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特開2021-195950前縁の内面に熱伝達突起を有する鋳造タービンノズル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-195950(P2021-195950A)
(43)【公開日】2021年12月27日
(54)【発明の名称】前縁の内面に熱伝達突起を有する鋳造タービンノズル
(51)【国際特許分類】
   F01D 9/02 20060101AFI20211129BHJP
【FI】
   F01D9/02 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2021-89500(P2021-89500)
(22)【出願日】2021年5月27日
(31)【優先権主張番号】202011024646
(32)【優先日】2020年6月11日
(33)【優先権主張国】IN
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・ウォルター・ニューマン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・デビット・ルイス
(72)【発明者】
【氏名】デブドゥラル・ダース
【テーマコード(参考)】
3G202
【Fターム(参考)】
3G202GA08
3G202GB01
3G202JJ02
3G202JJ15
3G202JJ31
3G202JJ32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】鋳造タービンノズル、タービンノズルセクション、およびタービンを提供する。
【解決手段】鋳造タービンノズルは、本体であって、負圧側面、負圧側面に対向する正圧側面、正圧側面と負圧側面との間にまたがる前縁、前縁に対向し、正圧側面と負圧側面との間にまたがる後縁、および本体の内面によって画定された冷却空洞を含む本体を有する翼形部を含む。ノズルはまた、負圧側面、正圧側面、後縁、および前縁に沿って翼形部と接続された少なくとも1つの端壁と、本体内で内面から内側に延びる複数の熱伝達突起であって、半径方向に互い違いの柱状パターンで前縁から負圧側面および正圧側面に沿って延びる複数の熱伝達突起とを含む。内面は、隣接する熱伝達突起の間に延びる平面を含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(128)であって、負圧側面(132)、前記負圧側面(132)に対向する正圧側面(134)、前記正圧側面(134)と前記負圧側面(132)との間にまたがる前縁(136)、前記前縁(136)に対向し、前記正圧側面(134)と前記負圧側面(132)との間にまたがる後縁(138)、および前記本体(128)の内面(152)によって画定された冷却空洞(150)を含む本体(128)を有する翼形部(130)と、
前記負圧側面(132)、前記正圧側面(134)、前記後縁(138)、および前記前縁(136)に沿って前記翼形部(130)と接続された少なくとも1つの端壁(120、122)と、
前記冷却空洞(150)内で前記本体(128)の前記内面(152)から内側に延びる複数の熱伝達突起(160)であって、半径方向に互い違いの柱状パターンで前記前縁(136)から前記負圧側面(132)および前記正圧側面(134)に沿って延びる複数の熱伝達突起(160)と
を備え、
前記内面(152)は、隣接する熱伝達突起(160)の間に延びる平面(164)を含む、
鋳造タービン(108)ノズル(112)。
【請求項2】
前記タービン(108)ノズル(112)は、第2段ノズル(112)を含む、請求項1に記載の鋳造タービン(108)ノズル(112)。
【請求項3】
前記複数の熱伝達突起(160)の各熱伝達突起(160)は、その高さ(H)を通る円錐台形の断面を有する、請求項1に記載の鋳造タービン(108)ノズル(112)。
【請求項4】
前記複数の熱伝達突起(160)の各熱伝達突起(160)は、隣接する熱伝達突起(160)の間の前記冷却空洞(150)の前記内面(152)と平行な最内面(170)を有する、請求項3に記載の鋳造タービン(108)ノズル(112)。
【請求項5】
各熱伝達突起(160)は、その幅を通る円形の断面を有する、請求項3に記載の鋳造タービン(108)ノズル(112)。
【請求項6】
前記冷却空洞(150)内にインピンジメントスリーブ(154)をさらに備え、前記インピンジメントスリーブ(154)は、前記内面(152)に対しておよび前記複数の熱伝達突起(160)の周りに冷却剤を導くように構成された複数の孔(156)を含む、請求項1に記載の鋳造タービン(108)ノズル(112)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの端壁(120、122)は、内側端壁(122)または外側端壁(120)を含む、請求項1に記載の鋳造タービン(108)ノズル(112)。
【請求項8】
前記内面(152)に対する各熱伝達突起(160)の最内幅(W1)と各熱伝達突起(160)の最外幅(W2)の比は、0.2〜0.9の範囲である、請求項1に記載の鋳造タービン(108)ノズル(112)。
【請求項9】
各熱伝達突起(160)の前記最内幅(W1)は、0.2ミリメートル〜0.8ミリメートルの範囲である、請求項8に記載の鋳造タービン(108)ノズル(112)。
【請求項10】
前記内面(152)からの各熱伝達突起(160)の高さ(H)は、0.5ミリメートル〜1.0ミリメートルの範囲である、請求項1に記載の鋳造タービン(108)ノズル(112)。
【請求項11】
前記複数の熱伝達突起(160)の前記半径方向に互い違いの柱状パターンは、互いに対して半径方向に互い違いに配置された複数の半径方向に延びる列(176)を含み、同じ半径方向に延びる列(176)における熱伝達突起(160)の中心間の第1の半径方向距離(R1)は、0.9ミリメートル〜1.4ミリメートルの範囲であり、隣接する半径方向に延びる列(176)における軸方向に隣接する熱伝達突起(160)の中心間の第2の半径方向距離(R2)は、0.3ミリメートル〜0.9ミリメートルの範囲であり、
前記熱伝達突起(160)の隣接する半径方向に延びる列(176)の間の軸方向距離(AD)は、0.8ミリメートル〜1.3ミリメートルの範囲である、
請求項1に記載の鋳造タービン(108)ノズル(112)。
【請求項12】
前記複数の熱伝達突起(160)は、負圧側面(132)に沿ってキャンバ長さ(CL)の28%〜32%の範囲で延び、正圧側面(134)に沿って前記キャンバ長さ(CL)の9%〜13%の範囲で延びる、請求項1に記載の鋳造タービン(108)ノズル(112)。
【請求項13】
タービン(108)用のノズル(112)セクションであって、前記ノズル(112)セクションは、
一組のノズル(112)であって、前記一組のノズル(112)は、
本体(128)であって、負圧側面(132)、前記負圧側面(132)に対向する正圧側面(134)、前記正圧側面(134)と前記負圧側面(132)との間にまたがる前縁(136)、前記前縁(136)に対向し、前記正圧側面(134)と前記負圧側面(132)との間にまたがる後縁(138)、および前記本体(128)内に画定された内面(152)を有する冷却空洞(150)を含む本体(128)を有する翼形部(130)と、
前記負圧側面(132)、前記正圧側面(134)、前記後縁(138)、および前記前縁(136)に沿って前記翼形部(130)と接続された少なくとも1つの端壁(120、122)と、
前記本体(128)内で前記内面(152)から内側に延びる複数の熱伝達突起(160)であって、半径方向に互い違いの柱状パターンで前記前縁(136)から前記負圧側面(132)および前記正圧側面(134)に沿って延びる複数の熱伝達突起(160)と
を有する少なくとも1つの鋳造ノズル(112)を含み、
前記内面(152)は、隣接する熱伝達突起(160)の間に延びる平面(164)を含む、
一組のノズル(112)
を備える、ノズル(112)セクション。
【請求項14】
前記静的ノズル(112)セクションは、第2段ノズル(112)セクションである、請求項13に記載のノズル(112)セクション。
【請求項15】
前記複数の熱伝達突起(160)の各熱伝達突起(160)は、その高さ(H)を通る円錐台形の断面を有する、請求項13に記載のノズル(112)セクション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ターボ機械に関し、より詳細には、翼形部における冷却空洞の前縁の内面に熱伝達突起を有する鋳造タービンノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
タービンノズルは、冷却剤を導いて翼形部を冷却するために翼形部本体内に冷却空洞を含む。冷却空洞は、冷却空洞を画定する翼形部本体の内面に対して冷却剤を導くインピンジメント冷却スリーブのための空間を提供する。特定のノズル段では、タービンノズルの前縁の半径を小さくすることが有利であり、これにより翼形部が狭くなる。より狭い翼形部は、従来のインピンジメント冷却による冷却の維持をより困難にする。
【発明の概要】
【0003】
本開示の第1の態様は、本体であって、負圧側面、負圧側面に対向する正圧側面、正圧側面と負圧側面との間にまたがる前縁、前縁に対向し、正圧側面と負圧側面との間にまたがる後縁、および本体の内面によって画定された冷却空洞を含む本体を有する翼形部と、負圧側面、正圧側面、後縁、および前縁に沿って翼形部と接続された少なくとも1つの端壁と、冷却空洞内で本体の内面から内側に延びる複数の熱伝達突起であって、半径方向に互い違いの柱状パターンで前縁から負圧側面および正圧側面に沿って延びる複数の熱伝達突起とを含み、内面は、隣接する熱伝達突起の間に延びる平面を含む、鋳造タービンノズルを提供する。
【0004】
本開示の第2の態様は、タービン用のノズルセクションであって、ノズルセクションは、一組のノズルであって、一組のノズルは、本体であって、負圧側面、負圧側面に対向する正圧側面、正圧側面と負圧側面との間にまたがる前縁、前縁に対向し、正圧側面と負圧側面との間にまたがる後縁、および本体の内面によって画定された冷却空洞を含む本体を有する翼形部と、負圧側面、正圧側面、後縁、および前縁に沿って翼形部と接続された少なくとも1つの端壁と、冷却空洞内で本体の内面から内側に延びる複数の熱伝達突起であって、半径方向に互い違いの柱状パターンで前縁から負圧側面および正圧側面に沿って延びる複数の熱伝達突起とを有する少なくとも1つの鋳造ノズルを含み、内面は、隣接する熱伝達突起の間に延びる平面を含む、一組のノズルを有する、ノズルセクションを提供する。
【0005】
本開示の第3の態様は、複数の鋳造タービンノズルを含むタービンであって、鋳造タービンノズルの各々は、負圧側面、負圧側面に対向する正圧側面、正圧側面と負圧側面との間にまたがる前縁、前縁に対向し、正圧側面と負圧側面との間にまたがる後縁、および本体の内面によって画定された冷却空洞を含む本体を有する翼形部と、負圧側面、正圧側面、後縁、および前縁に沿って翼形部と接続された少なくとも1つの端壁と、冷却空洞内で本体の内面から内側に延びる複数の熱伝達突起であって、半径方向に互い違いの柱状パターンで前縁から負圧側面および正圧側面に沿って延びる複数の熱伝達突起とを備え、内面は、隣接する熱伝達突起の間に延びる平面を含む、タービンを提供する。
【0006】
本開示の例示的な態様は、本明細書で説明される問題および/または論じられていない他の問題を解決するように設計されている。
【0007】
本開示のこれらおよび他の特徴は、本開示の様々な実施形態を図示する添付の図面と併せて、本開示の様々な態様に関する以下の詳細な説明から、さらに容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態による、燃焼タービンまたはガスタービン(GT)システムの形態の例示的なターボ機械の概略図である。
図2図1のターボ機械と共に使用することができる4段タービンを有する例示的なガスタービンアセンブリの断面図である。
図3】本開示の様々な実施形態による、熱伝達突起を有する翼形部を含む例示的な一対のタービンノズルの概略斜視図である。
図4】本開示の実施形態による、タービンノズルと共に使用するための例示的なインピンジメントスリーブの斜視図である。
図5】本開示の実施形態による、タービンノズルセクションにおける一対の鋳造タービンノズルの俯瞰斜視図である。
図6】本開示の実施形態による、鋳造タービンノズルのわずかに拡大された俯瞰斜視図である。
図7】本開示の実施形態による、いくつかの熱伝達突起の斜視図である。
図8】本開示の実施形態による、熱伝達突起の頂部を見た冷却空洞の内面の平面図である。
図9】本開示の実施形態による、図8の線9−9に沿った熱伝達突起の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の図面は、必ずしも原寸に比例しないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様だけを図示することを意図しており、したがって、本開示の範囲を限定するものと考えるべきではない。図面では、類似する符号は、図面間で類似する要素を表す。
【0010】
最初の問題として、本開示の主題を明確に説明するために、ターボ機械内の関連する機械構成要素を参照して説明するときに、特定の専門用語を選択することが必要になる。可能な限り、一般的な工業専門用語が、その受け入れられた意味と同じ意味で使用および利用される。別途記載のない限り、このような専門用語は、本出願の文脈および添付の特許請求の範囲と一致する広義の解釈を与えられるべきである。当業者であれば、多くの場合、特定の構成要素がいくつかの異なるまたは重複する用語を使用して参照されることがあることを理解するであろう。単一の部品であるとして本明細書に記載され得るものは、複数の構成要素からなるものとして別の文脈を含み、かつ別の文脈で参照されてもよい。あるいは、複数の構成要素を含むものとして本明細書に記載され得るものは、単一の部品として他の場所で参照されてもよい。
【0011】
加えて、本明細書ではいくつかの記述的用語を規則通りに使用することができ、このセクションの始めにこれらの用語を定義することが有用であることが分かるはずである。これらの用語およびその定義は、別途記載のない限り、以下の通りである。本明細書で使用する場合、「下流」および「上流」は、翼形部内のポストインピンジメント空間内の冷却剤などの流体の流れ、または例えば、燃焼器を通る空気の流れに対する方向を示す用語である。「下流」という用語は、流体の流れの方向に対応し、「上流」という用語は、流れの反対の方向を指す。「前方」および「後方」という用語は、別途指定のない限り、方向を指し、「前方」はエンジンの前部または圧縮機端部を指し、「後方」はターボ機械の後部セクションを指す。
【0012】
多くの場合、中心軸線に関して異なる半径方向位置に配置された部品を記述することが要求される。「半径方向」という用語は、軸線に垂直な移動または位置を指す。例えば、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸線に近接して位置する場合には、本明細書では、第1の構成要素は第2の構成要素の「半径方向内側」または「内方」にあると述べる。一方、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸線から遠くに位置する場合には、本明細書では、第1の構成要素は第2の構成要素の「半径方向外側」または「外方」にあると述べることができる。「軸方向」という用語は、軸線に平行な移動または位置を指す。最後に、「円周方向」という用語は、軸線周りの移動または位置を指す。このような用語は、タービンの中心軸線に関連して適用することができることが理解されよう。
【0013】
加えて、以下に記載のように、本明細書ではいくつかの記述的用語を規則通りに使用することができる。「第1の」、「第2の」、および「第3の」という用語は、ある構成要素を別の構成要素から区別するために交換可能に使用することができ、個々の構成要素の場所または重要性を示すことを意図するものではない。
【0014】
本明細書で使用される専門用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「この(the)」は、特に明示しない限り、複数形も含むことを意図している。「備える(comprise)」および/または「備えている(comprising)」という用語は、本明細書で使用する場合、記載した特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素が存在することを明示するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの組が存在することまたは追加することを除外しないことがさらに理解されよう。「任意選択の」または「任意選択で」は、後で述べられる事象もしくは状況が起こる場合も起こらない場合もあること、または後で述べられる要素もしくは特徴が存在する場合もしない場合もあることを意味し、この記述は、その事象が起こる(または特徴が存在する)事例と、起こらない(または存在しない)事例とを含むことを意味する。
【0015】
ある要素または層が別の要素または層に対して「上に」、「係合される」、「接続される」、または「結合される」と言及される場合には、他の要素または層に対して直接上に、係合され、接続され、または結合されてもよいし、あるいは介在する要素または層が存在してもよい。逆に、ある要素が別の要素または層に対して「直接上に」、「直接係合される」、「直接接続される」、または「直接結合される」と言及される場合には、介在する要素または層は存在しなくてもよい。要素間の関係について説明するために使用される他の語も、同様に解釈されるべきである(例えば、「〜の間に」に対して「直接〜の間に」、「〜に隣接して」に対して「直接〜に隣接して」など)。本明細書で使用する場合、「および/または」という用語は、関連する列挙された項目のいずれかおよび1つまたは複数のすべての組み合わせを含む。
【0016】
本開示の実施形態は、鋳造タービンノズル、タービンノズルセクション、およびタービンを提供する。タービンノズルは、その翼形部における冷却空洞の内面に複数の熱伝達突起を含む。熱伝達突起は、部品寿命、タービン効率、および動力出力を維持するための改善された冷却効果を提供する。より詳細には、熱伝達突起(または「バンプ」)は、翼形部の内部の表面積を増加させ、空気流および「トリッピング」境界層の流れを乱すことによって追加の熱伝達効果を提供し、平坦で強化されていない表面と比較してエネルギーの交換(熱伝達)を増加させる。熱伝達突起は、翼形部本体の一部、すなわち前縁を含んで前縁を囲むエリアにのみ適用され、より狭い翼形部に対する前縁から下流の過熱を防止する。
【0017】
図面を参照すると、図1は、燃焼タービンまたはガスタービン(GT)システム100(以下、「GTシステム100」)の形態の例示的なターボ機械90の概略図である。GTシステム100は、圧縮機102と、燃焼器104とを含む。燃焼器104は、燃焼領域105と、1つまたは複数の燃料ノズルを含むヘッドエンドアセンブリ106とを含む。GTシステム100はまた、タービン108と、共通の圧縮機/タービンシャフト110(以下、「ロータ110」と呼ぶ)とを含む。一実施形態では、GTシステム100は、サウスカロライナ州グリーンビルのゼネラルエレクトリック社から市販されている、6F.03 FL18エンジンである。本開示は、いかなる特定のGTシステムに限定されるものではなく、例えば、ゼネラルエレクトリック社の他のHA、F、B、LM、GT、TM、およびEクラスのエンジンモデル、ならびに他社のエンジンモデルを含む他のエンジンと関連して実装することができる。さらに、本開示の教示は、必ずしもGTシステムのみに適用可能ではなく、他のタイプのターボ機械、例えば、蒸気タービン、ジェットエンジン、圧縮機などのブレードおよび/またはノズルに適用することができる。
【0018】
動作中、空気は圧縮機102を通って流れ、圧縮空気が燃焼器104に供給される。具体的には、圧縮空気は、燃焼器104に一体化されたヘッドエンドアセンブリ106内の燃料ノズルに供給される。ヘッドエンドアセンブリ106は、燃焼領域105と流れ連通する。ヘッドエンドアセンブリ106内の燃料ノズルはまた、燃料源(図1には図示せず)と流れ連通し、燃料ノズルは、燃料および空気を燃焼領域105に送る。燃焼器104は、燃料に点火して燃焼させ、燃焼生成物を生成する。例示的な実施形態では、ヘッドエンドアセンブリ106を有する複数の燃焼器104が存在し、ヘッドエンドアセンブリ106ごとに1つまたは複数の燃料ノズルがある。燃焼器104は、その中で燃焼生成物からのガス流熱エネルギーが機械的回転エネルギーに変換されるタービン108と流れ連通する。
【0019】
タービン108は、ロータ110に回転可能に結合されてロータ110を駆動する。圧縮機102はまた、ロータ110に回転可能に結合される。ロータ110の少なくとも1つの端部は、タービン108から離れて軸方向に延びてもよく、限定はしないが、発電機、負荷圧縮機、および/または別のタービンなどの負荷または機械(図示せず)に取り付けられてもよい。
【0020】
図2は、図1のGTシステム100と共に使用することができる4つの段L0〜L3を有するタービン108の例示的な部分の断面図を示す。4つの段は、L0、L1、L2、およびL3と呼ばれる。段L0は、最初の段であり、4つの段のうちの(半径方向に)最小の段である。段L1は、軸方向において最初の段の次の2番目の段である。段L2は、3番目の段であり、軸方向において2番目の段の次の段である。段L3は、軸方向において最後の4番目の段であり、そのブレードは(半径方向に)最大である。4つの段は一例としてのみ示されており、各タービンは4つよりも多いまたは少ない段を有してもよいことを理解されたい。
【0021】
一組の静止ベーンまたはノズル112は、一組の回転ブレード114と協働してタービン108の各段L0〜L3を形成し、タービン108を通る流路の一部を画定する。各組の回転ブレード114は、回転ブレード114をロータ110(図1)に円周方向に結合するそれぞれのロータホイール116に結合される。すなわち、複数の回転ブレード114が、各ロータホイール116に円周方向に間隔を空けて機械的に結合される。静的ノズルセクション115が、ロータ110の周りに円周方向に間隔を空けて配置された複数の静止ノズル112を含む。各ノズル112は、翼形部130と接続された少なくとも1つの端壁(またはプラットフォーム)120、122を含むことができる。図示の例では、ノズル112は、半径方向外側端壁120と、半径方向内側端壁122とを含む。半径方向外側端壁120は、ノズル112をタービン108のケーシング124に結合する。特定の実施形態では、静的ノズルセクション115は、第2段ノズルセクション、すなわち、図2の段L1である。
【0022】
図3を参照すると、ノズルの部品をより良好に示す様々な実施形態による、鋳造タービンノズル(または単に、ノズル)112の概略斜視図が示されている。図3では、2つのノズル112が静的ノズルセクション115の一部として示されている。このようにして、各ノズル112は静止ノズルであり、前述のように、静的ノズルセクション115(図2)の一部を形成し、タービン(例えば、タービン108)の段で静止ノズルの環の一部を形成する。タービン(例えば、タービン108)の動作中、ノズル112は、作動流体(例えば、ガスまたは蒸気であり得る)の流れを1つまたは複数の可動ブレード(例えば、ブレード114)に導くために静止したままであり、これらの可動ブレードにロータ110の回転を開始させる。ノズル112は、複数の同様または別個のノズル(例えば、ノズル112または他のノズル)と結合(ファスナ、溶接、スロット/溝などを介して機械的に結合)し、タービン108の段L0〜L3でノズルの環を形成するように構成され得ることが理解される。
【0023】
各タービンノズル112は、凸状負圧側面132と、負圧側面132に対向する凹状正圧側面134(図3では遮られている)とを有する翼形部130を有する本体128を含むことができる。ノズル112はまた、正圧側面134と負圧側面132との間にまたがる前縁136と、前縁136に対向し、正圧側面134と負圧側面132との間にまたがる後縁138とを含むことができる。示すように、また前述したように、ノズル112はまた、負圧側面132、正圧側面134、後縁138、および前縁136に沿って翼形部130と接続された少なくとも1つの端壁120、122(2つを示す)を含むことができる。図示の例では、各ノズル112は、半径方向外側端壁120と、半径方向内側端壁122とを含む。半径方向外側端壁120は、静的ノズルセクション115(図2)の半径方向外側に整列し、それぞれのノズル112をタービン108(図2)のケーシング124(図2)に結合するように構成される。半径方向内側端壁122は、静的ノズルセクション115(図2)の半径方向内側に整列するように構成される。
【0024】
様々な実施形態において、各ノズル112は、翼形部130と各それぞれの端壁120、122を接続するフィレット140、142を含む。フィレット140は、従来の金属不活性ガス(MIG)溶接、タングステン不活性ガス(TIG)溶接、ろう付けなどを介して形成することができる溶接またはろう付けフィレットを含むことができる。フィレット140、142は、翼形部130の一部に重なることができる。重なりの程度は、ノズルごと、段ごと、および/またはタービンごとに異なり得る。
【0025】
本開示の実施形態による各ノズル112は、鋳造され、例えば、鋳型に注がれ硬化された溶融材料によって形成される。ノズル112は、タービン108内の環境に耐えることが可能な、超合金などの任意の現在知られているまたは今後開発される金属または金属合金を含んでもよい。
【0026】
各ノズル112はまた、本体128内に画定された内面152を有する冷却空洞150を含むことができる。図4は、各冷却空洞150に挿入された例示的なインピンジメントインサートまたはスリーブ154の斜視図を示す。すなわち、動作中、インピンジメントスリーブ154は、冷却空洞150内に位置決めされる。図示のように、インピンジメントスリーブ154は、内面152に対しておよび複数の熱伝達突起160(図5図7に示す)の周りに冷却剤を導くように構成された複数の孔156を含む。当技術分野で理解されているように、冷却空洞150は、圧縮機102からの加圧空気などの冷却剤源に流体結合される。冷却剤は、インピンジメントインサート154における孔156を通過して内面152に衝突し、ノズル112を冷却する。ポジショナ158が、内面152からインピンジメントスリーブ154を離間させ、それらの間にインピンジメント冷却エリアを形成することができる。
【0027】
タービン108の特定の商業的実施形態では、異なる(例えば、より小さい)ガスタービン100のタービン108で使用するためにノズル112をスケーリングすることが有利であることが分かっている。したがって、ノズル112のサイズ(特に、翼形部130)がより小さくおよび/またはより狭くなり、その結果、前縁136の半径がますます小さくなる。より狭い翼形部130は、従来のインピンジメント冷却による前縁136の冷却をより困難にする。例えば、タービンノズル112は、6列ガスタービン用の第2段ノズルを含み得る。
【0028】
本開示の実施形態は、半径方向に互い違いの柱状パターンで本体128内の内面152から内側に延びる複数の熱伝達突起160を提供する。突起160は、翼形部130と一体である。図5は、熱伝達突起160を含む鋳造タービンノズル112の斜視図を示し、図6は、そのわずかに拡大された斜視図を示し、図7は、複数の熱伝達突起160の拡大斜視図を示す。熱伝達突起160は、半径方向に互い違いの柱状パターンで前縁136における内面152から負圧側面132および正圧側面134に沿って延びる。熱伝達突起160は従来のように各側面132、134の翼弦全長に沿って延びないが、これは、より狭い翼形部130を用いてそのように延びると、後縁138に近い下流エリアで過熱が生じることが発見されているためである。むしろ、複数の熱伝達突起は、負圧側面132に沿ってキャンバ長さの28%〜32%の範囲で延び、正圧側面134に沿ってキャンバ長さの9%〜13%の範囲で延びる。「キャンバ長さ」は、負圧側面132と正圧側面134との間で等距離にある、翼形部130の中心を通る前縁136から後縁138までの距離を表す。キャンバ長さCLの概略を、図5に示す。キャンバ長さの記載された割合に基づく熱伝達突起160の範囲は、キャンバ長さに垂直な場所で各側面132、134に画定される。いずれにせよ、各側面132、134に沿った内面の一部のみが熱伝達突起160によって覆われ、熱伝達突起160の下流の内面152には、後縁138に向かう後方方向の冷却剤流に乱流を引き起こす突起または他の構造がない。熱伝達突起160は、所望の熱伝達を達成するために各側面132、134上の任意の半径方向範囲まで延びることができる。例えば、端壁120、122の間の半径方向長さ全体に及ぶことができる。対照的に、特定の実施形態では、熱伝達突起160は、半径方向に延びてもよいが、1つまたは複数の端壁120、122から8〜13ミリメートルの範囲で停止してもよい。
【0029】
図8は、熱伝達突起160の頂部を見た内面152の平面図を示し、図9は、図8の線9−9に沿った熱伝達突起160の断面側面図を示す。図8および図9に示すように、内面152は、隣接する熱伝達突起160の間に延びる平面164を含む。すなわち、平面164は、隣接する熱伝達突起160を分離し、翼形部130を形成するために存在する以外の内面152の内側または外側への湾曲はない。加えて、図9に示すように、各熱伝達突起160は、その高さを通る円錐台形の断面を有することができる。各熱伝達突起160は、隣接する熱伝達突起160の間の冷却空洞150(図5図6)の内面152と平行な最内面170を有する。本明細書で使用する場合、「最内」は、翼形部130の中心に最も近い構造の部分を示し、「最外」は、翼形部130の中心から最も遠い構造の部分を示す。冷却空洞150の内面152から熱伝達突起160の最内面170までの各熱伝達突起160の高さHは、0.5ミリメートル〜1.0ミリメートルの範囲であってもよい。
【0030】
熱伝達突起160は、0.2ミリメートル〜0.8ミリメートルの範囲の最内幅W1を有してもよい。熱伝達突起160は、0.6ミリメートル〜1.2ミリメートルの範囲の最外幅W2を有してもよい。最外幅W2は、最内幅W1よりも広い。内面152に対する各熱伝達突起160の最内幅W1と各熱伝達突起160の最外幅W2の比は、0.2〜0.9の範囲である。図9に示すように、各熱伝達突起160は、その幅を通る円形の断面を有することができる。しかし、他の非細長形状も可能であり得る。熱伝達突起160は、内面152から実質的に垂直な角度αで、すなわち、実質的に90°で延びる。
【0031】
図6および図8に示すように、熱伝達突起160は、半径方向に互い違いの柱状パターンで配置される。図8に最もよく示すように、複数の熱伝達突起160の半径方向に互い違いの柱状パターンは、互いに対して半径方向に互い違いに配置された(紙面に垂直な)複数の半径方向に延びる列176(図8には3つが示されている)を含む。各側面132、134における翼弦長の所望の割合をカバーするのに必要な任意の数の列が、使用されてもよい。同じ半径方向に延びる列176における熱伝達突起160の中心間の第1の半径方向距離R1は、0.9ミリメートル〜1.4ミリメートルの範囲であってもよい。隣接する半径方向に延びる列における軸方向に隣接する熱伝達突起160の中心間の第2の半径方向距離R2は、0.3ミリメートル〜0.9ミリメートルの範囲であってもよい。熱伝達突起160の隣接する半径方向に延びる列176の間の軸方向距離ADは、0.8ミリメートル〜1.3ミリメートルの範囲であってもよい。熱伝達突起160の間の角度オフセット距離OFは、例えば、0.9ミリメートル〜1.4ミリメートルの範囲であってもよい。特定の半径方向に互い違いの柱状パターンが本明細書に記載されているが、熱伝達突起160は、所望の熱伝達を達成するために代替の互い違いの柱状パターンに配置されてもよい。他の実施形態では、隣接する熱伝達突起160の最内幅W1の部分は、交差しても重なっていてもよい。
【0032】
動作中、冷却剤はインピンジメントスリーブ154(図4)から出て、冷却空洞150の内面152に衝突する。前縁136の近くに存在する場合、熱伝達突起160は冷却剤流に乱流を引き起こし、その熱伝達能力を高める。熱伝達突起160は、前縁136に沿って、ならびに前縁136に近接する正圧側面134および負圧側面132のエリアにおいて所望の熱伝達および冷却を提供するために、任意の半径方向範囲および任意の翼弦の割合まで延びることができる。
【0033】
本開示の実施形態は、鋳造タービンノズル、タービンノズルセクション、およびタービンを提供する。本教示は、より小さい半径の前縁を有する特定の第2段ノズルに特に適用可能である。熱伝達突起は、製品仕様の部品寿命、タービン効率、および動力出力を維持するための改善された冷却効果を提供する。より詳細には、熱伝達突起または「バンプ」は、翼形部の内部の表面積を増加させ、空気流を乱すことによって追加の熱伝達効果を提供し、平坦で強化されていない表面と比較してエネルギーの交換(熱伝達)を増加させる。熱伝達突起が翼形部本体の一部にのみ適用されるため、この構成は、より狭い翼形部に対する前縁から下流の過熱を防止する。
【0034】
本明細書および特許請求の範囲を通してここで使用される、近似を表す文言は、関連する基本的機能に変化をもたらすことなく、差し支えない程度に変動し得る任意の量的表現を修飾するために適用することができる。したがって、「およそ」、「約」、および「実質的に」などの用語によって修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応することができる。ここで、ならびに本明細書および特許請求の範囲を通して、範囲の限定は組み合わせおよび/または置き換えが可能であり、文脈および文言が特に指示しない限り、このような範囲は識別され、それに包含されるすべての部分範囲を含む。範囲の特定の値に適用される「約」は、両端の値に適用され、値を測定する機器の精度に特に依存しない限り、記載された値の+/−10%を示すことができる。
【0035】
以下の特許請求の範囲におけるミーンズプラスファンクションまたはステッププラスファンクションの要素すべての、対応する構造、材料、動作、および均等物は、具体的に請求された他の請求要素と組み合わせてその機能を実施するための、一切の構造、材料、または動作を包含することを意図している。本開示の記述は、例示および説明の目的で提示されており、網羅的であることも、または本開示を開示した形態に限定することも意図していない。当業者には、本開示の範囲および趣旨から逸脱することなく、多くの修正および変形が明らかであろう。本開示の原理および実際の用途を最良に説明し、想定される特定の使用に適するように様々な修正を伴う様々な実施形態について本開示を他の当業者が理解することができるようにするために、本実施形態を選択し、かつ説明した。
【符号の説明】
【0036】
100 ガスタービン(GT)システム
102 圧縮機
104 燃焼器
105 燃焼領域
106 ヘッドエンドアセンブリ
108 タービン
110 ロータ、圧縮機/タービンシャフト
112 静止ベーン、静止ノズル
114 回転ブレード
115 静的ノズルセクション
116 ロータホイール
120 半径方向外側端壁
122 半径方向内側端壁
124 ケーシング
128 本体
130 翼形部
132 凸状負圧側面
134 凹状正圧側面
136 前縁
138 後縁
140 フィレット
142 フィレット
150 冷却空洞
152 内面
154 インピンジメントインサート、インピンジメントスリーブ
156 孔
158 ポジショナ
160 熱伝達突起
164 平面
170 最内面
176 半径方向に延びる列
9−9 線
H 高さ
L0 段
L1 段
L2 段
L3 段
R1 第1の半径方向距離
R2 第2の半径方向距離
W1 最内幅
W2 最外幅
AD 軸方向距離
CL キャンバ長さ
OF 角度オフセット距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】
2021195950000001.pdf
2021195950000002.pdf
2021195950000003.pdf
2021195950000004.pdf