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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-195902(P2021-195902A)
(43)【公開日】2021年12月27日
(54)【発明の名称】軸流ファン
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/52 20060101AFI20211129BHJP
   F04D 25/08 20060101ALI20211129BHJP
   F04D 25/16 20060101ALI20211129BHJP
【FI】
   F04D29/52 D
   F04D25/08 303
   F04D25/16
   F04D29/52 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-102905(P2020-102905)
(22)【出願日】2020年6月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000228730
【氏名又は名称】日本電産サーボ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002723
【氏名又は名称】高法特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】番場 高大
(72)【発明者】
【氏名】阿部 孝則
(72)【発明者】
【氏名】加藤 義彦
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC30
3H130BA62A
3H130BA66A
3H130BA68A
3H130BA97A
3H130CA23
3H130DA02Z
3H130DB01Z
3H130DB02Z
3H130DB03Z
3H130DD02Z
3H130DF08X
3H130EA01A
3H130EA07A
3H130EA07H
3H130EB01A
3H130EB02A
3H130EB03A
3H130EB04A
(57)【要約】
【課題】PQ特性を向上した軸流ファンを提供することである。
【解決手段】吸気側ファンと排気側ファンを直列に配置して成る軸流ファンであって、第1リブと第2リブの少なくとも一部は軸方向から見て重なり、第1リードと第2リードの少なくとも一部は軸方向から見て重なり、第1リード及び第2リードは、第1ハウジングの径方向内側では第1リブ及び第2リブよりも周方向一方側で、第1ハウジングの径方向外側では第1リブ及び第2リブよりも周方向他方側であり、第1リード及び第2リードは、第1リブよりも吸気側ファンの排気側で、且つ第2リブよりも排気側ファンの吸気側である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気側ファンと排気側ファンを直列に配置して成る軸流ファンであって、
前記吸気側ファンは、中心軸と、前記中心軸を中心に回転可能な第1インペラと、前記第1インペラを径方向内側で支持する第1モータと、前記第1モータを支持する第1モータハウジングと、前記第1インペラの径方向外側に配置された第1ハウジングと、前記第1モータハウジングと前記第1ハウジングとを接続する第1リブと、前記第1モータハウジングから径方向外側に延びる第1リードと、を備え、
前記排気側ファンは、前記中心軸を中心に回転可能な第2インペラと、前記第2インペラを径方向内側で支持する第2モータと、前記第2モータを支持する第2モータハウジングと、前記第2インペラの径方向外側に配置された第2ハウジングと、前記第2モータハウジングと前記第2ハウジングとを接続する第2リブと、前記第2モータハウジングから径方向外側に延びる第2リードと、を備え、
前記第1リブと前記第2リブの少なくとも一部は軸方向から見て重なり、
前記第1リードと前記第2リードの少なくとも一部は軸方向から見て重なり、
前記第1リード及び前記第2リードは、前記第1ハウジングの径方向内側では前記第1リブ及び前記第2リブよりも周方向一方側で、前記第1ハウジングの径方向外側では前記第1リブ及び前記第2リブよりも周方向他方側であり、
前記第1リード及び前記第2リードは、前記第1リブよりも前記吸気側ファンの排気側で、且つ前記第2リブよりも前記排気側ファンの吸気側である、
軸流ファン。
【請求項2】
前記周方向一方側は、前記第1インペラの回転方向前側であり、前記周方向他方側は、前記第1インペラの回転方向後側である、
請求項1に記載の軸流ファン。
【請求項3】
前記第1リブは、前記第1モータハウジングから前記第1ハウジングに向けて、径方向よりも前記吸気側ファンの回転方向前側に傾いて真直ぐ延びる、
請求項1又は2に記載の軸流ファン。
【請求項4】
前記第1リブは、軸方向他方側が軸方向一方側に凹む第1凹部を有し、
前記第2リブは、前記第1凹部と軸方向に対向する位置に、軸方向一方側が軸方向他方側に凹む第2凹部を有し、
前記第1リード及び前記第2リードは、前記第1凹部と前記第2凹部とで形成された貫通孔を貫通する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の軸流ファン。
【請求項5】
前記貫通孔は、径方向から見て、楕円又は長円形である、
請求項4に記載の軸流ファン。
【請求項6】
前記第1リブ及び前記第2リブは、前記第1リード及び前記第2リードと接触する面が曲面である、
請求項1から5のいずれか1項に記載の軸流ファン。
【請求項7】
前記第1リブの少なくとも一部は、前記第2リブの凹部に嵌る、
請求項1から6のいずれか1項に記載の軸流ファン。
【請求項8】
前記吸気側ファンは、前記第1モータハウジングから前記第1ハウジングに向けて径方向に延び、前記吸気側ファンの排気側で前記第1モータハウジングを支持する複数の第3リブを備え、
前記排気側ファンは、前記第2モータハウジングから前記第2ハウジングに向けて径方向に延び、前記排気側ファンの吸気側で前記第2モータハウジングを支持する複数の第4リブを備える、
請求項1から7のいずれか1項に記載の軸流ファン。
【請求項9】
前記吸気側ファンの回転方向は、前記排気側ファンの回転方向と逆である、
請求項1から8のいずれか1項に記載の軸流ファン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸流ファンに関する。
【背景技術】
【0002】
軸流ファンとしては、吸気側ファンと排気側ファンを直列に配置して成る二重軸流ファンが知られている。軸流ファンにおいてはPQ特性(風量−静圧特性)の向上が要求される。軸流ファンのインペラを駆動するモータは軸流ファンの風洞の中心に配置され、軸流ファンの外部からリード線(以下、単に「リード」という)を介して電力供給される。リードは軸流ファンの風洞を横切ることになるため、リードが風洞内の空気の流れにより振動し、PQ特性低下の要因となる。
【0003】
インペラを駆動するモータはモータハウジングに収容され、このモータハウジングは、モータハウジングから、軸流ファンの風洞を形成するハウジングに向けて延びるリブによって支持される。従来、リードをリブで覆うことでリードの振動を低減する構造が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4033891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来のようにリードをリブで覆う場合、リブが太くなり、風洞面積が減少し、空気の流れに及ぼす影響が大きくなってPQ特性が低下してしまうという問題があった。このため従来はPQ特性の向上に改善の余地があった。
【0006】
本発明の目的は、リードをリブで覆う場合と比較して、PQ特性を向上した軸流ファンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の例示的な第1発明は、吸気側ファンと排気側ファンを直列に配置して成る軸流ファンであって、前記吸気側ファンは、中心軸と、前記中心軸を中心に回転可能な第1インペラと、前記第1インペラを径方向内側で支持する第1モータと、前記第1モータを支持する第1モータハウジングと、前記第1インペラの径方向外側に配置された第1ハウジングと、前記第1モータハウジングと前記第1ハウジングとを接続する第1リブと、前記第1モータハウジングから径方向外側に延びる第1リードと、を備え、前記排気側ファンは、前記中心軸を中心に回転可能な第2インペラと、前記第2インペラを径方向内側で支持する第2モータと、前記第2モータを支持する第2モータハウジングと、前記第2インペラの径方向外側に配置された第2ハウジングと、前記第2モータハウジングと前記第2ハウジングとを接続する第2リブと、前記第2モータハウジングから径方向外側に延びる第2リードと、を備え、前記第1リブと前記第2リブの少なくとも一部は軸方向から見て重なり、前記第1リードと前記第2リードの少なくとも一部は軸方向から見て重なり、前記第1リード及び前記第2リードは、前記第1ハウジングの径方向内側では前記第1リブ及び前記第2リブよりも周方向一方側で、前記第1ハウジングの径方向外側では前記第1リブ及び前記第2リブよりも周方向他方側であり、前記第1リード及び前記第2リードは、前記第1リブよりも前記吸気側ファンの排気側で、且つ前記第2リブよりも前記排気側ファンの吸気側である。
【0008】
本願の例示的な第2発明は、吸気側ファンと排気側ファンを直列に配置して成る軸流ファンであって、前記吸気側ファンは、中心軸と、前記中心軸を中心に回転可能な第1インペラと、前記第1インペラを径方向内側で支持する第1モータと、前記第1モータを支持する第1モータハウジングと、前記第1インペラの径方向外側に配置された第1ハウジングと、前記第1モータハウジングと前記第1ハウジングとを接続する第3リブと、を備え、前記排気側ファンは、前記中心軸を中心に回転可能な第2インペラと、前記第2インペラを支持する第2モータと、前記第2モータを支持する第2モータハウジングと、前記第2インペラの径方向外側に配置された第2ハウジングと、前記第2モータハウジングと前記第2ハウジングとを接続する第4リブと、を備え、前記第3リブと前記第4リブの少なくとも一部は周方向に重なる。
【発明の効果】
【0009】
本願の例示的な第1発明によれば、リードをリブで覆う場合と比較して、PQ特性を向上した軸流ファンを提供することが出来る。
【0010】
本願の例示的な第2発明によれば、PQ特性を向上した軸流ファンを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係るファンを示す斜視図である。
図2】ファン10を、排気側ファン200が吸気側ファン100よりも手前側となる向きで示す斜視図である。
図3】吸気側ファン100を軸方向他方側から見た側面図である。
図4】排気側ファン200を軸方向一方側から見た側面図である。
図5】ファン10のX軸と直交する断面図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る吸気側ファン100Aを軸方向排気口側から見た側面図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る排気側ファン200Aを軸方向吸気口側から見た側面図である。
図8】本発明の第2実施形態に係るファンのX軸と直交する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るファンについて説明する。なお、以下の図面においては、各構成をわかり易くするために、実際の構造と各構造における縮尺及び数等を異ならせる場合がある。
【0013】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Y軸方向は、図1に示す中心軸Jの軸方向と平行な方向とする。Z軸方向は、中心軸Jに対する径方向のうち図1の上下方向とする。X軸方向は、Z軸方向とY軸方向との両方と直交する方向とする。X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向のいずれにおいても、図中に示す矢印が指す側を+側、反対側を−側とする。
【0014】
また、以下の説明においては、Y軸方向の正の側(+Y側)を「フロント側」又は「一方側」と呼び、Y軸方向の負の側(−Y側)を「リア側」又は「他方側」と呼ぶ。なお、リア側(他方側)及びフロント側(一方側)とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定しない。また、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向(Y軸方向)を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周り(θ方向)を単に「周方向」と呼ぶ。径方向において中心軸Jに近づく側を「径方向内側」と呼び、中心軸Jから遠ざかる側を「径方向外側」と呼ぶ。周方向において図中に示す矢印が指す側を+側、反対側を−側とする。周方向の正の側(+θ側)を「一方側」と呼び、周方向の負の側(−θ側)を「他方側」と呼ぶ。
【0015】
なお、本明細書において、「軸方向に延びる」とは、厳密に軸方向(Z軸方向)に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、本明細書において、「径方向に延びる」とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向(Z軸方向)に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また「平行」とは、厳密に平行な場合に加えて、互いに成す角が45°未満の範囲で傾いた場合も含む。
【0016】
[第1実施形態]
<全体構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係るファンを示す斜視図である。ファン10は、軸流ファンである。ファン10は、吸気側ファン100と、排気側ファン200と、を有する。ファン10は、吸気側ファン100と排気側ファン200を直列に配置して成る。吸気側ファン100と排気側ファン200とは軸方向に並ぶ。
図1は、ファン10を、吸気側ファン100が排気側ファン200よりも手前側となる向きで示す斜視図である。
図2は、ファン10を、排気側ファン200が吸気側ファン100よりも手前側となる向きで示す斜視図である。
【0017】
図1に示す通り、吸気側ファン100は、中心軸Jを中心に回転可能なインペラ120と、インペラ120の径方向外側に配置されたハウジング101と、を備える。インペラ120は、図1の矢印Aが示す方向に回転する。インペラ120は、周方向他方側に回転する。周方向一方側は、インペラ120の回転方向前側であり、周方向他方側は、インペラ120の回転方向後側である。
【0018】
ハウジング101は、中心軸Jに沿った軸を有する円筒形状の円筒部103と、円筒部103の軸方向他方側に配置されたフランジ部102と、円筒部103の軸方向一方側に配置されたフランジ部104と、を備える。円筒部103の軸方向他方側の面は、フランジ部102の軸方向他方側の面と面一である。円筒部103の軸方向一方側の面は、フランジ部104の軸方向一方側の面と面一である。
【0019】
図2に示す通り、排気側ファン200は、中心軸Jを中心に回転可能なインペラ220と、インペラ220の径方向外側に配置されたハウジング201と、を備える。インペラ220は、図2の矢印Bが示す方向に回転する。インペラ220は、周方向一方側に回転する。吸気側ファン100の回転方向は、排気側ファン200の回転方向と逆である。ファン10は、二重反転ファンである。
【0020】
ハウジング201は、中心軸Jに沿った軸を有する円筒形状の円筒部203と、円筒部203の軸方向一方側に配置されたフランジ部202と、円筒部203の軸方向他方側に配置されたフランジ部204と、を備える。円筒部203の軸方向一方側の面は、フランジ部202の軸方向一方側の面と面一である。円筒部203の軸方向他方側の面は、フランジ部204の軸方向他方側の面と面一である。
【0021】
ファン10は、フランジ部102の軸方向他方側の面とフランジ部202の軸方向一方側の面とを突き合わせ、吸気側ファン100と排気側ファン200とを例えばボルトによって固定して成る。フランジ部202の軸方向一方側の面は、フランジ部102の軸方向他方側の面と軸方向に対向する。
【0022】
図3は、吸気側ファン100を軸方向他方側から見た側面図である。
吸気側ファン100は、インペラ120と、インペラ120を支持する後述のモータ160を備える。吸気側ファン100は、モータ160を支持するモータハウジング130と、吸気側ファン100の排気側にてモータハウジング130からハウジング101に向けて径方向に延びモータハウジング130を支持するリブ140、145、146、147、148及び149と、を備える。モータハウジング130とリブ140、145、146、147、148及び149とハウジング101とは、例えばダイキャストで形成された同一部材である。
【0023】
リブ140、145、146、147、148及び149は、モータハウジング130からハウジング101に向けて、径方向及び周方向一方側すなわち吸気側ファン100の回転方向前側に傾いて真直ぐ延びる。
【0024】
吸気側ファン100は、モータ160を駆動する駆動回路を実装した基板131を備える。吸気側ファン100は、モータハウジング130から径方向外側に延びるリード150を備える。モータ160は、基板131の端子132に半田付けで接続されたリード150を介して、外部から電力供給される。リード150は、例えばチューブに収容され、チューブの断面は略円形である。
【0025】
リブ140、145、146、147、148及び149の軸方向他方側の面は、フランジ部102の軸方向他方側の面と面一であってもよい。リブ140は、軸方向他方側の面において軸方向一方側に凹む凹部141を備える。端子132とリード150との接続箇所すなわちリード150の径方向内側端部は、リブ140とモータハウジング130との接続箇所よりも周方向一方側に位置する。リード150は、凹部141に嵌る。円筒部103は、軸方向他方側の面において軸方向一方側に凹む凹部135を備える。凹部135は、リブ140とハウジング101との接続箇所よりも周方向他方側に位置する。フランジ部102は、軸方向他方側の面において軸方向一方側に凹む凹部136を備える。リード150は、凹部135及び凹部136に嵌る。
【0026】
図4は、排気側ファン200を軸方向一方側から見た側面図である。
排気側ファン200は、インペラ220と、インペラ220を支持する後述のモータ260を備える。排気側ファン200は、モータ260を支持するモータハウジング230と、排気側ファン200の吸気側にてモータハウジング230からハウジング201に向けて径方向に延び、モータハウジング230を支持するリブ240、245、246、247、248及び249と、を備える。モータハウジング230とリブ240、245、246、247、248及び249とハウジング201とは、例えばダイキャストで形成された同一部材である。
【0027】
リブ240、245、246、247、248及び249は、モータハウジング230からハウジング201に向けて、径方向及び周方向一方側すなわち排気側ファン200の回転方向後側に傾いて真直ぐ延びる。
【0028】
モータハウジング230の軸方向一方側の面は、モータハウジング130の軸方向他方側の面と軸方向に対向する。リブ240の軸方向一方側の面は、リブ140の軸方向他方側の面と軸方向に対向する。リブ140とリブ240の少なくとも一部は軸方向から見て重なる。リブ245の軸方向一方側の面は、リブ145の軸方向他方側の面と軸方向に対向する。リブ246の軸方向一方側の面は、リブ146の軸方向他方側の面と軸方向に対向する。リブ247の軸方向一方側の面は、リブ147の軸方向他方側の面と軸方向に対向する。リブ248の軸方向一方側の面は、リブ148の軸方向他方側の面と軸方向に対向する。リブ249の軸方向一方側の面は、リブ149の軸方向他方側の面と軸方向に対向する。
【0029】
排気側ファン200は、モータ260を駆動する駆動回路を実装した基板231を備える。排気側ファン200は、モータハウジング230から径方向外側に延びるリード250を備える。モータ260は、基板231の端子232に半田付けで接続されたリード250を介して、外部から電力供給される。リード250は、例えばチューブに収容され、チューブの断面は略円形である。
【0030】
リブ240、245、246、247、248及び249の軸方向一方側の面は、フランジ部202の軸方向一方側の面と面一であってもよい。リブ240は、軸方向一方側の面において軸方向他方側に凹む凹部241を備える。端子232とリード250との接続箇所すなわちリード250の径方向内側端部は、リブ240とモータハウジング230との接続箇所よりも周方向一方側に位置する。リード250は、凹部241に嵌る。円筒部203は、軸方向一方側の面において軸方向他方側に凹む凹部235を備える。凹部235は、リブ240とハウジング201との接続箇所よりも周方向他方側に位置する。フランジ部202は、軸方向一方側の面において軸方向他方側に凹む凹部236を備える。リード250は、凹部235及び凹部236に嵌る。
【0031】
リード150とリード250の少なくとも一部は軸方向から見て重なる。リード150及びリード250は、ハウジング101の径方向内側ではリブ140及びリブ240よりも周方向一方側である。リード150及びリード250は、ハウジング101の径方向外側ではリブ140及びリブ240よりも周方向他方側である。リード150及びリード250は、リブ140よりも吸気側ファン100の排気側であり、且つリブ240よりも排気側ファン200の吸気側である。
【0032】
凹部241は、凹部141と軸方向に対向する。凹部235は、凹部135と軸方向に対向する。凹部236は、凹部136と軸方向に対向する。
【0033】
図5は、ファン10をX軸と直交し中心軸Jを通る面で切断して示す側断面図である。図5においては、貫通孔300の形状が見やすいように、リード150及びリード250の図示を省略している。
吸気側ファン100は、モータ160を備える。インペラ120は、モータ160によって回転する。モータハウジング130は、モータ160を収容する。排気側ファン200は、モータ260を備える。インペラ220は、モータ260によって回転する。モータハウジング230は、モータ260を収容する。
【0034】
モータ160は、ステータ161、ロータ162、シャフト163、軸受164、軸受165、及び基板131を備える。基板131及びステータ161は、モータハウジング130に固定される。ロータ162は、ギャップを介してステータ161の径方向外側に配置される。ロータ162は、軸方向一方側からステータ161を覆う有底円筒形状である。シャフト163は、中心軸Jに沿って配置され、ロータ162の回転中心に固定される。シャフト163は、モータハウジング130に固定された軸受164及び165によって回転可能に軸支される。インペラ120は、ロータ162に固定され、ロータ162の回転に伴って、中心軸Jを回転中心として回転する。
【0035】
モータ260は、ステータ261、ロータ262、シャフト263、軸受264、軸受265、及び基板231を備える。基板231及びステータ261は、モータハウジング230に固定される。ロータ262は、ギャップを介してステータ261の径方向外側に配置される。ロータ262は、軸方向一方側からステータ261を覆う有底円筒形状である。シャフト263は、中心軸Jに沿って配置され、ロータ262の回転中心に固定される。シャフト263は、モータハウジング230に固定された軸受264及び265によって回転可能に軸支される。インペラ220は、ロータ262に固定され、ロータ262の回転に伴って、中心軸Jを回転中心として回転する。
【0036】
リード150及びリード250は、凹部141と凹部241とで形成された貫通孔300を貫通する。貫通孔300は、径方向から見て、楕円又は長円形である。また、リブ140及びリブ240は、リード150及びリード250と接触する面が曲面である。リード150及びリード250は、リブ140及びリブ240によって挟まれて固定される。このため、空気の流れによる振動を低減し、PQ特性の低下を抑制することが出来る。
【0037】
なお、本実施形態では、それぞれ別の線であるリード150及びリード250が貫通孔300を貫通するようにしたが、リード150及びリード250をまとめて一つのチューブに収容して1本の線とし、そのチューブが貫通孔300を貫通するようにしてもよい。
【0038】
<ファン10の作用・効果>
次に、ファン10の作用・効果について説明する。
【0039】
上述の実施形態に係る発明においては、吸気側ファンと排気側ファンを直列に配置して成る軸流ファンであって、前記吸気側ファンは、中心軸と、前記中心軸を中心に回転可能な第1インペラと、前記第1インペラを径方向内側で支持する第1モータと、前記第1モータを支持する第1モータハウジングと、前記第1インペラの径方向外側に配置された第1ハウジングと、前記第1モータハウジングと前記第1ハウジングとを接続する第1リブと、前記第1モータハウジングから径方向外側に延びる第1リードと、を備え、前記排気側ファンは、前記中心軸を中心に回転可能な第2インペラと、前記第2インペラを径方向内側で支持する第2モータと、前記第2モータを支持する第2モータハウジングと、前記第2インペラの径方向外側に配置された第2ハウジングと、前記第2モータハウジングと前記第2ハウジングとを接続する第2リブと、前記第2モータハウジングから径方向外側に延びる第2リードと、を備え、前記第1リブと前記第2リブの少なくとも一部は軸方向から見て重なり、前記第1リードと前記第2リードの少なくとも一部は軸方向から見て重なり、前記第1リード及び前記第2リードは、前記第1ハウジングの径方向内側では前記第1リブ及び前記第2リブよりも周方向一方側で、前記第1ハウジングの径方向外側では前記第1リブ及び前記第2リブよりも周方向他方側であり、前記第1リード及び前記第2リードは、前記第1リブよりも前記吸気側ファンの排気側で、且つ前記第2リブよりも前記排気側ファンの吸気側である。
第1リード及び第2リードを、第1リブと第2リブとで固定することが出来るので、リードを固定していない場合と比べてPQ特性の低下を抑制することが出来る。
【0040】
また、前記周方向一方側は、前記第1インペラの回転方向前側であり、前記周方向他方側は、前記第1インペラの回転方向後側である。
径方向外側で、第1リード及び第2リードは、第1リブ及び第2リブの負圧面側に位置するので、空気の流れの乱れを抑制することが出来、高い風量特性を得ることが出来る。
【0041】
また、前記第1リブは、前記第1モータハウジングから前記第1ハウジングに向けて、径方向及び前記吸気側ファンの回転方向前側に傾いて真直ぐ延びる。
吸気側ファンのインペラの回転により、第1リブと径方向外側から順次交差することで、空気の乱れを少なくすることが出来、騒音を抑制することが出来る。
【0042】
また、前記第1リブは、軸方向他方側が軸方向一方側に凹む第1凹部を有し、前記第2リブは、前記第1凹部と軸方向に対向する位置に、軸方向一方側が軸方向他方側に凹む第2凹部を有し、前記第1リード及び前記第2リードは、前記第1凹部と前記第2凹部とで形成された貫通孔を貫通する。
第1リード及び第2リードは貫通孔を貫通するので、第1リード及び第2リードを傷付けにくくすることが出来る。
【0043】
また、前記貫通孔は、径方向から見て、楕円又は長円形であってもよい。
第1リード及び第2リードは、径方向に延びるチューブに入り、径方向からみて略円形である。貫通孔を径方向からみて略楕円、又は長円形とすることで、リードが径方向に真直ぐ延び、風洞を遮る面積を少なくすることができるため、空気の乱れを少なくすることが出来、高い風量特性を得ることが出来る。前記貫通孔の形状は、貫通するリードを圧迫しすぎることなく、リードに大きな変形を与えない形状であればよい。
【0044】
また、前記第1リブ及び前記第2リブは、前記第1リード及び前記第2リードと接触する面が曲面である。
第1リブ及び第2リブは、第1リード及び第2リードと曲面で接触するので、第1リード及び第2リードを傷付けにくくすることが出来る。
【0045】
第1リブの少なくとも一部は、第2リブの凹部に嵌る(図5参照)。
金型での成形が容易な凹部形状の組み合わせで貫通孔を設けることができる。また、リードが貫通孔に収まりやすい形状とすることで、空気の乱れを生じにくい。
【0046】
また、前記吸気側ファンは、前記第1モータハウジングから前記第1ハウジングに向けて径方向に延び、前記吸気側ファンの排気側で前記第1モータハウジングを支持する複数の第3リブを備え、前記排気側ファンは、前記第2モータハウジングから前記第2ハウジングに向けて径方向に延び、前記排気側ファンの吸気側で前記第2モータハウジングを支持する複数の第4リブを備える。
第1モータハウジング及び第2モータハウジングを安定して支持することが出来る。
【0047】
また、前記吸気側ファンの回転方向は、前記排気側ファンの回転方向と逆である。
吸気側ファンの回転方向と排気側ファンの回転方向が逆な二重反転ファンとすることで、高い静圧特性を得ることが出来る。
【0048】
更に、複数のリブの周方向の間隔が異なる二重反転ファンは、以下の様な特徴と効果がある。
【0049】
前記第1リブ、前記第2リブ、前記複数の第3リブ、および、前記複数の第4リブの周方向の間隔は、それぞれ異なる。
複数のリブの周方向の間隔が異なることで、周方向に回転するインペラに備えられた翼と軸方向に重なるタイミングが異なり、騒音を抑制できる。ここで、前記第1リブと前記第2リブは、すくなくとも 一部が軸方向に重なり、一体となっているリブ形状である。
【0050】
また、前記第1リブ、前記複数の第3リブ、および、前記複数の第4リブの周方向の間隔は、周方向に回転する前記第1インペラに備えられた複数の翼と軸方向に同時に重なるタイミングが異なる。
複数のリブと複数の翼が軸方向に重なるタイミングが異なることで、騒音を抑制できる。
【0051】
また、前記第1リブ、前記複数の第3リブ、および、前記複数の第4リブの周方向の間隔は、周方向に回転する前記第2インペラに備えられた複数の翼と軸方向に同時に重なるタイミングが異なる。
複数のリブと複数の翼が軸方向に重なるタイミングが異なることで、騒音を抑制できる。
【0052】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
軸流ファンのインペラを駆動するモータは軸流ファンの風洞の中心に配置され、モータを支えるためのリブが設けられる。吸気側ファンのリブと排気側ファンのリブの一部は軸方向に重なり一体となっている。しかし、その接続部により空気の流れが乱され、PQ特性の低下の要因となっている。
本実施形態によれば、PQ特性をより向上した軸流ファンを提供することが出来る。
【0053】
図6は、本発明の第2実施形態に係る吸気側ファン100Aを軸方向他方側から見た側面図である。図6において、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付している。
吸気側ファン100Aは、モータ160を支持するモータハウジング130Aと、吸気側ファン100Aの排気側にてモータハウジング130Aからハウジング101Aに向けて径方向に延びモータハウジング130Aを支持するリブ140A、146A、及び148Aと、を備える。モータハウジング130Aとリブ140A、146A及び148Aとハウジング101Aとは、例えばダイキャストで形成された同一部材である。
【0054】
リブ140A、146A及び148Aは、モータハウジング130Aからハウジング101Aに向けて延びるとともに、軸方向他方側に延び、後述するリブ245A、247A及び249Aの少なくとも一部と周方向に重なる。
【0055】
リブ140A及びリブ240Aは、軸方向他方側の面において軸方向一方側に凹む凹部141を備えてもよいが、凹部の最も軸方向一方側はフランジ部102Aまたは202Aの軸方向他方側の面よりも軸方向他方側であることが望ましい。
【0056】
図7は、本発明の第2実施形態に係る排気側ファン200Aを吸気口側から見た側面図である。図7において、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付している。
排気側ファン200Aは、モータ260を支持するモータハウジング230Aと、排気側ファン200Aの吸気側にてモータハウジング230Aからハウジング201Aに向けて径方向に延び、モータハウジング230を支持するリブ240A、245A、247A、及び249Aと、を備える。モータハウジング230Aとリブ240A、245A、247A、及び249Aとハウジング201Aとは、例えばダイキャストで形成された同一部材である。
【0057】
リブ240Aは、モータハウジング230Aからハウジング201Aに向けて延びる。
リブ245A、247A及び249Aは、モータハウジング230Aからハウジング201Aに向けて延びるとともに、軸方向一方側に延びリブ140A、146A及び148Aの少なくとも一部と周方向に重なる。
【0058】
モータハウジング230Aの軸方向一方側の面は、モータハウジング130Aの軸方向他方側の面と軸方向に対向する。リブ240Aの軸方向一方側の面は、リブ140Aの軸方向他方側の面と軸方向に対向する。リブ140Aとリブ240Aの少なくとも一部は軸方向から見て重なる。
【0059】
図8は、本発明の第2実施形態に係るファンのX軸と直交する断面図である。図8において、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付している。
【0060】
<第2実施形態の作用・効果>
次に、第2実施形態の作用・効果について説明する。
【0061】
上述の実施形態に係る発明においては、
吸気側ファンと排気側ファンを直列に配置して成る軸流ファンであって、
前記吸気側ファンは、
中心軸と、
前記中心軸を中心に回転可能な第1インペラと、
前記第1インペラを径方向内側で支持する第1モータと、
前記第1モータを支持する第1モータハウジングと、
前記第1インペラの径方向外側に配置された第1ハウジングと、
前記第1モータハウジングと前記第1ハウジングとを接続する第3リブと、
を備え、
前記排気側ファンは、
前記中心軸を中心に回転可能な第2インペラと、
前記第2インペラを支持する第2モータと、
前記第2モータを支持する第2モータハウジングと、
前記第2インペラの径方向外側に配置された第2ハウジングと、
前記第2モータハウジングと前記第2ハウジングとを接続する第4リブと、
を備え、
前記第3リブと前記第4リブの少なくとも一部は周方向に重なる。
前記第3リブと前記第4リブが周方向に重なることで軸方向につなぎ目の無いリブとすることが出来るので、つなぎ目により空気の乱れがなく、PQ特性の低下を抑制することが出来る。
また、前記第3リブと前記第4リブを軸方向に厚くなるので、リブの強度を増すことが出来るので、振動を抑制し、PQ特性の改善とともに、騒音を低減することができる。
【0062】
前記第3リブは、前記第4リブの排気側端面部まで突出する第3突出部を備える。
前記第3リブと前記第4リブの排気側端面部を同じとすることで、前記第3リブと前記第4リブによるPQ特性への効果を同等とすることが出来る。
【0063】
前記第4リブは、前記第3リブの吸気側端面部まで突出する第4突出部を備える。
前記第4リブと前記第3リブの吸気側端面部を同じとすることで、前記第4リブと前記第3リブによるPQ特性への効果を同等とすることができる。
【0064】
前記第1モータハウジングと前記第1ハウジングとを径方向に接続する第1リブと、
前記第2モータハウジングと前記第2ハウジングとを径方向に接続する第2リブと、
を備え、
前記第1リブ又は、前記第2リブのどちらかは、軸方向一方側に突出する軸方向突出部と、を更に備え、
前記軸方向突出部は、軸方向他方側に凹む他方側凹部を備える。
前記軸方向突出部に他方側凹部を備えることで、前記第1リブ又は、前記第2リブの強度を損なうことなく、凹部を設けることができる。
【0065】
前記吸気側モータは、前記第1モータハウジングから径方向外側に延びる第1リードと、を備え、
前記排気側モータは、前記第2モータハウジングから径方向外側に延びる第2リードと、を備え、
前記第1リードと前記第2リードの少なくとも一部は前記他方側凹部に嵌る。
【0066】
前記第1リブと前記第2リブの少なくとも一部は軸方向から見て重なる。
前記第1リブと前記第2リブが軸方向から見て重なることで、前記他方側凹部と孔を形成することが出来る。孔にリード等を通すことでリードなどの振動を抑制出来る。
【0067】
上述した実施形態のモータの用途は、特に限定されない。また、上述した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることが出来る。
【0068】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲及び要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
10 ファン
100 吸気側ファン
200 排気側ファン

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8