【実施例1】
【0010】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
【0011】
図1に示すように、住宅などの建物1に、バルコニー2を設置する。ここで、住宅などの建物1は、どのような構造ものとしても良いが、例えば、ユニット建物などとすることができる。ユニット建物は、予め、工場で製造した建物ユニット3を建築現場へ搬送して、建築現場で組み立てることにより、短期間のうちに構築できるようにした建物1である。
【0012】
そして、建物1をユニット建物とした場合、バルコニー2は、バルコニーユニット4とするのが好ましい。バルコニーユニット4は、予め、工場で製造される。そして、バルコニーユニット4を、建築現場へ搬送して、建築現場で建物ユニット3に並設することで、ユニット建物に対してバルコニー2を一気に設置できるようになる。バルコニーユニット4は、床部5と、床部5の周囲を囲む手摺壁部6とを有している。
【0013】
図2の縦断面図に示すように、バルコニーユニット4は、下階の建物ユニット3(A)の上に設置された状態で、下階の建物ユニット3(B)の上に設置された上階の建物ユニット3に並設される。
【0014】
バルコニーユニット4の床部5は、上階の建物ユニット3の側(軒元側)から反対の側(軒先側)へ向けて緩い下りとなる排水勾配を有している。この実施例では、バルコニーユニット4は、軒先側に、下階の建物ユニット3よりも外側へ張り出す軒先部分7を有している。
【0015】
そして、バルコニーユニット4の軒先部分7には、バルコニー2の軒先部分7の延在方向(紙面と垂直な方向)に沿って軒樋8が設けられており、この軒樋8によってバルコニー2の排水構造(バルコニー排水構造)が形成されている。軒樋8は、床部5の下側に、外部から隠れるように設置されている。軒樋8は、バルコニー2の軒先部分7の延在方向の一端側(上流側)から他端側(下流側)へ向けて下りとなる排水勾配を有して設置されている。
【0016】
そして、バルコニーユニット4の床部5は、床梁11,12や床小梁13,14で構成された床枠15,16の上に、床根太17を介して床板18を設置したものとなっている。床板18は、釘などの固定部材で床根太17に上から下へ向けて固定される。この実施例では、下階の建物ユニット3の上の部分と、軒先部分7とで2つの床枠15,16が構成されるように、床梁11,12や床小梁13,14がそれぞれ分けて設けられている。
【0017】
この実施例では、バルコニーユニット4の軒先部分7の下部に設けられた床小梁14は、下階の建物ユニット3(A)の上側に設けられる床小梁13よりも高さ寸法が小さくなっており、床根太17は、軒先部分7の床小梁14の上部に、スペーサ19を介して取付けられている。
【0018】
一方、バルコニーユニット4の手摺壁部6は、床部5の軒先部分7を構成する軒先側の床梁12から立設された複数本の柱部21と、複数本の柱部21の上端間を、バルコニー2の軒先部分7の延在方向に連結する連結部材22と、連結部材22を上から覆う笠木23と、笠木23の上側に短い支柱24を介して取付けられた手摺棒25とを有している。
【0019】
軒先側の床梁12と柱部21と連結部材22とで形成される手摺枠部の内面側には内壁材26が取付けられ、手摺枠部の外面側には外壁材27が取付けられることで、上記した手摺壁部6を構成している。
【0020】
また、床部5の軒先部分7では、床小梁14の下側には、軒天取付金具を介して軒天井材32が設置されている。軒天井材32は、軒先部分7の下側を隠す面材である。そして、外壁材27の下部は、軒先側の床梁12の下部の位置にほぼ達する長さに形成されており、外壁材27の下部と、軒天井材32の軒先側の縁部との間には、化粧カバー33が設けられている。
【0021】
上記のような基本的な構成に対し、この実施例では、以下のような構成を備えることができる。
【0022】
(1)バルコニー排水構造は、
図3に示すように、バルコニー2の軒先部分7に沿って二次樋41が設けられている。
二次樋41の内側に、二次樋41から浮いた状態で箱樋42が設置されている。
二次樋41に設けた落し口43に縦樋44が取付けられている。
図4に示すように、箱樋42に設けた落し口45には、縦樋44に対し隙間46を有して挿入配置される排水部材47が取付けられている。
【0023】
ここで、二次樋41は、軒樋8の一部として設けられるものである。
【0024】
箱樋42は、軒樋8の一部として設けられるものである。箱樋42は、二次樋41とは別の経路を構成するように、二次樋41の内側に設置される。そのために、箱樋42は、二次樋41よりも一回り小さく形成されている。
【0025】
浮いた状態とは、箱樋42が二次樋41に対してほぼ接触されない状態で、二次樋41の内部に収容配置されていることである。これにより、箱樋42と二次樋41との間(底部や側部の間)には、全体的に所要の大きさの間隙48が形成される。
【0026】
二次樋41の落し口43は、二次樋41の下流側の端部に設けられる排水用の穴である。
【0027】
縦樋44は、雨水を階下へ流下させるための縦向きの樋(排水用部材)のことである。
【0028】
箱樋42の落し口45は、箱樋42の下流側の端部に設けられる排水用の穴である。箱樋42の落し口45は、二次樋41の落し口43に位置を合わせた状態で、二次樋41の落し口43の上方に設置される。これにより、箱樋42の落し口45は、二次樋41の落し口43の真上に位置して、間隙48の分のスペースを有して離間される。
【0029】
排水部材47は、箱樋42の落し口45に装着される排水のための部材である。排水部材47は、縦樋44に向かって排水を行う。排水部材47は、箱樋42の落し口45に対し、互いの中心位置をほぼ合わせた状態で(ほぼ同心状に)設置するのが好ましい。排水部材47の構造などについては、後述する。
【0030】
隙間46は、排水部材47と、二次樋41の落し口43および縦樋44との間に、設けられる空間である。排水部材47と、二次樋41の落し口43とをほぼ同心状に設置することで、隙間46は、全周に亘ってほぼ均等なものとなる。これにより、排水部材47と、二次樋41の落し口43および縦樋44とは非接触状態になる。
【0031】
(2)
図5に示すように、
バルコニー2の床部5は、床下地材51と、防水シート52と、仕上鋼板53とを有しても良い。
図6に示すように、二次樋41は、防水シート52の下流側に、防水シート52と繋がるように設置されても良い。
また、箱樋42は、仕上鋼板53の下流側に、仕上鋼板53と繋がるように設置されても良い。
【0032】
ここで、床部5は、床下地材51と、防水シート52と、仕上鋼板53とを、下側から順番に有する多層構造の床板18で構成されても良い。仕上鋼板53の上には、更に床仕上材54(
図2、
図8)を設置することができる。
【0033】
床下地材51には、例えば、木製の野地板が使用される。防水シート52には、例えば、ルーフィングシートなどと呼ばれる防水性を有する樹脂製のシート材が使用される。仕上鋼板53には、溝板と呼ばれる耐水性を有する薄い鋼板が使用される。
【0034】
仕上鋼板53(溝板)は、
図7に示すように、両サイドに目地カバー55(
図5)を取付けるためのはぜ部53aを有し、軒元側の縁部に、隣接する建物ユニット3の外壁パネル56(
図5)の下側に設けられた水切部材57(
図5)と重なるようにして、水切部材57の裏側へ挿入配置される上向きの立上部53bを有し、水下側の縁部に、斜め下方へ向けて下り勾配に屈曲する尾垂れ部53cを有する面状の部材とされる。仕上鋼板53の本体部分を構成する面の上面には、必要に応じて、上へ突出して、軒元側から軒先側へ向けて延びる複数本のリブ53dを適宜の間隔で設けても良い。
【0035】
二次樋41が、防水シート52の下流側に、防水シート52と繋がるように設置されるとは、防水シート52から二次樋41へ流入する水W1(
図6)の経路が形成されることである。
【0036】
箱樋42が、仕上鋼板53の下流側に、仕上鋼板53と繋がるように設置されるとは、仕上鋼板53から箱樋42へ流入する水W2(
図6)の経路が形成されることである。
【0037】
(二次樋41について)
二次樋41は、
図8に示すように、底面41aと、底面41aを取り囲む4つの側面41b,41dとを有する角型の溝形状をした金属製または樹脂製の樋本体を有している。この樋本体の(延在方向に沿った)両側面41bの上縁部には、軒元側及び軒先側へ向けて外方へ張出すフランジ部41fが一体に形成されている。フランジ部41fは、床板18に対する取付部として二次樋41に設けられる。二次樋41の軒先側のフランジ部41fは、手摺壁部6にほぼ達する長さに形成されている。二次樋41の軒元側のフランジ部41fは、軒先側のフランジ部41fとほぼ同じ長さに形成されている。そして、二次樋41は、以下のような特徴を有している。
【0038】
(3)
図9に示すように、二次樋41の延在方向の端部に位置する側面41dは、二次樋41の延在方向に沿った側面41bより低くしても良い。
【0039】
ここで、延在方向の端部に位置する側面41dは、両方を低くしても良いが、少なくとも排水勾配が設けられた二次樋41の延在方向の下流側となる側面41dを低くすれば良い。二次樋41の下流側となる側面41dは、二次樋41の水位設定部として設定される。
【0040】
そして、上記した二次樋41は、床板18(床下地材51)の軒先部分7に形成された開口部分61に上から挿入されて、軒先側の二本の床根太17の間に設置されると共に、上縁部に設けられたフランジ部41fが床下地材51の上に設置されて、床下地材51にスクリュー釘62などの取付部材で上側から下方向に取付けられる。
【0041】
この際、
図10に示すように、縦樋44の上端部に対して、ソケット63が接着剤64で接着固定され、ソケット63の上端部に対して、排水受部材65が接着剤64で接着固定されて一体化される。ソケット63は、縦樋44に排水受部材65を取付けるための連結用部材である。ソケット63は、下端側が縦樋44に嵌合可能な大きさおよび断面形状を有し、上端側がソケット63を内部に嵌合可能な大きさおよび断面形状を有すると共に、中間部が縦樋44とソケット63との大きさや形状の違いに合わせた上広がりの形状を有している。なお、広義の縦樋44には、ソケット63および排水受部材65も含まれるものとする。
【0042】
排水受部材65には、上記した排水部材47と同じものを用いることができる。排水受部材65は、下側の受部65aと、上側の蓋部65bとの上下2つの部材で構成されている。受部65aは雌ネジを有し、蓋部65bは雄ネジを有しており、雌ネジに雄ネジをねじ込むことによって受部65aと蓋部65bは一体化されるようになっている。ソケット63の上端部には、受部65aが接着固定される。受部65aは、段付きで下狭まりの筒形状を有している。蓋部65bは中央に開口部65cを有しており、開口部65cには、枯葉などの大きなゴミをキャッチするためのストレーナー65dが設けられている。ストレーナー65dは、上方へ突出するドーム型をした目の粗い網状のものなどとされる。
【0043】
そして、
図11に示すように、受部65aの上端部が二次樋41の底面41aに形成された落し口43の周縁部の下面側に当接され、受部65aに落し口43を通して上から蓋部65bが、ねじ込むようにして取付けられることで、受部65aと蓋部65bとで、落し口43の周縁部を上下に挟着固定する。
【0044】
この際、
図12に示すように、受部65aおよび蓋部65bと、落し口43の周縁部との間は、現場施工型のペースト状をしたシール材66によってシールされる。また、
図13に示すように、蓋部65bのストレーナー65dを切除して、箱樋42に干渉しないようにする。
【0045】
更に、
図6に示すように、床下地材51の上に設置された防水シート52を、二次樋41のフランジ部41fに対し、フランジ部41fを上から覆うように被せ、更に、防水シート52の開口部分61に面した水下側の端部52aを、二次樋41(の樋本体)の内部(箱樋42との間隙48)へ挿入する。これにより、防水シート52と二次樋41とが、繋がった一つの経路になる。
【0046】
(箱樋42について)
箱樋42は、
図14に示すように、底面42aと、底面42aを取り囲む4つの側面42b,42dとを有する角型の溝形状をした金属製または樹脂製の樋本体を有している。箱樋42では、箱樋42の4つの側面42b,42dは、全て同じ高さとされている。この樋本体の(延在方向に沿った)両側面42bの上縁部には、軒元側及び軒先側へ向けて外方へ張出す横フランジ部42fが一体に形成されている。横フランジ部42fは、床板18に対する取付部として箱樋42に設けられる。少なくとも箱樋42の軒先側の横フランジ部42fは、手摺壁部6にほぼ達する長さに形成されている。箱樋42の軒元側の横フランジ部42fは、軒先側の横フランジ部42fとほぼ同じ長さに形成されている。なお、箱樋42の底面42aは、二次樋41の底面41aよりも幅が狭くなっている。また、箱樋42の側面42bは、二次樋41の側面41bよりも、ほぼ底面41a,42a間の間隙48の分だけ高くなっている。そして、箱樋42は、以下のような特徴を有している。
【0047】
(4)
図15に示すように、箱樋42は、軒先側の上縁部に、軒元側の上縁部よりも高く上へ延びる縦フランジ部42hを有しても良い。
【0048】
ここで、軒先側の上縁部、および、軒元側の上縁部は、横フランジ部42fを含むことができる。縦フランジ部42hは、バルコニー2の防水壁として箱樋42に設けられる。そして、縦フランジ部42hは、軒先側の横フランジ部42fの端部に、壁下合板28に沿って上方へ立ち上がるように、横フランジ部42fと一体に形成される。
【0049】
これに伴い、内壁材26の下縁部は、軒先側の床梁12に達しない長さに形成される。内壁材26の下部と軒先側の床梁12との間の部分には、縦向きの壁下合板28が設置される。そして、内壁材26の下部と壁下合板28の上部との間には、金属製の内壁下水切29が取付けられる。内壁下水切29は、側方から見てほぼ段差形状を有しており、上端側の部分が内壁材26の裏面側に挿入配置され、下端側の部分が壁下合板28の表面側に取り出される。縦フランジ部42hは、内壁下水切29の下端側の部分と重複する高さに形成されて、内壁下水切29の下端側の部分の裏面側に挿入配置される。
【0050】
そして、上記した箱樋42は、二次樋41の内部に上から挿入される。箱樋42は、上縁部の横フランジ部42fが床下地材51や二次樋41のフランジ部41fや防水シート52の上に設置されて、これらにスクリュー釘62などの取付部材で上側から下方向に取付けられると共に、上縁部の軒先側の縦フランジ部42hが壁下合板28にスクリュー釘62などの取付部材でバルコニー2の内側から外側へ向けて横方向に取付けられる。これにより、上記したように、縦フランジ部42hの上端部は、内壁下水切29と重なるように、内壁下水切29の裏側へ挿入設置される。
【0051】
排水部材47は、上記した排水受部材65と同様に、下側の受部47aと、上側の蓋部47bとの上下2つの部材で構成されている。受部47aは雌ネジを有し、蓋部47bは雄ネジを有しており、雌ネジに雄ネジをねじ込むことによって受部47aと蓋部47bは一体化されるようになっている。
【0052】
そして、
図16に示すように、排水部材47の受部47aの上端部が箱樋42の底面42aに形成された落し口45の周縁部の下面側に当接され、受部47aに落し口45を通して上から蓋部47bが、ねじ込むようにして取付けられることで、受部47aと蓋部47bとで、落し口45の周縁部を上下に挟着固定する。開口部47cの上を覆うように形成されるストレーナー47dは、そのまま残される。そして、
図17に示すように、受部47aおよび蓋部47bと、落し口45の周縁部との間は、現場施工型のペースト状をしたシール材66によってシールされる。
【0053】
更に、
図6に示すように、防水シート52の上に設置される仕上鋼板53を、箱樋42の軒元側の横フランジ部42fに対し、横フランジ部42fを上から覆うように被せ、更に、仕上鋼板53の軒先側の端部を箱樋42(の樋本体)の側へ張出すように設置して、軒先側に設けられた下り傾斜の尾垂れ部53cを箱樋42(の樋本体)の内側へ向けて設置(または挿入配置)する。これにより、仕上鋼板53と箱樋42とが、繋がった一つの経路となる。そして、仕上鋼板53の軒先側の端部と、箱樋42の軒元側の側面42bとの間をL字型の固定金具67を介してリベット68で固定する。
【0054】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0055】
バルコニー2は、雨水などの水W1,W2に対する排水構造を備える必要がある。このようなバルコニー2の排水構造は、一般に、
図18の比較例に示すように、バルコニー2の軒先部分7に沿って単一の軒樋8を設けたものとなっている。
【0056】
このように、バルコニー2の軒先部分7に沿って単一の軒樋8を設けた排水構造の場合、例えば、軒樋8に様々な経路からの水W1,W2が一度に集まった場合に、軒樋8の排水能力を超えてしまうおそれがある。なお、図の単一の軒樋8は、下流側の端部を実線で、また、上流側の端部を破線で描いている。
【0057】
そこで、この実施例では、バルコニー2の排水構造を、上記したようにしている。これにより、以下のような効果を得ることができる。
【0058】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0059】
(効果 1)二次樋41の1内側に、二次樋41から浮かせた状態で箱樋42を設置(して多重化)するようにしている。これにより、二次樋41および箱樋42の2種類の軒樋8を、バルコニー2の軒先部分7に対して、大きな取付けスペースを要することなく、コンパクトに設置することができる。
【0060】
そして、二次樋41には、上縁部(の軒元側および軒先側のフランジ部41f)から水W1が流入される。二次樋41に集められた水W1は、二次樋41の落し口43から縦樋44へ排水される。また、箱樋42には、上縁部(の軒元側および軒先側の横フランジ部42f)から水W2が流入される。箱樋42に集められた水W2は、箱樋42の落し口45に設けた排水部材47から二次樋41を介することなく直接縦樋44へ排水される。
【0061】
これにより、軒樋8を、二次樋41および箱樋42という別個独立した2種類の経路に分けることができる。そして、異なる経路からの水W1,W2を二次樋41および箱樋42にそれぞれ別々に集めて、二次樋41および箱樋42から縦樋44へ別々に排水させることが可能になる。よって、複数の経路からの水W1,W2が単一の軒樋8に対して一度に集まる状態が解消され、また、二次樋41および箱樋42に集まった水W1,W2をそれぞれ別々に縦樋44へ排水させることができるようになるため、軒樋8の排水能力を超える状況が頻繁に発生するといった不具合を効果的に抑制・防止することができる。
【0062】
なお、排水部材47と、二次樋41の落し口43とをほぼ同心状に配置することにより、縦樋44の入口部分では、二次樋41からの水W1は縦樋44の外周部に流入され、箱樋42からの水W2は縦樋44の中心部へ流入されるように、水W1,W2の流れが分離され易くなるため、縦樋44の内部に空気芯が確保され易くなるので、二次樋41からの水W1と箱樋42からの水W2とが同時に縦樋44へ流入された場合でも、水W1,W2を縦樋44にスムーズに流す効果が期待できる。
【0063】
(効果 2)二次樋41は、防水シート52の下流側に、防水シート52と繋がるように設置されても良い。これにより、防水シート52と仕上鋼板53との間に発生した結露水(水W1)は、防水シート52の上(と仕上鋼板53との間)を(軒元側から軒先側へ)案内されて二次樋41へ排水され、二次樋41を介して縦樋44へ排水されるようになる。
【0064】
また、箱樋42は、仕上鋼板53の下流側に、仕上鋼板53と繋がるように設置されても良い。これにより、仕上鋼板53の上に降った雨水(水W2)は、仕上鋼板53の上を(軒元側から軒先側へ)案内されて箱樋42へ排水され、箱樋42から縦樋44へ直接排水されるようになる。
【0065】
そのため、上記した結露水(水W1)と雨水(水W2)とを別々の経路および別々の軒樋8(二次樋41および箱樋42)を通して個別に集めて排水することが可能になる。
【0066】
この際、万一、縦樋44が詰まった場合には、二次樋41の結露水(水W1)は、二次樋41に貯まった後に、二次樋41の縁部から直接二次樋41の外へオーバーフローされることになる。オーバーフローされた結露水(水W1)は、二次樋41の外側を通って軒天井材32の裏面側へと流される。
【0067】
また、箱樋42の落し口45(のストレーナ)が、例えば、枯葉などのゴミで詰まった場合には、箱樋42の雨水(水W2)は、箱樋42に貯まった後に、仕上鋼板53の上にプールされて行くことになる。仕上鋼板53の上にプールされた雨水(水W2)は、落し口45(のストレーナ)から枯葉などのゴミを取り除くことで、再び縦樋44から排水されるようになる。
【0068】
(効果 3)二次樋41の延在方向の端部に位置する側面41dは、二次樋41の延在方向に沿った側面41bより低くしても良い。これにより、二次樋41に溜まった水W1を、二次樋41の延在方向の端部に位置する(特に下流側の)側面41dの位置から外へオーバーフローさせることができる。これにより、二次樋41から水W1がオーバーフローする位置(下流側の側面41d)と、オーバーフローした水W1が通る経路とを、予め設定し特定することができるようになる。また、上記により、(側面41bよりも)低くした側面41dの高さによって水W1をオーバーフローさせる際の、最適水位を事前に設定・調整することができる。
【0069】
(効果 4)箱樋42は、軒先側の上縁部に、軒元側の上縁部よりも高く上へ延びる縦フランジ部42hを有しても良い。これにより、万一、箱樋42の落し口45(のストレーナ)の詰まりなどによって、箱樋42に雨水(水W2)が貯まったり、仕上鋼板53の上に雨水(水W2)がプールされたりした状態となった場合でも、縦フランジ部42hによってバルコニー2の床部5の防水性を保つことができる。また、箱樋42に縦フランジ部42hを設けることで、床部5の防水構造を簡略化して、防水に要する部品点数を削減することができる。