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特開2021-196448電子機器及び画面焼き付き補正制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-196448(P2021-196448A)
(43)【公開日】2021年12月27日
(54)【発明の名称】電子機器及び画面焼き付き補正制御方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20211129BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20211129BHJP
【FI】
   G09G5/00 550B
   G06F1/16 312F
   G06F1/16 312G
   G09G5/00 550C
   G09G5/00 X
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2020-101782(P2020-101782)
(22)【出願日】2020年6月11日
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 嘉則
(72)【発明者】
【氏名】吉山 典利
(72)【発明者】
【氏名】安齋 裕
【テーマコード(参考)】
5C182
【Fターム(参考)】
5C182AA02
5C182AA03
5C182AA23
5C182AB02
5C182AB08
5C182AB15
5C182AC02
5C182AC43
5C182BA03
5C182BA06
5C182BA24
5C182BA28
5C182CA11
5C182CB47
5C182CC21
5C182CC25
5C182DA04
5C182DA41
5C182DA63
5C182DA64
5C182DA65
5C182DA67
5C182DA70
(57)【要約】
【課題】表示デバイスの画面焼き付き補正が正常に行われる可能性を高める。
【解決手段】電子機器が備える表示デバイスの表示累積時間が閾値以上となったか否かを判定する表示累積時間判定部と、前記表示累積時間判定部により前記表示累積時間が閾値以上となったことが判定されたことに応じて、ユーザが電子機器を使用していないとして設定された非使用時間帯において、画面焼き付き補正が実行されるように制御する補正制御部とを備えて電子機器を構成する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器が備える表示デバイスの表示累積時間が閾値以上となったか否かを判定する表示累積時間判定部と、
前記表示累積時間判定部により前記表示累積時間が閾値以上となったことが判定されたことに応じて、ユーザが電子機器を使用していないとして設定された非使用時間帯において、画面焼き付き補正が実行されるように制御する補正制御部と
を備える電子機器。
【請求項2】
前記補正制御部は、前記非使用時間帯において設定された開始時刻に至ったことに応じて、前記画面焼き付き補正を開始させる
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記画面焼き付き補正の実行に関する設定として前記開始時刻を変更可能な実行設定部を備える
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記補正制御部は、オペレーティングシステムを起動させていない状態のもとで、基本プログラムが実行される環境のもとで前記画面焼き付き補正を実行させる
請求項2または3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記表示累積時間判定部により前記表示累積時間が閾値以上となったことが判定されたことに応じて、前記画面焼き付き補正を実行することの案内をユーザに行う案内制御部を備える
請求項1から4のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記補正制御部は、前記画面焼き付き補正の実行に際して、折りたたみ型の前記表示デバイスの開閉状態を判定した結果に基づいて、前記画面焼き付き補正に関する制御を実行する
請求項1から5のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記補正制御部は、前記画面焼き付き補正の実行に際して、前記電子機器の電力消費が抑制された所定の状態であるか否かを判定した結果に基づいて、前記画面焼き付き補正に関する制御を実行する
請求項1から6のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記補正制御部は、前記画面焼き付き補正の実行に際して測定される電子機器の所定部位の温度に基づいて所定の条件を満たしているか否かを判定した結果に基づいて、前記画面焼き付き補正に関する制御を実行する
請求項1から7のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記画面焼き付き補正の実行結果がエラーであった場合に、前記判定した結果に対応するエラーの理由とともに、画前記面焼き付き補正の実行結果がエラーであったことの通知を行う通知部を備える
請求項6から8のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項10】
電子機器が備える表示デバイスの表示累積時間が閾値以上となったか否かを判定するステップと、
前記表示累積時間が閾値以上となったことが判定されたことに応じて、ユーザが電子機器を使用していないとして設定された非使用時間帯において、画面焼き付き補正が実行されるように制御するステップと
を含む画面焼き付き補正制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及び画面焼き付き補正制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
OLEDなどの自発光型の表示デバイスは、表示時間の経過に応じて画素が劣化することに起因する画面の焼き付き(画面焼き付き)が生じる。そこで、周期的に画面焼き付きを補正するようにされた技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−26406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画面焼き付き補正が正常に行われるようにするには、表示デバイスの表示パネルの温度等についての所定の条件を満たすことが要求される。このような条件が満たされない場合には、画面焼き付き補正が正常に行われない結果を生じる場合がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、表示デバイスの画面焼き付き補正が正常に行われる可能性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する本発明の一態様は、電子機器が備える表示デバイスの表示累積時間が閾値以上となったか否かを判定する表示累積時間判定部と、前記表示累積時間判定部により前記表示累積時間が閾値以上となったことが判定されたことに応じて、ユーザが電子機器を使用していないとして設定された非使用時間帯において、画面焼き付き補正が実行されるように制御する補正制御部とを備える電子機器である。
【0007】
また、本発明の一態様は、電子機器が備える表示デバイスの表示累積時間が閾値以上となったか否かを判定するステップと、前記表示累積時間が閾値以上となったことが判定されたことに応じて、ユーザが電子機器を使用していないとして設定された非使用時間帯において、画面焼き付き補正が実行されるように制御するステップとを含む画面焼き付き補正制御方法である。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、表示デバイスの画面焼き付き補正が正常に行われる可能性を高めることが可能になるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態における電子機器の外観例を示す斜視図である。
図2】本実施形態における電子機器の外観例を示す斜視図である。
図3】本実施形態における電子機器の外観例を示す斜視図である。
図4】本実施形態における電子機器のハードウェアの構成例を示す図である。
図5】本実施形態における一次案内画面、二次案内画面、実行設定画面の一例を示す図である。
図6】本実施形態における電子機器の機能構成例を示す図である。
図7】本実施形態における電子機器が表示累積時間の計測に関して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
図8】本実施形態における電子機器が画面焼き付き補正の開始設定に関連して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
図9】本実施形態における電子機器が画面焼き付き補正の実行に関連して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本実施形態に係る電子機器1の筐体2を180度展開した状態を示す斜視図である。図2は、電子機器1の筐体2を略90度展開した状態を示す斜視図である。図3は、電子機器1の筐体2を閉じた状態を示す斜視図である。
【0011】
本実施形態に係る電子機器1は、クラムシェル型のパーソナルコンピュータ(いわゆるノート型のパーソナルコンピュータ)である。なお、電子機器1は、タブレット端末、携帯電話、スマートフォンまたは電子手帳等であってもよい。
【0012】
図1及び図2に示すように、電子機器1は、筐体2とディスプレイ14とを備える。
筐体2は、第1筐体部材4と、第2筐体部材5と、ヒンジ6と、を備える。第1筐体部材4及び第2筐体部材5は、それぞれ平面視矩形の薄型箱状に形成され、互いに隣接する一辺同士が、一対のヒンジ6を介して相対回動可能に連結されている。筐体2は、第1筐体部材4と第2筐体部材5とがヒンジ6の回動軸を中心に0度となる完全閉状態(図3)から180度となる全開状態(図1)との間で開閉可能に構成される。
【0013】
以下の説明において、筐体2におけるディスプレイ14が配置される面を正面とし、筐体2の厚さ方向における正面と反対側の面を背面とする。閉形態では、筐体2が折り畳まれて、第1筐体部材4の正面と第2筐体部材5の正面とが対向する。
【0014】
第1筐体部材4及び第2筐体部材5は、例えば、ステンレス、マグネシウム、アルミニウム等の金属、炭素繊維等の強度強化繊維を含む樹脂等で構成されている。
【0015】
筐体2は、正面にディスプレイ14を支持している。また、筐体2の背面7に対し、カバー8が設けられる。カバー8は、背面7の保護のために設けられる。
ディスプレイ14(表示デバイスの一例)は、第1筐体部材4及び第2筐体部材5に連続して設けられている。ディスプレイ14は、例えばOLED(Organic Light Emitting Diode)を備えて構成される。OLEDは、自発光型のディスプレイである。また、ディスプレイ14は、タッチパネルとして構成される。また、ディスプレイ14は、折り曲げが可能とされている。
筐体2に支持されたディスプレイ14は、図1図3に示されるように、筐体2が全開状態から完全閉状態の間で開閉されることに応じて、平面(フラット)の状態と2つ折りに畳まれた状態との間で開閉する。
【0016】
図4は、本実施形態における電子機器1のハードウェアの構成例を示している。
同図の電子機器1は、CPU(Central Processing Unit)11と、メインメモリ12と、ビデオサブシステム13と、ディスプレイ14と、チップセット21と、BIOS(Basic Input Output System)メモリ22と、SSD(Solid State Drive)23と、USB(Universal Serial Bus)コネクタ24と、オーディオシステム25と、ネットワークカード26と、エンベデッドコントローラ30と、入力インターフェース27と、電源回路28と、バッテリ29と、RTC(Real-Time Clock)31とを備える。
【0017】
CPU11は、例えばメインメモリ12に格納されたプログラムを実行することで、種々の演算処理を実行し、電子機器1の各部を制御する。メインメモリ12は、例えば、複数個のDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップを含む。メインメモリ12は、CPU11により実行されるプログラムの読み込み領域として機能する。また、メインメモリ12は、CPU11により実行されるプログラムの処理データを書き込む作業領域として機能する。CPU11により実行されるプログラムには、例えば、OS(オペレーティングシステム、Operating System)、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム等が含まれる。
【0018】
ビデオサブシステム13は、例えば、ビデオコントローラと、ビデオメモリとを含む。
ビデオサブシステム13は、画像表示に関連する機能を実現するためのサブシステムである。ビデオコントローラは、CPU11から出力された描画命令を処理し、処理した描画情報をビデオメモリに書き込む。また、ビデオコントローラは、ビデオメモリから描画情報を読み出して、読み出した描画情報を、ディスプレイ14に描画データ(表示データ)として出力する。ディスプレイ14は、例えば、液晶ディスプレイである。ディスプレイ14は、ビデオサブシステム13から出力された描画データ(表示データ)に基づいて、表示画面を表示する。
【0019】
チップセット21は、USB、シリアルATA(AT Attachment)、SPI(Serial Peripheral Interface)バス、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス、PCI−Expressバス、及びLPC(Low Pin Count)バスなどのコントローラを備える。チップセット21には、複数のデバイスが接続される。本実施形態において、チップセット21には、デバイスとして、BIOSメモリ22と、SSD23と、USBコネクタ24と、オーディオシステム25と、ネットワークカード26と、エンベデッドコントローラ30と、RTC31とが接続される。
【0020】
BIOSメモリ22は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュROMなどの電気的に書き換え可能な不揮発性メモリを含む。BIOSメモリ22は、パラメータ、BIOS及びエンベデッドコントローラ30などを制御するためのシステムファームウェアなどを記憶する。
【0021】
SSD23は、記憶デバイスである。SSD23は、OS、各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム、及び各種データを記憶する。
USBコネクタ24は、USBを利用した周辺機器類を電子機器1に接続するためのコネクタである。オーディオシステム25は、音データの記録、再生、及び入出力を行う。ネットワークカード26は、ネットワークに接続し、データ通信を行う。ネットワークカード26は、例えば、ワイヤレス(無線)LANを介してネットワークに接続するものであってよい。
なお、SSD23に代えて、HDD(Hard Disk Drive)等の他の記憶装置が備えられてよい。
【0022】
エンベデッドコントローラ30は、電子機器1の動作モードに関わらず、各種デバイス(周辺装置やセンサ等)を監視し、制御するワンチップマイコン(One-Chip Microcomputer)である。エンベデッドコントローラ30は、不図示のCPU、ROM、RAM、複数チャネルのA/D入力端子、D/A出力端子、タイマ、及びデジタル入出力端子を備える。エンベデッドコントローラ30のデジタル入出力端子には、例えば、入力インターフェース27と電源回路28が接続される。
【0023】
エンベデッドコントローラ30は、電源回路28を制御する電源管理機能を有する。エンベデッドコントローラ30は、電源回路28を制御することにより、例えば、CPU11に供給する電力を制御する。
【0024】
入力インターフェース27は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパッドなどの入力デバイスである。
【0025】
電源回路28は、例えば、DC/DCコンバータ、充放電ユニット、及びAC/DCアダプタなどを含む。電源回路28は、エンベデッドコントローラ30からの制御に基づいて動作する。電源回路28は、AC/DCアダプタ、またはバッテリ29から供給された直流電圧を、電子機器1を動作させるために電圧に変換する。電源回路28は、変換した電圧の電力を電子機器1の各部に供給する。
バッテリ29は、蓄電池であり、電源回路28によって充電が行われる。また、バッテリ29に蓄積された電力は、電源回路28の制御によって放電が行われることで、電子機器1の各部に供給される。
【0026】
RTC31は、日時を計測する。RTC31は、例えばバックアップ用のバッテリからの電源供給を受けることで、電子機器1がシャットダウンされて電源回路28から電源供給が停止された状態であっても定常的に日時を計測することができる。
【0027】
ディスプレイ14はOLEDを備えて構成される。OLEDは、表示時間の経過に従って画素が劣化していくことにより画面(表示面)に焼き付き(画面焼き付き)が生じる。
そこで、本実施形態の電子機器1は、例えば画面焼き付き補正を実行することが可能とされている。
【0028】
画面焼き付き補正は、例えば画素ごとの劣化に応じた輝度のばらつきを解消するように、所望の輝度に対応させて画素に印加する階調制御値を設定することをいう。画面焼き付き補正が行われた後は、設定された改良制御値により画素の駆動が行われることで、ディスプレイ14にて画像が表示される際の焼き付きの現象が緩和される。
【0029】
画面焼き付き補正が正常に行われるようにするには、以下の条件(正常補正条件)をいずれも満たす必要がある。
1つには、画面焼き付き補正の開始時において、ディスプレイ14における表示パネルの表面温度が所定範囲(一例として、10°〜40°)にありかつ均一であることが条件となる(正常補正条件1)。
例えば、電子機器1の使用が終了された直後においては表示パネルの表面温度が上昇している状態にあるために、正常補正条件1が満たされていない可能性が高い。また、電子機器1のバッテリ29に充電(特に、高速充電)を行っている状態においては、バッテリ29や電源回路28が高温の状態となるため、表示パネルにも熱が伝達して表面温度が上昇しやすいことから、正常補正条件1が満たされていない可能性が高い。
【0030】
また、もう1つには、画面焼き付き補正が開始されてから終了するまでの間において、ディスプレイ14の表示パネルの表面温度の上昇が3度以下であることが条件となる(正常補正条件2)。
例えば、パーソナルコンピュータとしての電子機器1は、OSの制御の下で各種処理が実行可能であるが、画面焼き付き補正をOSの制御のもとで実行すると、他の各種のプロセスの影響により温度が上昇する可能性がある。この場合、正常補正条件2が満たされなくなる可能性が高くなる。
【0031】
また、本実施形態のディスプレイ14の表示パネルは、筐体2の開閉に応じてフラットな状態と2つ折りで折り畳まれる状態との間で状態が変化可能とされている。このようなディスプレイ14の表示パネルが折り畳まれた状態で画面焼き付き補正が行われた場合には、例えば表示パネルの表面温度が変動しやすくなる。そこで、画面焼き付き補正が適正に行われるようにするには、画面焼き付き補正が開始される時点で、ディスプレイ14の表示パネルがフラットな状態にあって、表示パネルに接触しているものが無い状態とすることが条件となる(正常補正条件3)。
【0032】
また、画面焼き付き補正の頻度は、例えばディスプレイ14が表示を行った時間の累積(表示累積時間)が例えば3000時間から4000時間程度ごとに1回でよいとされている。また、初回の画面焼き付き補正の実行後においては消費電力が恒常的に増加することから、上記よりも高い頻度で行うことは好ましくないという側面がある。
【0033】
また、画面焼き付き補正の実行中は、ディスプレイ14は、黒の画面に対して白色のスキャンラインが表示され、通常とは異なる挙動となる。ユーザが画面焼き付き補正の実行中であることを知らずに、このようなディスプレイ14の表示を見た場合には、ユーザが不審に思う可能性がある。また、画面焼き付き補正の実行中においては、上記のような表示状態となることから、ユーザが電子機器1を使用することはできない。
このようなことから、画面焼き付き補正が行われる時間をユーザが事前に把握できるようにすることが好ましい。
【0034】
そこで、本実施形態においては、以降に説明するようにして、画面焼き付き補正の実行に関する案内をユーザに向けて行う。
ユーザが電子機器1を使用しているとき、ディスプレイ14は表示を行っている状態にある。電子機器1は、このようにディスプレイ14が表示を行っているときに表示累積時間を計測している。表示累積時間は、まだ画面焼き付き補正を一度も実行していない場合には、最初にディスプレイ14が表示を行ってから現在までにおいてディスプレイ14が表示を行っていた時間の累積値である。また、過去に画面焼き付き補正を実行している場合には、最後の画面焼き付き補正が行われた後から現在までにおいてディスプレイ14が表示を行っていた時間の累積値である。
【0035】
電子機器1は、計測された表示累積時間と予め定められた閾値とを比較している。閾値は、画面焼き付き補正が必要となる程度に画素が劣化するのに要する時間に基づいて設定され、例えば3000時間〜4000時間程度の範囲において定められた所定値となる。
【0036】
電子機器1は、使用中の状態において表示累積時間が閾値以上となった場合には、まず、ディスプレイ14にて、画面焼き付き補正を行うことが必要となったことを簡易に案内する一次案内画面を表示する。
【0037】
図5(A)は、一次案内画面の一例を示している。同図の一次案内画面は、トーストメッセージとして表示される態様を示している。一次案内画面としての表示は、トーストメッセージに限定されるものではなく、例えばポップアップウィンドウなどとして表示されてもよい。
【0038】
同図の一次案内画面においては、表示累積時間が一定以上となったために画面焼き付き補正が必要であることをユーザに報知するメッセージが表示されている。また、同図の同図の一次案内画面においては、実行延期ボタンBt1と、実行確認ボタンBt2とが配置されている。
実行延期ボタンBt1または実行確認ボタンBt2に対する操作は、例えばタッチパネルとしてのディスプレイ14において、実行延期ボタンBt1、実行確認ボタンBt2が表示された位置に対するタッチ操作であってよい。あるいは、実行延期ボタンBt1または実行確認ボタンBt2に対する操作は、マウス、キーボード等の入力デバイスにより行われるようにされてもよい。
【0039】
ユーザは、例えば今回は画面焼き付き補正を実行させないようにしたい場合には、実行延期ボタンBt1を操作する。実行延期ボタンBt1が操作された場合には、トーストメッセージとしての一次案内画面が消去される。この場合には、次にユーザが電子機器1の使用を開始させたことに応じてディスプレイ14の表示が開始されたタイミングで、再度、一次案内画面が表示されるようにしてよい。あるいは、例えば100時間程度を延期するものとして閾値を更新したうえで、累積表示時間が更新された閾値を超えた際に、再度、一次案内画面を表示するものとしてもよい。
【0040】
ユーザは、画面焼き付き補正を実行させる場合には、実行確認ボタンBt2を操作する。実行確認ボタンBt2が操作されたことに応じて、ディスプレイ14には、トーストメッセージとしての一次案内画面が消去されるのに代えて、二次案内画面が表示される。二次案内画面は、画面焼き付き補正に関して、より詳細な案内をユーザに行う画面である。
【0041】
図5(B)は、実行確認ボタンBt2が操作されたことに応じて表示される二次案内画面P1の一例を示している。同図の二次案内画面P1は、ポップアップウィンドウWDにて表示されている。
【0042】
ポップアップウィンドウWDにおいては、タブTb1、Tb2、Tb3が配置されている。タブTb1は、二次案内画面P1を表示させる際に選択されるタブである。タブTb2は、実行設定画面を表示させる際に選択されるタブである。タブTb3は、補正履歴画面を表示させる際に選択されるタブである。
【0043】
実行確認ボタンBt2が操作されたことに応じてはじめに表示されるポップアップウィンドウWDにおいてはタブTb1が選択されており、タブTb1の選択に応じてポップアップウィンドウWDにて二次案内画面P1が表示された状態である。
【0044】
二次案内画面P1においては、詳細案内エリアAR11とアニメーションエリアAR12とが配置されている。
詳細案内エリアAR11においては、電子機器1に画面焼き付き補正を実行させるにあたってのユーザへの伝達事項が示されている。具体的に、詳細案内エリアAR11においては以下の伝達事項1〜4が示されている。
【0045】
伝達事項1:実行設定画面にて画面焼き付き補正の実行を有効に設定すること。
伝達事項2:画面焼き付き補正の実行中においてはディスプレイ14がフラットな状態で開かれていること。
アニメーションエリアAR12においては、ディスプレイ14がフラットな状態で開かれているべきことをユーザに視覚的に伝えるためのアニメーションが繰り返し表示される。具体的には、例えば筐体2が90度程度に展開された状態から180度展開されるように開いていくようにされてディスプレイ14がフラットな状態で、かつペンやキーボード等の他の物体が表示面に触れていない状態となるまでのアニメーションが表示される。このようなアニメーションは例えばGIF形式によるものであってよい。
なお、本実施形態の電子機器1が備える表示デバイス(ディスプレイ14)は、折り畳みが可能とされているが、例えばキーボード付きのノート型のパーソナルコンピュータやタブレット端末のように折り曲げが不可の表示デバイスを備える電子機器にも本実施形態の画面焼き付き補正の案内を適用することが有効である。このような場合は、アニメーションエリアAR12において、例えば表示面が他の物体から離れた状態で維持される状態を電子機器の形態とともに示すようなアニメーションを表示させてよい。
伝達事項3:電子機器1がシャットダウンされた状態から画面焼き付き補正が開始されるようにすること。
伝達事項4:AC/DCアダプタから電源が供給される状態としておくこと。正常補正条件1を満たすため、シャットダウンから画面焼き付き補正の開始までには、通常、3時間から4時間程度が必要とされている。そこで、画面焼き付き補正の開始タイミングにおいて、(高速)充電の影響による温度上昇が生じないように、画面焼き付き補正の開始より前において十分に充電された状態としておくために、AC/DCアダプタから電源が供給される状態としておくことが求められる。
なお、電子機器によっては、AC/DCアダプタが接続されている状態のもとでは、表示デバイスの表面温度が十分に下がらなかったり、後述するタイマによる起動ができない仕様とされる場合がある。このような電子機器の場合には、伝達事項4として、上記とは逆に、予め十分に充電しておいてから、AC/DCアダプタを外してシャットダウンするよう指示するようにしてよい。
【0046】
ユーザは、伝達事項1に従って、実行設定画面を表示させるためにタブTb2を選択する操作を行う。
タブTb2が選択されたことに応じて、ポップアップウィンドウWDにおいては、例えば図5(C)に示すように実行設定画面P2が表示される。
同図の実行設定画面P2においては、スイッチSW21をオンとする操作を行うことで、画面焼き付き補正が有効となり、開始時刻エリアAR21にて設定されている開始時刻から画面焼き付き補正が開始されることをユーザに伝えるメッセージが示されている。
【0047】
開始時刻エリアAR21には、デフォルトで設定された開始時刻が示されている。ユーザは、開始時刻エリアAR21にて示されるデフォルトの開始時刻を確認する。デフォルトの開始時刻は、例えば一般的にはユーザが睡眠中であって電子機器1を使用することがないと想定される時間帯(非使用時間帯の一例)を考慮して、深夜における或る時刻が定められている。ユーザは、このようなデフォルトの開始時刻でよければ、そのままスイッチSW21をオンとする操作を行えばよい。
【0048】
一方、デフォルトの開始時刻では都合がよくないような場合、ユーザは、開始時刻エリアAR21における「EDIT」のリンクに対する操作を行う。「EDIT」のリンクに対する操作が行われたことで、図示は省略するが、ポップアップウィンドウWDにて開始時刻変更画面が表示される。ユーザは、自分が確実に使用していない時間帯に応じて開始時刻を決定し、開始時刻変更画面に対する操作によって開始時刻を変更する。開始時刻を変更すると、ユーザは開始時刻変更画面を閉じる操作を行い、実行設定画面の表示に戻す。この場合、実行設定画面においてスイッチSW21をオンとする操作は、開始時刻を変更する前の段階で行われてもよいし、開始時刻を変更した後の段階で行われてもよい。
【0049】
また、ユーザは、これまでの焼き付き補正の実行についての履歴を確認したい場合には、タブTb3を操作する。タブTb3が操作されたことに応じて、図示は省略するが、ポップアップウィンドウWDにおいて補正履歴画面が表示される。補正履歴画面においては、過去において実行された画面焼き付き補正ごとの実行年月日、実行結果等が表示される。実行結果は、例えば、成功か失敗かが示されるとともに、失敗であった場合には、その理由が示される。
【0050】
ポップアップウィンドウWDにはクローズボタンBt11が配置されている。ユーザは、クローズボタンBt11を操作することで、ポップアップウィンドウWDを閉じることができる。
【0051】
ユーザは、画面焼き付き補正を有効に設定した場合、電子機器1をシャットダウンさせておくようにする。この際、ユーザは、電子機器1の筐体2を全開状態としてディスプレイ14の表示パネルをフラットな状態としておくとともに、AC/DCアダプタから電源が供給される状態としておくようにする。
電子機器1は、シャットダウンされた状態において開始時刻に至るとBIOSで起動し、BIOSモードのもとで画面焼き付き補正を開始させる。
【0052】
画面焼き付き補正は、通常、あきらかにユーザが使用しない時間帯において開始される。この場合、画面焼き付き補正の準備のためにユーザが電子機器1をシャットダウンした時刻は、画面焼き付き補正の開始時刻に対して相当に前である可能性が高い。また、バッテリ29への充電も完了して、バッテリ29や電源回路の温度も十分に低下している可能性が高い。従って、画面焼き付き補正が開始されるタイミングでは、ディスプレイ14の表示パネルの温度は所定範囲内で均一となっている可能性が高い。
さらに、本実施形態の電子機器1は、シャットダウンの状態からBIOSを起動させ、BIOSモードのもとで画面焼き付き補正を実行する。つまり、本実施形態の画面焼き付き補正は、OSが起動されていない状態のもとで実行される。これにより、画面焼き付き補正の実行中は、OSが動作していることによる他のプロセスの影響を受けることがないため、CPU11やSSD23等の発熱も抑制される。このために、画面焼き付き補正の実行中において、CPU11やSSD23等の発熱の影響によるディスプレイ14の表示パネルの表面温度の上昇も生じにくい。
また、ディスプレイ14の表示パネルは、二次案内画面P1により伝達事項を確認しているユーザによって、フラットな状態とされている可能性が高い。
【0053】
つまり、本実施形態の場合、正常補正条件1〜3が満たされたうえで画面焼き付き補正が実行される可能性が高いものであり、画面焼き付き補正が適正に完了する可能性が高い。
【0054】
さらに、本実施形態においては、ユーザが、画面焼き付き補正の実行される前の段階で、二次案内画面P1により伝達事項を確認し、実行設定画面P2により開始時刻を確認している。このために、ユーザが、画面焼き付き補正の実行によりディスプレイ14が通常と異なる挙動による表示を行っている状態を見たとしても、特に不審に思うことがなく、むしろ、設定された時間通りに画面焼き付き補正が実行されたことを確認できることになる。
【0055】
また、本実施形態においては、電子機器1がディスプレイ14の表示累積時間を計測し、計測された表示累積時間が閾値以上となったことに応じて、画面焼き付き補正が行われるようにされている。これにより、例えばユーザの判断により必要以上に高い頻度で画面焼き付き補正が実行されることも防がれる。
【0056】
以下、上記のようにして行われる本実施形態の画面焼き付き補正に関する制御を実現するための構成例について説明する。
図6は、本実施形態の画面焼き付き補正に関連する電子機器1の機能構成例を示している。同図の電子機器1は、制御部10、表示累積時間記憶部201、開始時刻記憶部202を備える。同図においては、上記の各部とともに、画面焼き付き補正の対象となるディスプレイ14と、ディスプレイ14と制御部10の間に介在するビデオサブシステム13が示されている。
【0057】
制御部10は、画面焼き付き補正に関連する制御を実行する。制御部10としての機能は、例えばCPU11がOSやBIOSに対応するプログラムを実行することにより実現される。
制御部10は、表示累積時間判定部101、案内制御部102、実行設定部103、及び補正制御部104を備える。
【0058】
表示累積時間判定部101は、ディスプレイ14の表示累積時間を計測する。そのうえで、表示累積時間判定部101は、計測された表示累積時間が予め定められた閾値以上となったか否かを判定する。表示累積時間が閾値以上となった状態は、画面焼き付き補正を実行してよい状態となったことに対応する。
案内制御部102は、表示累積時間が閾値以上となったことが判定されたことに応じて、画面焼き付き補正を実行することの案内をユーザに行う。
【0059】
実行設定部103は、画面焼き付き補正の実行に関する設定を行う。具体的に、実行設定部103は、ユーザの操作に応じて画面焼き付き補正の実行の有効、無効を設定する。また、実行設定部103は、画面焼き付き補正の実行が開始される開始時刻をユーザの操作に応じて変更する。本実施形態において、画面焼き付き補正が実行される開始時刻は、デフォルトで所定時刻が設定されているが、ユーザが操作を行うことで、開始時刻をデフォルト以外の時刻に変更することができる。
補正制御部104は、ディスプレイ14の画面焼き付き補正に関する制御を実行する。
【0060】
表示累積時間記憶部201は、表示累積時間判定部101により計測された表示判定時間を記憶する。
開始時刻記憶部202は、画面焼き付き補正の開始時刻を記憶する。開始時刻記憶部202は、デフォルトの開始時刻を記憶する。また、ユーザの操作により開始時刻が変更された場合には、開始時刻記憶部202は、実行設定部103の制御に応じて、変更後の開始時刻を記憶する。
【0061】
図7のフローチャートを参照して、電子機器1が表示累積時間の計測に関して実行する処理手順例について説明する。同図の処理は、表示累積時間判定部101が実行する。同図の表示累積時間判定部101としての処理は、例えばOSのバックグラウンドで定常的に行われる動作として実現されてよい。
【0062】
ステップS101:電子機器1において、表示累積時間判定部101は、ディスプレイ14にて表示が行われていない状態のもとで、表示が開始されるのを待機する。表示累積時間判定部101は、例えばOSのブートの発生や、OSの動作中におけるディスプレイ14の表示開始のイベント(screen on event)の発生等に応じて、ディスプレイ14の表示が開始されたと判定してよい。なお、表示開始のイベントは、例えば閉じられていた筐体2が開かれたり、或るキー等に対する操作によってスタンバイモードや休止モードから復帰することに応じて発生されてよい。
【0063】
ステップS102:ステップS101にて表示が開始されたことが判定されると、表示累積時間判定部101は、表示累積時間の計測を開始する。表示累積時間判定部101は、ディスプレイ14の表示開始時点からの時間を計測し、計測された時間を、例えばBIOSメモリ22に記憶される表示累積時間に累積加算していくようにして、表示累積時間の計測を行っていく。これにより、BIOSメモリ22に記憶される表示累積時間は、ディスプレイ14が表示を行っている時間が累積されていくようにして更新されていく。
【0064】
ステップS103:ステップS102にて表示累積時間の計測を開始して以降において、表示累積時間判定部101は、ディスプレイ14の表示が停止されるのを待機する。表示累積時間判定部101は、例えばOSのシャットダウン、OSの動作中におけるディスプレイ14の表示停止のイベント(screen off event)等が発生したことに応じて、ディスプレイ14の表示が停止されたと判定してよい。表示停止のイベントは、例えば筐体2が閉じられたり、所定のキー操作等に応じてスタンバイモードや休止モードに遷移することに応じて発生されてよい。
【0065】
ステップS104:ステップS103にてディスプレイ14の表示が停止されたことが判定されると、表示累積時間判定部101は、これまでの表示累積時間の計測を停止する。ステップS104の処理の後は、ステップS101に処理が戻される。
【0066】
図8のフローチャートを参照して、電子機器1が一次案内画面(図5(A))とポップアップウィンドウWD(図5(B)、図5(C))の表示と、画面焼き付き補正の開始設定に関連して実行する処理手順例について説明する。同図の処理は、表示累積時間判定部101、案内制御部102、実行設定部103が実行する。同図の表示累積時間判定部101、案内制御部102、実行設定部103が実行する処理は、OS上の動作として実現されてよい。
【0067】
ステップS201:電子機器1において、表示累積時間判定部101は、ディスプレイ14が表示中の状態において、現在において計測され表示累積時間が閾値以上となるのを待機している。
【0068】
ステップS202:ステップS201により表示累積時間が一定以上となったことが判定されると、案内制御部102は、ディスプレイ14にて、図5(A)に例示したようにトーストメッセージによる一次案内画面を表示させる。
【0069】
ステップS203:一次案内画面が表示されている状態のもとで、案内制御部102は、実行確認操作が行われたか否かを判定する。実行確認操作は、図5(A)の一次案内画面における実行確認ボタンBt2に対する操作である。
【0070】
ステップS204:実行確認操作が行われたことが判定された場合、案内制御部102は、一次案内画面を消去したうえで、二次案内画面P1をディスプレイ14に表示させる。つまり、案内制御部102は、図5(B)に例示したように、二次案内画面P1を配置したポップアップウィンドウWDをディスプレイ14に表示させる。
【0071】
ステップS205:二次案内画面P1が表示された状態において、案内制御部102は、実行設定画面表示操作が行われたか否かを判定する。実行設定画面表示操作は、実行設定画面への遷移を指示する操作であり、ポップアップウィンドウWDにおけるタブTb2に対する操作である。
【0072】
ステップS206:実行設定画面表示操作が行われた場合、案内制御部102は、ポップアップウィンドウWDにおいて実行設定画面を表示させる。
【0073】
ステップS207:実行設定画面が表示された状態のもとで、ユーザは、実行設定操作を行うことができる。実行設定操作は、画面焼き付き補正の実行に関する設定についての操作である。具体的に、実行設定操作は、ユーザがスイッチSW21のオンオフを切り替えて画面焼き付き補正の有効、無効のいずれかを設定する操作を含む。また、実行設定操作は、開始時刻変更画面を表示させたうえで、画面焼き付き補正の実行の開始時刻を変更する操作を含む。
実行設定部103は、ユーザにより行われた実行設定操作を受け付ける。実行設定部103は、実行設定操作として、スイッチSW21をオンとする操作が行われたことに応じて、画面焼き付き補正の実行を有効に設定する。また、実行設定部103は、実行設定操作として、スイッチSW21をオフとする操作が行われたことに応じて、画面焼き付き補正の実行を無効に設定する。また、実行設定部103は、画面焼き付き補正の実行の開始時刻を変更する操作が行われた場合には、操作に応じて開始時刻を変更する。実行設定部103は、スイッチSW21がオンとされたことに応じて画面焼き付き補正の実行を有効に設定する際に、スイッチSW21がオンとされたタイミングで設定されていた開始時刻を、開始時刻記憶部202に記憶させる。開始時刻記憶部202への開始時刻の記憶は、図4のハードウェア構成のもとでは、例えばRTC31のタイマ機能による画面焼き付き補正モードの起動の設定を行うことに対応する。
なお、当該ステップS207の処理は、実行設定操作が行われない場合にはスキップされてよい。
【0074】
ステップS208:ステップS207の処理の後、あるいはステップS205にて実行設定画面表示操作が行われないと判定された場合、案内制御部102は、補正履歴画面表示操作が行われたか否かを判定する。補正履歴画面表示操作は、タブTb3に対する操作である。
【0075】
ステップS209:補正履歴画面表示操作が行われた場合、案内制御部102は、ポップアップウィンドウWDにおいて補正履歴画面を表示させる。
【0076】
ステップS210:ステップS209の処理の後、あるいはステップS208にて補正履歴画面表示操作が行われないと判定された場合、案内制御部102は、二次案内画面表示操作が行われた否かを判定する。二次案内画面表示操作は、タブTb1に対する操作である。二次案内画面表示操作が行われたと判定された場合には、ステップS204に処理が戻される。
【0077】
ステップS211:ステップS210にて二次案内画面表示操作が行われないと判定された場合、案内制御部102は、ポップアップウィンドウWDに対するクローズ操作が行われたか否かを判定する。クローズ操作は、ポップアップウィンドウWDにて配置されるクローズボタンBt11に対する操作である。画面クローズ操作が行われないと判定された場合にはステップS205に処理が戻される。
【0078】
ステップS212:ステップS211にてクローズ操作が行われたことが判定された場合、案内制御部102は、ポップアップウィンドウWDを消去させる。
【0079】
ステップS213:ステップS203にて実行延期ボタンBt1が操作されたことが判定された場合、案内制御部102は、一次案内画面を消去する。
【0080】
図9のフローチャートを参照して、電子機器1が画面焼き付き補正の実行に関連して実行する処理手順例について説明する。
【0081】
ステップS301:電子機器1において補正制御部104は、シャットダウンされた状態のもとで、現時刻が開始時刻記憶部202に記憶されている開始時刻に至るのを待機する。
ステップS302:ステップS301により現在時刻が開始時刻に至ったことが判定されると、補正制御部104は、シャットダウンの状態からBIOSを起動させる。
ステップS301、S302の補正制御部104としての処理は、例えばRTC31が、自己の計測している時刻(日時)が自己のタイマにセットされた開始時刻に到達したことに応じてBIOSを起動させる、タイマ起動の機能により実現される。
【0082】
ステップS303:補正制御部104は、ディスプレイ14にて画面焼き付き補正が行われるように制御する。補正制御部104による画面焼き付き補正の制御は、BIOS上で起動された画面焼き付き補正制御用のドライバによって実現されてよい。ステップS303の画面焼き付き補正の制御が実行されているとき、OSは起動されていない。
補正制御部104は、画面焼き付き補正の終了に応じて、今回の画面焼き付き補正の結果を履歴情報としてSSD23やBIOSメモリ22等に記憶させてよい。また、補正制御部104は、画面焼き付き補正が終了されたことに応じて、表示累積時間記憶部201に記憶される表示累積時間をリセットしてよい。
【0083】
以下、本実施形態の変形例について説明する。以下に説明する変形例は適宜組み合わされてよい。
【0084】
なお、例えば筐体2が全開状態にあるか否かを検出可能な開閉センサを電子機器1に設けてよい。電子機器1の補正制御部104は、開閉センサの出力に基づいて、画面焼き付き補正の実行に際して、筐体2の開閉状態を判定してよい。
例えば、補正制御部104は、開始時刻に至ったタイミングで、センサの出力に基づいて筐体2が全開状態であるか否かを判定してよい。筐体2が全開状態であれば、ディスプレイ14の表示パネルはフラットな状態にあるが、筐体2が全開状態でなく、半開状態あるいは完全閉状態である場合には、ディスプレイ14の表示パネルは折れておりフラットな状態ではない。
補正制御部104は、筐体2が全開状態であると判定したのであれば画面焼き付き補正を開始させる。一方、補正制御部104は、筐体2が全開状態ではないと判定した場合には、画面焼き付き補正を開始させないようにする。これにより、ディスプレイ14の表示パネルが折れている状態のまま画面焼き付き補正が行われることがなくなり、画面焼き付き補正が失敗することを回避できる。
また、補正制御部104は、画面焼き付き補正の実行中においても、筐体2の開閉状態を判定するようにされてよい。例えば画面焼き付き補正の実行中において、ユーザが筐体2を閉じてしまうようなことが生じた場合、補正制御部104は、筐体2が全開状態でなくなったことを判定する。このように筐体2が全開状態でなくなったことが判定された場合、補正制御部104は、例えばこれまで実行していた画面焼き付き補正を中断させてもよい。
【0085】
また、上記のように、筐体2が全開状態でなくなったと判定されたことで画面焼き付き補正が正常に完了しなかった場合には、補正制御部104は、画面焼き付き補正の実行結果をエラーとして扱ってよい。この場合、補正制御部104は、画面焼き付き補正の実行結果として、筐体2が全開状態ではなかったことによるエラーであったことを示す履歴を所定の記憶部(例えばBIOSメモリ22、SSD23等)に記憶させてよい。そのうえで、電子機器1の制御部10に設けた通知部が、例えば次回の起動に際して、ユーザに対して、ディスプレイ14がフラットな状態でなかったために画面焼き付き補正が正常に完了されなかったことを通知してよい。
【0086】
なお、ディスプレイ14の表示パネルの仕様等によっては、例えば全開でなくとも一定以上の角度で開いていれば、正常補正条件1、2等を満たして画面焼き付き補正を正常に完了することが可能な場合もある。このような場合に対応して、開閉センサについては、筐体2の開いた角度を検出可能とされてよい。補正制御部104は、開閉センサの出力に基づき、筐体2の開いた角度が一定以上であるか否かを判定した結果に基づいて、上記と同様の画面焼き付き補正に関する制御を実行してよい。
【0087】
なお、電子機器1の補正制御部104は、画面焼き付き補正の実行に際して、電子機器1の電力消費が抑制された所定の状態であるか否かを判定するようにされてよい。ここで、電子機器1の電力消費が抑制された所定の状態でないと判定された場合には、例えば正常補正条件1、2等が満たされなくなる状態に相当する。
具体的に、補正制御部104は、画面焼き付き補正の開始時刻に至ったタイミングで、電子機器1の電力消費が抑制された所定の状態として、シャットダウンされた状態にあるか否かを判定してよい。シャットダウンされていない状態の場合には、これまでにOSが動作して相当量の電力が消費されることにより電子機器1の温度が高い状態にあったことから、電子機器1の電力消費が抑制されない状態に相当する。そこで、この場合には、補正制御部104は、画面焼き付き補正を開始しないようにされてよい。
また、補正制御部104は、画面焼き付き補正の実行中において、例えばユーザの操作によりOSを起動させる操作が行われた場合には、電子機器1の電力消費が抑制された状態ではなくなったと判定してよい。このように判定した場合、補正制御部104は、これまで実行していた画面焼き付き補正を中断させてよい。
【0088】
また、補正制御部104は、電子機器1の電力消費が抑制された所定の動作状態であるか否かの判定として、画面焼き付き補正の開始時刻に至ったタイミングで、バッテリ29が充電を行っていない状態か否かを判定してよい。バッテリ29への充電が完了していない状態では、バッテリ29や電源回路28の温度が高く、正常補正条件1、2等が満たされなくなる状態に該当する可能性が高い。この場合にも、補正制御部104は、画面焼き付き補正を開始しないようにされてよい。
また、補正制御部104は、画面焼き付き補正の実行中において、例えばバッテリ29への充電が開始された場合には、電子機器1の電力消費が抑制された状態ではなくなったと判定してよい。このように判定した場合にも、補正制御部104は、これまで実行していた画面焼き付き補正を中断させてよい。
【0089】
このように電子機器1の電力消費が抑制された状態ではないと判定されたことで、画面焼き付き補正が正常に完了しなかった場合にも、補正制御部104は、上記の判定結果をエラーの理由とする画面焼き付き補正の実行結の履歴を記憶させてよい。また、電子機器1の通知部は、例えば次回の起動に際して、ユーザに対して、該当の理由とともに画面焼き付き補正が正常に完了されなかったことを通知してよい。
【0090】
また、電子機器1における1以上の所定部位を温度センサにより計測可能なようにされてよい。そのうえで、補正制御部104は、例えば画面焼き付き補正の開始時刻に至ったタイミングで、温度センサにより測定される温度に基づいて、正常補正条件1が満たされているか否かを判定してよい。補正制御部104は、例えば温度センサにより測定される温度が所定の範囲内である場合に、正常補正条件1が満たされていると判定してよい。
補正制御部104は、正常補正条件1が満たされていると判定した場合に、画面焼き付き補正を開始し、正常補正条件1が満たされていないと判定した場合に、画面焼き付き補正を開始しないようにされてよい。
また、補正制御部104は、画面焼き付き補正の実行中において、温度センサにより測定される温度の変化に基づいて、正常補正条件2が満たされている状態にあるか否かを判定するようにされてよい。補正制御部104は、例えば画面焼き付き補正の実行中において温度センサにより測定される温度の最低値と最高値との差分が一定以上となった場合に、正常補正条件2が満たされない状態となったと判定してよい。正常補正条件2が満たされない状態となったことを判定した場合、補正制御部104は、画面焼き付き補正を中断させてよい。
このように、温度センサの出力に基づいて、正常補正条件1または正常補正条件2が満たされないとの判定により、画面焼き付き補正が正常に完了しなかった場合にも、補正制御部104は、上記の判定結果をエラーの理由とする画面焼き付き補正の実行結果の履歴を記憶させてよい。また、電子機器1の通知部は、例えば次回の起動に際して、ユーザに対して、該当の理由とともに画面焼き付き補正が正常に完了されなかったことを通知してよい。
【0091】
なお、ステップS201にて表示累積時間と比較される閾値は、これまでの画面焼き付き補正の実行回数に応じて変更されてよい。これにより、例えばディスプレイ14の特性等により、画面焼き付き補正の実行回数に応じて、次の画面焼き付き補正を行うまでに適切とされる表示累積時間が変化する可能性があるような場合に対応できる。例えば1回目の画面焼き付き補正に対応する閾値が3000時間〜4000時間程度の範囲で定められた場合、2回目以降の画面焼き付き補正に対応する閾値は、例えば2000時間〜3000時間程度の範囲で定めるといったように、1回目よりも小さい値を設定するほうが、良好な画面焼き付き補正の結果を期待できる場合がある。
【0092】
なお、上記実施形態においてデフォルトの開始時刻は固定的に設定されていた。しかしながら、デフォルトとしての開始時刻は、例えばユーザによる電子機器1の利用履歴に基づいて設定されてよい。つまり、電子機器1は、利用履歴において示される電子機器1の利用時間帯の情報に基づいて、ユーザが使用しないことが推定される非使用時間帯を推定する。電子機器1は、推定した非使用時間帯に基づいてデフォルトの開始時刻を設定してよい。電子機器1は、例えば非使用時間帯の開始時刻から、ディスプレイ14の表面温度が正常補正条件1を満たす範囲にまで低下するのに要する時間を経過した時刻をデフォルトの開始時刻として設定してよい。
【0093】
なお、上記実施形態の電子機器1は、クラムシェル型のパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンなどのように携帯型とされて、筐体に表示デバイスが一体的に取り付けられた態様とされている。しかしながら、本実施形態に係る電子機器は、例えばデスクトップ型のパーソナルコンピュータのように、それぞれ個別装置の本体と表示デバイスとを接続したものであってよい。また、本実施形態に係る電子機器は、テレビジョン受像器や、入力された映像を表示するモニタディスプレイ等であってもよい。
【0094】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。上記の実施形態において説明した各構成は、矛盾しない限り任意に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0095】
1 電子機器、11 CPU、12 メインメモリ、13 ビデオサブシステム、14 ディスプレイ、21 チップセット、22 BIOSメモリ、23 SSD、24 USBコネクタ、25 オーディオシステム、26 ネットワークカード、27 入力インターフェース、28 電源回路、29 バッテリ、30 エンベデッドコントローラ、31 RTC、101 表示累積時間判定部、102 案内制御部、103 実行設定部、104 補正制御部、201 表示累積時間記憶部、202 開始時刻記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9