【解決手段】電子機器は、第1筐体と、前記第1筐体に対して相対的に回動可能に連結された第2筐体と、前記第1筐体に設けられたディスプレイと、前記第2筐体に設けられたプリント基板と、前記ディスプレイと前記プリント基板とを接続するフレキシブル基板と、を備える。前記第2筐体内において、前記フレキシブル基板は、順に並んで互いに逆向きに湾曲した第1及び第2の折返し部を有する。前記フレキシブル基板は、前記第1の折返し部では外周側に位置し、前記第2の折返し部では内周側に位置する表面に、前記プリント基板に対する接続部を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の構成は、ディスプレイの制御用の基板(ディスプレイ基板)を第1筐体のベゼル部材の内側に収納している。このため、ベゼル部材は、ディスプレイ基板の分だけ幅広になり、外観品質が低下する。
【0005】
そこで、ディスプレイ基板を第2筐体内に収納し、ディスプレイとディスプレイ基板との間を第1筐体から第2筐体に亘るフレキシブル基板で接続することが考えられる。ところが、この構成では、ディスプレイ基板の分だけ第2筐体の薄型化や前後寸法が増大してしまう。特に、フレキシブル基板は、筐体間の回動動作に追従して柔軟に移動できる必要がある。このため、第2筐体内にはフレキシブル基板の移動スペースが必要となるため、ディスプレイ基板の配置スペースは最小限に抑えたい。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、筐体の小型薄型化を可能とし、外観品質を向上させることができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る電子機器は、電子機器であって、第1筐体と、前記第1筐体に対して相対的に回動可能に連結された第2筐体と、前記第1筐体に設けられたディスプレイと、前記第2筐体に設けられたプリント基板と、前記ディスプレイと前記プリント基板とを接続するフレキシブル基板と、を備え、前記第2筐体内において、前記フレキシブル基板は、順に並んで互いに逆向きに湾曲した第1及び第2の折返し部を有し、前記フレキシブル基板は、前記第1の折返し部では外周側に位置し、前記第2の折返し部では内周側に位置する表面に、前記プリント基板に対する接続部を有する。
【0008】
さらに、前記第2筐体に相対的に固定され、前記第2の折返し部と前記接続部との間で前記フレキシブル基板を保持するホルダ部材を備える構成としてもよい。
【0009】
前記第2筐体は、上面にキーボードを有し、後側面に前記第1筐体がヒンジを介して連結されたものであり、前記フレキシブル基板は、前記第2筐体の前記後側面に形成された開口部から前記第2筐体内へと前方に向かって挿入された後、下方且つ後方に向かって円弧状に折り返されることで前記第1の折返し部が形成され、さらに下方且つ前方に向かって円弧状に折り返されることで前記第2の折返し部が形成されており、前記プリント基板は、前記第2筐体の前記上面を形成する上カバー材に対して相対的に固定されると共に、前記フレキシブル基板の前記接続部が接続される被接続部が下向きに設けられ、前記フレキシブル基板は、前記接続部が上向きに設けられた構成としてもよい。
【0010】
前記ディスプレイとして、前記第1筐体の背面に臨んで映像を表示する第1のディスプレイ部が設けられた第1のディスプレイと、前記第1筐体の正面に臨んで映像を表示する第2のディスプレイ部が設けられた第2のディスプレイと、を有し、前記プリント基板として、前記第1のディスプレイ部の制御用の第1のディスプレイ基板と、前記第2のディスプレイ部の制御用の第2のディスプレイ基板と、を有し、前記フレキシブル基板として、前記第1のディスプレイ部と前記第1のディスプレイ基板とを接続する第1のディスプレイ用フレキシブル基板と、前記第2のディスプレイ部と前記第2のディスプレイ基板とを接続する第2のディスプレイ用フレキシブル基板と、を有する構成としてもよい。
【0011】
前記第1のディスプレイは、さらに、タッチ操作を受け付ける第1のタッチパネル部を有し、前記プリント基板として、さらに、前記第1のタッチパネル部の制御用の第1のタッチパネル基板を有し、前記フレキシブル基板として、さらに、前記第1のタッチパネル部と前記第1のタッチパネル基板とを接続する第1のタッチパネル用フレキシブル基板を有する構成としてもよい。
【0012】
前記第2のディスプレイは、さらに、タッチ操作を受け付ける第2のタッチパネル部を有し、前記プリント基板として、さらに、前記第2のタッチパネル部の制御用の第2のタッチパネル基板を有し、前記フレキシブル基板として、さらに、前記第2のタッチパネル部と前記第2のタッチパネル基板とを接続する第2のタッチパネル用フレキシブル基板を有する構成としてもよい。
【0013】
前記第1及び第2のタッチパネル基板は、前記第2筐体内で互いに前後に並んで配置されることで、前記第2のタッチパネル基板が前記第1のタッチパネル基板よりも前記第2の折返し部から遠位側に配置され、前記第1及び第2のタッチパネル用フレキシブル基板は、互いに重ねられた状態で前記第1及び第2の折返し部を形成しており、前記第2のタッチパネル用フレキシブル基板は、前記第1のタッチパネル基板を越えて延在した延出部を有し、該延出部が前記第2のタッチパネル基板に接続された構成としてもよい。
【0014】
前記第1及び第2のディスプレイ基板は、前記第2筐体内で互いに前後に並んで配置されることで、前記第2のディスプレイ基板が前記第1のディスプレイ基板よりも前記第2の折返し部から遠位側に配置され、前記第1及び第2のディスプレイ用フレキシブル基板は、互いに重ねられた状態で前記第1及び第2の折返し部を形成しており、前記第2のディスプレイ用フレキシブル基板は、前記第1のディスプレイ基板を越えて延在した延出部を有し、該延出部が前記第2のディスプレイ基板に接続された構成としてもよい。
【0015】
前記プリント基板は、第1及び第2のプリント基板の2枚が前記第2筐体の内部で互いに前後に並んで配置され、前記フレキシブル基板は、第1及び第2のフレキシブル基板の2枚が重ねられた状態で前記第1及び第2の折返し部を形成しており、前記第1のフレキシブル基板は、前記第1のプリント基板に接続され、前記第2のフレキシブル基板は、前記第1のプリント基板を越えて延在した延出部を有し、該延出部が前記第2のプリント基板に接続された構成としてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の上記態様によれば、電子機器の筐体の小型薄型化を可能とし、外観品質を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る電子機器について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1は、第1の実施形態に係る電子機器10を上から見下ろした模式的な平面図である。
図1に示すように、電子機器10は、第1筐体12と第2筐体14とをヒンジ16で相対的に回動可能に連結したクラムシェル型のノート型PCである。電子機器10は、筐体12,14間が0度姿勢(
図4A参照)と130度姿勢(
図4C)との間で回動可能である。筐体12,14間の回動範囲は、130度以上でもよい。本発明に係る電子機器は、ノート型PC以外、携帯電話、スマートフォン、又は携帯用ゲーム機等でもよい。
【0020】
以下、電子機器10について、第1筐体12を第2筐体14に対して閉じて0度姿勢とした状態(
図4A参照)を基準とし、手前側を前、奥側を後、幅方向を左右、厚み方向を上下、と呼んで説明する。第1筐体12については、
図1のように開いてディスプレイ18を視認する状態を基準とし、ディスプレイ18の表示面側を正面、ディスプレイ18の裏側を背面、ヒンジ16側を下、ヒンジ16側と逆側を上、と呼ぶこともある。
【0021】
先ず、電子機器10の全体構成を説明する。
【0022】
第2筐体14は、扁平な箱体である。第2筐体14は、上面14aを形成する上カバー材20と、下面(底面)14bを形成する下カバー材21(
図4A参照)と、を有する。第2筐体14の前後左右の側面14cは、上カバー材の四周縁部から起立した壁部によって形成されている。上面14aには、キーボード24及びタッチパッド25が設けられている。第2筐体14の内部には、マザーボード26やバッテリ装置27(
図2参照)の他、SSD(Solid State Drive)、メモリ、アンテナ装置等の各種電子部品が収容されている。第2筐体14の後側面14cには、左右方向に延在した切欠き状の凹状部14dが設けられている。凹状部14dには、ヒンジ16が配置される。
【0023】
第1筐体12は、第2筐体14よりも薄い扁平な箱体である。ディスプレイ18は、第1筐体12の正面12aに設けられている。第1筐体12は、背面12bを形成する背面カバー材28と、正面12aを形成する枠状のベゼル部材29と、を有する。第1筐体12の前後左右の側面12cは、背面カバー材28の四周縁部から起立した壁部によって形成されている。ディスプレイ18は、正面12aに臨んで映像を表示するディスプレイ部18aと、タッチ操作のためのタッチパネル部18bと、を有する。ディスプレイ部18aは、例えば有機EL(OLED:Organic Light Emitting Diode)や液晶で構成される。タッチパネル部18bは、省略されてもよい。第1筐体12は、
図1中の下側面14cにヒンジ16が取り付けられている。
【0024】
ヒンジ16は、筐体12,14の後側面12c,14c間を連結している。本実施形態のヒンジ16は、左右方向に延在した1本の長尺な構造である。ヒンジ16は、例えば左右一対設けられてもよい。
【0025】
次に、筐体12,14間の電気的な接続構造について説明する。
図2は、下カバー材21を取り外した状態での電子機器10の底面図である。
図3は、
図2中のIII−III線に沿う第2筐体14の模式的な断面斜視図である。
図4A、
図4B、
図4Cは、それぞれ筐体12,14間の角度姿勢を0度、65度、130度に設定した状態での電子機器10の後部を拡大した模式的な側面断面図である。
図3では、第2筐体14の上下を反転して図示すると共に、第1筐体12の図示を省略している。
【0026】
図2〜
図4Cに示すように、電子機器10は、ディスプレイ18の制御用のプリント基板(PCB:printed circuit board)として、ディスプレイ基板30及びタッチパネル基板31を第2筐体14内に収容している。
【0027】
ディスプレイ基板30は、ディスプレイ部18aでの映像表示を制御するためのサブボードである。ディスプレイ基板30はマザーボード26と接続されており、後述する他のサブボードも同様にマザーボード26と接続されている。ディスプレイ基板30は、筐体12,14間に亘るフレキシブル基板32を介してディスプレイ部18aと電気的に接続されている。フレキシブル基板32は、例えば左右に並んだ2枚1組で用いられている。
【0028】
タッチパネル基板31は、タッチパネル部18bの制御用のサブボードである。タッチパネル基板31は、タッチパネル部18bで検出されたタッチ操作に基づくアナログ信号を所定のデジタル信号に変換してマザーボード26に送信する。タッチパネル基板31は、筐体12,14間に亘るフレキシブル基板33を介してタッチパネル部18bと電気的に接続されている。フレキシブル基板33は、例えば左右に並んだ2枚1組で用いられている。
【0029】
基板30,31は、第2筐体14の後部で上カバー材20の内面に対して所定のブラケット等を介して固定され、下カバー材21の内面に近い位置で水平に設置されている(
図4A参照)。フレキシブル基板32,33は、例えば可撓性を持った絶縁性フィルムを用い、薄く且つ柔軟に形成したフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible printed circuit)である。
【0030】
図4A〜
図4Cに示すように、第1筐体12の下側面(後側面)14cには、ヒンジ取付部34が設けられている。ヒンジ取付部34は、正面12aから垂直に突出した部分である。ヒンジ取付部34は、背面カバー材28の下側面12cを形成する部分と、ベゼル部材29の下縁部から突出した部分とで顎状に形成され、左右方向に延在している。ヒンジ取付部34は、先端側が第2筐体14の凹状部14d内に配置され、凹状部14d内で回動可能である。フレキシブル基板32,33は、ヒンジ取付部34を貫通するスリット状の開口溝34aを通って第1筐体12外へと引き出された後、凹状部14dを通して第2筐体14内に引き込まれている。
【0031】
第2筐体14内において、フレキシブル基板32(33)は、先ず、下カバー材21の内面付近から上カバー材20の内面付近へと斜め上方に延在しつつ前方に延びている。続いて、フレキシブル基板32(33)は、上から下に向かって2回折り返されることでS字形状部36を描いた後、再び下カバー材21の内面に沿って前方に延びている。
【0032】
S字形状部36は、フレキシブル基板32(33)がディスプレイ18から基板30(31)に向かう延在方向、つまりフレキシブル基板32(33)のディスプレイ18側から基板30(31)側までの軌跡上で順に並んで設けられ、互いに逆向きに湾曲した2つの折返し部36a,36bで形成されている。ディスプレイ18に近い側の折返し部36aは、前方に向かう方向から下方且つ後方に向かう方向に略半円を描いて折り返されている。基板30(31)に近い側の折返し部36bは、折返し部36aの出口で後方に向かう方向から下方且つ前方に向かう方向に略半円を描いて折り返されている。
【0033】
第2筐体14は、凹状部14dを形成する前壁が波形板14eで形成されている。波形板14eは、下カバー材21の内面から上カバー材20の内面付近へと斜め上方に延在しつつ前方に延びた波形状の板部である。波形板14eは、その上端と上カバー材20の内面との間にフレキシブル基板32(33)が通過する隙間を形成している。波形板14eは、S字形状部36の形状に沿った断面形状を有し、フレキシブル基板32(33)の移動を阻害することなく、S字形状部36の形状を保持することができる。
【0034】
フレキシブル基板32(33)は、折返し部36aでは円弧の外周側に位置し、折返し部36bでは円弧の内周側に位置する表面38に、基板30(31)に対する接続部32a(33a)を有する。つまり表面38は、接続部32a(33a)が設けられた部分では上面である。接続部32a(33a)は、基板30(31)の下面に設けられた被接続部30a(31a)に接続されるコネクタ端子である。接続部32a(33a)は、表面38から上向きに設置されている。
図2及び
図3中の参照符号32b(33b)は、フレキシブル基板32(33)に接続部32a(33a)を固定するための支持板である。
【0035】
図2〜
図4Cに示すように、第2筐体14内には、ホルダ部材40が設けられている。ホルダ部材40は、アルミニウム等で形成された金属棒体であり、矩形の断面形状を有する。ホルダ部材40は、ある程度の剛性が確保できれば樹脂製でもよい。ホルダ部材40は、上カバー材20の内面側にねじ40aで固定され、第2筐体14と固定されている。ホルダ部材40は、フレキシブル基板32(33)の折返し部36bの内側に内包される位置に設けられている。ホルダ部材40は、例えば2枚1組のフレキシブル基板32に対して1本が横切るように設置され、2枚1組のフレキシブル基板33に対して1本が横切るように設置されている(
図2参照)。
【0036】
ホルダ部材40は、その下面40bが両面テープ等の粘着剤42を用いてフレキシブル基板32(33)の表面38と固定されている。フレキシブル基板32(33)は、内部に金属線が配線されているため、弾性変形されたS字形状部36では、常に各折返し部36a,36bが開いてしまう方向の反発力を発生している。つまりフレキシブル基板32(33)は、折返し部36bから接続部32a(33a)までの前後方向に沿った部分が折返し部36bを中心として、
図4A〜
図4C中で下側に首振りする方向の反発力を生じている。ホルダ部材40は、この部分と固定されることで、この首振り力を押さえ、接続部32a(33a)が被接続部30a(31a)から脱落することを防止している。
【0037】
次に、本実施形態の電子機器10での筐体12,14間の回動動作と作用効果を説明する。
【0038】
図4Aに示す0度姿勢では、電子機器10は、第2筐体14の上面14aに第1筐体12の正面12aが対向した状態で互いに積層された収納形態となっている。この状態では、フレキシブル基板32(33)は、下向きに配置されたヒンジ取付部34の開口溝34aによって後方に引き寄せられ、S字形状部36が波形板14eに沿って配置されている。
図4A〜
図4C中の参照符号Cは、ヒンジ16による筐体12,14間の回動中心を示している。また、
図4A〜
図4C中の参照符号43は、第2筐体14の下面14bに取り付けられたゴム脚である。
【0039】
電子機器10を使用する際には、第1筐体12を開いて例えば90度〜130度の間の角度姿勢に設定する。
図4Aに示す0度姿勢から第1筐体12が開かれると、例えば
図4Bに示す65度姿勢までの間は、ヒンジ取付部34の開口溝34aの出口の前後位置が次第に前方に移動し、フレキシブル基板32(33)が前方に押し込まれる。このため、フレキシブル基板32(33)は、第2筐体14内でS字形状部36が変形しつつ、折返し部36aが前方に移動する(
図4B参照)。これによりフレキシブル基板32(33)は、筐体12,14間の回動動作時にディスプレイ18と基板30(31)との相対距離が変化した場合であっても、この変化に柔軟に追従でき、断線等の不具合を生じることが抑制される。
【0040】
図4Bに示す65度姿勢から
図4Cに示す130度姿勢までの間は、ヒンジ取付部34の開口溝34aの出口の前後位置がほとんど変化せず、フレキシブル基板32(33)の形状もほとんど変化しない。このため、この間の角度変化時にもフレキシブル基板32(33)が不具合を生じることが抑制されている。なお、
図4Cに示す130度姿勢から
図4Aに示す0度姿勢までの回動時の動作は、上記した開き動作と逆に動作するだけであるため、説明は省略する。
【0041】
以上のように、本実施形態の電子機器10は、第1筐体12に設けられたディスプレイ18と、第2筐体14に設けられたプリント基板である基板30(31)と、ディスプレイ18と基板30(31)とを接続するフレキシブル基板32(33)と、を備える。第2筐体14内において、フレキシブル基板32(33)は、ディスプレイ18から基板30(31)に向かう延在方向で順に並んで設けられ、互いに逆向きに湾曲した第1及び第2の折返し部36a,36bを有する。そして、フレキシブル基板32(33)は、折返し部36aでは外周側に位置し、折返し部36bでは内周側に位置する表面38に、基板30(31)に対する接続部32a(33a)を有する。
【0042】
このように当該電子機器10は、ディスプレイ18と接続される基板30(31)をディスプレイ18側の第1筐体12ではなく、第2筐体14に搭載している。このため、第1筐体12は、可及的に小型薄型化でき、ベゼル部材29を幅狭に構成できる。この際、電子機器10は、2つの筐体12,14間に亘るフレキシブル基板32(33)が基板30(31)側の第2筐体14内で2つの折返し部36a,36bによってS字形状部36を形成している。これによりフレキシブル基板32(33)は、筐体12,14間の回動動作時のディスプレイ18と基板30(31)との間の相対距離の変化に柔軟に追従できる。
【0043】
さらに基板30(31)は、2つの折返し部36a,36bのうち、基板30(31)に近い側の折返し部36bの内周側に位置する表面38に接続部32a(33a)を有する。このため、基板30(31)は、第2筐体14の厚み方向(上下方向)でS字形状部36の内周側となる位置、つまりフレキシブル基板32(33)に形成されたS字形状部36の高さ寸法の範囲に少なくとも一部を収めることができる。その結果、基板30(31)が、フレキシブル基板32(33)の高さ寸法を大きく越えて上下方向に突出し、第2筐体14の薄型化を阻害することが抑制される。しかも基板30(31)は、これと近い側の折返し部36bの円弧の内周を向いて配置されるため、基板30(31)は、第2筐体14内での前後方向位置をS字形状部36(折返し部36b)に可及的に近づけて配置することができる。これにより第2筐体14の前後方向寸法が基板30(31)によって増大することも抑制できる。従って、電子機器10は、各筐体12,14の小型薄型化が可能となり、外観品質が向上する。
【0044】
当該電子機器10は、第2筐体14に相対的に固定され、折返し部36bと接続部32a(33a)との間でフレキシブル基板32(33)を保持するホルダ部材40を備える。これによりフレキシブル基板32(33)の折返し部36a,36bによって生じる反発力をホルダ部材40で抑えることができ、フレキシブル基板32(33)の位置ずれや接続部32a(33a)の被接続部30a(31a)からの脱落を抑制できる。また、ホルダ部材40は、筐体12,14間の回動時のフレキシブル基板32(33)の移動もサポートするため、接続部32a(33a)の脱落を一層抑制できる。
【0045】
なお、ホルダ部材40は、接続部32a(33a)が設置される表面38の裏面に設けられてもよいが、この場合はフレキシブル基板32(33)の下側にホルダ部材40の高さ分のスペースが必要となり、第2筐体14の薄型化の障壁となってしまう。そこで、本実施形態では、ホルダ部材40を表面38側に設置することで、ホルダ部材40が折返し部36bの内周側のデッドスペースに収容できる。その結果、ホルダ部材40が、第2筐体14の薄型化を阻害することが抑制されている。また、ホルダ部材40は、折返し部36bと接続部32a(33a)との間に設けられることで、フレキシブル基板32(33)の伸縮性を阻害することもない。ホルダ部材40の形状やフレキシブル基板32(33)の保持構造は変更してもよい。ホルダ部材40は、省略してもよい。
【0046】
当該電子機器10は、基板30(31)の被接続部30a(31a)が下向きに設けられ、フレキシブル基板32(33)の接続部32a(33a)が上向きに設けられている。これにより第2筐体14では、マザーボード26等と共に基板30(31)等も上カバー材20側に固定される。このため、第2筐体14は、下カバー材21を取り外すことで容易に内部のメンテナンスが可能である。この際、第2筐体14では、接続部32a(33a)が上向きであることで、下カバー材21を取り外すだけで引っ張るだけで、接続部32a(33a)を被接続部30a(31a)から容易に取り外すことができる。従って、電子機器10は、基板30(31)が第2筐体14に搭載されているにもかかわらずディスプレイ18の交換も容易である。
【0047】
図5は、第2の実施形態の電子機器10Aを上から見下ろした模式的な平面図である。第2の実施形態に係る電子機器10Aにおいて、上記第1の実施形態に係る電子機器10と同一又は同様な機能及び効果を奏する要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0048】
図5に示すように、本実施形態の電子機器10Aは、第1筐体12の正面12aに第1ディスプレイ44を備え、さらに背面12bにも第2ディスプレイ45を備える(
図7及び
図8も参照)。第1ディスプレイ44は、上記第1の実施形態のディスプレイ18と同様な構成であり、正面12aに臨んで映像を表示するディスプレイ部18a及びタッチパネル部18bを備える。第2ディスプレイ45は、ディスプレイ部18a及びタッチパネル部45bと同様に構成され、背面12bに臨んで映像を表示するディスプレイ部45a及びタッチパネル部45bを備える。このように、電子機器10Aは、第1筐体12の正面12a及び背面12bの両面にディスプレイ44,45を備えたデュアルディスプレイ構造である。
【0049】
次に、電子機器10Aの筐体12,14間の電気的な接続構造について説明する
図6は、
図5に示す電子機器10Aの下カバー材21を取り外した状態での底面図である。
図7は、
図6中のVII−VII線に沿う第2筐体14の模式的な断面斜視図である。
図8は、筐体12,14間の角度姿勢を65度に設定した状態での電子機器10Aの後部を拡大した模式的な側面断面図である。
図7では、電子機器10Aの上下を反転して図示すると共に、第1筐体12のタッチパネル部18b等の図示を省略している。
【0050】
図6〜
図8に示すように、電子機器10Aは、第1ディスプレイ44の制御用のプリント基板(PCB)としてディスプレイ基板30及びタッチパネル基板31を有し、第2ディスプレイ45の制御用のプリント基板(PCB)としてディスプレイ基板46及びタッチパネル基板47を有する。これら基板30,31,46,47は、全て第2筐体14内に収容されている。
【0051】
ディスプレイ基板46は、第1ディスプレイ44のディスプレイ基板30と左右に並んで配置されている。ディスプレイ基板46は、第2ディスプレイ45のディスプレイ部45aでの映像表示を制御するためのサブボードである。ディスプレイ基板46は、第1ディスプレイ44のディスプレイ部18aと同様、筐体12,14間に亘るフレキシブル基板32を介してディスプレイ部45aと電気的に接続されている。ディスプレイ部45aから延びたフレキシブル基板32についても、第2筐体14内でS字形状部36が形成された後、その表面38に設けられた接続部32aがディスプレイ基板46の被接続部30aと接続される。
【0052】
タッチパネル基板47は、第1ディスプレイ44のタッチパネル基板31と前後方向に並んで配置されている。タッチパネル基板47は、第2ディスプレイ45のタッチパネル部45bの制御用のサブボードである。タッチパネル基板47は、タッチパネル部45bで検出されたタッチ操作に基づくアナログ信号を所定のデジタル信号に変換してマザーボード26に送信する。タッチパネル基板47は、筐体12,14間に亘るフレキシブル基板48を介してタッチパネル部45bと電気的に接続されている。フレキシブル基板48は、フレキシブル基板33と同様、例えば左右の2枚1組で用いられている。
【0053】
基板46,47についても、他の基板30,31と同様、第2筐体14の後部で上カバー材20の内面に対して所定のブラケット等を介して固定され、下カバー材21の内面に近い位置で水平に設置されている(
図8参照)。フレキシブル基板48は、フレキシブル基板33と同様、絶縁性フィルムを材料に使った薄く且つ柔軟なプリント基板(FPC)である。
【0054】
図8に示すように、前後に並んで配置された基板31,47に接続されるフレキシブル基板33,48は、互いに重ねて接着固定された状態で、ヒンジ取付部34の開口溝34aを通って第1筐体12外へと引き出された後、第2筐体14内に引き込まれている。第2筐体14内において、フレキシブル基板33,48は、互いに積層された状態のまま波形板14eに沿って延在し、折返し部36a,36bからなるS字形状部36を形成している。
【0055】
このように積層されたフレキシブル基板33,48のうち、フレキシブル基板33が折返し部36bから近位側のタッチパネル基板31に接続され、フレキシブル基板48が折返し部36bから遠位側のタッチパネル基板47に接続される。そこで、
図7及び
図8に示すように、フレキシブル基板33,48は、折返し部36aではフレキシブル基板33が円弧の外周側に配置され、フレキシブル基板48が円弧の内周側に配置されるように積層されている。これによりフレキシブル基板33,48は、折返し部36bではフレキシブル基板33が円弧の内周側に配置され、フレキシブル基板48が円弧の外周側に配置される。
【0056】
従って、フレキシブル基板33,48は、S字形状部36の基板31,47側の部分では、後側のタッチパネル基板31に接続されるフレキシブル基板33が上側に積層され、前側のタッチパネル基板47に接続されるフレキシブル基板48が下側に積層されている。
【0057】
一方のフレキシブル基板33は、上記第1の実施形態の場合と同様、上向きの表面38に接続部33aを有し、接続部33aがタッチパネル基板31の被接続部31aに接続される。
【0058】
他方のフレキシブル基板48は、一方のフレキシブル基板33よりも長尺である。フレキシブル基板48は、その先端側にフレキシブル基板33が接続されるタッチパネル基板31を越えて前方に延びた延出部48aを有する。フレキシブル基板48は、延出部48aの表面50に設けた上向きの接続部48bがタッチパネル基板47の下面に設けた下向きの被接続部47aに接続される。
図6及び
図7中の参照符号48cは、フレキシブル基板48に接続部48bを固定するための支持板である。図示はしていないが、フレキシブル基板33についても支持板33bが設けられている。
【0059】
電子機器10Aにおいてもホルダ部材40を備えることが好ましい。積層されたフレキシブル基板33,48においても、ホルダ部材40は、折返し部36bの内側に内包される位置に設けられるとよい(
図7及び
図8参照)。このホルダ部材40は、その下面40bが粘着剤42を用いて上層のフレキシブル基板33の表面38と固定されている。下層のフレキシブル基板48は、上層のフレキシブル基板33と固定されている。つまり下層のフレキシブル基板48は、上層のフレキシブル基板33を介してホルダ部材40に保持されている。
【0060】
本実施形態の電子機器10Aは、タッチパネル基板31,47と同様に、ディスプレイ基板30,46を前後に並べて配置した構成としてもよい(
図8中にかっこ書きで示した「ディスプレイ基板30,46」、「フレキシブル基板32,32」、「接続部32a,32a」、「被接続部30a,30a」参照)。この場合にも、第1ディスプレイ44のディスプレイ部18aに接続されたフレキシブル基板32と、第2ディスプレイ45のディスプレイ部45aに接続されたフレキシブル基板32とは積層される。この構成では、ディスプレイ部18aに接続されたフレキシブル基板32は、折返し部36bから近位側のディスプレイ基板30に接続される。ディスプレイ部45aに接続されたフレキシブル基板32は、ディスプレイ基板30を越えて前方に突出した延出部48aが折返し部36bから遠位側のディスプレイ基板46に接続される。なお、ディスプレイ基板30,46のみが前後並びで配置され、タッチパネル基板31,47が左右並びで配置された構成としてもよい。
【0061】
当該電子機器10Aでは、2枚のディスプレイ44,45を備える。このため、電子機器10Aは、第2筐体14内に各ディスプレイ44,45に対するディスプレイ基板30,46及びタッチパネル基板31,47を備える。このため、電子機器10Aでは、例えばタッチパネル基板31,47を前後並びで配置し、筐体12,14の左右方向寸法の増大している。また、前後に並んだタッチパネル基板31,47に接続されるフレキシブル基板33,48は、それぞれの同一方向(上方)を向いた表面38,50に接続部33a,48bを設けている。これにより電子機器10Aでは、タッチパネル基板31,47の影響で第2筐体14の薄型化が阻害されない。また電子機器10Aでは、タッチパネル基板31,47を前後に密接して並べることができ、第2筐体14の前後寸法に対する影響も最小限となっている。
【0062】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0063】
上記では、第2筐体14内に形成されるS字形状部36が上から下に向かう姿勢で配置された構成を例示したが、S字形状部36は下から上に向かう姿勢で配置されてもよい。この場合、例えばタッチパネル基板31では、被接続部31aが上向きに設置され、フレキシブル基板33の接続部33aが下向きに設置されればよい。