記に示す人工経血を用いて、経血通液速度及び経血透過性を評価した。結果を表1に示す。
【0055】
<人工経血の調製方法>
(株)日本バイオテスト研究所製の馬脱繊維血液を、37±1℃にて2時間静置し、これを評価用の人工経血とした。
【0056】
(1)経血通液速度の評価
正方形状のろ紙[ADVANTEC製、No.424(10cm×10cm)]の上に、各例で製造した不織布(10cm×10cmの正方形状に裁断したもの)を置いた。実施例6および8で製造した不織布を用いる場合は、界面活性剤(A)を塗布した面を上側とした。
不織布の上にアクリル製の円筒(内径が2cm、高さが6cmで上下が開口した円柱状の空洞を有するもの)を、不織布の中心と円筒の中心とが重なるように置いた。円筒の内部に37±1℃に温調した人工経血3mlを3秒間かけて全量滴下した。人工経血滴下完了から不織布表面上に溜まった人工経血が消失するまでの時間を測定した。人工経血の消失は、目視観察で判断した。
当該経血通液速度の評価は、温度25℃、湿度40%RHの環境下で実施した。
前記時間が短い程、通液速度が早く、通液性に優れる。
【0057】
(2)経血透過性
正方形状のろ紙(ADVANTEC製、No.424(10cm×10cm))の上に各例で製造した不織布(10cm×10cmの正方形状に裁断したもの)を置いた。実施例6で製造した不織布を用いる場合は、界面活性剤(A)を塗布した面を上側とした。
不織布の上にアクリル製の円筒(内径が2cm、高さが6cmで、上下が開口した円柱状の空洞を有するもの)を不織布の中心と円筒の中心が重なるように置いた。円筒の内部に37±1℃に温調した人工経血3mlを3秒間かけて全量滴下し、円筒を外した。全量滴下してから2分経過後に、不織布に残存した成分の重量を測定した。
当該経血透過性の評価は、温度25℃、湿度40%RHの環境下で実施した。
不織布に残存した成分の重量が少ない程、経血透過性に優れることを示す。
【0058】
【表1】