【解決手段】運転を支援する運転支援装置は、自車両の走行予定経路上の交差点における他車両の走行状態情報を取得する取得手段と、前記走行状態情報に基づいて、前記交差点に設置された信号機の点灯状態を推定する推定手段と、所定の条件に基づいて、前記推定手段での推定結果を評価する評価手段と、前記推定手段での推定結果と前記評価手段での評価結果とに基づいて、前記自車両の推奨運転を決定して運転者に提供する提供手段と、を備える。
前記評価手段は、前記時刻が日中である場合の方が夜間である場合より前記信頼度が高くなるように、前記信頼度を評価する、ことを特徴とする請求項4に記載の運転支援装置。
前記推定手段は、前記自車両が前記交差点に到達するときにおける前記信号機の点灯状態を推定する、ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の運転支援装置。
前記提供手段は、前記推定手段での推定結果に基づいて、前記交差点での停止を回避するように前記推奨運転を決定して前記運転者に提供する、ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の運転支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<第1実施形態>
本発明に係る第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る車両Vおよびその制御装置1のブロック図である。
図1において、車両Vはその概略が平面図と側面図とで示されている。本実施形態の車両Vは、一例として、セダンタイプの四輪の乗用車であり、例えばパラレル方式のハイブリッド車両でありうる。この場合、車両Vの駆動輪を回転させる駆動力を出力する走行駆動部であるパワープラント50は、内燃機関、モータおよび自動変速機を含むことができる。モータは、車両Vを加速させる駆動源として利用可能であるとともに、減速時等において発電機としても利用可能である(回生制動)。なお、車両Vは、四輪乗用車に限られるものではなく、鞍乗型車両(自動二輪車、自動三輪車)であってもよいし、トラックやバスなどの大型車両であってもよい。
【0011】
図1を参照して車両Vの車載装置である制御装置1の構成について説明する。制御装置1は、互いに通信可能な複数のECU20〜28で構成された情報処理部2を含みうる。各ECUは、CPUに代表されるプロセッサ、半導体メモリ等の記憶デバイス、外部デバイスとのインタフェース等を含む。記憶デバイスにはプロセッサが実行するプログラムやプロセッサが処理に使用するデータ等が格納される。各ECUはプロセッサ、記憶デバイスおよびインタフェース等を複数備えていてもよい。なお、ECUの数や、担当する機能については適宜設計可能であり、本実施形態よりも細分化したり、あるいは、統合したりすることが可能である。なお、
図1においてはECU20〜28の代表的な機能の名称を付している。例えば、ECU20には「運転制御ECU」と記載している。
【0012】
ECU20は、車両Vの運転制御を含む走行支援に関わる制御を実行する。本実施形態の場合、ECU20は、車両Vの駆動(パワープラント50による車両Vの加速等)、操舵および制動を制御する。ECU20が車両Vの自動運転を制御可能に構成されている場合、ECU20は、車両Vの駆動、操舵および制動を、運転者の操作を要せずに自動的に行う。また、ECU20は、手動運転において、例えば、衝突軽減ブレーキ、車線逸脱抑制等の走行支援制御を実行可能である。衝突軽減ブレーキは、前方の障害物との衝突可能性が高まった場合にブレーキ装置51の作動を指示して衝突回避を支援する。車線逸脱抑制は、車両Vが走行車線を逸脱する可能性が高まった場合に、電動パワーステアリング装置41の作動を指示して車線逸脱回避を支援する。
【0013】
ECU21は、車両Vの周囲状況を検知する検知ユニット31A、31B、32A、32Bの検知結果に基づいて、車両Vの走行環境を認識する環境認識ユニットである。本実施形態の場合、ECU21は、検知ユニット31A、31B、32A、32Bの少なくとも1つでの検知結果に基づいて、車両Vの周囲における物標(例えば他車両)の位置を検出することができる。
【0014】
検知ユニット31A、31B、32A、32Bは、車両V(自車両)の周囲における物標を検知可能なセンサである。検知ユニット31A、31Bは、車両Vの前方を撮影するカメラであり(以下、カメラ31A、カメラ31Bと表記する場合がある。)、車両Vのルーフ前部で、フロントウィンドウの車室内側に取付けられる。カメラ31A、カメラ31Bが撮影した画像の解析により、物標の輪郭抽出や、道路上の車線の区画線(白線等)を抽出可能である。
【0015】
検知ユニット32Aは、ライダ(LIDAR:Light Detection and Ranging)であり(以下、ライダ32Aと表記する場合がある)、車両Vの周囲の物標を検知し、物標までの距離や物標の方向(方位)を検知(計測)する。
図1に示す例では、ライダ32Aは5つ設けられており、車両Vの前部の各隅部に1つずつ、後部中央に1つ、後部各側方に1つずつ設けられている。また、検知ユニット32Bは、ミリ波レーダであり(以下、レーダ32Bと表記する場合がある)、電波を用いて車両Vの周囲の物標を検知し、物標までの距離や物標の方向(方位)を検知(計測)する。
図1に示す例では、レーダ32Bは5つ設けられており、車両Vの前部中央に1つ、前部各隅部に1つずつ、後部各隅部に一つずつ設けられている。
【0016】
ECU22は、電動パワーステアリング装置41を制御する操舵制御ユニットである。電動パワーステアリング装置41は、ステアリングホイールSTに対する運転者の運転操作(操舵操作)に応じて前輪を操舵する機構を含む。電動パワーステアリング装置41は、操舵操作のアシストあるいは前輪を自動操舵するための駆動力(操舵アシストトルクと呼ぶ場合がある。)を発揮するモータを含む駆動ユニット41a、操舵角センサ41b、運転者が負担する操舵トルク(操舵負担トルクと呼び、操舵アシストトルクと区別する。)を検知するトルクセンサ41c等を含む。
【0017】
ECU23は、油圧装置42を制御する制動制御ユニットである。ブレーキペダルBPに対する運転者の制動操作はブレーキマスタシリンダBMにおいて液圧に変換されて油圧装置42に伝達される。油圧装置42は、ブレーキマスタシリンダBMから伝達された液圧に基づいて、四輪にそれぞれ設けられたブレーキ装置(例えばディスクブレーキ装置)51に供給する作動油の液圧を制御可能なアクチュエータであり、ECU23は油圧装置42が備える電磁弁等の駆動制御を行う。また、制動時にECU23はブレーキランプ43Bを点灯可能である。これにより後続車に対して車両Vへの注意力を高めることができる。
【0018】
ECU23および油圧装置42は電動サーボブレーキを構成することができる。ECU23は、例えば、4つのブレーキ装置51による制動力と、パワープラント50が備えるモータの回生制動による制動力との配分を制御することができる。ECU23は、また、四輪それぞれに設けられた車輪速センサ38、ヨーレートセンサ(不図示)、ブレーキマスタシリンダBM内の圧力を検知する圧力センサ35の検知結果に基づき、ABS機能、トラクションコントロールおよび車両Vの姿勢制御機能を実現することも可能である。
【0019】
ECU24は、後輪に設けられている電動パーキングブレーキ装置52を制御する停止維持制御ユニットである。電動パーキングブレーキ装置52は後輪をロックする機構を備える。ECU24は電動パーキングブレーキ装置52による後輪のロックおよびロック解除を制御可能である。
【0020】
ECU25は、車内に情報を報知する情報出力装置43Aを制御する車内報知制御ユニットである。情報出力装置43Aは例えばヘッドアップディスプレイやインストルメントパネルに設けられる表示装置、或いは、音声出力装置を含む。更に、振動装置を含んでもよい。ECU25は、例えば、車速や外気温等の各種情報や、経路案内等の情報、車両Vの状態に関する情報を情報出力装置43Aに出力させる。
【0021】
ECU26は、無線通信を行う通信装置26aを備える。通信装置26aは、通信機能を有する物標との無線通信により情報交換が可能である。通信機能を有する物標は、例えば、車両(車車間通信)、信号機や交通監視装置等の固定設備(路車間通信)、スマートフォンなどの携帯端末を携帯する人間(歩行者、自転車)を挙げることができる。また、ECU26は、通信装置26aによりインターネット上のサーバ等にアクセスして、天候の情報等の各種情報を取得可能である。
【0022】
ECU27は、パワープラント50を制御する駆動制御ユニットである。本実施形態では、パワープラント50にECU27を一つ割り当てているが、内燃機関、モータおよび自動変速機のそれぞれにECUを一つずつ割り当ててもよい。ECU27は、例えば、アクセルペダルAPに設けた操作検知センサ34aやブレーキペダルBPに設けた操作検知センサ34bにより検知した運転者の運転操作や車速等に対応して、内燃機関やモータの出力を制御したり、自動変速機の変速段を切り替えたりする。なお、自動変速機には車両Vの走行状態を検知するセンサとして、自動変速機の出力軸の回転数を検知する回転数センサ39が設けられている。車両Vの車速は、回転数センサ39の検知結果から演算可能である。
【0023】
ECU28は、車両Vの現在位置や進路を認識する位置認識ユニットである。ECU28は、ジャイロセンサ33、GPSセンサ28b、通信装置28cの制御、および、検知結果あるいは通信結果の情報処理を行う。ジャイロセンサ33は車両Vの回転運動(ヨーレート)を検知する。ジャイロセンサ33の検知結果等により車両Vの進路を判定することができる。GPSセンサ28bは、車両Vの現在位置を検知する。通信装置28cは、地図情報や交通情報を提供するサーバと無線通信を行い、これらの情報を取得する。データベース28aには、高精度の地図情報を格納することができ、ECU28はこの地図情報等に基づいて、車線上の車両Vの位置をより高精度に特定可能である。また、車両Vは、車両Vの速度を検知する速度センサ、車両Vの加速度を検知する加速度センサ、車両Vの横加速度を検知する横加速度センサ(横Gセンサ)が設けられてもよい。
【0024】
図2は、本実施形態の運転支援装置100の構成を示すブロック図である。運転支援装置100は、交差点を円滑に通過することができるように車両Vの運転者に対して運転支援を行う装置であり、例えば、処理部110と、記憶部120と、情報出力部130と、通信部140とを含みうる。処理部110、記憶部120、情報出力部130および通信部140は、システムバス150を介して相互に通信可能に接続されている。
【0025】
処理部110は、CPUに代表されるプロセッサ、半導体メモリ等の記憶デバイス、外部デバイスとのインタフェース等を含むコンピュータによって構成され、
図1に示す情報処理部2のECUの一部として機能しうる。記憶部120には、車両Vの運転者に運転支援を行うためプログラム(運転支援プログラム)が記憶されており、処理部110は、記憶部120に記憶された運転支援プログラムをメモリ等の記憶デバイスに読み出して実行しうる。
【0026】
本実施形態の処理部110には、取得部111と、推定部112と、評価部113と、提供部114とが設けられうる。取得部111は、自車両V
1の走行予定経路に関する情報を取得するとともに、走行予定経路上の交差点における他車両V
2の走行状態情報を取得する。推定部112は、走行状態情報に基づいて、走行予定経路上の交差点に設置された信号機の点灯状態を推定する。評価部113は、所定の条件に基づいて、推定部112での推定結果を評価する。提供部114(決定部)は、推定部112での推定結果と評価部113での評価結果とに基づいて、自車両V
1に推奨する運転内容(以下、推奨運転と呼ぶことがある)を決定し、決定した推奨運転を情報出力部130を介して運転者に提供(報知する)。
【0027】
情報出力部130は、例えば
図1に示す情報出力装置43Aであり、処理部110(提供部114)で決定された推奨運転に関する情報を車内に報知する。情報出力部130は、走行予定経路の情報を表示するためのカーナビゲーションシステムのディスプレイや、ヘッドアップディスプレイやインストルメントパネルに設けられる表示装置であってもよいし、音声などによって運転者に情報を報知する音声出力装置であってもよい。また、通信部140は、例えば
図1に示す通信装置26aであり、他車両V
2の走行状態情報を取得するために当該他車両V
2と車車間通信を行う。通信部140は、他車両V
2と直接的に通信する構成に限られず、ネットワークを介して他車両V
2と間接的に通信する構成であってもよい。
【0028】
次に、本実施形態の運転支援装置100の動作について説明する。
図3は、交差点200における自車両V
1および他車両V
2の状況例を示している。
図3では、自車両V
1がこれから走行する予定の経路上(即ち、走行予定経路上)の交差点200およびその周囲に他車両V
2−1〜V
2−6が存在しており、自車両V
1の走行車線における進行許可または停止指示を示す信号機201〜202と、自車両V
1の走行車線に交差する車線における進行許可または停止指示を示す信号機203〜204とが交差点200に設置されている。
【0029】
本実施形態の運転支援装置100は、交差点200(およびその周囲)に存在する他車両V
2−1〜V
2−6から取得した走行状態情報に基づいて、自車両V1が交差点200に到達するときの信号機201〜204の点灯状態を推定する。走行状態情報は、例えば、各他車両V
2が交差点200を通過しているのか又は停止しているのかに関する情報や、各他車両V
2の速度(加速度)に関する情報などを含みうる。そして、運転支援装置100は、自車両V
1が交差点200で停止することを回避するように、自車両V
1に推奨する運転内容(推奨運転)を決定し、決定した推奨運転を自車両V
1の運転者に提供(報知)する。推奨運転としては、例えば、交差点200までの自車両V
1の速度や、自車両V
1の加速度および/減速度(即ち、アクセル開度)などが挙げられる。
【0030】
次に、本実施形態の運転支援処理について説明する。
図4は、本実施形態の運転支援処理を示すフローチャートである。
図4のフローチャートは、運転支援装置100において運転支援プログラムが実行されたときに処理部110で行われうる。
【0031】
ステップS11では、処理部110(取得部111)は、自車両V
1の走行予定経路を取得する。例えば、処理部110は、運転者が設定した目的地に基づいて、地図情報から該目的地までの走行予定経路を算出してもよいし、自車両V
1に搭載されたカーナビゲーションシステム等で決定された走行予定経路の情報を該カーナビゲーションシステム等から取得してもよい。また、本工程において、処理部110は、走行予定経路の情報に加えて、走行予定経路上に存在する複数の交差点の位置情報や、各交差点に信号機が設定されているか否かに関する情報を取得してもよい。また、走行予定経路上だけでなく、目的地に至るまでに走行する可能性のある経路における交差点の位置情報や信号機の情報に関しても情報を取得してもよい。「走行する可能性のある経路」とは、例えば、走行予定経路から所定距離の範囲内に含まれる経路でありうる。
【0032】
ステップS12では、処理部110(取得部111)は、自車両V
1がこれから通過する対象の交差点(対象交差点)について、当該対象交差点(およびその周囲)に存在する他車両V
2の走行状態情報を、当該他車両V
2から取得する。例えば、処理部110は、対象交差点から所定の範囲内に存在する他車両V
2の走行状態情報を取得しうる。ここで、対象交差点とは、自車両V
1が次に通過する予定の交差点(次の交差点)のみを含んでもよいし、次の交差点に加えて、自車両V
1が2番目、3番目・・・に通過する予定の複数の交差点を含んでもよい。後者の場合、後述するステップS13〜S16の処理が複数の交差点について並行して行われうる。
【0033】
ステップS13では、処理部110(推定部112)は、ステップS12で取得した各他車両V
2の走行状態情報に基づいて、対象交差点に設置された信号機の点灯状態を推定する。このとき、処理部110は、自車両V
1が対象交差点に到達するときにおける信号機の点灯状態を推定するとよい。例えば、処理部110は、所定期間における各他車両V
2の走行状態情報を取得することで、対象交差点(自車両V
1の走行車線)の信号機における青信号、黄信号および赤信号の点灯周期、青信号の点灯タイミング、および青信号の点灯時間などを、信号機の点灯状態として把握することができる。つまり、処理部110は、現在の速度で走行した場合に自車両V
1が対象交差点に到達するときの信号機の点灯状態を推定することができる。なお、信号機の点灯状態の推定には、自車両V
1の速度や加速度に関する情報など、自車両V
1の走行状態情報が用いられてもよい。
【0034】
ステップS14では、処理部110(評価部113)は、ステップS13による信号機の点灯状態の推定結果を評価する。世の中には信号を無視するような他車両V
2が存在することがあり、そのような他車両V
2の走行状態情報に基づいた信号機の点灯状態の推定結果は信頼度が低い。そのため、当該推定結果に応じて決定された推奨運転を運転者に提供してしまうと、運転安全性を確保することが困難になりうる。そこで、本工程では、所定の条件に基づいて、ステップS13による信号機の点灯状態の推定結果を評価している。
【0035】
ここで、ステップS14における評価方法に一例について説明する。
図5は、信号機の点灯状態の推定結果についての評価方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態では、所定の条件として、信号機の点灯状態を推定したときの時刻が日中であるか夜間であるかに関する条件、および、対象交差点に存在する他車両V
2の数に関する条件を用いて、信号機の点灯状態の推定結果の信頼度を評価する例について説明する。
【0036】
ステップS21〜S22は、信号機の点灯状態を推定したときの時刻が日中であるか夜間であるかに応じて、信号機の点灯状態の推定結果の信頼度を評価する工程である。例えば、日中より夜間の方が信号無視が発生しやすい傾向となる。そのため、本工程では、信号機の点灯状態を推定したときの時刻が日中である場合の方が夜間である場合より推定結果の信頼度が高くなるように、当該信頼度を評価している。
【0037】
ステップS21では、処理部110は、信号機の点灯状態を推定したときの時刻が日中であるか夜間であるかを判断する。そして、当該時刻が夜間であると判断した場合にはステップS22に進み、推定結果の信頼度を低下させてからステップS23に進む。一方、当該時刻が日中であると判断した場合には、推定結果の信頼度を低下させずにステップS23に進む。なお、信頼度の低下量や低下方法については任意に設定可能である。
【0038】
ステップS23〜S24は、対象交差点に存在する他車両V
2の数(即ち、所定期間において走行状態情報を取得した他車両V
2の数)が所定数未満か否かに応じて、信号機の点灯状態の推定結果の信頼度を評価する工程である。例えば、交差点に存在する車両が少ないほど信号無視が発生しやすい傾向となる(一例として、交差点に1台しか車両がいない場合には、当該車両が信号無視をする可能性が高い傾向となる)。そのため、本工程では、対象交差点に存在する他車両V
2の数が所定数未満の場合、所定数以上の場合に比べて推定結果の信頼度が低くなるように、当該信頼度を評価している。
【0039】
ステップ23では、処理部110は、対象交差点に存在する他車両V
2の数(走行状態情報を取得した他車両V
2の数)が所定数未満か否かを判断する。そして、所定数未満である場合にはステップS24に進み、推定結果の信頼度を低下させてから
図4のステップS15に進む。一方、所定数以上である場合には、推定結果の信頼度を低下させずに
図4のステップS15に進む。ここで、本実施形態では、対象交差点に存在する他車両V
2の数が所定数未満である場合に推定結果の信頼度を低下させたが、それに限られず、対象交差点に存在する他車両V
2の数に応じて推定結果の信頼度を低下(または増加)させてもよい。つまり、対象交差点に存在する他車両V
2が多いほど推定結果の信頼度を増加させたり、対象交差点に存在する他車両V
2が少ないほど推定結果の信頼度を低下させたりしてもよい。
【0040】
図4のフローチャートに戻り、ステップS15では、処理部110は、ステップS14で評価した信頼度が閾値以上か否かを判断する。信頼度が閾値以上である場合にはステップS16〜S17に進み、自車両V
1の推奨運転を決定して運転者に提供してからステップS18に進む。一方、信頼度が閾値未満である場合にはステップS16〜S17を行わずにステップS18に進む。このように、本実施形態では、ステップS14で評価した信頼度が閾値以上か否かに基づいて、運転者への推奨運転の提供回数を変更している。
【0041】
ステップS16では、処理部110(提供部114)は、ステップS13で推定結果に基づいて、自車両V
1の推奨運転を決定する。例えば、処理部110は、ステップS1で推定した信号機の点灯状態に基づいて、自車両V
1が対象交差点で停止することを回避するように自車両V
1の推奨運転(例えば速度や加減速度)を決定する。また、ステップS17では、処理部110(提供部114)は、ステップS16で決定した推奨運転を自車両V
1の運転者に提供する。例えば、処理部110は、例えばディスプレイへの表示や音声出力など、ステップS16で決定した推奨運転に関する情報を情報出力部130から出力することにより運転者に報知する。
【0042】
ステップS18では、処理部110は、目的地に到着したか否かを判断する。目的地に到着していない場合にはステップS12に戻り、ステップS12〜S17を繰り返し実行する。一方、目的地に到着した場合には終了する。
【0043】
上述したように、本実施形態の運転支援装置100は、他車両V
2の走行状態情報から推定された信号機の点灯状態に基づいて、交差点を円滑に通過するための推奨運転を運転者に提供することができる。また、例えば、信号無視をした他車両V
2の走行状態情報から推定された信号機の点灯状態など、信頼度の低い情報に基づいて決定された推奨運転を運転者に提供することを回避し、運転安全性を確保することができる。したがって、本実施形態の運転支援装置100では、運転安全性を確保しつつ、円滑な交差点の通過を実現することができる。
【0044】
<第2実施形態>
本発明に係る第2実施形態について説明する。第1実施形態では運転支援装置100を車両Vに備えた例について説明したが、それに限られず、例えばスマートフォンやタブレット端末などの携帯端末に上記の運転支援装置100を備えることもできる。
【0045】
<実施形態のまとめ>
1.上記実施形態の運転支援装置は、
運転者に運転支援を行う運転支援装置(例えば100)であって、
自車両(例えばV
1)の走行予定経路上の交差点(例えば200)における他車両(例えばV
2)の走行状態情報を取得する取得手段(例えば111)と、
前記走行状態情報に基づいて、前記交差点に設置された信号機(例えば201〜204)の点灯状態を推定する推定手段(例えば112)と、
所定の条件に基づいて、前記推定手段での推定結果を評価する評価手段(例えば113)と、
前記推定手段での推定結果と前記評価手段での評価結果とに基づいて、前記自車両の推奨運転を決定して前記運転者に提供する提供手段(例えば114)と、を備える。
この構成によれば、信号無視をした他車両の走行状態情報から推定された信号機の点灯状態など、信頼度の低い情報に基づいて決定された推奨運転を運転者に提供することを回避することができる。したがって、運転安全性を確保しつつ、円滑な交差点の通過を実現することができる。
【0046】
2.上記実施形態では、
前記提供手段は、前記評価手段での評価結果に応じて、前記運転者への前記推奨運転の提供回数を変更する。
この構成によれば、信頼度の低い情報に基づいて決定された推奨運転が運転者に頻繁に提供されることを回避することができる。
【0047】
3.上記実施形態では、
前記評価手段は、前記所定の条件に基づいて、前記推定手段で推定された前記点灯状態の信頼度を評価する。
この構成によれば、信頼度の低い情報に基づいて決定された推奨運転を運転者に提供することを回避し、運転安全性確保することができる。
【0048】
4.上記実施形態では、
前記所定の条件は、前記推定手段により前記点灯状態を推定するときの時刻を含む。
この構成によれば、信号機の点灯状態を推定するときの時刻に応じて、当該点灯状態の推定結果の信頼度を評価することができる。
【0049】
5.上記実施形態では、
前記評価手段は、前記時刻が日中である場合の方が夜間である場合より前記信頼度が高くなるように、前記信頼度を評価する。
この構成によれば、信号無視が発生しやすさが異なる日中と夜間とで推定結果の信頼度を異ならせることができるため、信頼度をより正確に評価することができる。
【0050】
6.上記実施形態では、
前記所定の条件は、前記交差点に存在する他車両の数を含む。
この構成によれば、交差点に存在する他車両の数に応じて、信号機の点灯状態の推定結果の信頼度を評価することができる。
【0051】
7.上記実施形態では、
前記評価手段は、前記交差点に存在する他車両の数が多いほど前記信頼度が高くなるように、前記信頼度を評価する。
この構成によれば、交差点に存在する他車両の数に応じて推定結果の信頼度を異ならせることができるため、信頼度をより正確に評価することができる。
【0052】
8.上記実施形態では、
前記推定手段は、前記自車両が前記交差点に到達するときにおける前記信号機の点灯状態を推定する。
この構成によれば、交差点を円滑に通過するための推奨運転を運転者に提供することができる。
【0053】
9.上記実施形態では、
前記提供手段は、前記推定手段での推定結果に基づいて、前記交差点での停止を回避するように前記推奨運転を決定して前記運転者に提供する。
この構成によれば、交差点を円滑に通過するための推奨運転を運転者に提供することができる。
【0054】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。