【解決手段】このシフト装置100は、シフト切替部材2と、アクチュエータ1とを備える。アクチュエータ1は、モータ10と、モータ10の回転角度を検出する回転角度センサ11aを含む制御基板11と、モータ10および制御基板11を収容する収容空間18を構成するハウジング15および外蓋16と、モータ10が取り付けられた中蓋17とを含む。ハウジング15は、ハウジング15に対して中蓋17および制御基板11の両方を位置決めする第1位置決め部152を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のレンジ切替機構では、モータと、モータ位置検出センサが取り付けられる制御基板とは、それぞれ、軸受け固定部とリアボディとにより位置決めされている。したがって、上記特許文献1のレンジ切替機構では、位置決めの基準となる位置が異なるので、モータと、制御基板上のモータ位置検出センサとの相対的な位置関係の精度を向上させにくいという不都合がある。このため、上記特許文献1のレンジ切替機構では、モータ位置検出センサ(回転角度センサ)により検出されるモータの回転角度位置の精度を向上させにくいので、制御基板によるモータの回転角度位置の制御の精度を向上させにくい問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、制御基板によるモータの回転角度位置の制御の精度を容易に向上させることが可能なシフト装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面におけるシフト装置は、シフト位置に応じた複数の谷部を含むシフト切替部材と、シフト切替部材を駆動するアクチュエータとを備え、アクチュエータは、モータと、モータの駆動力を出力軸に伝達する駆動力伝達機構と、モータの回転角度を検出する回転角度センサを含むとともに、回転角度センサの検出結果に基づいてモータを制御する制御基板と、モータおよび制御基板を収容する収容空間を構成するハウジングおよびハウジングの開口を覆う外蓋と、収容空間に収容されるとともに、モータが取り付けられた中蓋とを含み、ハウジングは、ハウジングに対して中蓋および制御基板の両方を位置決めする第1位置決め部を有する。
【0009】
この発明の一の局面によるシフト装置では、上記のように、ハウジングに、ハウジングに対して中蓋および制御基板の両方を位置決めする第1位置決め部を設ける。これにより、モータが取り付けられた中蓋、および、回転角度センサが設けられた制御基板が共に第1位置決め部により位置決めされるので、モータと回転角度センサとは、共通の第1位置決め部により位置決めされている。したがって、モータと制御基板とを各々別個に設けられた位置決め部により位置決めする場合と異なり、位置決めの基準となる位置を共通の第1位置決め部により共通にすることができるので、モータと、制御基板上の回転角度センサとの相対的な位置関係の精度を容易に向上させることができる。その結果、回転角度センサにより検出されるモータの回転角度位置の精度を容易に向上させることができるので、制御基板によるモータの回転角度位置の制御の精度を容易に向上させることができる。
【0010】
上記一の局面によるシフト装置において、好ましくは、第1位置決め部は、ハウジングから外蓋側に突出した第1突出部を含み、中蓋は、第1突出部が挿入される中蓋側挿入孔を有するとともに、制御基板は、第1突出部が挿入される第1基板側挿入孔を有し、ハウジングの第1突出部が、中蓋の中蓋側挿入孔および制御基板の第1基板側挿入孔に挿入されることにより、ハウジングに対して中蓋および制御基板が、位置決めされている。
【0011】
このように構成すれば、ハウジングに対して中蓋および制御基板を位置決めする構造を、第1突出部、中蓋側挿入孔および第1基板側挿入孔により実現することによって、ハウジングに対して中蓋および制御基板を位置決めする構造を比較的簡易な構造にすることができる。その結果、シフト装置の構造の複雑化を抑制することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、制御基板は、収容空間内において、中蓋よりも外蓋側に配置されており、第1突出部は、外蓋側に設けられるとともに、第1の直径を有する小径部と、小径部よりもハウジング側に設けられ、第1の直径よりも大きい第2の直径を有する大径部と、小径部と大径部との境界部分に設けられ、制御基板が載置される第1段差部とを有する。
【0013】
このように構成すれば、小径部により、中蓋と外蓋とが並ぶ方向に直交する方向において制御基板の位置決めをすることができるとともに、小径部と大径部との境界部分に設けられた第1段差部に制御基板を載置することにより、中蓋と外蓋とが並ぶ方向において制御基板を位置決めすることができる。その結果、第1突出部により、中蓋と外蓋とが並ぶ方向に直交する方向および中蓋と外蓋とが並ぶ方向の両方において制御基板の位置決めを行うことができるので、ハウジングに対して制御基板を位置決めする構造の複雑化を抑制することができる。
【0014】
上記一の局面によるシフト装置において、好ましくは、中蓋は、中蓋に対して制御基板を位置決めする第2位置決め部を有する。
【0015】
このように構成すれば、第1位置決め部と第2位置決め部とからなる複数の位置決め部により制御基板を位置決めすることによって、中蓋と制御基板とが並ぶ方向に沿った軸線回りの周方向への中蓋の回転を確実に抑制することができるので、モータと、制御基板上の回転角度センサとの相対的な位置関係の精度をより向上させることができる。
【0016】
この場合、好ましくは、制御基板は、収容空間内において、中蓋よりも外蓋側に配置されており、第2位置決め部は、中蓋から外蓋側に突出した第2突出部を含み、制御基板は、第2突出部が挿入される第2基板側挿入孔を有し、第2突出部は、制御基板の第2基板側挿入孔に第2突出部が挿入された状態で、制御基板が載置される第2段差部を有する。
【0017】
このように構成すれば、第2突出部に第2段差部を設けるだけで、中蓋と外蓋とが並ぶ方向における制御基板の位置決めをすることができるので、第2突出部の構造が複雑になることを抑制しながら、ハウジングに対して制御基板を位置決めすることができる。
【0018】
上記一の局面によるシフト装置において、好ましくは、駆動力伝達機構は、モータからの駆動力により回転するギヤ部と、中蓋に取り付けられているとともに、ギヤ部を回転可能に支持する軸部とを含んでおり、第1位置決め部は、ハウジングに対して中蓋を位置決めすることにより、ハウジングに対して中蓋に軸部を介して取り付けられた駆動力伝達機構も位置決めしている。
【0019】
このように構成すれば、第1位置決め部により、ハウジングに対してモータと制御基板との位置決めだけでなく、ハウジングに対して駆動力伝達機の位置決めも行うことができる。その結果、ハウジングに対するモータと制御基板との位置決めと、ハウジングに対する駆動力伝達機の位置決めを別部材により行う場合と異なり、シフト装置の部品点数の増加および構造の複雑化を抑制することができる。
【0020】
上記一の局面によるシフト装置において、好ましくは、ハウジングは、出力軸が回転可能に挿入されるハウジング側軸受け孔を有しており、中蓋は、出力軸が回転可能に挿入される中蓋側軸受け孔を有しており、ハウジング側軸受け孔および中蓋側軸受け孔に出力軸が挿入されることにより、ハウジングに対して中蓋が位置決めされており、第1位置決め部は、出力軸の軸方向から見て、ハウジングの中心位置に対して出力軸の逆側に配置されている。
【0021】
このように構成すれば、第1位置決め部および出力軸により、出力軸の延びる方向に直交する方向への中蓋の移動、および、出力軸の軸線方向回りの中蓋の回転を規制することができる。その結果、出力軸とは別個に設けられた部材を用いて、上記中蓋の移動および上記中蓋の回転を規制する場合と異なり、ハウジングに対する中蓋の位置決めの構造の複雑化を抑制することができる。また、出力軸の延びる方向に直交する方向への中蓋の移動、および、出力軸の軸線方向回りの中蓋の回転を規制することができるので、駆動力伝達機構およびモータの位置決め精度を向上させることができる。
【0022】
なお、上記一の局面によるシフト装置において、以下のような構成も考えられる。
【0023】
(付記項1)
すなわち、上記第1突出部を備えるシフト装置において、第1突出部の制御基板側の端部には、第1突出部と制御基板とを締結部材により締結するためのめねじ部が形成されている。
【0024】
このように構成すれば、第1突出部により、制御基板を位置決めするだけでなく、めねねじ部により固定することもできるので、制御基板の位置決めおよび固定を別部材により行う場合と比較して、シフト装置の部品点数の増加および構造の複雑化を抑制することができる。
【0025】
(付記項2)
上記一の局面によるシフト装置において、外部機器と制御基板とを中蓋を介して接続するとともに、制御基板側の端部が制御基板に取り付けられる第1接続端子をさらに備え、モータは、モータと制御基板とを接続するとともに、制御基板側の端部が制御基板に取り付けられる第2接続端子を有し、第1位置決め部は、ハウジングに対して中蓋および制御基板の両方を位置決めすることにより、第1接続端子の制御基板側の端部および第2接続端子の制御基板側の端部に対して制御基板を位置決めしている。
【0026】
このように構成すれば、第1位置決め部により第1接続端子の制御基板側の端部および第2接続端子の制御基板側の端部に対して制御基板を位置決めことによって、第1接続端子および第2接続端子の制御基板に対する位置決めを別部材により位置決めする場合と異なり、シフト装置の部品点数の増加および構造の複雑化を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
図1〜
図8を参照して、電気自動車などの車両に搭載されるシフト装置100の構成について説明する。
【0030】
図1および
図2に示すように、車両では、乗員(運転者)がシフトレバー(またはシフトスイッチ)などの操作部を介してシフトの切替操作を行った場合に、変速機構部に対する電気的なシフト切替制御が行われる。すなわち、操作部に設けられたシフトセンサを介してシフトレバーの位置がシフト装置100に入力される。そして、シフト装置100に設けられた専用の制御基板11から送信される制御信号に基づいて、乗員のシフト操作に対応したP(パーキング)位置、R(リバース)位置、N(ニュートラル)位置およびD(ドライブ)位置のいずれかのシフト位置に変速機構部が切り替えらえる。このようなシフト切替制御は、シフトバイワイヤと呼ばれる。なお、P、R、NおよびD位置の各々は、特許請求の範囲の「シフト位置」の一例である。
【0031】
シフト装置100は、アクチュエータ1と、シフト切替部材20(
図8参照)を含むシフト切替機構2(
図8参照)とを備えている。
【0032】
アクチュエータ1は、乗員(運転者)のシフトの切替操作に基づいて、シフト切替部材20を駆動させる駆動装置である。アクチュエータ1は、モータ10と、制御基板11と、接続端子12と、駆動力伝達機構13と、マグネット部14aを有する出力軸14と、ハウジング15と、外蓋16と、中蓋17とを含んでいる。
【0033】
モータ10は、IPM(Interior Permanent Magnet)式のブラシレス三相モータである。モータ10は、締結部材101により中蓋17に固定されている。
【0034】
モータ10は、ロータ10aと、ステータ10bと、シャフト10cと、磁石10dと、接続端子10eとを有している。ここで、シャフト10cの延びる方向をZ方向とし、Z方向のうちの外蓋16側をZ1方向とし、Z方向のうちのハウジング15側をZ2方向とする。
【0035】
ロータ10a内には、永久磁石としてのN極磁石およびS極磁石がシャフト10cの回転軸線C1(
図3参照)回りに等角度間隔で交互に埋め込まれている。ステータ10bは、通電により磁力を発生する複数相(U相、V相およびW相)の励磁コイルを有している。シャフト10cは、ロータ10aとともに回転軸線C1回りに回転するように構成されている。シャフト10cは、中蓋17に回転可能に支持されている。磁石10dは、シャフト10cの回転角度位置を検出するためにシャフト10cに取り付けられている。磁石10dは、シャフト10cのZ1方向側(一方側)の端部に配置されている。
【0036】
接続端子10eは、モータ10のステータ10bと制御基板11とを接続している。接続端子10eは、ステータ10bと制御基板11とを接続するターミナルである。接続端子10eは、金属製である。接続端子10eは、ステータ10bと制御基板11とを電気的に接続している。すなわち、接続端子10eは、モータ10と制御基板11とを接続するとともに、制御基板11側の端部が制御基板11に取り付けられている。
【0037】
図2および
図3に示すように、制御基板11は、モータ10を制御するように構成されている。制御基板11は、基板に電子部品が実装された基板部品である。制御基板11は、締結部材102により中蓋17に固定されている。
【0038】
制御基板11には、Z方向(シャフト10cの延びる方向)において、磁石10dに対向する位置に回転角度センサ11aが配置されている。回転角度センサ11aは、モータ10の回転角度を検出するように構成されている。すなわち、回転角度センサ11aは、シャフト10cに取り付けられた磁石10dにより、シャフト10cの回転量(回転角度)を検知するセンサである。回転角度センサ11aは、磁石10dとZ方向において対向する位置に配置されている。すなわち、磁石10dと、回転角度センサ11aとは、所定の隙間を空けてシャフト10cの回転軸線C1上に配置されている。
【0039】
このように、制御基板11は、回転角度センサ11aの検出結果に基づいてモータ10を制御するように構成されている。
【0040】
制御基板11は、第1基板側挿入孔11bと、第2基板側挿入孔11cと、複数の嵌合孔11dと、複数の嵌合孔11eを有している。第1基板側挿入孔11b、第2基板側挿入孔11c、複数の嵌合孔11dおよび複数の嵌合孔11eは、基板をZ方向に貫通した貫通孔である。第1基板側挿入孔11bには、後述する第1突出部252が挿入される。第2基板側挿入孔11cには、後述する第2突出部171が挿入される。複数の嵌合孔11dの各々には、接続端子12のZ1方向側の先端部が嵌合するように挿入される。複数の嵌合孔11eの各々には、接続端子10eのZ1方向側の先端部が嵌合するように挿入される。
【0041】
また、制御基板11には、Z方向(出力軸14の延びる方向)において、マグネット部14aに対向する位置に回転角度センサ11fが配置されている。回転角度センサ11fは、出力軸14の回転角度を検出するように構成されている。すなわち、回転角度センサ11fは、出力軸14に設けられたマグネット部14aにより、出力軸14の回転量(回転角度)を検知するセンサである。回転角度センサ11fは、マグネット部14aとZ方向において対向する位置に配置されている。
【0042】
接続端子12は、外部機器としての制御装置と制御基板11とを中蓋17を介して接続している。接続端子12は、制御基板11側の端部が制御基板11に取り付けられている。接続端子12は、制御装置と制御基板11とを接続するバスバーである。接続端子12は、金属製である。このように、接続端子12は、配線ケーブルに電気的に接続されることにより、制御装置と制御基板11とを電気的に接続している。
【0043】
図1および
図3に示すように、駆動力伝達機構13は、シャフト10cに接続され、モータ10の駆動力を出力軸14に伝達するように構成されている。ここで、駆動力伝達機構13は、減速機構部として構成されている。駆動力伝達機構13は、ギヤ部13aと、ギヤ部13bと、軸部13cと、ギヤ部13dと、ギヤ部13eと、軸部13fとを有している。
【0044】
ギヤ部13aおよびギヤ部13bは、モータ10からの駆動力により回転する。ギヤ部13aは、軸部13cのZ1方向側に取り付けられた大径のギヤである。ギヤ部13aは、樹脂製である。ギヤ部13bは、軸部13cのZ2方向側に取り付けられた小径のギヤである。ギヤ部13bは、金属製である。軸部13cは、Z方向に平行な回転軸線C2を有している。軸部13cは、ギヤ部13aおよびギヤ部13bを回転可能に支持している。軸部13cのZ1方向側の端部は、中蓋17に回転可能に支持されている。軸部13cのZ2方向側の端部は、ハウジング15に回転可能に支持されている。
【0045】
ギヤ部13dおよびギヤ部13eは、モータ10からの駆動力により回転する。ギヤ部13dは、軸部13fのZ2方向側に取り付けられた大径のギヤである。ギヤ部13dは、樹脂製である。ギヤ部13eは、軸部13fのZ1方向側に取り付けられた小径のギヤである。ギヤ部13eは、金属製である。軸部13fは、Z方向に平行な回転軸線C3を有している。軸部13fは、ギヤ部13dおよびギヤ部13eを回転可能に支持している。軸部13fのZ1方向側の端部は、中蓋17に回転可能に支持されている。軸部13fのZ2方向側の端部は、ハウジング15に回転可能に支持されている。
【0046】
出力軸14は、モータ10の駆動力をシフト切替部材20(
図8参照)に出力するように構成されている。出力軸14は、Z方向に延びている。出力軸14は、駆動力伝達機構13の出力側に接続されている。出力軸14は、シフト切替部材20の入力側に接続されている。出力軸14は、Z方向に平行な回転軸線C4を有している。出力軸14は、中蓋17およびハウジング15に回転可能に支持されている。
【0047】
ハウジング15および外蓋16は、モータ10、制御基板11および駆動力伝達機構13を収容する収容空間18を構成している。収容空間18は、ハウジング15および外蓋16により形成される内部空間である。ここで、制御基板11は、収容空間18内において、中蓋17よりも外蓋16側に配置されている。
【0048】
図1および
図4に示すように、ハウジング15は、Z2方向側に配置されている。ハウジング15は、Z1方向側の面がZ2方向側に窪んだ凹形状を有している。詳細には、ハウジング15は、内底面15aと、内底面15aから延びる内側面15bと、ソケット部15cとを有している。内底面15aは、ハウジング15のZ1方向側の面に形成された凹形状の底面である。内側面15bは、内底面15aの縁部からZ1方向側に延びる側面である。
【0049】
内側面15bは、突出部151と、第1位置決め部152と、ハウジング側軸受け孔153(
図5参照)とを有している。突出部151は、内側面15bのZ2方向側の部分からハウジング15の中心側に向かって突出している。このように、突出部151は、段差部である。
【0050】
(第1位置移決め部)
本実施形態の第1位置決め部152は、ハウジング15に対して中蓋17および制御基板11の両方を位置決めするように構成されている。すなわち、第1位置決め部152は、中蓋17および制御基板11の共通の位置決め部である。
【0051】
ここで、第1位置決め部152は、ハウジング15に対して中蓋17を位置決めすることにより、ハウジング15に対して中蓋17に軸部13cおよび軸部13fを介して取り付けられた駆動力伝達機構13も位置決めしている。また、第1位置決め部152は、ハウジング15に対して中蓋17および制御基板11の両方を位置決めすることにより、接続端子12の制御基板11側の端部および接続端子10eの制御基板11側の端部に対して制御基板11を位置決めしている。
【0052】
具体的には、第1位置決め部152は、ハウジング15から外蓋16側に突出した第1突出部252を有している。すなわち、第1突出部252は、突出部151のZ1方向側の面からZ1方向側に向かって突出している。第1突出部252は、凸形状を有している。詳細には、第1突出部252は、略円柱形状を有している。このようなハウジング15の第1突出部252が、中蓋17の後述する中蓋側挿入孔17cおよび制御基板11の第1基板側挿入孔11bに挿入されることにより、ハウジング15に対して中蓋17および制御基板11が、位置決めされている。
【0053】
第1突出部252は、小径部252aと、第1段差部252bと、大径部252cとを有している。
【0054】
小径部252aは、外蓋16側に設けられるとともに、第1の直径R1を有している。すなわち、小径部252aは、突出部151のZ1方向側の部分に設けられている。第1の直径R1は、Z方向に直交する方向の長さである。小径部252aは、制御基板11の第1基板側挿入孔11bに挿入される。これにより、第1位置決め部152は、Z方向に直交する方向に制御基板11を位置決めしている。
【0055】
第1段差部252bは、小径部252aと大径部252cとの境界部分に設けられている。第1段差部252bは、Z方向に直交する方向に延びた載置面である。第1段差部252bには、小径部252aが第1基板側挿入孔11bに挿入された制御基板11が載置される。これにより、第1位置決め部152は、Z方向に制御基板11を位置決めしている。
【0056】
大径部252cは、小径部252aよりもハウジング15側に設けられ、第1の直径R1よりも大きい第2の直径R2を有している。すなわち、大径部252cは、突出部151のZ2方向側の部分に設けられている。第2の直径R2は、Z方向に直交する方向の長さである。大径部252cは、中蓋17の後述する中蓋側挿入孔17cに挿入される。これにより、第1位置決め部152は、Z方向に直交する方向に中蓋17を位置決めしている。
【0057】
図5に示すように、ハウジング側軸受け孔153は、中蓋17をZ方向に貫通する貫通孔である。ハウジング側軸受け孔153は、出力軸14の配置位置に合わせて形成されている。ハウジング側軸受け孔153は、出力軸14が回転可能に挿入されている。
【0058】
図6に示すように、第1位置決め部152は、Z1方向側(出力軸14の軸方向側)から見て、ハウジング15の中心位置Hcに対して出力軸14の逆側に配置されている。すなわち、第1位置決め部152と、出力軸14とは、中心位置Hcに対して点対称の位置に配置されている。詳細には、第1位置決め部152は、Z1方向側から見て、中蓋17の角部に配置されている。出力軸14は、Z1方向側から見て、中蓋17の角部に配置されている。そして、第1位置決め部152と、出力軸14とは、略対角位置に配置されている。
【0059】
また、第1位置決め部152は、Z1方向側から見て、出力軸14の中心点Tcとモータ10のシャフト10cの中心点Scとを通過して延びる線Lの近傍に配置されている。また、第1位置決め部152は、出力軸14とシャフト10cとが並ぶ方向において、シャフト10cよりも出力軸14から離れた位置に配置されている。
【0060】
ソケット部15cは、外部機器としての制御装置と、制御基板11との相互通信を行うための配線ケーブル(図示せず)が挿入可能に構成されている。ソケット部15cは、ハウジング15の外側面に設けられている。ソケット部15cは、配線ケーブルが挿入される挿入孔を有している。なお、配線ケーブルは、制御基板11に電力を供給する機能も有している。
【0061】
図1および
図3に示すように、外蓋16は、Z1方向側に配置されている。外蓋16は、Z2方向側の面がZ1方向側に窪んだ凹形状を有している。外蓋16は、ハウジング15のZ1方向側から覆うカバーである。
【0062】
中蓋17は、Z方向に直交する方向に沿って延びる樹脂製の部材である。ここで、中蓋17は、第2位置決め部17aと、複数のボス部17bと、中蓋側挿入孔17cと、位置決め孔17dと、中蓋側軸受け孔17eとを有している。
【0063】
図2および
図7に示すように、第2位置決め部17aは、中蓋17に対して制御基板11を位置決めしている。第2位置決め部17aは、中蓋17から外蓋16側に突出した第2突出部171を有している。第2突出部171は、中蓋17のZ1方向側の面117aからZ1方向側に向かって突出している。第2突出部171は、略円柱形状を有している。
【0064】
第2突出部171は、小径部171aと、第2段差部171bと、大径部171cとを有している。
【0065】
小径部171aは、外蓋16側に設けられるとともに、第3の直径R3を有している。すなわち、小径部171aは、第2突出部171のZ1方向側の部分に設けられている。第3の直径R3は、Z方向に直交する方向の長さである。小径部171aは、制御基板11の第2基板側挿入孔11cに挿入される。これにより、第2位置決め部17aは、Z方向に直交する方向に制御基板11を位置決めしている。
【0066】
第2段差部171bは、小径部171aと大径部171cとの境界部分に設けられている。第2段差部171bは、Z方向に直交する方向に延びた載置面である。第2段差部171bには、小径部171aが第2基板側挿入孔11cに挿入された制御基板11が載置される。すなわち、第2段差部171bには、制御基板11の第2基板側挿入孔11cに第2突出部171が挿入された状態で、制御基板11が載置される。これにより、第2位置決め部17aは、Z方向に制御基板11を位置決めしている。
【0067】
大径部171cは、小径部171aよりもハウジング15側に設けられ、第3の直径R3よりも大きい第4の直径R4を有している。すなわち、大径部171cは、第2突出部171のZ2方向側の部分に設けられている。第4の直径R4は、Z方向に直交する方向の長さである。大径部171cは、中蓋17に一体的に設けられている。
【0068】
図2に示すように、複数のボス部17bは、中蓋17のZ1方向側の面117aからZ1方向側に向かって突出している。複数のボス部17bは、略円錐台形状を有している。複数のボス部17bの各々のZ1方向側の面には、制御基板11が載置される。これにより、複数のボス部17bは、Z方向に制御基板11を位置決めしている。複数のボス部17bの各々のZ1方向側の面には、締結孔が形成されている。締結孔には、雌ねじ部が設けられている。締結孔には、締結部材102が螺合される。これにより、制御基板11が中蓋17に固定されている。
【0069】
中蓋側挿入孔17cは、中蓋17をZ方向に貫通する貫通孔である。中蓋側挿入孔17cは、第1位置決め部152の配置位置に合わせて形成されている。中蓋側挿入孔17cには、制御基板11を位置決めする第1突出部252が挿入されている。詳細には、中蓋側挿入孔17cには、第1突出部252の大径部252cが挿入されている。
【0070】
位置決め孔17dは、中蓋17をZ方向に貫通する貫通孔である。位置決め孔17dは、接続端子12の配置位置に合わせて形成されている。位置決め孔17dは、接続端子12が挿入されている。詳細には、位置決め孔17dは、接続端子12が挿入されるとともに、接続端子12の制御基板11側の先端部を位置決めしている。これにより、接続端子12の先端部が、制御基板11の嵌合孔11dに精度良く挿入される。
【0071】
図3および
図5に示すように、中蓋側軸受け孔17eは、中蓋17をZ方向に貫通する貫通孔である。中蓋側軸受け孔17eは、出力軸14の配置位置に合わせて形成されている。中蓋側軸受け孔17eは、出力軸14が回転可能に挿入されている。ここで、上記したように、出力軸14は、ハウジング側軸受け孔153に挿入されている。これらにより、ハウジング側軸受け孔153および中蓋側軸受け孔17eに出力軸14が挿入されることにより、ハウジング15に対して中蓋17が位置決めされている。
【0072】
図3に示すように、中蓋17は、収容空間18の内部に収容されているとともに、モータ10が取り付けられている。
【0073】
詳細には、中蓋17には、中蓋17のZ1方向側の面117a(外蓋16側の面)に少なくとも、モータ10が固定されている。また、中蓋17には、中蓋17のZ1方向側の面117aに制御基板11が固定されている。中蓋17には、中蓋17のZ2方向側の面117b(ハウジング15側の面)に駆動力伝達機構13の軸部13cおよび軸部13fが固定されている。具体的には、中蓋17は、取付凹部17fと、取付凹部17gとを有している。取付凹部17fおよび取付凹部17gは、中蓋17のZ2方向側の面117bに対してZ1方向側に窪んでいる。取付凹部17fには、軸部13cのZ1方向側の部分が回転可能に挿入されている。取付凹部17gには、軸部13fのZ1方向側の部分が回転可能に挿入されている。
【0074】
(シフト切替機構)
図8に示すように、シフト切替機構2は、変速機構部(図示せず)内の油圧制御回路部(図示せず)における油圧バルブボディのマニュアルスプール弁(図示せず)とパーキング機構部(図示せず)とに接続されている。変速機構部は、シフト切替機構2が駆動されることにより、シフト状態(P位置、R位置、N位置およびD位置)が機械的に切り替えられるように構成されている。
【0075】
シフト切替機構2は、上記シフト切替部材20と、ピン21aを有する位置決め部材21とを含んでいる。シフト切替部材20は、ディテントプレートである。シフト切替部材20は、シフト位置(P位置、R位置、N位置およびD位置)に対応するように設けられた複数(4つ)の谷部20aを有している。位置決め部材21は、アクチュエータ1の駆動により回動するシフト切替部材20の複数の谷部20aのいずれかにピン21aが嵌まり込んだ状態でシフト位置を成立させるように構成されている。位置決め部材21は、ディテントスプリングである。位置決め部材21は、シフト位置(P位置、R位置、N位置およびD位置)に対応する回動角度位置でディテントプレートを保持するように構成されている。
【0076】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0077】
本実施形態では、上記のように、ハウジング15に、ハウジング15に対して中蓋17および制御基板11の両方を位置決めする第1位置決め部152を設ける。これにより、モータ10が取り付けられた中蓋17、および、回転角度センサ11aが設けられた制御基板11が第1位置決め部152により位置決めされるので、モータ10と回転角度センサ11aとは、共通の第1位置決め部152により位置決めされている。したがって、モータ10と制御基板11とを各々別個に設けられた位置決め部により位置決めする場合と異なり、位置決めの基準となる位置を第1位置決め部152により共通にすることができるので、モータ10と、制御基板11上の回転角度センサ11aとの相対的な位置関係の精度を容易に向上させることができる。この結果、回転角度センサ11aにより検出されるモータ10の回転角度位置の精度を容易に向上させることができるので、制御基板11によるモータ10の回転角度位置の制御の精度を容易に向上させることができる。また、第1位置決め部152により、ハウジング15に対して制御基板11が位置決めされるので、回転角度センサ11fと出力軸14に設けられたマグネット部14aとの相対的な位置関係も位置決めすることができる。
【0078】
また、本実施形態では、上記のように、第1位置決め部152に、ハウジング15から外蓋16側に突出した第1突出部252を設ける。中蓋17に、第1突出部252が挿入される中蓋側挿入孔17cを設ける。そして、制御基板11に、第1突出部252が挿入される第1基板側挿入孔11bを設ける。ハウジング15の第1突出部252を、中蓋17の中蓋側挿入孔17cおよび制御基板11の第1基板側挿入孔11bに挿入されることにより、ハウジング15に対して中蓋17および制御基板11を、位置決めする。これにより、ハウジング15に対して中蓋17および制御基板11を位置決めする構造を、第1突出部252、中蓋側挿入孔17cおよび第1基板側挿入孔11bにより実現することによって、ハウジング15に対して中蓋17および制御基板11を位置決めする構造を比較的簡易な構造にすることができる。この結果、シフト装置100の構造の複雑化を抑制することができる。
【0079】
また、本実施形態では、上記のように、制御基板11を、収容空間18内において、中蓋17よりも外蓋16側に配置する。第1突出部252に、外蓋16側に設けられるとともに、第1の直径R1を有する小径部252aを設ける。第1突出部252に、小径部252aよりもハウジング15側に設けられ、第1の直径R1よりも大きい第2の直径R2を有する大径部252cを設ける。第1突出部252に、小径部252aと大径部252cとの境界部分に設けられ、制御基板11が載置される第1段差部252bを設ける。これにより、小径部252aにより、Z方向(中蓋17と外蓋16とが並ぶ方向)に直交する方向において制御基板11の位置決めをすることができるとともに、小径部252aと大径部252cとの境界部分の第1段差部252bに載置することにより、Z方向(中蓋17と外蓋16とが並ぶ方向)において制御基板11を位置決めすることができる。この結果、第1突出部252により、Z方向に直交する方向およびZ方向の両方において制御基板11の位置決めを行うことができるので、ハウジング15に対して制御基板11を位置決めする構造の複雑化を抑制することができる。
【0080】
また、本実施形態では、上記のように、中蓋17に、中蓋17に対して制御基板11を位置決めする第2位置決め部17aを設ける。これにより、第1位置決め部152と第2位置決め部17aとからなる複数の位置決め部により制御基板11を位置決めすることによって、Z方向(中蓋17と制御基板11とが並ぶ方向)に沿った軸線回りの周方向への中蓋17の回転を確実に抑制することができるので、モータ10と、制御基板11上の回転角度センサ11aとの相対的な位置関係の精度をより向上させることができる。
【0081】
また、本実施形態では、上記のように、制御基板11を、収容空間18内において、中蓋17よりも外蓋16側に配置する。第2位置決め部17aに、中蓋17から外蓋16側に突出した第2突出部171を設ける。制御基板11に、第2突出部171が挿入される第2基板側挿入孔11cを設ける。第2突出部171に、制御基板11の第2基板側挿入孔11cに第2突出部171が挿入された状態で、制御基板11が載置される第2段差部171bを設ける。これにより、第2突出部171に第2段差部171bを設けるだけで、Z方向(中蓋17と外蓋16とが並ぶ方向)における制御基板11の位置決めをすることができる。この結果、第2突出部171の構造が複雑になることを抑制しながら、ハウジング15に対して制御基板を位置決めすることができる。
【0082】
また、本実施形態では、上記のように、駆動力伝達機構13に、モータ10からの駆動力により回転するギヤ部13a、ギヤ部13b、ギヤ部13dおよびギヤ部13eと、中蓋17に取り付けられているとともに、ギヤ部13a、ギヤ部13b、ギヤ部13dおよびギヤ部13eを回転可能に支持する軸部13cおよび軸部13fとを設ける。第1位置決め部152を、ハウジング15に対して中蓋17を位置決めすることにより、ハウジング15に対して中蓋17に軸部13cおよび軸部13fを介して取り付けられた駆動力伝達機構13も位置決めしている。これにより、第1位置決め部152により、ハウジング15に対してモータ10と制御基板11との位置決めだけでなく、ハウジング15に対して駆動力伝達機の位置決めも行うことができる。この結果、ハウジング15に対するモータ10と制御基板11との位置決めと、ハウジング15に対する駆動力伝達機構13の位置決めを別部材により行う場合と異なり、シフト装置100の部品点数の増加および構造の複雑化を抑制することができる。
【0083】
また、本実施形態では、上記のように、ハウジング15に、出力軸14が回転可能に挿入されるハウジング側軸受け孔153を設ける。中蓋17に、出力軸14が回転可能に挿入される中蓋側軸受け孔17eを設ける。ハウジング側軸受け孔153および中蓋側軸受け孔17eに出力軸14が挿入されることにより、ハウジング15に対して中蓋17を位置決めする。第1位置決め部152を、出力軸14の軸方向から見て、ハウジング15の中心位置Hcに対して出力軸14の逆側に配置する。これにより、第1位置決め部152および出力軸14により、Z方向(出力軸14の延びる方向)に直交する方向への中蓋17の移動、および、出力軸14の軸線方向回りの中蓋17の回転を規制することができる。この結果、出力軸14とは別個に設けられた部材を用いて、上記中蓋17の移動および上記中蓋17の回転を規制する場合と異なり、ハウジング15に対する中蓋17の位置決めの構造の複雑化を抑制することができる。また、Z方向(出力軸14の延びる方向)に直交する方向への中蓋17の移動、および、出力軸14の軸線方向回りの中蓋17の回転を規制することができるので、駆動力伝達機構13およびモータ10の位置決め精度を向上させることができる。
【0084】
[変形例]
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0085】
たとえば、上記実施形態では、第1突出部252は、第1段差部252bに制御基板11を載置している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図9に示す変形例のように、第1突出部352は、制御基板11を締結部材304もより固定可能に構成されていてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、第1突出部252は、第1段差部252bを有している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1突出部は、第1段差部を有していなくてもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、中蓋17は、中蓋17に対して制御基板11を位置決めする第2位置決め部17aを有している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、中蓋は、第2位置決め部を有していなくてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、第2突出部171は、第2段差部171bを有している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2突出部は、第2段差部を有していなくてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、第1位置決め部152は、ハウジング15に対して中蓋17を位置決めすることにより、ハウジング15に対して駆動力伝達機構13も位置決めしている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1位置決め部は、ハウジングに対して中蓋のみを位置決めし、ハウジングに対して駆動力伝達機構を位置決めしなくてもよい。