【解決手段】回転機械の燃焼器の第1の燃焼ゾーンの動作温度を制御する方法は、デジタルシミュレーションを使用して、第1の燃焼ゾーンの現在の動作温度および目標動作温度を決定するステップを含む。方法は、デジタルシミュレーションを使用して、現在の燃料スプリットに対する現在の動作温度の導関数を決定するステップをさらに含む。燃料スプリットは、燃焼器への燃料の全流量を第1の燃焼ゾーンと第2の燃焼ゾーンとの間で配分する。方法はまた、目標動作温度に近づく計算された動作温度をもたらす、計算された燃料スプリットを計算するステップを含む。方法は、第1の燃料流を第1の燃焼ゾーンに導き、第2の燃料流を第2の燃焼ゾーンに導くステップをさらに含む。
回転機械(100)の燃焼器(106)の第1の燃焼ゾーン(115)の動作温度を制御する方法(200)であって、前記燃焼器(106)は、前記第1の燃焼ゾーン(115)および第2の燃焼ゾーン(117)を含み、
i)前記回転機械(100)のデジタルシミュレーションを使用して、前記第1の燃焼ゾーン(115)の現在の動作温度(404)を決定するステップ(202)と、
ii)前記第1の燃焼ゾーン(115)の目標動作温度(416)を決定するステップ(204)と、
iii)前記デジタルシミュレーションを使用して、現在の燃料スプリット(406)に対する前記第1の燃焼ゾーン(115)の前記現在の動作温度(404)の導関数(408)を決定するステップ(208)であって、前記燃料スプリット(406)は、前記燃焼器(106)への燃料の全流量を前記第1の燃焼ゾーン(115)と前記第2の燃焼ゾーン(117)との間で配分するステップと、
iv)前記決定された導関数(408)を使用して、前記目標動作温度(416)に近づく前記第1の燃焼ゾーン(115)の計算された動作温度(414)をもたらす、計算された燃料スプリット(412)を計算するステップ(210)と、
v)第1の燃料流を前記第1の燃焼ゾーン(115)に導き、第2の燃料流を前記第2の燃焼ゾーン(117)に導くステップであって、前記第1の燃料流および前記第2の燃料流は、前記計算された燃料スプリット(412)に応じて決定されるステップと、
vi)前記計算された燃料スプリット(412)が目標燃料スプリット(420)に等しくなるまでステップi〜vを反復するステップ(226)であって、前記目標燃料スプリット(420)は、前記目標動作温度(416)をもたらす前記燃料スプリット(420)であるステップと
を含む、方法(200)。
数値法を使用して、前記第1の燃焼ゾーン(115)の計算された動作温度(414)をもたらす、計算された燃料スプリット(412)を計算するステップ(210)は、前記動作温度(416)と前記燃料スプリット(412)との間の第2の関係(410)を導出するステップ(212)を含む、請求項1に記載の方法(200)。
数値法を使用して、前記第1の燃焼ゾーン(115)の計算された動作温度(414)をもたらす、計算された燃料スプリット(412)を計算するステップ(210)は、前記動作温度(416)と前記燃料スプリット(412)との間の前記第2の関係(410)が線形関係であると仮定するステップ(214)を含む、請求項3に記載の方法(200)。
数値法を使用して、前記第1の燃焼ゾーン(115)の計算された動作温度(414)をもたらす、計算された燃料スプリット(412)を計算するステップ(210)は、前記現在の燃料スプリット(406)に対する前記第1の燃焼ゾーン(115)の前記現在の動作温度(404)の前記導関数(408)に基づいて、前記動作温度(416)と前記燃料スプリット(412)との間の前記第2の関係(410)の勾配を決定するステップ(216)を含む、請求項4に記載の方法(200)。
数値法を使用して、前記第1の燃焼ゾーン(115)の計算された動作温度(414)をもたらす、計算された燃料スプリット(412)を計算するステップ(210)は、前記現在の動作温度(404)および前記現在の燃料スプリット(406)に基づいて、前記動作温度(416)と前記燃料スプリット(412)との間の前記第2の関係(410)の少なくとも1つの点を決定するステップ(218)を含む、請求項5に記載の方法(200)。
数値法を使用して、前記第1の燃焼ゾーン(115)の計算された動作温度(414)をもたらす、計算された燃料スプリット(412)を計算するステップ(210)は、前記動作温度(416)と前記燃料スプリット(412)との間の前記第2の関係(410)に基づいて、前記計算された動作温度(414)をもたらす、前記計算された燃料スプリット(412)を計算するステップを含む、請求項6に記載の方法(200)。
前記現在の燃料スプリット(406)から前記計算された燃料スプリット(412)への前記燃料スプリットの変更を遅延させるために、一次遅れ時定数を設定するステップ(222)をさらに含む、請求項1に記載の方法(200)。
前記燃焼器(106)の化学量論を制御するために、前記燃焼器(106)への燃料の全流量を制御するステップ(224)をさらに含む、請求項1に記載の方法(200)。
前記燃焼器(106)の化学量論を制御するために、前記燃焼器(106)への吸気の流れを制御するステップ(224)をさらに含む、請求項1に記載の方法(200)。
前記第1の燃焼ゾーン(115)の目標動作温度(416)を決定するステップ(204)は、前記デジタルシミュレーションによる前記回転機械(100)のデジタルシミュレーションを使用して、前記第1の燃焼ゾーン(115)の現在の動作温度(404)を決定するステップ(202)と同時に実施される、請求項1に記載の方法(200)。
前記デジタルシミュレーションを使用して、現在の燃料スプリット(406)に対する前記第1の燃焼ゾーン(115)の前記現在の動作温度(404)の導関数(408)を決定するステップ(208)は、前記デジタルシミュレーションによる前記回転機械(100)のデジタルシミュレーションを使用して、前記第1の燃焼ゾーン(115)の現在の動作温度(404)を決定するステップ(202)と同時に実施される、請求項1に記載の方法(200)。
前記燃料の全流量を前記第1の燃焼ゾーン(115)および前記第2の燃焼ゾーン(117)に導くように構成された燃料供給システム(130)をさらに備える、請求項13に記載の回転機械(100)。
前記燃料供給システム(130)は、前記燃料の全流量を前記第1の燃料流と前記第2の燃料流に分割するように構成された少なくとも1つのバルブ(132)を備える、請求項14に記載の回転機械(100)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
特に明記しない限り、本明細書において提供される図面は、本開示の実施形態の特徴を図示することを意味する。これらの特徴は、本開示の1つまたは複数の実施形態を含む多種多様なシステムで適用可能であると考えられる。したがって、図面は、本明細書に開示される実施形態の実践のために必要とされる当業者に知られている従来の特徴をすべて含むことを意味しない。
【0009】
以下の明細書および特許請求の範囲において、いくつかの用語が参照されるが、これらの用語は以下の意味を有すると定義されるものとする。
【0010】
単数形「1つの(a、an)」、および「この(the)」は、文脈が特に明確に指示しない限り、複数の言及を含む。
【0011】
特に明記しない限り、本明細書で使用される「一般に」、「実質的に」、および「およそ」などの近似を表す文言は、そのように修飾された用語が、絶対的または完全な程度ではなく、当業者によって認識されるようなおおよその程度にのみ適用され得ることを示している。したがって、「およそ」、「約」、および「実質的に」などの用語で修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応することができる。ここで、ならびに本明細書および特許請求の範囲の全体を通じて、範囲の限界が特定されてもよい。このような範囲は、組み合わせおよび/または置き換えが可能であり、文脈または文言が特に指示しない限り、本明細書に含まれるすべての部分範囲を含む。加えて、特に明記しない限り、「第1の」、「第2の」、などの用語は、本明細書において単に標識として使用されているにすぎず、これらの用語が言及する項目について順序、位置、または階層上の要件を加えることを意図するものではない。さらに、例えば、「第2の」項目への言及は、例えば、「第1の」もしくはより小さい番号の項目、または「第3の」もしくはより大きい番号の項目の存在を要求するものではなく、または排除するものでもない。
【0012】
本明細書で使用する場合、「軸方向の」および「軸方向に」という用語は、回転機械の長手方向軸に対して実質的に平行に延びる方向および配向を指す。また、「半径方向の」および「半径方向に」という用語は、回転機械の長手方向軸に対して実質的に垂直に延びる方向および配向を指す。加えて、本明細書で使用する場合、「円周方向の」および「円周方向に」という用語は、回転機械の長手方向軸の周りに円弧状に延びる方向および配向を指す。さらに、本明細書で使用する場合、「上流」という用語は、回転機械の前方端部または入口端部を指し、「下流」という用語は、回転機械の後方端部または排気端部を指す。構成要素を通る流体の流れを説明する場合、流体が流れてくる方向は、「上流」として説明され、流体が流れていく方向は、「下流」として説明される。
【0013】
本明細書に記載の方法およびシステムは、デジタルシミュレーションを使用して、ガスタービンエンジンの燃焼器の第1の燃焼ゾーンの温度を制御するための方法に関する。より具体的には、燃焼器は、第1の燃焼ゾーン、第2の燃焼ゾーン、少なくとも1つの第1の燃料ノズル、および少なくとも1つの第2の燃料ノズルを含む。少なくとも1つの第1の燃料ノズルは、第1の燃料流を第1の燃焼ゾーンに導き、少なくとも1つの第2の燃料ノズルは、第2の燃料流を第2の燃焼ゾーンに導く。燃料スプリットは、燃料の全流量のうち、第2の燃焼ゾーンに導かれる割合である。デジタルシミュレーションは、第1の燃焼ゾーンの現在の動作温度、第1の燃焼ゾーンの目標動作温度、および現在の燃料スプリットに対する第1の燃焼ゾーンの現在の動作温度の導関数を同時に決定する。次いで、コンピューティングデバイスが、数値法を使用して、第1の燃焼ゾーンの計算された動作温度をもたらす、計算された燃料スプリットを計算する。第1の燃料流および第2の燃料流は、計算された燃料スプリットによって決定され、第1の燃料流は、第1の燃焼ゾーンに導かれ、第2の燃料流は、第2の燃焼ゾーンに導かれる。方法は、計算された燃料スプリットが目標動作温度をもたらす目標燃料スプリットに等しくなるまで反復される。したがって、本明細書に記載のシステムおよび方法は、PIDコントローラなどの従来のフィードバックコントローラを使用せずに第1の燃焼ゾーンの温度を制御し、回転機械を調節する時間およびコストを削減する。
【0014】
図1は、例示的な回転機械100、すなわち、ターボ機械、より具体的にはタービンエンジンの概略図である。例示的な実施形態では、回転機械100は、ガスタービンエンジンである。あるいは、回転機械は、限定はしないが、蒸気タービンエンジン、ガスターボファン航空機エンジン、他の航空機エンジン、風力タービン、圧縮機、およびポンプを含む、任意の他のタービンエンジンおよび/または回転機械であってもよい。例示的な実施形態では、ガスタービンエンジン100は、吸気セクション102と、吸気セクション102の下流に結合された圧縮機セクション104と、圧縮機セクション104の下流に結合された燃焼器セクション106と、燃焼器セクション106の下流に結合されたタービンセクション108と、タービンセクション108の下流に結合された排気セクション110とを含む。タービンセクション108は、ロータシャフト112を介して圧縮機セクション104に結合される。
【0015】
本明細書で使用する場合、「結合する」という用語は、構成要素間の直接的な機械的、熱的、電気的、および/または流れ連通接続に限定されず、複数の構成要素間の間接的な機械的、熱的、電気的、および/または流れ連通接続も含むことができることに留意されたい。例示的な実施形態では、燃焼器セクション106は、複数の燃焼器114を含む。燃焼器セクション106は、各燃焼器114が圧縮機セクション104と流れ連通するように、圧縮機セクション104に結合される。ロータシャフト112は、限定はしないが、発電機および/または機械的駆動用途などの負荷116にさらに結合される。例示的な実施形態では、圧縮機セクション104およびタービンセクション108の各々は、ロータシャフト112に結合された少なくとも1つのロータアセンブリ118を含む。
【0016】
この実施形態では、吸気セクション102は、入口ガイドベーンコントローラ105によって制御される少なくとも1つの入口ガイドベーン103を含む。入口ガイドベーン103は、吸気セクション102が大気から圧縮機セクション104に導く吸気120の流れを制御する。具体的には、入口ガイドベーン103は、吸気120を圧縮機セクション104に導く可変または固定の翼形部107を含むことができる。入口ガイドベーン103は、吸気120の流れの角度を変更し、圧縮機セクション104の効率を高める。加えて、入口ガイドベーン103の翼形部107は可変であってもよく、または圧縮機セクション104に対する翼形部107の角度を変更し、吸気120の流れの角度を変化させ、異なる動作条件の間に圧縮機セクション104の効率を高めることができる。
【0017】
例示的な実施形態では、燃焼器114は、少なくとも2つのゾーンにおける燃焼の軸方向(逐次)ステージングを含む軸方向燃料ステージング(AFS)技術を含む。具体的には、燃焼器114は、各々が第1の燃焼ゾーン115、第2の燃焼ゾーン117、少なくとも1つの第1の燃料ノズル119、および少なくとも1つの第2の燃料ノズル121を含む軸方向多段燃焼器である。少なくとも1つの第1の燃料ノズル119は、少なくとも1つの第2の燃料ノズル121の上流に位置決めされ、第1の燃料流を、第2の燃焼ゾーン117の対応する上流にある第1の燃焼ゾーン115に導く。少なくとも1つの第2の燃料ノズル121は、少なくとも1つの第1の燃料ノズル119および第1の燃焼ゾーン115の下流に位置決めされ、第2の燃料流を第2の燃焼ゾーン117に導く。第1の燃焼ゾーン115および第2の燃焼ゾーン117は、燃焼器114内の燃焼ダイナミクスを制御するために、燃焼器への燃料の全流量の燃焼を多段化する。例示的な実施形態では、単一の第1の燃料ノズル119および単一の第2の燃料ノズル121が
図1に示されている。しかし、燃焼器114は、複数の第1の燃料ノズル119および/または複数の第2の燃料ノズル121を含むことができる。
【0018】
回転機械100はまた、燃料の全流量の燃料スプリットを制御する少なくとも1つのバルブ132を含む燃料供給システム130を含む。燃料スプリットは、第1の流れと第2の流れとの間での燃焼器への全燃料流の配分に対応する。例示的な実施形態では、燃料スプリットは、燃料の全流量のうち、少なくとも1つの第2の燃料ノズル121に導かれる割合(すなわち、第2の燃料流を第1および第2の燃料流の和で割ったもの)として表される。あるいは、燃料スプリットは、任意の適切な方法で表される。具体的には、燃料供給システム130は、燃料の全流量を燃焼器114に導く。より具体的には、燃料供給システム130は、燃料の全流量を第1の燃料ノズル119および第2の燃料ノズル121に導き、次に、燃料の全流量をそれぞれ第1の燃焼ゾーン115および第2の燃焼ゾーン117に導く。バルブ132は、選択された燃料スプリットに従って、燃料の全流量を第1の燃料流と第2の燃料流に分割する。以下により詳細に説明するように、燃料スプリットを制御することによってT
3.5温度が制御され、これにより燃焼器114の燃焼ダイナミクスが制御される。
【0019】
回転機械100は、回転機械100の少なくとも1つの動作パラメータを制御するコンピューティングデバイス134をさらに含む。より具体的には、例示的な実施形態では、コンピューティングデバイス134は、バルブ132を制御することによって燃焼器114への燃料の全流量の燃料スプリットを制御する。加えて、コンピューティングデバイス134はまた、入口ガイドベーンコントローラ105を制御し、かつ/または入口ガイドベーン103を直接制御し、燃焼器114に導かれる吸気120の流れを制御することができる。したがって、コンピューティングデバイス134は、燃料スプリットと燃焼器114への吸気120の流れの両方を制御することによって、燃焼器114内の燃焼反応の化学量論を制御する。
【0020】
コンピューティングデバイス134はまた、燃焼器114内の少なくとも1つの温度を正確に決定する回転機械100のデジタルシミュレーションを実行するようにプログラムされる。より具体的には、デジタルシミュレーションは、燃焼器114内のT
3.5およびT
3.9温度を正確に決定する。T
3.5温度は、第1の燃焼ゾーン115内で、第2の燃料ノズル121および第2の燃焼ゾーン117の軸方向上流における燃焼器114内の温度である。T
3.9温度は、第2の燃焼ゾーン117内で、第2の燃料ノズル121の軸方向下流における燃焼器114内の温度である。以下により詳細に説明するように、コンピューティングデバイス134は、デジタルシミュレーションを使用してT
3.5温度を制御するために、燃料スプリットおよび燃焼器114への吸気120の流れを制御する。
【0021】
動作中、吸気セクション102は、吸気120を圧縮機セクション104に向けて導く。コンピューティングデバイス134および/または入口ガイドベーンコントローラ105は、入口ガイドベーン103を制御して吸気120の流れを制御する。圧縮機セクション104は、吸気120をより高い圧力に圧縮し、その後に圧縮空気122を燃焼器セクション106に向けて放出する。圧縮空気122は燃焼器セクション106に導かれ、そこで燃料(図示せず)と混合され、燃焼されて高温燃焼ガス124を生成する。コンピューティングデバイス134は、デジタルシミュレーションを使用して燃焼器114内のT
3.5温度を制御するために、第1の燃料ノズル119および第2の燃料ノズル121への燃料スプリットを制御する。燃焼ガス124はタービンセクション108に向かって下流に導かれ、タービンブレード(図示せず)に衝突し、熱エネルギーは、ロータアセンブリ118を長手方向軸126の周りに駆動するために使用される機械的回転エネルギーに変換される。しばしば、燃焼器セクション106およびタービンセクション108は、タービンエンジン100の高温ガスセクションと呼ばれる。次に、排気ガス128は、回転機械100が複合サイクル発電プラントの一部であるガスタービンである場合、排気セクション110を通って周囲大気または蒸気タービン(図示せず)に放出される。
【0022】
図2は、回転機械100の燃焼器114の第1の燃焼ゾーン115の温度を制御する例示的な方法200の流れ図である。
図3は、
図2に示す回転機械100の燃焼器114の第1の燃焼ゾーン115の温度を制御する方法200を示す制御
図300である。方法200は、回転機械100のデジタルシミュレーションを使用して、第1の燃焼ゾーン115の現在の動作T
3.5温度を決定するステップ202を含む。デジタルシミュレーションは、回転機械100のモデルである。具体的には、デジタルシミュレーションは、コンピューティングデバイス134への制御入力および/または回転機械100全体に位置決めされた適切なセンサ(図示せず)からのフィードバックに基づいて、回転機械100の動作中にリアルタイムで回転機械100内の複数の動作パラメータの動作状態を正確に決定するモデルである。より具体的には、デジタルシミュレーションは、回転機械100の動作中にリアルタイムで回転機械100内の複数の動作パラメータの動作状態を正確に決定する熱力学的および流体力学的モデルである。デジタルシミュレーションが決定する複数の動作パラメータは、多くの他のパラメータの中でも、燃焼器114内のT
3.5およびT
3.9温度を含む。したがって、デジタルシミュレーションは、回転機械100の動作中にリアルタイムで燃焼器114内のT
3.5およびT
3.9温度を決定する。例示的な実施形態では、デジタルシミュレーションは、回転機械100をモデル化するために使用される既存のシミュレーションである。代替の実施形態では、デジタルシミュレーションは、回転機械100の新しいデジタルシミュレーションまたは燃焼器114のみの新しいシミュレーションである。
【0023】
方法200はまた、目標動作T
3.5温度を決定するステップ204を含む。例示的な実施形態では、目標動作T
3.5温度を決定するステップ204は、圧縮機セクション104の出口温度および燃焼器モードを使用して、目標動作T
3.5温度を決定するステップ204を含む。上述したように、燃焼器114は、複数の第1の燃料ノズル119および複数の第2の燃料ノズル121を含むことができる。複数の第1の燃料ノズル119および複数の第2の燃料ノズル121の配置(すなわち、複数の第1の燃料ノズル119および/または複数の第2の燃料ノズル121のどのノズルが所与の時間に流れているか)は、燃焼器モードを少なくとも部分的に決定する。したがって、目標動作T
3.5温度は、圧縮機セクション104の出口温度および燃焼器モードによって少なくとも部分的に決定される。少なくともいくつかの燃焼モードは低負荷条件用に構成され、他の燃焼モードは高負荷条件用に構成される。各動作モードは、回転機械100の排出量および/またはダイナミクスを最適化するために異なる理想的なT
3.5温度を有する。いくつかの実施形態では、目標動作T
3.5温度は、T
3.5温度スケジュールに対する少なくとも1つの圧縮機出口温度によって決定される。いくつかの実施形態では、各燃焼器モードは、独自のスケジュールを有する。
【0024】
例示的な実施形態では、目標動作T
3.5温度を決定するステップ204は、デジタルシミュレーションおよび/またはコンピューティングデバイス134を使用して、圧縮機セクション104の出口温度および燃焼器モードを使用して目標動作T
3.5温度を決定するステップ204を含む。デジタルシミュレーションおよび/またはコンピューティングデバイス134は、第1の燃焼ゾーン115の温度を決定するステップ202と同時に、反復的に目標動作T
3.5温度を決定することができる。例えば、回転機械100が負荷および排出量の要件を満たすために、目標動作T
3.5温度の更新を必要とする条件が変化し得る。例えば、負荷116に対する要件は増減する可能性があり、したがって、回転機械100の動作条件は、負荷116に対する変化する要件に対応するように変化し得る。具体的には、負荷116に対する変化する要件に対応するために、目標T
3.5動作温度は変化し得る。代替の実施形態では、目標動作T
3.5温度は、デジタルシミュレーションによってではなく、オペレータによってまたは何らかの他の方法によって決定されてもよく、かつ/または制御サイクルごとに反復的に更新されなくてもよい。
【0025】
方法200は、現在の動作T
3.5温度と目標動作T
3.5温度を比較するステップ206をさらに含む。現在の動作T
3.5温度と目標動作T
3.5温度が異なる場合、コンピューティングデバイス134は、以下に説明するように、現在の動作T
3.5温度を目標動作T
3.5温度に変更するように燃料スプリットを制御する。
【0026】
方法200はまた、デジタルシミュレーションを使用して、現在の燃料スプリットに対するT
3.5温度の導関数を決定するステップ208を含む。例示的な実施形態では、デジタルシミュレーションは、回転機械100のデジタルシミュレーションを使用して、第1の燃焼ゾーン115の温度を決定するステップ202と同時に、現在の燃料スプリットに対するT
3.5温度の導関数を決定することができる。加えて、燃料スプリットにおける小さな摂動を使用して、T
3.5温度の導関数をモデル化することができる。したがって、現在の燃料スプリットに対するT
3.5温度の導関数を決定するための追加のデジタルシミュレーションモジュールは、必要とされない。加えて、例示的な実施形態では、デジタルシミュレーションは、現在の燃料スプリットにおける小さな変化をシミュレートし、デジタルシミュレーションを介して、シミュレートされたT
3.5温度をもたらす対応する変化を評価することによって、現在の燃料スプリットに対するT
3.5温度の導関数を決定する。あるいは、デジタルシミュレーションは、任意の適切な方法で現在の燃料スプリットに対するT
3.5温度の導関数を決定する。
【0027】
方法200は、決定された導関数を使用して、目標動作T
3.5温度に近づく計算された動作T
3.5温度414をもたらす、計算された燃料スプリットを計算するステップ210をさらに含み、すなわち、計算された動作T
3.5温度414は、現在の動作T
3.5温度よりも目標動作T
3.5温度に近くなる。例示的な実施形態では、コンピューティングデバイス134は、デジタルシミュレーションからの出力に対して数値法を使用して計算された燃料スプリットを決定する(210)。
図4は、T
3.5温度と燃料スプリットとの間の関係のグラフ表示402を含む第1のグラフ400を含み、追加の破線は、計算された燃料スプリットを決定するために使用される数値法を示す。
図4はまた、経時的な燃料スプリットの過渡応答の対応するグラフ表示418を含む第2のグラフ401を含む。T
3.5温度と滑らかな曲線としての燃料スプリットとの間の関係のグラフ表示402の
図4における図は、単に説明の便宜上のものである。T
3.5温度と燃料スプリットとの間の実際の関係は、より複雑な関係であり得る。
【0028】
計算された動作T
3.5温度に対応する計算された燃料スプリットを決定するステップ210は、計算された燃料スプリットを決定するために数値法を使用するステップを含む。例えば、
図4に示して上述したように、デジタルシミュレーションは、現在の動作T
3.5温度404、現在の燃料スプリット406、および現在の燃料スプリット406に対するT
3.5温度の導関数408を決定する。例えば、上述したように、導関数408は、現在の燃料スプリットにおける小さな変化δに起因してシミュレートされたT
3.5温度をもたらす対応する変化Δから決定される。コンピューティングデバイス134は、現在の動作T
3.5温度404、現在の燃料スプリット406、および現在の燃料スプリットに対するT
3.5温度の導関数408を受け取り、T
3.5温度と燃料スプリットとの間の第2の関係410を導出する。T
3.5温度と燃料スプリットとの間の第2の関係410は、現在の燃料スプリット406からの導関数408の直線延長、すなわち、現在の燃料スプリットに対するT
3.5温度の導関数408に等しい勾配を有し、現在の燃料スプリット406に等しいx軸座標および現在の動作T
3.5温度404に等しいy軸座標を有する点と交差する直線として
図4に示されている。コンピューティングデバイス134は、T
3.5温度と燃料スプリットとの間の第2の関係410を使用して、目標動作T
3.5温度416に近づく計算された動作T
3.5温度414をもたらす計算された燃料スプリット412を解く。より具体的には、例示的な実施形態では、コンピューティングデバイス134は、第2の関係410と目標動作T
3.5温度416の交点を決定し、計算された燃料スプリット412をその交点のx軸座標として設定する。計算された燃料スプリット412を有するグラフ表示402上の点は、計算された動作T
3.5温度414を決定するy軸座標を有する。例示的な実施形態では、導関数208の性質により、計算された動作T
3.5温度414は、典型的には、現在の動作T
3.5温度404よりも目標動作T
3.5温度に近い。
【0029】
したがって、目標動作T
3.5温度416に近づく計算された動作T
3.5温度に変化する現在の動作T
3.5温度をもたらす、計算された燃料スプリットを決定するステップ210は、T
3.5温度と燃料スプリットとの間の第2の関係410を導出するステップ212を含むことができる。目標動作T
3.5温度416に近づく計算された動作T
3.5温度をもたらす、計算された燃料スプリットを決定するステップ210はまた、T
3.5温度と燃料スプリットとの間の第2の関係410が線形関係であると仮定するステップ214を含み得る。目標動作T
3.5温度416に近づく計算された動作T
3.5温度をもたらす、計算された燃料スプリットを決定するステップ210は、現在の燃料スプリットに対するT
3.5温度の導関数208に基づいて、T
3.5温度と燃料スプリットとの間の第2の関係410の勾配を決定するステップ216をさらに含むことができる。目標動作T
3.5温度416に近づく計算された動作T
3.5温度をもたらす、計算された燃料スプリットを決定するステップ210はまた、現在の動作T
3.5温度404および現在の燃料スプリット406に基づいて、T
3.5温度と燃料スプリット412との間の第2の関係410の少なくとも1つの点を決定するステップ218を含み得る。目標動作T
3.5温度416に近づく計算された動作T
3.5温度をもたらす、計算された燃料スプリットを決定するステップ210は、第2の関係410と目標動作T
3.5温度416の交点に従って計算された動作T
3.5温度414をもたらす、計算された燃料スプリット412を計算するステップ220をさらに含むことができる。
【0030】
コンピューティングデバイス134が計算された燃料スプリット412を決定した後、コンピューティングデバイス134は、計算された燃料スプリット412に応じて、第1の燃料流および第2の燃料流への燃料の全流量を調整するようにバルブ132を制御する。バルブ132が燃料スプリットを調整した後、燃焼器114および回転機械100の動作状態は変化し、デジタルシミュレーションは、目標動作T
3.5温度416を達成するために必要に応じて方法200を反復する。
【0031】
より具体的には、グラフ400に示すように、T
3.5温度と燃料スプリット412との間の第2の関係410は複雑なグラフ表示402の線形近似にすぎないため、計算された燃料スプリット412は、典型的には、最初は目標動作T
3.5温度416をもたらさない。むしろ、現在の燃料スプリット406を計算された燃料スプリット412に変更すると、目標動作T
3.5温度416に近づくがそれとは異なる計算された動作T
3.5温度414をもたらす。したがって、例示的な実施形態では、コンピューティングデバイス134は、方法200の上記のステップを連続的に反復するか、または繰り返すようにプログラムされる。代替の実施形態では、コンピューティングデバイス134は、計算された動作T
3.5温度414が目標動作T
3.5温度416に等しくなるまで、すなわち、目標動作T
3.5温度416の機能的に十分な距離内に収束するまで、方法200の上記のステップを反復するか、または繰り返すようにプログラムされる。
【0032】
グラフ400の下には、時間差のない経時的な燃料スプリットの過渡応答の対応するグラフ表示418と、時間差のある経時的な燃料スプリットの過渡応答の対応するグラフ表示419とを含むグラフ401が示されている。グラフ400と同様に、グラフ401は、燃料スプリットを表すx軸を有するが、グラフ表示402とは対照的に、グラフ401は、グラフ400から離れる時間を表すy軸を有する。グラフ401は、現在の燃料スプリット406および計算された燃料スプリット412のx軸値がグラフ400とグラフ401の両方に整列するように、グラフ400に対して位置決めされる。
【0033】
グラフ表示418に示すように、計算された燃料スプリット412は、最初に、目標動作T
3.5温度416を実際にもたらす燃料スプリットを表す目標燃料スプリット420をオーバーシュートし、次いで、方法200が反復されるにつれて目標燃料スプリット420に近づき、実質的に等しくなる。しかし、いくつかの実施形態では、燃料スプリットにおける急激な変化は、燃焼器114および回転機械100の動作を不安定にする可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、方法200への燃料スプリットの応答を遅延させるために、オペレータによって一次遅れ時定数が設定される。具体的には、燃料スプリットが段階的に計算された燃料スプリット412に瞬時にジャンプするのを防ぐために、一次遅れ時定数は、燃料スプリットが現在の燃料スプリット406から計算された燃料スプリット412に滑らかに変化するように設定される。より具体的には、一次遅れは、バルブ132が現在の燃料スプリット406から計算された燃料スプリット412に燃料スプリットを変更する速度を遅くする。加えて、バルブ132は燃料スプリットを即座に変更しないため、方法200は、所与の反復中にバルブ132によって適用された燃料スプリットが指定の計算された燃料スプリット412に達する前に複数回反復することができる。一次遅れ時定数の選択は、制御の応答時間を明示的に定義するが、従来のPIレギュレータは、時間応答特性を分析によって決定されたままにし、時間応答の調整をより直感的かつ容易にする。したがって、計算された燃料スプリット412は、バルブ132が燃料スプリットを変更するにつれて継続的に改良および変更される。したがって、グラフ表示419に示すように、一次遅れが、バルブ132が現在の燃料スプリット406から計算された燃料スプリット412に燃料スプリットを変更する速度を遅くするので、燃料スプリットは、現在の燃料スプリット406から目標燃料スプリット420に徐々に変化する。いくつかの実施形態では、バルブ132が現在の燃料スプリット406からその反復のための指定の計算された燃料スプリット412に燃料スプリットを変更することに成功する反復に達するまでに、計算された燃料スプリット412は、目標燃料スプリット420に等しくなる。したがって、方法200はまた、現在の燃料スプリット406から計算された燃料スプリット412に燃料スプリットを変更するバルブ132を遅延させるために一次遅れを設定するステップ222を含むことができる。
【0034】
加えて、コンピューティングデバイス134およびデジタルシミュレーションはまた、吸気120の流れおよび燃焼器114の化学量論を制御するために、入口ガイドベーン103を制御することができる。さらに、コンピューティングデバイス134およびデジタルシミュレーションは、燃焼器114の化学量論をさらに制御するために、燃焼器114への燃料の全流量をさらに制御してもよい。その結果、コンピューティングデバイス134およびデジタルシミュレーションは、燃焼器114への燃料の全流量を制御することによって、および/または吸気120の流れを制御する入口ガイドベーン103を制御することによって、燃焼器114の化学量論を制御することができる。したがって、方法200はまた、燃焼器114の化学量論を制御するために、燃焼器114への燃料の全流量、および/または燃焼器114への吸気120の流れを制御する入口ガイドベーン103の少なくとも1つを制御するステップ224を含むことができる。
【0035】
加えて、コンピューティングデバイス134は、方法200の上記のステップを連続的に反復するか、または繰り返す(226)ようにプログラムされる。代替の実施形態では、コンピューティングデバイス134は、計算された動作T
3.5温度414が目標動作T
3.5温度416に等しくなるまで、すなわち、目標動作T
3.5温度416の機能的に十分な距離内に収束するまで、方法200の上記のステップを反復するか、または繰り返す(226)ようにプログラムされる。
【0036】
上述のシステムは、デジタルシミュレーションを使用して、ガスタービンエンジンの燃焼器の第1の燃焼ゾーンの温度を制御するための方法に関する。より具体的には、燃焼器は、第1の燃焼ゾーン、第2の燃焼ゾーン、少なくとも1つの第1の燃料ノズル、および少なくとも1つの第2の燃料ノズルを含む。少なくとも1つの第1の燃料ノズルは、第1の燃料流を第1の燃焼ゾーンに導き、少なくとも1つの第2の燃料ノズルは、第2の燃料流を第2の燃焼ゾーンに導く。燃料スプリットは、燃料の全流量のうち、第2の燃焼ゾーンに導かれる割合である。デジタルシミュレーションは、第1の燃焼ゾーンの現在の動作温度、第1の燃焼ゾーンの目標動作温度、および現在の燃料スプリットに対する第1の燃焼ゾーンの現在の動作温度の導関数を同時に決定する。次いで、コンピューティングデバイスが、数値法を使用して、第1の燃焼ゾーンの計算された動作温度をもたらす、計算された燃料スプリットを計算する。第1の燃料流および第2の燃料流は、計算された燃料スプリットによって決定され、第1の燃料流は、第1の燃焼ゾーンに導かれ、第2の燃料流は、第2の燃焼ゾーンに導かれる。方法は、計算された燃料スプリットが目標動作温度をもたらす目標燃料スプリットに等しくなるまで反復される。したがって、本明細書に記載のシステムおよび方法は、PIDコントローラなどの従来のフィードバックコントローラを使用せずに第1の燃焼ゾーンの温度を制御し、回転機械を調節する時間およびコストを削減する。
【0037】
加えて、本明細書に記載のシステムおよび方法の例示的な技術的効果は、(a)燃焼器の第1の燃焼ゾーンの温度を制御するステップ、(b)計算された燃料スプリットに基づいて、第1の燃料流を第1の燃焼ゾーンに導くステップ、(c)計算された燃料スプリットに基づいて、第2の燃料流を第2の燃焼ゾーンに導くステップ、(d)燃焼器の燃焼ダイナミクスを制御するステップ、および(e)燃焼器の排出量を制御するステップの少なくとも1つを含む。
【0038】
デジタルシミュレーションを使用して、ガスタービンエンジンの燃焼器の第1の燃焼ゾーンの温度を制御するためのシステムおよび方法の例示的な実施形態が、詳細に上述されている。本方法およびシステムは、本明細書に記載した特定の実施形態に限定されるものではなく、むしろ、システムの構成要素および/または方法のステップは、本明細書に記載した他の構成要素および/またはステップから独立に、かつ別々に利用することができる。例えば、本方法は、他の回転機械と組み合わせて使用することもでき、本明細書で説明したガスタービンエンジンのみで実践することに限定されない。むしろ、例示的な実施形態は、多くの他の回転機械用途と関連して実現および利用することができる。
【0039】
本開示の様々な実施形態の特定の特徴は、一部の図面に示され、他の図面には示されていないかもしれないが、これは単に便宜上にすぎない。本開示の実施形態の原理によれば、図面の任意の特徴は、任意の他の図面の任意の特徴と組み合わせて参照および/または特許請求することができる。
【0040】
本明細書は、最良の態様を含む本開示の実施形態を開示するため、およびどのような当業者も、任意のデバイスまたはシステムの作製および使用ならびに任意の組み込まれた方法の実施を含む本開示の実施形態の実践を可能にするために、実施例を使用している。本明細書に記載した実施形態の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、特許請求の範囲の文言との差がない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言との実質的な差がない等価の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることを意図している。