特開2021-196048(P2021-196048A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-196048(P2021-196048A)
(43)【公開日】2021年12月27日
(54)【発明の名称】免震具
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/023 20060101AFI20211129BHJP
   A47B 97/00 20060101ALI20211129BHJP
【FI】
   F16F15/023 Z
   A47B97/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-105696(P2020-105696)
(22)【出願日】2020年6月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000103644
【氏名又は名称】オイレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104570
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 光弘
(72)【発明者】
【氏名】金子 史幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 清春
【テーマコード(参考)】
3J048
【Fターム(参考)】
3J048AA07
3J048BD01
3J048BG04
3J048DA01
3J048EA13
(57)【要約】
【課題】地震等による設置面の揺れが免震対象物に伝達するのをより確実に防止することができる免震具を提供する。
【解決手段】免震具1は、スチールラック等の収納棚2が四隅に備える脚部200にそれぞれ装着されて、収納棚2と収納棚2が設置された設置面3との間に介在する。免震具1は、収納棚2の脚部20を載置する載置面101が上面100に形成され、設置面3と摺動する摺動面103が下面102に形成された合成樹脂製の板状本体10と、脚部20に免震具1が取り付けられる収納棚2の隅部αに対応する摺動面103の縁部104に形成された複数の切欠き部105と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
免震対象物の四隅にそれぞれ取り付けられて、前記免震対象物と前記免震対象物が設置される設置面との間に介在する免震具であって、
上面に前記免震対象物を載置する載置面が形成され、下面に前記設置面と摺動する摺動面が形成された合成樹脂製の板状本体と、
前記免震具が取り付けられる前記免震対象物の隅部に対応する前記摺動面の縁部に形成された切欠き部と、を有する
ことを特徴とする免震具。
【請求項2】
請求項1に記載の免震具であって、
端面を前記摺動面から露出させて前記切欠き部に埋設された固体潤滑剤をさらに有する
ことを特徴とする免震具。
【請求項3】
請求項1に記載の免震具であって、
前記切欠き部に充填された潤滑グリースをさらに有する
ことを特徴とする免震具。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の免震具であって、
前記切欠き部は、
前記摺動面の中心側から縁部側に向かうにつれて当該切欠き部の面積が大きくなる
ことを特徴とする免震具。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の免震具であって、
前記摺動面に形成された凹部をさらに有する
ことを特徴とする免震具。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の免震具であって、
前記免震対象物が四隅に備える脚部各々に装着されるものであり、
前記板状本体の上面に一体的に形成された、前記脚部を挟み込む一対の側壁部および前記一対の側壁部を連結する連結部をさらに有する
ことを特徴とする免震具。
【請求項7】
請求項6に記載の免震具であって、
前記板状本体は、矩形状をしており、
前記切欠き部は、
前記摺動面の縁部を構成する四辺のうち、前記免震具が取り付けられる前記免震対象物の隅部に対応する二辺を含む三辺に形成されており、
前記一対の側壁部は、
前記摺動面の縁部を構成する四辺のうち、前記切欠き部が形成された対向する二辺に沿って前記板状本体の上面に一体的に形成され、
前記連結部は、
前記摺動面の縁部を構成する四辺のうち、前記切欠き部が形成された三辺以外の辺に沿って前記板状本体の上面に一体的に形成されている
ことを特徴とする免震具。
【請求項8】
請求項6または7に記載の免震具であって、
前記一対の側壁部は、
前記免震対象物の脚部に設けられた被係合部と係合する係合部を有する
ことを特徴とする免震具。
【請求項9】
請求項6ないし8のいずれか一項に記載の免震具であって、
前記板状本体の上面に一体的に形成され、前記一対の側壁部とともに、軸心に垂直な断面がU字型をしている前記免震対象物の脚部を挟み込む柱部をさらに有する
ことを特徴とする免震具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、什器、家具、電気機器等の免震具に関し、特に、スチールラック等の四隅に脚部を備えた収納棚に好適な免震具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、什器、家具、電気機器等の免震対象物の下面に取り付けられて、免震対象物とこの免震対象物が設置された設置面との間に介在し、免震対象物を地震等による設置面の揺れから保護する免震具が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、免震対象物の下面の四隅にそれぞれ取り付けられる免震具が開示されている。この免震具は、ベースプレートと、ベースプレートの上面に貼り付けられ、免震対象物の下面と接着する接着層と、ベースプレートの下面に貼り付けられ、表裏両面に粘着面を有するゲル状の免震パッドと、ベースプレートの下面に一体的に形成され、免震パッドの粘着面に食い込む複数のスパイク部と、を備えている。
【0004】
この免震具によれば、地震等による設置面の揺れを免震パッドで吸収し、この揺れが接着層に接着された免震対象物に伝達するのを防止することができる。また、ベースプレートの下面に一体的に形成されたスパイク部が免震パッドの粘着面に食い込むことにより、ベースプレートの下面と免震パッドの粘着面との間で横滑りが発生するのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−312008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の免震具では、免震対象物が設置された設置面に免震パッドでは吸収しきれない大きな揺れが発生した場合に、この揺れが免震対象物に伝わって、免震対象物に収容された収容物が倒れたり、あるいは、収容物が免震対象物から落下したり、さらには、免震対象物そのものが転倒したりする可能性がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、地震等による設置面の揺れが免震対象物に伝達するのをより確実に防止することができる免震具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の免震具は、什器、家具、電気機器等の免震対象物の四隅にそれぞれ取り付けられて、免震対象物とこの免震対象物が設置された設置面との間に介在する。そして、設置面と摺動する合成樹脂製の摺動面により、免震対象物を地震等による設置面の揺れから保護する。また、免震具が取り付けられる免震対象物の隅部に対応する摺動面の縁部に形成された切欠き部を有する。
【0009】
例えば、本発明は、
免震対象物の四隅にそれぞれ取り付けられて、前記免震対象物と前記免震対象物が設置される設置面との間に介在する免震具であって、
上面に前記免震対象物を載置する載置面が形成され、下面に前記設置面と摺動する摺動面が形成された合成樹脂製の板状本体と、
前記免震具が取り付けられる前記免震対象物の隅部に対応する前記摺動面の縁部に形成された切欠き部と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、免震対象物が設置された設置面に大きな揺れが発生した場合に、合成樹脂製の板状本体の摺動面が設置面と摺動することにより、この揺れが免震対象物に伝達するのを防止することができる。また、免震具が取り付けられる免震対象物の隅部に対応する摺動面の縁部に切欠き部を形成しているので、この摺動面の縁部における接触面積を小さくして摩擦係数を小さくすることができる。このため、例えば、地震動により免震対象物に傾き(浮き上がり)が生じて、この摺動面の縁部に免震対象物の荷重が集中するような場合では、摺動面と設置面とがより低摩擦の状態となるので、設置面の揺れ方向における免震対象物の端部を回転中心とするモーメントが免震対象物に発生するのを抑制して、免震対象物の転倒を防止することができる。したがって、本発明によれば、地震等による設置面の揺れが免震対象物に伝達するのをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1(A)、図1(B)および図1(C)は、本発明の一実施の形態に係る免震具1が取り付けられた収納棚2の正面図、側面図および底面図であり、図1(D)は、図1(A)に示す収納棚2の脚部20のA部拡大図である。
図2図2(A)および図2(B)は、図1(D)に示す収納棚2の脚部20のB−B断面図およびC−C断面図である。
図3図3(A)、図3(B)および図3(C)は、本発明の一実施の形態に係る免震具1の正面図、側面図、および背面図であり、図3(D)は、図3(A)に示す免震具1のD−D断面図である。
図4図4(A)、図4(B)、図4(C)および図4(D)は、図3(A)に示す免震具1のE−E拡大断面図、F−F拡大断面図、G−G拡大断面図、およびH−H拡大断面図である。
図5】本発明の一実施の形態に係る免震具1の変形例1aを説明するための図であり、図3(C)に相当する図である。
図6】本発明の一実施の形態に係る免震具1の変形例1bを説明するための図であり、図3(C)に相当する図である。
図7】本発明の一実施の形態に係る免震具1の変形例1cを説明するための図であり、図3(C)に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態について説明する。
【0013】
図1(A)、図1(B)および図1(C)は、本実施の形態に係る免震具1が取り付けられた収納棚2の正面図、側面図および底面図であり、図1(D)は、図1(A)に示す収納棚2の脚部20のA部拡大図である。また、図2(A)および図2(B)は、図1(D)に示す収納棚2の脚部20のB−B断面図およびC−C断面図である。
【0014】
図示するように、本実施の形態に係る免震具1は、スチールラック等の収納棚2が四隅に備える脚部20に各々装着されて、収納棚2とこの収納棚2が設置された床等の設置面3との間に介在し、収納棚2を地震等による設置面3の揺れから保護する。
【0015】
免震具1には、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポニフェニレンサルファイド樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーカーボネート樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂等の合成樹脂に、必要に応じて潤滑油、シリコーン、ワックス、ポリテトラフルオロエチレン等の潤滑剤が添加された摺動材が用いられる。
【0016】
図3(A)、図3(B)および図3(C)は、本実施の形態に係る免震具1の正面図、側面図、および背面図であり、図3(D)は、図3(A)に示す免震具1のD−D断面図である。また、図4(A)、図4(B)、図4(C)および図4(D)は、図3(A)に示す免震具1のE−E拡大断面図、F−F拡大断面図、G−G拡大断面図、およびH−H拡大断面図である。
【0017】
図示するように、免震具1は、収納棚2の脚部20が載置される板状本体10と、脚部20を挟み込む一対の側壁部11と、一対の側壁部11を連結する連結部12と、一対の柱部13と、を有する。
【0018】
板状本体10は、収納棚2の脚部20の下面に合わせた矩形状をしており(図2参照)、上面100に形成され、収納棚2の脚部20を載置するための載置面101と、下面102に形成され、設置面3と摺動する摺動面103と、を有する。
【0019】
摺動面103は、縁部104に形成された複数の切欠き部105と、中央部106に形成された複数の凹部107と、を有する。なお、凹部107は、摺動面103に少なくとも一つ形成されていればよい。
【0020】
切欠き部105は、摺動面103の縁部104を構成する四辺104a〜104dのうち、収納棚2の隅部αに対応する二辺104a、104bを含む三辺104a〜104cに形成されている(図2参照)。このように、摺動面103の縁部104を構成する四辺104a〜104dのうちの3辺104a〜104cに切欠き部105を形成することにより、収納棚2が四隅に備えるすべての脚部20において、免震具1を装着したときに、切欠き部105を収納棚2の隅部αに配置させることができる。ただし、切欠き部105は、収納棚2の脚部20に免震具1を装着したときに、収納棚2の隅部αに対応する摺動面103の縁部104に位置するように形成されていればよい。
【0021】
一対の側壁部11は、板状本体10の摺動面103の縁部104を構成する四辺104a〜104dのうち、切欠き部105が形成された対向する二辺104a、104cに沿って板状本体10の上面100に一体的に形成され、板状本体10の載置面101に載置された収納棚2の脚部20を挟み込む。これにより、収納棚2の脚部20に装着された免震具1のガタツキを防止する。また、側壁部11は、収納棚2の脚部20に形成された被係合部(貫通孔)200と係合するスナップフィット部110を有する(図2参照)。これにより、免震具1が収納棚2の脚部20からの脱落を防止する。
【0022】
連結部12は、板状本体10の摺動面103の縁部104を構成する四辺104a〜104dのうち、切欠き部105が形成された三辺104a〜104c以外の辺104dに沿って板状本体10の上面100に一体的に形成され、一対の側壁部11をこれらの端部において連結する。これにより、一対の側壁部11が板状本体10の載置面101に載置された収納棚2の脚部20を挟み込む力を増大させる。また、連結部12により、樹脂成型時の引けによって一対の側壁部11が内側に倒れこむことを防止する。
【0023】
連結部12の内壁120には、凸部14が設けられている。図2に示すように、収納棚2の脚部20は、軸心O(図1(D)参照)に垂直な断面がU字型をしている。連結部12の内壁120に設けられた凸部14により、免震具1は、凸部14がU字型の脚部20の開口部に位置する場合にのみ、脚部20に装着可能となる。これにより、免震具1の脚部20への誤装着を防止することができる。
【0024】
一対の柱部13は、板状本体10の上面100に一体的に形成される。図2に示すように、収納棚2の脚部20は、軸心O(図1(D)参照)に垂直な断面がU字型をしており、その両端部200が内側に向けてL字型に屈折している。一対の柱部13は、一対の側壁部11および連結部12とともに、板状本体10の載置面101に載置された収納棚2の脚部20のL字型の両端部200を挟み込む。これにより、収納棚2の脚部20に装着された免震具1のガタツキを防止する。なお、ここでは、収納棚2の脚部20の両端部200にそれぞれ対応して柱部13を一対設けているが、一つの柱部によって収納棚2の脚部20の両端部200を一対の側壁部11および連結部12とともに挟み込んでもよい。
【0025】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。
【0026】
本実施の形態では、収納棚2が設置された設置面3に大きな揺れが発生した場合に、合成樹脂製の板状本体10の摺動面103が設置面3と摺動することにより、この揺れが収納棚2に伝達するのを防止することができる。また、収納棚2の隅部αに対応する摺動面103の縁部104に複数の切欠き部105を形成しているので、この摺動面103の縁部104における接触面積を小さくして摩擦係数を小さくすることができる。このため、例えば、地震動により収納棚2に傾きが生じて、この摺動面103の縁部104に収納棚2の荷重が集中するような場合では、摺動面103が設置面3とより摺動しやすくなるので、設置面103の揺れ方向における収納棚2の端部を回転中心とするモーメントが収納棚2に発生するのを抑制して、収納棚2の転倒を防止することができる。したがって、本実施の形態によれば、地震等による設置面3の揺れが収納棚2に伝達するのをより確実に防止することができる。
【0027】
また、本実施の形態では、摺動面103に凹部107を形成しているので、摺動面103の全面における接触面積を小さくして摩擦係数をさらに小さくすることができる。これにより、収納棚2が設置された設置面3に大きな揺れが発生した場合に、摺動面103が設置面3とより摺動しやすくなるので、この揺れが収納棚2に伝達するのをさらに効率よく防止することができる。
【0028】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形は可能である。
【0029】
例えば、上記の実施の形態において、板状本体10の摺動面103の縁部104に複数形成された切欠き部105に、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、パラフィン系ワックス等の固体潤滑剤を、その端面が摺動面103で露出するように埋設してもよい。このようにすることで、例えば、地震動により収納棚2に傾きが生じて、摺動面103の縁部104に収納棚2の荷重が集中するような場合では、切欠き部105に埋設された固体潤滑剤により摺動面103が設置面3とさらに摺動しやすくなるので、収納棚2の転倒をさらに効率よく防止することができる。なお、固体潤滑剤は、インサート成形により板状本体10と一体的に形成してもよい。
【0030】
また、上記の実施の形態において、板状本体10の摺動面103の縁部104に複数形成された切欠き部105に、潤滑グリースを充填してもよい。この場合でも、例えば、地震動により収納棚2に傾きが生じて、摺動面103の縁部104に収納棚2の荷重が集中するような場合では、切欠き部105に充填された潤滑グリースにより摺動面103が設置面3とさらに摺動しやすくなるので、収納棚2の転倒をさらに効率よく防止することができる。
【0031】
また、上記の実施の形態では、摺動面103の縁部104を構成する四辺104a〜104dのうち、収納棚2の隅部αに対応する二辺104a、104bを含む三辺104a〜104cに、それぞれ、3つの切欠き部105を形成している。しかし、本発明はこれに限定されない。収納棚2の隅部αに対応する二辺104a、104bに、それぞれ、少なくとも1つの切欠き部が形成されていればよい。例えば、図5に示す免震具1の変形例1aのように、納棚2の隅部αに対応する二辺104a、104bを含む三辺104a〜104cに、それぞれ、1つの切欠き部105aを形成してもよい。
【0032】
また、上記の実施の形態において、摺動面103の縁部104を構成する四辺104a〜104dのうち、収納棚2の隅部αに対応する二辺104a、104bに、それぞれ、摺動面103の中心側から縁部104側に向かうにつれて切欠き部の面積が大きくなるように、切欠き部を設けてもよい。例えば、図6に示す免震具1の変形例1bのように、摺動面103の中心側に頂点を有する三角形状の切欠き部105bを、納棚2の隅部αに対応する二辺104a、104bを含む三辺104a〜104cに、それぞれ設けてもよい。あるいは、図7に示す免震具1の変形例1cのように、摺動面103の縁部104に弦が位置する円弧状の切欠き部105cを、収納棚2の隅部αに対応する二辺104a、104bを含む三辺104a〜104cに、それぞれ設けてもよい。
【0033】
このようにすることにより、例えば、地震動により収納棚2に傾きが生じて、摺動面103の縁部104に収納棚2の荷重が集中するような場合では、収納棚2の傾きが大きくなるほど、摺動面103の接触面積が小さくなって摩擦係数が小さくなるので、設置面103の揺れ方向における収納棚2の端部を回転中心とするモーメントが収納棚2に発生するのを収納棚2の傾きが大きくなるほど抑制して、収納棚2の転倒を防止することができる。
【0034】
また、上記の実施の形態では、収納棚2が四隅に備える脚部20にそれぞれ装着される免震具1を例にとり説明した。しかし、本発明はこれに限定されず、四隅に脚部を備えていない免震対象物にも適用可能である。すなわち、本発明の免震具は、什器、家具、電気機器等の免震対象物の下面に取り付けられて、免震対象物とこの免震対象物が設置された設置面との間に介在し、免震対象物を地震等による設置面の揺れから保護するものであればよい。
【0035】
なお、四隅に脚部を備えていない免震対象物に、本発明の免震具を取り付ける場合、例えば、板状本体10の上面100に一対の側壁部11および連結部12を形成するのに代えて、板状本体10の上面100に設けられた載置面101を接着面とし、摺動面103の縁部104に形成された切欠き部105が免震対象物の隅部αに位置するようにして、免震具を免震対象物の下面に貼り付けてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1:免震具 2:収納棚 3:設置面 10:板状本体 11:側壁部
12:連結部 13:柱部 14:凸部 20:脚部
100:板状本体10の上面 101:載置面 102:板状本体10の下面
103:摺動面 104:摺動面103の縁部
104a〜104d:縁部104を構成する辺 105:切欠き部
106:摺動面103の中央部 107:凹部
110:スナップフィット部 120:連結部12の内壁
200:脚部20の端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7