【解決手段】本発明は、アクチュエータを備えたレンズユニット(2)であって、レンズ鏡筒(6)と、光学部品が取り付けられた可動部(17)と、この可動部を、所定範囲内で移動可能に支持する案内機構(8)と、駆動用マグネット(30)及び駆動用コイル(32)を備え、可動部を駆動するアクチュエータ(10)と、駆動用コイルに流す電流を制御することにより、可動部を駆動する制御部(14)と、この制御部から供給される電流が停止されたとき、可動部が重力によって移動され、可動部が可動端に衝突するのを緩和する緩衝機構(20)と、を有し、緩衝機構は、可動部が重力によって移動される際に、駆動用コイルによって生成される電流により作動することを特徴としている。
上記光学部品は、フォーカス調整用のフォーカスレンズであり、上記案内機構は、上記フォーカスレンズを、その光軸方向に移動可能に案内する請求項1記載のレンズユニット。
上記アクチュエータは更に、上記駆動用マグネットの磁束を導くヨークを備え、上記可動部に取り付けられた上記駆動用コイルが、上記ヨークに沿って直線移動される請求項1又は2に記載のレンズユニット。
上記緩衝機構は、緩衝用マグネット及び上記可動部に取り付けられた緩衝用コイルを備え、上記緩衝用コイルには、上記可動部が重力によって移動される際に、上記駆動用コイルによって生成された電流が供給され、上記緩衝用コイルと上記緩衝用マグネットの間に働く反発力により、上記可動部の、上記可動端への衝突が緩和される請求項1乃至3の何れか1項に記載のレンズユニット。
上記緩衝機構は、電気を供給することにより変形する電気変形素子を備え、上記電気変形素子には、上記可動部が重力によって移動される際に、上記駆動用コイルによって生成された起電力が付与され、上記電気変形素子の変形により、上記可動部の移動に制動力が作用し、上記可動部の上記可動端への衝突が緩和される請求項1乃至3の何れか1項に記載のレンズユニット。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるカメラを説明する。
図1は本発明の第1実施形態によるレンズユニットを備えたカメラの断面図である。
【0014】
図1に示すように、カメラ1は、レンズユニット2と、カメラボディ4と、を有する。レンズユニット2は、レンズ鏡筒6と、このレンズ鏡筒6の中に配置された複数のレンズ7と、光学部品であるフォーカス調整用のフォーカスレンズ16と、このフォーカスレンズ16が取り付けられた可動部であるレンズ枠17と、を有する。さらに、レンズユニット2は、レンズ枠17をレンズユニット2の光軸A方向に案内する案内機構であるレンズ案内装置8と、このレンズ案内装置8に駆動力を作用させるアクチュエータ10と、を有する。
【0015】
レンズユニット2は、カメラボディ4に取り付けられ、入射した光を撮像素子面4aに結像させるように構成されている。概ね円筒形のレンズ鏡筒6は、内部に複数のレンズ7を保持しており、フォーカスレンズ16をレンズ案内装置8によって移動させることによりフォーカス調整を可能としている。
【0016】
また、レンズ鏡筒6の周囲には、フォーカスレンズ16を手動で移動させるために操作される筒状のフォーカスリング12が回動可能に取り付けられている。撮影者が手動でフォーカスリング12を回動操作すると、フォーカスレンズ16がレンズ案内装置8によって案内されて光軸A方向に移動され、手動でフォーカス調整が行われる。
【0017】
一方、カメラボディ4には、フォーカスレンズ16を自動で移動させる自動フォーカスによる焦点合わせを始動させるために操作される自動フォーカス操作部が設けられている。また、カメラボディ4には制御部である自動フォーカス制御部14が内蔵されており、この自動フォーカス制御部14からの信号に基づいて、アクチュエータ10がフォーカスレンズ16を移動させ、自動焦点合わせを行うことができる。即ち、撮影者がカメラボディ4に設けられた自動フォーカス操作部であるレリーズボタン4bを半押しにすると、自動フォーカスによる焦点合わせが始動され、自動フォーカス制御部14は、被写体の像が撮像素子面4aに合焦するようにフォーカスレンズ16の位置を調整する。アクチュエータ10は、自動フォーカス制御部14からの制御信号に基づいて、指令された位置にフォーカスレンズ16を移動させる。
【0018】
次に、
図2乃至
図4を参照して、本発明の第1実施形態によるレンズユニット2に備えられたレンズ案内装置8及びアクチュエータ10を説明する。
図2は、本発明の第1実施形態によるレンズユニット2に備えられたレンズ案内装置8及びアクチュエータの断面図である。
図3は、本発明の第1実施形態によるレンズユニット2に備えられたレンズ案内装置8及びアクチュエータ10の分解斜視図である。
図4は、本発明の第1実施形態のレンズユニット2において、緩衝機構を作動させるための回路図である。
【0019】
図2及び
図3に示すように、レンズ案内装置8は、レンズ枠17を取り囲むように設けられた第1フレーム18aと、この第1フレーム18aに取り付けられる第2フレーム18bと、レンズ枠17を光軸A方向に案内する第1のガイド軸22及び第2のガイド軸24と、を有する。さらに、
図2に示すように、レンズ案内装置8には、レンズ枠17が重力によって移動され、レンズ枠17が可動端に衝突するのを緩和する緩衝機構20が設けられている。
【0020】
即ち、本実施形態においては、レンズ枠17が被写体側の可動端に到達すると、レンズ枠17又はレンズ枠17に取り付けられた部品の一部と、第1フレーム18aの内側の面又は第1フレーム18aの内側に取り付けられた部品の一部が当接し、それ以上移動することができなくなる。また、レンズ枠17が撮像面側の可動端に到達すると、レンズ枠17又はレンズ枠17に取り付けられた部品の一部と、第2フレーム18bの内側の面又は第2フレーム18bの内側に取り付けられた部品の一部が当接し、それ以上移動することができなくなる。緩衝機構20は、このように、レンズ枠17が可動端まで移動したときの部品同士の衝突を緩和するように構成されている。
【0021】
また、レンズ枠17には、第1のガイド軸22上を摺動する第1摺動部17aと、第2のガイド軸24上を摺動する第2摺動部17bが設けられている。この構成により、レンズ案内装置8は、可動部であるレンズ枠17を、第1、第2のガイド軸に沿って所定範囲内で移動可能に支持すると共に、光軸A方向に案内することができる。
【0022】
図3に示すように、レンズ枠17は、概ねドーナツ板状の部材であり、中央の開口部にフォーカスレンズ16が取り付けられている。また、レンズ枠17の外周には、概ね円筒形に形成された第1摺動部17a及び第2摺動部17bが設けられ、これらは、可動部の重心を挟んで点対称の位置に配置されている。第1摺動部17a及び第2摺動部17bは、夫々、それらの中心軸線がレンズ枠17と直交するように、光軸Aと平行に形成されている。また、これら第1摺動部17a及び第2摺動部17bの中心には、第1のガイド軸22及び第2のガイド軸24が、夫々摺動可能に受け入れられている。なお、可動部の重心から第1摺動部17a、第2摺動部17bまでの距離は異なっていても良い。
【0023】
図3に示すように、第1フレーム18aは、レンズ枠17を取り囲むように設けられた、一方の端面が閉塞された概ね円筒状の部材である。また、第1フレーム18aの閉塞された端面には、入射光を透過させるための円形の開口が設けられている。
第2フレーム18bは、第1フレーム18aの開放された端部に取り付けられる概ね円板状の部材であり、入射光を透過させるための円形の開口が中央に設けられている。
【0024】
また、第1のガイド軸22及び第2のガイド軸24は、円形断面の棒状の部材であり、第1フレーム18aの閉塞された端面と第2フレーム18bと、を接続するように取り付けられている。第1のガイド軸22及び第2のガイド軸24は、互いに平行に、且つ光軸Aと平行に取り付けられている。また、第1のガイド軸22は、レンズ枠17の第1摺動部17aを摺動可能に支持し、第2のガイド軸24は、レンズ枠17の第2摺動部17bを摺動可能に支持している。これにより、レンズ枠17は、第1のガイド軸22及び第2のガイド軸24によって、光軸Aに沿って移動可能に支持される。
【0025】
なお、本実施形態において、レンズ枠17は、第1摺動部17aの前端面が第1フレーム18aの閉塞された端面に当接する前側の可動端と、第1摺動部17aの後端面が第2フレーム18bに当接する後側の可動端の間の範囲で移動可能に支持されている。即ち、
図2は、レンズ枠17が、第1摺動部17aの後端面と第2フレーム18bが当接する、後側の可動端に当接した状態を示している。一方、前側の可動端においては、第1摺動部17aの前端面が第1フレーム18aの端面に当接する。
【0026】
次に、アクチュエータ10は、レンズ枠17を直線移動させるボイスコイルモータとして構成され、レンズ枠17に取り付けられたフォーカスレンズ16を光軸A方向に駆動するように構成されている。
図2に示すように、アクチュエータ10は、駆動用マグネット30と、駆動用コイル32と、駆動用マグネット30の磁気を駆動用コイル32に導くためのヨーク34と、を有する。
【0027】
駆動用マグネット30は、長方形プレート状の永久磁石であり、ヨーク34の内側に取り付けられている。また、本実施形態において、駆動用マグネット30は、その厚さ方向に磁極が反転するように構成されている。従って、駆動用マグネット30の一方の面がS極である場合には、他方の面はN極にされている。
【0028】
駆動用コイル32は、角の丸い長方形状に多数回巻回された細い導線から構成され、レンズ枠17の延出部17cに直接固定されている。延出部17cは、ドーナツ板状のレンズ枠17から上方に延出した部分であり、延出部17cには、ヨーク34を貫通させるための細長い開口が形成されている。また、駆動用コイル32は、延出部17cに形成された細長い開口を取り囲むように取り付けられており、ヨーク34は、駆動用コイル32の内側を光軸A方向に延びている。このため、駆動用コイル32に電流が流れると、レンズ枠17を移動させる駆動力が発生する。
【0029】
自動フォーカス制御部14は、駆動用コイル32の導線に流す電流を制御することにより、駆動用コイル32が取り付けられたレンズ枠17を、光軸A方向に駆動する。
【0030】
ヨーク34は、磁性体材料製の部材であり、駆動用マグネット30の磁気を、駆動用コイル32に導くように構成されている。本実施形態において、ヨーク34は、冷間圧延鋼板(SPCC)を環状に形成することにより構成され、閉磁路が構成されている。具体的には、
図2に示すように、ヨーク34は、厚さ約2mmの細長い長方形の薄板を逆U字形に湾曲させることにより形成されたヨーク本体34aと、ヨーク本体34aに取り付けられたカバーヨーク34bから構成されている。カバーヨーク34bは、細長い長方形板状に形成され、駆動用コイル32の内側を貫通して、逆U字形の両側の脚部を接続するように取り付けられている。従って、駆動用コイル32の導線は、ヨーク34のカバーヨーク34bを取り囲むように巻回されている。また、本実施形態においては、カバーヨーク34bも、ヨーク本体34aと同一の材料、板厚で形成されているが、板厚は異なっていても良い。
【0031】
さらに、逆U字形のヨーク本体34aは、直線状に延びる細長い直線部と、この直線部の両端を、直線部に対して直角に湾曲させることにより形成された脚部から構成されている。ヨーク本体34aの直線部は、カバーヨーク34bと概ね平行に延びるように構成されている。また、ヨーク本体34aの直線部の、カバーヨーク34bに対向する側の面には、駆動用マグネット30が取り付けられている。これにより、駆動用マグネット30は、その一方の面が駆動用コイル32と対向するように配置されている。このように、本実施形態においては、逆U字形のヨーク本体34aの両端に脚部が形成され、これらの脚部を接続するようにカバーヨーク34bが取り付けられ、閉磁路が形成されている。
【0032】
次に、緩衝機構20は、
図2に示すように、レンズ枠17に取り付けられた緩衝用コイル36と、第1フレーム18aに取り付けられた第1緩衝用マグネット38aと、第2フレーム18bに取り付けられた第2緩衝用マグネット38bと、リレー素子40と、から構成されている。これらのうち、緩衝用コイル36、第1緩衝用マグネット38a、及び第2緩衝用マグネット38bは、光軸A方向に、概ね一直線上に配置されるように取り付けられている。
【0033】
緩衝用コイル36は、円板状に巻回されたコイルであり、その中心軸線が光軸A方向に向けられるように、レンズ枠17に取り付けられている。後述するように、この緩衝用コイル36は、アクチュエータ10を構成する駆動用コイル32と、リレー素子40を介して電気的に接続されている。
【0034】
第1緩衝用マグネット38aは、四角形のプレート状に形成された永久磁石であり、緩衝用コイル36と対向するように、第1フレーム18aの端面の内側の表面に取り付けられている。また、第1緩衝用マグネット38aは、その厚さ方向に磁極が反転するように着磁されている。例えば、第1緩衝用マグネット38aの、緩衝用コイル36と対向する側の面がN極に着磁されている場合には、その裏側の面は、S極に着磁される。
【0035】
第2緩衝用マグネット38bは、四角形のプレート状に形成された永久磁石であり、緩衝用コイル36と対向するように、第2フレーム18bの内側の表面に取り付けられている。また、第2緩衝用マグネット38bも、その厚さ方向に磁極が反転するように着磁されている。さらに、第1緩衝用マグネット38a及び第2緩衝用マグネット38bは、同一の磁極が、緩衝用コイル36に対向するように取り付けられている。例えば、第1緩衝用マグネット38aの、緩衝用コイル36と対向する側の面がN極に着磁されている場合には、第2緩衝用マグネット38bの、緩衝用コイル36と対向する側の面もN極に着磁され、その裏側の面は、S極に着磁される。
【0036】
次に、
図4を参照して、緩衝用コイル36の電気的接続を説明する。
図4は、緩衝機構20を作動させるための回路図である。
図4に示すように、自動フォーカス制御部14は、リレー素子40を介して駆動用コイル32に接続されている。リレー素子40は、アクチュエータ10の作動中において、駆動用コイル32と自動フォーカス制御部14を接続する側(
図4の(i)側)に切り替えられている。即ち、アクチュエータ10の作動中は、自動フォーカス制御部14から出力された制御電流が駆動用コイル32に流れ、これにより、駆動用コイル32と駆動用マグネット30(ヨーク34)の間に駆動力が発生する。自動フォーカス制御部14は、駆動用コイル32に流す制御電流により、レンズ枠17を所定の位置に駆動して、自動フォーカス調整を実行するように構成されている。
【0037】
また、リレー素子40は、カメラ1の電源スイッチ(図示せず)がオフにされた場合等に、自動フォーカス制御部14から駆動用コイル32に供給される電流が停止されると、駆動用コイル32と緩衝用コイル36を接続する側(
図4の(ii)側)に切り替わるように構成されている。即ち、自動フォーカス制御部14は、リレー素子40のコイル(図示せず)にも電流を供給しており、電流の供給によりリレー素子40を、駆動用コイル32と自動フォーカス制御部14を接続する側(
図4の(i)側)に切り替えている。
【0038】
リレー素子40は、そのコイル(図示せず)に供給される電流が停止されると、駆動用コイル32と緩衝用コイル36を接続する側(
図4の(ii)側)に切り替えられるように構成されている。自動フォーカス制御部14は、駆動用コイル32に供給する電流を停止させる際、リレー素子40のコイルに供給する電流も停止させるように構成されている。このため、駆動用コイル32に供給される電流が停止されると共に、リレー素子40は、駆動用コイル32と緩衝用コイル36を接続する側(
図4の(ii)側)に切り替えられる。なお、本実施形態においては、コイルを備えたリレー素子が使用されているが、半導体リレー等、任意の電気的な切り替え素子を本発明に適用することができる。
【0039】
次に、
図1及び
図4を参照して、本発明の第1実施形態によるカメラ1の作用を説明する。
まず、撮影者がカメラボディ4に設けられたレリーズボタン4bを半押しにすると、自動フォーカスによる焦点合わせが始動される。焦点合わせが始動されると、カメラボディ4に内蔵された自動フォーカス制御部14は、アクチュエータ10に制御信号を送り、被写体の像が撮像素子面4aに合焦するようにフォーカスレンズ16の光軸A方向の位置を調整する。即ち、自動フォーカス制御部14は、アクチュエータ10の駆動用コイル32に制御電流を流し、レンズ枠17を光軸A方向に移動させる。
【0040】
次に、撮影者がカメラボディ4に設けられた電源スイッチ(図示せず)をオフにすると、自動フォーカス制御部14は、駆動用コイル32への電流供給を停止させると共に、リレー素子40のコイル(図示せず)への電流の供給も停止させる。これにより、リレー素子40は、駆動用コイル32と緩衝用コイル36を接続する側に切り替えられる。
【0041】
また、駆動用コイル32への電流供給が停止されると、レンズ枠17には、その位置を保持するための駆動力(保持力)が作用しなくなる。このため、カメラ1が傾けられると、レンズ枠17は、重力により可動端に向けて光軸A方向に移動し始める。レンズ枠17が移動すると、これに取り付けられた駆動用コイル32も移動する。ここで、駆動用コイル32は駆動用マグネット30によって生成された磁界中に配置されているため、レンズ枠17と共に移動されることにより、駆動用コイル32には誘導電流が発生する。この際、リレー素子40は駆動用コイル32と緩衝用コイル36を接続する側に切り替えられているため、駆動用コイル32において生成された誘導電流は、緩衝用コイル36に流れる。
【0042】
このように、レンズ枠17が重力により移動し始めると、レンズ枠17に取り付けられた駆動用コイル32に誘導電流が流れ、この誘導電流が緩衝用コイル36に流れる。即ち、レンズ枠17と共に可動端に向けて移動する緩衝用コイル36には誘導電流が流れ、緩衝用コイル36は磁界を生成する。例えば、カメラ1が、レンズユニット2の先端が下方に向くように傾けられた場合には、レンズ枠17は、前側の可動端に向けて移動する。これにより、緩衝用コイル36は、第1フレーム18aに取り付けられた第1緩衝用マグネット38aに向けて移動する。
【0043】
ここで、誘導電流によって緩衝用コイル36に生成される磁界は、第1緩衝用マグネット38aが生成する磁界と反発する方向に生成される。このため、レンズ枠17が前側の可動端に接近すると、緩衝用コイル36と第1緩衝用マグネット38aの間に反発力が発生し、レンズ枠17と前側の可動端との衝突が回避、又は緩和(遅い速度で衝突)される。
【0044】
逆に、カメラ1が、レンズユニット2の基端が下方に向くように傾けられた場合には、レンズ枠17は、後側の可動端に向けて移動する。これにより、緩衝用コイル36は、第2フレーム18bに取り付けられた第2緩衝用マグネット38bに向けて移動する。ここで、レンズ枠17が後側の可動端に向けて移動する際に緩衝用コイル36に流れる電流の向きは、レンズ枠17が前側の可動端に向けて移動する場合とは逆向きになる。従って、緩衝用コイル36によって生成される磁界の方向も、レンズ枠17が前側の可動端に向けて移動する場合とは逆向きになり、この磁界は、第2緩衝用マグネット38bが生成する磁界と反発する方向になる。これにより、レンズ枠17が後側の可動端に接近すると、緩衝用コイル36と第2緩衝用マグネット38bの間に反発力が発生し、レンズ枠17と後側の可動端との衝突が回避、又は緩和(遅い速度で衝突)される。
【0045】
本発明の第1実施形態のレンズユニット2によれば、可動部であるレンズ枠17の可動端への衝突が、緩衝機構20によって緩和されるので、電源がオフにされた後、レンズ枠17が可動端に衝突することによる異音の発生等を抑制することができる。また、緩衝機構20は、レンズ枠17が重力によって移動される際に、駆動用コイル32によって生成される電流により作動するので、特別な電源を設けることなく緩衝機構20を作動させることができる。このため、電源スイッチをオフにする操作直後に、アクチュエータ10への電源供給を停止させることができる。
【0046】
また、本実施形態のレンズユニット2によれば、レンズ案内装置8が、フォーカスレンズ16を、その光軸方向Aに移動可能に案内し、フォーカスレンズ16を取り付けたレンズ枠17が、可動端に衝突するのを緩和する。これにより、レンズ枠17が可動端に衝突を繰り返すことにより、焦点合わせの性能が低下するのを防止することができる。
【0047】
さらに、本実施形態のレンズユニット2によれば、アクチュエータ10が、駆動用マグネット30の磁束を導くヨーク34を備えており、レンズ枠17に取り付けられた駆動用コイル32が、ヨーク34に沿って直線移動される。このような構造のリニアアクチュエータでは、駆動用コイル32への電流の供給が停止されると、レンズ枠17の位置を保持する保磁力が大きく低下する。しかしながら、緩衝機構20により、レンズ枠17の可動端への衝突が緩和されるので、異音の発生や、性能の低下を抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態のレンズユニット2によれば、緩衝用コイル36には、レンズ枠17が重力によって移動される際に、駆動用コイル32によって生成された電流が供給される。このため、緩衝用コイル36に流す電流を生成するための特別な素子を設けることなく、緩衝用コイル36に電流を流すことができる。さらに、電流が流れた緩衝用コイル36と緩衝用マグネット38a、38bの間に働く反発力により、レンズ枠17の、可動端への衝突を緩和することができる。また、本実施形態のレンズユニット2によれば、駆動用コイル32及び緩衝用コイル36が、何れもレンズ枠17に取り付けられているので、駆動用コイル32で生成された電流を、容易に緩衝用コイル36に導くことができる。
【0049】
次に、
図5及び
図6を参照して、本発明の第2実施形態によるレンズユニット、及びそれを備えたカメラを説明する。
本実施形態のレンズユニットは、緩衝機構の構成が、上述した第1実施形態とは異なる。従って、ここでは、本実施形態の、第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。
【0050】
図5は、本発明の第2実施形態によるレンズユニットに備えられたレンズ案内装置及びアクチュエータの断面図である。
図6は、本発明の第2実施形態のレンズユニットにおいて、緩衝機構を作動させるための回路図である。
【0051】
図5に示すように、本実施形態においても、光学部品であるフォーカスレンズ16が、可動部であるレンズ枠17に取り付けられ、案内機構であるレンズ案内装置8によって光軸A方向に案内される。レンズ案内装置8は、第1フレーム18a、第2フレーム18b、第1のガイド軸22、及び第2のガイド軸(
図5には図示せず)を有し、レンズ枠17を光軸A方向に摺動可能に支持している。
【0052】
また、アクチュエータ10は、駆動用マグネット30、駆動用コイル32、及びヨーク34を備え、駆動用コイル32が取り付けられたレンズ枠17を光軸A方向に駆動するように構成されている。さらに、緩衝機構120は、レンズ枠17に取り付けられた電気変形素子である人工筋肉部材136と、制動用シャフト138と、を備えている。
【0053】
人工筋肉部材136は、レンズ枠17に取り付けられた円柱形の部材であり、その中心軸線に沿って制動用シャフト138を通すための円形の貫通穴136aが形成されている。即ち、人工筋肉部材136は、中心軸線が光軸A方向に向くようにレンズ枠17に取り付けられ、中央の貫通穴136aの中に制動用シャフト138を受け入れている。
【0054】
制動用シャフト138は、第1フレーム18aの端面と、第2フレーム18bとの間を接続するように光軸A方向に延びる円形断面のシャフトである。制動用シャフト138は、レンズ枠17に取り付けられた人工筋肉部材136を貫通して延びている。アクチュエータ10の作動中において、人工筋肉部材136は、制動用シャフト138に沿って、極めて小さな摺動抵抗で移動可能に構成されている。なお、本実施形態においては、第1のガイド軸、第2のガイド軸とは別に制動用シャフト138が設けられているが、変形例として、制動用シャフト138をガイド軸と兼用にすることもできる。
【0055】
本実施形態においては、人工筋肉部材136として、電圧を印加することにより変形する高分子材料が使用され、電圧を印加することにより中央の貫通穴136aの直径が収縮するように構成されている。また、人工筋肉部材136を構成する電気変形素子は、電場応答性高分子材料や、イオン導電性高分子ゲル、誘電エラストマー等の高分子系材料や、バイオメタル(登録商標)等の金属系材料を使用して構成することができる。
【0056】
次に、
図6を参照して、緩衝機構120を作動させるための回路を説明する。
図6に示すように、自動フォーカス制御部14は、リレー素子40を介して駆動用コイル32に接続されている。リレー素子40は、アクチュエータ10の作動中において、駆動用コイル32と自動フォーカス制御部14を接続する側(
図6の(i)側)に切り替えられている。即ち、アクチュエータ10の作動中は、自動フォーカス制御部14の制御電流により、駆動用コイル32と駆動用マグネット30(ヨーク34)の間に駆動力が発生する。
【0057】
また、リレー素子40は、カメラ1の電源スイッチ(図示せず)がオフにされた場合等に、自動フォーカス制御部14から駆動用コイル32に供給される電流が停止されると、駆動用コイル32と人工筋肉部材136を接続する側(
図6の(ii)側)に切り替わるように構成されている。
【0058】
次に、
図5及び
図6を参照して、本発明の第2実施形態によるカメラの作用を説明する。
まず、自動フォーカスによる焦点合わせ中においては、自動フォーカス制御部14がアクチュエータ10に制御信号を送り、被写体の像が撮像素子面4aに合焦するようにフォーカスレンズ16の光軸A方向の位置を調整する。即ち、自動フォーカス制御部14は、アクチュエータ10の駆動用コイル32に制御電流を流し、レンズ枠17を光軸A方向に移動させる。
【0059】
次に、撮影者がカメラボディ4に設けられた電源スイッチ(図示せず)をオフにすると、自動フォーカス制御部14は、駆動用コイル32への電流供給を停止させると共に、リレー素子40のコイル(図示せず)への電流の供給も停止させる。これにより、リレー素子40は、駆動用コイル32と人工筋肉部材136を接続する側に切り替えられる。
【0060】
また、駆動用コイル32への電流供給が停止された状態において、カメラ1が傾けられると、レンズ枠17は、重力により可動端に向けて光軸A方向に移動し始める。レンズ枠17が移動することにより、駆動用コイル32には起電力が発生する。この際、リレー素子40は駆動用コイル32と人工筋肉部材136を接続する側に切り替えられているため、駆動用コイル32において生成された起電力は、人工筋肉部材136に印加される。
【0061】
このように、レンズ枠17が重力により移動し始めると、レンズ枠17に取り付けられた駆動用コイル32に起電力が発生し、この起電力が人工筋肉部材136に印加される。人工筋肉部材136に電圧が印加されると、人工筋肉部材136は、その貫通穴136aの直径が収縮するように変形する。これにより、貫通穴136aの内壁面と、貫通穴136aの中を貫通している制動用シャフト138の表面が接触して摺動抵抗が大きくなり、レンズ枠17に制動力が付与される。このように、レンズ枠17に制動力が付与されることにより、重力により移動し始めたレンズ枠17が停止され、又は、レンズ枠17と可動端との衝突が緩和(遅い速度で衝突)される。
【0062】
また、レンズ枠17が停止すると、駆動用コイル32は起電力を発生しなくなり、これにより、人工筋肉部材136は元の形状に復帰する。人工筋肉部材136が元の形状に復帰するとレンズ枠17の摺動抵抗が小さくなるため、レンズ枠17は再び重力により移動可能な状態となる。しかしながら、重力によりレンズ枠17が再び移動し始めた場合には、駆動用コイル32が起電力を発生し、人工筋肉部材136が変形されるので、レンズ枠17には制動力が付与され、レンズ枠17と可動端との衝突が回避、又は緩和される。
【0063】
本発明の第2実施形態のレンズユニットによれば、電気変形素子である人工筋肉部材136には、レンズ枠17が重力によって移動される際に、駆動用コイル32によって生成された起電力が付与され、人工筋肉部材136の変形により、レンズ枠17の移動に制動力が作用し、レンズ枠17の可動端への衝突が緩和される。このため、緩衝機構120は、簡単な機構で大きな制動力を発生させることができ、効果的に、レンズ枠17と可動端の衝突を回避することができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態においては、光学部品としてフォーカス調整用のフォーカスレンズがアクチュエータにより移動されていたが、画角調整用のレンズ等、他の任意の光学部品を駆動するアクチュエータを備えたレンズユニットに本発明を適用することができる。
【0065】
また、上述した実施形態においては、可動部に駆動用コイルが取り付けられ、駆動用マグネットは固定されていたが、可動部に駆動用マグネットを取り付け、駆動用コイルを固定するように、本発明を構成することもできる。また、上述した実施形態においては、可動部に緩衝用コイルが取り付けられ、各緩衝用マグネットが固定されていたが、可動部に緩衝用マグネットを取り付け、緩衝用コイルを固定するように、本発明を構成することもできる。さらに、上述した実施形態においては、可動部に電気変形素子である人工筋肉部材が取り付けられていたが、固定された電気変形素子が可動部に制動力を加えるように本発明を構成することもできる。